説明

NOxガスセンサーの方法及び装置

本発明は、NOxセンサー、即ち、混成電位センサーの原理を利用し、ガス流中の全NOx濃度を測定するための方法及び装置である。排気ガスは、まず、存在する様々な種の酸化窒素ガスをNO2/NOの固定された定常状態の濃度比に転換する触媒集成体により調整され、ここで、NO2は排気ガス中に存在する全NOx濃度の約0〜10%であり、それにより、NOxセンサーが、測定されるガス中に存在する全NOx濃度の重要で且つ再現可能な測定を行うことを可能にする。また、上記触媒集成体は、CH4、CO等のあらゆる燃焼しなかった可燃性ガスを酸化し、SO2等の潜在的な汚染物質を除去するように機能する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、本願に引用して援用された2004年5月26日に出願した米国仮特許出願第60/574,622号に対する優先権を主張する。
【0002】
本発明は、概して、炭化水素の燃焼、特に乗用車及びトラックのディーゼル燃料の燃焼から発生する排気ガス中のNOxガスの測定に関するものである。
【背景技術】
【0003】
既知のNOxセンサーの一つは、二つ以上のチャンバーを含む平板多層セラミックパッケージデザインとして構成されている。第一チャンバーには、酸素イオン伝導電解質膜に取り付けられた電極があり、それによって酸素ポンプを形成し、酸素を除去する。加えて、NO2をNOと1/2O2に分解する。遊離酸素が第一チャンバーに除去される結果、理論的に第二チャンバーに入るガスはNOだけである。別の酸素ポンプが第二チャンバーにあり、NOから酸素を除去するNO分解要素である。電流がNOの分解から生じ、酸素の輸送はNO濃度に関連がある。
【0004】
この既知のNOxセンサーの商業的な適用に影響を及ぼす多くの関心が存在する。例えば、検出されるNOx濃度が低い場合には、残留酸素からの深刻な干渉がある。加えて、信号電流は非常に小さく、従って、自動車において一般に検出される電子ノイズの影響を受け易い。また、排気ガスは、典型的に、全ての遊離酸素を効果的に除去するための酸素ポンプの能力に影響するシリンダー燃焼によって引き起こされる流量において脈動を有し、測定誤差を招く場合がある。更に、この装置は、測定チャンバー中へのガスの通過を制限し、目詰まりを起こし易い小さな拡散ホールを含む場合がある。
【0005】
他の既知のNOxセンサーは、同様な平板多層セラミックパッケージデザインを利用する。このセンサーの作業原理において、有意な違いが少しあり、即ち、該センサーは電流測定型ではなく混成電位型であって、第一チャンバーの使用がNOからNO2に転換し、逆にも同様に転換するためにある。ガス種NOとNO2から発生した電圧信号が反対の符号となり、それによって、両方のガスの存在における重要な電圧信号を識別することを困難にすることは、混成電位NOxセンサーの十分に確立された現象である。センサーの中には、デザイン中に二つの分離チャンバーを設けた平板多層パッケージ型デザインを利用することにより、この問題を克服しようと試みたものもあった。また、第一チャンバーに酸素を供給する電気化学酸素ポンプの使用で−それにより全てのガスをNO2に転換する−又は、逆に該チャンバーから酸素を除去して、全てのNO2をNOに還元することにより、NOxガス種の全てを単一の種に転換する試みもなされた。この調整ガスが、次に第二チャンバーに入って、NOx濃度を混成電位型センサーから発生した電圧信号により測定する。
【0006】
このアプローチへの多くの制限が存在し、この構成の商業化を妨害している。一の重要な関心は、変化するガスの濃度条件下で全NOxガスを単一種に完全に転換する転換システムの再現性である。加えて、酸素ポンプの転換セルは、経時的に分解する傾向があり、更に再現性の問題の原因となる。これらの関心の影響は、低濃度領域において拡大されるので、この測定アプローチは、低濃度のNOxガスを検出するのに適していない。
【0007】
上述のセンサー機構の両方に共通する追加の欠点は、平板セラミック多層システムの基本デザインに由来する。応答時間は、ガスが最初に拡散口に入り、第一チャンバーにおいて調整された後、第二チャンバー中に拡散する装置の複雑さのために遅くなる傾向にある。エンジン排気の動的環境についていくことができる急速なガス交換を達成することは、これらの構成で実現するのが難しい。また、ガスの腐食性は−微粒子と共に−拡散制御口の目詰まり、又は少なくとも経時的なガス流の動力学の変化をもたらし得る。最後に、シリンダー燃焼によるガス流速度の脈動及び自動車によくある付随の電気ノイズが、これらの装置に関連した低電圧・電流回路を制御し、監視することを困難にする。
【0008】
他の既知のNOxセンサーは、ゼオライト触媒を利用し、該センサーによる測定に先立ってガスを調整する。この触媒は、制御されたガスの環境において有効であることが実証されているが、該触媒がH2O含有ガス中で適切に実施されたデータは報告されていない。ディーゼル排気等の燃焼プロセスからの排気ガスは、H2OがCO2と共に炭化水素燃料の燃焼の主要な化学的副生物の一つであるので、いくらかのH2O蒸気を必ず含有する。従って、かかる適用においてゼオライト触媒を組み込んだNOxセンサーの利用は、H2Oの存在下における触媒のよく知られた不安定性の理由で制限される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、これらの考慮すべき問題や他の考慮すべき問題を扱うために提供される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、排気ガス中のNOx濃度を測定するための方法及び装置を対象とする。該装置は、排気ガスを受け入れ調整したガス出力を生産することが可能な入力集成体を備える。該入力集成体は、排気ガス中のNH3をN2及びH2Oに転換するための触媒構造体を含む段階、排気ガスからSO2又はH2Sを吸収するための触媒構造体を含む段階、燃焼しなかった炭化水素及びガスを高酸化状態に酸化するための触媒構造体を含む段階、及びNOとNO2間での定常状態の平衡濃度比を確立するための触媒構造体を含む段階の段階の内の少なくとも三つを含む。一のNOxセンサーが、上記入力集成体に操作できるように接続され、該入力集成体の調整ガス出力を受け入れ、存在する全NOx濃度を測定することができる。
【0011】
本発明の更なる観点においては、上記NOxセンサーが、調整ガス出力を受け入れ、存在する全NOx濃度と相関関係にある電圧信号を発生する混成電位センサーを含む。
【0012】
本発明の他の観点においては、上記NOxセンサーが、NOxガスを吸収することが可能な多孔質半導体層を含み、ここで、物理特性を監視し、存在するNOx濃度を測定する。
【0013】
本発明の更なる観点においては、酸素センサーが含まれる。上記酸素センサー及び上記NOxセンサーが共同して排気ガス中のNOx濃度を測定することができる。
【0014】
本発明の更に他の観点においては、一の式を利用し、測定された酸素濃度に基づき排気ガス中のNOx濃度を計算することが可能な電子システムが含まれる。上記電子システムは、データベース及びデータ表を含むことができ、ここで、該電子システム、データベース又はデータ表が共同し、酸素濃度の関数として排気ガス中のNOx濃度を測定する。
【0015】
本発明の目的は、混成電位NOxセンサーと通常関連する問題を克服するここと、排気ガス流中の全NOx濃度を測定するのに有用なセンサーを提供することである。
【0016】
本発明の他の目的は、一つ又は複数のセンサーに入るに先立って排気ガスを調整し、それによって、NO2/NOの比が0.01〜0.10の範囲内にある触媒集成体を提供することである。
【0017】
本発明の更なる目的は、排気ガス中の全NOx濃度に相関する正確で且つ再現可能な電圧信号を提供することである。
【0018】
本発明の更なる目的は、排気ガス流に特有のものである燃焼しなかった可燃性ガス、例えばC36、CH4、CO等を酸化することと、一つ若しくは複数の電極及び/又はセンサーの性能寿命に干渉し得るSO2又はH2S等のガスの濃度を除去又は低減することである。
【0019】
本発明の更なる目的は、1ppmと同程度に低いNOx濃度を測定することが可能なセンサーを提供することである。
【0020】
本発明の更なる目的は、酸素及びNOxの濃度を同時に測定することができるように、上記NOxセンサー本体の内部に酸素センサーを組み込むことであり、それによって、酸素濃度と相関関係にある全NOx濃度の正確な測定を可能にする。
【0021】
本発明の更なる目的は、排気ガス中の他のガス成分、例えば、炭化水素、CO、CO2、SO2、H2、NH3及びH2Oによって影響を受けない電圧出力信号を提供することである。
【0022】
本発明の更なる目的は、100ppmまで、好ましくは15ppm未満のSO2濃度の存在によって著しい影響を受けない電圧出力信号を有するNOxセンサーを提供することである。
【0023】
本発明の更なる目的は、0.1〜1500ppmの範囲、好ましくは1〜1500ppmの範囲の全NOx濃度を測定することが可能なNOxセンサーを提供することである。
【0024】
本発明の他の利点及び観点は、下記の図面の説明及び本発明の詳細な説明を読み取ることで明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明は、種々の異なる形態の実施態様をとることができるが、本願の開示は、本発明の本質の例示としてみなされるもので、本発明の広義の観点を、説明した実施態様に限定するように意図されるものではないという理解の下で、図面が示され、本発明の好適な実施態様が本明細書中において詳細に説明される。
【0026】
本発明の一の実施態様は、排気ガス中のNOx濃度を測定するための方法及び装置を対象とする。装置10は、排気ガスを受け入れ調整した出力ガスを生産することが可能な入力集成体12を備える(図1参照)。入力集成体12は、排気ガス中のNH3をN2及びH2Oに転換するための第一触媒構造体を含む第一段階14(横感度を抑える)、排気ガスからSO2を吸収するための吸収材料を有する第二触媒構造体を含む第二段階16、燃焼しなかった炭化水素(及びアンモニア)及びガスを高酸化状態に酸化するための第三触媒構造体を含む第三段階18、及びNOとNO2間での定常状態の平衡濃度比を確立するための第四触媒構造体を含む第四段階の四つの段階の内の少なくとも三つを含む。入力集成体12内の段階の配列は、特定の順序に限定されないことが理解されることになる。
【0027】
図2は、ガス流中の全NOx濃度の正確な測定が達成される本発明の好適な実施態様を表す。NOxセンサー22は、操作できるように入力集成体12に接続され、該入力集成体から調整出力ガスを受け入れ、ここで、存在する全NOx濃度を測定することができる。この実施態様において、排気ガスは、三段階の入力集成体12を通り抜ける。図2に示す最初の段階16には、CaO、MgO又は排気ガス流からSO2を除去する機能を果たすスピネル若しくはペロブスカイト類の材料からの化合物等の吸収材料を含む触媒構造体が含まれる。上記吸収材料は、手入れをする間に装置10の残りの部分を取り外すことなく定期的に取り替えることができる充填されたペレット又は浸透させた支持体の形態で存在することができる。
【0028】
図2に示す入力集成体12の次の段階18の触媒構造体は、燃焼しなかった炭化水素を酸化してCOからCO2に転換するように機能する酸化触媒、例えば、RuO2又はCoO2を含む。入力集成体12の最終段階20が図2に示され、触媒構造体には、メッシュ又はセラミック基板上の塗膜として構成された、NOとNO2間での定常状態の濃度比を確立するために作用する金属銀が含まれ、ここで、存在する全NOxガス中のNO2の割合は、好ましくは0〜5%の範囲であり、少なくとも0〜10%の範囲内である。
【0029】
排気ガスが入力集成体12により調整された後、NOxセンサーの空洞、即ち、混成電位センサー22に移り、ここで、混成電位の電圧信号が発生する。混成電位の電圧信号は、存在する全NOx濃度と相関関係にある。図3及び4は、全NOx濃度−10〜1000ppm(図3)及び1〜20ppm(図4)の範囲−の対数に関する電圧の標準的なグラフを表し、装置10に入るNOxガスの種類とは関係ない。
【0030】
本発明の一部の変更においては、電圧信号がNOx濃度の対数に比例することになる一方で、低いNOx濃度の範囲、例えば1〜30ppmでは、電圧出力信号がNOx濃度、即ち、一次従属に正比例するような装置を構成することも可能となり得る。
【0031】
本発明の他の実施態様においては、酸素センサー26が装置10と結合される。図6を参照すると、酸素センサー26は、収容部24の内部に配置されている。より具体的には、図6は、電解質管の外側に二つの検出電極−即ち、NOx検出電極22及びO2検出電極26−を、該管の内側の単一の参照電極30と共に有する単一の電解質管を含む統合センサーを表す。同一の収容部24内に含まれるものは、入力集成体12と、加熱装置、例えば、図6に示す内部二段階加熱ロッド28である。かかる構成は、酸素濃度が急激に変化するガス環境において実施することが可能になる。
【0032】
酸素イオン伝導電解質膜は、酸素センサー26及びNOxセンサー22の両方に使用され得る。性能を改良するため、酸素センサー26は、NOxセンサー22がある環境に比べて、異なる温度を有する環境に位置していてもよい。異なる加熱領域は、セラミック電解質管の内部に加熱ロッド28を挿入することにより達成され、図6に示す加熱ロッドは、二つの分離加熱帯で構成されている。或いは、単一温度の加熱ロッドを利用してもよく、断熱の設計が熱損失を制御するように変更され、二つの異なる温度帯を作ることができ、又は検出要素の外部の加熱器が実行され、望ましい温度帯を形成することができる。本発明の好適な性能は、NOxセンサー22に近接の温度が450〜500℃に正確に制御され、酸素センサー26及び入力集成体12に近接の温度が700〜800℃に維持された場合に達成される。このことは、酸素センサー26の急速な応答と、入力集成体12の最高効率をもたらす。
【0033】
NOxセンサー22の設計の追加の観点としては、排気ガス流中に約1インチ突き出たセンサーの先端を挙げることができ、それによって、広く用いられているラムダ酸素センサーに利用される設計の本質に従う。この構成は、排気マニホールドの外側のセラミック管のNOxセンサー22部分と、センサー本体収容部内で二つの異なる温度帯を維持することを容易にし、それによって、酸素センサー26から十分な距離を作り、二つの異なる温度帯を効果的に達成することができる。
【0034】
NOxセンサー22電極に近接して位置しているのは、一種の吸引装置(図示せず)に接続された場合に、排気ガス流を多孔質入力集成体12を通して引き、酸素センサー電極26を通り過ぎ、NOxセンサー22電極を通り過ぎて、収容部24から出す小さい直径のステンレス鋼管を備えるガス流出口である。該吸引装置は、小さい空気ポンプとすることができるが、内燃機関により通常実行される真空ラインを用いて、ガスの吸引を達成してもよい。また、ガスの吸引を新しい種類の自動車に見られる排気ガス再循環系統に接続することも考慮される。或いは、収容部24を、排気ガス流の一部をセンサー収容部にそらし、それによって、入力集成体12から検出電極22を通過するように設計してもよい。この変化は、金属収容部24の一部である管状の外装における種々の孔パターンにより達成され得る。
【0035】
本願に示される好適な実施態様は、幾何学的な管状形状の設計に基づいているが、装置が正確に機能する概念は、平板セラミック多層パッケージデザイン、単一の電解質ディスク型デザイン等の他のデザイン構成要素に広げることも可能であることが理解されることになる。
【0036】
更に本発明の理解を容易にするため、本発明のいくつかの例示を提供する。本発明が、これらの例示に限定されないことが理解されることになる。
【実施例】
【0037】
実施例1
図2に示す種類の構造を有するNOxセンサーが、市販の8モル%Y23がドープされたジルコニア粉末に結合剤の付加により加工された管状電解質体で作製された。結合剤/粉末混合物を成形型に小出しした後、25,000psiで静水圧プレス成形を行った。セラミックの部分を最終寸法に機械加工し、その後、1475℃で2時間焼結した。次に、セラミック電解質を電極でコーティングした。管の内側を、該管の外側のストライプ(集電装置)と共に白金ペースト電極材料でコーティングした後、1000℃で1時間焼いた。次に、管の先端を酸化タングステン/ジルコニア混合物でコーティングし、白金ストライプ集電装置と接触させて電気的接触を作った。電極の塗膜を乾燥させて、高温で焼き、良好な密着性を促進させた。
【0038】
入力集成体12を、収容部24として3/8”の直径のステンレス鋼管を用いることにより加工した。該管のガス出口末端に、銀メッシュのプラグを管の末端に該プラグを圧入することにより設置した。銀プラグのガス流の上流側に、酸化ルテニウム粉末0.5gをステンレス鋼管に入れた。この粉末を、ロッドを用いて銀メッシュのプラグの表面に押し付けることにより軽く詰めた。次に、CaO粉末1.0gを管に入れて、再度、ロッドを用いて酸化ルテニウム粉末に押し付けてこの粉末を軽く詰めた。最後に、一つのニッケルメッシュスクリーンを管に圧入し、CaO粉末に押し付けて詰めて、該粉末を所定の位置に保った。
【0039】
ガス流が最初に入力集成体12を通って、その後NOxセンサー電極にまで流れる装置を試験した。ガスを、ガス流中のNOx濃度を変えてセンサー電圧信号を測定することができる四流路質量流制御系統を用いて同時に混合した。全NOx50〜1000ppmの間でNOx濃度を変えることにより発生した標準的な電圧応答曲線を図3に示す。
【0040】
実施例2
実施例1の記載の通りに加工したNOxセンサーを低濃度のNOxガスで試験し、本発明の低い領域の性能を実証した。ガスを、ガス流中のNOx濃度を変えてセンサー電圧信号を測定することができる四流路質量流制御系統を用いて同時に混合した。20ppmNO/平衡窒素の濃度の認証ガスシリンダーをこの試験に使用した。該濃度を、このガスシリンダーを窒素及び酸素シリンダーからのガスと混合することにより変えた。該濃度を、1〜20ppmの範囲から1ppm区切りで変えた。NOx濃度の関数として電圧出力信号を示すグラフを図4に示す。
【0041】
実施例3
また、実施例1の記載の通りに加工したNOxセンサーをセンサー応答時間について試験し、NOx除去装置の制御系統の一部として機能する装置の能力を実証した。ガスを、ガス流中のNOx濃度を変えてセンサー電圧信号を測定することができる四流路質量流制御系統を用いて同時に混合した。ガス濃度を500cc/minの流速で470ppmと940ppmNOxとの間で切り替えた。電圧信号を、毎秒3回読み取りの試料採取速度のデータ収集系統を用いて継続的に監視した。センサー応答時間は、NOxガス濃度を変える際の総電圧信号の90%段階変化と定義される。センサー応答時間曲線を、NOxガス濃度を470ppm〜940ppmで変えた場合に2.7秒のセンサー応答時間を示している図5に示す。
【0042】
実施例4
統合NOx及び酸素センサーを図6に示す通りに加工した。管状電解質体を、市販の8モル%Y23がドープされたジルコニア粉末への結合剤の付加により加工した。結合剤/粉末混合物を成形型に小出しした後、25,000psiで静水圧プレス成形を行った。セラミックの部分をその最終寸法に機械加工し、その後、1475℃で2時間焼結した。次に、セラミック電解質を電極でコーティングした。管の内側を−該管の外側の二つのストライプ(集電装置)と先端の酸素検出電極と共に−白金ペースト電極材料でコーティングした後、1000℃で1時間焼いた。次に、管の側面に縦1cm横1cmのパッチを酸化タングステン/ジルコニア混合物でコーティングし、白金ストライプ集電装置とわずかに重なり合わせて電気的接触を作った。電極の塗膜を80℃で乾燥させた後、高温で焼き、良好な密着性を促進させた。
【0043】
入力集成体を、収容部として3/8”の直径のステンレス鋼管を用いることにより加工した。該管のガス出口末端に、銀メッシュのプラグを管の末端に該プラグを圧入することにより設置した。銀メッシュのプラグを0.30”の直径で25個の80メッシュ銀スクリーンに切り取り、それらを一緒にスポット溶接し小型プラグを形成することにより加工した。銀プラグのガス流の上流側に、酸化ルテニウム粉末0.5gをステンレス鋼管に入れた。この粉末を、ロッドを用いて銀メッシュのプラグの表面に押し付けることにより軽く詰めた。最後に、一つのニッケルメッシュスクリーンを管に圧入し、RuO2粉末に押し付けて詰めて、該粉末を所定の位置に保った。
【0044】
本発明の特定の実施態様を説明し記載したが、多数の変更が本発明の精神から著しく逸脱することなく思いつき、保護の範囲は、添付の請求項の範囲によってのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1は、本発明の入力集成体の一の実施態様の配置図である。
【図2】図2は、本発明の一の実施態様の配置図である。
【図3】図3は、NOx濃度とセンサーにより発生した電圧信号間の関係を実証する、図2に示す実施態様を用いて得られたデータのグラフである。
【図4】図4は、1〜20ppmの低い濃度範囲でNOxガス濃度を変化させることで発生した電圧信号のプロットである。
【図5】図5は、NOx濃度を470ppm〜940ppmに変化させた場合のNOxセンサーの応答時間信号を示すグラフである。
【図6】図6は、入力集成体及び一つ又は複数のヒーター、即ち、内部二段階加熱ロッドがある収容部内に含まれた、管の外側に二つの検出電極、即ち、NOx検出電極及びO2検出電極を、該管の内側の単一の参照電極と共に有する単一の電解質管を含む統合センサーを表す本発明の一の実施態様の概要図である。
【符号の説明】
【0046】
10 装置
12 入力集成体
14 第一段階
16 第二段階
18 第三段階
20 第四段階
22 NOxセンサー
24 収容部
26 酸素センサー
28 内部二段階加熱ロッド
30 参照電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガス中のNOx濃度を測定するにあたって、排気ガスを受け入れ調整した出力ガスを生産することが可能であり、排気ガス中のNH3をN2及びH2Oに転換するための第一触媒構造体を含む第一段階、排気ガスからSO2又はH2Sを吸収するための吸収材料を有する第二触媒構造体を含む第二段階、燃焼しなかった炭化水素及びガスを高酸化状態に酸化するための第三触媒構造体を含む第三段階、及びNOとNO2間での定常状態の平衡濃度比を確立するための第四触媒構造体を含む第四段階の四つの段階の内の少なくとも三つを含む入力集成体と、該入力集成体に操作できるように接続され、入力集成体の調整出力ガスを受け入れ、存在する全NOx濃度を測定することが可能なNOxセンサーとを備える排気ガス中のNOx濃度測定装置。
【請求項2】
前記NOxセンサーが、調整出力ガスを受け入れ、存在する全NOx濃度と相関関係にある電圧信号を発生する混成電位センサーを含む請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記入力集成体が、300℃より高い第一温度を有する環境にある請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第一温度が650〜750℃である請求項3に記載の装置。
【請求項5】
更に、前記入力集成体及びNOxセンサーを内部に収容する収容部を備える請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記収容部が管状である請求項5に記載の装置。
【請求項7】
更に、前記収容部の内部に収容され、第二温度を有する環境にある酸素センサーを備える請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記第一温度と前記第二温度が異なる請求項7に記載の装置。
【請求項9】
更に、前記収容部内に取り付けられ、第一及び第二加熱帯を含む加熱装置を備え、該第一及び第二加熱帯がそれぞれ第一及び第二温度を有する環境を提供する請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記加熱装置が棒状である請求項9に記載の装置。
【請求項11】
更に、前記収容部内に取り付けられた加熱装置と、第一加熱帯及び第二加熱帯を構成するために該加熱装置の周りに配置された断熱集成体とを備える請求項7に記載の装置。
【請求項12】
前記NOxセンサーが300〜700℃の温度を有する環境にあり、前記酸素センサー及び入力集成体が少なくとも500℃の温度を有する環境にある請求項7に記載の装置。
【請求項13】
前記第一触媒構造体がCu、Ag、NiAl24、MnO2、V25、WO3又はそれらの内いずれかの混合物を含む酸化触媒材料を備える請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記第二触媒構造体がCaO、MgO又はペロブスカイト型材料を含む吸収材料を備える請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記第三触媒構造体が、COからCO2、H2からH2O、そして炭化水素からH2O及びCO2に酸化することが可能な酸化触媒材料を備える請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記酸化触媒材料が、RuO2、Pt、Ni、Ag、CoO2又はそれら材料の混合物を含む請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記第四触媒構造体が、Ag、Pt、Pd、Rh、RuO2又はそれら材料の混合物を含む触媒材料を備える請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記入力集成体の各段階は一の温度を有する環境にあって、該入力集成体の少なくとも二つの段階が温度の異なる環境にある請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記入力集成体の第一段階が、約200〜500℃の範囲の温度を有する環境にある請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記入力集成体の第一段階が、約250〜400℃の範囲の温度を有する環境にある請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記入力集成体の第二段階が、約200〜900℃の範囲の温度を有する環境にある請求項1に記載の装置。
【請求項22】
前記入力集成体の第二段階が、約600〜800℃の範囲の温度を有する環境にある請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記入力集成体の第三段階が、約200〜900℃の範囲の温度を有する環境にある請求項1に記載の装置。
【請求項24】
前記入力集成体の第三段階が、約600〜800℃の範囲の温度を有する環境にある請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記入力集成体の第四段階が、約200〜900℃の範囲の温度を有する環境にある請求項1に記載の装置。
【請求項26】
前記入力集成体の第四段階が、約600〜800℃の範囲の温度を有する環境にある請求項25に記載の装置。
【請求項27】
更に、第一及び第二サイドを有する導電膜を含む酸素イオン伝導電解質を備え、前記第一サイドが既知のガス濃度又は化学電位により制御されることが可能な参照電極を含み、前記第二サイドが前記入力集成体の調整出力ガスにさらされる請求項1に記載の装置。
【請求項28】
前記既知のガス濃度が大気中の空気である請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記酸素イオン伝導電解質が、ドープされたジルコニア材料、又はセリア、ガドリニア、ハフニア、トリア、酸化ビスマスもしくはそれらの内いずれかの混合物の一種を備える請求項27に記載の装置。
【請求項30】
更に酸素センサーを備え、前記酸素センサー及び前記混成電位センサーが共同して排気ガス中のNOx濃度を測定する請求項2に記載の装置。
【請求項31】
前記混成電位センサー及び前記酸素センサーが電解質材料で構成される請求項30に記載の装置。
【請求項32】
更に酸素センサーと、一の式を利用し、測定された酸素濃度とNOxセンサーからの出力電位信号に基づき排気ガス中のNOx濃度を計算することが可能な電子システムとを備える請求項1に記載の装置。
【請求項33】
更に酸素センサーと、電子システム及びデータ表又は数学的関係を表す式を含むデータベースとを備え、前記電子システム、データベース、式又はデータ表が共同し、酸素濃度の関数として排気ガス中のNOx濃度を測定する請求項1に記載の装置。
【請求項34】
前記酸素センサーが約400〜900℃の温度を有する環境にある請求項31に記載の装置。
【請求項35】
前記温度の範囲が約600〜800℃である請求項34に記載の装置。
【請求項36】
前記混成電位センサーが電解質を含む請求項2に記載の装置。
【請求項37】
前記混成電位センサーの電解質が管状である請求項36に記載の装置。
【請求項38】
前記混成電位センサーの電解質が平面である請求項36に記載の装置。
【請求項39】
前記混成電位センサーが検出電極を含む請求項2に記載の装置。
【請求項40】
前記混成電位センサーの検出電極が半導体酸化物材料である請求項39に記載の装置。
【請求項41】
前記半導体酸化物材料がWO3、Cr23、Mn23、Fe23、TiO2及びCo34の少なくとも一種を含む請求項40に記載の装置。
【請求項42】
前記混成電位センサーの検出電極が多成分酸化物材料である請求項39に記載の装置。
【請求項43】
前記多成分酸化物材料がスピネル又はペロブスカイトである請求項42に記載の装置。
【請求項44】
前記多成分酸化物材料がNiCr24、ZnFe24、CrMn24、LaSrMnO3、LaSrCrO3及びLaSrFeO3の少なくとも一種を含む請求項42に記載の装置。
【請求項45】
前記混成電位センサーの検出電極が金属性材料である請求項39に記載の装置。
【請求項46】
前記金属性材料がPt、Ag、Au及びRhの少なくとも一種を含む請求項45に記載の装置。
【請求項47】
前記混成電位センサーが酸化物検出電極を含み、前記酸化物検出電極が酸化物と共に約10〜40体積%の範囲を有する電解質材料を含む請求項2に記載の装置。
【請求項48】
前記電解質材料が、酸化物と共に約15〜25体積%の範囲を有する請求項47に記載の装置。
【請求項49】
前記電解質材料が、ドープされたジルコニア材料、又はセリア、ガドリニア、ハフニア、トリア、酸化ビスマスもしくはそれらの内いずれかの混合物の一種を備える請求項48に記載の装置。
【請求項50】
前記混成電位センサーが金属性検出電極を含み、前記金属性検出電極が金属と共に約10〜40体積%の範囲を有する電解質材料を含む請求項2に記載の装置。
【請求項51】
前記電解質材料が金属と共に約15〜25体積%である請求項50に記載の装置。
【請求項52】
前記電解質材料が、ドープされたジルコニア材料、又はセリア、ガドリニア、ハフニア、トリア、酸化ビスマスもしくはそれらの内いずれかの混合物の一種を備える請求項51に記載の装置。
【請求項53】
前記NOxセンサーが、NOxガスを吸収することが可能な多孔質半導体層を含み、ここで、物理特性を監視し、存在するNOx濃度を測定する請求項1に記載の装置。
【請求項54】
前記物理特性が、抵抗、静電容量又はRF周波数である請求項53に記載の装置。
【請求項55】
前記入力集成体がガスを含んだH2O中で安定である請求項1に記載の装置。
【請求項56】
排気ガス中のNOx濃度を測定するにあたって、存在する全NOx濃度を測定することができる調整出力ガスを受け入れるためのNOxセンサーと、該調整出力ガスを提供し、排気ガス中のNH3をN2及びH2Oに転換するための第一触媒構造体を含む第一段階、排気ガスからSO2又はH2Sを吸収するための吸収材料を有する第二触媒構造体を含む第二段階、燃焼しなかった炭化水素及びガスを高酸化状態に酸化するための第三触媒構造体を含む第三段階、及びNOとNO2間での定常状態の平衡濃度比を確立するための第四触媒構造体を含む第四段階の内の少なくとも三つを含む入力集成体とを備え、前記入力集成体が操作できるように前記NOxセンサーに接続された、排気ガス中のNOx濃度測定装置。
【請求項57】
ガス組成中の全NOx濃度を測定するにあたって、排気ガス流を受け入れる工程と、入力触媒集成体を通して排気ガス流を調整し、前記入力触媒集成体が、NH3化合物をN2及びH2Oに転換するための第一段階、排気ガス流からSO2を吸収し、SOに関連したいずれの長期的中毒効果をも最小限に抑えることによりセンサーの性能寿命を改良するための第二段階、燃焼しなかった炭化水素を酸化し、ガスを高酸化状態に酸化するための第三段階、及びNOとNO2間での定常状態の平衡濃度比を確立するための第四段階の内の少なくとも三つを備える工程と、排気ガス流中に存在する全NOx濃度と相関関係にある電圧信号を発生する工程とを備えるガス組成中の全NOx濃度の測定方法。
【請求項58】
更に、酸素センサーを提供することと、第一加熱帯及び第二加熱帯を提供することとを備え、前記第一加熱帯が混成電位センサーに近接して配置され、前記第二加熱帯が酸素センサーに近接している請求項57に記載の方法。
【請求項59】
更に、前記第一加熱帯を加熱することと、前記第二加熱帯を加熱することとを備え、前記第一及び第二加熱体が異なる温度を含む請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記第一加熱帯の温度が少なくとも300℃であり、前記第二加熱帯の温度が少なくとも500℃である請求項59に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−500540(P2008−500540A)
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515335(P2007−515335)
【出願日】平成17年5月25日(2005.5.25)
【国際出願番号】PCT/US2005/018545
【国際公開番号】WO2005/119246
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(500318449)セラマテック インコーポレイテッド (8)