説明

LED照明器具

【課題】
配光制御が容易でグレアが低減するとともに、比較的コンパクトなLED照明器具を提供する。
【解決手段】
LED照明器具は、熱放射性の基体1と、放物線形状をなした断面形状が長手方向に連続して形成されているとともに放物線の頂部側で基体に取り付けられた帯状反射面21、帯状反射面の放物線の頂部側の近傍位置において基体に熱伝導関係に配設されたモジュール支持基板22、および発光部が帯状反射面の略焦点に位置し、かつ帯状反射面の長手方向に沿って互いに離間してモジュール支持基板に実装されているとともにそれぞれが帯状反射面の正対領域に向かう光ビームを投光する複数のLEDモジュール23を備えた照明ユニット2とを具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射面を備えたLED照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
照明空間に向かって拡開する回転放物面をその光軸に沿って切断した半回転分の反射面と、この反射面の切断部を覆う側壁と、側壁に実装されて反射面の焦点に配置したLEDなどの発光素子とを具備した光源ユニットの複数個を組み合わせて照明装置を構成することができる。この照明装置によれば、発光素子ごとに反射面を用意して組み合わせるので、LEDを焦点位置に配置しやすくなり、配光制御が容易になる。
【0003】
一方、エレベータのかご室の天井板を断面鋸歯状の波形に成形するとともに、当該天井板の鋸歯状の波形のうち垂直面の部分に開口部を形成し、当該開口部を乳白樹脂等の透光性材料からなる照明板で塞ぎ、当該照明板の背面側にLEDからなるLED照明器具を配設してエレベータのかご室照明装置を構成することができる。このエレベータのかご室照明装置によれば、上下方向の奥行き寸法を小さくすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−040236号公報
【特許文献2】特開2007−182296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前者の従来技術は、反射面が回転曲面を光軸に沿って切断した半回転の立体形状をなしているとともに、この反射面と発光素子とが一対一の関係で組み合わせて光学ユニットを構成するので、照明器具が大型化してしまう。また、発光素子がLEDの場合であっても、そのビーム角が比較的小さいとはいうものの側方へ逸れて反射面に入射しない直射光もあるので、光学ユニットを前方から見たときに側方へ逸れる直射光によってグレアが生じやすくなる。
【0006】
後者の従来技術は、配光制御が困難であり、広い空間の中の所望の領域を所望の照度分布になるように照明する一般的な照明目的には不向きである。
【0007】
本発明は、配光制御が容易でグレアが低減するとともに、比較的コンパクトなLED照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態において、LED照明器具は、基体および照明ユニットを具備している。基体は、熱放射性を有している。照明ユニットは、帯状反射面、モジュール支持基板および複数のLEDモジュールを備えている。帯状反射面は、放物線形状をなした断面形状が長手方向に連続して形成されているとともに放物線の頂部側で基体に取り付けられている。モジュール支持基板は、帯状反射面の放物線の頂部側の近傍位置において基体に熱伝導関係に配設されている。複数のLEDモジュールは、発光部が帯状反射面の略焦点に位置し、かつ帯状反射面の長手方向に沿って互いに離間してモジュール支持基板に実装されているとともにそれぞれが帯状反射面の正対領域に向かう光ビームを投光する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態によれば、帯状反射面の長手方向に沿って互いに離間した複数のLEDモジュールが、それぞれ帯状反射面の略焦点に位置し、かつ帯状反射面の正対領域に向かう光ビームを投光するので、配光制御が容易でグレアが低減するとともに比較的コンパクトな照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係わるLED照明器具の中央断面正面図である。
【図2】同じく要部拡大断面図である。
【図3】同じく底面図である。
【図4】同じく平面図である。
【図5】同じくモジュール支持基板の第1の態様における拡大正面図および側面図である。
【図6】同じくLEDモジュールの拡大断面図である。
【図7】同じくLEDモジュールの配光特性を、LED素子単体時およびレンズ・制光筒体付加時のそれぞれの状態における配光特性を重ねて表示した配光特性図である。
【図8】同じくLEDモジュールが光ビームを照射する帯状反射面の正対領域を説明する模式的説明図である。
【図9】同じくLED照明器具の配光特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図1ないし図9を参照して本発明の実施形態を説明する。本実施形態は、図1ないし図4に全体の配置を示すように、LED照明器具が基体1および複数の照明ユニット2を具備して構成されていて、これらの構成部材が器具本体3内に収納されている。
【0012】
〔基体1〕
基体1は、熱放射性を有していて、後述する複数の照明ユニット2を支持する。この支持の態様は、照明ユニット2を機械的および導熱的に支持する。
【0013】
最初に、基体1による照明ユニット2の機械的支持について説明する。基体1は、複数の照明ユニット2を取り付けて支持する。照明ユニット2の帯状反射面21およびLEDモジュール23の相互間の位置関係は、少なくとも基体1に取り付けられている状態において所定に維持されている。この場合、帯状反射面21とLEDモジュール23をそれぞれ別に基体1に取り付けるように構成してもよいし、帯状反射面21とLEDモジュール23とが所定の位置関係に保持された照明ユニット2を予め組み立てて、次に組み立てられた照明ユニット2を基体1に取り付けるように構成してもよい。上記いずれの構成においても、帯状反射面21の放物線とその軸線との交点すなわち放物線の頂部の近傍を帯状反射面21を基体1に取り付けるとともに、モジュール支持基板22を介してLEDモジュール23を帯状反射面21の放物線曲面の頂部近傍位置に保持させることができるので、帯状反射面21とLEDモジュール22の位置関係を所定に保持しやすくなる。このため、LED照明器具の組立時において、帯状反射面21とLEDモジュール23との間の位置出しが容易になるとともに、使用中に帯状反射面21とLEDモジュール23の位置ずれが生じにくくなるので、所望の配光特性を発揮および維持しやすくするのに効果的である。
【0014】
次に、照明ユニット2の導熱的支持について説明する。基体1は、LEDモジュール23および帯状反射面21の温度を上昇させた熱を外部へ放散させる。すなわち、LEDモジュール23は、LEDの点灯に伴って発熱して温度上昇する。帯状反射面21は、LEDモジュール23からの光ビームと一緒に熱の照射を受けるので、やはりLEDの点灯に伴って温度上昇する。LEDモジュール23および帯状反射面21の熱は、基体1に伝導するので、基体1を外部へ熱放散しやすく構成することで、LEDモジュール23および帯状反射面21の温度上昇を所定値以下に維持することができる。
【0015】
なお、LEDモジュール23は、そのLED素子231が発光する際に温度上昇する。また、帯状反射面21は、その放物線曲面の頂部側に近い位置が、LEDモジュール23の光ビームが照射される正対領域になるので、当該領域の温度上昇がその他の部位のそれより顕著になる。本実施形態においては、LEDモジュール23および帯状反射面21の温度上昇が高くなる部分が基体1に近い位置にあるので、基体1への熱伝導が速やかに行われる。
【0016】
ところで、基体1は、その形態が特段限定されない。図1に示す実施形態においては、肉厚が例えば4mm程度のアルミニウム板を円盤状に形成してなる基体本体部1aと、この基体本体部1aの中心部から背方へ突出したアルミニウムからなる筒体部1bとを備えて構成されている。上記筒体部1bは、基体1の温度上昇が高くなる位置に配設され、その配設によって当該部分の放熱面積および熱容量が増大するので、放熱作用が向上する。したがって、筒体部1bは放熱フィンとして作用する。しかし、所望により基体1の背面側のほぼ全体にわたり放熱フィンを配設することもできる。
【0017】
また、基体1は、LED照明器具の外郭の一部を構成するようにすることができる。この場合、基体1を収納する照明器具本体が不要になるか、または基体1が外郭の一部を構成するので、照明器具本体を応分に小型化することができる。
【0018】
基体1の熱放射性とは、LEDモジュール22および帯状反射面21における熱が基体1の表面から熱放射される作用を基体1が有していればよく、したがって基体1の材質は特段限定されない。なお、金属としては、アルミニウム、アルミニウムダイカストおよび銅などの熱伝導率の良好な金属が好適である。また、基体1の基材に表面処理を施すことにより、熱放射性を高めることができる。これに適した表面処理としては、例えば塗装皮膜や陽極酸化皮膜などが効果的である。
【0019】
〔照明ユニット2〕
照明ユニット2は、帯状反射面21、モジュール支持基板22および複数のLEDモジュール23を備えて構成されている。なお、本実施形態においては、図2に示すように環状をなした3組の照明ユニット2A、2B、2Cが基体1に対して同心的に配設されている。
【0020】
(帯状反射面21)
帯状反射面21は、図2に拡大して示すように、断面が放物線形状をなしているとともに、その断面形状が長手方向に連続して形成されていて、全体として帯状をなしている。なお、本実施形態において、放物線形状とは、近似放物線形状を包含する概念である。このため、反射面の断面の放物線形状の焦点の位置が帯状反射面の長手方向に沿って連続して存在する。したがって、帯状反射面21の帯状をなしている全体としての形状は、回転放物面形状を含まないが、多様であることが許容される。例えば、図1に示すような環形の他に、図示していないが、直線形、多角形、湾曲形、波形および鍵形などを適宜選択して採用することができる。しかし、どのような全体形状であっても、その長手方向に直交する断面の形状が放物線形状を有している点で共通する。
【0021】
帯状反射面21の表面状態は、基本的には鏡面反射面であるのが好ましい。しかし、所望により微弱な程度の拡散性が付加されていてもよい。なお、帯状反射面21の材質は、特段限定されないが、熱伝導の良好なアルミニウムなどの金属を基材としたものが好ましい。なお、めっきなどの表面処理により反射性をさらに高めることができる。
【0022】
また、帯状反射面21は、図2に示すように、基体1への取付部21aを備えていることが許容される。図1に示す実施形態において、取付部21aは、帯状反射面21の頂部側の端部から延長し、かつ長手方向に沿って形成された折曲縁からなり、ビスb1により基体1の一面すなわち図1において下面に固定される。
【0023】
さらに、帯状反射面21は、その開口端から外広がりに屈曲して延在する側縁部21bを備えていることが許容される。図示の実施形態において、側縁部21bは、開口端を含む平面に沿って帯状反射面21の裏面側すなわち外側へ延在している。この側縁部21bの幅寸法を、図2に示すように、比較的小さく設定すれば、照明空間側から見たときに、隣接する照明ユニット2のモジュール支持基板22ないしLEDモジュール23の基板側の部分を覆うことができる。そうすれば、LED照明器具の外観が向上するし、またLEDモジュール23の後述する制光筒体233が見えることにより、機能美が加味されるので、外観が一層向上する。また、所望により側縁部21bの幅寸法を大きくして照明空間側から見たときに、隣接する照明ユニット2のLEDモジュール23のほぼ全体を、LED照明器具の配光を阻害しない程度に、覆うように構成することができる。これにより、LEDモジュール23が見えなくなり、LED照明器具の外観が簡素化されるので、より一層外観が向上する。
【0024】
(モジュール支持基板22)
モジュール支持基板22は、図2に一例を示すように、LEDモジュール23の発光部を、帯状反射面21の放物線の略焦点位置に定置した状態で、直接的または間接的に基体1に取り付ける取付手段である。このため、帯状反射面21の長手方向に沿って複数のLEDモジュール23を配設するに際して、帯状反射面21の長手方向に対して平行関係を維持するとともに、複数のLEDモジュール23を互いに離間した状態で支持することができる。
【0025】
また、モジュール支持基板22は、上記機械的支持と同時にLEDモジュール23を基体1に対して導熱関係に取り付ける手段としても機能する。そのためには、モジュール支持基板22が熱伝導率の比較的大きい物質、例えばアルミニウムなどを用いて形成されているのが好ましい。
【0026】
さらに、モジュール支持基板22は、LEDモジュール23を直接基体1に取り付ける以外に、帯状反射面21を介して基体1にLEDモジュール23を支持させてもよいし、予めLEDモジュール23および帯状反射面21を所定の位置関係に支持してから基体1に取り付けるように構成してもよい。
【0027】
さらにまた、モジュール支持基板22は、LEDモジュール23と1対1の関係で独立していてもよいし、複数、例えば3個のLEDモジュール23に対応するように複数のモジュール支持機能を一体に備えた連接構造とすることができる。この場合、モジュール支持基板22の基体1に対する組立作業が容易になる。
【0028】
さらにまた、モジュール支持基板22は、所望によりLEDモジュール23の帯状反射面21の放物線の焦点に対する位置を調整可能に構成することができる。これにより、LED照明器具の配光特性を広狭に調節することができる。すなわち、LEDモジュール23の発光部の位置が放物線の焦点に位置していれば、狭角配光特性が得られるので、ダウンライト形や投光形のLED照明器具を提供することができる。これに対して、焦点から若干離間してLEDモジュール23の発光部を位置させれば、相対的に広角配光特性が得られ、一般照明などに適したLED照明器具を得ることができる。しかし、いずれの場合もLEDモジュール23の発光部の放物線に対する位置は、焦点およびその近傍の範囲で調整すればよいので、略焦点に位置していると見ることができる。LEDモジュール23の帯状反射面21の放物線の焦点に対する位置を調整するには、LEDモジュール23の発光部の位置を、放物線の軸線上において焦点およびその前後に変位させるのが好ましい。そうすれば、調整が比較的容易になるとともに、モジュール支持基板22の構造が比較的簡単になる。
【0029】
図示の実施形態においては、第1の態様として、モジュール支持基板22が図1、図2および図5の(b)に示すように脚片22aおよび脚片22bが直角に屈曲して形成されることによって鍵形をなしている。その一方の脚片22aには、LEDモジュール23を取り付けるための対をなす2個の取付孔22a1、22a1が形成されている。また、取付孔22a1、22a1から若干離間した位置にも対をなす2個の取付孔22a2、22a2が形成されている。なお、後者の取付孔22a2、22a2は、LEDモジュール22の帯状反射面21の焦点に対する位置を変えることでLED照明器具の配光特性を調整する際に使用する。そして、2個のビスb2を用いてLEDモジュール23をモジュール支持基板22に実装する。また、脚片22bには、取付孔22b1を形成し、この取付孔22b1を用いてビスb3によりモジュール支持基板22を基体1に取り付ける。
【0030】
また、モジュール支持基板22は、第2の態様として、図2に拡大して示すように、基体1の中央に位置する筒体部1bの下端が一体に延長して基体本体部1aを貫通し、基体1の下面側へ突出させることによって配設されている。第2の態様のモジュール支持基板22が形成する環状部は、外観を整えるために表面部材221により塞がれている。なお、第2の態様のモジュール支持基板22は、基体1の中心部に配設される照明ユニット2Aに用いられている。
【0031】
(LEDモジュール23)
LEDモジュール23は、図2から理解できるように、帯状反射面21の長手方向に沿って複数が離間して配設されている。この配置において、複数のLEDモジュール23は、それぞれの発光部が帯状反射面21の略焦点に位置するようにモジュール支持基板22に実装されている。また、LEDモジュール23は、それぞれが帯状反射面21の正対領域に光ビームを投光する。この光ビームは、帯状反射面21の正対領域に向かうように予め整えられている。
【0032】
なお、帯状反射面21の正対領域とは、LEDモジュール23から放射される光ビームの中心軸を含む面において説明すると、以下のとおりである。すなわち、当該中心軸と直交する帯状反射面21の中心部位と、帯状反射面21に入射した上記光ビームの反射光が略所望に制御された方向となる範囲の上記中心部位の周囲とに限定される。したがって、上述の正対領域は、放物線反射面としての制御された反射光が実質的に得られる比較的狭い範囲に限定される。
【0033】
ところで、正対領域に向かうように整えられた光ビームとは、LEDモジュール23から帯状反射面21の正対位置に向かって光ビームを照射したときに、その光ビームの主要強度範囲の光が帯状反射面21の正対位置に照射されるように予め絞られていることを意味する。そうすれば、光ビームが広がっていて帯状反射面21の正対位置から逸脱して放物線反射面による所望に制御された反射特性が得られない非正対領域または帯状反射面21外を照射することがなくなる。光ビームが帯状反射面21の非正対領域に照射された場合には、所望に制御された方向へは反射しないので、LED照明器具の配光特性が乱れる原因となる。また、光ビームの少なくとも一部が帯状反射面21から逸れると、グレアを生じやすくなる。
【0034】
また、整えられた光ビームの好ましい範囲を1/2ビーム角で表現すれば、次のとおりである。すなわち、一般的には約5〜30°程度である。1/2ビーム角が5°未満になると、帯状反射面21の正対領域に集中的に光ビームを照射することができるが、照明空間を照明した際に光むらが目立ちやすくなる。1/2ビーム角が30°を超えると、光ビームを帯状反射面に投光した際に、非正対領域を照射する割合が増大するので、LED照明器具の配光特性が乱れやすくなる。なお、光ビームの好適な1/2ビーム角の範囲は10〜25°であり、この範囲であれば、良好な狭角配光特性を備えたLED照明器具を提供しやすくなる。より一層好適には1/2ビーム角範囲が15〜23°である。
【0035】
帯状反射面21の正対領域に向かうように整えられた光ビームを生成するLEDモジュール23の具体的な構成については、本発明において特段限定されない。なお、好適な構成例は、次のとおりである。すなわち、図6に示すように、LEDモジュール23は、LED素子231、レンズ232および制光筒体233を備えて構成されている。
【0036】
LED素子231は、表面実装形LED231aおよび配線基板231bからなる。表面実装形LED231aは、白色発光形であり、パッケージ基板PB、封入樹脂SRおよびLEDチップ(図示しない。)からなる。パッケージ基板PBは、中央に円形の支承段部を有し、図示を省略しているが、一対の接続端子が裏面側に延在している。封入樹脂SRは、パッケージ基板PBの中央から露出し、外面が半球状を呈している。LEDチップは、図示を省略しているが、その複数個が封入樹脂SRの内部に封入されているとともに、上記一対の接続端子に接続している。配線基板231bは、印刷配線基板が用いられており、図示を省略している配線を備えているとともに、外部接続端子tおよび取付孔hを有している。上記配線は、LED素子231の、一対の接続端子に接続する。外部接続端子tは、上記配線を介して表面実装形LED231aに接続するとともに、外部の図示されていないLED点灯回路に接続される。取付孔hは、図1に示すビスb2との協働によりLED素子231を前述のモジュール支持基板22に取り付ける際に機能する。
【0037】
レンズ232は、LED素子231の発光を、帯状反射面21の正対領域に向かう光ビームに整える主たる光学手段である。レンズ232には、表面実装形LED231aの発光が、その一端から入射して、レンズの光学作用によって整えられることにより、帯状反射面21の正対領域に向かう光ビームを他端から出射する。本発明においては、レンズ232が上述の制光作用を有していればよく、そのための具体的な構造および制光作用は特段限定されない。また、LED素子231が帯状反射面21の正対領域に向かう光ビームに整えられている配光特性を有している場合にはレンズ232を用いなくてもよい。しかし、LED素子231の配光特性が広角である場合には、一例として次に説明するレンズ構造を採用することができる。
【0038】
すなわち、図示の実施形態において、レンズ232は、全体が例えば回転放物面状に成形されているとともに、回転放物面の頂部から内部の軸方向に延在する、側面が円柱状で、最奥端が凸レンズ部cvlを形成している空洞部cを備え、さらに回転放物面の開放端側の表面に微小レンズmlを備えている。LED素子231の半球状をなした封入樹脂SRの部分は、LEDモジュール23の発光部となるとともに、上記回転放物面の略焦点に位置するように空洞部cの内部に入り込んで定置されている。
【0039】
制光筒体233は、帯状反射面21の正対領域に向かう光ビームから外側へ逸れる光がグレアを生じることのないように、当該逸れる光すなわち迷光を減光ないし遮光し、好ましくは上記迷光を正対領域に向かう光ビームに利用する手段である。この意味で、制光筒体233は、レンズ231との組み合わせを必須とするものではない。
【0040】
また、制光筒体232は、これを減光性ないし遮光性の材料を用いて製作するのが好ましい。さらに、制光筒体232は、その内面を好ましくは反射性にして、上記光ビームから逸れた光を反射して光ビーム内へ戻すように構成することができる。
【0041】
図示の実施形態において、制光筒体232は、レンズ232の側面を包囲している。そして、レンズ232の側面から出る迷光を減光ないし遮光するとともに、少なくともその一部を反射して再びレンズ232内へ戻して上記光ビームに加えるように構成することができる。これにより、光損失を低減することができる。
【0042】
また、制光筒体233は、レンズ232のホルダーとしても機能させることができる。すなわち、制光筒体233は、全体として略切頭円錐筒状をなしていて、切頭部側の開口部o1内にレンズ232の空洞部cが臨み、開放端側の開口部o2内にレンズ232の回転放物面の開放端側の表面が臨んでいるように、その内部にレンズ232を保持している。そして、開口部o1がパッケージ基板PBの支承段部に係止するとともに、パッケージ基板PBに接着されている。
【0043】
以上説明したLED素子231、レンズ232および制光筒体233は、一体化されてLEDモジュール23を構成している。そして、複数のLEDモジュール23は、帯状反射面21の長手方向に沿って分散し、かつ互いに離間してそれぞれが帯状反射面21の正対領域に向かう光ビームを発生する。
【0044】
〔照明器具本体3〕
図示の実施形態において、LED照明器具は、図1ないし図4に示すように、体育館などの高天井を備えた主として公共施設に好適なダウンライトであり、照明器具本体3は、その内部に基体1および複数の照明ユニット2を収納している。この照明器具本体3は、全体として箱状をなしたハウジングHを備えている。ハウジングHは、下面部31が開口して投光窓を形成している。投光窓には透明板31aが配設されている。この透明板31aは、例えばプラスチックス板またはガラス板などからなり、予め帯状反射面21の側縁部21bにねじ止めなどの手段によって固定されている。このため、帯状反射面21の開口端側の位置が透明板31aにより固定されて光反射作用が安定する。側面部32には多数の通気孔32aが形成されている。側面部32および下面部31は一体化されているが、これらは上面部33に対して複数のボルトBを用いて着脱可能に構成されている。
【0045】
また、ハウジングHの上面部33には、図4に示すように、一対の吊下げ孔33a、33aおよび電源導入孔33bが形成されているとともに、その下面にLED点灯回路LOC、ヒューズボックスFBおよび端子台TBが配置されている。なお、吊下げは、図示を省略している一対のパイプなどの既知の各種吊持手段を適宜選択して使用して行うことができる。また、上記LED点灯回路LOC、ヒューズボックスFBおよび端子台TBの下方には遮熱板34が配設され、複数の支持腕35により上面部33の下面から吊持されている。これにより、基体1から放散される熱による不所望な温度上昇を回避する。
【0046】
さらに、照明器具本体3の上面部33には、図1に示すように、複数の支持腕36を介して基体1の周縁部を電気絶縁関係に吊持している。基体1の吊下げ高さは、ハウジングHの側面部32および下面部31を上面部33に取り付けたときに、基体1の下面に取り付けた複数の照明ユニット2の帯状反射面21の開口端が下面部31の透明ガラス板31aの内面に接近するように予め設定されている。
【0047】
〔LED照明器具の作用〕
次に、LED照明器具の主として配光特性を決定するための光学作用について図7ないし図9を参照して説明する。
【0048】
本実施形態において、LED照明器具の電源を投入すると、複数の照明ユニット2におけるそれぞれ複数のLEDモジュール23のLED素子231が点灯して、図7の曲線Aに示すような、帯状反射面21の正対領域に向かうように整えられた白色光の光ビームをそれぞれ帯状反射面21の正対領域に投光する。この光ビームは、曲線Aから理解できるように狭角配光特性である。
【0049】
最初に、図示の実施形態において、LEDモジュール23から放射される光ビームが帯状反射面21の正対領域に向かうように整えられた光ビームとなる光学作用について説明する。すなわち、帯状反射面21の正対領域に向かうように整えられた光ビームは、以下のようにして形成される。
【0050】
LED素子231の表面実装形LED231aの封入樹脂SRの表面から外部へ放射される白色光は、図7の曲線Bに示すように、広角配光特性を有している。上記封入樹脂SRは、半球状をなしていて発光部を形成し、レンズ232の空洞c内において回転放物面の略焦点に位置しているので、表面実装形LED231aの広角配光特性を有した発光のうち、0°方向へ向かう直射光は、空洞c内を進行して空洞最奥部の凸レンズ部L1に入射する。この直射光は、凸レンズ部L1で集光され、レンズ232の前面から外部へ出射する。これに対して、表面実装形LED231aのその他の方向へ放射する発光は、その大部分が円柱状の空洞部cの側面から外面が回転放物面形状をなすレンズ232の内部に入射し、その殆どが回転放物面の内面に到達し、内面で全反射して回転放物面の軸方向すなわち0°方向へ向かう略平行な反射光となってレンズ232の前面から外部へ出射する。その結果、上記直接光と反射光とが合成された光は、レンズ22の出射面に配設された微小レンズmlを透過する際に均一に整えられる。その結果、LED素子231の段階では広角配光特性であった発光は、レンズ232内を進行する過程で整えられて、図7の曲線Aに示すように狭く絞られ、帯状反射面21の正対領域に向かうように整えられた光ビームが形成される。このため、図示の実施形態においては、LED素子231から放射された光は、広角配光特性であり、帯状反射面21の正対領域に投光されないでLED照明器具の配光に寄与し得ない無駄な光束を含んでいるが、レンズ232内を通過する過程で無駄な光束がLED照明器具の配光に寄与する有効な光束に変換されるので、器具効率が高くなるという効果を奏する。
【0051】
次に、LED照明器具の配光特性が形成される光学作用について図8を参照して説明する。なお、図8の(a)は、帯状反射面21の放物線の軸線と直交し、かつ焦点を含む面におけるLEDモジュール23から放射される帯状反射面の正対領域に向かう光ビームを非正対領域に向かう光ビームと対比して説明する模式図である。また、図8の(b)は、帯状反射面21を、放物線の軸線およびLEDモジュール23から帯状反射面21の正対領域に投光する光ビームの中心軸を含む面における帯状反射面の正対領域に向かう光ビームを非正対領域に向かう光ビームと対比して説明する模式図である。なお、図中図1ないし図6と同一部分には同一符号を付している。また、図中の矢印のうち、実線は正対領域に向かう光線軌跡を、点線は非正対領域に向かう光線軌跡を、それぞれ示す。さらに、図8の(a)において、長点線は、帯状反射面21の長手方向に沿った焦点位置を、点xは帯状反射面21の軸位置を、1点鎖線は比較用の回転放物面反射面を、それぞれ示す。また、図8の(b)において、線xは帯状反射面21の軸線を示す。なお、LED照明器具は、LEDモジュール23の発光部が帯状反射面21の焦点に位置している態様において、図7に示すように狭角の配光特性を示す。
【0052】
最初に、帯状反射面21の正対領域について説明する。本実施形態において、LEDモジュール23は、その発光部が帯状反射面21の焦点に位置するとともに、LEDモジュール2から帯状反射面21に向かう光ビームの投光がその正対領域に対して行われる。この正対領域に対する投光は、図8の(a)および(b)に実線で示すように、真に正対する光線l1と、その周囲において正対状態から若干範囲だけ外れているが実質的に正対する光線l2、l3およびl4、l5とを含んでいる。LEDモジュール23が放射する光ビームは、図7に示すように狭角配光特性を有しており、略0°方向に向かう光量がピークで上述の真に正対する光線l1となり、0°近傍であって上述の真の正対状態から若干範囲外れているが、実質的に正対する光線l2、l3およびl4、l5を含んで形成される。
【0053】
図8の(a)においては、光線l1が帯状反射面21に入射すると、上記放物線の軸xと平行で紙面と直交して裏面側へ進む反射光となる。同様に、光線l2、l3は、帯状反射面21に入射すると、反射光が光線l1のそれに対して図において上または下方向へ若干広がるが、紙面の裏面側へ略直交して進む反射光となる。
【0054】
図8の(b)においては、光線l1は、帯状反射面21に入射すると、上記放物線の軸線xと平行な反射光となる。同様に、光線l4、l5は、帯状反射面21に入射すると、反射光が光線l1のそれに対して図において若干左または右へ広がるが、光線l1の進行方向と比較して大きな相違はない。
【0055】
これに対して、図8の(a)において、点線で示す光線l6、l7は、LEDモジュールから放射される光ビームが整えられていない場合の光ビームに含まれ、LEDモジュール23からの放射角が大きいため、光ビームが帯状反射面21の非正対領域に向かう投光になってしまう。このため、上記光線l6、l7の帯状反射面21による反射光は、図示されないが、光線l1のそれに対して図において上または下方向へ大きく広がってしまう。
【0056】
図8の(b)において、光線l8、l9は、LEDモジュールから放射される光ビームが整えられていない場合の光ビームに含まれ、LEDモジュール23からの放射角が大きいため、帯状反射面21に入射すると、反射光が光線l1のそれに対して図において左または右へ大きく広がってしまう。このため、LED照明器具の所望の配光特性を得ることができない。また、l20光線l10もLEDモジュールから放射される光ビームが整えられていない場合の光ビームに含まれ、帯状反射面21に入射できないで外側へ逸れてしまう。このため、光線l10によってグレアが生じる虞がある。
【0057】
以上、説明のとおり本実施形態によれば、LEDモジュール23から放射する光ビームが整えられて、帯状反射面21の正対領域に向かう光ビームであることにより、帯状反射面21が帯状であるにもかかわらず、放物線反射面による制御された反射作用が得られるので、所望の配光特性を有するLED照明器具を提供することができる。図9は、本実施形態におけるLED照明器具の配光特性の一例としての狭角配光特性を示す。
【0058】
これに対して、LEDモジュールの光ビームが整えられていないために、光ビームが広がっていて、帯状反射面21の非正対領域に対しても投光が行われる比較例の場合は、以上説明した点線で示す光線l6〜20に示すように、所望の配光特性を得ることができない。なお、一点鎖線に示すように、LEDモジュールに対する反射面が回転放物面であれば、LEDモジュールから放射する光ビームが広角であったとしても、焦点が1箇所に集約されているので、所望の配光特性を得ることができる。ところが、この場合、LEDモジュール23に対して反射面を1対1の関係を満たすように配設する必要があるので、LED照明器具が大型化してしまう。
【符号の説明】
【0059】
1…基体、1a…基体本体部、1b…筒体部、2…照明ユニット、3…照明器具本体、21…帯状反射面、21a…取付部、21b…側縁部、22…モジュール支持基板、23…LEDモジュール、31透光窓、32…側面部、33…上面部、221…表面部材、231…LED素子、231a…表面実装形LED、231b…配線基板、232…レンズ、233…制光筒体、c…空洞部、cvl…凸レンズ部、H…ハウジング、ml…微小レンズ、ol…開口部、o2…開口部、PB…パッケージ基板、SR…封入樹脂、x…放物線の軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱放射性の基体と;
放物線形状をなした断面形状が長手方向に連続して形成されているとともに放物線の頂部側で基体に取り付けられた帯状反射面、帯状反射面の放物線の頂部側の近傍位置において基体に熱伝導関係に配設されたモジュール支持基板、および発光部が帯状反射面の略焦点に位置し、かつ帯状反射面の長手方向に沿って互いに離間してモジュール支持基板に実装されているとともにそれぞれが帯状反射面の正対領域に向かう光ビームを投光する複数のLEDモジュールを備えた照明ユニットと;
を具備していることを特徴とするLED照明器具。
【請求項2】
LEDモジュールは、LED素子、レンズおよび制光筒体を含み、レンズは帯状反射面の正対領域に向かう光ビームの光量が増加するようにLED素子からの発光の配光を整え、制光筒体はLED素子から照明空間側へ逸れる直射光を抑制することを特徴とする請求項1記載のLED照明器具。
【請求項3】
複数の照明ユニットを具備し、少なくとも一部の照明ユニットの帯状反射面が互いに隣接して並列するとともに、隣接関係にある対をなす一方の照明ユニットのLEDモジュールの背面側に他方の照明ユニットの帯状反射面の裏面が対向していることを特徴とする請求項1または2記載のLED照明器具。
【請求項4】
帯状反射面は、その開口端部から外広がりに延在する側縁部を備えているとともに、照明空間側から見たときに当該側縁部が隣接する照明ユニットの少なくともモジュール支持基板を覆うことを特徴とする請求項3記載のLED照明器具。
【請求項5】
複数の照明ユニットは、左右対称で、かつLEDモジュールが光ビームを投光する左右に分かれて外向きに投光するように配列されているとともに、中心部において背中合わせに離間して配設されるLEDモジュール間に隙間を形成し、この隙間が表面部材で塞がれていることを特徴とする請求項3または4記載のLED照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−77438(P2013−77438A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216483(P2011−216483)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(500011838)和光電材機器株式会社 (1)
【Fターム(参考)】