説明

MR磁石のボアで使用するためのMR適合性の蛍光表示デバイス

【課題】磁石のボア内で行われるとともに、腫瘍細胞を検知するために蛍光を用いるMRガイド手術システムにおいて、外科医に表示される2Dと3D画像を生成する際に使用するために配置された立体視部品を含む、患者の必要とされる部分を表示するための顕微鏡システムを提供する。
【解決手段】光学アセンブリ50は表示を変更するように調節可能であり、視覚画像はMR画像により重ね合わされる。視覚画像は手術ツールの移動に応じて調節可能であり、表示されるMR画像および/または得られる画像は、視覚画像の変化および/またはツールの移動に応じて修正可能である。ボア中の部品はMR環境に適合するように作られる。蛍光送達システムは、蛍光のレベルの検知に応じて送達システムを自動的に活性化するように操作される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、磁石のボアで使用するためのMR適合性の立体視デバイスと、MR画像およびロボット手術システムとのその提携に関する。該システムは腫瘍の切除における手術ガイダンスの改善のために、組み合わせた蛍光とMR画像を生成するために使用される。
【背景技術】
【0002】
2006年12月26日に発行された特許文献1(Sutherland)では、MRスキャナのボア内のロボット顕微鏡下手術のためのシステムが開示されている。この特許の開示は引用によって本明細書に組み込まれるか、または、本発明が関係するMRおよびロボット手術システムのさらなる詳細について引用されるはずである。
【0003】
上記特許は、システムが磁石のボア内で機能することができないため、撮像磁石が操作手順中に撤回される場合にはMR撮像システムとともに使用するよう意図される顕微鏡下手術ロボットシステムを開示している。ボア内での手法の開示が示されるが、これは1つのアームのみを使用する定位的な手法に限定され、開示される顕微鏡はボア内部での使用に適切でないため、効果的な顕微鏡下手術を妨げるという事実によって制限される。
【0004】
すなわち、顕微鏡下手術は、手術部位を見る相互作用型の高解像度の、MR適合性の立体顕微鏡デバイスの利用可能性によって限定される。加えて、視線の問題が以下の形態で存在する:磁石のボア内の患者;手術部位を調査するボア内顕微鏡;手術部位の間にあって患者に手術を施すボア内のロボットアーム;他のボア内デバイス(カメラ、ライト、HFDなど)。これらの視線の問題は、執刀医がOR(手術室)と制御室のどちらにいるのかにかかわらず存在する。したがって、顕微鏡は位置決めのためにコンパクトで可撓性を有する必要がある。十分な照明も利用可能でなければならない。
【0005】
加えて、MR適合性の顕微鏡は腫瘍の境界を見るための蛍光能力を与えるのには利用できない。
【0006】
(内部の軟組織の特徴付けのための)MRIと(高解像度の切除のための)顕微鏡検査法を組み合わせる能力と、ボア内の手術ロボットに沿った(腫瘍境界の向上のための)蛍光顕微鏡は、神経外科の技術の強力な統合である。
【0007】
神経外科での蛍光画像は、様々なバイオマーカーと生化学的製剤が使用されて長年にわたって歴史的に進歩し、多くの技術的アプローチを有する。この精査は、造影剤、要約すると、内因性蛍光、外部の刺激による蛍光、および、外因性の造影剤に焦点を当て、その後、撮像に使用されるツールに焦点を当てる。それは、コンセンサス研究につながる重要な臨床試験の要約で終了する。δ−アミノレブリン酸の投与によって刺激されるプロトポルフィリンIX(PpIX)の実際的な有用性は、事実上試験的な臨床研究をしており、基礎科学研究を完成させている。最近、切除をガイドするためにPpIX蛍光を使用する多角的な臨床試験は、短期間の生存の改善に対する有効性を示した。外因性の剤が開発され、前臨床的に試験されており、および、それらがPpIXを生成しないか、または、低悪性度の腫瘍を描写する手助けとならない微小侵襲性(micro−invasive)の疾患または特定の腫瘍のサブタイプを切除するための追加能力を提供する場合には、願わくば長期生存利益の可能性を有する。測定と撮像に使用される技術の領域は広範に変化し、ほとんどの臨床試験は、ポイントプローブまたは改良された手術用顕微鏡のいずれかを用いて行なわれる。現在、最適化されたプローブ手法は臨床試験で有効性を示しており、さらに、完全に商業化された撮像システムが出ており、該システムは明らかに採用(adoption)を神経外科的実践へと導く助けとなる。
【0008】
神経外科ガイダンスのための腫瘍組織造影剤として、ALAによって誘発されたPpIX蛍光を使用する無作為化した位相IIIの多角的な臨床試験では、腫瘍組織は、より完全に切除され、6か月の無増悪生存期間は伸びた。
【0009】
顕微鏡検査法の臨床的な使用は主に臨床研究に限定され、ここで、機構的情報が取り込みまたは局在化の起源について求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第7,155,316号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の1つの態様によれば、蛍光剤を取り込む腫瘍細胞を、蛍光剤を取り込まない非腫瘍細胞と区別するために、蛍光剤が患者に適用される、患者の一部を見るための装置が提供される:該装置は、
患者の一部内の蛍光細胞から放たれる可視光と蛍光を含む、患者の一部からの光を受け取るための光学アセンブリと、
受け取った光から患者の一部の視覚画像を生成するための、および、蛍光を含む制御システムと、
患者の一部から受け取ったから生成された視覚画像を見るための、蛍光を含むディスプレイと、
MRI磁石のボア内に光学アセンブリを位置付けるように配置されたマウントとを含み、
ここで、光学アセンブリ、制御システム、および、通信構造は、同時通信とMR撮像を可能にするようにMRI磁石と適合し、
ここで、MRIシステムはMR画像を生成するように配置され、さらに、制御システムは、ディスプレイ上の蛍光を含む視覚画像にMR画像を重ね合わせるために、MRIの制御システムと連携するように配置される。
【0012】
好ましくは、蛍光の定量的測定が腫瘍細胞の濃度の尺度となるように、蛍光は定量的に分析される。
【0013】
好ましくは、MR撮像は、蛍光の定量的測定と連動して用いられることによって、存在する腫瘍細胞の量のさらに完全な絵を提供する。
【0014】
好ましくは、蛍光画像と共同登録される(co−registered)MR画像は、腫瘍細胞領域を提供するように、かつ、多くを語る(eloquent)敏感な脳構造に関連する領域を締め出すように、分割に関与する。
【0015】
好ましくは、蛍光撮像の撮像速度は、ほぼ30フレーム/秒であるため、切除の際に切除をモニタすることが可能となる。
【0016】
好ましくは、MR撮像は、脳内の繊維跡(fiber track)すべて、とりわけ重要なのは腫瘍周辺の繊維跡を画像上に示す拡散テンソル画像を含むように行われる。
【0017】
好ましくは、蛍光剤は、細胞がMR画像と蛍光画像の両方に現われるように、MRIマーカーを同様に含む。
【0018】
好ましくは、患者に蛍光剤を送達するための蛍光送達システムが提供され、ここで、制御システムは、もっと多くの蛍光がいつ必要とされるか、および、この検出に応じて送達システムをいつ自動的に作動させるのかを決定する。
【0019】
好ましくは、装置は、1以上の手術ツールを操作するために、少なくとも1つのエンドエフェクタを備える少なくとも1つのロボットアームを含む手術ロボットシステムと共に使用される。しかしながら、システムは、手術が磁石の外部で手動で行われる場合に使用可能である。
【0020】
この場合、好ましくは、光学アセンブリはロボットアームまたは該ツールに取り付けられることで、それによって動かすことができる。この場合、好ましくは、制御システムは、ツールの方向に関係する情報を組み込むことによって、および、この情報を用いて視覚画像データを調節することによって、アームまたはツールが取り付けられた視覚システムの3Dシーンの視覚出力(arm or tool mounted vision system‘s 3D scene visual output)の自動的な方向補正を提供するように配置される。
【0021】
好ましくは、ボア内に、患者の一部を照らすための手術用照明システムが提供され、ここで、システムは、ロボットアームの位置および方向、光学アセンブリの操作パラメーター、および、MRIの操作パラメーターの1つ以上に基づいて、照明を自動的に変更するように配置される。
【0022】
好ましくは、残存腫瘍塊を表わす画像は分割され、データは、蛍光画像の定量分析によって割り当てられたレベルまで腫瘍を切除するのに使用されるロボットに転送される。
【0023】
好ましくは、ロボットは、各々のMRI画像が記録されると、停止するようにプログラムされる。
【0024】
本発明の第2の態様によれば、装置が提供され、該装置は、
円筒状のボアを有するMRI磁石を含むMRIシステムと、
患者の一部からの光を受け取るための光学アセンブリを含み、
該光学アセンブリは、2Dおよび3D画像を生成する際に使用するために配された立体視部品を備え、該光学アセンブリは、少なくとも視野を変更するように調整可能であり、
該装置は、さらに、
一部から受け取った光から生成された画像を見るためのディスプレイと、
光学アセンブリを制御するための、および、画像を生成するための制御システムと、
光学アセンブリと処理システムの間で通信するための通信構造と、
MRI磁石のボア内に光学アセンブリを位置付けるように配置されたマウントとを含み、
光学アセンブリ、制御システム、および、通信構造は、同時通信とMR撮像を可能にするようにMRI磁石と適合し、および、
該装置はさらに、
ボア内の1以上の手術ツールを操作するために、少なくとも1つのエンドエフェクタを備える少なくとも1つのロボットアームを含む手術用ロボットシステムとを含む。
【0025】
好ましくは、制御システムは、ツールの方向に関する情報を組み込むことにより、および、この情報を使用して視覚画像データを調節することにより表示されるような画像の自動的な方向補正を提供するために配置される。
【0026】
好ましくは、ボア内に、患者の一部を照らすための手術用の照明システムが提供され、ここで、制御システムは、ツールの位置、光学アセンブリの操作パラメーター、および、MRIの操作パラメーターの1以上に基づいて、照明を自動的に変更するように配置される。
【0027】
本発明の第3の態様によれば、蛍光剤を取り込む腫瘍細胞を、蛍光剤を取り込まない非腫瘍細胞と区別するために、蛍光剤が患者に適用される、患者の一部を見るための装置が提供され、該装置は、
患者の一部内の蛍光細胞から放たれる可視光と蛍光を含む、患者の一部からの光を受け取るための光学アセンブリと、
受け取った光から患者の一部の視覚画像を生成するための、および、蛍光を含む制御システムと、
患者の一部から受け取った光から生成される視覚画像を見るための、蛍光を含むディスプレイと、
患者に蛍光剤を送達するための蛍光送達システムとを含み、
ここで、制御システムは、定量的に蛍光を分析するために、かつ、もっと多くの蛍光がいつ必要とされるか、および、この検出に応じて送達システムをいつ自動的に作動させるのかを決定するために配置される。
【0028】
好ましくは、制御システムは、ズーム、被写界深度(depth of field)、焦点、パン(pan)、傾斜、ウィンドウ平均化(window levelling)、色、バランス、倍率の1以上を含む光学アセンブリの表示(viewing)パラメーターを変更するように配置される。
【0029】
好ましくは、照明光源はその部分の表示を照らすために光学アセンブリに統合される。
【0030】
好ましくは、該部分からの光学アセンブリからの光をデジタル情報に符号化するための、撮像/符号化デバイスまたはCCDが提供される。
【0031】
1つの配置では、撮像/符号化デバイスは光学アセンブリでは磁石のボア内の患者の近くに配され、制御システムは、画像データを運ぶ電気信号との通信用のワイヤを用いて、その間の通信に係るボアの外側に配される。
【0032】
別の配置では、撮像/符号化デバイスは、光学アセンブリからは離れて配され、通信構造は光ファイバーシステムを含む。
【0033】
さらに別の配置では、撮像/符号化デバイスは、光学アセンブリから離れて配され、通信構造は光学アセンブリとともに移動可能なライトチューブを含む。
【0034】
好ましくは、顕微鏡下手術が離れた操作位置でエフェクターのロボット制御を使用する執刀医によって行われるように、ディスプレイはボアの外側の遠隔ディスプレイである。
【0035】
好ましくは、該ディスプレイは、手術部位の視覚的なリアルタイムの最新情報を提供し、立体表示のリアルタイムの最新情報のために、MR画像のリアルタイムの重ね合わせと組み合わされる。すなわち、MRシステムからの画像は視覚画像で登録され、執刀医から同時に見えるように重ね合わされる。
【0036】
別の配置では、ディスプレイは執刀医に取り付けるための頭部装着型ディスプレイを含む。
【0037】
またさらなる配置では、ディスプレイは、従来の双眼鏡構成または立体的な3Dディスプレイである。それは、部位を直接見るためにボアに配された従来の顕微鏡タイプである。
【0038】
好ましくは、光学アセンブリは従来の技術を用いて滅菌される。
【0039】
好ましくは、光学アセンブリ、制御システム、および、通信構造は、次のものの1以上によってMRI磁石と適合するように作られる:
電気通信ケーブル信号からの漂遊するRFが撮像に影響を与えるのを防ぐ電気通信ケーブル上のRFフィルタ;
RF撮像信号が撮像/符号化デバイスに影響を与えるのを防ぐ電気通信ケーブル上のRFフィルタ;
光学アセンブリと撮像/符号化デバイスのまわりのRFエンクロージャ(この光学アセンブリと撮像/符号化デバイスは、磁場と適合する材料から作られる)、
撮像システムのRF電磁場で熱くなることを防ぐ電気通信ケーブル上のケーブルトラップ;
磁場が部品に影響を与えるのを防ぐ、部品に隣接する磁気シールド。
【0040】
1つの配置では、光学アセンブリはマウントによってボアに取り付けられる。
【0041】
別の配置では、光学アセンブリはマウントによってボアの中に伸張するアームに取り付けられる。
【0042】
好ましくは、装置は、1以上の手術ツールを操作するために、少なくとも1つのエンドエフェクタを備える少なくとも1つのロボットアームを含む手術ロボットシステムと共に使用される。
【0043】
この配置では、光学アセンブリはロボットアームに取り付けられることで該ロボットアームで動かすことができるようになり、すなわち、光学アセンブリはロボットアームに取り付けられることで、該ツールで動かすことができるようになり、該ツールの先端を含む視野を有するようになる。
【0044】
エンドエフェクタまたはツールに光学アセンブリを取り付けることで、手術を受けている手術部位および領域に常に一致する視野を執刀医に提供する。これを行うことに関する問題は、カメラの視野がツールまたはエンドエフェクタとともに動き、これが3D視野の方向を変えてしまうということである。視野の方向を変えることは、執刀医が、ツールまたはアームが現実の世界ではどこにあるのかという感覚をなくしてしまうことを意味する。
例えば、ツールまたはアームが90度回転すると、3D視野の左手側は真っすぐ上に向き、左から視野に入ったものは、視野の上方から来る際に、すべて表示される。
【0045】
アームまたはツールが取り付けられた視覚システムの3Dシーンの視覚出力の自動的な方向補正は、ツール、ゆえに、光学アセンブリの方向に関する情報をソフトウェアに組み込むことによって、および、この情報を用いて視覚画像データを調節することによって、表示される画像を制御するソフトウェア中で提供可能である。すなわち、システムが視覚システムを回転させるように作動すると、モニタ上の3D出力視野も同様に回転し、(例えば)上部または下部が残されることもあり得る。その解決策とは、ロボットのエンドエフェクタおよび/またはツールに関する方向の情報を用いて、視覚情報をデジタルに操作する(つまり、データを回転させる(rotate))ことである。エンドエフェクタまたはツール上のセンサーを用いて、ツール操作システムから、または、ツールの位置および方向に関して、当然常時データを含むマニピュレーターからのフィードバック情報から、方向情報を得ることができる。
【0046】
光学アセンブリをツールそのものに取り付けることができるため、先端から離間した位置でツールを動かして、ツールの先端を含む視野を獲得することができ、または、光学アセンブリをツールの先端において直接ツールに取り付けることができるため、先端から見渡す視野を獲得することができる。
【0047】
好ましくは、光学アセンブリはロボットアームとは別の支持アームに取り付けられることで、該支持アームで動かすことができるようになり、支持アームは手術手順を達成するように移動するロボットアームに対する干渉を避けるように制御される。
【0048】
好ましくは、制御システムは、ロボットアームの移動に応じて、表示パラメーターの1つ以上を変更するように光学アセンブリを操作するために配置される。
【0049】
代替的に、制御システムは、光学アセンブリに対するツールの移動に応じて、表示パラメーターの1つ以上を変更するように光学アセンブリを操作するために配置される。
【0050】
例えば、制御システムは、ツールの先端の領域に焦点を合わせるための、光学アセンブリに対するツールの移動に応じて、その焦点位置を変更するように光学アセンブリを操作するために配置される。
【0051】
例えば、制御システムは、光学アセンブリに対するツールの移動に応じて、焦点深度を変更するように光学アセンブリを操作するために配置される。
【0052】
好ましくは、ロボットアームは、ユーザーからの入力に応じて移動するように制御され、アームの移動は表示される画像に関して拡大縮小される。
【0053】
好ましくは、ロボットアームは、ユーザーからの入力に応じて移動するように制御され、アームの移動は画像上で示される非タッチ領域によって限定される。
【0054】
好ましくは、MRIシステムは、MR画像を生成するために配置され、制御システムはディスプレイ上の視覚画像にMR画像を重ね合わせるために、MRIの制御システムと連携するように配置される。
【0055】
この配置では、好ましくは、MRIの制御システムは、表示された視覚画像の変化に応じて作動するために配置される。
【0056】
この配置では、好ましくは、MRIの制御システムは、表示された視覚画像の変化に応じて、重ね合わせのために獲得したMR画像を変更するために配置される。
【0057】
1以上の手術ツールを操作するために少なくとも1つのエンドエフェクタを備えた少なくとも1つのロボットアームを含む手術ロボットシステムとともに装置が使用される配置では、好ましくは、MRIの制御システムは、ツールの移動、および/または、表示される視覚画像の変化に応じて作動するように配置される。
【0058】
好ましくは、MRIの制御システムは、次のものの1つ以上を変更するように配置される。
解像度、スライス厚、および、寸法の1以上を含むMR画像のスキャンパラメータ;
スキャン型(T1、T2など);
患者/解剖学的構造の一部は視覚画像の変更またはツールの移動のいずれかに基づいてスキャンされる。
【0059】
例えば、MRIの制御システムはスキャンを引き起こすように配置される。
【0060】
例えば、MRIの制御システムは、ツールの先端の位置を検知することから解剖学的画像を提供することまで、MR撮像を変更するように配置される。
【0061】
好ましくは、制御システムは、画像案内データ(image guidance data)を用いて執刀医の視野に重ねるか視野を増やすことが可能なIGSシステムに一体化される。
【0062】
好ましくは、光学アセンブリは、視覚画像、IR画像、および/または、蛍光を検知するために配置される。
【0063】
好ましくは、光学アセンブリは、患者の一部の蛍光細胞から放たれる可視光と蛍光とを含む、患者の一部からの光を受け取るために配置され、ここで、MRIシステムはMR画像を生成するために配置され、さらにここで、制御システムは、ディスプレイ上の蛍光を含む視覚画像にMR画像を重ね合わせるためにMRIの制御システムと連携するように配置される。
【0064】
好ましくは、定量的な蛍光撮像とMR撮像との組み合わせは神経外科手順の間に存在する残存腫瘍の量を測定するために、この残存腫瘍の切除の際に執刀医または手術ロボットをガイドするために、および、正常な脳が手つかずのままであることを保証するために、使用される。
【0065】
好ましくは、患者は、脳腫瘍細胞に排他的に入るとともに、その中にひとたび入ると蛍光を発する薬物を投与される。
【0066】
蛍光性の薬物はもっぱら腫瘍細胞に存在するため、薬物濃度の定量的測定が腫瘍細胞の濃度の尺度となるように、蛍光は好ましくは定量的に分析される。
【0067】
好ましくは、MR撮像は、存在する腫瘍細胞の場所のより完全な絵を提供する。
【0068】
好ましくは、残存腫瘍塊を表わす画像は分割され、データは、蛍光画像の定量分析によって割り当てられたレベルまで腫瘍を切除するのに使用されるロボットに転送される。
【0069】
好ましくは、蛍光画像と共同登録されるMR画像は、腫瘍細胞領域を提供し、かつ、多くを語る敏感な脳構造に関連する領域を締め出すように分割に関与する。
【0070】
好ましくは、蛍光撮像の撮像速度は、ほぼ30フレーム/秒であるため、切除の際に切除をモニタすることが可能となる。
【0071】
好ましくは、ロボットは、各々のMRI画像が記録されると、停止するようにプログラムされる。
【0072】
好ましくは、MR画像は、脳内の繊維跡(fiber track)すべて、とりわけ重要なのは腫瘍周辺の繊維跡を画像上に示す拡散テンソル画像を含む。
【0073】
好ましくは、腫瘍細胞に付いている蛍光の化学物質は、MR画像と蛍光画像の両方に現われるように、MRIマーカーも包含する。
【0074】
好ましくは、画像の登録は、ロボットまたは手術用器具のツールにマーカーを置くことにより達成される。
【0075】
ボアでの手術はボア内での適切な照明を必要とし、さもなけれれば、執刀医は手術を行うことができない。執刀医は、照明値、照明の焦点、および、色温度を非常に迅速かつ効率的に変更する能力を必要とする。現在の配置では、手術用の照明と照明パラメーターの変更は、ロボットアームの位置および方向からの情報を用いて、倍率値、焦点、および、被写界深度などの顕微鏡からの情報を用いて、並びに、MRIおよびMRIスキャンパラメータによってスキャンされる体積に関する情報を用いることによって、自動的に達成される。
【0076】
現在の配置では、ボア内の蛍光顕微鏡システムは、蛍光送達システムに接続可能である。当然のことながら、表示される組織サンプルの蛍光の量は、患者に適用される蛍光活性化剤の量に依存して変わる。したがって、場合によっては、処置の間に、蛍光剤の量を増やす必要があるということは、検知される蛍光の値の減少によって決定されることがある。このことは、例えば、エアロゾルまたは静脈内注射器を含む、当業者に周知の様々な方法で適用可能である。
【0077】
本発明は、(例えば、ボア内の手術ロボットと組み合わせて)撮像磁石のボア内で使用するために最適化された新規のマウント機構とともに、離れた観察位置で局所的または遠隔的のいずれかで、2Dまたは3Dの手術部位を見る能力を執刀医に提供するMR適合性の顕微鏡を含む。
【0078】
デバイスは、ズーム、被写界深度、焦点、パン、傾斜、ウィンドウ平均化、色、バランスなどを含む顕微鏡の表示パラメーターを変更する能力を執刀医に与える制御部を有することができる。手術用ライトは手術部位を表示することができるように顕微鏡に一体化可能である。デバイスは、画像案内データを用いて執刀医の視野に重ねるか視野を増やすことが可能なIGSシステムに一体化される。
【0079】
顕微鏡システムは、撮像/符号化デバイス、処理装置、および、1つ以上の表示装置を包含する。撮像/符号化デバイスは、磁石のボア内の患者の近くに配されるが、処理装置はRFシールドの外部に配される。表示装置はRFシールド内に、または、その外側に配されてもよい。例えば、手術ロボットによって必要に応じて遠隔表示を支持するために、表示装置を制御室に配することができる。
【0080】
MRが(例えば、手術で使用するためのMR画像のリアルタイムの最新版を)撮像している間に、MR適合性の顕微鏡は手術部位の対応する視覚的なリアルタイム最新版の立体表示を生成することができる。立体表示のリアルタイム最新版のために、MR画像をリアルタイムに重ね合わせるべく、これらを組み合わせることができる。
【0081】
立体信号は2Dおよび3Dの両方のディスプレイのスクリーンに表示され、頭部装着型ディスプレイに随意に送られる。顕微鏡の出力は、従来の双眼鏡構成か、または、3D眼鏡を備えた、あるいは、備えていない立体的な3Dディスプレイの一部である。映像も記録してアーカイブに保管することができる。
【0082】
顕微鏡は撮像磁石のボアに位置付け可能な最小の大きさにすることができ、以下の特徴を包含することができる。
【0083】
遠隔地(ボアの外部)から調整可能な様々な倍率値
遠隔地(ボアの外部)からの焦点調節能力
一体型の手術用ライト
蛍光表示台
【0084】
顕微鏡の部品は手術領域の近くにあるため、それらは滅菌される。
【0085】
MR適合性については、システムは次のことができる:
ボア内に配されたデバイスにおいて集積光とデジタル化を含む
ボアとRFシールドの外部に取り付けられた全ての電子機器とともに、ボアからの光学信号を送るためにボア内の繊維光学を備えたレンズを含む光学部品を使用する
デバイスの先端(光学部品が配される場所、すなわち、先端部のチップ)に取り付けられたMR適合性の回路と撮像チップを使用する
デジタルに符号化される画像を使用する
【0086】
MR適合性の顕微鏡からの3D画像は、従来の顕微鏡の視野が統合される任意の用途に統合可能である。
【0087】
このデバイスは単独で作動することができるか、または、手術ロボットシステムの一部になる。
【0088】
MR適合性の顕微鏡は、手術室(OR)の床に独立して立っているように磁石のボア内の患者の上に顕微鏡を位置付けるとともに、磁石ボアまたはボア内の他の器具に取り付けた状態で顕微鏡検査法をボアに拡大する装置に、取り付けられる。
【0089】
顕微鏡は、例えば、ロボットアームのエンドエフェクタ上に、または、その近くに取り付けられた手術ロボット上にも取り付け可能である。2つのロボットアームがボア内で作動する場合、各々のアームは別の顕微鏡を有することができる。顕微鏡は、同様に、ロボットエンドエフェクタに取り付けられるツールまたは器具に、直接組み合わせるか、または、一体化させることができる。これは、ロボットから独立した顕微鏡ディスプレイと組み合わせることもできる。
【0090】
システムは、遠隔的または局所的のいずれかで、MRIのボア内の手術部位を2Dまたは3Dのいずれかで見る能力を外科医に提供することができ、これによって、顕微鏡下手術は、例えば、手術ロボットと組み合わせてMRIのボア内で行われることが可能となる。
【0091】
ボア内で作動するロボットの各々のエンドエフェクタおよび/または一体型のツールに顕微鏡を取り付けることにより、手術ツールと常に一致する手術部位の視野が外科医に提供される。例えば、顕微鏡は、ツール/エンドエフェクタの下、上、または、そばに取り付けられることで、手術を行なう際の干渉を最小限にしつつ、デバイスの表示能力を最大限にすることができる。
【0092】
大きさを小さくすることで、多くの顕微鏡をボア内の同じ手術に使用することができる。
【0093】
上記の配置を、神経外科手術の間に残りの脳腫瘍の検出と除去にも使用することができる。
【0094】
頭蓋内の悪性脳腫瘍は、中枢神経系で最も一般的で最も悪性度の高い原発腫瘍であり、すべてのタイプの癌のなかで最悪の予後の1つをもたらす。根治的な外科的切除は、これらの腫瘍を処置する主要な方法であり、これは放射線治療および/または化学療法でしばしば補充される。外科手術の目的は、患者に任意の神経学的異常をもたすことなく、腫瘍組織のすべてを、または、少なくともできるだけ多くを取り除くことである。ほとんどの脳組織は多くを語るものであるため、執刀医は任意の正常な脳組織を取り除くことはできない。なぜなら、このことは神経学的機能障害を結果としてもたらしかねないためである。手術中のMRIの出現によって、正常な脳腫瘍を取り除くことなく切除する量を増やすという執刀医の能力は改善された。手術中のMRIは、ナビゲーション機器を不正確にして、腫瘍境界を定義する際の実用性を制限しかねない脳偏位に係る問題をも排除する。
【0095】
進行中の外科的切除の間に残存腫瘍細胞を検知するための別の方法は、腫瘍細胞にしか付着せずに光の照射下で蛍光を発する化学物質の蛍光画像を使用することである。外科手術の間に撮られるこの光学画像は、外科手術における空胴内の腫瘍細胞の位置を提供する。これはリアルタイムで達成可能であるが、残存腫瘍組織の表面でのみ目に見えるものである。光学画像は、非常に敏感な脳組織である表面の真下が何であるのかについての情報を提供しない。MRI撮像は蛍光撮像ほど感知可能ではなく、したがって、多くの癌細胞はMRIによる検出で認められる必要がある。
【0096】
本発明は、MR画像と定量的蛍光画像と組み合わせることで、脳神経外科手術中に存在する残存腫瘍の量を測定し、さらに、この残余腫瘍の切除の際に執刀医または手術ロボットをガイドし、かつ、正常な脳が手つかずのまま残されることを確認するものである。外科手術は、適切な時間に撮像するために、磁石を移動可能な可動式のMRI磁石を装備した手術室で行われるか、または、MRIを装備した手術室で磁石のボアで行なわれる。
【0097】
患者は、脳腫瘍細胞にのみ入り、ひとたびその中に入ると蛍光を発する薬物を投与される。蛍光は手術用顕微鏡またはカメラによって適切な頻度でモニタされる。蛍光は定量的に分析される。蛍光性の薬物がもっぱら腫瘍細胞に存在するため、薬物濃度の定量的測定は腫瘍細胞の濃度の尺度である。薬物はすべての腫瘍細胞に入るとは限らないが、濃度は典型的なものである。
【0098】
MR撮像は、存在する腫瘍細胞の量のより完全な絵を提供する。蛍光画像へのMR画像の共同登録は蛍光画像を較正するために使用される。腫瘍は非常に異質なものであり、その異質性は、腫瘍細胞の観点と、さらに重要なことには、悪性度の観点の両方においてである。悪性度は腫瘍の悪性の物差しであり、1から4までの領域に及び、4が最も悪性のものである。細胞内に入る蛍光薬物の能力はその等級に依存することが往々にしてあり、薬物のなかには細胞内にただ入って、特定の悪性度の腫瘍のみ(例えば、悪性度4の腫瘍のみ)を標識するものもある。MRI画像は通常、悪性度とは比較的無関係であり、したがって、癌細胞母集団のより完全な絵を提供する。
【0099】
残存腫瘍塊を表わす画像は分割され、そのデータは、蛍光画像の定量分析によって割り当てられたレベルまで腫瘍を切除するロボットに転送される。腫瘍塊の切除は迅速な蛍光撮像によってモニタされる。蛍光画像とともに共同登録されるMR画像は、腫瘍細胞領域を提供し、かつ、多くを語る敏感な脳構造に関連する領域を締め出すように分割に関与する。これらの領域は、MRおよび蛍光の両方によってガイドされた切除のために登録される。蛍光撮像の撮像速度は、ほぼ30フレーム/秒であるため、切除の際に切除をモニタすることが可能となる。切除は執刀医によって磁石から行なわれるか、または、ロボットを用いて磁石内で行われる。ロボットは、迅速な蛍光撮像によって更新される分割された画像を自動的に用いて、腫瘍を切除することができる。脳内でのMRIはこれらの速度に達することができず、妥当な解像度の各々の画像は約5秒かかるため、ロボットは、各々のMRI画像が記録されると停止するようにプログラムされなければならない。蛍光画像の量子化によってロボットは導かれる。上記のように、ロボットは切除を自動的に行うことができるか、または、どの組織を除去しなければならないかに関して執刀医によってガイドされることが可能である。MRIは、ロボットによって保持されたツールに、敏感な脳組織が接近していることを執刀医に示し、ロボットが敏感な脳組織にかなり接近して切除を行うことを可能にする。多くの種類の組織があるが、好適な例は視神経である。癌組織は本質的に神経の周りでそれ自体を包むことができる。執刀医はできるだけ多くの組織を切除したいが、神経機能に任意の有害な作用を与えたくはない。リアルタイムの蛍光と迅速なMRIの組み合わせは、神経機能に影響を与えることなく、最大限の腫瘍組織の切除を可能にする。拡散テンソル画像を使用する手術室のMR画像は、脳内の繊維跡すべて、とりわけ重要なのは腫瘍周辺の繊維跡を示す。再度、組み合わせた撮像技術によって、ロボットが繊維跡の機能に影響を与えることなく、これらの跡に非常に近い任意の腫瘍組織を切除することを可能にする。敏感な領域に近い腫瘍の切除は執刀医によって制御することができるか、または、上記のように禁止領域をプログラミングすることによって制御することができる。
【0100】
腫瘍細胞に付着する蛍光の化学物質は、MRI画像と蛍光画像の両方に現われるように、MRIマーカーも包含する。二組の画像は互いに対して登録される必要があり、これはロボットのツールまたは手術用器具に適切なマーカーを置くことにより達成することができる。
【0101】
要約すると、2つの撮像技術の組み合わせは、3次元でかつMRIの腫瘍悪性度の撮像とは無関係の蛍光の高感度、迅速な撮像、および、獲得能力の容易さを利用する。MRIは、切除の間に正常な脳組織に高いレベルの安全性を提供する。
【0102】
本発明の利点は、切除の割合の増加と神経学的な障害の減少をもたらすということである。本発明を目新しく革新的なものとしているのは、手術中のMRIと、手術中の蛍光と、ロボットとの組み合わせである。この目的は、執刀医(ロボット)が最良の結果につながる手術を行う際に、撮像技術を本質的に同時に利用可能なようにして、常に患者の予後を改善することである。蛍光撮像はほとんど細胞レベルまでの大きさをもたらし、ロボットはどんな人間の執刀医よりもはるかに正確である。
【0103】
本発明は、腫瘍細胞の細胞レベルでのリアルタイム撮像を、執刀医が実際に外科手術を行う際のヒトの脳におけるこれらの腫瘍細胞の環境のほぼリアルタイムの撮像と合わせるものである。これは、切除される腫瘍細胞がどこにあるのかということと、脳の他のすべての部分に対するその位置を執刀医が正確に知っているということを意味する。蛍光撮像にMRIを追加することによって、腫瘍が異種性のものである時でさえ、すべての腫瘍塊は検知可能となる。MRI撮像と蛍光撮像を組み合わせることによって、撮像は、ボア内とボアの外側の両方での腫瘍の切除をモニタすることができる。該方法を行うロボットを用いることで、腫瘍は、MRIと蛍光撮像の両方により、磁石のボア内で切除されることができる。処理される際に両方の画像診断療法を組み合わせることにより、システムは、ロボットまたは執刀医に対して、標的組織と立入禁止区域の両方を定義することができる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
本発明の1つの実施形態は、添付の図面とともにこれから記載される。
【図1】撮像システムからのリアルタイムMTR画像で重なる手術部位とツールをリアルタイムで表示する表示デバイスを備えたMR磁石のボアで作動する顕微鏡下手術用ロボットシステムの概略的な側面図である。
【図2】表示システムの様々な取り付けを示す図1の側面図に類似する概略的な側面図である。
【図3】表示システムを示す概略図である。
【図4】ツールの先端に取り付けた表示デバイスを備える、図1のシステムの1つのロボットアームの概略的な側面図である。
【図5】ツールに隣接するエンドエフェクタに取り付けられた表示デバイスを備える、図1のシステムの1つのロボットアームのエンドエフェクタの概略的な側面図である。
【図6】MR画像と視覚画像を制御した顕微鏡下手術の概略図である。
【0105】
図において、参照の類似する特徴は異なる図の対応する部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0106】
システムの概観が図6に示され、該システムは、ロボットマニピュレータ(10)、ワークステーション(11)、および、ロボットマニピュレータとワークステーションの間で通信する制御装置(12)を含む。ワークステーションへの入力として、同様に、立体顕微鏡(13)、MRI撮像システム(14)、および、登録システム(15)も提供される。
【0107】
ワークステーションは、MRI画像のための第1のディスプレイ(16)と、顕微鏡画像のための第2のディスプレイ(17)と、システムステータスのための第3のディスプレイ(18)を含む多くのディスプレイを有する。さらに、ワークステーションは、(19)で概略的に示される2つの手動制御装置と、執刀医がディスプレイをチェックしながらワークステーションからシステムを制御することを可能にする入力インターフェース(20)を含む。ワークステーションはさらに、コンピューターまたはプロセッサ(21)、データ記録システム(22)および電源(23)を含む。
【0108】
ディスプレイ(17)は、立体顕微鏡システム(13)によって生成された画像を表示するために、シミュレートした顕微鏡を提供する立体視ディスプレイ(17A)を含む。さらに、ディスプレイ(17)は、顕微鏡システム(13)からの2次元の画像を表示するモニタ(17B)を含む。
【0109】
ロボットマニピュレータ(10)は、ワークステーションでモニタ(25)上の画像を提供するフィールドカメラ(24)を含む。
【0110】
磁気共鳴撮像システム(14)は従来の構造物であり、このシステムは多くのメーカーから入手可能である。システムがもちろん高度に複雑化して、それ自体の制御システムを含んでいるため、本ワークステーションはモニタ(16)上の画像の表示のみを必要とするものであり、その画像は既知の登録システムを使用してツールの位置に関連づけられる。
【0111】
手動制御装置(19)は多くの異なるソースから入手可能な市販の構造物であり、以下に記載されるようにツールの回転をシミュレートするために執刀医が回転させることが可能な端部シャフト(19A)を含む、執刀医が注意深く操作することができる6つの自由度可動アームを含む。ツール上のアクチュエータスイッチにより、執刀医は、以下に記載されているように、ロボット上でツールの動作を操作することができる。
【0112】
ロボットマニピュレータは、キャビネット(101)と、同様にキャビネット上に配されたフィールドカメラ(24)とともにキャビネットに取り付けられる2つのアーム(102)および(103)とを含む。フィールドカメラは、キャビネットの裏側に取り付けられ、ディスプレイ(25)上に表示するための状況の全体的な概観視野を与えるために、患者と動作部位に対してキャビネットの前面のアーム越しに表示する。
【0113】
ワークステーションとロボットマニピュレータの間の通信のための、および、これらの部品の各々の操作を制御するための制御システム(12)は、電源とともに、力覚センサー(force sensor)サブシステム(121)と動作制御サブシステム(122)を含み、さらに、(123)で概略的に示されるようなさらなる部品を含む。力覚センサーサブシステムは、手動制御システム(19)に対するロボットアームのエンドエフェクタで検知されるフィードバックフォースを制御する。動作制御サブシステム(122)は、手動システム(19)からの動作制御センサーをアームの様々な部品に対する個別の操作指令へと変換する。動作制御サブシステムは、登録システム(15)によって生成されるように、スクリーン(16)に表示される画像に対するツールの先端の場所をMRI撮像モニタ(16)上に表示するために、ワークステーションに伝えられる出力も提供する。
【0114】
アームの構造が図4に概略的に示され、ここでアームは、キャビネット台への取り付けのために、そのベース(111)に取り付けられる。アーム(102)および(103)の各々は、(26)で概略的に示されるツールの操作を可能にする多くの関節を含む。したがって、各々のアームは、回転の垂直軸を定義する肩部のヨー旋回軸(shoulder yaw pivot)(131)を定義する第1の関節を含む。水平軸のまわりの回転を提供する肩部の回転関節を形成する第2の関節(132)が垂直軸に取り付けられる。肩部のヨー軸は関節(132)を通って伸張する。剛性リンク(135)は、関節(132)から、肩部の回転関節(132)から片持ち梁にされた肘関節(136)まで及ぶ。肘関節は、肘部のヨー関節(137)とベンド回転関節(138)を含む。ヨー関節(137)はリンク(135)の外端に接続され、垂直軸回りの回転を提供する。回転関節(138)は軸に配され、水平軸を提供する。リンク(141)は水平軸上にあり、関節(138)から(142)で一般的に示される手首関節まで外部に伸張する。手首関節(142)は手首のヨー関節と手首の回転関節を含む。手首のヨー関節は、回転関節を支持するリンクが回転可能な垂直軸を提供する。回転関節は水平軸を提供し、該水平軸はその水平軸回りのツール(26)の回転を可能にする。ツール(26)は、ツールの回転にその長手軸まわりのツール(26)の回転を提供する回転関節(148)を含む。ツールは、様々な既知のツール設計を用いてツールの動作を提供するために、ツールに沿って長手方向に移動可能なツールアクチュエーター(149)をさらに含む。
【0115】
したがって、様々な軸のまわりの回転を提供するのに必要なフォースは最小限にされ、重力に逆らって固定される際に位置を維持するのに必要なフォースが最小限にされる。システム上のフォースのこの最小化により、MRI適合性のモーターを使用することで、夫々の軸の周りの他の関節部品に対する1つの関節部品の回転を駆動させることができる。
【0116】
上に記載された配置により、圧電モーターを使用することで、関節を駆動させることができる。そのような圧電モーターは市販で入手可能であり、必要とされる相対的な回転を達成するために関節の部品に対して歯車形軸継手(gear coupling)によって接続されるドライブディスクをラチェット効果により回転させるために、圧電結晶によって生成された往復運動効果を利用する。
【0117】
したがって、閉じられたボア磁石の外側の制限されない領域の顕微鏡下手術のための、または、磁石の配置が2つのアームを動作させるのに必要な手術野を提供するのに適切である、磁石の開いたボア内の手術のための、2つのアーム配置で、ロボットを使用することができる。したがって、2つのアームは、上記のような外科手術を達成するために別のツールと共に使用可能である。場合によっては、単一のアームは、ツールの位置と方向を指示するためにリアルタイムの磁気共鳴画像を用いて、患者の脳内の必要な場所にプローブまたはカニューレを挿入することを含む定位処置を達成するために使用可能である。
【0118】
図1では、システムは、MRIシステム(14)の磁石(30)のボア内での手術において概略的に示されている。ボア(31)は比較的小さいため、市販の患者台(32)は、患者の必要な部分を、ボアに入って、ボア内部の必要な場所に運ぶことができる。フィールドカメラは、ロボット(10)、特にツール(26)の操作を観察するためにボア内で使用される。
【0119】
示されるような本発明の立体顕微鏡システムは、必要な部位を表示するために、患者に隣接する適切な台に取り付けられて示されている。立体顕微鏡は2つの別々の撮像システムを含み、該システムはワークステーションでディスプレイ(17)に適切な接続を通して送信される各々のチャネルのためのものである。したがって、執刀医は顕微鏡ディスプレイ(17A)を介して従来の顕微鏡の形状をした三次元画像を見ることができ、加えて、モニタ(17B)に画像表示された二次元画像を見ることができる。
【0120】
図3に示される立体顕微鏡システムは、患者の一部から光を受け取るための光学アセンブリ(50)を含み、該光学アセンブリは上記のように2Dと3Dを生成する際に使用するために配置された立体視部品(51)および(52)を含む。
【0121】
光学アセンブリは、ズーム、被写界深度、焦点、パン、傾斜、ウィンドウ平均化、色、バランス、遠隔制御装置(56)からの制御信号に応じた倍率の1以上を調節するために、オプトエレクトロニクス(53)を用いて調節可能である。
【0122】
照明光源(54)はその部分の表示を照らすように光学アセンブリに一体化される。
【0123】
左右の光学部品からの光画像は、電子システム(53)におけるCCDまたは同様のシステムを用いてデジタル電気信号に変換され、該デジタル電気信号は、該部分から受け取った光から生成された画像を表示するために、ワークステーション(10)のディスプレイ(70)に映すための顕微鏡制御システム(56)に送信される。制御システム(56)は光学アセンブリを制御するように、および、画像を生成するために機能する。ケーブル(55)の形状の通信構造は、光学アセンブリ(50)とボアの外側の処理システム(56)との間で通信するために提供される。
【0124】
光学アセンブリ(50)は、MRI磁石のボア内にアセンブリを位置付けるように配置されたマウント(57)を含む。図1では、マウントは、アーム(102)と(103)に干渉しない位置のボア内の定位置にアセンブリを取り付けるために配置される。光学アセンブリ(50)は従来の技術を用いて滅菌される。
【0125】
光学アセンブリ、制御システム、および、通信構造は、同時の通信とMR撮像を可能にするために、MRI磁石と適合するように配置される。これは下記によって達成される:
電気通信ケーブル信号からの漂遊するRFが撮像に影響を与えるのを防ぐ電気通信ケーブル(55)上のRFフィルタ;
RF撮像信号が撮像/符号化デバイスに影響を与えるのを防ぐ電気通信ケーブル(55)上のRFフィルタ(58);
光学アセンブリと撮像/符号化デバイスのまわりのRFエンクロージャ(59)(この光学アセンブリ(50)と撮像/符号化デバイス(53)は、磁場と適合する材料から作られる);
撮像システムのRF電磁場で熱くなることを防ぐ電気通信ケーブル(55)上のケーブルトラップ(60);
磁場が部品に影響を与えるのを防ぐ、部品に隣接する磁気シールド(61)。
【0126】
図1では、撮像/符号化デバイスまたはCCD(53)は、光学アセンブリで磁石のボアの患者の近くに配され、制御システム(56)は、画像データを運ぶ電気信号を伝達するためのワイヤを用いて、その間の通信に係るボアの外側に配される。
【0127】
ディスプレイ(70)がボアの外側の遠隔ディスプレイであるため、顕微鏡下手術は、エフェクターのロボット制御を用いて、遠隔操作位置(10)で執刀医によって実行される。ディスプレイ(70)は、手術部位の視覚的なリアルタイム最新版を提供し、立体表示のリアルタイム最新版のためのMR画像のリアルタイムの重なりと組み合わされる。すなわち、MRシステムからの画像は視覚画像で登録され、執刀医から同時に見えるように重ね合わされる。視覚画像と、さらにMT画像は、以下に説明されるように制御されるため、その表示は互いに適合し、かつ、ツール(26)の操作と適合する。
【0128】
装置は上記の手術ロボットシステムと共に使用される。図5では、光学アセンブリはロボットアーム(102)に取り付けられるか、または、2つの別のシステムはアーム(102)および(103)の夫々1つに取り付けられることで、該アームで動かせるようになる。すなわち、光学アセンブリは、ツールで動かせるように、および、ツールの先端を含む視野Fを有するように、ロボットアームに取り付けられる。
【0129】
図4では、光学アセンブリ(50)はツールの先端でツールに取り付けられる。この場合、可能であれば内視鏡下で先端によって動かすことができるように、アセンブリをずっと小さく作ることができる。
【0130】
図2では、光学アセンブリ(50)は、ロボットアームとは別の支持アーム(50A)に取り付けられることによって、支持アーム(50A)で動かすことができ、支持アーム(50A)は、外科手術に影響を与えるべく動くロボットアーム(102)と(103)による干渉を避けるために、その運動が制御される。
【0131】
先に説明したように、制御システム(53)は、光学アセンブリに対するロボットアームの移動、または、ツールの移動に応じて、表示パラメーターの1以上を変更すべく光学アセンブリを操作するように配置されたモーター(62)および(63)を含む。例えば、制御システムは、ツールの先端の領域に焦点を合わせるための、光学アセンブリに対するツールの移動に応じて、その焦点位置を変更するためにモーター(62)および(63)を用いて、光学アセンブリを操作するように配置される。例えば、制御システムは、光学アセンブリに対するツールの移動に応じて、その焦点深度を変更するためにモーター(62)および(63)を用いて、光学アセンブリを操作するように配置される。
【0132】
加えて、ロボットアーム(102)および(103)は、表示される画像に関して拡大縮小するアームの移動による、執刀医からの入力に応じて移動するように制御される。これは、ディスプレイ(70)およびシステム(56)からの情報を運動制御装置サブシステム(122)に提供することによって達成され、その結果、手動の制御装置(19)からの入力に応じたツールの移動の量は変わり、すなわち、ディスプレイ(70)で表示される画像の大きさに依存して増減するようになる。これは移動を制御する際に執刀医の助けとなる。なぜなら、執刀医が予め決められた距離だけ手動の制御装置を移動させることによって達成する移動の量が、表示される画像の縮尺に関係なく表示される移動の量と一致するからである。
【0133】
加えて、患者への潜在的な損害を考慮すると、執刀医は、ツールが決して入らないように意図された非接触領域を画像中に設定することができる。制御装置(122)は、ロボットアームが画像内に示される非接触領域に入るのを回避しつつ、ユーザーからの入力に応じて移動するように、ロボットアームを操作すべく配置される。このことは、制御システム(122)と撮像システム(56)の処理プログラムの調整を必要とする。
【0134】
加えて、MR制御システム(14)は、システム(56)によって制御されるような表示された視覚画像の変化に応じて、および、システム(122)によって制御されるようなツールの移動に応じて、MR画像を操作するように配置される。
【0135】
例えば、MR制御システム(14)は、画像内の変化とツールの移動に応じて、解像度、スライス厚、および、寸法;スキャン型(T1、T2など);患者/解剖学的構造の一部の1つ以上を含むMR画像のスキャンパラメータを制御するように配置される。加えて、制御システム(14)は、表示される画像内の変化および/またはツールの移動に応じて、スキャンを始動させるために使用可能である。
【0136】
加えて、MRIの制御システム(14)は、ツールの先端の位置を検知することから解剖学的画像を提供することまで、MR撮像を変更するために配置される。
【0137】
加えて、制御システムは、画像案内データを用いて執刀医の視野に重ねるか視野を増やすことが可能なIGSシステムに一体化される。
【0138】
好ましくは、光学アセンブリは、視覚画像、IR画像、および/または、蛍光を検知するために配置される。これらをディスプレイ上に表示された視覚画像に変換することができる。
【0139】
撮像/符号化デバイスが、図2に示されるように、光学アセンブリから離れて配される場合、光学部分(71)と遠隔CCD(72)との間の通信構造は、光ファイバーシステム、または、光学アセンブリで動かされるライトチューブによって提供される。ライトチューブまたは光ファイバーを用いることで、MRシステムのRF信号と、図1のケーブル内の信号によって生じた任意のRF領域との間の干渉の可能性が回避される。
【0140】
別の配置では、ディスプレイは、執刀医に取り付けるための頭部装着型ディスプレイとして提供可能である。
【0141】
上記の配置を、神経外科手術の間に残りの脳腫瘍の検出と除去にも使用することができる。該配置は、この残存腫瘍の切除において執刀医または手術ロボットをガイドするため、かつ、正常な脳に手を付けないままにしておくことを確認するために、神経外科手術の間に存在する残存腫瘍の量を測定すべく、MR画像と定量的蛍光画像を組み合わせる。外科手術は、適切な時間に撮像するために、磁石を移動可能な可動式のMRI磁石を装備した手術室で行われるか、または、MRIを装備した手術室では磁石のボアで行なわれる。
【0142】
したがって、この配置で、上に説明されるように、光学アセンブリ、制御システム(56)、および、通信構造(55)は、同時の通信とMR撮像を可能にするように、MRI磁石と適合し、MRIシステムはMR画像を生成するように配置され、制御システム(56)は、ディスプレイ(70)において、ディスプレイ上の蛍光を含む視覚画像にMR画像を重ね合わせるために、MRIの制御システム(20)と連携するように配置される。
【0143】
該装置は、1つ以上の手術ツール(26)を操作するために、少なくとも1つのエンドエフェクタ(149)を備えた、少なくとも1つのロボットアーム(102)および(103)を含む手術ロボットシステム(10)と共に使用される。撮像システムの制御システム(56)は、蛍光で放射される光量に関係する定量的情報を生成するために配置される。定量的蛍光画像とMR画像との組み合わせは、神経外科手術の間に存在する残存腫瘍の量を測定するために、かつ、この残存腫瘍の切除の際に執刀医または手術ロボットをガイドし、正常な脳が手つかずのままであることを確認すべく、ディスプレイ(70)上にこの量を表示するために使用される。
【0144】
手術中に、患者は、脳腫瘍細胞に排他的に入るとともに、その中にひとたび入ると蛍光を発する薬物を投与される。したがって、蛍光性の薬物が腫瘍細胞にのみ存在するため、薬物濃度の定量的測定が腫瘍細胞の濃度の尺度となるように、蛍光は好ましくは定量的に分析される。このことにより、MR撮像は、存在する腫瘍細胞の量のより完全な絵を提供する。
【0145】
残存腫瘍塊を表わす画像が分割され、データが、蛍光画像の定量分析によって割り当てられたレベルまで腫瘍を切除するのに使用されるロボットに転送されるように、制御システムは操作可能である。
【0146】
ディスプレイ上で、蛍光画像と共同登録されるMR画像は、腫瘍細胞領域を提供し、かつ、多くを語る敏感な脳構造に関連する領域を締め出すように分割に関与する。
【0147】
蛍光撮像の撮像速度が、ほぼ30フレーム/秒であるため、切除がリアルタイムで起こる際に該切除をモニタすることが可能となるように、制御部(56)は操作される。
【0148】
ロボットの制御システム(10)は、各々のMRI画像が記録されるとロボットの移動を停止するようにプログラムされる。
【0149】
MR画像が脳内の繊維跡すべて、とりわけ重要なのは腫瘍周辺の繊維跡を画像上で示す拡散テンソル画像を含むように、MR制御部(20)は配置される。
【0150】
腫瘍細胞に付着する注入された蛍光の化学物質は、MR画像と蛍光画像の両方に現われるように、MRIマーカーも含むことができる。
【0151】
画像の登録がロボットのツールまたは手術用器具にマーカーを置くことにより達成されるように、登録システムは配置される。
【0152】
図5に示されるようなエンドエフェクタまたはツールに光学アセンブリを取り付けることで、手術を受けている手術部位および領域に常に一致するディスプレイ(70)上の視野を執刀医に提供する。これを行うことに関する問題は、カメラの視野がツールまたはエンドエフェクタとともに動き、これが3D視野の方向を変えてしまうということである。視野の方向を変えることは、執刀医が、ツールまたはアームが現実の世界ではどこにあるのかという感覚をなくしてしまうことを意味する。画像ディスプレイ上の3Dシーンの自動的な方向補正は、表示されるような画像を制御する制御システム(20)のソフトウェアで提供される。これは、ツールの方向に関連する情報を制御システム(20)に組み入れることにより行われる。図5で示されるように、方向に関する入力は、光学システムに取り付けられるか、または、光学システムの一部として形成されるジャイロスコープシステム(50A)から提供される。別の方法として、ロボットシステム自体が、システム内のセンサー、または、システムの動作の分析のいずれかから、ツールホルダーまたはエンドエフェクタの方向を定義するデータを有している場合、ロボットからのこのデータは、制御システム(20)に組み込まれる。したがって、光学アセンブリデータはソフトウェアに送られ、この情報を用いて視覚画像データを調節することによって、画像を適切に方向づけることができる。すなわち、システムが視覚システムを回転させるように作動すると、モニタ上の3D出力視野も同様に回転し、(例えば)上部または下部が残されることもあり得る。その解決策とは、ロボットのエンドエフェクタおよび/またはツールに関する方向の情報を用いて、視覚情報をデジタルに操作する(つまり、データを変える)ことである。エンドエフェクタまたはツール上のセンサーを用いて、ツール操作システムから、または、ツールの位置および方向に関して、当然常時データを含むマニピュレーターからのフィードバック情報から、方向情報を得ることができる。
【0153】
図5に示されるように、光学アセンブリをツール自体に取り付けることによって、先端から離間した位置でツールを動かして、ツールの先端を含む視野を獲得し、または、光学アセンブリをツールの先端において直接ツールに取り付けることができるため、先端から見渡す視野を獲得することができる。
【0154】
ボアでの手術は、ボア内での適切な照明を必要とし、さもなければ、執刀医は手術を行うことができない。これは、光源(80A)および(80B)を含む、(80)で図1に示される。執刀医は、照明値、照明の焦点、および、色温度を非常に迅速かつ効率的に変更する能力を必要とする。現在の配置では、手術用の照明と照明パラメーターの変更は、ロボットアームの位置および方向に関する制御システム(20)から入手可能な情報を用いて、倍率値、焦点、および、被写界深度などの顕微鏡に関する制御システム(20)で入手可能な情報と、MRIおよびMRIスキャンパラメータによってスキャンされる体積に関して制御システム(20)で入手可能な情報を用いることによって自動的に達成される。
【0155】
現在の配置では、ボア内の蛍光顕微鏡システムは、蛍光送達システム(90)に接続可能である。当然のことながら、表示される組織サンプルの蛍光の量は、患者に適用される蛍光活性化剤の量に依存して変わる。したがって、場合によっては、処置の間に、蛍光剤の量を増やす必要があるということは、検知される蛍光の値の減少によって決定されることがある。これは、例えば、エアロゾルまたは静脈内注射器を含む、当業者に周知の様々な方法で適用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光剤を取り込む腫瘍細胞を、蛍光剤を取り込まない非腫瘍細胞と区別するために、蛍光剤が患者に適用される、患者の一部を表示するための装置であって、
前記装置は、
患者の一部内の蛍光細胞から放たれる可視光と蛍光を含む、患者の一部からの光を受け取るための光学アセンブリと、
受け取った光から患者の一部の視覚画像を生成するための、蛍光を含む制御システムと、
患者の一部から受け取った光から生成された視覚画像を表示するための、蛍光を含むディスプレイと、
MRI磁石のボア内に光学アセンブリを位置付けるように配置されたマウントとを含み、
光学アセンブリ、制御システム、および、通信構造は、同時通信とMR撮像を可能にするようにMRI磁石と適合し、
MRIシステムはMR画像を生成するように配置され、さらに、制御システムは、ディスプレイ上の蛍光を含む視覚画像にMR画像を重ね合わせるために、MRIの制御システムと連携するように配置されることを特徴とする装置。
【請求項2】
蛍光の定量的測定が腫瘍細胞の濃度の尺度となるように、蛍光は定量的に分析されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
MR撮像は、蛍光の定量的測定と連動して用いられることによって、存在する腫瘍細胞の量のさらに完全な絵を提供することを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
蛍光画像と共同登録されるMR画像は、腫瘍細胞領域を提供するように、かつ、多くを語る敏感な脳構造に関連する領域を締め出すように、分割に関与することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の装置。
【請求項5】
蛍光撮像の撮像速度は、ほぼ30フレーム/秒であるため、切除の際に切除をモニタすることが可能となることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の装置。
【請求項6】
MR撮像は、脳内の繊維跡すべて、とりわけ重要なのは腫瘍周辺の繊維跡を画像上に示す拡散テンソル画像を含むように行われることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載の装置。
【請求項7】
蛍光剤は、細胞がMR画像と蛍光画像の両方に現われるように、MRIマーカーを同様に含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1つに記載の装置。
【請求項8】
患者に蛍光剤を送達するための蛍光送達システムが提供され、
制御システムは、もっと多くの蛍光がいつ必要とされるか、および、この検出に応じて送達システムをいつ自動的に活性化するのかを決定することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1つに記載の装置。
【請求項9】
前記装置は、1以上の手術ツールを操作するために、少なくとも1つのエンドエフェクタを備える少なくとも1つのロボットアームを含む手術ロボットシステムと共に使用されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1つに記載の装置。
【請求項10】
好ましくは、光学アセンブリはロボットアームに取り付けられることで、それによって動かすことができることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
制御システムは、ツールの方向に関係する情報を組み込むことによって、および、この情報を用いて視覚画像データを調節することによって、アームまたはツールが取り付けられた視覚システムの3Dシーンの視覚出力の自動的な方向補正を提供するように配置されることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
ボア内に、患者の一部を照らすための手術用照明システムが提供され、
前記システムは、ロボットアームの位置および方向、光学アセンブリの操作パラメーター、および、MRIの操作パラメーターの1つ以上に基づいて、照明を自動的に変更するように配置されることを特徴とする請求項9、10、または、11に記載の装置。
【請求項13】
残存腫瘍塊を表わす画像は分割され、データは、蛍光画像の定量分析によって割り当てられたレベルまで腫瘍を切除するのに使用されるロボットに転送されることを特徴とする請求項9乃至12のいずれか1つに記載の装置。
【請求項14】
ロボットは、各々のMRI画像が記録されると、停止するようにプログラムされることを特徴とする請求項9乃至13のいずれか1つに記載の装置。
【請求項15】
蛍光剤を取り込む腫瘍細胞を、蛍光剤を取り込まない非腫瘍細胞と区別するために、蛍光剤が患者に適用される、患者の一部を表示するための装置であって、
前記装置は、
患者の一部内の蛍光細胞から放たれる可視光と蛍光を含む、患者の一部からの光を受け取るための光学アセンブリと、
受け取った光から患者の一部の視覚画像を生成するための、蛍光を含む制御システムと、
患者の一部から受け取った光から生成される視覚画像を表示するための、蛍光を含むディスプレイと、
患者に蛍光剤を送達するための蛍光送達システムとを含み、
制御システムは、定量的に蛍光を分析するために、かつ、もっと多くの蛍光がいつ必要とされるか、および、この検出に応じて送達システムをいつ自動的に作動させるのかを決定するために配置されることを特徴とする装置。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図1】
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【図2】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−183308(P2012−183308A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−44715(P2012−44715)
【出願日】平成24年2月29日(2012.2.29)
【出願人】(511261097)イムリス インク. (10)