説明

MRI装置

【課題】MRI装置において、グリア細胞が神経細胞の回復に与えている影響のよしあしが判別可能な、再生医療の診断支援に有用な情報を操作者に提示すること。
【解決手段】MRI装置10は、被検体の全脳を2種類の撮像法で撮像して第1ボリュームデータ及び第2ボリュームデータをそれぞれ生成する生成部61,81と、第1ボリュームデータに基づいて神経領域を抽出する神経領域抽出部64と、第1ボリュームデータ及び第2ボリュームデータに基づいて脳梗塞領域を抽出する脳梗塞領域抽出部62と、第2ボリュームデータに基づいて血管領域及び栄養領域を抽出する抽出部83,84と、抽出された脳梗塞領域に該当する各ボクセルを、第2ボリュームデータ、神経領域、及び栄養領域に基づいて、被検体の脳梗塞の再生医療における複数の再生段階にそれぞれ分類する再生段階分類部85と、複数の再生段階に分類された脳梗塞領域を、各再生段階が視認可能なように表示装置55に表示させる表示画像生成部92と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、グリア細胞を表示するMRI装置に関する。
【背景技術】
【0002】
グリア細胞は、正常時でも脳全体に存在する細胞であり、神経の保持や血液から脳に取り込む物質の交換に関与している細胞である。そして、脳に障害(脳梗塞等)が生じると、グリア細胞は障害部位に集まり増殖し、障害発生時に起きる炎症が脳全体に広がるのを抑える効果がある。一方、グリア細胞は、過剰に増殖して神経の再生を妨げるという欠点もあることが報告されている。
【0003】
また、現在の脳梗塞の治療方法として再生医療がある。再生医療は、幹細胞を用いて血管及び神経細胞の再生を行なう治療である。しかし、再生医療においてグリア細胞に血管及び神経細胞の再生を邪魔される場合があり、再生医療においてグリア細胞を観察する必要がある。
【0004】
2010年、MRI(magnetic resonance imaging)画像において従来では観察できなかった神経膠症の観察に成功したと発表された(非特許文献1参照。)。神経膠症はグリア細胞が障害部位に集まり増殖する症状であり、これまで生きたままの状態で神経膠症を観察することは不可能であった。非特許文献1は、脳梗塞モデルのラットを用いて実験した結果であるが、使用される造影剤が医療現場で使用されているものと同じ成分であることから、医療現場で人体にも適用可能になると思われる。非特許文献1に記載される方法により人体のグリア細胞が観察できるようになれば、再生医療の診断支援に有用な情報を提示できると思われる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】[1]Yuko Kawai, Ichio Aoki, Masahiro Umeda, Toshihiro Higuchi, Jeffrey Karshaw, Makoto Higuchi, Afonso C. Silva, Chuzo Tanaka: In-vivo Visualization of Reactive Gliosis Using Manganese-enhanced Magnetic Resonance Imaging NeuroImage, 49(4), pp.3122-3131, 2010.参考URL:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19909819
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、非特許文献1の方法では、グリア細胞をグリア画像上でそのまま表示するのみである。そのため、グリア画像を基に、グリア細胞が神経細胞の再生に与える影響の良し悪しを判別することができなかった。
【0007】
また、再生医療の再生過程の各段階において、グリア細胞の適当な分布状態は異なると思われる。そこで、各段階におけるグリア細胞の分布状態を考慮した解析・表示が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施形態のMRI装置は、上述した課題を解決するために、被検体の全脳を2種類の撮像法で撮像して第1ボリュームデータ及び第2ボリュームデータをそれぞれ生成する撮像手段と、前記第1ボリュームデータに基づいて神経領域を抽出する神経領域抽出手段と、前記第1ボリュームデータ及び前記第2ボリュームデータに基づいて脳梗塞領域を抽出する脳梗塞領域抽出手段と、前記第2ボリュームデータに基づいて血管領域及び栄養領域を抽出する血管・栄養領域抽出手段と、前記抽出された脳梗塞領域に該当する各ボクセルを、前記第2ボリュームデータ、前記神経領域、及び前記栄養領域に基づいて、前記被検体の脳梗塞の再生医療における複数の再生段階にそれぞれ分類する再生段階分類手段と、前記複数の再生段階に分類された脳梗塞領域を、各再生段階が視認可能なように表示装置に表示させる表示制御手段と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1実施形態のMRI装置の全体構成を示す概略図。
【図2】第1実施形態のMRI装置の機能を示すブロック図。
【図3】3次元の脳梗塞領域に基づく2次元の脳梗塞領域画像の一例を示す図。
【図4】(a)乃至(d)は、破損した神経領域の推定を説明するための図。
【図5】グリア細胞領域に所要のボクセル値が配置された3次元のグリア細胞領域に基づく2次元のグリア細胞領域画像の一例を示す図。
【図6】グリア密度に応じて異なるボクセル値が配置された3次元のグリア密度データに基づく2次元のグリア密度画像の一例を示す図。
【図7】各再生段階における、血管、灌流及び神経の再生状態を表として示す図。
【図8】各再生段階における、アクション(治療法)、グリア細胞の数、及びグリア細胞による効果を表として示す図。
【図9】各再生段階における、脳梗塞領域の近傍においてグリア細胞の存在が期待される度合いを表として示す図。
【図10】表示されるMPR画像(左側)の第1例を示す図。
【図11】表示されるMPR画像(左側)の第2例を示す図。
【図12】表示されるMPR画像の第3例を示す図。
【図13】表示されるMPR画像の第4例を示す図。
【図14】表示されるVR画像を示す図。
【図15】第2実施形態のMRI装置の機能を示すブロック図。
【図16】表示されるMPR画像を示す図。
【図17】第3実施形態のMRI装置の機能を示すブロック図。
【図18】表示されるMPR画像を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施形態のMRI装置、医用画像処理装置及び医用画像処理方法について、添付図面を参照して説明する。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態のMRI装置の全体構成を示す概略図である。
【0012】
図1は、第1実施形態のMRI装置10を示す。MRI装置10は、大きくは、撮像装置11と撮像制御装置12とから構成される。
【0013】
MRI装置10の撮像装置11には、架台(図示しない)が備えられ、その架台内に、静磁場磁石21と、この静磁場磁石21の内部であって静磁場磁石21と同軸上に形成されるシムコイル22と、静磁場磁石21の内部に形成される傾斜磁場コイルユニット23とを収容する。また、撮像装置11には、後述するRFコイル24と、患者Pを架台内に進退させる寝台機構25とが設けられる。
【0014】
一方、MRI装置11の撮像制御装置12には、静磁場電源31、傾斜磁場電源33、シムコイル電源32、送信器34、受信器35、シーケンスコントローラ(シーケンサ)36及び画像処理装置37が設けられる。
【0015】
静磁場磁石21は、励起する際に静磁場電源31と接続される。静磁場電源31から供給された電流によって撮像領域(FOV:field of view)に静磁場を形成させる。
【0016】
シムコイル22はシムコイル電源32と接続され、シムコイル電源32からシムコイル22に電流を供給して、静磁場を均一化する。
【0017】
傾斜磁場コイルユニット23は、X軸傾斜磁場コイル23x、Y軸傾斜磁場コイル23y及びZ軸傾斜磁場コイル23zで構成される。また、傾斜磁場コイルユニット23の内側には寝台機構25の天板26が設けられ、その天板26には患者Pが載置される。天板26は、寝台機構25によって移動させられる。
【0018】
また、傾斜磁場コイルユニット23は、傾斜磁場電源33と接続される。傾斜磁場コイルユニット23のX軸傾斜磁場コイル23x、Y軸傾斜磁場コイル23y及びZ軸傾斜磁場コイル23zはそれぞれ、傾斜磁場電源33のX軸傾斜磁場電源33x、Y軸傾斜磁場電源33y及びZ軸傾斜磁場電源33zとそれぞれ接続される。そして、X軸傾斜磁場電源33x、Y軸傾斜磁場電源33y及びZ軸傾斜磁場電源33zからそれぞれX軸傾斜磁場コイル23x、Y軸傾斜磁場コイル23y及びZ軸傾斜磁場コイル23zに供給された電流により、撮像領域にそれぞれX方向の傾斜磁場Gx、Y方向の傾斜磁場Gy、Z方向の傾斜磁場Gzを形成する。
【0019】
RFコイル24は、送信器34及び受信器35と接続される。RFコイル24は、送信器34からラーモア周波数(共鳴周波数)の高周波(RF:radio frequency)信号を受けて患者Pの撮像部位(被検体)に高周波磁場パルスを送信する機能と、撮像部位内部の原子核スピンの高周波信号による励起に伴って発生したMR信号を受信して受信器35に与える機能とを有する。RFコイル24の送受方式としては、送信コイルと受信コイルとを1つのコイルで兼用する、本実施形態で説明する方式と、送信コイルと受信コイルに別々のコイルを用いる方式に分けられる。なお、MRI装置11にはRFコイル24を設けるが、図1では、RFコイル24の一例としての頭部用コイルのみを例示している。
【0020】
撮像制御装置12のシーケンスコントローラ36は、寝台機構25、傾斜磁場電源33、送信器34及び受信器35と接続される。シーケンスコントローラ36は、図示しないプロセッサ、例えばCPU(central processing unit)及びメモリを備えており、寝台機構25、傾斜磁場電源33、送信器34及び受信器35を駆動させるために必要な制御情報、例えば傾斜磁場電源33に印加すべきパルス電流の強度や印加時間、印加タイミング等の動作制御情報を記述したシーケンス情報を記憶する。
【0021】
また、シーケンスコントローラ36は、記憶した所定のシーケンスに従って寝台機構25を駆動させることによって、天板26を架台に対してZ方向に進退させる。さらに、シーケンスコントローラ36は、記憶した所定のシーケンスに従って傾斜磁場電源33、送信器34及び受信器35を駆動させることによって、架台内にX軸傾斜磁場Gx、Y軸傾斜磁場Gy,Z軸傾斜磁場Gz及びRF信号を発生させる。
【0022】
送信器34は、シーケンスコントローラ36から受けた制御情報に基づいてRF信号をRFコイル24に与える。一方、受信器35は、RFコイル24から受けたMR信号に対して増幅処理等の所要の信号処理を実行すると共にA/D(analog to digital)変換することにより、受信器35からデジタル化されたMR信号である生データ(raw data)を生成する。また、生成した生データをシーケンスコントローラ36に与える。シーケンスコントローラ36は、受信器35からの生データを受けて画像処理装置37に与える。
【0023】
画像処理装置37は、プロセッサとしてのCPU51、メモリ52、HDD(hard disk drive)53、IF(interface)54、表示装置55及び入力装置56等、コンピュータとしての基本的なハードウェアから構成される。CPU51は、共通信号伝送路としてのバスBを介して、画像処理装置37を構成する各ハードウェア構成要素52,53,54,55及び56に相互接続されている。また、画像処理装置37は、IF54を介して病院基幹のLAN(local area network)等のネットワークNに相互通信可能に接続されることで、ネットワークN上の図示しない医用画像管理装置(サーバ)から後述する過去のデータを取得することができる。
【0024】
なお、画像処理装置37には、各種アプリケーションプログラムやデータを記憶したメディアから各種アプリケーションプログラムやデータを読み込むドライブを具備する場合もある。
【0025】
CPU51は、半導電体で構成された電子回路が複数の端子を持つパッケージに封入されている集積回路(LSI)の構成をもつ制御装置である。CPU51は、メモリ52に記憶しているプログラムを実行する機能を有する。又は、CPU51は、HDD53に記憶しているプログラム、ネットワークNから転送されIF54で受信されてHDD53にインストールされたプログラムを、メモリ52にロードして実行する機能を有する。
【0026】
メモリ52は、ROM(read only memory)及びRAM(random access memory)等の要素を兼ね備える記憶装置である。メモリ52は、BIOS(basic input/output system)、IPL(initial program loading)及びその他のデータを記憶したり、CPU51のワークメモリやデータの一時的な記憶に用いたりする機能を有する。
【0027】
HDD53は、磁性体を塗布又は蒸着した金属のディスクを着脱不能で内蔵する構成をもつ記憶装置である。HDD53は、画像処理装置37にインストールされたプログラム(アプリケーションプログラムの他、OS(operating system)等も含まれる)やその他のデータを記憶する機能を有する。また、OSに、ユーザに対する情報の表示にグラフィックを多用し、基礎的な操作を入力装置56によって行なうことができるGUI(graphical user interface)を提供させることもできる。
【0028】
IF54は、パラレル接続仕様やシリアル接続仕様に合わせたコネクタによって構成される。IF54は、各規格に応じた通信制御を行ない、ネットワークNに相互接続することができる機能を有する。MRI装置10は、IF54及びネットワークNを介して、図示しない読影機器や医用画像管理装置等と通信可能に接続される。
【0029】
表示装置55は、画像合成回路、D/A(digital to analog)変換回路及び2次元のモニタ等によって構成される。表示装置55は、モニタを介して後述するMPR画像を表示する機能を有する。
【0030】
入力装置56としては、技師等のオペレータによって操作が可能なキーボードやマウス等によって構成される。入力装置56は、操作に従った入力信号をCPU51に送る機能を有する。
【0031】
図2は、第1実施形態のMRI装置10の機能を示すブロック図である。
【0032】
図1に示すCPU51(又は、シーケンスコントローラのCPU)がプログラムを実行することによって、MRI装置10は、図2に示すように、DWIボリューム生成部61、脳梗塞領域抽出部62、DTI/DTTボリューム生成部63、神経領域抽出部64、グリアボリューム生成部71、グリア細胞領域抽出部72、グリア密度演算部73、MRAボリューム生成部81、PWIボリューム生成部82、血管領域抽出部83、栄養領域抽出部84、再生段階分類部85、危険領域演算部91、及び表示画像生成部92として機能する。なお、MRI装置10の機能要素61乃至64、71乃至73、81乃至85、91乃至92の全部又は一部は、MRI装置10にハードウェアとして備えられるものであってもよい。
【0033】
DWIボリューム生成部61は、シーケンスコントローラ36を介して撮像装置11の動作を制御して、DWI(拡散強調撮像:diffusion−weighted imaging)によって患者Pの脳の3次元撮像を実行して、DWIボリュームデータを生成する機能を有する。DWIボリュームデータは、HDD53等の記憶装置に記憶される。
【0034】
脳梗塞領域抽出部62は、DWIボリューム生成部61によって生成されたDWIボリュームデータと、PWIボリューム生成部82によって生成されたPWIボリュームデータとから、拡散・灌流のミスマッチ(DPM:diffusion/perfusion mismatch)を検出することで3次元の脳梗塞領域(部位)を抽出する機能を有する。図3は、3次元の脳梗塞領域に基づく2次元の脳梗塞領域画像の一例を示す図である。
【0035】
図2に示すDTI/DTTボリューム生成部63は、DWIボリューム生成部61によって生成されたDWIボリュームデータに基づいて、DTI画像データを生成するためのDTI(diffusion tensor imaging)ボリュームデータ、又は、DTT画像データを生成するためのDTT(diffusion tensor tractography)ボリュームデータを生成する機能を有する。DTI/DTTボリュームデータは、HDD53等の記憶装置に記憶される。
【0036】
神経領域抽出部64は、DTI/DTTボリューム生成部63によって生成されたDTI/DTTボリュームデータから、神経領域を抽出する機能を有する。神経領域抽出部64は、破損した神経領域も含めて神経領域を抽出する。
【0037】
図4(a)乃至(d)は、破損した神経領域の推定を説明するための図である。
【0038】
神経領域のDTT画像を作成する際、正常側に線対称の異常側において、異常箇所の影響により神経が破損しており、トラッキングができずDTT画像が途中までしか作成できない場合がある。
【0039】
異常側において、図4(a)に示すように、神経が位置lと位置lの間で破損して切断されているとする。この場合の正常側及び異常側のDTT画像を図4(b)に示す。異常側のDTT画像において、位置lで破損しているため、位置l以降の神経線維の拡散方向が分からなくなり、位置l以降に神経が存在するにもかかわらず、トラッキングができなくなってしまう。そこで、神経領域抽出部64は、Warp Vectorを用いて、異常側における破損箇所までの神経線維の形状を変換する。
【0040】
次に、神経領域抽出部64は、正常側の神経線維を反転して異常側にコピーする図4(c)で異常側に点線で示されているのが、正常側から異常側にコピーされた神経線維である。
【0041】
図4(a)に示すように、神経はl−l間のみ破損しており、位置lから再び存在している。よって、図4(c)の異常側のDTT画像において、l−l間の軌跡が分かれば、位置lより先では拡散方向の情報があるため、続けてトラッキングが可能である。正常側の神経線維が異常側にコピーされたことで、神経領域抽出部64は、異常側の、破損していたl1−l間の軌跡を推定し、位置l以降の軌跡も推定することができる。
【0042】
図2に示すグリアボリューム生成部71は、シーケンスコントローラ36を介して撮像装置11の動作を制御して、MEMRI(manganese−enhanced MRI)によって患者Pの脳の3次元撮像を実行し、MEMRI(グリア)画像データを生成するためのグリアボリュームデータを生成する機能を有する。グリアボリュームデータは、HDD53等の記憶装置に記憶される。
【0043】
グリア細胞領域抽出部72は、脳梗塞領域抽出部62によって抽出された3次元の脳梗塞領域と、グリアボリューム生成部71によって生成されたグリアボリュームデータとから、3次元のグリア細胞領域を抽出する機能を有する。まず、グリア細胞領域抽出部72は、非線形位置合わせ法を用いて、脳梗塞領域をグリアボリュームデータに一致するように変形させる。そして、グリア細胞領域抽出部72は、脳梗塞領域の変形結果より脳梗塞領域の周辺のグリア細胞領域を抽出する。図5は、グリア細胞領域に所要のボクセル値が配置された3次元のグリア細胞領域に基づく2次元のグリア細胞領域画像の一例を示す図である。
【0044】
図2に示すグリア密度演算部73は、グリア細胞領域抽出部72によって抽出された、脳梗塞領域の周辺のグリア細胞領域に基づいて、3次元のグリア細胞の密度(グリア密度)データを算出する機能を有する。なお、グリア密度演算部73は、グリア密度をグリア画像の信号の強度とする。図6は、グリア密度に応じて異なるボクセル値が配置された3次元のグリア密度データに基づく2次元のグリア密度画像の一例を示す図である。
【0045】
図2に示すMRAボリューム生成部81は、シーケンスコントローラ36を介して撮像装置11の動作を制御して、MRA(magnetic resonance angiography)によって患者Pの脳の3次元撮像を実行して、MRAボリュームデータを生成する機能を有する。MRAボリュームデータは、HDD53等の記憶装置に記憶される。
【0046】
PWIボリューム生成部82は、MRAボリューム生成部81によって生成されたMRAボリュームデータに基づいて、PWI画像データを生成するためのPWI(灌流撮像:perfusion weighted imaging)ボリュームデータを生成する機能を有する。PWIボリュームデータは、HDD53等の記憶装置に記憶される。
【0047】
血管領域抽出部83は、MRAボリューム生成部81によって生成されたMRAボリュームデータから、3次元の血管領域を抽出する機能を有する。血管領域抽出部83は、例えば、Snake法等を利用して血管領域を抽出する。
【0048】
栄養領域抽出部84は、血管領域抽出部83によって抽出された3次元の血管領域に基づいて、各血管が脳を栄養する栄養領域を3次元の栄養領域として抽出する機能を有する。
【0049】
ここで、血管領域抽出部83及び栄養領域抽出部84の追加の機能について説明する。まず、脳梗塞の疑いのない正常人の脳をMRA撮像して、MRAボリュームデータをDB(データベース)に保存する。次いで、血管領域抽出部83は、DBに保存された正常人の脳のMRAボリュームデータから血管領域を抽出する。血管領域抽出部83は、正常人の脳における血管領域と、撮像した患者Pの血管領域とをパターンマッチングを用いて比較する。このように患者Pの脳のMRAボリュームデータと正常人の脳のMRAボリュームデータとを比較することにより、血管領域抽出部83は、患者Pの脳梗塞によって消失した患者Pの血管領域を抽出することができる。また、栄養領域抽出部84は、正常人の脳における栄養領域と、撮像した患者Pの栄養領域とをパターンマッチングを用いて比較することにより、栄養領域抽出部84は、患者Pの脳梗塞によって消失した患者Pの栄養領域を抽出することができる。
【0050】
再生段階分類部85は、脳梗塞領域抽出部62によって抽出された3次元の脳梗塞領域に該当する各ボクセルを、神経領域抽出部64によって抽出された3次元の神経領域と、PWIボリューム生成部82によって生成されたPWIボリュームデータと、栄養領域抽出部84によって抽出された3次元の栄養領域とに基づいて、患者Pの脳梗塞の再生医療における脳梗塞の再生段階I〜IVにそれぞれ分類して3次元の再生段階分類データを生成する機能を有する。脳梗塞の再生医療における再生は、血管、灌流、神経の順に進行する。そこで、再生段階分類部85は、脳梗塞領域に該当する各ボクセルについて、血管の再生状態、灌流の再生状態、及び神経の再生状態をそれぞれ求めることで、各ボクセルの脳梗塞の再生段階を再生段階I〜IVにそれぞれ分類する。
【0051】
図7は、再生段階分類部85によって分類される各再生段階における、血管、灌流及び神経の再生状態を表として示す図である。図8は、再生段階分類部85によって分類される各再生段階における、アクション(治療法)、グリア細胞の数、及びグリア細胞による効果を表として示す図である。
【0052】
図7の表に示すように、再生段階分類部85は、血管の再生状態、灌流の再生状態、及び神経の再生状態に応じて、脳梗塞領域に該当する各ボクセルを、脳梗塞の再生段階I〜IVにそれぞれ分類する。
【0053】
図7に示すように、再生段階分類部85は、脳梗塞の再生医療において血管、灌流及び神経のいずれも再生状態にないボクセルを再生段階Iと判断する。再生段階分類部85は、脳梗塞の再生医療において血管が再生状態にあるが、灌流及び神経が再生状態にないボクセルを再生段階IIと判断する。再生段階分類部85は、脳梗塞の再生医療において血管及び灌流が再生状態にあるが、神経が再生状態にないボクセルを再生段階IIIと判断する。再生段階分類部85は、脳梗塞の再生医療において血管、灌流及び神経の全てが再生状態にあるボクセルを再生段階IVと判断する。
【0054】
再生段階分類部85は、脳梗塞領域に該当する各ボクセルが栄養領域に含まれている場合、当該ボクセルにおいて血管は再生している、すなわち血管の再生状態であると判断する一方、ボクセルが栄養領域に含まれていない場合、当該ボクセルにおいて血管は再生していない、すなわち、血管の再生状態ではないと判断する。再生段階分類部85は、PWIボリューム生成部82によって生成されたPWIボリュームデータに基づいてボクセルの血流量を求め、ボクセルの血流量が設定値(自由に指定可能)以上である場合、当該ボクセルにおいて灌流が再生している、すなわち灌流の再生状態であると判断する一方、ボクセルの血流量が設定値未満である場合、当該ボクセルにおいて灌流が再生していない、すなわち灌流の再生状態ではないと判断する。
【0055】
また、再生段階分類部85は、神経領域抽出部64によって抽出された神経領域に基づいてボクセルに神経領域が存在する場合、当該ボクセルにおいて神経は再生している、すなわち神経の再生段階であると判断する。再生段階分類部85は、途中で途切れている神経領域間を、正常ボクセルと比較することで仮想の神経領域として予測する。そして、再生段階分類部85は、ボクセルに仮想の神経領域が存在する場合、当該ボクセルにおいてあるべき神経が再生していない、すなわち神経の再生状態ではないと判断する一方、ボクセルに仮想の神経領域が存在しない場合、当該ボクセルを再生段階I〜IIIであると判断する。
【0056】
図2に示す危険領域演算部91は、グリア密度演算部73によって算出された3次元のグリア密度データと、再生段階分類部85によって分類された3次元の再生段階分類データに基づいて、各ボクセルのグリア密度の良好性評価を行なって、操作者に警告をすべき3次元の危険領域を算出する機能を有する。
【0057】
図9は、再生段階分類部85によって分類される各再生段階における、脳梗塞領域の近傍においてグリア細胞の存在が期待される度合いを表として示す図である。図9に示すように、脳梗塞の再生段階I〜IVの段階に従って、脳梗塞領域の周辺においてグリア細胞の存在が期待される度合い(高○、中△、小×)が異なる。危険領域演算部91は、図9に示す表より、脳梗塞領域の周辺においてグリア細胞の存在が期待される度合いとしてのグリア密度に基づいて、脳梗塞領域に該当するボクセルのうち、ボクセル周辺のグリア密度が期待どおりではないボクセルを危険領域として生成する。危険領域演算部91による評価基準は、ボクセル周辺のグリア密度の値が、当該ボクセルの再生段階における理想的なグリア密度値以下であるか超えるかによる(二値化)。
【0058】
まず、危険領域演算部91は、グリア密度演算部73によって算出されたグリア密度に応じて異なるボクセル値が配置された3次元のグリア密度データと、再生段階分類部85によって分類された脳梗塞の再生段階に応じて異なるボクセル値が配置された3次元の再生段階分類データとを非線形位置合わせにより位置合わせを行なう。次に、危険領域演算部91は、位置合わせされた再生段階分類データに基づいて、脳梗塞領域に該当するボクセルが脳梗塞のどの再生段階に相当するかを判断し、当該ボクセルの周辺のグリア密度と、脳梗塞の再生段階毎に設定されたグリア密度の閾値とを比較することで、当該ボクセルを評価する。
【0059】
例えば、危険領域演算部91は、脳梗塞の再生段階Iにおけるグリア密度の閾値を閾値TIと設定する場合、脳梗塞領域に該当するボクセルが再生段階Iであるとき、当該ボクセルの周辺のグリア密度が閾値TI以下であれば、当該ボクセルを危険領域とする。危険領域演算部91は、脳梗塞の再生段階IIにおけるグリア密度の閾値を閾値TIIと設定する場合、脳梗塞領域に該当するボクセルが再生段階IIであるとき、当該ボクセルの周辺のグリア密度が閾値TII以下であれば、当該ボクセルを危険領域とする。危険領域演算部91は、脳梗塞の再生段階IIIにおけるグリア密度の閾値を閾値TIIIと設定する場合、脳梗塞領域に該当するボクセルが再生段階IIIであるとき、当該ボクセルの周辺のグリア密度が閾値TIII以上であれば、当該ボクセルを危険領域とする。なお、脳梗塞の再生段階IVは再生後であるため、本実施形態では、危険領域演算部91は、脳梗塞の再生段階IVにおけるグリア密度の閾値を設定しないものとし、当該ボクセルの周辺のグリア密度に関わらず当該ボクセルの評価は行なわないものとする。
【0060】
表示画像生成部92は、再生段階分類部85によって複数の再生段階に分類された脳梗塞領域を、各再生段階が視認可能なように表示する機能を有する。
【0061】
図10は、表示されるMPR画像(左側)の第1例を示す図である。また、図10は、各再生段階におけるグリア密度の閾値(右側)を示す。
【0062】
図10は、グリアボリュームデータに、3次元の再生段階分類データと、3次元の危険領域とを重畳して生成されたMPR(MPR:multi planar reformat)画像である。図10に示すMPR画像は、危険領域を視認可能とするように生成される。また、図10に示すMPR画像には、栄養領域抽出部84によって抽出された栄養領域(輪郭)が示されている(図10中の破線)。
【0063】
(第1実施形態の第1変形例)
危険領域演算部91は、3次元のグリア密度データと再生段階毎の閾値との差に応じて、危険領域を算出する。例えば、危険領域演算部91は、脳梗塞の再生段階Iにおけるグリア密度の閾値を閾値TIと設定する場合、脳梗塞領域に該当するボクセルが再生段階Iであるとき、当該ボクセルの周辺のグリア密度と閾値TIとの距離が大きい場合、当該ボクセルを危険領域とする。
【0064】
図11は、表示されるMPR画像(左側)の第2例を示す図である。また、図11は、各再生段階におけるグリア密度の閾値(右側)を示す。
【0065】
図11は、グリアボリュームデータに、再生段階毎の閾値との差に応じて階調値が配置されるデータと、3次元の危険領域とを重畳して生成されたMPR画像である。また、図11に示すMPR画像には、栄養領域抽出部84によって抽出された栄養領域(輪郭)が示されている(図11中の破線)。また、オペレータが操作する入力装置56からの入力信号に従ってグリア密度の閾値が変更されると、その変動に連動して、MPR画像の色彩が変化する。
【0066】
(第1実施形態の第2変形例)
表示画像生成部92は、グリア密度演算部73によって算出されるグリア密度を図10に示すMPR画像に反映している。そのMPR画像の表示例を図12に示す。
【0067】
図12は、表示されるMPR画像の第3例を示す図である。
【0068】
図12は、図10に示すMPR画像に、グリア密度データを反映したMPR画像である。また、図12に示すMPR画像には、栄養領域抽出部84によって抽出された栄養領域(輪郭)が示されている(図12中の破線)。
【0069】
(第1実施形態の第3変形例)
表示画像生成部92は、グリア密度演算部73によって算出されるグリア密度を、その閾値によって分類し、閾値以上(又は、閾値未満)のグリア密度を図10に示すMPR画像に反映している。そのMPR画像の表示例を図13に示す。
【0070】
図13は、表示されるMPR画像の第4例を示す図である。
【0071】
図13は、図10に示すMPR画像に、グリア密度のうち閾値以上のグリア密度にその大きさに応じたカラーを割り当てたグリア密度データを反映したMPR画像である。また、図13に示すMPR画像には、栄養領域抽出部84によって抽出された栄養領域(輪郭)が示されている(図13中の破線)。
【0072】
(第1実施形態の第4変形例)
第1実施形態と、その第1乃至第3変形例ではMPR画像を表示対象と処理していたが、本実施例ではVR(volume rendering)画像を表示対象とする。操作者は、入力装置56を用いて複数の断面を設定し、設定された断面に対して図10及び図11に示すような表示を行なう。これにより、3次元的に脳梗塞領域の再生段階を確認することができる。
【0073】
図14は、表示されるVR画像を示す図である。
【0074】
図14の右側は、再生段階分類部85の結果より、各ボクセルの再生段階に合わせてグリア画像上に色(任意)を段階的に重畳し、危険領域演算部91において危険領域と判断されたボクセルに特定の色(任意)を重畳したVR画像である。
【0075】
入力装置56によって指定された断面の座標を表示装置55に出力すると、表示装置55は、各断面の座標から、VR画像の対応する断面を計算して図14の左側に示すように表示する。
【0076】
(第2実施形態)
第2実施形態のMRI装置10Aの全体構成は、図1に示す第1実施形態のMRI装置10の全体構成と同一のものであるので、説明を省略する。
【0077】
図15は、第2実施形態のMRI装置10Aの機能を示すブロック図である。
【0078】
図1に示すCPU51(又は、シーケンスコントローラのCPU)がプログラムを実行することによって、MRI装置10Aは、DWIボリューム生成部61、脳梗塞領域抽出部62、DTI/DTTボリューム生成部63、神経領域抽出部64A、グリアボリューム生成部71、グリア細胞領域抽出部72、グリア密度演算部73、MRAボリューム生成部81、PWIボリューム生成部82、血管領域抽出部83A、栄養領域抽出部84、再生段階分類部85、危険領域演算部91、及び表示画像生成部92Aとして機能する。なお、図15に示すMRI装置10Aには、脳梗塞領域抽出部62、DTI/DTTボリューム生成部63、神経領域抽出部64A、MRAボリューム生成部81、血管領域抽出部83A、危険領域演算部91、及び表示画像生成部92Aのみを図示する。図15に示すMRI装置10Aにおいて、図2に示すMRI装置10と同一機能要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0079】
神経領域抽出部64Aは、図2に示す神経領域抽出部64の機能に加え、DTI/DTTボリューム生成部63によって生成されたDTI/DTTボリュームデータと脳梗塞領域抽出部62によって抽出された脳梗塞領域とに基づいて、脳梗塞領域の3次元の神経領域を抽出する機能を有する。
【0080】
血管領域抽出部83Aは、図2に示す血管領域抽出部83の機能に加え、MRAボリューム生成部81によって生成されたMRAボリュームデータと、脳梗塞領域抽出部62によって抽出された3次元の脳梗塞領域とに基づいて、脳梗塞領域の3次元の血管領域を抽出する機能を有する。
【0081】
表示画像生成部92Aは、図2に示す表示画像生成部92の機能に加え、神経領域抽出部64Aによって抽出された神経領域と、血管領域抽出部83Aによって抽出された血管領域とを反映したMPR画像データを生成する機能を有する。
【0082】
図16は、表示されるMPR画像を示す図である。
【0083】
図16は、図12に示すMPR画像に、神経領域抽出部64Aによって抽出された神経領域と、血管領域抽出部83Aによって抽出された血管領域とを重畳して2次元のMPR画像データである。また、図16に示すMPR画像には、栄養領域抽出部84によって抽出された栄養領域(輪郭)が重畳されている(図16中の破線)。
【0084】
(第3実施形態)
第3実施形態のMRI装置10Bの全体構成は、図1に示す第1実施形態のMRI装置10の全体構成と同一のものであるので、説明を省略する。
【0085】
図17は、第3実施形態のMRI装置10Bの機能を示すブロック図である。
【0086】
図1に示すCPU51(又は、シーケンスコントローラのCPU)がプログラムを実行することによって、MRI装置10Bは、DWIボリューム生成部61、脳梗塞領域抽出部62、DTI/DTTボリューム生成部63、神経領域抽出部64A、グリアボリューム生成部71、グリア細胞領域抽出部72、グリア密度演算部73、輪郭抽出部74、MRAボリューム生成部81、PWIボリューム生成部82、血管領域抽出部83A、栄養領域抽出部84、再生段階分類部85、危険領域演算部91、及び表示画像生成部92Bとして機能する。なお、図17に示すMRI装置10Bには、脳梗塞領域抽出部62、DTI/DTTボリューム生成部63、神経領域抽出部64A、グリア密度演算部73、輪郭抽出部74、MRAボリューム生成部81、血管領域抽出部83A、危険領域演算部91、及び表示画像生成部92Bのみを図示する。図17に示すMRI装置10Bにおいて、図2に示すMRI装置10及び図15に示すMRI装置10Aと同一機能要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0087】
輪郭抽出部74は、グリア密度演算部73によって抽出されたグリア密度が閾値以上(閾値は任意に設定可能)の閾値領域の輪郭を抽出する機能を有する。まず、輪郭抽出部74は、閾値以上とそれ以外とでグリア密度の2値化処理を行なう。輪郭抽出部74は、2値化処理の結果上に点を複数配置してregion growing法を用いて閾値領域を抽出する。そして、輪郭抽出部74は、抽出された閾値領域に対してsnake法を用いて閾値領域の輪郭データを抽出する。輪郭抽出部74によって抽出された輪郭データは、HDD53等の記憶装置に記憶される。記憶装置は、グリア密度の閾値が変更された場合、閾値領域及び輪郭も変更されることから、グリア細胞領域の結果と共に保存する。そして、グリア密度の閾値が変更された場合、過去データを輪郭抽出部74に出力する。
【0088】
表示画像生成部92Bは、図2に示す表示画像生成部92の機能に加え、記憶装置から取得される、時系列で複数の撮像で得られた輪郭データを重畳してMPR画像を生成する機能を有する。MPR画像は、表示装置55を介して表示される。
【0089】
図18は、表示されるMPR画像を示す図である。
【0090】
図18は、グリア密度が一定値以上の領域の時系列変化の一例を示す図である。
【0091】
各ボクセルの再生段階に合わせて、グリア画像上に色(任意)を段階的に重畳する。また、危険領域と判断されたボクセルに特定の色(任意)を重畳する。また、輪郭抽出部74の結果から、閾値以上のグリア細胞領域の輪郭を重畳する。加えて、記憶装置から過去に撮像したときに抽出した輪郭結果を読み込み、輪郭抽出部74の結果と各過去データとで輪郭の色が変わるように重畳する。
【0092】
本実施形態のMRI装置10,10A,10Bは、まず、再生医療の回復過程を血管、灌流、及び神経の再生状態を元に4段階に分類し、それぞれの段階において期待されるグリア細胞分布量と実際に得られたグリア密度を関連づけて解析する。また、グリア細胞は脳全体に存在することから、注目部位(梗塞部位)周辺のグリア細胞のみを抽出する。よって、本実施形態のMRI装置10,10A,10Bによると、グリア画像をそのまま表示するのではなく、グリア細胞が神経細胞の回復に与えている影響のよしあしが判別可能な、再生医療の診断支援に有用な情報を操作者に提示することができる。
【0093】
なお、本実施形態のMRI装置10,10A,10Bは、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、本実施形態のMRI装置10,10A,10Bに開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【符号の説明】
【0094】
10,10A,10B MRI装置
11 撮像装置
12 撮像制御装置
51 CPU
55 表示装置
56 入力装置
61 DWIボリューム生成部
62 脳梗塞領域抽出部
63 DTI/DTTボリューム生成部
64,64A 神経領域抽出部
71 グリアボリューム生成部
72 グリア細胞領域抽出部
73 グリア密度演算部
74 輪郭抽出部
81 MRAボリューム生成部
82 PWIボリューム生成部
83,83A 血管領域抽出部
84 栄養領域抽出部
85 再生段階分類部
91 危険領域演算部
92,92A,92B 表示画像生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の全脳を2種類の撮像法で撮像して第1ボリュームデータ及び第2ボリュームデータをそれぞれ生成する撮像手段と、
前記第1ボリュームデータに基づいて神経領域を抽出する神経領域抽出手段と、
前記第1ボリュームデータ及び前記第2ボリュームデータに基づいて脳梗塞領域を抽出する脳梗塞領域抽出手段と、
前記第2ボリュームデータに基づいて血管領域及び栄養領域を抽出する血管・栄養領域抽出手段と、
前記抽出された脳梗塞領域に該当する各ボクセルを、前記第2ボリュームデータ、前記神経領域、及び前記栄養領域に基づいて、前記被検体の脳梗塞の再生医療における複数の再生段階にそれぞれ分類する再生段階分類手段と、
前記複数の再生段階に分類された脳梗塞領域を、各再生段階が視認可能なように表示装置に表示させる表示制御手段と、
を有するMRI装置。
【請求項2】
前記再生段階分類手段は、前記脳梗塞領域に該当する各ボクセルについて、血管の再生状態、灌流の再生状態、及び神経の再生状態をそれぞれ求めることによって、前記抽出された脳梗塞領域に該当する各ボクセルを前記複数の再生段階にそれぞれ分類する構成とする請求項1に記載のMRI装置。
【請求項3】
前記撮像手段は、前記第1ボリュームデータとしてDWI(diffusion−weighted imaging)ボリュームデータを生成し、前記第2ボリュームデータとしてMRA(magnetic resonance angiography)ボリュームデータを生成する構成とする請求項1又は2に記載のMRI装置。
【請求項4】
前記撮像手段は、第3の撮像法によって3次元の第3ボリュームデータを生成し、
前記第3ボリュームデータ及び前記脳梗塞領域に基づいてグリア細胞領域を抽出するグリア細胞抽出手段と、
前記グリア細胞領域のグリア細胞の密度をグリア密度として算出するグリア密度演算手段と、
前記グリア密度と、前記複数の再生段階に分類された脳梗塞領域との関係に基づいて危険領域を評価する評価手段と、をさらに備え、
前記表示制御手段は、前記危険領域を、前記複数の再生段階に分類された脳梗塞領域に重畳して前記表示装置に表示させる構成とする請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載のMRI装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、前記算出されたグリア密度に従って任意の色に割り当て前記表示装置に表示させる構成とする請求項4に記載のMRI装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は、前記脳梗塞領域の近傍で抽出されたグリア細胞領域の領域及び輪郭を前記表示装置に表示させる構成とする請求項4又は5に記載の医用画像処理装置。
【請求項7】
前記撮像手段は、前記第3ボリュームデータとしてMEMRI(グリア)ボリュームデータを生成する構成とする請求項4乃至6のうちいずれか一項に記載のMRI装置。
【請求項8】
血管領域抽出手段は、脳梗塞の疑いのない脳における血管領域と、前記被検体の血管領域とをパターンマッチングを用いて比較することによって、前記被検体の脳梗塞によって消失した血管領域を抽出すると共に、
栄養領域抽出手段は、前記脳梗塞の疑いのない脳における栄養領域と、前記被検体の栄養領域とをパターンマッチングを用いて比較することによって、前記被検体の脳梗塞によって消失した栄養領域を抽出する構成とする請求項1乃至7のうちいずれか一項に記載のMRI装置。
【請求項9】
前記表示制御手段は、前記血管領域及び前記神経領域を前記表示装置に表示させる構成とする請求項8に記載のMRI装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図15】
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【図17】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図16】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−245113(P2012−245113A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118191(P2011−118191)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】