説明

OSD表示位置決定装置及びOSD表示位置決定方法

【課題】画質調整内容に応じて、調整に影響の少ない位置にOSDを表示させる、OSD表示位置決定装置及びOSD表示位置決定方法を提供する。
【解決手段】エリア分割部3は入力画像を所定エリアに分割する。エッジ成分検出部4は入力画像の所定エリア毎において輪郭の量であるエッジ成分を検出する。輝度ヒストグラム検出部5は所定エリア毎に輝度レベルの分布である輝度ヒストグラムを検出する。色成分検出部6は所定エリア毎に色成分を検出する。データ処理部7は画像調整の目的に応じて、検出されたエッジ成分、輝度ヒストグラム及び色成分のうち少なくとも一つの情報を取得し、OSD画像の表示に適する度合いである優先順位を判定し、最も優先順位の高いエリアにOSD画像を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はディスプレイの画質調整時にディスプレイ上に表示するOSDの表示位置を決定する、OSD表示位置決定装置及びOSD表示位置決定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、テレビモニタ等のディスプレイ装置においては、視聴する映像の種類(例えば映画、ゲーム、ドラマ等)や視聴者の好みに合わせて、視聴者が画質調整を行うことができる。また、画質調整の際に調整補助の目的で調整内容や調整度合いを表示する、オンスクリーンディスプレイ(以下、OSDとする)をディスプレイ上に表示させるものが一般的である。画質調整の際、視聴者は通常、表示されている映像を見ながら調整を行うが、調整の内容によって注意したい映像の部分が異なる。例えばシャープネス調整を行う場合は映像全体の中で、より細かい輪郭描写の多い画像部分に注目して、調整過程におけるその画像の見え方の変化を確認しながら調整すると効果的である。一方、調整用に表示するOSDが調整時に注目したい画像を隠してしまう場合がある。
【0003】
OSD表示位置を改善する技術として特許文献1には、画面上に表示された映像との重なり度を反映した位置にOSDの表示位置を決定する技術が開示されている。特許文献2には画質調整の影響を最も受けにくい領域にOSD画像を表示させ、画質調整による画質の変化が大きい部分にはOSD画像を表示しない技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−171300号公報
【特許文献2】特開2009−116192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1で開示された技術は、黒レベル検出とエッジ検出を用いて、画面上に表示された映像に含まれる記号と重ならない位置にOSDを表示することを主な目的としており、画質調整する内容に合わせてOSD表示位置を変更するものではない。また特許文献2で開示された技術では、調整による画質変化の大きさでOSD表示領域を決定しているが、画質調整時に確認したい画像は調整による画質変化が大きい領域とは限らず、ユーザの確認したい画像をOSDで隠してしまう場合があるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は次の(イ)、(ロ)のOSD表示位置決定装置を提供する。
【0007】
(イ)画像信号を表示画面上の領域に対応する複数のエリアに分割するエリア分割部(3)と、前記画像信号の、エッジ成分を検出するエッジ成分検出部(4)、輝度ヒストグラムを検出する輝度ヒストグラム検出部(5)、又は各画素の色成分を検出する色成分検出部(6)のうち少なくとも1つの検出部と、画質調整の内容に応じて、前記エッジ成分検出結果、前記輝度ヒストグラム検出結果及び前記色成分検出結果のうち少なくとも一つの検出結果を元に、分割した前記エリア毎に、OSD画像の表示に適する度合いを評価し、前記OSD画像の表示に適する度合いが高い順に優先順位を付け、最も優先順位の高いエリアに前記OSD画像を表示するよう決定するデータ処理部(7)と、を有することを特徴とするOSD表示位置決定装置。
【0008】
(ロ)前記画質調整のための指示の回数をカウントするカウンタ部(12)を更に有し、前記データ処理部は、所定時間内における前記画質調整のための指示の回数が所定値に満たない場合は、現在OSDを表示している分割エリアより優先順位の低い分割エリアに前記OSD画像を表示するよう決定する
ことを特徴とする請求項1に記載のOSD表示位置決定装置。
【0009】
また、上記課題を解決するため、本発明は次の(ハ)、(ニ)のOSD表示位置決定方法を提供する。
【0010】
(ハ)画像信号を表示画面上の領域に対応する複数のエリアに分割するエリア分割ステップと、前記画像信号の、エッジ成分を検出するエッジ成分検出部、輝度ヒストグラムを検出する輝度ヒストグラム検出部、又は各画素の色成分を検出する色成分検出部のうち少なくとも1つの検出部が検出を行う検出ステップと、画質調整の内容に応じて、前記エッジ成分検出結果、前記輝度ヒストグラム検出結果及び前記色成分検出結果のうち少なくとも一つの検出結果を元に、分割した前記エリア毎に、OSD画像の表示に適する度合いを評価し、前記OSD画像の表示に適する度合いが高い順に優先順位を付け、最も優先順位の高いエリアに前記OSD画像を表示するよう決定するデータ処理ステップと、
を有することを特徴とするOSD表示位置決定方法。
【0011】
(ニ)前記画質調整のため為の指示の回数をカウントするステップを更に有し、
前記データ処理部は、所定時間内における前記画質調整のための指示の回数が所定値に満たない場合は、現在OSDを表示している分割エリアより優先順位の低い分割エリアに前記OSD画像を表示するよう決定することを特徴とする請求項3に記載のOSD表示位置決定方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明のOSD表示位置決定装置及びOSD表示位置決定方法によると、ユーザの視聴している映像を参照して画質調整を行う際に、調整内容に合わせてOSD表示位置を決定し、更に、ユーザが当該表示位置に不満足な場合には自動的にOSD表示位置を変更することにより、ユーザが望む位置にOSDを表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係るOSD表示位置決定装置の構成を示すブロック図である。
【図2】映像表示領域の分割例を示す模式図である。
【図3】画像の分割エリアを示す画面例である。
【図4】画像の分割エリア優先順位を示す画面例である。
【図5】OSD表示位置決定装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】シャープネス調整時の分割エリア優先順位を示す画面例である。
【図7】画像調整時のOSD表示位置を示す画面例である。
【図8】画像調整時のOSD表示位置を示す画面例である。
【図9】色合い調整時の分割エリアを示す画面例である。
【図10】色合い調整時の分割エリア優先順位を示す画面例である。
【図11】黒レベル調整時の分割エリアを示す画面例である。
【図12】黒レベル調整時の分割エリア優先順位を示す画面例である。
【図13】コントラスト調整時の分割エリアを示す画面例である。
【図14】コントラスト調整時の分割エリア優先順位を示す画面例である。
【図15】カラーマネジメント調整時の分割エリアを示す画面例である。
【図16】カラーマネジメント調整時の分割エリア優先順位を示す画面例である。
【図17】ホワイトバランス調整時の分割エリアを示す画面例である。
【図18】ホワイトバランス調整時の分割エリア優先順位を示す画面例である。
【図19】カラー調整時の分割エリア優先順位を示す画面例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものである。
【0015】
(実施の形態)
図1は本発明の実施の形態に係るOSD表示位置決定装置の構成を示すブロック図である。
【0016】
OSD表示位置決定装置100は、キャプチャ部1、エリア分割部3、エッジ成分検出部4、輝度ヒストグラム検出部5、色成分検出部6、データ処理部7、OSD出力部8、スイッチ部9、指示受信部10、入力指示解析部11、コマンドカウンタ部12、クロックカウンタ部13および画像合成部14等を備えている。
【0017】
キャプチャ部1は、入力映像信号から静止画像信号をキャプチャし、エリア分割部3およびスイッチ部9に送る。
【0018】
エリア分割部3は、入力映像信号を表示領域に対応した複数のエリアに分割し、エリアを特定できるようにエリア番号を付与する。図2は入力映像信号を4つのエリアに分割した例であり、図3は更にエリア番号を付与した例である。
【0019】
エッジ成分検出部4は、高周波成分の信号(画素)の総数をカウントし、画像内の輪郭の量を検出する。検出処理には特開2008-92462号公報に記載の公知技術等を用いることができる。
【0020】
輝度ヒストグラム検出部5は、各画素の輝度信号のレベル値を複数に分割された属性に振り分け、振り分けられた画素数をカウントし、画像内の輝度レベルの分布を検出する。検出処理には特開2006-311167号公報の図5等に記載の公知技術等を用いることができる。
【0021】
色成分検出部6は、各画素の色差信号のレベル値を見てある特定のレベル内におさまる画素数をカウントし、画像内の特定色の量を検出する。検出処理には特開平4-137989号公報等に記載の公知技術を用いることができる。
【0022】
尚、検出部4〜6全てを備えている必要は無く、後述する画質調整内容に対応した検出部を必要に応じて備えていればよい。
【0023】
データ処理部7は、ユーザから画質調整の指示を受けると、エッジ成分検出部4又は、輝度ヒストグラム検出部5又は色成分検出部6より、画質調整の内容に応じて必要な検出結果を取得する。次に取得した検出結果を元に、エリア分割部3により分割されたエリア毎にOSDを表示するのに適した度合いを算出して優先順位付けを行い、更に優先順位を元にOSD出力部8に対し、分割されたどのエリアにOSDを表示するのか指示を行う。図4は図3の画像に更に、優先順位付けをした例である。図4ではエリア2が優先順位1位となっており、続いてエリア1、エリア4、エリア3の順に優先順位が低くなっている。
【0024】
OSD出力部8は、データ処理部7から指示されたエリアに表示されるようにOSD画像信号を出力する。スイッチ部9は、画質調整時に表示装置に表示する画像を入力映像信号の画像にするのか、キャプチャ部1でキャプチャした静止画像にするのかを切り換える。画質調整時に自動的にキャプチャ部1からの画像を選択するようにしてもよいし、ユーザの操作によって出力画像を切り換え、調整効果を確認しやすい画像をユーザが選択できる構成にしてもよい。
【0025】
OSD出力部8から出力されるOSD画像信号は画像合成部14にて、スイッチ部9から出力される画像信号と合成され、図示しない液晶ディスプレイ等の表示装置へ出力される。
【0026】
指示受信部10は、図示しないリモートコントローラ等によるユーザからの指示を受信し、受信した指示信号を入力指示解析部11に送る。入力指示解析部11は、指示信号を解析し、対応するコマンドに変換してカウンタ部12に送る。コマンドカウンタ部12は入力指示解析部から受け取った指示コマンドをデータ処理部7に送るが、この際、画質調整に関する指示コマンドの回数をカウントする。コマンドカウンタ部12の指示コマンドカウンタ値はデータ処理部7の指示によりリセットされ、同様にデータ処理部7の指示により指示コマンドカウンタ値の読み出しが行われる。
【0027】
クロックカウンタ部13は、内部クロックのカウントを行うことにより所定時間の経過をカウントする。クロックカウンタ部13のクロックカウント値はデータ処理部7の指示によりリセットされ、同様にデータ処理部7の指示によりクロックカウントする値が設定される。クロックカウント値の設定は予め初期値として決められていても良いし、ユーザにより任意に設定可能としても良い。
【0028】
データ処理部7はクロックカウンタ部13によって所定時間の経過を通知されたタイミングでコマンドカウンタ部のコマンドカウント値を読み取る。この時コマンドカウント値が所定値に満たない場合、データ処理部7はOSD出力部8に対し、現在表示しているエリアの次に優先順位の高いエリアにOSD表示位置を移動させるように指示する。
【0029】
次に、OSD表示位置決定装置100の動作について図5のフローチャートを用いて説明する。
【0030】
(a)指示受信部10がリモートコントローラ等によるユーザからの指示信号を受信すると、入力指示解析部11はステップS101で、指示信号を解析する。指示信号が画質調整に関するものであった場合、調整内容を特定し調整内容を示す指示コマンドをカウンタ部12を経由してデータ処理部7に送る。データ処理部7はキャプチャ部1に対し、入力画像をキャプチャするよう指示し、エリア分割部3はキャプチャした静止画を図2に示すように表示領域に対応する複数のエリアに分割し、図3に示すように各エリアを特定できるようにエリア番号を付ける。
【0031】
(b)エッジ成分検出部4、輝度ヒストグラム検出部5、色成分検出部6は、分割されたエリア毎に夫々の検出を行う。ステップS102でデータ処理部はこれら検出部の検出結果から当該調整内容に関係した検出結果を取得する。
【0032】
(c)ステップS103にてデータ処理部7は、取得した検出結果に基づいて、分割したエリア毎にOSD表示に適した度合いである優先順位を決定する。
【0033】
(d)ステップS104においてデータ処理部7は優先順位の最も高いエリアにOSDを表示するよう、OSD出力部8に指示する。画像合成部14にて、OSD出力部8から出力されたOSD信号はスイッチ部9から出力された画像に合成され、出力映像信号として図示しない表示装置等に送信される。
【0034】
(e)ステップS105にて、データ処理部7はクロックカウンタ部13のクロックの値(Ct)を0にリセットし、新たにクロックのカウントを開始させる。同時データ処理部7はカウンタ部12のコマンドのカウント値(Cc)を0にリセットし、ユーザからの画質調整に関する指示コマンドの回数のカウントを開始させる。
【0035】
(f)クロックカウンタ13がデータ処理部7にクロックカウント値(Ct)が所定の値になったことを通知すると、データ処理部7はステップS106にて、コマンドカウンタ部12のカウント値を確認する。
【0036】
(g)ステップS107において、データ処理部7はコマンドカウンタ値が所定値以上か否か判定する。所定値に満たないと判定した場合(S107/no)、ユーザがOSD表示位置に満足していないと判断し、ステップS108に進む。
【0037】
(h)ステップS108にて、データ処理部7は、現在OSDを表示しているエリアの次に優先順位の高いエリアが有るか否か判定し、有ると判断された場合(S108/yes)、ステップS109へ進む。
【0038】
(i)ステップS109にて、データ処理部7は現在OSDを表示しているエリアの次に優先順位の高いエリアにOSD画像を表示するようにOSD出力部8に指示する。
【0039】
(j)ステップS108にて、次に優先順位の高いエリアがないと判定された場合(S108/no)、ユーザに画質調整の意思がないと判断し本処理を終了する。
【0040】
(k)ステップS107にてコマンドのカウント値(Cc)が所定回数以上であると判定した場合(S107/yes)、ユーザが現在のOSD表示位置に満足したと判断し、ステップS110に進み、OSD表示位置が決定され、ユーザが当該調整を終了するまで同じエリアにOSDが表示される。
【0041】
以上の流れで、ユーザがOSD表示位置に満足するまでOSD表示位置を変更し続け、全ての分割エリアに対し順次OSDの表示を行うので、ユーザの満足する位置にOSDを表示させることができる。
【0042】
(実施例1)
画質調整内容がシャープネス調整であった場合について以下に説明する。図5のステップS101にて調整内容がシャープネス調整であると解析された場合、輪郭の強調度合いを調整することが目的と考えられるため、ステップS102にてデータ処理部7は、エッジ成分検出部4の検出値を用いて、例えば図2に示す画像の、分割したエリア毎にエッジとなる画素数をカウントし、ステップS103にてそのカウント値が小さいエリアから順にOSD表示の優先順位が高くなるように優先順位を決定する。尚、細かな輪郭描写が多ければ多いほどエッジとなる画素数のカウンタ値は大きくなる。データ処理部7は、例えば図6に示すように、優先順位の高いエリアから順に右上、左上、右下、左下と判定し、ステップS104にて、図7に示すように、最も優先順位の高い右上のエリアにOSDを表示する。次にステップS105以降でユーザの画像調整指示回数を判定し、所定時間経過後にユーザの画像調整指示回数が所定回数に達しない場合、図8に示すように自動的に次に優先順位の高い左上のエリアにOSD表示が移動され、更に所定時間経過後にユーザの画像調整回数が所定回数に達しない場合、次に優先順位の高い右下のエリア→最も優先順位の低い左下のエリアの順でOSD表示位置が移動して行く。このように、ユーザの画像調整指示回数が所定回数に達しない場合、全てのエリアに一通りOSDが表示されるまで、OSD表示位置が順次移動していく。
【0043】
(実施例2)
画質調整内容が色合い調整であった場合について以下に説明する。図5のステップS101にて調整内容が色合い調整であると解析された場合、肌色の色合いを調整することが目的と考えられるため、ステップS102では色成分検出部6の検出値を用いる。データ処理部7は、例えば図9に示す画像の各エリア毎に、肌色(近傍色も含む)のレベルとなっている画素数をカウントし、ステップS103にてそのカウント値が小さいエリアから順にOSD表示の優先順位が高くなるように優先順位を決定する。データ処理部7は、例えば図10に示すように優先順位の高いエリアから順に左上、右上、左下、右下と判定し、ステップS104にて最も優先順位の高い左上のエリアにOSDを表示する。ステップS105以降は実施例1と同様である。
【0044】
(実施例3)
画質調整内容が黒レベル調整であった場合について以下に説明する。図5のステップS101にて調整内容が黒レベル調整であると解析された場合、暗い側の見え方を調整することが目的と考えられるため、ステップS102では輝度ヒストグラム検出部5の検出値を用いる。データ処理部7は、例えば図11に示す画像の各エリア毎に、各画素の輝度レベルを16分割ほどにヒストグラム化し、暗い側の画素数が少ないエリアから順にOSD表示の優先度が高くなるように優先順位を決定する。データ処理部7は、例えば図12のように優先順位の高いエリアから順に右上、左上、左下、右下と判定し、ステップS104にて最も優先順位の高い右上のエリアにOSDを表示する。ステップS105以降は実施例1と同様である。
【0045】
(実施例4)
画質調整内容がコントラスト調整であった場合について以下に説明する。図5のステップS101にて調整内容がコントラスト調整であると解析された場合、明るい側の見え方の調整が目的と考えられるため、ステップS102では輝度ヒストグラム検出部5の検出値を用いる。データ処理部7は、例えば図13に示す画像の各エリア毎に各画素の輝度レベルを16分割ほどにヒストグラム化して、明るい側の画素数が少ないエリアから順にOSD表示の優先度が高くなるように優先順位を決定する。ステップS103にてデータ処理部7は、例えば図14に示すように優先順位の高いエリアから順に左下、右下、左上、右上と判定し、ステップS104にて最も優先順位の高い左下のエリアにOSDを表示する。ステップS105以降は実施例1と同様である。
【0046】
(実施例5)
画質調整内容がカラーマネジメントを使った青色調整である場合について以下に説明する。図5のステップS101にて調整内容がカラーマネジメントを使った青色調整であると解析された場合、特定色の色合いを調整することが目的と考えられるため、ステップS102では色成分検出部6の検出値を用いる。データ処理部7は、例えば図15に示す画像の各エリアの中で、青色(近傍色含む)のレベルとなっている画素数をカウントし、ステップS103にて、そのカウント値が小さいエリアから順にOSD表示の優先順位が高くなるように優先順位を決定する。ステップS103ではデータ処理部7は、例えば図16に示すように優先順位の高いエリアから順に左下、右下、右上、左上と判定し、ステップS104にて最も優先順位の高い左下のエリアにOSDを表示する。ステップS105以降は実施例1と同様である。
【0047】
(実施例6)
画質調整内容がホワイトバランス調整の場合について以下に説明する。図5のステップS101にて調整内容がホワイトバランス調整であると解析された場合、白の色味、また肌色の色合いを調整することが目的と考えられるため、ステップS102では輝度ヒストグラム検出部5が検出する各分割エリアの輝度ヒストグラム、および色成分検出部6が検出する色成分(肌色と無彩色)の値の組み合わせを用いる。データ処理部7は、例えば図17に示す画像の各エリア毎に、明るい側の画素数のカウント値、色差信号のレベルがあるレベル以下の画素のカウント値(無彩色である画素を検出)、肌色である画素のカウント値をそれぞれ求め、これらの合計値が小さいエリアから順にOSD表示の優先順位が高くなるように決定する。ステップS103にて例えば図18に示すように優先順位の高いエリアから順に左上、左下、右下、右上と判定し、ステップS104にて最も優先順位の高い左上のエリアにOSDを表示する。これにより、画像の中で白が少なく、かつ肌色が少ないエリアに優先的にOSDが表示されることとなる。ステップS105以降は実施例1と同様である。
【0048】
(実施例7)
画質調整内容がカラー調整の場合について以下に説明する。図5のステップS101にて調整内容がカラー調整であると解析された場合、肌色を中心とした平坦な部分の色の濃さを調整することが目的と考えられるため、ステップS102では例えば図17に示す画像の各エリアにおける、エッジ成分検出部4が検出するエッジ成分、及び色成分検出部6が検出する色成分(肌色と有彩色)の値の組み合わせを用いる。データ処理部7は、高周波成分を持っている画素数のカウントの反転値、色差信号のレベルがあるレベル以上の画素のカウント値(有彩色)、肌色である画素のカウント値をそれぞれ求め、これらの合計値が小さいエリアから順にOSD表示の優先順位が高くなるように決定する。ステップS103でデータ処理部7は例えば図19に示すように、優先順位の高いエリアから順に右下、左下、右上、左上と判定し、ステップS104にて最も優先順位の高い右下のエリアにOSDを表示させる。これにより、画像の中でくっきりした輪郭が少なく、かつ色が薄く、肌色が少ないエリアに優先してOSDが表示されることとなる。ステップS105以降は実施例1と同様である。
【0049】
尚、上記の実施例において、各検出結果値が同値となるエリアが存在した場合も考慮したアルゴリズムをデータ処理部7の決定アルゴリズムに組み込んでおくことが望ましい。例えば、検出結果が同値であれば最も右下に位置するエリアから優先させる等である。尚、同値となるエリアが存在した場合の決定方法は、自由に変更可能なものとする。
実施例では画像を4分割した例を示したが、分割数はこれに限定されるものではなく、2分割以上であれば良く、例えば9分割や16分割することが考えられる。
【符号の説明】
【0050】
1…キャプチャ部
3…エリア分割部
4…エッジ成分検出部
5…輝度ヒストグラム検出部
6…色成分検出部
7…データ処理部
8…OSD出力部
9…スイッチ部
10…指示受信部
11…入力指示解析部
12…コマンドカウンタ部
13…クロックカウンタ部
14…画像合成部
100…OSD表示位置決定装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像信号を表示画面上の領域に対応する複数のエリアに分割するエリア分割部と、
前記画像信号の、エッジ成分を検出するエッジ成分検出部、輝度ヒストグラムを検出する輝度ヒストグラム検出部、又は各画素の色成分を検出する色成分検出部のうち少なくとも1つの検出部と、
画質調整の内容に応じて、前記エッジ成分検出結果、前記輝度ヒストグラム検出結果及び前記色成分検出結果のうち少なくとも一つの検出結果を元に、分割した前記エリア毎に、OSD画像の表示に適する度合いを評価し、前記OSD画像の表示に適する度合いが高い順に優先順位を付け、最も優先順位の高いエリアに前記OSD画像を表示するよう決定するデータ処理部と、
を有することを特徴とするOSD表示位置決定装置。
【請求項2】
前記画質調整のための指示の回数をカウントするカウンタ部を更に有し、
前記データ処理部は、所定時間内における前記画質調整のための指示の回数が所定値に満たない場合は、現在OSDを表示している分割エリアより優先順位の低い分割エリアに前記OSD画像を表示するよう決定する
ことを特徴とする請求項1に記載のOSD表示位置決定装置。
【請求項3】
画像信号を表示画面上の領域に対応する複数のエリアに分割するエリア分割ステップと、
前記画像信号の、エッジ成分を検出するエッジ成分検出部、輝度ヒストグラムを検出する輝度ヒストグラム検出部、又は各画素の色成分を検出する色成分検出部のうち少なくとも1つの検出部が検出を行う検出ステップと、
画質調整の内容に応じて、前記エッジ成分検出結果、前記輝度ヒストグラム検出結果及び前記色成分検出結果のうち少なくとも一つの検出結果を元に、分割した前記エリア毎に、OSD画像の表示に適する度合いを評価し、前記OSD画像の表示に適する度合いが高い順に優先順位を付け、最も優先順位の高いエリアに前記OSD画像を表示するよう決定するデータ処理ステップと、
を有することを特徴とするOSD表示位置決定方法。
【請求項4】
前記画質調整のための指示の回数をカウントするステップを更に有し、
前記データ処理部は、所定時間内における前記画質調整のための指示の回数が所定値に満たない場合は、現在OSDを表示している分割エリアより優先順位の低い分割エリアに前記OSD画像を表示するよう決定する
ことを特徴とする請求項3に記載のOSD表示位置決定方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公開番号】特開2012−63583(P2012−63583A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−207779(P2010−207779)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】