説明

NPYY5受容体拮抗作用を有する化合物の結晶

【課題】NPYY5受容体拮抗作用を有する化合物の提供。
【解決手段】式(IV)


(式中、Rはtert-ブチルを示し、Rはトリフルオロメチルを示し、nが2である)で示される化合物で、粉末X線回折パターンにおいて、2θ=12.5±0.2、16.8±0.2、17.8±0.2、19.0±0.2度にピークを示す化合物、及び粉末X線回折パターンにおいて、2θ=12.5±0.2、14.3±0.2、16.8±0.2、17.8±0.2、18.4±0.2、19.0±0.2、21.6±0.2、33.1±0.2度にピークを示す化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、NPYY5受容体拮抗作用を有する化合物の製造方法および有用な結晶に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、式:
【化1】


で示される化合物がNPYY5受容体拮抗作用を有する化合物として記載されている。YがCONR7の場合の一般的製造法として、以下のスキームが記載されている。
【化2】


特許文献1には、YがCONR7である化合物の製造法の具体的実施例として、実施例1、2、3、4、8及び9が記載されている。実施例1には、上記工程A及びBにより製造した例が記載されている。実施例2には、上記工程Cにより製造した例が記載されている。実施例3には、上記工程Dにより製造した例が記載れている。実施例8には、上記工程A及びBにより製造した例が記載されている。これらはいずれも先に工程Aによりカルボン酸とアミンのカップリングを行い、その後に工程B、C、Dを行うものである。
【0003】
実施例4及び9には、上記一般的製法には含まれないが、最終工程がカップリング工程である方法が開示されている。実施例4には、以下に示す合成法が記載されている。目的物は、収率70%で得られている。
【化3】

【0004】
実施例9には、以下に示す合成法が記載されている。収率の記載はない。
【化4】

【0005】
式:
【化5】


で示される化合物を出発原料として用いた合成法として、特許文献2には、特許文献1の実施例4以外にも、以下に示す合成法が記載されている。
【化6】


上記反応において、目的物は収率81.4%で得られている。
【化7】


上記反応において、目的物は収率33.6%で得られている。
【化8】


上記反応において、目的物は収率55.8%で得られている。
【0006】
特許文献3、特許文献4、特許文献5にも、上記シクロヘキサン誘導体が開示されている。また、NPYY5受容体拮抗作用を有する化合物を合成する際の一般的な記載がある。しかし、具体的なNPYY5受容体拮抗作用を有する化合物の合成例は記載されていない。
【0007】
上記特許文献1〜5には、式(IV):
【化9】


(式中、Rは置換もしくは非置換のアルキルであり、nは1または2であり、Rは置換もしくは非置換のアルキルである。)で示される化合物が記載されているが、具体的な合成法は示されていない。
【0008】
特許文献1には、実施例No.Ia−178の化合物の融点は、223〜224℃と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2001/037826号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2003/076374号パンフレット
【特許文献3】特開2005−255630号公報
【特許文献4】国際公開第2006/106800号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2008/038640号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、NPYY5受容体拮抗作用を有する化合物の製造方法および有用な結晶を提供することである。特に、特許文献1の実施例No.Ia−178に記載の化合物の効率的な製造法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、鋭意研究の結果、NPYY5受容体拮抗作用を有する化合物の製造方法および有用な結晶を見出し、以下の発明を完成した。
(1)
式(II):
【化10】


(式中、Rは置換もしくは非置換のアルキルであり、nは1または2であり、Xは脱離基である。)で示される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物と、
式(III):
【化11】


(式中、Rは置換もしくは非置換のアルキルである。)で示される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物を反応させることを特徴とする、
式(IV):
【化12】


(式中、R及びRは前記と同意義である。)
で示される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物の製造方法。
(2)
式(I):
【化13】


(式中、Rは置換もしくは非置換のアルキルであり、nは1または2である。)で示される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物に、ハロゲン化剤を反応させ、式(II):
【化14】


(式中、R及びnは前記と同意義であり、Xはハロゲンである。)で示される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物を得る工程を含むものである、上記(1)記載の製造方法。
(3)
ハロゲン化剤が、オキシ塩化リン、五塩化リン、オキザリルクロライド、塩化チオニルから選択されるものである、上記(2)記載の製造方法。
(4)
式(II)で示される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物と式(III)で示される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物を塩基の存在下で反応させることを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の製造方法。
(5)
溶媒として、トルエン、ピリジン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、その混合溶媒またはそれらの含水溶媒を用いるものである、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の製造方法。
(6)
が炭素数2〜4のアルキルであり、Rがハロゲンで置換されたアルキルであり、nが2である、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の製造方法。
(7)
がtert-ブチルであり、Rがトリフルオロメチルであり、nが2であり、式(IV)で示される化合物が、粉末X線回折パターンにおいて、2θ=12.5±0.2、16.8±0.2、17.8±0.2、19.0±0.2度にピークを示す結晶である、上記(1)〜(6)記載の製造方法。
(8)
がtert-ブチルであり、Rがトリフルオロメチルであり、nが2であり、式(IV)で示される化合物が、粉末X線回折パターンにおいて、2θ=12.5±0.2、14.3±0.2、16.8±0.2、17.8±0.2、18.4±0.2、19.0±0.2、21.6±0.2、33.1±0.2度にピークを示す結晶である、上記(1)〜(6)記載の製造方法。
(9)
式(IV):
【化15】


(式中、Rがtert-ブチルであり、Rがトリフルオロメチルであり、nが2である)で示され、粉末X線回折パターンにおいて、2θ=12.5±0.2、16.8±0.2、17.8±0.2、19.0±0.2度にピークを示す化合物の結晶を、再結晶することを特徴とする、粉末X線回折パターンにおいて、2θ=10.2±0.2、17.1±0.2、17.7±0.2、26.5±0.2度にピークを示す式(IV)で示される化合物の結晶の製造方法。
(10)
式(IV):
【化16】


(式中、Rがtert-ブチルであり、Rがトリフルオロメチルであり、nが2である)で示され、粉末X線回折パターンにおいて、2θ=12.5±0.2、14.3±0.2、16.8±0.2、17.8±0.2、18.4±0.2、19.0±0.2、21.6±0.2、33.1±0.2度にピークを示す化合物の結晶を、再結晶することを特徴とする、粉末X線回折パターンにおいて、2θ=10.2±0.2、14.5±0.2、16.8±0.2、17.1±0.2、17.7±0.2、18.3±0.2、19.1±0.2、20.2±0.2、20.8±0.2、26.5±0.2度にピークを示す式(IV)で示される化合物の結晶の製造方法。
(11)
上記(7)記載の方法により粉末X線回折パターンにおいて、2θ=12.5±0.2、16.8±0.2、17.8±0.2、19.0±0.2度にピークを示す式(IV)で示される化合物の結晶を得、得られた結晶を再結晶することを特徴とする、粉末X線回折パターンにおいて、2θ=10.2±0.2、17.1±0.2、17.7±0.2、26.5±0.2度にピークを示す式(IV)で示される化合物の結晶の製造方法。
(12)
上記(8)記載の方法により粉末X線回折パターンにおいて、2θ=12.5±0.2、14.3±0.2、16.8±0.2、17.8±0.2、18.4±0.2、19.0±0.2、21.6±0.2、33.1±0.2度にピークを示す式(IV)で示される化合物の結晶を得、得られた結晶を再結晶することを特徴とする、粉末X線回折パターンにおいて、2θ=10.2±0.2、14.5±0.2、16.8±0.2、17.1±0.2、17.7±0.2、18.3±0.2、19.1±0.2、20.2±0.2、20.8±0.2、26.5±0.2度にピークを示す式(IV)で示される化合物の結晶の製造方法。
(13)
式(IV):
【化17】


(式中、Rがtert-ブチルであり、Rがトリフルオロメチルであり、nが2である。)で示され、粉末X線回折パターンにおいて、2θ=12.5±0.2、16.8±0.2、17.8±0.2、19.0±0.2度にピークを示す化合物の結晶。
(14)
式(IV):
【化18】


(式中、Rがtert-ブチルであり、Rがトリフルオロメチルであり、nが2である。)で示され、粉末X線回折パターンにおいて、2θ=12.5±0.2、14.3±0.2、16.8±0.2、17.8±0.2、18.4±0.2、19.0±0.2、21.6±0.2、33.1±0.2度にピークを示す化合物の結晶。
(15)
式(IV):
【化19】


(Rがtert-ブチルであり、Rがトリフルオロメチルであり、nが2である。)で示され、示差走査熱量測定において、219.6±2.0℃に吸熱ピークを有する化合物の結晶。
(16)
式(II):
【化20】


(式中、Rは置換もしくは非置換のアルキルであり、nは2であり、Xはハロゲンである。)で示される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物。
(A1)
式(II):
【化21】


(式中、Rは置換もしくは非置換のアルキルであり、nは1または2であり、Xは脱離基である。)で示される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物と、
式(III):
【化22】


(式中、Rは置換もしくは非置換のアルキルである。)で示される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物を反応させることを特徴とする、
式(IV):
【化23】


(式中、R及びRは前記と同意義である。)
で示される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物の製造方法。
(A2)
式(I):
【化24】


(式中、Rは置換もしくは非置換のアルキルであり、nは1または2である。)で示される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物に、ハロゲン化剤を反応させ、式(II):
【化25】


(式中、R及びnは前記と同意義であり、Xはハロゲンである。)で示される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物を得る工程を含むものである、上記(A1)記載の製造方法。
(A3)
ハロゲン化剤が、オキシ塩化リン、五塩化リン、オキザリルクロライド、塩化チオニルから選択されるものである、上記(A2)記載の製造方法。
(A4)
式(II)で示される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物と式(III)で示される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物を塩基の存在下で反応させることを特徴とする、上記(A1)〜(A3)のいずれかに記載の製造方法。
(A5)
溶媒として、トルエン、ピリジン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、その混合溶媒またはそれらの含水溶媒を用いるものである、上記(A1)〜(A4)のいずれかに記載の製造方法。
(A6)
が炭素数2〜4のアルキルであり、Rがハロゲンで置換されたアルキルであり、nが2である、上記(A1)〜(A5)のいずれかに記載の製造方法。
(A7)
がtert-ブチルであり、Rがトリフルオロメチルであり、nが2であり、式(IV)で示される化合物が、粉末X線回折パターンにおいて、2θ=12.5、14.3、16.8、17.8、18.4、19.0、21.6、33.1度にピークを示す結晶である、上記(A1)〜(A6)記載の製造方法。
(A8)
式(IV):
【化26】


(式中、Rがtert-ブチルであり、Rがトリフルオロメチルであり、nが2である)で示され、粉末X線回折パターンにおいて、2θ=12.5、14.3、16.8、17.8、18.4、19.0、21.6、33.1度にピークを示す化合物の結晶を、再結晶することを特徴とする、粉末X線回折パターンにおいて、2θ=10.2、14.5、16.8、17.1、17.7、18.3、19.1、20.2、20.8、26.5度にピークを示す式(IV)で示される化合物の結晶の製造方法。
(A9)
上記(A7)記載の方法により粉末X線回折パターンにおいて、2θ=12.5、14.3、16.8、17.8、18.4、19.0、21.6、33.1度にピークを示す式(IV)で示される化合物の結晶を得、得られた結晶を再結晶することを特徴とする、粉末X線回折パターンにおいて、2θ=10.2、14.5、16.8、17.1、17.7、18.3、19.1、20.2、20.8、26.5度にピークを示す式(IV)で示される化合物の結晶の製造方法。
(A10)
式(IV):
【化27】


(式中、Rがtert-ブチルであり、Rがトリフルオロメチルであり、nが2である。)で示され、粉末X線回折パターンにおいて、2θ=12.5、14.3、16.8、17.8、18.4、19.0、21.6、33.1度にピークを示す化合物の結晶。
(A11)
式(II):
【化28】


(式中、Rは置換もしくは非置換のアルキルであり、nは2であり、Xはハロゲンである。)で示される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物。
【0012】
医薬品の原薬の製造において、純度の高い原薬を製造するために、再結晶を行う。再結晶を行う場合、粗結晶の再結晶溶媒に対する溶解性は極めて重要である。
本発明者らは、式(IV):
【化29】


(式中、Rがtert-ブチルであり、Rがトリフルオロメチルであり、nが2である。)で示される化合物に、2つの結晶型があることを見出した。一つは、融点224.6±2.0℃のI型結晶であり、もう一つは、融点219.6±2.0℃のII型結晶である。特許文献1の実施例No.Ia−178に記載の化合物の融点は、223〜224℃と記載されている。本発明者らが得たI型結晶の融点は224.6±2.0℃であったことから、特許文献1に記載されている結晶はI型であると考えられる。
本発明者らは、実施例6〜8に示すように、II型結晶を製造することができることを見出した。
本発明者らは、実施例12に示すように、式(IV)で示される化合物(式中、Rがtert-ブチルであり、Rがトリフルオロメチルであり、nが2である。)のII型結晶が、I型結晶よりも溶媒に対する溶解度が高いことを見出した。
また、実施例9に示すように、上記式(IV)で示される化合物(式中、Rがtert-ブチルであり、Rがトリフルオロメチルであり、nが2である。)は、II型結晶を再結晶することにより、医薬品の原薬として好ましい安定形であるI型結晶として得られることも見出した。
【発明の効果】
【0013】
本発明を用いることにより、効率よくNPYY5受容体拮抗作用を有する化合物を製造することができ、また、精製も効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】I型結晶の粉末X線回折データである。
【図2】II型結晶の粉末X線回折データである。
【図3】I型結晶の粉末X線回折データである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本明細書中で使用する各語の意味を説明する。
「アルキル」とは、炭素数1〜10個の直鎖状又は分枝状のアルキル基を意味し、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ぺンチル、イソぺンチル、ネオぺンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル等が挙げられる。好ましくは、炭素数1〜6または1〜4個のアルキルであり、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ぺンチル、イソぺンチル、ネオぺンチル、n-ヘキシル、イソヘキシルが挙げられる。
のアルキルとしては、炭素数2〜4のアルキルが好ましく、例えば、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチルが挙げられる。特に、tert-ブチルが好ましい。
のアルキルとしては、炭素数1〜4のアルキルが好ましい。例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチルが挙げられる。特にメチルが好ましい。
置換もしくは非置換のアルキルの置換基としては、ハロゲン、アルコキシなどが挙げられる。該アルキルは、これらの置換基で1〜6箇所、置換されていてもよい。
「ハロゲン」としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が上げられる。
「アルコキシ」のアルキル部分は、上記「アルキル」と同意義である。
としては、非置換のアルキルが好ましい。
としては、ハロゲンで置換されたアルキルが好ましい。特に、Rとしては、トリフルオロメチルが好ましい。
nは1または2であり、2が好ましい。
「脱離基」としては、カルボン酸とアミンの縮合に際して脱離する置換基であれば、特に限定されない。たとえば、ハロゲン、アシルオキシ(例えば、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシなど)、置換もしくは非置換のアルキルスルホニルオキシ(例えば、メタンスルホニルオキシ、トリフルオロメタンスルホニルオキシなど)、置換もしくは非置換のベンゼンスルホニルオキシ(例えば、パラトルエンスルホニルオキシ、オルトニトロベンゼンスルホニルオキシなど)、N,N'-dicyclohexylcarbamimidoyloxy、N,N'-diisopropylcarbamimidoyloxy、(N-(3-(dimethylamino)propyl)-N'-ethylcarbamimidoyloxyなどが挙げられる。好ましくはハロゲンであり、特に好ましくはクロルである。
「塩」としては、塩酸、硫酸、硝酸またはリン酸等の無機酸の塩;酢酸、ギ酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸またはクエン酸等の有機酸の塩;アンモニウム、トリメチルアンモニウムまたはトリエチルアンモニウム等の有機塩基の塩;ナトリウムまたはカリウム等のアルカリ金属の塩;およびカルシウムまたはマグネシウム等のアルカリ土類金属の塩等が挙げられる。
「溶媒和物」としては、化合物またはその塩の水和物、アルコール和物などが挙げられる。たとえば、0.5水和物、1水和物、2水和物などが挙げられる。
【0016】
【化30】


(式中、Rは置換もしくは非置換のアルキルであり、nは1または2であり、Xは脱離基であり、Rは置換もしくは非置換のアルキルである。)
【0017】
第1工程
式(I)で示される化合物にハロゲン化剤を反応させ、式(II)で示される化合物を製造する方法である。
ハロゲン化剤としては、オキシ塩化リン、五塩化リン、オキザリルクロライド、塩化チオニル、スルフリルクロライド、ジクロロトリフェニルホスホランなどが挙げられる。特に好ましくは、オキシ塩化リン、五塩化リン、オキザリルクロライド、塩化チオニルである。
反応溶媒としては、ジクロロメタン、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジエチルエーテル、ベンゼン、キシレン、シクロヘキサン、ヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、ペンタン、ヘプタン、ジオキサン、アセトン、水、またはそれらの混合溶媒などを用いることができる。特に好ましくは、トルエン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミドである。
反応は、約0〜100℃、好ましくは、室温〜60度で行うことができる。反応時間は、0.5時間〜20時間、好ましくは、1〜10時間である。
反応終了後、冷却して、式(II)で示される化合物を濾取して、次の第2工程に用いることができる。式(II)で示される化合物を濾取せずに、連続して次の第2工程を行うこともできる。
上記第1工程において、ハロゲン化剤以外の試薬を用いることにより、各種の脱離基を有する式(II)で示される化合物を合成することができる。たとえば、アシルハライドを塩基の存在下、式(I)で示される化合物と反応させることにより、「脱離基」としてアシルオキシを有する式(II)で示される化合物を製造することができる。置換もしくは非置換のアルキルスルホニルハライドを塩基の存在下、式(I)で示される化合物と反応させることにより、「脱離基」として置換もしくは非置換のアルキルスルホニルオキシを有する式(II)で示される化合物を製造することができる。他も同様である。
式(II):
【化31】


(式中、Rは置換もしくは非置換のアルキルであり、nは1または2であり、Xは脱離基である。)で示される化合物としては、Rが置換もしくは非置換のアルキルであり、nが2であり、Xがハロゲンである化合物が好ましい。さらには、Rがtert-ブチルであり、nが2であり、Xがハロゲン(特にクロロ)である化合物が好ましい。
【0018】
第2工程
式(II)で示される化合物に式(III)で示される化合物を反応させ、式(IV)で示される化合物を製造する方法である。
本反応は、塩基の存在下で行うことができる。塩基としては、ピリジン、トリエチルアミン、ジメチルアミノピリジン、モルホリン、N-メチルモルホリン、ジイソプロピルエチルアミンなどが挙げられる。ピリジンは溶媒として使用することもできる。
反応溶媒としては、上記第1工程で用いた溶媒を用いることができる。特に好ましくは、トルエン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミドである。
反応は、約0〜100℃、好ましくは、室温〜60度で行うことができる。反応時間は、0.5〜20時間、好ましくは、1〜10時間である。
【0019】
【化32】


(式中、Rがtert-ブチルであり、Rがトリフルオロメチルであり、nが2である。)
【0020】
第3工程
II型結晶からI型結晶を得る工程である。I型結晶は溶解度が低く、再結晶する際には大量の溶媒が必要となる。II型結晶はI型結晶に比べて溶解度が高く、式(IV)で示される化合物を精製する上で、非常に有用である。
II型結晶からI型結晶への再結晶は、アセトン、ジクロロメタン、メタノール、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリルまたはそれらの混合溶媒を用いて行うことができる。約50〜100℃に加熱してII型結晶を溶媒に溶解し、その後、結晶化を行う。減圧濃縮して式(IV)で示される化合物の濃度を高めてから結晶化を行ってもよい。また、冷却して結晶化を行ってもよい。また、貧溶媒(式(IV)で示される化合物の溶解度の小さい溶媒)を添加して、結晶化を行ってもよい。また、これらの結晶化手法を組み合わせて用いてもよい。たとえば、アセトンに溶解後、濃縮し、水を添加して結晶化を行うことができる。添加する水としては、脱イオン水が好ましい。
式(IV)で示される化合物(式中、Rがtert-ブチルであり、Rがトリフルオロメチルであり、nが2である。)には、2つの結晶型がある。以下にそれぞれのスペクトルデータを記載する。
I型結晶
融点(DSC)は224.6±2.0℃
IRスペクトルにおいて1708±2 cm-1に特徴的なピークを示す。
粉末X線回折パターンにおいて、2θ=10.2±0.2、14.5±0.2、16.8±0.2、17.1±0.2、17.7±0.2、18.3±0.2、19.1±0.2、20.2±0.2、20.8±0.2、26.5±0.2度にピークを示す。
II型結晶
融点(DSC)は219.6±2.0℃
IRスペクトルにおいて1686±2 cm-1に特徴的なピークを示す。
粉末X線回折パターンにおいて、2θ=12.5±0.2、14.3±0.2、16.8±0.2、17.8±0.2、18.4±0.2、19.0±0.2、21.6±0.2、33.1±0.2度にピークを示す。
化合物のスペクトルデータを測定することにより、得られた結晶がI型結晶であるのか、II型結晶であるのかを確認することができる。
【0021】
別に言及なければ、本明細書中および特許請求の範囲記載の数値はおおよその値である。数値の変動は、装置キャリブレーション、装置エラー、物質の純度、結晶サイズ、サンプルサイズ、その他の因子に起因する。
【0022】
DSCについては、観察される温度は、温度変化速度ならびに用いる試料調製技法および特定の装置に依存し得ることが知られている。DSCサーモグラフにおける誤差範囲はおよそ±2.0℃であることから、上記の融点(DSC)の値は±2.0℃程度の範囲内の数値も含むものとして理解される必要がある。結晶の同一性の認定においては、全体的なパターンが重要であり、測定条件によって多少変わり得る。
I型結晶の融点(DSC)は224.6±2.0℃であり、好ましくは224.6±1.0℃、さらに好ましくは224.6±0.6℃である。
II型結晶の融点(DSC)は219.6±2.0℃であり、好ましくは219.6±1.0℃、さらに好ましくは219.6±0.6℃である。
【0023】
実施例
以下に実施例を挙げて説明する。本発明は実施例に限定して解釈すべきではない。
DMF:ジメチルホルムアミド
THF:テトラヒドロフラン
WSC:水溶性カルボジイミド(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩)
HOBt:1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
【実施例1】
【0024】
酸クロライド(2)の製造法
【化33】


窒素気流下、化合物(1)5.0 gのトルエン20 ml溶液に、DMF 27.8 mg を加え50℃に温度を調節した。この溶液に塩化チオニル 2.49 g を滴下し、50分間攪拌した。氷零下で攪拌した後、析出した固体を窒素気流下で濾取しトルエンで洗浄し、酸塩化物(2)を5.39 g (収率101%)得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) : δ1.14-1.44 (2H, m), 1.39 (9H, s), 1.50-1.74 (4H, m), 2.14-2.31 (4H, m), 2.66 (1H, tt, J = 3.3, 12.0 Hz), 3.18-3.35 (1H, m), 3.80 (1H, d, J = 8.7 Hz).
IR (ATR) : 3293, 1803, 1364 cm-1
【実施例2】
【0025】
酸クロライド(2)とアミノトリフルオロメチルピリジン(3)とのカップリングによる化合物(4)の製造法
【化34】


酸塩化物(2)1.09 gに5.5 mlのトルエンを加え、室温下でアミノトリフルオロメチルピリジン(3)677 mgとピリジン330 mgのトルエン0.5 ml溶液を15分かけて滴下し、30℃で1時間攪拌した。この反応液に水5 mlを滴下した。析出した結晶を濾取した後、白色結晶( 4 )を1.45 g ( 93.4 % )で得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) : δ1.27 (s, 9H), 1.25-1.75 (m, 4H), 1.82-2.00 (m, 4H), 2.40-2.54 (m, 1H), 3.00-3.15 (m, 1H), 6.79 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 8.10-8.18 (m, 1H), 8.28 (d, 1H, J = 8.7 Hz), 8.69 (s, 1H), 10.84 (s, 1H)
【実施例3】
【0026】
オキシ塩化リンを用いた化合物(4)の製造法
【化35】


窒素気流下、化合物(1)1.0 gのアセトニトリル3 ml溶液に、氷零下、ピリジン 666 mgのアセトニトリル 1 mlを加え、続いてDMFを13.9 mg 加えた。この溶液に氷零下、オキシ塩化リン 641 mgのアセトニトリル 1 ml溶液を5分かけて滴下し、1時間攪拌した。この溶液に氷零下、アミノトリフルオロメチルピリジン(3)677 mgのアセトニトリル1.5 ml溶液を4分かけて滴下し、30分攪拌した後、30℃で1.5時間攪拌した。この溶液に水 7 mlを滴下した。混合液をろ過し、水 5 mlで結晶を洗浄した。白色結晶の(4)を1.14 g ( 73.7 % ) 得た。
【実施例4】
【0027】
オギザリルクロライドを用いた化合物(4)の製造法
【化36】


窒素気流下、化合物(1)1.0 gの塩化メチレン 4 ml溶液に、氷零下、DMF 13.9 mgを加えた。同温でオギザリルクロライド530 mgの塩化メチレン1.5 ml溶液を滴下し、1時間攪拌した後、室温に温度調整し、3時間攪拌した。この溶液を減圧下、溶媒を留去し酸塩化物(2)を1.21 g得た。この化合物(2)にトルエン3.5 mlを加え30℃に温度調整し、アミノトリフルオロメチルピリジン(3)677 mgとピリジン 331 mgのトルエン1.5 ml溶液を10分かけて滴下し、50分間攪拌した。この溶液に水 5 mlを滴下後、析出した結晶を濾取し、白色結晶の(4)を1.42 g( 91.5 % ) を得た。
【実施例5】
【0028】
五塩化リンを用いた化合物(4)の製造法
【化37】


窒素気流下、化合物(1)1.0 gの塩化メチレン 5 ml溶液に、氷零下、五塩化リン 871 mgを加え1時間攪拌した。この溶液を減圧下で溶媒を留去し酸塩化物(2)を1.09 g 得た。この酸塩化物(2)にトルエン 5.5 ml を加え、室温でアミノトリフルオロメチルピリジン(3)677 mg とピリジン 330 mgのトルエン 0.5 ml 溶液を15分かけて滴下し、30℃に温度調節し1時間攪拌した。この反応液に水 5 mlを滴下した。析出した結晶を濾取し、白色結晶の(4)を1.45 g ( 93.4 % )得た。
【実施例6】
【0029】
塩化チオニルを用いた化合物(4)の製造法(溶媒:トルエン)
【化38】


窒素気流下、化合物(1)8.8 kg にトルエン 30.5 kg を加えた溶液に、DMF 0.05 kg を加えた。この溶液を50℃に温度調節し、塩化チオニル 4.4 kg を48℃から51℃の間で63分間かけて滴下した。同温で65分間攪拌した後、30℃に温度調整し、アミノトリフルオロメチルピリジン(3)5.4 kg とピリジン 5.8 kg のトルエン3.8 kg 溶液を30℃から37℃の間で40分かけて滴下し、トルエン 3.8 kg で洗浄した。この溶液を30 ℃から37℃の間で60分間攪拌した後、水 26.4 kg を30℃から32℃で10分間かけて滴下した。この溶液を31℃から32℃の間で70分間攪拌した後、結晶を濾取し、イソプロパノール 6.9 kg で2回洗浄した。化合物(4)の白色結晶を15.0 kg (乾燥重量 12.4 kg,91.2 %)を得た。化合物(4)の白色結晶のIRスペクトルを測定したところ、IR 1686 cm-1に特徴的なピークを示した(KBrで測定)。得られた結晶は、II型結晶であった。
【実施例7】
【0030】
塩化チオニルを用いた化合物(4)の製造法(溶媒:THF)
【化39】


窒素気流下、化合物(1)0.5 g のTHF 2.0 ml 溶液に、氷零下でDMF 2.8 mg 加えた。この溶液を50℃に温度調節した後、塩化チオニル 258 mg のTHF 0.1 ml 溶液を加え1.5時間攪拌した。反応液の温度を30℃に調節し、アミノトリフルオロメチルピリジン(3)339 mg とピリジン330 mg のTHF 0.5 ml 溶液を8分かけて滴下し、同温で3時間攪拌した後、水を加えた。目的物(4)が647 mg ( 87.2 %, 定量値)で得られた。有機層を分離し、濾過後、THF溶液で洗浄し、得られた溶液を減圧下で溶媒留去すると結晶が析出した。この結晶を濾取し、化合物(4)の白色結晶を406 mg ( 52.5 % ) で得た。化合物(4)の白色結晶のIRスペクトルを測定したところ、IR 1686 cm-1に特徴的なピークを示した(KBrで測定)。得られた結晶は、II型結晶であった。
【実施例8】
【0031】
塩化チオニルを用いた化合物(4)の製造法(溶媒:DMF)
【化40】


窒素気流下、化合物(1)0.5 g のDMF 2.0 ml 溶液を50℃に温度調節した。この溶液に塩化チオニル 249 mg のDMF 0.1 ml 溶液を加え1.5時間攪拌した。反応液の温度を30℃に調節し、アミノトリフルオロメチルピリジン(3)339 mg とピリジン 330 mg のDMF 0.5 ml 溶液を8分かけて滴下し、同温で4時間攪拌した。目的物(4)が530 mg ( 68.5 %, 定量値)生成した。この溶液に水を 2 ml 滴下し、析出した結晶を濾取し、減圧乾燥した。化合物(4)の白色結晶を 500 mg ( 64.6 % )で得た。化合物(4)の白色結晶のIRスペクトルを測定したところ、IR 1686 cm-1に特徴的なピークを示した(KBrで測定)。得られた結晶は、II型結晶であった。
【実施例9】
【0032】
II型結晶からI型結晶への再結晶
窒素気流下、化合物(4)のII型結晶15.0 kg に、アセトン 150.3 kgを加え、50℃で結晶を溶解し、除塵ろ過後、アセトン 10.7 kg で洗浄した。この溶液を常圧濃縮した後、除塵ろ過した脱イオン水 68.1 kgを52℃から54℃で滴下した。得られた懸濁液を10℃から20℃の間で165分間攪拌した。析出した結晶を濾取し、アセトン水溶液 12.1 kg で結晶を2回洗浄し、減圧乾燥後、化合物(4)のI型結晶を11.8 kg 得た。
IRスペクトルを測定したところ、出発物質である化合物(4)の結晶(II型結晶)は、IR 1686 cm-1に特徴的なピークを示した(KBrで測定)。生成物である化合物(4)の結晶(I型結晶)は、IR 1708 cm-1に特徴的なピークを示した(KBrで測定)。
【実施例10】
【0033】
粉末X線構造解析データ
上記(4)で示される化合物について、I型結晶及びII型結晶の粉末X線回折パターンを測定した。その結果、IRスペクトルにおいて1708 cm-1にピークを示す結晶は、2θ=10.2、14.5、16.8、17.1、17.7、18.3、19.1、20.2、20.8、26.5度にピークを示す結晶(I型結晶)であった。IRスペクトルにおいて1686 cm-1にピークを示す結晶は、2θ=12.5、14.3、16.8、17.8、18.4、19.0、21.6、33.1度にピークを示す結晶(II型結晶)であった。図1及び図3はI型結晶の粉末X線データであり、図2はII型結晶の粉末X線データである。
【実施例11】
【0034】
融点データ(DSC)
上記I型結晶及びII型結晶の融点を測定した。その結果、I型結晶の融点は224.6℃であった。II型結晶の融点は219.6℃であった。
【実施例12】
【0035】
I型、II型の各種溶媒での溶解度の比較
I型、II型結晶の各種溶媒での溶解度の測定を行ったところ、以下に示す通りであった。なお、II型結晶の溶解度は、各溶媒に結晶を徐々に添加して、溶解した量を測定し、計算した。
【表1】


比較例1
【0036】
WSC/HOBtによるカップリング法実施例
一般的に使用される縮合剤を用いて、カップリング実験を行った。下記の実験でカップリング試薬として用いられているWSC/HOBtは、カルボン酸とアミンとのカップリング法において汎用される試薬である。
【化41】


窒素気流下、化合物(1)500 mgとアミノトリフルオロメチルピリジン(3)323 mgのDMF 5 ml溶液に、-10℃下、WSC 364 mgとHOBt 307.8 mgを加え、DMF 4 mlで洗浄した。反応温度を0℃に昇温し、2時間攪拌した後、室温で20時間攪拌した。この反応液を定量した結果、目的物(4)は2.8 %生成していた。
【実施例13】
【0037】
(XRPD)
粉末X線回折パターンの測定
<I型結晶の測定条件>
各実施例で得られた結晶の粉末X線回折測定は、日本薬局方の一般試験法に記載された粉末X線回折測定法に従い、以下の測定条件で行った。
(装置)
リガク社製RINT TTR III
(操作方法)
試料について、以下の条件で測定を行った。
測定法:反射法
光源の種類:Cu管球
使用波長:CuKα線
管電流:300mA
管電圧:50Kv
試料プレート:アルミニウム(アルミニウム由来の回折ピーク2θ=38.2°)
X線の入射角:4°から40°
<II型結晶の測定条件>
(装置)
リガク社製RINT 1100
(操作方法)
試料について、以下の条件で測定を行った。
測定法:反射法
光源の種類:Cu管球
使用波長:CuKα線
管電流:40mA
管電圧:40Kv
試料プレート:ガラス
X線の入射角:5°から40°
【実施例14】
【0038】
(IR)
赤外吸収スペクトルの測定
各実施例で得られた結晶の赤外吸収スペクトルの測定は、以下の測定条件で行った。
(装置)
サーモフィッシャーサイエンティフィック社(旧社名:サーモエレクトロン)製MAGNA560型
(操作方法)
試料について、以下の条件で測定を行った。
測定方法:ATR法(KBr)
分解能:2(cm−1
検出器:DTGS検出器
積算回数:32回
【実施例15】
【0039】
(DSC)
DSCデータの測定
<I型結晶の測定条件>
前記実施例で得られた結晶約1.131mgを量り、アルミパンにつめ、簡易密封して測定した。測定条件は以下のとおりである。
(測定条件)
装置:Rigaku Industrial Corporation Thermo Plus DSC8230L
測定範囲:130−250℃
昇温速度:10℃/分
雰囲気:N 100mL/分
<II型結晶の測定条件>
前記実施例で得られた結晶約0.976mgを量り、アルミパンにつめ、簡易密封して測定した。測定条件は以下のとおりである。
(測定条件)
装置:Rigaku Industrial Corporation Thermo Plus DSC8230L
測定範囲:130−250℃
昇温速度:10℃/分
雰囲気:N 100mL/分
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明を用いることにより、効率よくNPYY5受容体拮抗作用を有する化合物を製造することができ、また、精製も効率よく行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(IV):
【化1】


(Rがtert-ブチルであり、Rがトリフルオロメチルであり、nが2である。)で示され、粉末X線回折パターンにおいて、2θ=12.5±0.2、16.8±0.2、17.8±0.2、19.0±0.2度にピークを示す化合物の結晶。
【請求項2】
式(IV):
【化2】


(Rがtert-ブチルであり、Rがトリフルオロメチルであり、nが2である。)で示され、粉末X線回折パターンにおいて、2θ=12.5±0.2、14.3±0.2、16.8±0.2、17.8±0.2、18.4±0.2、19.0±0.2、21.6±0.2、33.1±0.2度にピークを示す化合物の結晶。
【請求項3】
式(IV):
【化3】


(Rがtert-ブチルであり、Rがトリフルオロメチルであり、nが2である。)で示され、示差走査熱量測定において、219.6±2.0℃に吸熱ピークを有する化合物の結晶。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−178790(P2011−178790A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−84062(P2011−84062)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【分割の表示】特願2010−511076(P2010−511076)の分割
【原出願日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(000001926)塩野義製薬株式会社 (229)
【Fターム(参考)】