説明

LED照明装置

【課題】コストの安いLED照明装置を提供する。
【解決手段】LED照明装置1は、板状放熱部材2と、基板8、基板8に実装されたLEDチップ9、LEDチップ9を囲むように設けられたリフレクタ11を有し、かつ放熱部材2の片面に取り付けられたLEDユニット3と、放熱部材2におけるLEDユニット3が取り付けられた側に、放熱部材2と間隔をおいて配置された透光板4と、放熱部材2および透光板4の周縁部間に配置され、かつ放熱部材2および透光板4の周縁部間の隙間を塞ぐスペーサ5とを備えている。放熱部材2は積層された2枚のアルミニウム製熱伝導板6,7からなる。放熱部材2を構成する2枚の熱伝導板6,7のうち外側の熱伝導板7の機械的強度を、内側の熱伝導板6の機械的強度よりも高くする。LEDユニット3を、放熱部材2の内側の熱伝導板7に取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、たとえば植物工場、野菜工場、育苗装置などの人工光を光源とした植物栽培装置に用いられるLED照明装置に関する。
【0002】
この明細書および特許請求の範囲において、「アルミニウム」という用語には、「純アルミニウム」と表現する場合を除いて、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。また、この明細書および特許請求の範囲において、「純アルミニウム」という用語は、純度99.00質量%以上の純アルミニウムを意味するものとする。
【背景技術】
【0003】
植物栽培装置に用いられるLED照明装置として、板状放熱部材と、基板、基板に実装されたLEDチップ、LEDチップを囲むように設けられたリフレクタを有し、かつ放熱部材の片面に取り付けられたLEDユニットと、放熱部材におけるLEDユニットが取り付けられた側に、放熱部材と間隔をおいて配置された透光板と、放熱部材および透光板の周縁部間に配置され、かつ放熱部材および透光板の周縁部間の隙間を塞ぐスペーサとを備えており、LEDユニットの基板がベースにろう付され、ベースの外面、すなわちLEDユニットが取り付けられた側と反対側の面に、放熱フィンが設けられたり、あるいは冷媒流通配管が取り付けられたものが知られている(特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、特許文献1記載のLED照明装置によれば、LEDユニットの基板がベースにろう付され、ベースの外面、すなわちLEDユニットが取り付けられた側と反対側の面に、放熱フィンが設けられたり、あるいは冷媒流通配管が取り付けられているので、コストが高くなるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−207933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明の目的は、上記問題を解決し、特許文献1記載のLED照明装置に比べてコストの安いLED照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
【0008】
1)板状放熱部材と、基板、基板に実装されたLEDチップ、およびLEDチップを囲むように設けられたリフレクタを有し、かつ放熱部材の片面に取り付けられたLEDユニットと、放熱部材におけるLEDユニットが取り付けられた側に、放熱部材と間隔をおいて配置された透光板と、放熱部材および透光板の周縁部間に配置され、かつ放熱部材および透光板の周縁部間の隙間を塞ぐスペーサとを備えているLED照明装置であって、
放熱部材が積層された複数枚のアルミニウム製熱伝導板からなり、放熱部材を構成する複数枚の熱伝導板のうち最も外側の熱伝導板の機械的強度が、残りの熱伝導板の機械的強度よりも高くなっており、LEDユニットが、放熱部材を構成する複数枚の熱伝導板のうち最も内側の熱伝導板に取り付けられているLED照明装置。
【0009】
2)放熱部材の最も外側の熱伝導板が、Si:0.2〜0.8wt%、Mg:0.3〜0.9wt%、Fe:0.35wt%以下およびCu:0.20wt%以下を含有し、残部Alおよび不可避不純物からなるAl−Mg−Si系合金よりなるものであって、上記Al−Mg−Si系合金鋳塊を均質化処理した後、溶体化処理および焼入れ処理を行うことなく、熱間粗圧延の任意のパス工程において、パス前の材料温度を350〜440℃、パス上がりの材料温度を250〜340℃とするとともに、上がり板厚を10mm以下に圧延し、前記任意のパス後の冷却速度を50℃/min以上とし、次いで熱間仕上げ圧延し、さらに30%以上の圧下率で冷間圧延することにより製造された板であり、残りの熱伝導板が、純アルミニウムからなる板である上記1)記載のLED照明装置。
【0010】
3)放熱部材が、2枚の熱伝導板からなる上記1)または2)記載のLED照明装置。
【0011】
4)放熱部材の最も外側の熱伝導板に、スペーサが一体に形成されている上記1)〜3)のうちのいずれかに記載のLED照明装置。
【0012】
5)LEDユニットのリフレクタが、基板と別個に形成されるとともに、基板におけるLEDチップが実装された面側に配置されており、リフレクタに、LEDチップを通しかつ内周面が反射面となされた貫通穴が形成され、基板およびリフレクタが、基板が放熱部材の最も内側の熱伝導板に熱接触するように、当該熱伝導板に取り付けられている上記1)〜4)のうちのいずれかに記載のLED照明装置。
【0013】
6)LEDユニットが縦長状であり、LEDユニットの幅方向の両側部分が、それぞれ取付部材により放熱部材に機械的に取り付けられている上記1)〜5)のうちのいずれかに記載のLED照明装置。
【0014】
7)LEDユニットの基板が長方形状であるとともに、複数のLEDチップが基板の長さ方向に間隔をおいて基板に実装されており、LEDユニットが、LEDチップと対応する複数位置において、取付部材により放熱部材に機械的に取り付けられている上記6)記載のLED照明装置。
【0015】
8)放熱部材を構成する複数枚の熱伝導板が、各LEDユニットの両側でかつ各LEDユニットの長さ方向の中間部においてねじ止めされている上記6)または7)記載のLED照明装置。
【発明の効果】
【0016】
上記1)〜8)のLED照明装置によれば、放熱部材が積層された複数枚のアルミニウム製熱伝導板からなり、LEDユニットが、放熱部材を構成する複数枚の熱伝導板のうち最も内側の熱伝導板に取り付けられているので、LEDユニットから放熱部材の最も内側の熱伝導板に伝えられた熱は、当該熱伝導板全体に広がった後に外側の他の熱伝導板に伝わり、最も外側の熱伝導板から外部に放熱される。したがって、LEDユニットにおけるLEDチップのLEDの耐久性を向上しうる上で十分な放熱性能を得ることができる。したがって、LEDユニットを取り付けるベースの外面に放熱フィンが設けられたり、あるいは冷媒流通配管が取り付けられている特許文献1記載のLED照明装置に比べてコストが安くなる。
【0017】
しかも、放熱部材を構成する複数枚の熱伝導板のうち最も外側の熱伝導板の機械的強度が、残りの熱伝導板の機械的強度よりも高くなっているので、放熱部材が高強度となり、ひいてはLED照明装置全体の強度が向上する。
【0018】
上記2)のLED照明装置によれば、放熱部材の最も外側の熱伝導板の熱伝導性を、純アルミニウムからなる他の熱伝導板の熱伝導性とほとんど等しくした上で、機械的強度を高くすることができる。しかも、放熱部材の最も外側の熱伝導板の加工性が優れたものになる。
【0019】
上記4)のLED照明装置によれば、LED照明装置の組立作業が簡単になる。しかも、スペーサの強度が向上する。
【0020】
上記5)のLED照明装置によれば、LEDユニットの放熱部材への取付作業が簡単になる。
【0021】
上記7)のLED照明装置によれば、LEDユニットの基板が長方形状であるとともに、複数のLEDチップが基板の長さ方向に間隔をおいて基板に実装されており、LEDユニットが、LEDチップと対応する複数位置において、取付部材により放熱部材に機械的に取り付けられているので、LEDチップのLEDから発せられる熱が、基板を介して効率良く放熱部材に伝えられる。
【0022】
上記8)のLED照明装置によれば、LEDチップのLEDから発せられる熱が、効率良く放熱部材の最も外側の熱伝導板に伝えられる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明のLED照明装置の全体構成を示す透光板を省略した底面図である。
【図2】図1の部分拡大図である。
【図3】図1のA−A線拡大断面図である。
【図4】図1のLED照明装置を備えた植物栽培装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、図1の左右を左右といい、図1の下側を前、これと反対側を後というものとする。また、図3の上下を上下というものとする。
【0025】
図1はこの発明のLED照明装置の全体構成を示し、図2および図3はその要部の構成を示す。また、図4は図1のLED照明装置を備えた植物栽培装置を示す。
【0026】
図1〜図3において、照明装置(1)は、方形板状の放熱部材(2)と、放熱部材(2)の片面(下面)に取り付けられた複数のLEDユニット(3)と、放熱部材(2)におけるLEDユニット(3)が取り付けられた側に、放熱部材(2)と間隔をおいて配置された方形状の透光板(4)と、放熱部材(2)および透光板(4)の周縁部間に配置され、かつ放熱部材(2)および透光板(4)の周縁部間の隙間を塞ぐスペーサ(5)とを備えている。
【0027】
放熱部材(2)は、積層された2枚のアルミニウム製熱伝導板(6)(7)からなる。ここで、放熱部材(2)を構成する2枚の熱伝導板のうち透光板(4)側(下側)に配置された熱伝導板(6)を第1熱伝導板といい、他方(上側)の熱伝導板(7)を第2熱伝導板というものとする。第1熱伝導板(6)は純アルミニウム、たとえばJIS A1050からなることが好ましい。第2熱伝導板(7)の機械的強度は、第1熱伝導板(6)の機械的強度よりも高くなっていることが好ましい。第2熱伝導板(7)は、たとえばSi:0.2〜0.8wt%、Mg:0.3〜0.9wt%、Fe:0.35wt%以下およびCu:0.20wt%以下を含有し、残部Alおよび不可避不純物からなるAl−Mg−Si系合金よりなるものであって、上記Al−Mg−Si系合金鋳塊を均質化処理した後、溶体化処理および焼入れ処理を行うことなく、熱間粗圧延の任意のパス工程において、パス前の材料温度を350〜440℃、パス上がりの材料温度を250〜340℃とするとともに、上がり板厚を10mm以下に圧延し、前記任意のパス後の冷却速度を50℃/min以上とし、次いで熱間仕上げ圧延し、さらに30%以上の圧下率で冷間圧延することにより製造されている。上述したような組み合わせの場合、第2熱伝導板(7)の熱伝導性と第1熱伝導板(6)の熱伝導性とはほとんど等しくなる。
【0028】
第2熱伝導板(7)の材料となるAl−Mg−Si合金組成について、各元素の添加意義および含有量の限定理由は次のとおりである。
【0029】
MgおよびSiは強度の発現に必要な元素である。Mg含有量が0.3wt%未満、あるいはSi含有量が0.2wt%未満では十分な強度を得ることができない。一方、Mg含有量が0.9wt%、Si含有量が0.8wt%を超えると、熱間圧延での圧延負荷が高くなって生産性が低下するとともに、耳割れが大きくなって途中工程でトリミングが必要となる。Mg含有量の好ましい下限値は0.35wt%、上限値は0.55wt%である。また、Si含有量の好ましい下限値は0.32wt%、上限値は0.60wt%である。
【0030】
FeおよびCuは、多量に含有すると耐食性が低下して合金板としての実用性に欠けるため、含有量をFe:0.35wt%以下、Cu:0.20wt%以下に規制する必要がある。好ましいFe含有量は0.25wt%以下、好ましいCu含有量は0.10wt%以下である。
【0031】
前記範囲の合金組成により、純アルミニウムと同等の優れた熱伝導性を有する。また、切削、折曲げ、絞り、穴明け等の成形加工性、あるいは溶接、摩擦攪拌接合、超音波接合等の接合加工性に優れる。
【0032】
また、第2熱伝導板(7)の製造工程において、均質化処理後に所定の条件で圧延することによりMgSiを微細かつ均一に析出させ、溶体化処理および焼入れしたと同等の効果を得ることができる。
【0033】
均質化処理条件は特に限定されず、常法に従って500℃以上で2時間以上行うことが好ましい。
【0034】
熱間粗圧延では、任意のパス工程において所定の温度条件で圧延する間の温度降下により焼入れと同等の効果を得る。従って、パス前の材料温度は,溶体化処理に準じてMgおよびSiが固溶された状態を保持しうる温度が必要であり、350〜440℃とする。350℃未満ではこの時点でMgSiが粗大析出物となり、その後の焼入れ効果が得られない。また、温度が低いためにその後のパスの圧延性が著しく悪くなるとともに、パス上がり温度が低くなり過ぎて表面品質が低下する。一方、440℃を超えるとパス上がりで材料温度が十分低下せず焼入れの効果が不足する。パス前温度の好ましい下限値は380℃ であり、好ましい上限値は420℃である。また、焼入れ効果を得るために、パス間の冷却速度は50℃/min 以上が好ましく、パス上がり温度は250〜340℃が好ましい。なお、パス上がり温度を上記温度範囲内とするためには、熱間粗圧延上がりで、直ちに高圧シャワー水冷等の強制冷却を行っても良い。また、パス圧延速度は、50m/min 以上が好ましい。さらに、このパス間に焼入れと同等の冷却効果を得るために、上がり板厚が10mm以下となるようにする必要がある。10mmを超えると水冷工程を加えても上述した焼入れに十分な温度にまで冷却することが困難なためである。好ましい板厚は8mm以下である。
【0035】
なお、熱間粗圧延は通常10パス以上を行うが、焼入れ効果を得るための上記条件でのパスはどの段階で行っても良い。しかし、パス上がり板厚が10mm以下とすることを要件としているため、最終パスに行うことが多くなる。次いで、最終パスの前のパスが多くなる。但し、最終パス以外で行う場合、その後のパスの圧延条件は、材料温度250〜340℃で行う必要がある。250℃未満では圧延の負荷が大きくなって圧延がしにくくなるとともに、温度が低くなるとAlと水分が反応して表面が腐食する等変質するためである。
【0036】
熱間粗圧延後に行う熱間仕上げ圧延は、前段の粗圧延により溶体化−焼入れ処理がなされているため、仕上がり温度や圧延速度などの条件は特に限定されない。常法に従い最終製品の板厚に応じて圧延を行う。
【0037】
冷間圧延では、加工硬化により所定の強度を得るために圧下率30%以上とする必要がある。圧下率を30%以上とすることにより、JISA5052合金に匹敵する200N/mm2 以上の強度を得ることができる。好ましい圧下率は50%以上である。
【0038】
さらに、要すれば冷間圧延した合金板を180℃以下で最終焼鈍する。低温での熱処理を行うことにより、時効硬化させてさらに強度を向上させるとともに、伸びも向上させて加工性を向上させることができる。また機械的諸性質を安定させる効果もある。特に好ましい焼鈍温度は130〜150℃である。
【0039】
LEDユニット(3)は、前後方向に長い長方形状である基板(8)と、基板(8)に実装された複数のLEDチップ(9)と、LEDチップ(9)を囲むように設けられたリフレクタ(11)とからなる。LEDチップ(9)は、複数のLED(図示略)を備えており、基板(8)の幅方向の中央部に、基板(8)の長さ方向に間隔をおいて実装されている。図示は省略したが、基板(8)には、複数のLEDを電気的に接続する配線層と、配線層と電気的・熱的に導通されかつ給電用配線が接続される導電層と、放熱部材(2)と配線層および導電層との間を電気的に絶縁する絶縁層とを備えている。配線層、導電層および絶縁層は、熱伝導性に優れた材料で形成されている。リフレクタ(11)は前後方向に長くかつ上下方向に所定の厚みを有する縦長状であり、LEDチップ(9)を通しかつ内周面が円錐面状の反射面(13)となされた貫通穴(12)が、前後方向に間隔をおいて複数形成されている。また、リフレクタ(11)の上端部の左右両側縁部には、左右方向外方に突出した突出部(11a)が一体に形成されている。左右の突出部(11a)の先端間の間隔は、基板(8)の左右方向の幅よりも広くなっており、左右両突出部(11a)の先端は、基板(8)の左右両側縁部よりも左右方向外方に位置している。すべてのLEDユニット(3)の基板(8)の導電層は、放熱部材(2)の下面に沿って配置された給電用配線(14)によって直列状に接続されている。給電用配線(14)の両端部は、放熱部材(2)に形成された貫通穴(15)を通して、外部に引き出されている。
【0040】
LEDユニット(3)は、その幅方向の両側部分が、それぞれLEDチップ(9)と対応する複数位置において、放熱部材(2)の第1熱伝導板(6)に一体に形成された爪(16)(取付部材)より放熱部材(2)側に押さえられており、これにより基板(8)が放熱部材(2)の第1熱伝導板(6)に熱接触した状態で第1熱伝導板(6)に機械的に取り付けられている。爪(16)は、第1熱伝導板(6)に、左右方向外方に開口した略コ字状の切り込み(17)を入れるとともに、当該切り込み(17)に囲まれた部分を透光板(4)側に弾性変形させることにより形成されている。そして、爪(16)の先端側の部分がリフレクタ(11)の左右両突出部(11a)に下方から係合し、当該左右両突出部(11a)が爪(16)の弾発力によって、放熱部材(2)側(上側)に押圧されることによりLEDユニット(3)が放熱部材(2)に取り付けられている。
【0041】
各LEDユニット(3)の両側でかつ各LEDユニット(3)の長さ方向の中間部において、放熱部材(2)を構成する2枚の熱伝導板(6)(7)は互いにねじ(18)によって固定されている。また、2枚の熱伝導板(6)(7)は、前後両端部においても複数のねじ(18)により固定されている。
【0042】
スペーサ(5)は、第2熱伝導板(7)の周縁部に一体に形成されている。すなわち、第2熱伝導板(7)の周縁部が下方に折り曲げられて下方屈曲部(21)が設けられるとともに、下方屈曲部(21)の先端部が下方屈曲部(21)よりも内方、すなわち左右両側縁部の下方屈曲部(21)においては左右方向内方、および前後両側縁部の下方屈曲部(21)においては前後方向内方に折り曲げられて内方屈曲部(22)が設けられており、下方屈曲部(21)および内方屈曲部(22)によりスペーサ(5)が構成されている。
【0043】
透光板(4)はガラスや合成樹脂製からなり、各縁部がスペーサ(5)の内方屈曲部(22)の下面に沿わされた状態で、チャンネル状のアルミニウム押出形材製挟着部材(23)の上下両フランジ部(23a)により、第1および第2熱伝導板(6)(7)の周縁部と透光板(4)の周縁部とが挟着されることによって放熱部材(2)およびスペーサ(5)に固定されている。図示は省略したが、挟着部材(23)のウェブ部(23b)が、適当な複数箇所においてスペーサ(5)の下方屈曲部(21)にねじ止めされている。
【0044】
上述したLED照明装置(1)は、図4に示すような植物栽培装置(30)に用いられる。植物栽培装置(30)は、図示しない支柱により上下方向に間隔をおいて支持された複数の棚板(31)と、棚板(31)の下面に取り付けられたLED照明装置(1)と、棚板(31)上に載せられる栽培槽(32)における野菜などの植物に水分や栄養分を供給する供給装置(図示略)とを備えている。そして、棚板(31)上に載せられた栽培槽(32)の野菜などの植物に、LED照明装置(1)によりLEDの光が照射されるとともに水分や栄養分が供給され、さらに植物栽培装置(30)が設置された室内の温度が管理されることにより、植物の生育が促されて効率的に収穫される。
【0045】
上記実施形態においては、放熱部材(2)は2枚の熱伝導板からなるが、これに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0046】
この発明によるLED照明装置は、植物工場、野菜工場、育苗装置などの人工光を光源とした植物栽培装置に好適に用いられる
【符号の説明】
【0047】
(1):LED照明装置
(2):放熱部材
(3):LEDユニット
(4):透光板
(5):スペーサ
(6):第1熱伝導板
(7):第2熱伝導板
(8):基板
(9):LEDチップ
(11):リフレクタ
(12):貫通穴
(13):反射面
(16):爪(取付部材)
(17):切り込み
(18):ねじ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状放熱部材と、基板、基板に実装されたLEDチップ、およびLEDチップを囲むように設けられたリフレクタを有し、かつ放熱部材の片面に取り付けられたLEDユニットと、放熱部材におけるLEDユニットが取り付けられた側に、放熱部材と間隔をおいて配置された透光板と、放熱部材および透光板の周縁部間に配置され、かつ放熱部材および透光板の周縁部間の隙間を塞ぐスペーサとを備えているLED照明装置であって、
放熱部材が積層された複数枚のアルミニウム製熱伝導板からなり、放熱部材を構成する複数枚の熱伝導板のうち最も外側の熱伝導板の機械的強度が、残りの熱伝導板の機械的強度よりも高くなっており、LEDユニットが、放熱部材を構成する複数枚の熱伝導板のうち最も内側の熱伝導板に取り付けられているLED照明装置。
【請求項2】
放熱部材の最も外側の熱伝導板が、Si:0.2〜0.8wt%、Mg:0.3〜0.9wt%、Fe:0.35wt%以下およびCu:0.20wt%以下を含有し、残部Alおよび不可避不純物からなるAl−Mg−Si系合金よりなるものであって、上記Al−Mg−Si系合金鋳塊を均質化処理した後、溶体化処理および焼入れ処理を行うことなく、熱間粗圧延の任意のパス工程において、パス前の材料温度を350〜440℃、パス上がりの材料温度を250〜340℃とするとともに、上がり板厚を10mm以下に圧延し、前記任意のパス後の冷却速度を50℃/min以上とし、次いで熱間仕上げ圧延し、さらに30%以上の圧下率で冷間圧延することにより製造された板であり、残りの熱伝導板が、純アルミニウムからなる板である請求項1記載のLED照明装置。
【請求項3】
放熱部材が、2枚の熱伝導板からなる請求項1または2記載のLED照明装置。
【請求項4】
放熱部材の最も外側の熱伝導板に、スペーサが一体に形成されている請求項1〜3のうちのいずれかに記載のLED照明装置。
【請求項5】
LEDユニットのリフレクタが、基板と別個に形成されるとともに、基板におけるLEDチップが実装された面側に配置されており、リフレクタに、LEDチップを通しかつ内周面が反射面となされた貫通穴が形成され、基板およびリフレクタが、基板が放熱部材の最も内側の熱伝導板に熱接触するように、当該熱伝導板に取り付けられている請求項1〜4のうちのいずれかに記載のLED照明装置。
【請求項6】
LEDユニットが縦長状であり、LEDユニットの幅方向の両側部分が、それぞれ取付部材により放熱部材に機械的に取り付けられている請求項1〜5のうちのいずれかに記載のLED照明装置。
【請求項7】
LEDユニットの基板が長方形状であるとともに、複数のLEDチップが基板の長さ方向に間隔をおいて基板に実装されており、LEDユニットが、LEDチップと対応する複数位置において、取付部材により放熱部材に機械的に取り付けられている請求項6記載のLED照明装置。
【請求項8】
放熱部材を構成する複数枚の熱伝導板が、各LEDユニットの両側でかつ各LEDユニットの長さ方向の中間部においてねじ止めされている請求項6または7記載のLED照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−115172(P2012−115172A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265935(P2010−265935)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(505014052)昭和電工アルミ販売株式会社 (9)
【Fターム(参考)】