説明

LED電球

【課題】取り付けられたLED電球の向きを所望の方向に固定することができるLED電球を提供することが可能となる。
【解決手段】回転ロック棒70を押下して回転固定部材64を離間位置に位置決めすることで、本体部材が回転可能な状態となり、回転ロック棒70の押下を開放すると、バネ62の付勢力によって回転固定部材64がピストン穴の側面に沿って固定位置に移動し、凹凸の凹部と係合爪が係合し、本体部材が基部材に固定される。このとき、本体部材の回転角度は規制部によって360°未満に規制される。こうすることにより、本体部材を回転し、基部材に対して自由な方向で固定することができる。言い換えると、回転しない固定部材と本体部材との電気的な接続を保ちつつ、本体部材に設けられた拡散部の方向を所望の方向に回転し、固定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED電球に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、天井面に埋め込まれて使用される照明器具が知られている。例えば、特許文献1には、蛍光ランプを支持するホルダと、ホルダを収容するドーム状のカバーと、カバーの円筒状部に係止された口金と、を備え、カバーの内面側とホルダの外面側とが同一円周上に連続または断続して形成した凹凸部により係合されているとともに、円周方向へ所定以上の回転トルクが加わることにより、カバーとホルダとが相反する方向に所定角度回動する電球蛍光灯ランプ装置が記載されている。この電球蛍光灯ランプ装置によれば、所定以上の回転トルクがカバーに加えられると、カバーとホルダとが相反する方向に回動し、取り付け時に蛍光ランプやホルダに過度の力が加えられ、破損することを防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−19307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、様々な種類のLED電球が照明器具として用いられるようになり、LED電球のデザインにより、視認する方向によって発光部から照射される光が異なって見えるLED電球が広く用いられている。このようなLED電球を用いる場合には、発光部を所望の方向に位置決めすることが強く求められているが、特許文献1に記載の照明器具は、回転トルクによる破損を防止するという目的であるため、一方向にのみしか回転することができず、また、回転することはできても、固定することができないという課題がある。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、LED電球が取り付けられた後に、発光部を所望の方向に固定することができるLED電球を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明のLED電球は、
基部材の一端側と本体部材の一端側とが互いに当接し、前記基部材の一端側の表面に沿った方向に前記本体部材が回転するLED電球であって、
前記基部材は、LED電球用取付部に取り付け可能な口金部と、前記基部材の一端側の表面に対して略平行な面に複数の凹凸が同一円周上に形成された嵌合部とを備え、
前記本体部材は、光を照射する発光部と、前記嵌合部の凹部に嵌合する回転固定部と、前記回転固定部と前記嵌合部とが嵌合する固定位置又は前記回転固定部が前記嵌合部から離間する離間位置に前記回転固定部を位置決めする操作部と、
を備えたものである。
【0008】
このLED電球では、操作部によって回転固定部が嵌合部から離間した離間位置に位置決めされると、本体部材が基部材の一端側の表面に沿った方向に回転可能な状態となり、操作部によって回転固定部と嵌合部とが嵌合した固定位置に位置決めされると、本体部材が基部材に固定される。こうすることにより、基部材がLED電球用取付部に固定された状態で本体部材を回転することができるため、本体部材に備えられた発光部の向きを所望の方向に回転し、固定することができる。
【0009】
本発明のLED電球において、前記本体部材は、前記嵌合部の凹部と係合する1又は2以上の突起部を有していてもよい。こうすることにより、本体部材に設けられた突起部が回転する際に、嵌合部の凹部と係合することができるため、突起部が嵌合部の凹部毎に係合し、本体部材の回転角度を凹部の間隔毎に位置決めすることができる。言い換えると、本体部材が所望の距離以上に回転する可能性を未然に低減し、突起部が無い場合と比較して、より容易に本体部材に備えられた発光部を所望の方向に回転し、固定することができる。
【0010】
本発明のLED電球において、前記本体部材は、前記嵌合部に対向する位置に収納穴を有し、前記回転固定部は、前記収納穴の壁面に沿って移動することで、前記固定位置又は前記離間位置に位置決めされるものであってもよい。このとき、収納穴は嵌合部に対向する位置に備えられているため、収納穴の壁面は常に嵌合部と略垂直な方向になる。このため、収納穴の壁面に沿って移動する回転固定部材も常に嵌合部と垂直な方向に移動することになるため、回転固定部材を常に嵌合部と略垂直な角度に保つことができ、嵌合部と回転固定部材とが容易に嵌合することができる。
【0011】
本発明のLED電球は、前記回転固定部を前記嵌合部の方向に付勢する付勢部と、を備えていても良い。こうすれば、回転固定部が嵌合部の方向に付勢されるため、操作部を操作していない際には、回転固定部材が固定位置に位置決めされることになる。こうすることにより、嵌合部と凹凸とが付勢部によって自動的に付勢されるため、本体部材を基部材に自動的に固定することができる。この態様を採用した本発明のLED電球において、前記回転固定部は、前記付勢部によって前記嵌合部の方向に付勢されることによって固定位置に固定され、前記操作部によって前記嵌合部の方向とは逆方向に押圧されることによって離間位置に位置決めされてもよい。こうすれば、固定位置に位置決めされている際には付勢部材によって固定され、操作部によって嵌合部と反対方向に押圧することにより、容易に回転固定部を離間位置に位置決めすることができる。言い換えると、付勢部を有していない場合と比較して、より容易に本体部材に備えられた発光部の向きを所望の方向に回転し、固定することができる。
【0012】
本発明のLED電球において、前記本体部材は、前記操作部が通過可能な通過孔を有し、前記操作部は、少なくとも一部が前記通過孔を通過する棒状部材であってもよい。こうすれば、通過穴を通過した操作部を操作することで回転固定部を操作することができるため、基部材に設けられた回転固定部を直接操作する場合と比較して、より容易に回転固定部を操作することができる。言い換えると、操作部を用いて回転固定部を操作することが容易となるため、棒状部材を有していない場合と比較して、より容易に本体部材に備えられた発光部の向きを所望の方向に回転し、固定することができる。
【0013】
本発明のLED電球には、基部材に供給された電力を前記本体部材に供給する電力供給手段と、を備え、前記基部材の一端側及び前記本体部材の一端側には、前記基部材の回転軸を含む位置に前記電力供給手段が通過可能な連通孔を有していてもよい。連通孔が本体部材の回転軸を含む位置に設けられていない場合には、本体部材を回転させると共に電力供給手段も回転し、絡まったり断線したりする可能性があるが、連通孔が本体部材の回転軸を含む位置に設けられている場合には、電力供給手段の位置が連通孔が回転するに伴って移動しないため、絡まったり断線したりする可能性を未然に低減することができる。
【0014】
本発明のLED電球において、前記本体部材は、前記基部材が回転するに伴って、同一方向から見た際の外観が少なくとも二以上の形態に見える発光部を有していてもよい。このようなLED電球は、発光部の向きによって外観が異なるため、本発明を適用する効果が大きい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、LED電球20の構成の概略を示す正面図である。
【図2】図2は、図1中のA−A断面を示す断面図である。
【図3】図3は、LED電球20の構成の概略の一部を示す部分拡大斜視図である。
【図4】図4は、LED電球20の構成の概略の一部を示す部分拡大断面図である。
【図5】図5は、LED電球20を製造する製造方法の一例を説明するための斜視図である。
【図6】図6は、LED電球20を製造する製造方法の一例を説明するための斜視図である。
【図7】図7は、回転ロック棒70の動きを説明するための説明図であり、図7(A)は、回転固定部材64が固定位置に固定された状態を示し、図7(B)は、回転ロック棒70で回転固定部材64を離脱位置に位置決めした状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここで、上記簡単に説明した図面に基づいて、本発明を実施するための形態を説明するにあたり、本実施の形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施の形態のLED電球20がLED電球に相当し、基部材30が基部材に相当し、本体部材40が本体部材に相当し、口金32が口金部に相当し、凹凸38が嵌合部に相当し、ピストン穴60が収納穴に相当し、回転固定部材64が回転固定部に相当し、回転ロック棒70が操作部に相当し、係合爪57が突起部に相当し、バネ62が付勢部に相当し、電気配線が電力供給手段に相当し、連通孔59が連通孔に相当し、拡散部86が拡散部に相当する。なお、LED電球20の動作を説明することにより、本発明のLED電球の使用方法の一例も明らかにしている。
【0017】
次に、図1〜図4を用いて、本発明の実施の形態の一例であるLED電球20の構成を詳しく説明する。このLED電球20は、図1及び図3に示すように、図示しないLED電球用取付部に螺合する口金32を有する基部材30と、基部材30に回転可能な状態で連接される本体部材40と、を備えており、基部材30と本体部材40の回転中心を含む位置には、連通孔59が設けられており(図2参照)、連通孔59を通過する図示しない電気配線によって基部材30から本体部材40に電力が供給される。
【0018】
基部材30は、図3に示すように、二つの半円筒部材34が略円筒形状に組み合わさり(図5(B)参照)、この二つの半円筒部材34の外側に螺旋形状の溝を有する口金32が配置されてなる、略円筒形状の部材である。この半円筒部材34には、それぞれ凸部34a及び凹部34bが設けられており、二つの半円筒部材34が組み合わされる際には、凸部34a及び凹部34bが互いに係合する。また、口金32は、図示しないLED電球用取付部(例えば、JIS規格で定められたE26口が取り付け可能な取付部)に螺合し、LED電球20に電力が供給可能な状態とする。更に、基部材30の底面部(図4に示すように、本体部材40と連接する際、挿入溝56に挿入され、下部54と当接する面)には、側面側から中心に向かって略円周状に延出部36が延出しており、中央部には、後述する連接部50が挿入される中央穴35を有している。この延出部36は、基部材30の内側方向に向かって凹凸38が設けられており、後述する係合爪57及び突出部66と係合し、回転可能な本体部材40を所望の位置に位置決めする。更にまた、延出部36の一部は中心側の側面に中心側方向に突出した規制部37が設けられている。
【0019】
本体部材40は、図3に示すように、ハウジング41の一端側に基部材30と連接する連接部50が設けられ、ハウジング41の他端側には光を照射する発光部80が設けられている(図2参照)。また、ハウジング41は、発光部80で発生した熱を放出する放熱部42によって周囲が覆われており、連接部50に連通する回転ロック棒70が貫通している。また、連接部50と放熱部42との境界側部には、ガイド部44が設けられており、本体部材40と基部材30との連接位置を覆っている。こうすることにより、本体部材40と基部材30との連接位置が外部に露出することを防止し、本体部材40と基部材30との間に砂や埃等が入り込んで、本体部材40と基部材30との回転の妨げになる可能性を未然に防止することができる。放熱部42は、図1に示すように、側面に凹凸を有する金属性の部材であり、側面の凹凸により外気と接する表面積を増大させ、放熱部42より外気に放出される熱量を増大させている。この放熱部42は、図2に示すように、後述するLED基板82と当接しているため、使用によりLED基板82が発熱した場合には、LED基板82から放熱部42を介して熱を外気に放出することができる。こうすることにより、放熱部42を有しない場合と比較して、より多くの熱を外気に放出することができる。言い換えると、熱によってLED基板82又はLED84に不具合が生じる可能性を未然に低減することができる。
【0020】
連接部50は、図4に示すように、上部52と下部54との直径の異なる略円柱形状の部材が連接されており、上部52と下部54との間には、挿入溝56が設けられている。この連接部50は、ビス51(図5(A)参照)によってハウジング41に固定されている。また、挿入溝56の上部52側の面には下部54方向に向かって突出する係合爪57が設けられており、下部54側の面には上部52方向に向かって突出する規制爪58が設けられている。このとき、挿入溝56の幅は、凹凸38の凸部の高さと係合爪57の高さとの和よりも広いため、本体部材40の回転に伴って係合爪57が凹凸38の表面に沿って上下に移動し、本体部材40を回転させることができる。一方、係合爪57が凹凸38の凹部と係合する位置で本体部材40の回転を止めることにより、本体部材40を所望の位置に位置決め可能な状態とすることができる。また、本体部材40の回転に伴って回転する規制爪58は、基部材30に設けられた規制部37と互いに干渉し合うことによって回転が規制されるため、本体部材40は360°以上回転することができない。こうすることにより、本体部材40を360°以上回転させることにより、本体部材40と基部材30とを接続する電気配線の一端側が本体部材40の回転に伴って回転し、電気配線が断線する可能性を未然に低減することができる。
【0021】
また、上部52には、図3に示すように、上部52の下面側に開口を有するピストン穴60が設けられており、このピストン穴60の内部には、ピストン穴60の内径と略同一の大きさに形成された回転固定部材64が設けられている。この回転固定部材64は、バネ62によってピストン穴60の壁面に沿って移動可能な状態で、ピストン穴60の開口方向に向かって付勢されている。また、回転固定部材64の凹凸38と対向する面には、突出部66が設けられており、凹凸38と突出部66とは互いに係合することができる。
【0022】
回転ロック棒70は、口金32側から発光部80側まで貫通して伸びる棒状の部材であり、発光部80側の側面には係止凸部72が本体部材40の一部と離間可能に設けられている。また、発光部80側の先端部は、本体部材40の外部に一部が延出しており、外部から回転ロック棒70を押圧可能な状態となっている。また、口金32側の端部は、回転固定部材64の表面と当接しており、回転固定部材64の移動に伴って回転ロック棒70も移動することができる。この回転固定部材64は、バネ62によって回転固定部材64がピストン穴60の底面方向から開口方向に付勢されているため、回転ロック棒70もピストン穴60の底面方向から開口方向に付勢されることになり、係止凸部72が本体部材40の一部に付勢された状態で、回転ロック棒70が位置決めされることになる。
【0023】
発光部80は、図2に示すように、放熱部42に当接する位置に設けられた複数のLED基板82と、LED基板82上にそれぞれ設けられたLED84と、LED84から照射された光を拡散する拡散部86と、を備えている。LED84は、白色光を発する発光ダイオードであり、LED基板82及び図示しない導線等を介して、口金32と電気的に接続されている。このため、口金32が図示しないLED電球用取付部に螺合されると、LED84に電力が供給され、LED84が発光する。LED84が発光すると、拡散部86の口金32側から拡散部86内に光が入射し、拡散ドット88によって拡散される。また、LED84は、LED基板82の拡散部86側に取り付けられているため、使用によりLED84が発熱した場合には、LED基板82を介してLED84から放熱部42に熱が伝導し、LED84で発生した熱を放熱部42に逃すことができる。こうすることにより、熱によってLED84に不具合が生じる可能性を未然に低減し、LED84を長期間使用することができる。
【0024】
拡散部86は、図1に示すように、所望の形に形成された樹脂製の部材の表面に、複数の拡散ドット88が設けられている。この拡散部86の口金32側には、複数のLED84が配置されており(図2参照)、LED84から照射された光が拡散部86に入射し、拡散ドット88によって拡散される。こうすることにより、照射される光の直進性が高いLED84を用いた場合であっても、広範囲に光を照射することができる。また、拡散ドット88は、内側方向に略四角錐形状に凹む凹部であり、四角錐の底面に相当する位置が拡散部86の表面に位置するように設けられている。この拡散ドット88は、縦方向及び横方向に規則的に設けられているため、不規則に設けられている場合と比較して、より整然と配置された印象や格子状に配置された印象を与えることができる。言い換えると、拡散ドット88が不規則に備えられている場合と比較して、優れた美観を演出することができる。なお、図中の拡散ドット88は、説明のため実際よりも大きく描いている。
【0025】
ここで、こうして構成されたLED電球20の製造方法の一例、特に、上記それぞれの部材の組み立て方法について、図5及び図6を用いて詳しく説明する。ここで、図5及び図6はLED電球20の製造方法の一例を説明するための斜視図であり、図5(A)は、ハウジング41に連接部50を接続する接続方法を、図5(B)は、連接部50に半円筒部材34を取り付ける取り付け方法を、それぞれ示している。また、図6(A)は、半円筒部材34を口金32及びガイド部44で固定する方法を、図6(B)は、半円筒部材34を口金32及びガイド部44で固定した状態を、それぞれ示している。なお、図5及び図6では、説明のため発光部80については、記載を省略している。
【0026】
LED電球20を組み立てる際には、図5(A)に示すように、ハウジング41の一端側にビス51を用いて連接部50を固定する。具体的には、連接部50の下部54とハウジング41の上面とを二つのビス51で固定する。このように、ビス51を用いてハウジング41に連接部50を強固に固定することにより、ハウジング41を含む本体部材40を回転させる際に放熱部42を持って回転させたとしても、本体部材40と連接部50とが外れる可能性を未然に低減することができる。
【0027】
次に、図5(B)に示すように、連接部50を連接部50の両側面側から半円筒部材34で挟み込む。このとき、連接部50を半円筒部材34で挟み込む際に対向する面には、それぞれ凸部34a及び凹部34bが設けられているため、半円筒部材34で連接部50を挟み込む際に、凸部34aと凹部34bとを係合することにより、半円筒部材34同士がずれてしまう可能性を未然に低減し、取り付ける際の労力を低減することができる。
【0028】
続いて、図6(A)に示すように、連接部50を挟み込んでいる半円筒部材34に外側からガイド部44を嵌め込む。こうすることにより、半円筒部材34同士が互いに遠ざかる方向に移動することができなくなるため、半円筒部材34と連接部50とが外れる可能性を未然に低減することができる。
【0029】
最後に、連接部50を挟み込んでいる半円筒部材34の外面に沿って口金32を回転させ、ガイド部44に当接する位置に口金32を螺合する。こうすることにより、半円筒部材34同士が互いに遠ざかる方向に移動することを防ぐと共に、ガイド部44を放熱部42方向に押圧することで、半円筒部材34が連接部50を回転可能な状態で保持することができる。このように、本体部材40の一部である連接部50が基部材30の一部である半円筒部材34で挟み込まれることにより、基部材30と本体部材40とを連接し、基部材30から本体部材40が離脱する可能性を未然に低減することができる。
【0030】
次に、こうして組み立てたLED電球20の操作、特に、本体部材40を回転させる際の動作について、図7を用いて、更に詳しく説明する。LED電球20を使用する際には、図示しない取付口に口金32を螺合して使用するが、複数のLED電球20を取り付けた際には、それぞれのLED電球20の向きは通常異なっており、拡散部86によって拡散される光の方向も不揃いになる。このため、拡散光によって延出される美観も統一感を欠くことになるため、拡散部86の向きを所望の方向に統一し、一体感のある美観を演出したいという要望がある。しかしながら、口金32を螺合する際には本体部材40と基部材30を含むLED電球20の全体が回転するため、LED電球20を取り付ける際に、拡散部86の方向を所望の方向にすることは困難である。そこで、LED電球20を取り付けた後に、以下の手順で本体部材40を回転させることにより、拡散部86の方向を所望の方向に位置決めする。
【0031】
本体部材40を回転させる際には、まず、回転ロック棒70の一端側を基部材30の方向に押圧し、図7(A)に示す固定位置から図7(B)に示す離間位置に回転ロック棒70を位置決めする。具体的には、回転ロック棒70の一端側が押下されると、回転ロック棒70の口金32側の端部が回転固定部材64の表面をピストン穴60の底面方向に押圧し、回転固定部材64がピストン穴60の側面に沿ってバネ62を収縮させながらピストン穴60の底面方向に移動する。こうすることにより、回転固定部材64が離間位置に位置決めされ、突出部66と凹凸38との係合が解除されて本体部材40が回転可能な状態となる。このとき、拡散部86は本体部材40に設けられているため、この状態で本体部材40を回転させることで、口金32が固定された基部材30を回転させることなく、拡散部86を所望の方向に回転させることができる。また、回転ロック棒70によって回転固定部材64を離間位置に位置決めした状態では、凹凸38と突出部66との係合は解除されるが、凹凸38と係合爪57とは互いに当接したままの状態で保たれる。このため、この状態で本体部材40を回転させると、本体部材40の回転に伴って係合爪57が凹凸38の表面を移動し、凹凸38の凹部に係合爪57がはまり込む際と凹凸38の凸部を係合爪57が通過する際とでは、回転時に必要な力が変化することになる。こうすることにより、一定間隔で設けられている凹凸38により回転固定部材64が所定距離進む毎に凹部に係合爪57が引っかかるため、係合爪57を有していない場合と比較して、より所望の位置に本体部材40を回転させ、固定しやすい。更に、本体部材40の回転に伴って規制爪58が所定の角度だけ回転すると、基部材30に設けられた規制部37と互いに干渉し、本体部材40の回転が規制される。このため、本体部材40の回転角度は360°未満となる。こうすることにより、同一方向に360°以上本体部材40を回転することにより、図示しない取付口に固定されている基部材30と回転する本体部材40との間を接続する図示しない電気配線が捻れて断線したり、電気配線との接続部が破損したりする可能性を未然に低減することができる。
【0032】
本体部材40を所望の方向に回転させた後には、回転ロック棒70を解放する。回転ロック棒70を解放状態とすると、バネ62の付勢力によって図7(B)に示す離間位置から図7(A)に示す固定位置に回転固定部材64がピストン穴60の側面に沿って移動する。このとき、回転固定部材64の移動に伴って、回転ロック棒70の側面に設けられた係止凸部72が本体部材40の表面に当接するまで、回転ロック棒70が回転固定部材64の表面に押圧されて移動する。この移動に伴って、係止凸部72が設けられた側の先端が本体部材40の外部に一部延出するため、回転ロック棒70は再び押圧可能な状態となる。また、回転固定部材64が固定位置に位置決めされると、回転固定部材64に設けられた突出部66と基部材30に設けられた凹凸38とが係合し、本体部材40が基部材30に固定される。
【0033】
以上詳述した本実施の形態のLED電球20によれば、回転ロック棒70を押下して回転固定部材64を離間位置に位置決めすることで、本体部材40が回転可能な状態となり、回転ロック棒70の押圧状態を開放すると、バネ62の付勢力によって回転固定部材64がピストン穴60の側面に沿って固定位置に移動し、凹凸38の凹部と係合爪57とが係合し、本体部材40が基部材30に固定される。こうすることにより、本体部材40を回転し、基部材30に対して自由な方向で固定することができる。言い換えると、本体部材40に設けられた拡散部86の方向を所望の方向に回転し、固定することができる。
【0034】
また、本体部材40には、凹凸38と係合する係合爪57を有しているため、本体部材40を回転させる際、一定の間隔で設けられた凹部毎に突出部66が係合し、本体部材40が係合爪57を有しない場合と比較して、所望の方向に本体部材40を位置決めしやすい。
【0035】
更に、回転固定部材64は、凹凸38に対向する位置に設けられたピストン穴60の側面に沿って移動し、固定位置又は離間位置に位置決めされるため、回転固定部材64に設けられた突出部66は、凹凸38に対して常に略垂直な方向に移動することになり、本体部材40を回転させた際に、凹凸38に対する突出部66の角度が略直角以外の角度に変化し、凹凸38と突出部66とが嵌合できない可能性を未然に低減することができる。言い換えると、ピストン穴60を有していない場合と比較して、凹凸38と回転固定部材64とが嵌合できず、本体部材40を固定できない可能性を未然に低減することができる。
【0036】
更にまた、回転固定部材64は、バネ62によって凹凸38の方向に付勢されているため、本体部材40を所望の方向に位置決めすると、突出部66が凹凸38の凹部と係合した状態で付勢され、本体部材40が所望の方向を向いた状態で基部材30に固定することができる。
【0037】
そして、回転固定部材64は、バネ62によって凹凸38の方向に付勢された状態で固定位置に固定され、回転ロック棒70によって押圧されることで離間位置に位置決めされるため、回転ロック棒70を押圧するという簡単な操作で回転固定部材64を離間位置に位置決めし、回転ロック棒70の押圧を解除するという簡単な操作で、本体部材40を所望の方向に向けて基部材30に固定することができる。
【0038】
そして更に、回転ロック棒70の係止凸部72が設けられている側の先端が本体部材40の外部に一部延出しているため、回転ロック棒70を本体部材40側で操作することができる。このため、例えば、回転ロック棒70が短く、回転固定部材64近傍で操作する必要がある場合と比較して、回転固定部材64を固定位置又は離間位置に位置決めする際の操作性をより高めることができる。
【0039】
そして更にまた、基部材30及び本体部材40の回転中心を含む位置に連通孔59が設けられているため、この連通孔59に図示しない電源ケーブルを通すことで、基部材30から本体部材40に電力を供給することができる。このとき、連通孔59は基部材30及び本体部材40の回転中心を含む位置に位置しているため、本体部材40の回転に伴って、電源ケーブルが絡まったり捻れたりする可能性を未然に低減し、電源ケーブルが断線する可能性をより低減することができる。
【0040】
加えて、拡散部86はデザイン化されており、見る方向によって外観が異なる形態を有しているため、本体部材40を回転させて所望の方向に位置決めしたいという要望が大きい。
【0041】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0042】
例えば、上述した実施の形態では、回転固定部材64に突出部66を設けるものとしたが、突出部はなくとも良い。この場合も、上述した実施の形態と同様の効果が得られる。
【0043】
上述した実施の形態では、ピストン穴60の壁面に沿って回転固定部材64を備えるものとしたが、回転固定部材64が基部材30と係合した固定状態と基部材30から開放された離脱状態とに位置決めすることができれば、ピストン穴60は無くとも良い。この場合も、上述した実施の形態と同様の効果が得られる。
【0044】
上述した実施の形態では、回転ロック棒70の口金32側の端部が回転固定部材64の表面に当接するものとしたが、回転ロック棒70の口金32側の端部は、回転固定部材64の表面に固定されていても良い。こうすれば、バネ62の付勢力を必要とすることなく、回転固定部材64を固定位置と離間位置とに位置決めすることができるため、バネ62を備える必要が無い。言い換えると、製造時にバネ62を取り付ける労力を低減することができる。
【0045】
上述した実施の形態では、基部材30と本体部材40とを図示しない電気配線で接続するものとしたが、基部材30と本体部材40とを電気的に接続する手段は電気配線に限定されるものではなく、スリップリングシステム等の公知の回転体給電システムを用いてもよいし、電磁誘導や電磁界共鳴を利用した非接触電力伝送システムを用いてもよい。これらのシステムを採用した場合には、本体部材40をどのように回転させても、基部材30と本体部材40とを接続する電気配線が損傷する可能性が無いため、規制部37及び規制爪58を設ける必要が無い。
【産業上の利用可能性】
【0046】
上述した実施の形態で示すように、照明分野、特にLED電球として利用することができる。
【符号の説明】
【0047】
20…LED電球、30…基部材、32…口金、34…半円筒部材34a…凸部、34b…凹部、35…中央孔、36…延出部、37…規制部、38…凹凸、40…本体部材、41…ハウジング、42…放熱部、44…ガイド部、50…連接部、51…ビス、52…上部、54…下部、56…挿入溝、57…係合爪、58…規制爪、59…連通孔、60…ピストン穴、62…バネ、64…回転固定部材、66…突出部、70…回転ロック棒、72…係止凸部、78…拡散ドット、80…発光部、82…LED基板、84…LED、86…拡散部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部材の一端側と本体部材の一端側とが互いに当接し、前記基部材の一端側の表面に沿った方向に前記本体部材が回転するLED電球であって、
前記基部材は、LED電球用取付部に取り付け可能な口金部と、前記基部材の一端側の表面に対して略平行な面に複数の凹凸が同一円周上に形成された嵌合部とを備え、
前記本体部材は、光を照射する発光部と、前記嵌合部の凹部に嵌合する回転固定部と、前記回転固定部と前記嵌合部とが嵌合する固定位置又は前記回転固定部が前記嵌合部から離間する離間位置に前記回転固定部を位置決めする操作部と、を備える、
LED電球。
【請求項2】
前記本体部材は、前記嵌合部の凹部と係合する1又は2以上の突起部を有する、
請求項1に記載のLED電球。
【請求項3】
前記本体部材は、前記嵌合部に対向する位置に収納穴を有し、
前記回転固定部は、前記収納穴の壁面に沿って移動することで、前記固定位置又は前記離間位置に位置決めされる、
請求項1又は2に記載のLED電球。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のLED電球であって、
前記回転固定部を前記嵌合部の方向に付勢する付勢部と、
を備えた、
LED電球。
【請求項5】
前記回転固定部は、前記付勢部で前記嵌合部の方向に付勢されることにより固定位置に固定され、前記操作部で前記嵌合部の方向とは逆方向に押圧されることにより離間位置に位置決めされる、
請求項4に記載のLED電球。
【請求項6】
前記本体部材は、前記操作部が通過可能な通過孔を有し、
前記操作部は、少なくとも一部が前記通過孔を通過する棒状部材である、
請求項1〜5のいずれか1項に記載のLED電球。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のLED電球であって、
前記基部材に供給された電力を前記本体部材に供給する電力供給手段と、
を備え、
前記基部材の一端側及び前記本体部材の一端側には、前記基部材の回転軸を含む位置に前記電力供給手段が通過可能な連通孔を有する、
LED電球。
【請求項8】
前記本体部材は、前記基部材が回転するに伴って、同一方向から見た際の外観が少なくとも二以上の形態に見える拡散部を有する、
請求項1〜7のいずれか1項に記載のLED電球。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−84455(P2013−84455A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223765(P2011−223765)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000127857)株式会社エス・ケー・ジー (105)
【Fターム(参考)】