説明

NC自動旋盤

【目的】 装置を停止させることなく工具を交換することができ、取付け工具が制約されないNC自動旋盤を提供する。
【構成】 棒材54を切削加工するための複数の工具60、61、62、63、64、65が取り付けられた工具ホルダ68は、刃物台70に内蔵されたクランパの保持動作によって刃物台70に対して着脱可能に取付けられている。この刃物台70の工具ホルダ68は、Y軸サーボモータ80によるY軸テーブル78の水平移動や、X軸サーボモータ74によるY軸テーブル78上の刃物台70の上下動、クランパの保持、開放動作による工具ホルダ68の着脱、及びホルダ保持フレーム96の回転(矢印P)等が、NC装置の制御に基づいて所定の順序で行われることで、ストッカ部58の工具ホルダ68と自動交換される。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主軸移動型のNC自動旋盤に関する。
【0002】
【従来の技術】細長い棒状の被加工物の端面や外周面を切削加工する場合、被加工物を回転させる主軸が切削用工具に対して軸方向に移動する主軸移動型のNC(数値制御)自動旋盤が用いられることがある。
【0003】図7は、従来の主軸移動型のNC自動旋盤を表したものである。NC自動旋盤10では、被加工物としての棒材12が主軸14によって回転されると共に、主軸台16によってZ軸方向に移動されるようになっている。ガイドブッシュ18から突出した棒材12の周囲には、切削加工用の複数の工具20、21、22、23、24が放射状に設けられている。これら工具20、21、22、23、24は、刃物台サーボモータ26、27等によってそれぞれ進退動作を行うことで、主軸14によって回転された棒材12を切削加工する。
【0004】図8は、従来の主軸移動型のNC自動旋盤の他の例を表したものである。このNC自動旋盤30では、被加工物である棒材32の上方において、3つの工具34、35、36が、刃物台33に対し櫛状に並んで取り付けられている。また、棒材32の左右には、2つの工具38、39が配設されている。工具34、35、36は、X軸サーボモータ40によるX軸方向への刃物台33の移動で一体的に上下動され、棒材32は、その直上方に位置する工具の上下動によって切削加工される。刃物台33は、Y軸サーボモータ42によってY軸方向へも移動されるようになっており、このY軸方向への移動で棒材32の加工を行う工具34、35、36が順次選択されるようになっている。
【0005】以上のNC自動旋盤10、30では、工具が、破損やその他の機械的トラブルによって使用不能となると、装置を一旦停止させて工具を交換する。すなわち、作業者が、古くなった工具を刃物台から1つ1つ取り外して、新しい工具を取付け、更に、心出し等の調整作業を行う必要があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来のNC自動旋盤10、30では、工具の交換時に装置を停止させなければならないので、装置の連続運転時間が制約され、運転効率を悪くする。また、図7や図8に示したNC自動旋盤を数十台設置し、一人の作業者が複数のNC自動旋盤の操作を担当する場合、1つのNC自動旋盤の工具交換のために、他のNC自動旋盤に対する操作を行うことができず、生産効率を著しく低下させる。
【0007】さらに、工具を刃物台に直接取付ける構造となっているので、取付け可能な工具の種類や形状、数等が限定されてしまい、そのため、加工の種類も制約を受けることとなる。そこで、本発明は、装置を停止させることなく工具を交換することができるNC自動旋盤を提供することを第1の目的とする。
【0008】また、本発明は、取付け工具が制約されないNC自動旋盤を提供することを第2の目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明では、棒状の被加工物を回転させると共に前記被加工物の回転軸方向に移動させて切削加工を行うNC自動旋盤に、加工部材を着脱自在に保持する保持機構が設けられた刃物台と、この刃物台を前記回転軸方向に垂直な所定平面内で互いに直角な2方向にそれぞれ移動させる移動手段と、この移動手段によって前記加工部材を前記被加工物に対し進退させることで前記切削加工を行う加工制御手段と、前記加工部材を前記所定平面内で格納するストッカと、前記移動手段による前記加工部材の前記ストッカへの移動と前記刃物台の前記保持機構による前記加工部材の着脱とを制御する交換制御手段とを具備させて前記第1の目的を達成する。
【0010】請求項2記載の発明では、請求項1記載のNC自動旋盤において、前記ストッカが、前記加工部材が格納される複数の格納部と、これら複数の格納部を移動させて少なくとも1つの前記格納部を前記保持機構に保持された前記加工部材の移動範囲内に順次位置させる格納部駆動手段とを備えたことで前記第1の目的を達成する。
【0011】請求項3記載の発明では、請求項1記載のNC自動旋盤において、前記加工部材が、複数の工具と、この複数の工具が櫛状に並んで取付けられる工具ホルダとを備えたことで前記第1及び第2の目的を達成する。
【0012】
【作用】請求項1記載のNC自動旋盤では、回転すると共にその回転軸方向に移動する棒状の被加工物に対し、加工制御手段が、移動手段によって加工部材を進退させることで前記被加工物の切削加工を行う。交換制御手段の制御により、移動手段が加工部材をストッカに移動させ、保持機構は加工部材を刃物台に対し着脱させる。これにより、刃物台の保持機構に保持された加工部材が、ストッカに予め格納された加工部材と交換される。
【0013】請求項2記載のNC自動旋盤では、複数の格納部が、格納部駆動手段によって移動されることで、少なくとも1つの格納部が、保持機構に保持された加工部材の移動範囲内に順次位置する。前記交換制御手段は、前記移動範囲内に位置した格納部に、前記移動手段によって加工部材を移動させることで、加工部材の交換を行う。
【0014】請求項3記載のNC自動旋盤では、刃物台の保持機構が工具ホルダを保持し、複数の工具は、工具ホルダを介して刃物台に取付けられる。
【0015】
【実施例】以下、本発明のNC自動旋盤における一実施例を図1ないし図6を参照して詳細に説明する。図1及び図2は、本実施例によるNC自動旋盤50を、それぞれ、正面から見た場合と、側面から見た場合の機械構成を表したものである。
【0016】NC自動旋盤50は、切削加工が行われる加工部52と、被加工物としての棒材54を回転させると共にその軸方向に往復動させるための主軸部56と、交換用の工具を格納するストッカ部58とを備えている。図1の加工部52において示されるように、本実施例では、種類の異なる6つの工具60、61、62、63、64、65が、櫛状に並んで工具ホルダ68に取り付けている。この工具ホルダ68は、その上部に、刃物台70に収容されたジョイント部68aを有しており、図2に示すように、その本体の中間部分における側面には、テーパ部68bが形成されている。
【0017】刃物台70には、図2において点線で示すように、例えば、油圧駆動のクランパ72が内蔵されており、このクランパ72が工具ホルダ68上部のジョイント部68aを保持することで、工具ホルダ68が刃物台70に固定されている。刃物台70は、X軸サーボモータ74及びボールネジ(図示せず)によって、ガイドレール76に案内されてY軸テーブル78に対して鉛直方向、すなわち矢印X方向に移動されるようになっている。また、Y軸テーブル78は、Y軸サーボモータ80(図1)及びボールネジ82によって、ガイドレール84に案内されて、水平方向、すなわち図1に示す矢印Y方向に移動されるようになっている。
【0018】以上のY軸テーブル78や刃物台70等をガイドレール84、84等を介して支えるベース部100には、棒材54が挿通される孔が設けられたガイドブッシュ102が取り付けられている。このガイドブッシュ102の孔の直径は、棒材54の直径と略同径であり、挿通される棒材54を摺動及び回転自在に支持するようになっている。
【0019】図2に示すように、棒材54は、スピンドル駆動モータ87によって回転駆動される主軸86に固定されている。この主軸86は、Z軸サーボモータやボールネジ(図示せず)等によって、ガイドレール88に案内されてX及びY軸方向(図1)に垂直なZ軸方向に移動されるようになっている。すなわち、本実施例のNC自動旋盤50は、主軸移動型のNC自動旋盤である。ベース部100には、点線で示すように凹所100aが形成されており、主軸86の前端(図2において左端)部分が、この凹所100a内に収容される位置まで、主軸86が前方(図2において左方)に移動可能となっている。
【0020】一方、図1に示すように、ストッカ部58においては、モータ92を備えた支持フレーム90が床上に配置されており、この支持フレーム90上には、モータ92によって矢印Pで示すように回転する円柱形状の軸部材94が取り付けられている。軸部材94の上端には、工具ホルダ68を保持するホルダ保持フレーム96が一体的に固定されている。
【0021】図3は、図1において上方から見た場合のホルダ保持フレーム96を、図4は、ホルダ保持フレーム96の、図3におけるQ−Q線断面を表したものである。図3に示すように、ホルダ保持フレーム96には、工具ホルダ68と略同寸の矩形状の2つの保持孔97を有しており、これらの保持孔97には、工具ホルダ68が挿通されたとき、テーパ部68bと嵌合するテーパ97aがそれぞれ形成されている。図4に示すように、このテーパ97aによって、工具ホルダ68は下方への移動を規制され、図示する位置で保持される。図4の矢印で示すように、工具ホルダ68は、上方に引き抜かれることで容易にホルダ保持フレーム96から取り外され、上方から保持孔97に挿通させることで、ホルダ保持フレーム96に設置されるようになっている。なお、図においてホルダ保持フレーム96に設置されている工具ホルダ68は、交換前の新しい工具ホルダ68である。
【0022】ストッカ部58のモータ92、加工部52のX軸サーボモータ74やY軸サーボモータ80(図1R>1)及び刃物台70におけるクランパ72(図2)の駆動装置、主軸部56のスピンドル駆動モータ87(図2)及び主軸86移動用のZ軸サーボモータ(図示せず)等の駆動は、加工制御手段及び交換制御手段としてのNC(数値制御)装置(図示せず)によって制御され、Y軸テーブル78や刃物台70、あるいは主軸86等が所定の順序で動作するようになっている。
【0023】次に、このように構成された実施例の動作について説明する。なお、以下の各動作は、図示しないNC装置の制御によって自動的に行われる。先ず、NC自動旋盤50による切削加工について説明する。図2に示すように棒材54が取り付けられた主軸86が、スピンドル駆動モータ87によって駆動され、棒材54が所定の速度で回転される。そして、Z軸サーボモータ(図示せず)によって主軸86が所定の位置に移動され、棒材54の切削したい部分が、工具ホルダ68の直下に移動される。
【0024】次に、図1のY軸サーボモータ80の駆動によりY軸テーブル78がY軸方向に移動され、最初に切削加工を行う工具が、ガイドブッシュ102から突出した棒材54の直上方に位置する。そして、X軸サーボモータ74の駆動により刃物台70が棒材54に対して所定量降下され、同時に主軸86の移動により棒材54がZ軸方向に所定距離移動される。これにより、例えば、工具60が棒材54を所望の形に切削する。
【0025】1つの工具による切削加工が終了したら、X軸サーボモータ74によって刃物台70が上昇すると共に、Y軸サーボモータ80によってY軸方向に移動し、次に切削を行う工具、例えば、工具61が棒材54の直上方に位置する。そして、再び刃物台70が所定量降下されることで、工具61による切削加工が同様に行われる。
【0026】以上のような切削加工を、その他の各工具、例えば、工具62〜65を用いて順次同様に行うことで、1つの棒材54に対する一連の加工が終了する。1つの棒材54に対する1連の加工が終了したら、棒材54を未加工の新たな棒材に取り替えて同様に工具60、61、62、63、64、65を用いた一連の加工を行う。
【0027】次に、工具ホルダ68の交換動作について説明する。本実施例のNC自動旋盤50は、各工具60、61、62、63、64、65の劣化状態に応じて、刃物台70の工具ホルダ68をストッカ部58の工具ホルダ68と自動的に交換する。例えば、被加工物としての棒材を所定数加工する毎に工具ホルダ68の交換を行したり、あるいは、各工具60、61、62、63、64、65の劣化を検出する装置を設けおき、劣化が検出されたときに工具ホルダ68の交換を行う。
【0028】具体的な交換動作は、以下のようにして行われる。まず、Y軸テーブル78を図1において左方に移動させ、工具ホルダ68が設置されていないホルダ保持フレーム96の右側における保持孔97の直上方に、刃物台70を位置させる。そして、刃物台70を降下させて、工具ホルダ68を保持孔97に挿通することで、ホルダ保持フレーム96に工具ホルダ68を設置する。続いて、刃物台70内のクランパ72がジョイント部68aをアンクランプし、刃物台70を上昇させる。これにより、刃物台70と使用後の工具ホルダ68が分離される。
【0029】次に、モータ92によってホルダ保持フレーム96は、180°回転し、刃物台70から取り外された古い工具ホルダ68は、図1において左方に移動され、交換前の新しい工具ホルダ68は右方に、すなわち、刃物台70の直下に移動される。
【0030】新しい工具ホルダ68が刃物台70の直下に移動したら、刃物台70を再び降下させ、クランパ72で新しい工具ホルダ68のジョイント部68aをクランプする。そして、刃物台70を上昇させることで、ホルダ保持フレーム96から新しい工具ホルダ68を抜き出し、更に、Y軸テーブル78が図1において右方に移動することで、略図1に示す位置に戻る。
【0031】以上の各動作により工具ホルダ68の交換作業が終了し、新たな工具ホルダ68を用いて前述したような切削加工を行う。なお、NC自動旋盤50に交換作業が終了する毎に点灯する交換ランプを設けて、ストッカ部58に設置された工具ホルダ68が交換後の古い工具ホルダ68であることを作業者に知らせるようにしてもよい。この交換ランプの点灯によって作業者は、加工部52で切削加工が行われている間に、ストッカ部58に設置された工具ホルダ68を新しい工具ホルダ68に取り替えることができるので、NC自動旋盤50の自動運転をより円滑に継続することができる。
【0032】以上説明したように、本実施例では、工具60、61、62、63、64、65が工具ホルダ68を介して刃物台70に取り付けられるので、工具ホルダ68の形状や大きさを変更することで、種々の工具を取付けることができ、工具の形状や数が制約されない。従って、あらゆる種類の加工に対応することができる。また、工具ホルダ68は、工具60、61、62、63、64、65の長手方向が鉛直方向になるように、刃物台70に対して取り付けられるので、切削加工時に生じる切り粉のはけが良い。
【0033】上記実施例では、ストッカ部58のホルダ保持フレーム96は、刃物台70に取り付けられた工具ホルダ68が移動可能なXY平面内に設置され、かつ、図4に示すようにX軸方向への差し込み動作によって工具ホルダ68を着脱自在に保持する構造になっている。従って、切削加工を行うためのX軸サーボモータ74やY軸サーボモータ80及びY軸テーブル78等を用いて、工具ホルダ68の交換を行うことができ、交換アーム等の装置を特に設ける必要がないので、装置の製造コストを小さくすることができる。
【0034】上記実施例では、ホルダ保持フレーム96がモータ92によって180°回転することで、一方の保持孔97が、刃物台70に取り付けられた工具ホルダ68の移動範囲内に位置するようになっている。従って、交換時における刃物台70の移動量を小さくすることができる。例えば、図1で示す位置にホルダ保持フレーム96が固定されている場合と比べて、交換時の刃物台70の移動量を小さくでき、Y軸テーブル78等を小さくすることができる。
【0035】また、上記実施例では、装置を停止させることなく、工具60、61、62、63、64、65の交換が自動的に行われるので、生産効率が良い。また、作業者が手作業で交換していた従来のNC自動旋盤のように、工具で作業者が手を怪我するようなことはなく、安全性が良い。
【0036】なお、上記実施例では、ストッカ部58において2つの工具ホルダ68のみが、設置されるようになっていたが、ホルダ保持フレーム96の代わりに、例えば、図5に示すように、保持孔97′が放射状に設けられた円盤形状のホルダ保持フレーム120を軸部材94に取り付けて、より多くの工具ホルダ68(図5では8つ)を設置できるようにしてもよい。この場合、モータ92は、工具ホルダ68の交換毎にホルダ保持フレーム120を45°づつ回転させて、各保持孔97′が交換位置に順次位置するようにする。また、新しい工具ホルダ68の残りが1つになったら、交換ランプを点灯させるようにしてもよい。
【0037】また、図1に示した軸部材94とホルダ保持フレーム96を積み上げて、多段式のストッカとすることで、複数の工具ホルダ68を設置できるようにしてもよい。例えば、図1のホルダ保持フレーム96の上に、軸部材94を取付けると共に、更にその上にホルダ保持フレーム96を固定して、2段式のストッカとしたり、更に、その上にもう一段同様に軸部材94とホルダ保持フレーム96を取付けて3段式のストッカにしてもよい。この場合、図5のホルダ保持フレーム120に比べて、ストッカ部58の専有面積を小さくすることができる。
【0038】また、Y軸方向が鉛直方向、X軸方向が水平方向となるようにNC自動旋盤50を90°回転させた状態で床上に設置し、ストッカ部58が加工部52のベース部100上方に位置するように構成してもよい。この場合、ストッカ部58のホルダ保持フレーム96には、工具ホルダ68が横向きに設置されるので、抜け防止のためロック機構を設ける。また、Y軸テーブル78の下方への移動が床面によって規制されないように、例えば、Y軸テーブル78を短くする。
【0039】上記実施例では、ストッカ部58に予め設置された工具ホルダ68と刃物台70に取り付けられた工具ホルダ68とで、取付けられる工具60〜65は同じであったが、例えば、1つの棒材54に対し、12種類の切削加工を必要とする場合には、ストッカ部58に設置される工具ホルダ68と、刃物台70に取り付けられている工具ホルダ68とで取付け工具の種類を変えてもよい。この場合、1つの棒材54に対する一連の加工途中で、工具ホルダ68の交換作業が行われる。
【0040】また、工具ホルダ68は、クランパ72によって刃物台70に取付け可能であれば、他の形状のものでもよい。例えば、1つあるいは2つの工具のみが取り付け可能な形状や、あるいは、幅を広くすることで、より多くの工具(例えば、10本)が一度に取り付けられる形状にしてもよい。また、各工具が図1において横に櫛状に取付けられる形状でもよい。この場合、刃物台70のY軸方向への移動によって、棒材54の切削加工を行う。
【0041】図6は、工具ホルダの変形例を表したものである。工具ホルダ68の代わりに、図6(A)に示すように工具122が取り付けられたコの字形状の工具ホルダ130を使用してもよい。この場合、工具ホルダ130がジョイント部130aで刃物台70に保持されることで、各工具122は、棒材54をそれぞれ鉛直方向(図1においてX軸方向)と水平方向(Y軸方向)に切削可能に配置される。
【0042】また、図6(B)に示すように、内側の上下に工具132がそれぞれ取り付けられたロの字形状の工具ホルダ134を用いてもよく、図6(C)に示すように、リング形状の工具ホルダ136の内側に放射状に工具138を取り付けたものを使用してもよい。
【0043】図6に示した工具ホルダ130、134、136では、工具が横1列で櫛歯状に並んで取り付けられた工具ホルダ68よりも、加工時に工具ホルダの移動量が少なくて済むので、工具の選択時間を短縮することができる。また、工具ホルダ68に比べ小型化できるので、装置の省スペース化を図ることができる。
【0044】以上の実施例では、ストッカ部58において、工具ホルダ68のテーパ部68bがホルダ保持フレーム96のテーパ97aと嵌合することで、工具ホルダ68を保持するようになっていたが、他の方法によって工具ホルダ68が落下しないように固定してもよい。例えば、工具ホルダ68の周りに突起を複数設け、保持孔97に挿通したときに突起がホルダ保持フレーム96の上面に当接することで、工具ホルダが固定されるようにしてもよい。
【0045】
【発明の効果】請求項1記載のNC自動旋盤によれば、交換制御手段の制御によって、移動手段が加工部材をストッカに移動させ、保持機構が加工部材を刃物台に対し着脱させるので、加工部材の自動交換を行うことができる。また、切削加工を行う移動手段を用いて交換を行うので、装置を簡略化でき、製造コストを低くすることができる。
【0046】請求項2記載のNC自動旋盤によれば、格納部駆動手段によって、複数の格納部の少なくとも1つが加工部材の移動範囲内に順次位置するので、交換時における刃物台の移動量を小さくすることができ、移動手段の小型化を図ることができる。
【0047】請求項3記載のNC自動旋盤によれば、工具が工具ホルダを介して刃物台に取付けられるので、工具ホルダの形状を変えることで、種々の工具を使用することができる。また、複数の工具が工具ホルダに取り付けられるので、複数の工具を一度に交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のNC自動旋盤の一実施例を示した正面図である。
【図2】同NC自動旋盤の側面図である。
【図3】同NC自動旋盤のホルダ保持フレームを示した平面図である。
【図4】図3におけるQ−Q線断面を示す側面図である。
【図5】同ホルダ保持フレームの変形例を示した平面図である。
【図6】工具ホルダの変形例を示した説明図である。
【図7】従来のNC自動旋盤を示した斜視図である。
【図8】従来の他の例のNC自動旋盤を示した斜視図である。
【符号の説明】
50 NC自動旋盤
52 加工部
54 棒材
56 主軸部
58 ストッカ部
60、61、62、63、64、65 工具
68、130、134、136 工具ホルダ
68a ジョイント部
68b テーパ部
70 刃物台
72 クランパ
74 X軸サーボモータ
76 ガイドレール
78 Y軸テーブル
80 Y軸サーボモータ
82 ボールネジ
84 ガイドレール
86 主軸
87 スピンドル駆動モータ
90 支持フレーム
92 モータ
94 軸部材
96 ホルダ保持フレーム
97、97′ 保持孔
97a テーパ
100 ベース部
100a 凹所
102 ガイドブッシュ
120 ホルダ保持フレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】 棒状の被加工物を回転させると共に、前記被加工物の回転軸方向に移動させて切削加工を行うNC自動旋盤であって、加工部材を着脱自在に保持する保持機構が設けられた刃物台と、この刃物台を前記回転軸方向に垂直な所定平面内で互いに直角な2方向にそれぞれ移動させる移動手段と、この移動手段によって前記加工部材を前記被加工物に対し進退させることで前記切削加工を行う加工制御手段と、前記加工部材を前記所定平面内で格納するストッカと、前記移動手段による前記加工部材の前記ストッカへの移動と、前記刃物台の前記保持機構による前記加工部材の着脱とを制御する交換制御手段とを具備することを特徴とするNC自動旋盤。
【請求項2】 前記ストッカは、前記加工部材が格納される複数の格納部と、これら複数の格納部を移動させて、少なくとも1つの前記格納部を前記保持機構に保持された前記加工部材の移動範囲内に順次位置させる格納部駆動手段とを備えたことを特徴とする請求項1記載のNC自動旋盤。
【請求項3】 前記加工部材は、複数の工具と、この複数の工具が櫛状に並んで取付けられる工具ホルダとを備えたことを特徴とする請求項1記載のNC自動旋盤。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図1】
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【図2】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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