説明

LED駆動回路

【課題】LEDユニットの列がオープン状態となった場合でも、正常なLEDユニットの列に過大な電流が流れないようにしたことでLED寿命の維持を図る。
【解決手段】パルス幅変調回路18のスイッチング信号に基づき、DC/DCコンバータ12で電源11の電圧を降圧させる。コンバータ12の出力電圧Vdを、並列接続された第1および第2のLEDユニット13,14に供給して点灯させる。LEDユニット13,14に流れる電流を抵抗R1,R2で電圧に変換し、それぞれ電圧をOR回路16でオアをとって、LEDユニット13,14に流れる電流が一定となるようコンバータ12のトランジスタQを、オン・オフさせるパルス幅変調回路18からスイッチングパルスのデューティにより出力電圧Vdを制御している。抵抗R1,R2で変換された電圧はオアをとっていることから、LEDユニット13,14の何れかがオープン状態となっても一定の出力電圧Vdを得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数のLEDが直列接続されたLED回路が複数並列接続された状態で駆動するLED駆動回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のLED駆動回路は、図4に示すように、複数のLEDを直列に接続したLEDユニット11a〜11nを複数並列接続し、LEDユニット11a〜11nには定電圧回路からの電圧を供給して点灯させ、このときLEDユニット11a〜11nに流れる総電流を検出し、検出された総電流またはLEDユニット11a〜11n単位の平均電流が一定になるように制御している。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−134430公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1の技術は、列または複数列のLEDユニットがオープン状態となり電流が流れなくなった場合、流れなくなった分の電流が正常な他の列のLEDユニットに過大電流となって流れ、LEDの温度が上昇して短寿命の原因になってしまう、という問題があった。
【0005】
この発明の目的は、LEDユニットの列がオープン状態となった場合に、正常なLEDユニットの列に過大な電流が流れないようにしてLEDの温度上昇を抑えて、LEDの寿命の維持が図れるLED駆動回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するために、この発明のLED駆動回路は、スイッチング信号に基づき、入力直流電圧を降圧または昇圧させ、所望の直流電圧に変換して出力するコンバータと、前記コンバータの出力電圧を供給する複数のLEDを直列接続した第1のLEDユニットと、前記第1のLEDユニットと並列接続し、前記コンバータの出力電圧を供給する複数のLEDを直列接続した第2のLEDユニットと、前記第1および第2のLEDユニットに流れる電流を電圧に変換し、それぞれ電圧のオアをとって、前記第1および第2のLEDユニットに流れる電流が一定となるように前記コンバータの出力電圧を制御する制御手段と、を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、LEDユニットの列がオープン状態となった場合でも、正常なLEDユニットの列に過大な電流が流れないようにしたことでLEDの寿命を維持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明のLED駆動回路に関する一実施形態について説明するための回路構成図である。
【図2】この発明のLED駆動回路に関する他の実施形態について説明するための回路構成図である。
【図3】この発明の一実施形態の変形例について説明するための回路構成図である。
【図4】従来のLED駆動回路について説明するための回路構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
図1は、この発明のLED駆動回路に関する一実施形態について説明するための回路構成図である。
【0011】
図1において、11は直流電源であり、この電源11の正極は、MOS型のスイッチング用トランジスタQのソースを接続する。トランジスタQのドレインは、電源11から供給されるエネルギーを蓄えるインダクタLの一端に接続するとともに、アノードが基準電位点に接続された整流用のダイオードD1のカソードに接続する。インダクタLの他端は、平滑用のコンデンサCを介して基準電位点に接続する。トランジスタQ、インダクタL、ダイオードD1、コンデンサCは、トランジスタQのオン・オフに基づき入力直流電圧を降圧させ、所望の直流電圧に変換して出力するDC/DCコンバータ12を構成している。
【0012】
DC/DCコンバータ12の出力は、直列接続のLED(発光ダイオード)131〜131nから構成のLEDユニット13の最上の電圧が印加されるLED131nのアノードに、LEDユニット13に並列接続される直列接続のLED141〜141nから構成のLEDユニット14の最上の電圧が印加されるLED141nのアノードにそれぞれ接続される。
【0013】
LEDユニット13の最下の電圧が印加されるLED131のカソードは、抵抗R1を介して基準電位点に、LEDユニット14の最下の電圧が印加されるLED141のカソードは、抵抗R2を介して基準電位点にそれぞれ接続される。
【0014】
15は演算増幅器であり、この演算増幅器15の反転入力+は、基準電圧Vrefを介して基準電位点に接続される。演算増幅器15の非反転入力−には、LEDユニット13のLED131のカソードと抵抗R1との接続点にアノードが接続されたダイオードD2のカソードおよびLEDユニット14のLED141のカソードと抵抗R2との接続点にアノードが接続されたダイオードD3のカソードがそれぞれ接続される。
【0015】
ところで、ダイオードD2,D3は、OR回路16を構成しており、いずれか一方の出力が演算増幅器15の反転入力−に供給されている状態での演算増幅器15の出力は、負荷であるLEDユニット13,14は通常の状態にあると判断し、制御回路17に出力を供給する。
【0016】
そして演算増幅器15の出力は、制御回路17に供給し、ここで演算増幅器15の出力情報に基づいた制御パルスを生成し、パルス幅変調回路18に供給し、制御パルスのパルス幅に基づいたスイッチング信号をトランジスタQのゲートに供給する。
【0017】
なお、LEDユニット13,14の電流を電圧にそれぞれ変換し、これらをOR回路16でオアをとった電圧と基準電位Vrefとの演算を演算増幅器15で行い、演算増幅器15の出力情報に基づいた制御信号を制御回路17からパルス幅変調回路18に供給し、ここで制御信号に基づいたデューティのスイッチングパルスを生成し、トランジスタQのゲートに供給するルーチンで制御手段を構成している。
【0018】
ここで、図1の動作について説明する。トランジスタQは、電源11の直流電圧をパルス幅変調回路18の出力に基づいてスイッチングし、スイッチング出力を所定の直流電圧に変換して出力する。インダクタLは、トランジスタQがオンのときに電源11から電流が流れてエネルギーが蓄積される。トランジスタQがオフのとき、ダイオードD1を介してインダクタLに電流が流れ込み、一定の出力電圧Vdが維持される。また、コンデンサCにより、出力電圧Vdが平滑される。
【0019】
DC/DCコンバータ12の出力電圧Vdは、LEDユニット13,14に供給して電流を流し、これらを点灯する。LEDユニット13の131〜131nに流れた電流は、抵抗R1により電圧に変換し、ダイオードD2に介して演算増幅器15の反転入力−に、LEDユニット14の141〜141nに流れた電流は、抵抗R2により電圧に変換し、ダイオードD3に介して演算増幅器15の反転入力−にそれぞれ供給する。演算増幅器15は、反転入力−のOR回路16の出力電圧と非反転入力+の基準電圧Vrefとの比較を行い、演算増幅器15の出力が基準電圧Vrefに相当する定電圧が制御回路17に供給される。
【0020】
演算増幅器15の出力が供給された制御回路17では、演算増幅器15の出力情報に基づいた制御信号をパルス幅変調回路18に供給する。パルス幅変調回路18では制御信号に基づいたデューティのスイッチングパルスを生成し、トランジスタQのゲートに供給し、DC/DCコンバータ12の出力電圧Vdを決定する。つまり、出力電圧Vdは、基準電圧Vrefで決まる定電圧を、LEDユニット13,14にそれぞれ供給し、それぞれのLEDを点灯する。
【0021】
ここで、例えばLEDユニット14がオープンになった場合は、LEDユニット14には電流が流れなくなり、抵抗R2により電圧が発生しない。しかし、オープン状態にないLEDユニット13に流れた電流は、抵抗R1により変換された電圧がダイオードD2を介して演算増幅器15の非反転入力−に供給される。このときに演算増幅器15には、基準電圧Vrefに相当する定電圧が制御回路17に供給される。
【0022】
従って、DC/DCコンバータ12の出力電圧Vdとしては変化がないことから、結果としてLEDユニット13に過大な電流が流れることがなく、LEDユニット13の発熱を抑え、LEDの寿命を維持させることができる。
【0023】
図2は、この発明のLED駆動回路に関する他の実施形態について説明するための回路構成図である。上記実施形態と同一の機能部分には同一の符号を付し、ここでの説明は省略する。
【0024】
この実施形態は、演算増幅器15の基準電圧Vrefと直列に、OR回路16のダイオードD2,D3と同じ温度特性を有するダイオードD4を接続した構成部分が、図1と異なる。
【0025】
演算増幅器15の非反転入力−に接続されたダイオードD2,D3は、ダイオードD2,D3の順方向電圧が温度により変化する特性を有している。演算増幅器15の反転入力+に接続されたダイオードD4は、ダイオードD2,D3と同じように順方向電圧が温度により変化する特性を有している。従って、温度変化に対して、演算増幅器15の非反転入力−と反転入力+は同条件となる。
【0026】
従って、温度が上昇すると順方向電圧が下がるため検出抵抗R1、R2で検出された電流が変化していないにもかかわらず演算増幅器に入力する電圧は低下する。基準電圧Vrefも下げることでLEDユニット13,14の定電流を保持する。
【0027】
すなわち、ダイオードD2,D3と同じ温度特性のダイオードD4は、ダイオードD2,D3の温度特性による順方向電圧の変化によるLEDユニット13,14を流れる電流の誤検出を、温度によるLEDユニット13,14の照度の変化を抑えることが可能となる。
【0028】
この実施形態では、温度変化があっても、それに対応して基準電圧を変化させることができ、LEDユニットに流す電流を定電流に保持できることから温度による影響を軽減させることが可能となる。
【0029】
図3は、この発明の一実施形態の変形例について説明するための回路構成図である。上記した各実施形態では、DC/DCコンバータ12から出力される駆動電圧Vdが電源11に対して降圧される例について説明した。この変形例は、図1の回路構成のDC/DCコンバータ12を、昇圧させるDC/DCコンバータ121で構成したものである。
【0030】
すなわち、DC/DCコンバータ121は、電源11とDC/DCコンバータ121のライン間に、インダクタLとダイオードD1を直列の状態で介装接続し、インダクタLとダイオードD1の接続点と基準電位点との間にスイッチングトランジスタQのドレインとソース間を介装接続している。
【0031】
トランジスタQのゲートをパルス幅変調回路18から出力されるスイッチングパルスに基づいてスイッチングすることにより、DC/DCコンバータ121の出力からは、電源11の直流電圧値よりも昇圧された出力電圧Vdを導出でき、LEDユニット13,14のそれぞれの最上の電圧で動作するLEDの点灯させることができる。
【0032】
なお、図3の変形例では、演算増幅器14の基準電圧Vrefに直列に、図2の実施形態のように、ダイオードD2,D3の温度特性による順方向電圧の変化による検出電圧の誤検出を防止するために、ダイオードD2,D3と同特性のダイオードを接続しても構わない。
【0033】
この発明は、上記した実施形態に限定されるものではない。例えば、LEDユニットは説明を簡単にするために2列だけを図示したが、LEDユニット3列以上であっても、追加のLEDユニットに電圧変換用の抵抗とこの抵抗により検出された電圧をダイオードを介して演算増幅器の非反転入力に供給する構成にすればよい。
【0034】
また、LEDユニットに直列に接続された電圧変換用の抵抗を可変抵抗とし、演算増幅器の出力が基準電圧に基づくように調整することで、LEDユニットの通常の点灯時における出力電圧Vdの一定化させることで、LEDユニットの照度の一定化を図ることができる。
【符号の説明】
【0035】
11 電源
12、121 DC/DCコンバータ
13,14 LEDユニット
131〜13n,141〜14n LED
15 演算増幅器
16 OR回路
17 制御回路
18 パルス幅変調回路
Q スイッチングトランジスタ
Vref 基準電圧
D2〜D3 ダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチング信号に基づき、入力直流電圧を降圧または昇圧させ、所望の直流電圧に変換して出力するコンバータと、
前記コンバータの出力電圧を供給する複数のLEDを直列接続した第1のLEDユニットと、
前記第1のLEDユニットと並列接続し、前記コンバータの出力電圧を供給する複数のLEDを直列接続した第2のLEDユニットと、
前記第1および第2のLEDユニットに流れる電流を電圧に変換し、それぞれ電圧のオアをとって、前記第1および第2のLEDユニットに流れる電流が一定となるように前記コンバータの出力電圧を制御する制御手段と、を具備したことを特徴とするLED駆動回路。
【請求項2】
制御手段は、前記第1および第2のLEDユニットにそれぞれ流れる電流を電圧に変換する電圧変換手段と、該電圧変換手段の出力をオア出力とるOR回路と、該OR回路の出力を非反転入力に、基準電位を反転入力に供給した演算増幅器と、該演算増幅器の出力情報に基づき制御信号を生成する制御回路と、該制御回路からの制御信号に基づいたデューティのスイッチングパルスを生成するパルス幅変調回路と、から構成し、前記コンバータのスイッチングパルスのデューティを制御し、前記コンバータの出力電圧を制御するようにしたことを特徴する請求項1記載のLED駆動回路。
【請求項3】
前記OR回路はダイオードで構成し、該ダイオードの順方向の温度特性と同特性のダイオードを、前記基準電位に直列に接続したことを特徴とする請求項2記載のLED駆動回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−233553(P2011−233553A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−99706(P2010−99706)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】