説明

N−ピペリジノ−1,5−ジフェニルピラゾール−3−カルボキサミド誘導体を調製する方法

本発明は、式(I)の化合物(Rは、水素若しくはハロゲン原子又はC−Cアルキル基を表し;R2、、R、R、R、Rは、各々互いに独立に、水素若しくはハロゲン原子又はC−Cアルキル、C−Cアルコキシ、トリフルオロメチル基を表す。)及びその塩を調製する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、式:
【0002】
【化5】

の化合物
(式中:
−Rは、水素若しくはハロゲン原子又は(C−C)アルキル基を表し;
−R、R、R、R、R及びRは、各々互いに独立に、水素若しくはハロゲン原子又は(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ又はトリフルオロメチル基を表す。)
及びその塩を調製する方法である。
【背景技術】
【0003】
式(I)の化合物は、様々な特許又は特許出願、EP 0 656 354 B、EP 1 150 961 B中に、カンナビノイドCB受容体アンタゴニストとして開示されている。より具体的には、N−ピペリジノ−5−(4−クロロフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチルピラゾール−3−カルボキサミド、すなわちリモナバンは、肥満及び禁煙において臨床的な活性を示した。
【0004】
従来技術では、酸:
【0005】
【化6】

の機能的誘導体に対して、N−アミノピペリジンを作用させることによって、式(I)の化合物を調製することが公知である。
【0006】
この合成方法は、特に、リモナバンの調製のために、特許EP 0 656 354 B中に開示されている。例えば、アルキルエステル又は酸塩化物の機能的誘導体として使用される。
【0007】
本発明に従えば、式(I)の化合物は、式X−(CH−X’(II)(X及びX’は、各々独立に、ハロゲン原子又はYSOO−基(Yは、(C−C)アルキル基、(C−C)ペルフルオロアルキル基、置換されていないフェニル基又はメチル、クロロ若しくはニトロ基によって置換されたフェニル基を表す。)を表す。)のペンタン誘導体を、式:
【0008】
【化7】

(R、R、R、R、R、R及びRは、(I)について上記で定義されているとおりである。)のピラゾール−3−カルボヒドラジド誘導体と反応させることを特徴とする方法によって調製される。
【0009】
反応は、塩基の存在下、溶媒中、周囲温度と溶媒の還流温度の間の温度で行われる。
【0010】
本発明の方法では、X及びX’が、各々独立に、ハロゲン原子を表す式(II)の化合物が特に使用される。
【0011】
X及びX’が、各々独立に、YSOO−基を表す(Yは上記定義のとおりである。)式(II)の化合物も、特に使用される。
【0012】
本発明の特定の実施形態は、式:
【0013】
【化8】

の5−(4−クロロフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボヒドラジドに対して、式(II)の化合物を作用させることによって、リモナバンが調製されることを特徴とする。
【0014】
特定の実施形態によれば、式(II)の1,5−ジハロペンタンを、5−(4−クロロフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボヒドラジド(IIIa)と反応させる。
【0015】
より具体的には、1,5−ジブロモペンタンを、5−(4−クロロフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボヒドラジド(IIIa)と反応させる。
【0016】
反応は、三級アミン、例えば、トリエチルアミンなどの有機塩基の存在下で、又はNaOH、KOH、KCO、NaCO若しくはCsCOなどの無機塩基の存在下で行われる。
【0017】
反応は、芳香族溶媒(例えば、トルエン又はクロロベンゼン)中で、エーテル溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン又はジオキサン)中で、又はニトリル溶媒(アセトニトリル又はプロピオニトリルなど)中で行われる。
【0018】
好ましくは、反応は、トリエチルアミン又はNaCO又はKCOの存在下、アセトニトリル中で行われる。
【0019】
特に極めて好ましくは、反応は、NaCOの存在下、還流で加熱されたアセトニトリル中で行われる。
【0020】
本発明の主題は、極めて具体的には、1,5−ジブロモペンタンを、還流するように加熱されたアセトニトリル中のNaCOの存在下で、式(IIIa)の化合物と反応させることを特徴とする、N−ピペリジノ−5−(4−クロロフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチルピラゾール−3−カルボキサミド及びその塩の調製方法である。
【0021】
「ハロゲン原子」という用語は、臭素、塩素又はヨウ素原子を意味するものと理解される。
【0022】
式(III)の化合物及びこれらの調製は、従来技術において公知である。Canadian J. Chem. 1963, 41(7), 1813−1818 ; J. Chem. Engineering Data, 1977, 22(1), 104−110 ; J. Med. Chem., 2002, 45, 2708−2719。
【0023】
J.Med.Chem.,2002の文献は、特に、5−(4−クロロフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボヒドラジド及び対応する酸塩化物からのその調製を記載している。
【0024】
以下の実施例は、本発明を例示するが、本発明を限定するものではない。
【0025】
これらの実施例及びその記述では、以下の略号が使用される。
【0026】
DCM:ジクロロメタン。
【0027】
質量スペクトルは、電気スプレー(ES)イオン化モードで測定する。
【0028】
プロトン核磁気共鳴(H NMR)スペクトルは、d−DMSO中又はCDCl中、200MHz又は300MHzで記録される。化学シフトδは、百万分率(ppm)で表される。
【0029】
NMR中に観察されたシグナルは、s:一重項;bs:ブロード一重項;d:二重項;sd:分裂した二重項;t:三重項;st:分裂した三重項;q:四重項;bup:分裂していないブロードピーク;mt:多重項と表わされる。
【0030】
調製1
5−(4−クロロフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボヒドラジド
【0031】
エタノール100mL中の5−(4−クロロフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチルピラゾール−3−カルボニルクロリド20gを、窒素下に置き、還流しながら2時間、混合物を加熱する。20−25℃の温度まで戻した後、ヒドラジン水和物50gを添加し、還流して、3時間半、混合物を再度加熱する。熱い間に反応溶媒をろ過し、次いで、エタノールを蒸発させる。反応溶媒を濃縮した後、DCM150mL中に採取し、静置によって分離させる。水相を廃棄し、水100mLで、有機相を2回洗浄した後、DCMを蒸発させる。真空下で乾燥させた後、予期された化合物16.9gを得る。
【0032】
ES:[M+Na]=417,419,421,423
ES:[M−H]=393,395,397,399
NMR(CDCl、300MHzでH):2.35ppm:s:3H;4,0ppm:d:2H;7.04ppm:m:2H;7.25ppm:bm:4H;7,41ppm:d:1H;8.04ppm:m:1H。
【実施例1】
【0033】
N−ピペリジノ−5−(4−クロロフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチルピラゾール−3−カルボキサミド
調製1で得られた化合物10g及び炭酸ナトリウム5.3gを、窒素下で、アセトニトリル100mL中に置く。アセトニトリルの還流まで反応溶媒を加熱し、1,5−ジブロモペンタン計6.9mLを添加し、次いで、45時間にわたり還流して加熱を維持する。水50mLの添加によって、溶媒を加水分解し、静置による分離を行い、水相を廃棄する。飽和NaCl水溶液50mLで、有機相を2回洗浄する。乾燥状態までアセトニトリルを蒸発させ、粗生成物18.4gを得る。得られた粗生成物を、シリカゲル上でのクロマトグラフィー(溶出液 シクロヘキサン/アセトン:75/25;v/v)にかける。得られた生成物を、メチルシクロヘキサン100mL中に採取し、再結晶する。予期された純粋な化合物5.7gが得られる。
【0034】
NMR(d−DMSO、200MHzでH):1.31ppm:bm:2H;1.55ppm:bm:4H;2.22ppm:s:3H;4.0ppm:d:2H;7.22ppm:d:2H;7.43ppm:d:2H;7.56ppm:sd:1H;7.71ppm:d:1H;7.76ppm:d:1H;9.02ppm:s:1H。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
X−(CH−X’ (II)
(X及びX’は、各々独立に、ハロゲン原子又はYSOO−基(Yは、(C−C)アルキル基、(C−C)ペルフルオロアルキル基、置換されていないフェニル基又はメチル、クロロ若しくはニトロ基によって置換されたフェニル基を表す。)を表す。)のペンタン誘導体を、式:
【化1】

(R、R、R、R、R、R及びRは、(I)について定義されているとおりである。)のピラゾール−3−カルボヒドラジド誘導体と、塩基の存在下、溶媒中、周囲温度と溶媒の還流温度の間の温度で反応させることを特徴とする、
式:
【化2】

の化合物
(式中:
−Rは、水素若しくはハロゲン原子又は(C−C)アルキル基を表し;
−R、R、R、R、R及びRは、各々互いに独立に、水素若しくはハロゲン原子又は(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ又はトリフルオロメチル基を表す。)
及びその塩を調製する方法。
【請求項2】
式(II)の化合物において、X及びX’が、各々独立に、ハロゲン原子を表すことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式(II)の化合物において、X及びX’が、各々独立に、Y−SO−O−基(Yは、請求項1に定義されているとおりである。)を表すことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
式(II)の化合物を、式:
【化3】

の5−(4−クロロフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボヒドラジドと反応させることを特徴とする、N−ピペリジノ−5−(4−クロロフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−ピラゾール−3−カルボキサミド及びその塩の調製のための請求項1ないし3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
1,5−ジハロペンタンを、式(IIIa)の化合物と反応させることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
1,5−ジブロモペンタンを、式(IIIa)の化合物と反応させることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
塩基が、トリエチルアミン、NaOH、KOH、KCO、NaCO又はCsCOから選択されることを特徴とする、請求項1から6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
溶媒が、トルエン、クロロベンゼン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキサン、アセトニトリル又はプロピオニトリルから選択されることを特徴とする、請求項1から7の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
反応が、アセトニトリル中の、トリエチルアミン、NaCO又はKCOの存在下で行われることを特徴とする、請求項1から8の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
反応が、還流で加熱されたアセトニトリル中のNaCOの存在下で行われることを特徴とする、請求項1から9の何れか1項に記載の方法。
【請求項11】
1,5−ジブロモペンタンを、還流で加熱されたアセトニトリル中のNaCOの存在下で、式:
【化4】

の化合物と反応させることを特徴とする、N−ピペリジノ−5−(4−クロロフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−ピラゾール−3−カルボキサミド及びその塩の調製方法。

【公表番号】特表2008−506756(P2008−506756A)
【公表日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−521985(P2007−521985)
【出願日】平成17年7月20日(2005.7.20)
【国際出願番号】PCT/FR2005/001850
【国際公開番号】WO2006/021652
【国際公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(504456798)サノフイ−アベンテイス (433)