説明

MICRトナー用途のための磁気結晶異方性を有する強磁性ナノ粒子

【課題】優れた磁性顔料分散および分散安定性が得られると共に、磁気特性が維持され、溶融定着への妨害が避けられる、トナーを提供する。
【解決手段】トナーは、1または複数のバインダ樹脂と、必要に応じて、1または複数の着色剤と、必要に応じて、1または複数のワックスと、安定化された磁性単結晶ナノ粒子と、を含み、該磁性ナノ粒子の磁気異方性の絶対値が2×10J/m以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安定化された磁性単結晶ナノ粒子を含むMICRトナーに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気インク文字認識(Magnetic Ink Character Recognition、MICR)技術は周知である。MICRトナーはMICRにより読み取られるのに十分強い磁気信号を発生させるのに十分な量の磁性顔料または磁性成分を含む。一般に、トナーは文書、例えば、小切手、証書、社会保障カードなどの全てまたは一部を印刷するために使用される。例えば、ほとんどの小切手は、通常小切手の底部にある、識別コード領域を示す。この識別コードの文字は通常MICR符号化される。文書は、MICRで読み取り可能なトナーおよびMICRで読み取り不能なトナーの組み合わせで、またはMICRで読み取り可能なトナーのみで印刷してもよい。このように印刷された文書は適当な磁化の源または場(source or field of magnetization)に暴露されるが、この時、磁性粒子は磁気信号を受理し、維持するように整列する。その後、文書を読み取り装置を通すことによりこれを証明することができるが、読み取り装置は、文書を認証または確認するために、MICRインプリントされた文字の磁気信号を検出または「読み取る」。
【0003】
MICRトナーは要求された磁気特性を提供する磁性材料を含む。磁性材料は、印刷された文字がその読み取り可能な特性を保持し、検出装置または読み取り装置により容易に検出されるように、十分な電荷を保持することが重要である。磁性材料により保持される磁荷は「残留磁気」として公知である。磁性材料の「保磁力」は、磁気誘導Bを消失させるために、対称的に、周期的に磁化された様式で磁性材料に印加しなければならない磁場Hを示す。磁性材料の保磁力はこのように、ヒステリシスループの材料の保磁力であり、その最大誘導は飽和誘導に近似する。磁性材料の観察された残留磁化および観察された保磁力は、結晶において磁気モーメントに対し好ましい配向を提供するいくらかの異方性を有する磁性材料に依存する。4つの主な異方性力(anisotropy force)、つまり、磁気結晶異方性、歪み異方性、交換異方性、および形状異方性が粒子保磁力を決定する。2つの主要な異方性は、1)形状異方性(好ましい磁性配向は磁性結晶の軸に沿っている)、および2)磁気結晶異方性(電子スピン軌道結合が磁気モーメントを好ましい結晶軸と整列させる)である。
【0004】
磁性材料は、MICRで読み取り可能な信号を発生させ、時間の経過と共に信号を保持する能力を有するように、磁化源に暴露されると直ぐに十分な残留磁気を示すべきである。一般に、業界標準により設定される、許容される電荷レベルは、信号レベル単位(Signal Level Units)で50〜200の間である。100が公称値であるが、これはANSI(米国規格協会)により開発された標準から規定されたものである。信号が少ないとMICR読み取り装置により検出されない可能性があり、信号が多くても正確な読み取りが得られない可能性がある。読み取られる文書が、示された文書を認証または確認する手段としてMICR印刷文字を使用するので、MICR文字または他のしるしが正確に読み取られ、いずれの文字も読み飛ばされ、読み違えられないことが重要である。そのため、MICRトナーのためには、磁性材料の残留磁気が、トナー中に過剰に高い顔料添加をせずに、MICRに対するトナーの十分な磁化を可能にするために、少なくとも最小20emu/gであるべきである。トナー中の顔料添加量が高いと、トナー調製プロセスに困難を引き起こし、トナー性能に負の影響を与える可能性があり、そのため、高い顔料添加は望ましくない。トナー中の残留磁気値がより高いことは、トナー画像からの読み取り可能な信号がより強いことに対応する。
【0005】
残留磁気は、粒子サイズおよび磁性顔料コーティングの密度の関数として増加する傾向がある。したがって、磁性粒子のサイズが減少すると、磁性粒子は、対応する残留磁気の減少を経験する傾向がある。このように、十分な信号強度に達成することは、磁性粒子サイズが減少し、トナー組成物中の磁性粒子の含有パーセントに対する実際の限界に到達するので、ますます困難になる。残留磁気値が高いと、必要とされるトナー配合物中の磁性粒子の総割合が低くなり、磁性材料含量の割合がより高いトナー調合物に比べ、懸濁特性が改善され、沈降の可能性が減少する。
【0006】
磁鉄鉱(酸化鉄、Fe)はMICRトナーにおいて使用される一般的な磁性材料である。磁鉄鉱は−1.1×10J/mの低い磁気結晶異方性、K1を有する。1つの結晶寸法が別のものより非常に大きい針状結晶形状の磁鉄鉱は、2:1またはそれ以上の単結晶の長軸対短軸のアスペクト比(Dmajor/Dminor)を有し、トナーにおける残留磁気および保磁力性能を増大させるのに役立つ。針状磁鉄鉱は典型的には、それぞれ、長軸および短軸に沿って0.6μm×0.1μmのサイズであり、大きな形状異方性(6/1)を有する。トナー中の典型的な酸化鉄の添加量は総トナー重量の約20〜40重量%である。しかしながら、針状結晶形状の磁鉄鉱粒子のより大きなサイズおよびアスペクト比のために、とりわけ乳化重合/凝集プロセスにおいて、トナー中に分散し安定化することが困難である。さらに、球状または立方体磁鉄鉱はサイズがより小さい(全ての寸法において200nm未満)が、約1の低い形状異方性(Dmajor/Dminor)を有する。結果として、低い全体異方性、低い形状異方性および低い磁気結晶異方性の両方のために、球状または立方体磁鉄鉱はより低い残留磁気および保磁力を有し、磁気性能を与えるのに総トナー重量の40重量%より高い添加がしばしば必要とされる。このように、球状および立方体磁鉄鉱は全ての寸法において200nm未満の所望のより小さな粒子サイズを有するが、非常に高い添加要件により、分散させ、安定な分散を維持することが非常に困難にもなっている。さらに、不活性の、非溶融磁性材料のそのような高い添加は他のトナー特性、例えば基質への接着および引っ掻き抵抗を妨害する。結果として、これによりMICRトナーに対する磁鉄鉱の適合性が悪くなっている。
【0007】
米国特許第6,764,797号には、少なくともバインダ樹脂と、粒状磁鉄鉱と針状磁鉄鉱の混合物を含む磁鉄鉱粒子と、ワックスと、を含むMICR用途のためのトナー組成物が開示されている。磁鉄鉱粒子中の針状磁鉄鉱の重量比は粒状磁鉄鉱1.0に対し0.1〜0.5である。磁鉄鉱粒子は総トナー重量の15〜50重量%の量で含まれる。粒状磁鉄鉱は5〜15emu/gの残留磁化および70〜95emu/gの飽和磁化を有する。針状磁鉄鉱は20〜50emu/gの残留磁化および70〜95emu/gの飽和磁化を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第4,859,550号明細書
【特許文献2】米国特許第5,124,217号明細書
【特許文献3】米国特許第5,976,748号明細書
【特許文献4】米国特許第6,610,451号明細書
【特許文献5】米国特許第6,764,797号明細書
【特許文献6】米国特許第5,147,744号明細書
【特許文献7】米国特許第6,942,954号明細書
【特許文献8】米国特許第6,936,396号明細書
【特許文献9】米国特許第6,677,092号明細書
【特許文献10】米国特許第7,214,463号明細書
【特許文献11】米国特許公開第2006/0246367号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
優れた磁性顔料分散および分散安定性が得られると共に、磁気特性が維持され、溶融定着への妨害が避けられる、トナーを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明にかかるトナーは、1または複数のバインダ樹脂と、必要に応じて、1または複数の着色剤と、必要に応じて、1または複数のワックスと、安定化された磁性単結晶ナノ粒子と、を含み、磁性ナノ粒子の磁気異方性の絶対値が2×10J/m以上である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
前記の各々の適当な成分およびプロセス観点は、本開示に対し、その実施形態において選択してもよい。
【0012】
本発明は、MICRトナー印刷に適し、上記利点のいくつかまたが全てを具体化するトナーに関する。トナーは単結晶磁性ナノ粒子を含む。該ナノ粒子のサイズは約10nm〜約300nmであり、磁気結晶異方性の絶対値、|K1|は2×10J/m以上である。実施形態における磁性ナノ粒子は二金属または三金属系としてもよく、低いアスペクト比を有し、より良好な分散および安定性を示す。1つの実施形態では、ナノ粒子は単結晶強磁性ナノ粒子である。より小さなサイズの非針状粒子を含む、そのような単結晶強磁性ナノ粒子は、非常に高い形状磁気異方性を有する。したがって、これらの単結晶強磁性ナノ粒子は、MICRトナー用途に適した、必要不可欠な高い残留磁気および保磁力を明示する。
【0013】
本発明のトナーにおいて、様々な磁性ナノ粒子を使用してもよい。例えば、FePtナノ粒子は、高い磁気異方性、そのため高い保磁力を示すので、MICRトナー用途に適している。FePtは2つの相、面心立方(fcc)相および面心正方(fct)相で存在する。fct相FePtは非常に高い磁気結晶異方性を有する。fct相FePtナノ粒子は、fcc相FePtナノ粒子から、例えば、エルキンス(Elkins)ら、巨大保磁力を有する単分散面心正方FePtナノ粒子、J.Phys.D:Appl.Phys.pp.2306−09(2005)、リ(Li)ら、塩−マトリクスアニーリングによる硬質磁性FePtナノ粒子、J.Appl.Phy.99、08E911(2006)またはトジチオス(Tzitios)ら、Pt(Au,Ag)/γ−F2Oコア−シェルナノ粒子からのLl FePtナノ粒子の合成およびキャラクタリゼーション、Adv.Mater.17、pp.2188−92(2005)により教示されている方法に従い、合成させることができる。他の適した磁性ナノ粒子としては、金属Feナノ粒子が挙げられ、これはルボルスキー(Luborsky)、J.Appl.Phys、補遺(Supplement)〜Vol32(3)、171S−184S(1961)により測定されると、約4×10J/mの所要の、高い磁気結晶異方性を有する。MICR用途のための所要の特性を有する金属Feナノ粒子は、例えば、ワタリ(Watari)ら、鉄針状微粒子における保磁力に対する結晶特性の影響、J.Materials Sci.、23、1260−1264(1988)、シャー(Shah)ら、不活性ガス凝縮により調製したFeナノ粒子における有効な磁性異方性および保磁力、Int.J.ofModern Phys.B.Vol20(1)、37−47(2006)、またはボンダー(Bonder)ら、ポリエチレングリコールを用いたFeナノ粒子の制御合成、J.Magn.Magn.Mater.311(2),658−664(2007)により教示された方法により調製することができる。本明細書に開示のMICRトナーは、より小さなサイズの磁性粒子を有利に使用し、これにより、とりわけ乳化重合/凝集プロセストナーにおいて優れた磁性顔料分散および分散安定性が得られる磁性材料を含む。さらに、MICRトナーのより小さなサイズの磁性材料により、優れた磁気特性も維持され、これにより、トナーで必要とされる磁性粒子の添加量が減少する。
【0014】
本発明は、安定化された磁性単結晶ナノ粒子を含むMICRトナーに関する。ここで、磁性ナノ粒子の磁気異方性の絶対値|K1|は、2×10J/m以上である。磁性ナノ粒子は強磁性ナノ粒子、例えばFePtであってもよい。トナーは粒子サイズを最小に抑える磁性材料を含み、これにより、特に乳化重合/凝集プロセス中に、優れた磁性顔料分散および分散安定性が得られる。より小さなサイズの磁性トナー粒子はまた優れた磁気特性を維持し、これによりトナーで必要とされる磁性粒子の添加量が減少する。これにより、不活性の非溶融磁性材料の添加量の高さに関連する一般的な問題、例えば、他のトナー特性、例えば溶融定着への妨害が避けられる。
【0015】
本発明は一般に、大きな異方性を示す磁性ナノ粒子を含むトナーに関する。トナーはさらに、1つまたは複数の樹脂、1つまたは複数の着色剤、1つまたは複数のワックス、および/または1つまたは複数の添加剤を含んでもよい。1つの実施形態では、磁性材料は金属ナノ粒子である。別の実施形態では、磁性ナノ粒子は単結晶強磁性ナノ粒子である。トナーはMICR用途を含む様々な用途において使用するのに適している。さらに、トナーにより生成された印刷マークを、たとえ得られたマークがMICR用途で使用するのに適した保磁力および残留磁気を十分に示さなくても、装飾目的で使用してもよい。本開示のトナーは、磁鉄鉱を含むトナーよりも優れた安定性、分散特性および磁気特性を示す。トナー組成物を以下、詳細に説明する。
【0016】
本発明の実施形態において、使用するのに適した磁性材料は、大きな異方性を示す単結晶ナノ粒子を含む。本明細書で使用されるように、「大きな異方性」は粒子の磁気結晶異方性の絶対値として規定され、絶対値は2×10J/mに等しいかまたはそれより大きい。1つの実施形態では、磁性材料は約5×10J/m〜5×10J/mのK1値を有する。別の実施形態では、K1値は約2×10J/m〜5×10J/mである。しかしながら、さらに高いK1値を有する磁性材料を使用してもよい。
【0017】
実施形態では、単結晶ナノ粒子は磁性金属ナノ粒子、または例えば、とりわけCoおよびFe(立方)を含む大きな異方性を有する強磁性ナノ粒子であってもよい。さらに、磁性ナノ粒子は二金属または三金属系、またはそれらの混合物としてもよい。適した二金属磁性ナノ粒子の例としては、CoPt、fcc相FePt、fct相FePt、FeCo、MnAl、MnBi、CoO・Fe、BaO・6Fe、これらの混合物などが挙げられるが、それらに限定されない。別の態様では、磁性材料はfct相FePtである。三金属ナノ粒子の例としては、三金属ナノ粒子を形成する上記またはコア/シェル構造の三混合物、例えばCo被覆fct相FePtが挙げられるが、それらに限定されない。
【0018】
磁性ナノ粒子は、より大きな粒子のボールミルアトリション(ナノサイズ顔料製造において使用される一般的な方法)、その後のアニーリングを含む当技術分野で公知の任意の方法により調製してもよい。ボールミル処理ではしばしばアモルファスナノ粒子が製造され、これらは望ましくは、その後結晶化され単結晶形態にされるので、アニーリングが一般に必要である。ナノ粒子はまたRFプラズマにより直接製造させることができる。適当な大規模RFプラズマ反応器が、例えば、テクナプラズマシステムズ社(Tekna Plasma Systems)から入手できる。ナノ粒子はまた、水を含む溶媒における多くのその場法により製造させることもできる。
【0019】
磁性ナノ粒子は立方体および六方体を含む任意の形状としてもよい。磁性粒子の別の例示的な形状としては、例えば、針状、粒状、球状、アモルファス形状、などが挙げられるが、それらに限定されない。
【0020】
磁性ナノ粒子の各寸法は、約10nm〜約500nmのサイズ、例えば約10nm〜約300nm、または約50nm〜約300nmとしてもよいが、これらの範囲外の量とすることができる。ここで、「平均」粒子サイズは典型的にはd50として表され、または粒子サイズ分布の中央値でのメジアン粒子サイズ値として規定され、この場合、分布中の粒子の50%はd50粒子サイズ値より大きく、分布中の粒子の残りの50%はd50粒子サイズ値より小さい。平均粒子サイズは粒子サイズを推測する光散乱技術を使用する方法、例えば動的光散乱により測定することができる。粒径は透過型電子顕微鏡(TEM)により作成された粒子の画像から誘導される顔料粒子の長さを示す。
【0021】
単一ナノ結晶の長軸対短軸の比(Dmajor/Dminor)は約4:1未満、例えば約3:2〜約2:1とすることができる。もちろん、要望通り、異なるアスペクト比の粒子も使用することができる。
【0022】
トナーにおける磁性ナノ粒子の要求される添加量は、トナー重量の約0.5重量%〜約15重量%、例えば約2重量%〜約10重量%、または約5重量%〜約8重量%としてもよいが、これらの範囲外の量も可能である。
【0023】
磁性ナノ粒子は約20emu/g〜約100emu/g、例えば、約30emu/g〜約80emu/g、または約40emu/g〜約55emu/gの残留磁気を有してもよいが、これらの範囲外の量も可能である。
【0024】
磁性ナノ粒子の保磁力は約200エルステッド〜約50,000エルステッド、例えば、約1000エルステッド〜約40,000エルステッド、または約10,000エルステッド〜約25,000エルステッドとしてもよいが、これらの範囲外の量も可能である。
【0025】
飽和磁気モーメントは、例えば、約20emu/g〜約150emu/gとしてもよい。1つの実施形態では、飽和磁気モーメントは約30emu/g〜約70emu/gとすることができる。
【0026】
大きな磁気結晶異方性、K1を有する、適した磁性ナノ粒子組成物の例を表1に示す。表1はまた、基準磁鉄鉱(reference magnetite)を示す。ナノ結晶材料に対し得られる実際の保磁力はここで示した最大保磁力よりも低い可能性があるが、これは、保磁力がサイズに強く依存するからであることに注意すべきである。FeおよびCuに対するピーク保磁力は、粒子が約20nmのサイズである場合に得られ、CoO・Feに対するピーク保磁力は粒子が約30nmのサイズである場合に得られる。高い磁気結晶異方性を有する他の適した磁性材料としては、例えば、4.9×10J/mのK1を有するCoPtが挙げられる。
【0027】
【表1】

【0028】
文献で調製されている高い磁気結晶異方性を有する磁性ナノ結晶の例を、表2に示す。下記で示した粒子はいずれもMICRトナー用途に適している。
【0029】
【表2】

【0030】
それにもかかわらず、材料の大きな固有磁気結晶異方性は、材料をMICR用途に適したものとする高い残留磁気または高い保磁力を有することを保証するものではないことが広く知られている。同様にFePt合金、FeまたはCoは必ずしも要求される残留磁気または保磁力を有さない。材料が(1)大きな固有磁気結晶異方性、および(2)サイズが少なくとも10mmである(正確な最小サイズ限界は材料に依存する)単結晶ドメインの両方を有する場合に限り、特別な材料が一般にMICR用途に適す。
【0031】
さらに、磁気結晶異方性K1の絶対値が2×10J/mより大きく、FeCoまたはFeの少なくとも1つである、二金属磁性ナノ粒子を含むトナーを製造することができる。これは当技術分野において公知の任意の手段により達成してもよい。例えば、FePt結晶ナノ粒子を含むトナーを、Feを含むトナーと混合してもよい。また、FePt結晶ナノ粒子およびFeをトナー合成中にトナーに添加してもよい。そのような混合物では、このように、かなり安価なFeにFePt結晶ナノ粒子の改善された磁気特性および分散特性が取り入れられ、MICRトナーを製造される。そのような混合物では、磁性ナノ粒子のFeCoまたはFeに対する比は約0.1対約99.9、またはその逆である。そのような混合物では、負荷要件はトナー重量の約0.5重量%〜約15重量%、例えば約2重量%〜約8重量%、または約3重量%〜約5重量%であるが、これらの範囲外の量も可能である。
【0032】
本開示によるトナーはまた、1つまたは複数のバインダ樹脂を含んでもよい。さらに、架橋部分の量(ゲルの量)が約10重量%低ければ、貯蔵中の安定性、形状保持特性、またはトナー耐久性を改善するために、架橋構造を部分的にバインダ樹脂に導入してもよいが、この範囲外の量も可能である。
【0033】
バインダ樹脂は、任意の適した作用物質としてもよく、例えば、マレイン酸変性ロジンエステル、分枝または架橋ポリエステル樹脂類、フェノール類、マレイン酸類、変性フェノール類、ロジンエステル、および変性ロジン、フェノール変性エステル樹脂類、ロジン変性炭化水素樹脂類、炭化水素樹脂類、テルペンフェノール樹脂類、テルペン変性炭化水素樹脂類、ポリアミド樹脂類、トール油ロジン類、ポリテルペン樹脂類、炭化水素変性テルペン樹脂類、アクリルおよびアクリル変性樹脂類、およびトナーで使用されることが公知の同様の樹脂類またはロジン類などが挙げられるが、それらに限定されない。
【0034】
他の適したバインダ樹脂としては、熱可塑性樹脂類、スチレンまたは置換スチレン類のホモポリマ類、例えば、ポリスチレン、ポリクロロエチレン、およびポリビニルトルエン;スチレンコポリマー類、例えば、スチレン−p−クロロスチレンコポリマー、スチレン−プロピレンコポリマー、スチレン−ビニルトルエンコポリマー、スチレン−ビニルナフタレンコポリマー、スチレン−メチルアクリレートコポリマー、スチレン−エチルアクリレートコポリマー、スチレン−ブチルアクリレートコポリマー、スチレン−オクチルアクリレートコポリマー、スチレン−メチルメタクリレートコポリマー、スチレン−エチルメタクリレートコポリマー、スチレン−ブチルメタクリレートコポリマー、スチレン−メチルα−クロロメタクリレートコポリマー、スチレン−アクリロニトリルコポリマー、スチレン−ビニルメチルエーテルコポリマー、スチレン−ビニルエチルエーテルコポリマー、スチレン−ビニルメチルケトンコポリマー、スチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−イソプレンコポリマー、スチレン−アクリロニトリル−インデンコポリマー、スチレン−マレイン酸コポリマー、およびスチレン−マレイン酸エステルコポリマー;ポリメチルメタクリレート;ポリブチルメタクリレート;ポリ塩化ビニル;ポリ酢酸ビニル;ポリエチレン;ポリプロピレン;ポリビニルブチラール;ポリアクリル樹脂;ロジン;テルペン樹脂;フェノール樹脂;脂肪族炭化水素樹脂;芳香族石油樹脂;塩素化パラフィン;パラフィンワックスなどが挙げられるが、それらに限定されない。これらのバインダ樹脂は単独で、または組み合わせて使用することができる。上記バインダ樹脂の各々の分子量、分子量分布、架橋度および他の特性はそれらの通常の目的のための従来の量で選択される。
【0035】
実施形態では、バインダ樹脂は直鎖または分枝アモルファスポリエステルポリマー類、例えば、ポリエチレン−テレフタレート、ポリプロピレン−テレフタレート、ポリブチレン−テレフタレート、ポリペンチレン−テレフタレート、ポリヘキサレン−テレフタレート、ポリヘプタデン−テレフタレート、ポリオクタレン−テレフタレート、ポリエチレン−セバカート、ポリプロピレン−セバカート、ポリブチレン−セバカート、ポリエチレン−アジパート、ポリプロピレン−アジパート、ポリブチレン−アジパート、ポリペンチレン−アジパート、ポリヘキサレン−アジパート、ポリヘプタデン−アジパート、ポリオクタレン−アジパート、ポリエチレン−グルタレート、ポリプロピレン−グルタレート、ポリブチレン−グルタレート、ポリペンチレン−グルタレート、ポリヘキサレン−グルタレート、ポリヘプタデン−グルタレート、ポリオクタレン−グルタレート、ポリエチレン−ピメラート、ポリプロピレン−ピメラート、ポリブチレン−ピメラート、ポリペンチレン−ピメラート、ポリヘキサレン−ピメラート、ポリヘプタデン−ピメラート、ポリ(プロポキシル化ビスフェノール−フマレート)、ポリ(プロポキシル化ビスフェノール−スクシネート)、ポリ(プロポキシル化ビスフェノール−アジパート)、ポリ(プロポキシル化ビスフェノール−グルタレート)、それらの混合物、などとしてもよい。
【0036】
本発明の実施形態におけるトナーは、トナー製造中に着色剤を添加することにより、着色トナーとして製造してもよい。また、非導電性着色トナーを、第1パス中に基質上に印刷し、続いて第2パスを実施してもよく、ここで、着色剤を欠如した導電性トナーが着色トナー上に直接印刷され、着色トナーが導電性となる。そのような場合には、2つのトナーを印刷する順序は変えることができる。これは当技術分野で公知の任意の手段により達成することができる。例えば、各トナーは別個のリザーバで貯蔵することができる。印刷システムは別々に各トナーを基質に送達させ、2つのトナーが相互作用する。トナーは基質まで同時にまたは連続して送達されてもよい。任意の所望のまたは効果的な着色剤をトナー組成物中で使用することができ、顔料、染料、顔料と染料の混合物、顔料混合物、染料混合物などが挙げられる。金属ナノ粒子もまた、実施形態で、トナー組成物の着色剤特性のいくつかまたは全てを付与してもよい。
【0037】
本開示によるトナーにおいて使用するのに適した着色剤としては、カーボンブラック、ランプブラック、アイアンブラック、ウルトラマリン、アニリンブラック、アニリンブルー、アゾオイルブラック、ベーシック6Gレーキ、ベンジジンイエロー、ベンズイミダゾロンブラウンHFR、ベンズイミダゾロンカルミンHF3C、ブリリアントグリーンレーキ、カーボンブラック、クロムイエロー、ジオキサジンバイオレット、ジスアゾ顔料類、ジスアゾイエローAAA、デュポンオイルレッド、ファーストイエローG、ハンサブリリアントイエロー5GX、ハンサイエロー、ハンサイエローG、レーキレッドC、マラカイトグリーンヘキサレート、マラカイトグリーン、サリチル酸およびサリチル酸誘導体の金属塩類、メチルバイオレットレーキ、メチレンブルークロリドメチレンブルー、モノアゾ顔料類、ナフトールレッドHFG、ナフトールイエロー、ニグロシン染料、オイルブラック、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、キナクリドン、キノリンイエロー、ローダミン6Gレーキ、ローダミンB、ローズベンガル、タルトラジンレーキ、第3級アンモニウム塩類、酸化チタン、トリスアゾ顔料類、ウルトラマリンブルー、ビクトリアブルー、ウォッチングレッド、それらの混合物類などが挙げられるが、それらに限定されない。
【0038】
着色剤の量は、広範囲にわたって、例えば総トナー重量の約3〜約20重量%まで変動可能であり、着色剤の組み合わせを使用してもよい。
【0039】
1つまたは複数のワックスをトナーに添加し、画像濃度を増加させ、リーディングヘッドへのオフセットおよび画像スミアリング(smearing)を効果的に防止してもよい。ワックスは、例えば、トナー組成物の総重量に基づき、約0.1〜約10重量%の量、または約1〜約6重量%の量で存在することができる。適したワックスの例としては、ポリオレフィンワックス類、例えば低分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、フルオロカーボン系ワックス(テフロン(登録商標))、またはフィッシャー・トロプシュワックス、それらのコポリマー類、それらの混合物、などが挙げられるが、それらに限定されない。
【0040】
トナー組成物はまた必要に応じて、酸化防止剤を含むことができる。必要に応じて用いられる酸化防止剤は画像を酸化から保護し、同時に、トナー調製プロセスの加熱部分中にトナー成分を酸化から保護する。存在する場合、必要に応じて用いられる酸化防止剤はトナー中に、任意の所望量、または有効量、例えば総トナー重量の少なくとも約0.01〜約20重量%、例えば約0.1〜約5重量%、または約1〜約3重量%の量で存在することができるが、これらの範囲外の量であってもよい。
【0041】
他の必要に応じて用いられる添加物としては、清澄剤(clarifier)、例えばユニオンキャンプ(UNION CAMP(登録商標))X37−523−235(ユニオンキャンプ社から市販されている)、粘着付与剤、接着剤、可塑剤が挙げられる。そのような添加物はそれらの普通の目的のための従来の量で含有させてもよい。
【0042】
MICR用途では、帯電制御剤をトナーに添加し、帯電レベルおよび帯電率(短い時間中の特定電荷レベルに対する帯電指数)の改善を促進し、優れた流動性を獲得してもよい。
【0043】
帯電制御剤の添加は約0.1〜約10重量%としてもよい。帯電制御剤の添加が0.1重量%未満である場合、帯電制御は効果的に機能しない可能性がある。他方、帯電制御剤の負荷が10重量%よりも多いと、トナーの分散性および耐久性が減少する可能性がある。そのため、帯電制御機能、トナー耐久性、および他の特性の均衡をうまくとるために、帯電制御剤の添加はトナーの約0.5重量%〜約8重量%、例えばトナー重量の約1.0重量%〜約5重量%であるが、これらの範囲外の量であってもよい。
【0044】
界面活性剤の適した量は、例えば約0.1〜約10重量%、例えば約0.2〜約5重量%の量で選択することができるが、これらの範囲外の量であってもよい。特別な界面活性剤またはその組み合わせならびに使用される各々の量の選択は当業者の範囲内である。
【0045】
さらに、オレフィン−マレイン酸、無水物コポリマーなどを添加して、現像特性を低下させずに高品質のトナー画像を獲得してもよい。
【0046】
本開示によるトナーは、乳化重合凝集手順により製造してもよい。乳化重合凝集トナー粒子を形成するには任意の適した乳化重合凝集手順を使用してもよく、制限はない。これらの手順は典型的には、ポリマーバインダと、1つまたは複数の必要に応じて用いられるワックスと、1つまたは複数の必要に応じて用いられる着色剤と、1つまたは複数の界面活性剤と、必要に応じて用いられる凝固剤と、1つまたは複数の追加の、必要に応じて用いられる添加物を含むエマルジョンを少なくとも凝集させ、凝集物を形成する工程と、その後、凝集物を合一または融合させる工程と、それから、得られた乳化重合凝集トナー粒子を回収し、必要に応じて洗浄し、必要に応じて乾燥させる工程の基本処理工程を含む。しかしながら、実施形態では、プロセスはさらに凝集工程で磁性ナノ粒子を含む。
【0047】
トナーを調製するための、本明細書で記載したように磁性ナノ粒子を含むように改善することができる、適した乳化重合凝集/凝固プロセスは、多くのゼロックス(Xerox)特許、例えば、米国特許第5,290,654号、同第5,278,020号、同第5,308,734号、同第5,370,963号、同第5,344,738号、同第5,403,693号、同第5,418,108号、同第5,364,729号、および同第5,346,797号において説明されている。米国特許第5,348,832号、同第5,405,728号、同第5,366,841号、同第5,496,676号、同第5,527,658号、同第5,585,215号、同第5,650,255号、同第5,650,256号、同第5,501,935号、同第5,723,253号、同第5,744,520号、同第5,763,133号、同第5,766,818号、同第5,747,215号、同第5,827,633号、同第5,853,944号、同第5,804,349号、同第5,840,462号、同第5,869,215号、同第5,863,698号、同第5,902,710号、同第5,910,387号、同第5,916,725号、同第5,919,595号、同第5,925,488号、および同第5,977,210号もまた、興味深い。さらに、米国特許第6,627,373号、同第6,656,657号、同第6,617,092号、同第6,638,677号、同第6,576,389号、同第6,664,017号、同第6,656,658号、および同第6,673,305号。前記米国特許の各々の適当な成分およびプロセス観点は、本発明の実施形態において本発明の組成物およびプロセスのために選択してもよい。
【実施例】
【0048】
(工程1)
ダウファックス(DOWFAX)2A1(商標)(アニオン乳化剤)434gと脱イオン水387kgの界面活性剤溶液をステンレス鋼貯蔵タンク中で10分間混合する。貯蔵タンクをその後、窒素で5分間パージし、その後、混合物を反応器に移す。その後、反応器を、100RPMで撹拌しながら窒素で連続パージする。反応器をその後80℃まで加熱する。
【0049】
(工程2)
過硫酸アンモニウム開始剤6.11kgを脱イオン水30.2kgに溶解する。
【0050】
(工程3)
スチレン315.7kg、アクリル酸ブチル91.66kg、β−CEA12.21kg、1−ドデカンチオール7.13kg、デカンジオールジアクリレート(ADOD)1.42kg、ダウファックス2A1(商標)(アニオン界面活性剤)8.24kg、および脱イオン水193kgを混合し、モノマーエマルジョンを形成させる。
【0051】
上記工程1で調製した水性界面活性剤相を含む反応器に、上記工程3で調製した5%のモノマーエマルジョンを、80℃で窒素パージしながら徐々に供給し、ラテックスエマルジョンを形成させる。上記工程2で形成させた開始剤溶液をその後、徐々に反応器に入れ、直径約5〜12nmのラテックス粒子を生成させる。10分後、モノマーエマルジョンの残り95%を、計量ポンプを用いて連続して送り込む。反応器温度をその後、80℃で2時間維持し、反応を完了させる。反応器の内容物を約25℃まで冷却する。結果として生じる単離したラテックスエマルジョンは、界面活性剤を含む水相中に懸濁された40重量%のスチレン/ブチルアクリレート/βCEAラテックス粒子から構成される。粒子は約200nmの直径を有する。
【0052】
(ワックス分散物の調製)
PW725ポリエチレンワックス(重量平均分子量Mw725、融点104℃、ベイカーペトロライト社(Baker-Petrolite)から入手可能)およびアニオン界面活性剤/分散剤としてのダウファックス2A1(商標)を用いて、水性ワックス分散物を調製する。ワックス粒子は直径が約200nmであった。ワックス分散物は30重量%のワックスと、68重量%の水と、2重量%のアニオン界面活性剤からなる。
【0053】
(カーボンブラック顔料溶液(分散液)の調製)
サンケミカルズ社(Sun Chemicals)から供給されたカーボンブラック(リーガル(REGAL)330R(商標))顔料およびアニオン界面活性剤を水に分散させ、19%の顔料と、2%の界面活性剤と、79%の水との溶液(分散液)を形成させる。
【0054】
(磁性顔料分散液の調製)
<磁性顔料実施例A>
磁性Fe粒子を、ワタリ(Watari)ら、J. Materials Science、23、1260−1264(1988)に記載されている手順に従い調製する。粒子サイズ0.5μmの鉱物針鉄鉱α−FeOOHを水素雰囲気中、400℃の等温加熱処理下で2時間還元し、粒子を20×20×200nmサイズのFe金属粒子に変換させ、ルボルスキー、J.Appl.Phys、補遺〜Vol.32(3)、171S−184S(1961)により記載されている方法により測定すると、アスペクト比は10/1であり、残留モーメントは72.2emu/gであり、保磁力は1540エルステッドであり、磁気結晶異方性は約4×10J/mである。磁性Fe粒子19.7gを、20%アニオン界面活性剤ダウファックス2A1(商標)水溶液1.3gを含む水300gに添加する。上記のように調製したカーボンブラック顔料水溶液83gを添加し、3時間ボールミル処理すると顔料分散物が生成する。
【0055】
<磁性顔料実施例B>
磁性FePt粒子を、参照により全体が本明細書に組み入れられている、リら、応用物理ジャーナル(J. Applied Physics)99、08E911(2006)に記載された手順に従い調製する。アルゴン雰囲気中、15nmのfct FePtナノ粒子を化学的に合成する。24時間ボールミル処理したNaCl粉末をヘキサン中に分散させ、混合する。ヘキサン分散物およびfcc FePtナノ粒子を混合する。NaCl:FePtの比率は100:1である。溶媒全てが蒸発するまで混合物を撹拌し、その後、フォーミングガス(93%Hおよび7%Ar)中、700℃で2時間アニールし、fcc FePtをfct FePtに変換させ、続いて洗浄および乾燥させる。磁性fct FePt粒子は約15nmの直径、1/1のアスペクト比、約40emu/gの残留モーメント、20,000エルステッドの保磁力、および660×10J/mの磁気結晶異方性を有する。磁性FePt粒子39.9gを20%のアニオン界面活性剤ダウファックス2A1(商標)水溶液1.3gを含む水300gに添加する。上記のように調製した18%カーボンブラック顔料溶液83gを添加し、3時間ボールミル処理すると顔料分散物が生成する。
【0056】
(トナー粒子実施例1)
磁性顔料実施例Aを上記のように調製したラテックスエマルジョン330gと、上記のように調製したワックス分散物90gと、硝酸中に溶解させた10重量%のポリ塩化アルミニウム(PAC)固体の凝固剤3gとを用いて凝集させる。混合物を約54℃まで加熱し、直径が5.2μmの粒子を生成させる。ラテックスエマルジョン130gを添加し、混合物を約30分間混合すると、直径約5.8μmの粒子が生成する。混合物のpHを、4%NaOH水溶液を用いてpH7.5に調整し、その後、93℃まで加熱し、その間、4%NaOH水溶液を添加することによりpHを7.5に維持する。2.5%硝酸水溶液を用いて、混合物のpHを1〜2時間にわたり5に調整し、その後、再び加熱し、所望の滑らかな形態を有する粒子を生成させる。トナーを4度、水で洗浄し、凍結乾燥機で乾燥させる。
【0057】
(トナー粒子実施例2)
トナー粒子をトナー粒子実施例1で記載したように調製するが、実施例Aで記載したように調製した磁性顔料の代わりに、実施例Bで記載したように調製した磁性顔料を使用する。
【0058】
(トナー粒子実施例3)
2リットルビーカー中、下記をホモジナイズしながら添加する:(1)直鎖アモルファスポリエステル樹脂エマルジョン368.24g(17.03wt%固体、エトキシル化ビスフェノールAまたはプロポキシル化ビスフェノールAおよびフマル酸の溶融縮合により調製、繰り返し単位は約5〜約1000まで変動する)、(2)不飽和結晶ポリエステル樹脂エマルジョン45.03g(固形分31.98wt%、エチレングリコールと、ドデカンニ酸とフマル酸コモノマ類混合物とを含み、ドデカン二酸−エチレングリコール繰り返し単位数は5〜2000まで変動し、フマル酸−エチレングリコールの数は5〜2000繰り返し単位まで変動する)、(3)実施例Aで記載したように調製した磁性Fe/カーボンブラック顔料分散物107.21g、および(4)綿状凝集剤(flocculent)としてのAl(SO(1.0wt%)47.8g。混合物をその後、2リットルブチ(Buchi)に移し、コア粒子が6.83μmの体積平均粒子サイズおよび1.21GSDに到達するまで、750RPMで凝集させるために45.9℃まで加熱する。上記のように調製したラテックスエマルジョン197.0gをシェルとして添加し、平均粒子サイズ8.33μmおよびGSD1.21のコア/シェル構造粒子を形成させる。NaOHを添加することにより、反応スラリーのpHを6.7まで増加させる。0.45pph EDTA(乾燥トナーに基づく)を添加し粒子成長を中断させ、その後、反応混合物を合一のために加熱し、直径8.07μmおよびGSD 1.22を有する粒子を生成させる。トナースラリーをその後室温まで冷却し、ふるい分け(25μm)により分離し、濾過し、洗浄し、および凍結乾燥させる。
【0059】
(トナー粒子実施例4)
直鎖アモルファスポリエステル樹脂エマルジョンを368.24gではなく318.67g、および実施例Aで記載したように調製した磁性Fe/カーボンブラック顔料分散物ではなく、実施例B由来の磁性FePt/カーボンブラック顔料分散物128.66gを添加することを除き、トナー粒子実施例3で記載したプロセスを実施する。コア粒子が6.93μmの体積平均粒子サイズおよび1.21のGSDに到達するまで、粒子サイズをモニタする。コア/シェル構造粒子は8.34μmのサイズ、1.22のGSDを有する。最終粒子サイズは8.21μm、GSD1.22である。
【0060】
(トナー粒子実施例5)
下記をガラスケトル(kettle)に添加し、IKAウルトラタラックス(Ultra Turrax)T50ホモジナイザを用い4000RPMでホモジナイズする。
【0061】
(1)アモルファスポリエステル樹脂エマルジョン101.43g(207nm、33.44wt%、56℃Tg)、(2)アモルファスポリエステル樹脂エマルジョン99.03g(215nm、34.25wt%、Tg60.5℃)、(3)結晶ポリエステル樹脂エマルジョン35.56g(151nm、25.74wt%、Tm(融点)71.04℃)、(4)アニオン界面活性剤ダウファックス2A1 3.3g、(5)実施例Aで記載したように調製した磁性Fe/カーボンブラック顔料分散物125.08g、(6)ポリエチレンワックスエマルジョン42.23g、および(7)脱イオン水350.69g。その後、脱イオン水67.18gと混合したAl(SO 2.51gの綿状凝集剤をケトルに滴下し、10分間ホモジナイズする。混合物を20分間280RPMで脱ガスし、粒子サイズが5.0μmとなるまで、凝集のために、1℃/分の率で37℃まで350RPMで加熱する。シェル混合物(Tg(ガラス転移温度)56℃ アモルファスポリエステル樹脂エマルジョン(207nm、33.44wt%)58.61g、Tg60.5℃、アモルファスポリエステル樹脂エマルジョン(215nm、34.25wt%)57.23g、ダウファックス2A1 1.67gおよび脱イオン水40.96g)を反応器に直ちに添加し、さらに10〜20分間、40℃、350RPMで凝集させる。体積平均粒子直径が5.7μmを超えている限り、4wt%のNaOH溶液を添加することにより凝集スラリーのpHを4に調整し、その後、EDTA 5.38gを添加する。RPMを170に調整し、凝集を中止させ、合一のために温度が85℃に到達するまで、4wt% NaOH溶液を連続して添加することにより、トナースラリーのpHをpH7.5で維持する。トナーは5.77μmの最終粒子サイズ、1.20/1.25のGSD v/n、および0.961の円形度を有する。トナースラリーをその後室温まで冷却し、ふるい分け(20μm)により分離し、濾過し、洗浄し、および凍結乾燥させる。
【0062】
(トナー粒子実施例6)
下記の点を置き換えて、トナー粒子実施例5で記載したプロセスを実施する:アモルファスポリエステル樹脂エマルジョン88.52gの添加(207nm、33.44wt%、Tg56℃)、アモルファスポリエステル樹脂エマルジョン88.43gの添加(215nm、34.25wt%、Tg60.5℃)、結晶ポリエステル樹脂エマルジョン31.07gの添加(151nm、25.74wt%、Tm71.04℃)、アニオン界面活性剤ダウファックス2A1 2.86gの添加、実施例B由来の磁性FePt/カーボンブラック顔料分散物150.1gの添加、および脱イオン水362.1gの添加。
【0063】
(現像剤)
2%の40nmシリカ、1.8%の40nm酸化チタン、1.7%のゾル−ゲルシリカ、0.5%のステアリン酸亜鉛を含む添加物パッケージをトナーの各々に対し乾式混合させる。この様式で混合させた各々のトナーをその後、米国特許第5,236,629号に記載されているプロセスを用いてポリ(メチル−メタクリレート)およびカーボンブラックから構成される1重量%の導電性ポリマー混合物でコートされた65μm鋼コアキャリヤ粉末と結合させることができる。ゼロックスハイブリッドジャンピング現像プリンタDC265をその後使用して、E13−B MICRフォントを用いMICR文字を印刷することができ、これは、RDMイージーチェック(EasyCheck)MICR品質管理テスタにより読み取られ、許容される信号レベルが確認でき、ANSI規格を満たすためには、各文字の磁気信号強度は文字を認識するためには公称信号強度の50〜200%内になければならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1または複数のバインダ樹脂と、
必要に応じて、1または複数の着色剤と、
必要に応じて、1または複数のワックスと、
安定化された磁性単結晶ナノ粒子と、
を含み、
前記磁性ナノ粒子の磁気異方性の絶対値が2×10J/m以上である、トナー。

【公開番号】特開2010−9044(P2010−9044A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−148721(P2009−148721)
【出願日】平成21年6月23日(2009.6.23)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】