説明

LED駆動回路、LED照明灯具、LED照明機器、及びLED照明システム

【課題】複数の照明灯具を同時点灯するときの調光の安定化を高めるとともに、電力損失を抑える。
【解決手段】位相制御式調光器2のインピーダンス値を検出するインピーダンス検出手段7と、インピーダンス検出手段7で検出されたインピーダンス値に基づいてLED駆動回路4のインピーダンスを調整するインピーダンス調整手段6とを備えているLED駆動回路4。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDを駆動するLED駆動回路、LEDを光源とするLED照明灯具、LED照明機器及びLED照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
LEDは消費電力が低く、寿命が長い等の特長を有しており、表示装置だけでなく照明器具等にもその用途が広がりつつある。なお、LED照明灯具では、所望する照度を得るため、複数個のLEDを用いる場合が多い。
【0003】
一般的な照明器具は商用交流電源(日本国内ではAC100V)を使用する場合が多い。白熱電球などの一般的な照明灯具に代えてLEDを用いた照明灯具(以下、LED照明灯具と称する)を使用する場合などを考慮すると、LED照明灯具も一般的な照明灯具と同様、交流電源を使用する構成であることが望ましい。
【0004】
また、白熱電球の調光制御を行う照明システムでは、スイッチング素子(一般的にはサイリスタやトライアック素子)を交流電源電圧のある位相角でオンすることにより、白熱電球への電源供給をボリューム素子一つで簡単に調光制御できる位相制御式調光器(一般に白熱ライコンと呼ばれている)が用いられている。
【0005】
交流電源使用のLED照明灯具の調光制御をする場合、白熱電球の調光制御する場合と同様に位相制御式調光器が用いられることが望まれる。ここで、交流電源使用のLED照明灯具を調光制御することができるLED照明システムの従来例を図13に示す。
【0006】
図13に示すLED照明システムは、位相制御式調光器2と、ダイオードブリッジDB1、インピーダンス調整部96及びLED電流制御回路5を含むLED駆動回路94と、LEDモジュール3とを備えている。交流電源1と上記LED駆動回路94との間に位相制御式調光器2が直列に接続されている。位相制御式調光器2は、交流電源1より交流電圧を受け、抵抗RV1、RV2、コンデンサCV1、CV2、ダイアックDi1により、電流保持素子であるトライアックTri1をオンさせる位相を決定している。なお、電流保持素子はトライアック以外にもMOSスイッチなどを用いる場合もある。
【0007】
また、位相制御式調光器2では、コンデンサCLCとインダクタLLCとによる雑音防止回路が構成されている。位相制御式調光器2では、コンデンサCLCはトライアックがオフしていないときのインピーダンスを決定しており、インダクタLLCはトライアックTri1がオンしたときコンデンサCLCにショート電流が流れるのを防いでいる。
【0008】
白熱電球を位相制御式調光器で調光する場合において、ワット数の小さな白熱電球と調光器とを接続するとちらつきや点滅が生じ正常に調光できないことが知られている。そこで、上記のLED照明システムにおいて、ちらつきや点滅を防止するため、インピーダンス調整部96が用いられている。インピーダンス調整部96として、オフ時インピーダンス調整部961、共振誤作動防止インピーダンス調整部962及びトライアック維持インピーダンス調整部963とを挙げることができる。以下に、各インピーダンス調整部について図面を参照して説明する。
【0009】
LED照明システムでは、位相制御式調光器2がオフのとき、すなわち、トライアックTri1がオフのとき、本来は交流電源1からLED駆動回路94への電源供給をカットしていなければならない。しかしながら、前記位相制御式調光器2の雑音防止回路のコンデンサCLCにより、交流電源1とLED駆動回路94とが常に電気的に接続されており、トライアックTri1がオフのときでもLED駆動回路94にはコンデンサCLCにより有限のインピーダンスが発生している。このインピーダンスが低いと位相制御式調光器2が正常に動作しなくなる場合がある。そこで、オフ時インピーダンス調整部961は、LED駆動回路94のインピーダンスをコンデンサCLCよりも十分に低くなるように調整する。これにより、位相制御式調光器2がオフのとき位相制御式調光器2の両端に電圧がかかり、位相制御式調光器2は正常に動作する。なお、オフ時インピーダンス調整部961は、位相制御式調光器2がオンのときオフである。
【0010】
オフ時インピーダンス調整回路961の一例の回路図を図14Aに示す。図14Aに示すように、オフ時インピーダンス調整回路961はコンパレータEAでLED駆動回路94に印加されるドライブ電圧VDの電圧値と電圧源VAの電圧値とを比較しており、ドライブ電圧VDの電圧値が、電圧源VAの電圧値より低いときスイッチング素子MA(MOS)をオンにする回路である。
【0011】
位相制御式調光器2がオフのときはLED駆動回路のドライバ電圧VDの電圧値が電圧源VAの電圧値よりも低くなり、コンパレータEAからHIGH信号がスイッチング素子MAに入力される。これにより、スイッチング素子MAがオンになりオフ時インピーダンス調整部961のインピーダンスが抵抗RA3の抵抗値で決まるインピーダンスとなる。また、位相制御式調光器2がオンのときは、ドライバ電圧VDの電圧値が電圧源VAの電圧値よりも高くなり、コンパレータEAからLOW信号がスイッチング素子MAに入力される。これにより、スイッチング素子MAがオフになり、オフ時インピーダンス調整部961のインピーダンスが高くなる。
【0012】
次に、共振誤作動防止インピーダンス調整部962について説明する。位相制御式調光器2がオンしたとき、雑音防止回路のコンデンサCLCとインダクタLLCとの共振現象によって、トライアックTri1に流れる電流が振動し、トライアックTri1がオフになる場合がある。そこで、共振誤作動防止インピーダンス調整部962に電流が流れるようにし、位相制御式調光器2がオフの時にコンデンサCLCに蓄えられたエネルギを逃がし、コンデンサCLCとインダクタLLCとの共振を抑える。なお、共振誤作動防止インピーダンス調整部962は、一時的に大電流(例えば、200μs、200mA等)を流す必要があり、コンデンサ又はコンデンサと抵抗を含む構成とすることができる。
【0013】
共振誤作動防止インピーダンス調整部962の一例の回路図を図14Bに示す。図14Bに示すように、共振誤作動防止インピーダンス調整部962はコンパレータEBでLED駆動回路94に印加されるドライブ電圧VDの電圧値と電圧源VBの電圧値とを比較しており、ドライブ電圧VDの電圧値が電圧源VBの電圧値よりも高いときコンパレータEBからHIGH信号が出力される。コンパレータEBからHIGH信号が出力されると、スイッチング素子MBがオンになる。
【0014】
スイッチング素子MBがオンの間、電流源IBに電流が流れ、共振誤作動防止インピーダンス調整部962のインピーダンスが低くなる。スイッチング素子MBは、コンデンサCBの静電容量と抵抗RB4の抵抗値によって決まる時定数によってオフになる。スイッチング素子MBがオフになると、電流源IBに電流が流れなくなり、共振誤作動防止インピーダンス調整部962のインピーダンスが高くなる。
【0015】
最後に、トライアック維持インピーダンス調整部963について説明する。LEDモジュール3は消費電力が少ない、すなわち、流れる電流が少なく位相制御式調光器2に流れる電流も少ない。このことから、トライアックTri1に流れる電流が保持電流を下回ることがあり、トライアックTri1がオフになってしまう、誤作動が発生する場合がある。そこで、トライアック維持インピーダンス調整部963は、トライアックTri1に流れる電流が少ないとき、インピーダンスを下げ、電流を流すことでトライアックTri1に流れる電流を保持電流以上に維持する。
【0016】
トライアック維持インピーダンス調整部963の一例の回路図を図14Cに示す。図14Cに示すように、トライアック維持インピーダンス調整部963はオフ時インピーダンス調整部961の抵抗RAを電流源ICとした構成であり基本的な動作はオフ時インピーダンス調整部961と同様である。トライアック維持インピーダンス調整部963は、ドライブ電圧VDと電圧源VCの電圧値を比較し、その結果によって電流源ICに電流が流れ、トライアック維持インピーダンス調整部963のインピーダンスが低下する。
【0017】
以上示したように、インピーダンス調整部としては、抵抗とスイッチ(メカ的に駆動するもの、MOS等の半導体いずれでもよい)を用いるもの、定電流制御を行っているMOS、トランジスタなどの半導体能動素子を用いるものがある。なお、インピーダンス調整部には電流が流れるため、電流引き抜き部と表現されることもある。つまり、インピーダンス調整部に電流が流れることで、位相制御式調光器2は安定動作する(LED照明灯具の調光を正常に行う)ことができる。なお、インピーダンス調整部として、上述した3種のインピーダンス調整部のうち一つが用いられる。また、2種以上のインピーダンス調整部が並列に接続される場合もある。
【0018】
照明システムにおいて、1つの位相制御式調光器2に複数の照明灯具(LED照明灯具)が接続されることが多い。このような照明システムでは、複数の照明灯具が同時使用されることがある一方、それぞれの照明灯具が単独で使用されることもある。単独使用時において照明灯具を安定点灯させるため、それぞれの照明灯具には、インピーダンス調整部が備えられており、インピーダンス調整部は単独で十分に動作する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2006−319172号公報
【特許文献2】特開2005−26142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
上述の照明システムでは、照明灯具を単独で用いた場合、位相制御式調光器の安定動作に必要な電流がインピーダンス調整部に流れる構成となっている。このような構成の照明システムにおいて、複数の照明灯具を同時に使用した場合、それぞれの照明灯具に備えられたインピーダンス調整部に調光に必要な電流が流れる。
【0021】
ここで、インピーダンス調整部に流れる電流は、照明灯具(LED)の点灯に利用されない電流、すなわち、損失電流である。上述の照明システムでは、複数の照明灯具を同時に使用した場合、それぞれの照明灯具のインピーダンス調整部で損失電流が流れ、それだけ、損失電力が大きくなる。
【0022】
そこで本発明は、複数の照明灯具を同時点灯するときの調光を安定化する、とともに、電力損失を抑えるLED駆動回路並びにそれを備えるLED照明灯具、LED照明機器、及びLED照明システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記目的を達成するため本発明は、位相制御式調光器に接続可能であり、交番電圧を入力してLEDを駆動するLED駆動回路であって、前記位相制御式調光器のインピーダンス値を検出するインピーダンス検出手段と、前記インピーダンス検出手段で検出されたインピーダンス値に基づいて前記LED駆動回路のインピーダンスを調整するインピーダンス調整手段とを備えていることを特徴とする。
【0024】
上記構成において、前記インピーダンス検出手段は、前記インピーダンス調整手段に対し、前記インピーダンスを調整するための調整信号を出力するようにしてもよい。
【0025】
上記構成において、前記インピーダンス検出手段は一定期間後にインピーダンス検出を停止し、前記インピーダンス検出手段によるインピーダンス検出が停止した後も、前記調整信号の出力を保持する保持手段を備えていてもよい。
【0026】
上記構成において、前記調整信号がインピーダンス検出手段で検出されるインピーダンス値を表す信号であり、前記インピーダンス調整手段は、前記調整信号と、前記インピーダンス調整手段を流れる電流値とに基づいて、インピーダンス調整値を決定するようにしてもよい。
【0027】
上記構成において、前記調整信号がインピーダンス検出手段で検出されるインピーダンス値を表す信号であり、前記インピーダンス調整手段は、前記調整信号と、LEDに電力を供給する電力供給ラインに流れる電流とに基づいて、インピーダンス調整値を決定するようにしてもよい。
【0028】
上記構成において、前記位相制御式調光器には、複数台の照明灯具が接続可能となっており、前記インピーダンス検出手段は、検出したインピーダンス値に基づいて、前記位相制御式調光器に他の照明灯具が接続されているか否か判別するようにしてもよい。
【0029】
上記構成において、前記インピーダンス検出手段は、内部に電流を流すことができる構成を有しており、前記インピーダンス検出手段は、前記位相制御式調光器がオフのとき、内部に電流を流し、その電流値の変化によって、インピーダンス値を検出するようにしてもよい。
【0030】
上記構成において、前記インピーダンス検出手段は、前記位相制御式調光器がオフのとき、一定の期間、前記インピーダンス調整手段のインピーダンス調整量を変化させ、そのときの電流値の変化によってインピーダンス値を検出するようにしてもよい。
【0031】
上記構成において、前前記インピーダンス検出手段が前記位相制御式調光器に複数台の照明灯具が接続されていると判別しているとき、前記インピーダンス検出手段は、検出したインピーダンス値に基づいて前記位相制御式調光器に接続されている他の照明灯具でインピーダンスを調整しているか否か判別し、前記インピーダンス検出手段によって、他の照明灯具がインピーダンスを調整していないと判別されたとき、前記インピーダンス調整手段がインピーダンス調整を行うようにしてもよい。
【0032】
上記構成において、前記インピーダンス調整手段は、少なくとも前記位相制御式調光器がオフのときにLED駆動回路のインピーダンスを調整するようにしてもよい。
【0033】
上記構成において、前記インピーダンス調整手段は、少なくとも前記位相制御式調光器がオンした後、一定の期間インピーダンスを調整するようにしてもよい。
【0034】
上記構成において、前記インピーダンス調整手段は、少なくとも前記位相制御式調光器が低輝度調光を行っているときにインピーダンスを調整するようにしてもよい。
【0035】
上記目的を達成するために本発明にかかるLED照明灯具は上記いずれかの構成のLED駆動回路と、LED駆動回路の出力側に接続されたLEDとを備えるようにする。
【0036】
上記目的を達成するために本発明にかかるLED照明機器は複数個の照明灯具を備えており、前記複数個の照明灯具のうち少なくとも一つが上記LED照明灯具となるようにする。
【0037】
上記目的を達成するために本発明にかかるLED照明システムは、上記LED照明機器と、位相制御式調光器とを備え、前記位相制御式調光器の出力側に、前記複数個の照明灯具の入力側が並列接続されるようにする。
【発明の効果】
【0038】
本発明によると、LED駆動回路において、インピーダンスの変化を検出することで、LED照明灯具を含む複数台の照明灯具が同時に点灯していることを検出し、その検出結果に基づいて、インピーダンスを調整するので、ちらつきや点滅等を抑えるとともに、電力損失を低減させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明にかかるLED照明システムの一例を示す図である。
【図2A】本発明にかかるLED照明灯具が3台接続されたLED照明システムの例を示す図である。
【図2B】本発明にかかるLED照明灯具が1台接続されたLED照明システムの例を示す図である。
【図2C】本発明にかかるLED照明灯具が1台接続されたLED照明システムの他の例を示す図である。
【図3A】本発明にかかるLED駆動回路の一例を示す図である。
【図3B】図3Aに示すLED駆動回路の一例の回路図である。
【図4A】本発明にかかるLED駆動回路の一例を示す図である。
【図4B】図4Aに示すLED駆動回路の変形例を示す図である。
【図5】本発明にかかるLED駆動回路のさらに他の例を示す図である。
【図6A】本発明にかかるLED駆動回路のさらに他の例を示す図である。
【図6B】図6Aに示すLED駆動回路を示す回路図である。
【図6C】図6Aに示すLED駆動回路の変形例を示す図である。
【図6D】図6Cに示すLED駆動回路を示す回路図である。
【図7】本発明にかかるLED駆動回路の他の例を示す図である。
【図8A】位相制御式調光器から出力される電圧の時間による変化を示すグラフである。
【図8B】LED照明灯具の検出タイミング調整部からインピーダンス検出部に送られる検出開始信号のタイミングを示す図である。
【図9】本発明にかかるLED駆動回路の他の例を示す図である。
【図10】本発明にかかるLED照明灯具、本発明にかかるLED照明機器、及び本発明にかかるLED照明システムの概略図である。
【図11】本発明にかかるLED照明システムの概略図である。
【図12】本発明にかかるLED照明灯具の他の概略構造例を示す図である。
【図13】交流電源使用のLED照明灯具を調光制御することができるLED照明システムの従来例を示す図である。
【図14A】従来のインピーダンス調整部を示す回路図である。
【図14B】従来のインピーダンス調整部を示す回路図である。
【図14C】従来のインピーダンス調整部を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0041】
(第1の実施形態)
図1は本発明にかかるLED照明システムの一例を示す図である。図1において図13と同一の部分には同一の符号を付し詳細な説明を省略する。図1に示すように、LED照明システムは、位相制御式調光器2と、本発明にかかるLED照明灯具L1とを備えている。
【0042】
LED照明灯具L1は、LED駆動回路4と、LEDモジュール3とを備えている。LED駆動回路4は、本発明にかかるLED駆動回路の一例であり、ダイオードブリッジDB1と、LED電流制御回路5と、インピーダンス調整部6と、インピーダンス検出部7とを備えている。図1に示すようにLED駆動回路4では、ダイオードブリッジDB1の出力側にLED電流制御回路5が接続されている。また、ダイオードブリッジDB1の入力側は、交流電源1と、位相制御式調光器2と接続されている(図1等参照)。
【0043】
インピーダンス調整部6はダイオードブリッジDB1の出力両端間に設けられた回路である。インピーダンス調整部6は、LED駆動電流をLEDモジュール3(LED電流制御回路5)にダイオードブリッジDB1の出力両端間のインピーダンスを調整する。インピーダンス調整部6でインピーダンス調整を行うことで、ダイオードブリッジDB1の出力両端間に流れる電流を調整し、LED駆動回路4と接続する位相制御式調光器2の調光の安定性を向上させる。
【0044】
インピーダンス検出部7はインピーダンス調整部6と同様にダイオードブリッジDB1の出力両端間に設けられている。インピーダンス検出部7は位相制御式調光器2のインピーダンスを検出している。
【0045】
インピーダンス検出部7が検出したインピーダンス値に基づいてインピーダンスの調整(低下)が必要であると判断した場合(例えば、検出したインピーダンス値が予め与えられた基準値よりも高い場合)、インピーダンス検出部7は検出されたインピーダンス値に基づいてインピーダンスを調整する(インピーダンスを低下させる)信号(調整信号)を、インピーダンス調整部6に送出する。インピーダンス調整部6は調整信号を受信することで、インピーダンスの調整(低下)を行う。一方、インピーダンス検出部7が検出したインピーダンス値に基づいてインピーダンス調整が不要であると判断すると、インピーダンス調整部6への調整信号の送出を行わない。これにより、インピーダンス調整部6はインピーダンスの調整を行わない。
【0046】
このインピーダンス調整部6によるインピーダンスの調整値は、インピーダンス調整部6に電流を流して、位相制御式調光器2のトライアックTri1が保持電流を維持できるように設定される。
【0047】
また、インピーダンス調整部6は、受信した調整信号によって、インピーダンス調整値を決定してもよい。すなわち、インピーダンス検出部7で検出したインピーダンス値によって、インピーダンス調整部6で調整するインピーダンス値が決定されるようにしている。このことにより、インピーダンス調整部6において、インピーダンス値の過不足がないように、調整を行うことので、調光を安定化させることができるとともに、不要な電力損失を低減することが可能である。
【0048】
また、インピーダンス調整部6が、位相制御式調光器2がオフのときに、インピーダンスの調整(低下)を行う構成としてもよい。このとき、インピーダンス検出部7がインピーダンス値を検出しており、そのインピーダンス値に基づいてインピーダンス調整部6にインピーダンス調整のための調整信号を送る。インピーダンス調整部6は調整信号を受け、インピーダンス調整を行う。これにより、インピーダンス調整部6はLED駆動回路4のインピーダンスをCLCのインピーダンスよりも十分に小さくなるように調整でき、トライアックTri1の立上り電圧が遅れるのを抑えることができる。また、インピーダンス調整部6は、インピーダンス検出部7で検出したインピーダンス値に基づいてインピーダンスを調整するので、インピーダンス値の過不足が発生しないように、インピーダンス調整を行う。これにより、調光を安定化させることができるとともに、不要な電力損失を低減することができる。
【0049】
さらに、インピーダンス調整部6が、位相制御式調光器2がオンになったとき、一定の期間、インピーダンスの調整(低下)を行う構成としてもよい。このとき、インピーダンス検出部7が位相制御式調光器2のインピーダンス値を検出しており、このインピーダンス値に基づいてインピーダンス調整部6にインピーダンス調整のための調整信号を送る。インピーダンス調整部6は調整信号を受け、インピーダンス調整を行い、インピーダンス調整部6には電流が流れる。これにより、位相制御式調光器2のコンデンサCLCとインダクタLLCの共振により、トライアックTri1に流れる電流が保持電流を下回るのを抑制することができる。また、インピーダンス調整部6は、インピーダンス検出部7で検出したインピーダンス値に基づいてインピーダンスを調整するので、インピーダンス値の過不足が発生しないように、インピーダンス調整を行う。これにより、調光を安定化させることができるとともに、不要な電力損失を低減することができる。
【0050】
また、インピーダンス調整部6は、位相制御式調光器2が低輝度調光を行っているとき、インピーダンスの調整(低下)を行う構成でもよい。なお、低輝度調光時に調光が不安定になりやすいが、輝度が上がっても、調光を安定化させるため、インピーダンス調整部6を駆動し続けてもよい。
【0051】
(第2の実施形態)
本発明にかかるLED照明システムは、1台の位相制御式調光器に対して複数台の照明灯具を接続することが可能な構成を有している。図2Aは複数台のLED照明灯具が接続されている。なお、図2Aにおいて、位相制御式調光器2の構成は、図1に示すものと同じ構成であるので、詳細な説明は省略する。図2Aに示すように、LED照明システムは、1台の位相制御式調光器2に本発明にかかるLED照明灯具L1、L2、L3が並列で接続されている。LED照明システムにおいて、LED照明灯具L1、L2、L3は、メカニカルスイッチ又はMOS等の半導体スイッチング素子等で選択的に点灯させることが可能な構成である。
【0052】
図2Aに示すLED照明システムにおいて、LED照明灯具L1のみを点灯させる場合があるとする。位相制御式調光器2がオンになったとき、LED照明システムにおいて、LED照明灯具L1のみにLED駆動電流が供給されている。
【0053】
LED照明灯具L1のインピーダンス検出部7は位相制御式調光器2のインピーダンス値を検出する。このとき、他のLED照明灯具L2、L3は点灯されておらず、これらのLED照明灯具L2、L3ではインピーダンスの調整(低下)を行っていない。この状態において、LED照明灯具L1のインピーダンス検出部7は検出したインピーダンス値より、LED照明灯具L2、L3でインピーダンスの調整(低下)が行われていないと判断する。
【0054】
インピーダンス検出部7は、他のLED照明灯具L2、L3ではインピーダンスの調整(低下)を行っていないと判断すると、LED照明灯具L1のインピーダンス調整部6に調整信号を送る。インピーダンス調整部6は、調整信号を受信するとその信号に基づいて、インピーダンスを調整し(低下させ)、インピーダンス調整部6に電流が流れるようにし(電流を引き抜き)、調光の安定性向上を行う。
【0055】
このインピーダンス調整部6によるインピーダンスの調整値は、インピーダンス調整部6に電流を流すことで、位相制御式調光器2のトライアックTri1が保持電流を維持できる値に設定されている。
【0056】
また、LED照明システムでは、LED照明灯具L2又はL3の少なくとも一つが点灯中に、LED照明灯具L1を点灯させる場合もある。例えば、LED照明灯具L2が点灯中にLED照明灯具L1を点灯させるとすると、LED照明灯具L2はすでに点灯しているので、インピーダンスの調整(低下)が行われている。
【0057】
このとき、LED照明灯具L1のインピーダンス検出部7は、位相制御式調光器2のインピーダンスを検出する。LED照明灯具L2でインピーダンス調整(低下)が行われているので、インピーダンス検出部7は検出したインピーダンス値より、LED照明灯具L1以外の照明灯具(ここではLED照明灯具L2)でインピーダンス調整(低下)が行われていると判断し、インピーダンス調整部6に調整信号を送らない。これにより、インピーダンス調整部6はインピーダンスの調整(低下)を行わず、LED照明灯具L1において、調光の安定化のための電流の引き抜きが行われない。
【0058】
このように、一台の位相制御式調光器2に複数台のLED照明灯具L1、L2、L3が接続されているとき、複数台のLED照明灯具L1、L2、L3のそれぞれでインピーダンス調整(低下)が行われることを回避し、不要な電力損失を低減することが可能である。
【0059】
なお、上述の例では、1台の位相制御式調光器2に3台の本発明にかかるLED照明灯具が接続されているものについて説明したが、これに限定されるものではなく、2台の本発明にかかるLED照明灯具又は4台以上の本発明にかかるLEDが接続されていてもよい。
【0060】
また、例えば、LED照明灯具L1、L2、L3の全てが点灯状態から、LED照明灯具L2、L3が消灯される場合もある。そして、LED照明灯具L1でインピーダンスの調整(低下)を行っていないときについて説明する。
【0061】
LED照明灯具L1のインピーダンス検出部7は、インピーダンスの検出を行っている。LED照明灯具L2、L3が消灯されると、インピーダンス検出部7は検出したインピーダンスに基づいて、他のLED照明灯具L2、L3のいずれかで行われていたインピーダンスの調整(低下)が行われなくなったと判断する。そこで、インピーダンス検出部7は、インピーダンス調整部6に調整信号を送る。インピーダンス調整部6の動作は上述したものと同じであるので省略する。以上のように、インピーダンス検出部7を備えていることで、位相制御式調光器2のインピーダンスの調整(低下)を確実に行うことができ、調光が不安定になるのを抑制することができる。また、必要に応じてインピーダンスの調整(低下)を行うので、不要な損失電力を低減することも可能である。
【0062】
また、図2B、図2Cは図2AのLED照明システムの他の例を示す図である。図2Bに示すように、LED照明システムでは、3台の照明灯具のうち、1台が本発明にかかるLED照明灯具L1で、残り2台のうち、1台が本発明のLEDと別の構成のLED照明灯具Lo、残りが白熱電球H1である。
【0063】
以上の構成のLED照明システムで、別のLED照明灯具Lo又は白熱電球H1の少なくとも一方が点灯中に、LED照明灯具L1が点灯する場合、インピーダンス検出部7は位相制御式調光器2のインピーダンス値を検出する。インピーダンス検出部7は、検出したインピーダンス値より、別のLED照明灯具Lo及び(又は)白熱電球H1によってインピーダンスが調整(低下)されていると判断し、インピーダンス調整部6への調整信号の送信が行われず、インピーダンス調整部6はインピーダンスの調整(低下)を行わない。これにより、調光を安定化させることができるとともに、不要な電力損失を抑えることが可能である。
【0064】
また、図2Cに示すようにLED照明システムに本発明にかかるLED照明灯具L1と2台の白熱電球H1、H2とが接続されている場合もある。この場合も、図2Bに示す場合と同様に、LED照明灯具L1のインピーダンス検出部7は、検出したインピーダンス値に基づいて、白熱電球H1及び(又は)白熱電球H2によってインピーダンスが調整(低下)されているかどうか判断する。インピーダンス検出部7は、インピーダンスが調整(低下)されていないと判断したとき、インピーダンス調整部6に調整信号を送る。そして、インピーダンス調整部6は、インピーダンスの調整(低下)を行い、電流の引き抜きを行う。インピーダンス検出部はインピーダンスが調整(低下)されていると判断したとき、インピーダンス調整部6に調整信号を送らない。すなわち、不要なインピーダンス調整(低下)を行わない。
【0065】
以上のように本発明にかかるLED照明システムでは、調光を安定化させることができるとともに、不要な電力損失を低減することが可能である。なお、以下の各実施形態は、本発明にかかるLED駆動回路についてであるが、各LED駆動回路は、上述のLED照明システム、LED照明灯具に利用可能であることはいうまでもない。
【0066】
(第3の実施形態)
次に本発明にかかるLED駆動回路の一例について図面を参照して説明する。図3Aは本発明にかかるLED駆動回路の一例を示す図である。なお、図3Aにおいて図13と同一の部分には同一の符号を付し詳細な説明を省略する。図3Aに示すLED駆動回路4Aは、インピーダンス調整部6Aを備えている。インピーダンス調整部6Aは、n型MOSFET61と、抵抗62とを備えている。抵抗62はn型MOSFET61のドレイン電極に接続されている。そして、n型MOSFET61のゲート電極には、制御回路64が接続している。
【0067】
n型MOSFET61は通常OFF状態であり、ドレイン−ソース間に電流が流れていない。一方で、n型MOSFET61は、制御回路64からの調整信号(電圧信号)をゲート電極に受けることでオンになり、ドレインソース間に電流が流れる。すなわち、インピーダンス調整部6のインピーダンスが低下する。
【0068】
インピーダンス検出部7は位相制御式調光器2のインピーダンスを検出し、検出したインピーダンス値を表す信号を制御回路64に送出する。制御回路64は、LED照明システム(他の照明灯具、図2A〜2C等参照)でインピーダンスが調整(低下)されているかどうか判断する。制御回路64は、LED照明システムでインピーダンスが調整(低下)されていると判断したとき、制御回路64は、n型MOSFET61のゲート電極に調整信号を送る。これにより、n型MOSFET61はオンになり、ドレイン−ソース間に電流が流れ、インピーダンス調整部6Aのインピーダンス値が低下する。
【0069】
一方で、制御回路64が、インピーダンス検出部7が検出したインピーダンス値に基づいて、LED照明システムでインピーダンス調整(低下)が行われていないと判断すると、制御回路64は調整信号の送出を行わない。これにより、n型MOSFET61はオフ状態を維持するので、インピーダンス調整部6Aではインピーダンスの調整(低下)が行われない。
【0070】
以上のことより、LED駆動回路4Aでは、インピーダンス調整部6Aに不要な電流を流すのを抑制することができる。また、LED照明システムにおいて、制御回路64で、インピーダンスの調整(低下)が必要か不要か判断している。これにより、LED駆動回路4Aを用いることで、調光を安定化させることができるとともに、不要な損失電力を低減することが可能である。
【0071】
本実施形態にかかるLED駆動回路の一例の回路図を図3Bに示す。図3Bに示すように、制御回路64は、コンパレータEAの非反転側端子に電圧源VAからの信号が、反転側端子にインピーダンス検出部7からの信号(インピーダンス値を表す信号)が入力されている。インピーダンス検出部7からの信号で強制的にコンパレータEAからLOW信号を出力する構成となっている。
【0072】
なお、本実施形態では、制御回路64がインピーダンス調整部6Aの外部に形成されているものとしているが、制御回路64がインピーダンス調整部6Aに含まれる構成(例えば、ICパッケージ等)としてもよい。
【0073】
(第4の実施形態)
次に本発明にかかるLED駆動回路の一例について図面を参照して説明する。図4Aは本発明にかかるLED駆動回路の一例を示す図である。なお、図4Aにおいて図3と同一の部分には同一の符号を付し詳細な説明を省略する。図4Aに示すLED駆動回路4Bは、インピーダンス調整部6Bと、インピーダンス検出部7とを備えている。
【0074】
インピーダンス調整部6Bはインピーダンス調整部6Aと同様、n型MOSFET61と、抵抗62とを組み合わせた構成になっている。そして、インピーダンス調整部6Bに流れる電流値を検出する電流検出回路63と、n型MOSFET61を動作させる制御回路65とを備えている。
【0075】
インピーダンス検出部7は、検出したインピーダンス値の情報を含む調整信号を制御回路65に送信する。インピーダンス調整部6Bのゲート電極には、制御回路65が接続されている。制御回路65には、電流検出回路63が検出したインピーダンス調整部6Bの電流値の信号と、インピーダンス検出部7が検出したインピーダンス値の情報を含む調整信号とが入力されている。
【0076】
制御回路65は、インピーダンス検出部7より調整信号を受けると、インピーダンス値よりインピーダンスの調整(低下)が必要かどうか判断する。制御回路はインピーダンスの調整(低下)が必要であると判断すると、n型MOSFET61のゲート電極に駆動信号を送りn型MOSFET61をオンにする。このとき、インピーダンス調整部6Bには電流が流れる。このインピーダンス調整部6Bに流れている電流値は、電流検出回路63で検出されており電流値の信号として制御回路65に送られている。
【0077】
制御回路65は、電流検出回路63から受信した信号より、インピーダンス調整部6Bに流れる電流値を検知し、調光の安定化に必要な電流値と比較する。制御回路65は、インピーダンス調整部6Bに流れる電流値が調光の安定化に必要な電流値と略同じであると判断した場合、現在の駆動信号をn型MOSFET61のゲート電極に送り続ける。一方、インピーダンス調整部6Bに流れる電流値が、調光の安定化に必要な電流よりも大きい場合、制御回路65は、n型MOSFET61に送る駆動信号を変化させ(ゲート電圧を下げ)、n型MOSFET61に流れる電流が制限し、インピーダンス調整部6Bのインピーダンスが増大する。
【0078】
なお、LED駆動回路4Bでは、通常、確実に調光の安定化を図るため、インピーダンス調整部6Bのインピーダンスを大きく低下させることが多い。LED駆動回路4Bの特性より制御回路65はインピーダンス調整部6Bに流れる電流値が、安定化に必要な電流値と同じか大きいと仮定してインピーダンス調整部6Bに調整信号を送っているが、インピーダンス調整部6Bに流れる電流値が安定化に必要な電流値よりも小さい場合も考慮して駆動信号を送るようにしてもよい。
【0079】
LED照明システムにおいて、(例えば、他の照明灯具で)インピーダンスの調整(低下)がなされている場合、インピーダンス検出部7から送られてきた調整信号より、制御回路65はインピーダンスの調整(低下)が不要であると判断する。制御回路65は、n型MOSFET61に駆動信号を送出しない。この状態において、n型MOSFET61はオフ状態のままであり、インピーダンス調整部6Bはインピーダンスが高いままで、電流が流れない。
【0080】
以上に示したように、LED駆動回路4Bによると、インピーダンスを調整(低下)する必要がある場合であっても、調光を安定させるための電流が必要以上に流れるのを抑制することが可能である。LED駆動回路4Bを用いることで、調光を安定化させることができるとともに、不要な損失電力を低減することが可能である。
【0081】
図4Bに示すように、インピーダンス調整部60Bとして、MOSスイッチ601と、コンデンサ602とを用いた構成としてもよい。この構成の場合、制御回路65でMOSスイッチ601を動作させ、コンデンサ602を開放状態とすることで、インピーダンス調整部60Bのインピーダンスを上昇させ、インピーダンス調整部60Bを流れる電流値を低減することが可能である。
【0082】
なお、LED駆動回路4Bにおいて、電流検出回路63、制御回路65がインピーダンス調整部の一部であるとしているが、これに限定されるものではなく、インピーダンス調整部とは別に備えられていてもよい。
【0083】
(第5の実施形態)
図5は本発明にかかるLED駆動回路のさらに他の例を示す図である。なお、図5において図3と同一の部分には同一の符号を付し詳細な説明を省略する。図5に示すLED駆動回路4Cは、インピーダンス調整部6Cと、インピーダンス検出部7とを備えている。
【0084】
インピーダンス調整部6Cはインピーダンス調整部6Aと同様、n型MOSFET61と、抵抗62とを組み合わせた構成になっている。そして、インピーダンス調整部6Cは、LED電流制御回路5に駆動電力を供給する電力供給ラインLN1の電流値を検出する電流検出回路66と、n型MOSFET61を動作させる制御回路65とを備えている。また、インピーダンス検出部7は、位相制御式調光器2のインピーダンス値を検出し、その値を表す調整信号を制御回路65に送信する。
【0085】
インピーダンス調整部6Cのゲート電極には、制御回路65が接続されている。制御回路65には、電流検出回路66が検出した電力供給ラインLN1の電流値の信号と、インピーダンス検出部7が検出したインピーダンス値の信号とが入力される。
【0086】
制御回路65は、インピーダンス検出部7からの調整信号と、電流検出回路66からのLED駆動電流の電流値の信号とに基づいて、インピーダンス調整部6Cでのインピーダンスの調整(低下)が必要であるか判断する。制御回路65は、インピーダンスの調整(低下)が必要であると判断すると、n型MOSFET61のゲート電極に駆動信号を送りn型MOSFET61をオンにする。このとき、インピーダンス調整部6Cには電流が流れる。
【0087】
たとえば、LED駆動回路4Cにおいて、LEDモジュール3を低輝度で調光する場合がある。このとき、LEDモジュール3を駆動するためのLED駆動電流の電流値が小さく、電力供給ラインLN1に流れる電流の電流値も小さくなる、すなわち、LED駆動回路4Cを流れる電流の電流値が小さくなる。LED駆動回路4Cに流れる電流の電流値が小さいと、位相制御式調光器2のトライアックTri1に流れる電流値を、トライアックTri1の保持電流値に維持することが難しい。
【0088】
そこで、インピーダンス調整部6Cは、電流検出回路66で電力供給ラインLN1に流れる電流値を検出し、その電流値を制御回路65に送る。そして、制御回路65は、電力供給ラインLN1に流れている電流の電流値が、トライアックTri1が保持電流を維持可能な電流値であるかどうか判断し、トライアックTri1が保持電流の維持が困難であると判断したときは、n型MOSFET61のゲート電極に駆動信号を送信し(電圧を印加し)、n型MOSFET61のドレイン−ソース間に電流を流す(増やす)。
【0089】
n型MOSFET61に電流が流れる(増える)ことで、電力供給ラインLN1に流れる電流を増やすことができ、トライアックTri1に保持電流値の電流を流すことができる。なお、制御回路65は、電流検出回路66からの電流値によって、調整信号(電圧)を調整し、n型MOSFET61に流れる電流を調整(インピーダンス調整部6Cのインピーダンスを調整)している。
【0090】
すなわち、電力供給ラインLN1を流れる電流値が、トライアックTri1に保持電流を流すために必要な電流値と略同じ場合、制御回路65は、n型MOSFET61に流れる電流値を維持するため、現在の駆動信号をn型MOSFET61のゲート電極に送り続ける。一方、電力供給ラインLN1を流れる電流値が、トライアックTri1に保持電流を流すために必要な電流値よりも大きい場合、制御回路65は、n型MOSFET61に送る調整信号を変化させ(ゲート電圧を下げ)、n型MOSFET61に流れる電流を制限する。このようにして、インピーダンス調整部6Cはインピーダンスの調整を行う。
【0091】
また、制御回路65は、インピーダンス検出部7からの調整信号も受信している。インピーダンス検出部7から受信した調整信号より、位相制御式調光器2に接続されている他の照明灯具でインピーダンスの調整(低下)が行われていると判断したときは、n型MOSFET61のゲート電極に駆動信号を送信せず、n型MOSFET61をオフの状態で維持する。
【0092】
なお、LED駆動回路4Cでは、通常、確実に調光の安定化を図るため、インピーダンスを調整(低下)させるとき、インピーダンス調整部6Cのインピーダンスを大きく低下させることが多い。LED駆動回路4Cの特性より制御回路65はLED駆動電流の電流値が、安定化に必要な電流値と同じか大きいと仮定してインピーダンス調整部6Cに駆動信号を送っているが、LED駆動電流の電流値が安定化に必要な電流値よりも小さい場合も考慮してインピーダンスを下げる駆動信号を送るようにしてもよい。
【0093】
以上に示したように、LED駆動回路4Cによると、インピーダンスを調整(低下)する必要がある場合であっても、調光を安定させる電流の電流値を低減することが可能である。これにより、LED駆動回路4Cを用いることで、調光を安定化させることができるとともに、不要な損失電力を低減することが可能である。
【0094】
なお、LED駆動回路4Cにおいて、電流検出回路66、制御回路65がインピーダンス調整部の一部であるとしているが、これに限定されるものではなく、インピーダンス調整部とは別に備えられていてもよい。
【0095】
(第6の実施形態)
図6Aは本発明にかかるLED駆動回路のさらに他の例を示す図である。なお、図6Aにおいて図1と同一の部分には同一の符号を付し詳細な説明を省略する。図6Aに示すLED駆動回路4Dは、インピーダンス調整部6Dと、インピーダンス検出部7Dとを備えている。
【0096】
図6Aに示すように、インピーダンス検出部7Dは、電流引き抜き回路71と、インピーダンス検出回路72とを備えている。電流引き抜き回路71は、位相制御式調光器2がオンしたとき、トライアックTri1に流れる電流の振動を検出する回路である。電流引き抜き回路71は、短い時間(例えば200μs)に電流が流れる回路である。電流引き抜き回路71は、例えば、従来のオフ時インピーダンス調整部と同じ構成とすることができる。そして、インピーダンス検出回路72は、電流引き抜き回路71に流れる電流値に基づいて、インピーダンスを検出する。
【0097】
例えば、LED照明システムにLED駆動回路4Dを含むLED照明灯具だけが接続されている場合、或いは、複数台接続されている照明灯具のうち、LED駆動回路4Dを含むLED照明灯具だけが点灯される場合がある。
【0098】
この場合、位相制御式調光器2のトライアックTri1に流れる電流が振動し、LED駆動回路4Dを含むLED照明灯具のインピーダンスが大きく低下する。これにより、電流引き抜き回路71に電流が流れる。インピーダンス検出回路72は、電流引き抜き回路71に流れた電流と、予め与えられている基準電流とを比較することで、位相制御式調光器2のオンによって、LED駆動回路4Dを含むLED照明灯具だけの点灯かどうか判断する。インピーダンス検出回路72は、LED駆動回路4Dを含むLED照明灯具だけがオンになったと判断したとき、LED照明灯具インピーダンス調整部6に調整信号を送出し、インピーダンスは低下する。これにより、位相制御式調光器2がオンになったときの共振によるちらつきや点滅を抑えることができる。
【0099】
また、インピーダンス検出回路72がLED駆動回路4Dを含むLED照明灯具以外の照明灯具が予めオンになっていたと判断した場合、インピーダンス検出回路72は、他の照明灯具でインピーダンスの調整(低下)の操作が行われていると判断し、インピーダンス調整部6に調整信号を送らない。インピーダンス調整部6Dではインピーダンスの調整(低下)が行われない。
【0100】
このように、インピーダンス検出部7Dからの調整信号に基づいて、インピーダンス調整部6がインピーダンスの調整を行うので、調光を安定化させることができるとともに、不要な電力損失を低減することが可能である。
【0101】
図6Aに示すLED駆動回路の一例の回路図を図6Bに示す。図6Bに示すように、LED駆動回路4Dは、インピーダンス調整部6、電流引き抜き回路71、インピーダンス検出回路72とを備えている。上述しているように、電流引き抜き回路71とインピーダンス検出回路72とは、インピーダンス検出部7Dに備えられている。
【0102】
電流引き抜き回路71は、LED駆動回路4Dのドライバ電圧と電圧源VA2の電圧とを比較しており、ドライバ電圧の電圧値が電圧源VA2の電圧値(例えば10Vとする)を超えたとき、コンパレータEA2はHIGH信号を出力する。コンパレータEA2からの出力信号は、パルス回路PLに入力されている。パルス回路PLは入力信号がLOWからHIGHに変化したとき、一定時間HIGH信号を出力する回路である。なお、電流引き抜き回路71において、パルス回路PLは入力信号がLOWからHIGHに変わった一瞬(短い時間、例えば、200μs程度)、HIGH信号を出力する回路である。すなわち、電流引き抜き回路71では、ドライバ電圧が電圧源VA2の電圧を超えた一瞬、抵抗RA4を通じて電流を引き抜く。
【0103】
インピーダンス検出回路72は、ラッチ回路L1とアンド回路AN2とを備えている。アンド回路AN2には、コンパレータEA3からのインピーダンス値を表す信号と、パルス回路PLからのパルス信号が入力されている。そして、アンド回路AN2の出力は、ラッチ回路L1のセット端子に入力されている。
【0104】
そして、LED駆動回路4Dのインピーダンスが高ければ、コンパレータEA3の反転入力端子に入力される電圧が下がり、電圧源VA3よりも低くなる。これにより、コンパレータEA3からHIGH信号が出力される(なお、電圧源VA3の電圧値をVとする)。一方で、電流引き抜き回路71で電流を引き抜いたとき、LED駆動回路4Dのインピーダンスが低ければ、コンパレータEA3の反転入力端子に入力される電圧が下がらず、電圧源VA3よりも高くなり、コンパレータEA3からLOW信号が出力される。
【0105】
インピーダンス検出回路72では、電流引き抜き回路71で電流を引き抜いたとき(パルス回路PLがHIGH信号を出力している期間)、LED駆動回路4Dのインピーダンスが高ければ、パルス回路からの信号及びコンパレータEA3からの信号がともにHIGH信号となり、アンド回路AN2からHIGH信号が出力される。アンド回路AN2からのHIGH信号はラッチ回路L1のセット端子に送出され、ラッチ回路L1からHIGH信号が出力される。逆に、電流引き抜き回路71で電流を引き抜いたとき、LED駆動回路4Dのインピーダンスが低ければ、コンパレータEA3からのLOW信号が出力され、ラッチ回路L1からHIGH信号が出力されない。
【0106】
すなわち、LED駆動回路4Dでは、電流を引き抜いたとき、LED駆動回路4Dのインピーダンスが高ければ(LED駆動回路4Dのドライバ電圧が低くければ)、インピーダンス調整部6のn型MOSFET61がオンになりインピーダンスの調整(低下)が行われる。逆に、電流を引き抜いたとき、LED駆動回路4Dのインピーダンスが低ければ8LED駆動回路のドライバ電圧が高ければ)、インピーダンス調整部6Dのn型MOSFET61がオンにならない。なお、ラッチ回路L1はLED駆動回路4Dのドライバ電圧が0Vになるときリセットされる回路であり、ラッチ回路L1は交流の周期でリセットされる。
【0107】
図6Cに示すように、LED駆動回路40Dが、インピーダンス調整部60Eとインピーダンス検出部70Dとを備えていてもよい。図6Cに示すように、LED駆動回路40Dはインピーダンス検出部70Dがインピーダンス調整部60Dのインピーダンス値を検出できる構成を有している。また、インピーダンス調整部60Dは、短い時間(200μs)にインピーダンスの調整(低下)を行い、電流を流すように動作することが可能になっている。インピーダンス検出部70Dは、インピーダンス調整部60Dが短時間にインピーダンス調整を行ったときにインピーダンス値を検出し、そのインピーダンス値に基づいて、インピーダンス調整部60Dのインピーダンスの調整(低下)を行う。
【0108】
図6Cに示すLED駆動回路の一例の回路図を図6Dに示す。図6Dに示すLED駆動回路40Dは、図6Bに示すLED駆動回路4Dのうち、インピーダンス調整回路の一部、抵抗62とn型MOSFET61とが電流引き抜き回路の一部として利用される。インピーダンス検出部70Dからの信号又はパルス回路PLの出力信号でn型MOSFET61をオンにするために、電流引き抜き回路及びインピーダンス検出部70Dからの信号が入力するオア回路OR1を備えている。n型MOSFET61は、電流引き抜き回路及びインピーダンス検出部70Dのいずれか一方がHIGHのとき、オンになる。なお、電流引き抜き回路及び電流検出回路は同じ構成を有しているので詳細な説明を省略する。
【0109】
この構成のLED駆動回路40Dでも、図6A、図6Bの構成と同様に、インピーダンス検出部70Dからの調整信号に基づいて、インピーダンス調整部60Dがインピーダンスの調整を行うので、調光を安定化させることができるとともに、不要な電力損失を低減することが可能である。
【0110】
(第8の実施形態)
図7は本発明にかかるLED駆動回路の他の例を示す図である。なお、図7において図1と同一の部分には同一の符号を付し詳細な説明を省略する。図7に示すLED駆動回路4Eは、インピーダンス検出部7Eによるインピーダンス検出のタイミングを制御する検出タイミング調整部8を備えている。
【0111】
図7に示す、検出タイミング調整部8は、位相制御式調光器2がオンになってから一定の時間経過後に検出開始信号をインピーダンス検出部7Eに送出する。インピーダンス検出部7Eは検出開始信号の受信を受信することで、位相制御式調光器2のインピーダンスの検出を開始する。
【0112】
たとえば、図2Aに示すような、LED照明灯具L1、L2、L3が接続されているLED照明システムでは、各LED照明灯具L1、L2、L3にLED駆動回路4が備えられている。LED駆動回路4には、インピーダンス検出部7が備えられており、インピーダンス検出部7が、検出したインピーダンス値より、他のLED照明灯具に備えられているインピーダンス調整部6でインピーダンスの調整(低下)が行われているかどうか判断し、必要に応じてインピーダンス調整部6でインピーダンスの調整(低下)を行っている。
【0113】
LED照明システムでは、いずれか一つのLED照明灯具でインピーダンスの調整(低下)を行うようになっている。この構成の場合、インピーダンス検出部7でインピーダンスを検出するとき、他のLED照明灯具において、インピーダンスの調整(低下)が行われている場合、1台のLED照明灯具でのみ、インピーダンスの調整(低下)を行うことが可能である。
【0114】
しかしながら、少なくとも2台のLED照明灯具を同時に点灯し、異なるLED照明灯具に備えられたインピーダンス検出部7で同時にインピーダンス値を検出した場合、それぞれのインピーダンス検出部7では、インピーダンスの調整(低下)が行われていることを検出できず、それぞれのLED照明灯具に含まれるインピーダンス調整部6でインピーダンスの調整(低下)を行う。これにより、それぞれのLED照明灯具でインピーダンス調整部6に電流が流れ、不要な損失電流を低減することが困難になる。
【0115】
そこで、各LED照明灯具L1、L2、L3にLED駆動回路4Eを搭載することで、各LED照明灯具L1、L2、L3のインピーダンス検出部7Eのインピーダンス検出開始のタイミングをずらしている。例えば、LED駆動回路4Eの検出タイミング調整部8から送出される検出開始信号の送信タイミングをLED照明灯具L1、L2、L3ごとにずらすことで、インピーダンス検出開始のタイミングをずらすことができる。
【0116】
図面を参照して具体的に説明する。図8Aは位相制御式調光器から出力される電圧の時間による変化を示すグラフであり、図8BはLED照明灯具の検出タイミング調整部からインピーダンス検出部に送られる検出開始信号のタイミングを示す図である。LED照明灯具L1において検出タイミング調整部8からインピーダンス検出部7Eに検出開始信号を送出するタイミングを基準時(例えば、点灯操作開始)から時間t1後、同じく、LED照明灯具L2では時間t2後、同じく、LED照明灯具L3では時間t3後(t1<t2<t3)とする。なお、時間t1、t2、t3はLED駆動回路の電圧が急激に増大する前、すなわち、位相制御式調光器2がオンになる前である。
【0117】
図8Aに示すように、LED照明灯具L1、L2、L3が同時点灯されると、すなわち、位相制御式調光器2より、全てのLED照明灯具L1、L2、L3に同時にLED駆動電流が供給される。このとき、図8Bに示すように、位相制御式調光器2から電流が供給される前に(タイミングt1)LED照明灯具L1で検出タイミング調整部8からインピーダンス検出部7Eに検出開始信号が送出される。LED照明灯具L1において、インピーダンス検出部7Eは、位相制御式調光器2のインピーダンスを検出する。このとき、LED照明灯具L2、L3ではインピーダンスの調整(低下)が行われていないので、インピーダンス検出部7Eはインピーダンス調整部6に調整信号を送る。インピーダンス調整部6は調整信号を受け取ると、インピーダンスの調整(低下)を行う。このようにして、LED照明灯具L1でインピーダンスの調整(低下)が行われる。
【0118】
一方、LED照明灯具L2、L3では、インピーダンス検出のタイミングがLED照明灯具L1よりも後(時間t2、t3)なので、LED照明灯具L1でインピーダンス調整(低下)が行われた後にインピーダンス検出が行われる。これにより、LED照明灯具L2、L3では、インピーダンス検出部7Eが、すでに、LED照明灯具L1でインピーダンスの調整(低下)が行われていると判断し、調整信号を送出しない、すなわち、インピーダンス調整(低下)を行わない。このようにして、複数台のLED照明灯具を同時点灯する場合でも、調光を安定化させることができるとともに、不要な損失電力を低減することが可能である。
【0119】
なお、上述の例では、LED駆動回路4Eの検出タイミング調整部8は、予め決められたタイミングで検出開始信号を送出するものとしているが、任意に設定できる構成としてもよい。このとき、開始のタイミング(時間)を自由に設定できるようにしてもよく、予め決められたタイミングより選択するようにしてもよい。また、複数台のLED照明灯具を接続する場合において、1台は検出タイミング調整部8を備えていないLED駆動回路(例えば、LED駆動回路4)としてもよい。検出タイミング調整部8を備えていないことで、位相制御式調光器2のオンと同時にインピーダンス検出部がインピーダンスを検出するので、検出タイミング調整部8を備えるLED照明灯具よりも早いタイミングでインピーダンスの検出を開始するので重なることはない。
【0120】
(第9の実施形態)
図9は本発明にかかるLED駆動回路の他の例を示す図である。なお、図9において図1と同一の部分には同一の符号を付し詳細な説明を省略する。図9に示すLED駆動回路4Fは、インピーダンス検出部7Fを備えている。
【0121】
図9に示すように、LED駆動回路4Fは、出力保持回路81を備えている。インピーダンス検出部7Fは、検出したインピーダンス値よりインピーダンス調整(低下)が必要か判断し、その判断結果を表す信号を出力保持回路81に送出する。出力保持回路81は、インピーダンス検出部7Fから出力された信号を受け、インピーダンス調整(低下)が必要であるときは、インピーダンス調整部6に調整信号を送出する。出力保持回路81は、調整信号を保持する機能を有しており、インピーダンス検出部72からの信号の入力が無くても、同じ調整信号を送出しつづける。また、調整信号の保持はLED照明灯具にかかる電源がオフになる、位相制御式調光器2がオフになるまで行われる。
【0122】
また、インピーダンス調整(低下)が不要であるときは、出力保持回路81は、調整信号の送出を行わない。出力保持回路81は、インピーダンス検出部72からの信号の入力が無くても、調整信号の送出を行わない(停止)状態を維持する。
【0123】
このように、出力保持回路81を備えることで、インピーダンス検出部7Fは1度、インピーダンスを検出するだけでよい。これにより、インピーダンス検出に要する電流の消費を抑えることができ、不要な電力損失を低減することが可能である。
【0124】
また、インピーダンス検出部7Fが、周期的にインピーダンスを検出し、出力保持回路81に送り、出力保持回路81は送られてくる信号に基づいて、調整信号を変更するようにしてもよい。このようにすることで、インピーダンス調整部6で調整されるインピーダンス値を適切なものとすることができる。これにより、調光の安定化を高めることができる。
【0125】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0126】
(本発明にかかるLED照明灯具)
最後に本発明にかかるLED照明灯具の概略構造について説明する。図10は本発明にかかるLED照明灯具、本発明にかかるLED照明機器、及び本発明にかかるLED照明システムの概略図である。図10では、電球型の本発明にかかるLED照明灯具200を部分切り欠き図で示している。図10に示す電球型の本発明にかかるLED照明灯具200は、筐体又は基板202と、筐体又は基板202の正面(電球型の頭部側)に設置された1個以上のLEDからなるLEDモジュール201と、筐体又は基板202の背面(電球型の下部側)に設置された回路203とを内部に備えている。回路203には、例えば上述した本発明にかかるLED駆動回路の各例を用いることができる。なお、回路203は、上述した本発明にかかるLED駆動回路の各例に限定されず、位相制御式調光器2のインピーダンスを検出して、その検出したインピーダンス値に基づいてインピーダンスの調整(低下)を行う回路を少なくとも備えた回路構成であればよいことはいうまでもない。
【0127】
電球型の本発明にかかるLED照明灯具200がねじ込まれて装着されるLED照明灯具装着部300と、ライトコントロール器(位相制御式調光器)400とが、交流電源1に直列に接続される。電球型の本発明にかかるLED照明灯具200とLED照明灯具装着部300によって、LED照明機器(シーリングライト、ペンダントライト、キッチンライト、ダウンライト、スタンドライト、スポットライト、フットライト等)が構成される。そして、電球型の本発明にかかるLED照明灯具200と、LED照明灯具装着部300と、ライトコントロール器400とによって、本発明にかかるLED照明システム500が構成される。LED照明灯具装着部300は例えば居室内の天井壁面に配設され、ライトコントロール器400は例えば居室内の側方壁面に配設される。
【0128】
電球型の本発明にかかるLED照明灯具200がLED照明灯具装着部300に対して着脱自在であるため、例えば、従来は白熱灯、蛍光灯等の照明灯具を用いていた既存の照明機器及び照明システムにおいて、白熱灯、蛍光灯等の照明灯具を電球型の本発明にかかるLED照明灯具200に交換するだけで、位相制御式調光器の調光を安定化させることができるとともに、不要な損失電力を低減することが可能である。
【0129】
図10では、ライトコントロール器400が図1中の位相制御式調光器である場合のライトコントロール器400の外観を図示しており、ツマミ式ボリュームにより調光の度合を変更できるようにしている。なお、ツマミ式に代えて、スライド式ボリュームにより調光の度合を変更できるようにしてもよいことはいうまでもない。
【0130】
また、上述では、前記ライトコントロール器400としてツマミ式ボリュームやスライド式ボリュームにより使用者が直接操作するものを挙げているが、これに限定されず、リモートコントローラ等の無線信号により使用者が遠隔操作するものであってもよい。すなわち、受信側である前記ライトコントロール器本体に無線信号受信部を設け、送信側である送信機本体(例えば、リモコン送信機、携帯端末等)に前記無線信号受信部へライトコントロール信号(例えば、調光信号、ライトON/OFF信号等)を送信する無線信号送信部を設けることで遠隔操作できる。
【0131】
本発明にかかるLED照明システムの他の例の概略構造について説明する。図11は本発明にかかるLED照明システムの概略図である。図11に示すように、LED照明システム501は、3個のLED照明灯具200と、3個のLED照明灯具装着部300と、1台のライトコントロール器401とを備えている。
【0132】
ライトコントロール器401は交流電源1と接続されているとともに、3個のLED照明灯具装着部300が並列に接続されている。ライトコントロール器401は交流電源1から、各LED照明灯具装着部300に電流を供給することができる。また、ライトコントロール器401は、1つの位相制御式調光器で、各LED照明灯具装着部300の調光を制御する構成となっている。なお、ライトコントロール器401は図示を省略しているが、LED照明灯具装着部300ごとに、調光できる構成となっている。
【0133】
3台のLED照明灯具装着部300のそれぞれにLED照明灯具200が装着される。このとき、LED照明灯具200は、内蔵されている回路203の動作により、位相制御式調光器の調光を安定化させ、不要な電力損失を抑えることが可能となっている。なお、LED照明灯具装着部300が3台に限定されないことはいうまでもない。そして、LED照明システム501では、LED照明灯具装着部300の少なくとも1台にLED照明灯具200が装着されていれば、残りのLED照明灯具装着部300には、白熱灯、蛍光灯等の既存の照明灯具が装着されていてもかまわない。
【0134】
以上に示した、本発明にかかるLED照明灯具は、電球型のLED照明灯具であったが、それに限定されるものではなく、例えば、図12に示すように、電灯型LED照明灯具600、環形のLED照明灯具700、又は直管型のLED照明灯具800であってもよい。いずれの形状にしても、LED照明灯具は、LEDと、位相制御式調光器2のインピーダンス検出を行い、検出したインピーダンス値に基づいて、インピーダンスの調整(低下)を行う回路を少なくとも内部に備えている。
【符号の説明】
【0135】
1 交流電源
2 位相制御式調光器
3 LEDモジュール
4 LED駆動回路
5 LED電流制御回路
6 インピーダンス調整部
61 n型MOSFET
62 抵抗
63 電流検出回路
64 制御回路
65 制御回路
7 インピーダンス検出部
71 電流引き抜き回路
72 インピーダンス検出回路
8 検出タイミング調整部
81 出力保持回路
200 LED照明灯具
300 LED照明灯具装着部
400 ライトコントロール器(位相制御式調光器)
500 LED照明システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位相制御式調光器に接続可能であり、交番電圧を入力してLEDを駆動するLED駆動回路であって、
前記位相制御式調光器のインピーダンス値を検出するインピーダンス検出手段と、
前記インピーダンス検出手段で検出されたインピーダンス値に基づいて前記LED駆動回路のインピーダンスを調整するインピーダンス調整手段とを備えていることを特徴とするLED駆動回路。
【請求項2】
前記インピーダンス検出手段は、前記インピーダンス調整手段に対し、前記インピーダンスを調整するための調整信号を出力する請求項1に記載のLED駆動回路。
【請求項3】
前記インピーダンス検出手段は一定期間後にインピーダンス検出を停止し、
前記インピーダンス検出手段によるインピーダンス検出が停止した後も、前記調整信号の出力を保持する保持手段を備えている請求項2に記載のLED駆動回路。
【請求項4】
前記調整信号がインピーダンス検出手段で検出されるインピーダンス値を表す信号であり、
前記インピーダンス調整手段は、前記調整信号と、前記インピーダンス調整手段を流れる電流値とに基づいて、インピーダンス調整値を決定する請求項2又は請求項3に記載のLED駆動回路。
【請求項5】
前記調整信号がインピーダンス検出手段で検出されるインピーダンス値を表す信号であり、
前記インピーダンス調整手段は、前記調整信号と、LEDに電力を供給する電力供給ラインに流れる電流とに基づいて、インピーダンス調整値を決定する請求項2又は請求項3に記載のLED駆動回路。
【請求項6】
前記位相制御式調光器には、複数台の照明灯具が接続可能となっており、
前記インピーダンス検出手段は、検出したインピーダンス値に基づいて、前記位相制御式調光器に他の照明灯具が接続されているか否か判別する請求項1から請求項5のいずれかに記載のLED駆動回路。
【請求項7】
前記インピーダンス検出手段は、内部に電流を流すことができる構成を有しており、
前記インピーダンス検出手段は、前記位相制御式調光器がオフのとき、内部に電流を流し、その電流値の変化によって、インピーダンス値を検出する請求項6に記載のLED駆動回路。
【請求項8】
前記インピーダンス検出手段は、前記位相制御式調光器がオフのとき、一定の期間、前記インピーダンス調整手段のインピーダンス調整量を変化させ、そのときの電流値の変化によってインピーダンス値を検出する請求項6に記載のLED駆動回路。
【請求項9】
前記インピーダンス検出手段が前記位相制御式調光器に複数台の照明灯具が接続されていると判別しているとき、
前記インピーダンス検出手段は、検出したインピーダンス値に基づいて前記位相制御式調光器に接続されている他の照明灯具でインピーダンスを調整しているか否か判別し、前記インピーダンス検出手段によって、他の照明灯具がインピーダンスを調整していないと判別されたとき、前記インピーダンス調整手段がインピーダンス調整を行う請求項6から請求項8に記載のLED駆動回路。
【請求項10】
前記インピーダンス調整手段は、少なくとも前記位相制御式調光器がオフのときにLED駆動回路のインピーダンスを調整する請求項1から請求項9のいずれかに記載のLED駆動回路。
【請求項11】
前記インピーダンス調整手段は、少なくとも前記位相制御式調光器がオンした後、一定の期間インピーダンスを調整する請求項1から請求項10のいずれかに記載のLED駆動回路。
【請求項12】
前記インピーダンス調整手段は、少なくとも前記位相制御式調光器が低輝度調光を行っているときにインピーダンスを調整する請求項1から請求項11のいずれかに記載のLED駆動回路。
【請求項13】
請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載のLED駆動回路と、LED駆動回路の出力側に接続されたLEDとを備えるLED照明灯具。
【請求項14】
複数個の照明灯具を備えており、
前記複数個の照明灯具のうち少なくとも一つが請求項13に記載のLED照明灯具であるLED照明機器。
【請求項15】
請求項14に記載のLED照明機器と、
位相制御式調光器とを備え、
前記位相制御式調光器の出力側に、前記複数個の照明灯具の入力側が並列接続されるLED照明システム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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