説明

POSシステム、バーコードスキャナ、およびPOSシステムの制御方法

【課題】流通経路の最終段階である商品販売時に、作業負担を増加させることなく、商品の放射能汚染の有無を確認することを可能にするPOSシステム、バーコードスキャナ、およびPOSシステムの制御方法を提供すること。
【解決手段】商品を特定する商品コードと商品コードごとに定められた放射能閾値とを関連付けて記憶する記憶手段11と、商品に付されたバーコードから商品コードを読み取るバーコード読取部31と、商品から放出される放射線量から商品の放射能を測定する放射能測定部32とを有するバーコードスキャナ30と、バーコード読取部31により読み取られた商品コードに対応する放射能閾値と、放射能測定部32により測定された放射能測定値とを比較する比較手段24と、放射能測定値が放射能閾値を超えた場合に、アラームを出力するアラーム出力手段21、22とを備えるPOSシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、POSシステム、バーコードスキャナ、およびPOSシステムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケット等の店舗に設置されるPOSシステム(販売時点管理システム)として、例えば、特許文献1に示されるようなPOSシステムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−100371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1に示されるようなPOSシステムでは、仮に商品が放射能汚染されている場合であっても、商品の放射能汚染を確認する手段を備えていないため、店舗側および消費者側共に商品の放射能汚染の確認を取ることができないという問題があった。
【0005】
また、流通業の店舗では、食品、衣料、住居用品、生活雑貨などの様々な商品が消費者へ販売されている。それらの商品が放射能汚染を受ける可能性は、流通経路における「商品の製造」、「商品の輸送」、「卸」、「輸送」、「店舗への入荷」、「店舗での陳列」等の各工程で存在する。
【0006】
そこで、本発明は、従来の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、流通経路の最終段階である商品販売時に、作業負担を増加させることなく、商品の放射能汚染の有無を確認することを可能にするPOSシステム、バーコードスキャナ、および、POSシステムの制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のPOSシステムは、商品を特定する商品コードと前記商品コードごとに定められた放射能閾値とを関連付けて記憶する記憶手段と、商品に付されたバーコードから商品コードを読み取るバーコード読取部と、前記商品から放出される放射線量から前記商品の放射能を測定する放射能測定部とを有するバーコードスキャナと、前記バーコード読取部により読み取られた商品コードに対応する放射能閾値と、前記放射能測定部により測定された放射能測定値とを比較する比較手段と、前記放射能測定値が前記放射能閾値を超えた場合に、アラームを出力するアラーム出力手段とを備えることにより、前述した課題を解決したものである。
【0008】
本発明のバーコードスキャナは、商品に付されたバーコードから商品コードを読み取るバーコード読取部と、前記バーコード読取部により読み取られた商品コードを送信し前記商品コードに対応する放射能閾値を受信する送受信部と、前記商品から放出される放射線量から前記商品の放射能を測定する放射能測定部と、前記送受信部により受信した放射能閾値と、前記放射能測定部により測定された放射能測定値とを比較する比較部と、前記放射能測定値が前記放射能閾値を超えた場合に、アラームを出力するアラーム出力部とを備えることにより、前述した課題を解決したものである。
【0009】
本発明のPOSシステムの制御方法は、バーコードスキャナのバーコード読取部により読み取られた商品コードに対応する放射能閾値と、前記バーコードスキャナの放射能測定部により測定された放射能測定値とを比較手段により比較し、前記放射能測定値が前記放射能閾値を超えた場合に、アラーム出力手段によりアラームを出力することにより、前述した課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、バーコードスキャナに放射能測定部を設けることにより、バーコード読取部によるバーコード読取時に、作業負担を増加させることなく、対象商品の放射能汚染の有無を確認することができる。また、商品が放射能汚染を受ける可能性は、「商品の製造」、「商品の輸送」、「卸」、「輸送」、「店舗への入荷」、「店舗での陳列」等の流通経路における各工程で存在するが、本発明では、流通経路の最終段階である商品販売時に、商品の放射能汚染の有無を確認することが可能であるため、商品販売の安全性を確実に確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施例であるPOSシステムを示す概略図である。
【図2】バーコードスキャナを示す上面図および正面図である。
【図3】第1実施例におけるPLUファイルの一例を示す説明図である。
【図4】第1実施例のPOSシステムにおける処理フローを示すフローチャート図である。
【図5】本発明の第2実施例であるPOSシステムを示す概略図である。
【図6】第2実施例におけるPLUファイルの一例を示す説明図である。
【図7】第2実施例のPOSシステムにおける処理フローを示すフローチャート図である。
【図8】本発明の第3実施例であるPOSシステムを示す概略図である。
【図9】第3実施例のPOSシステムにおける処理フローを示すフローチャート図である。
【図10】本発明の第4実施例であるPOSシステムを示す概略図である。
【図11】第4実施例のPOSシステムにおける処理フローを示すフローチャート図である。
【図12】本発明の第5実施例であるPOSシステムを示す概略図である。
【図13】第5実施例のPOSシステムにおける処理フローを示すフローチャート図である。
【図14】本発明の第6実施例であるPOSシステムを示す概略図である。
【図15】第6実施例のPOSシステムにおける処理フローを示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のPOSシステムの複数の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0013】
本発明の第1実施例であるPOSシステムは、図1に示すように、上位装置(POSホスト)10と、上位装置10にLAN等の回線を介して接続される複数のPOS端末20とから少なくとも構成されている。なお、本発明に関連性の薄い機器構成に関しては、記載を省略する。また、本実施例内では単一の機器として説明される機器を複数に分離された機器から構成してもよく、また、逆に、本実施例内では複数に分離された機器として説明される各機器を一体のものとして構成してもよい。
【0014】
上位装置10は、図1に示すように、記憶部(記憶手段)11、入力部、出力部、制御部、通信部、補助記憶装置等を備えている。制御部は、CPU等で構成され、記憶部11は、ROM、RAM、ハードディスク等で構成されている。
【0015】
上位装置10の記憶部11には、PLUファイルが格納されており、本実施例におけるPLUファイルには、図3に示すように、「商品名」、「分類」、「単価」、「放射能閾値」、および、「放射能基準値」が、各商品の「商品コード」に関連付けられて登録されている。
【0016】
ここで、「放射能基準値」とは、国等により商品ごとに定められた放射能の基準値であり、「放射能閾値」とは、店舗独自に定めた放射能の閾値のことを意味する。「放射能基準値」は、商品ごとに定められており、全てが一律ではなく、また、一時的または恒久的に見直しがなされる。なお、本実施例では、「放射能基準値」とは別途に、「放射能閾値」を設けているが、「放射能基準値」自体を「放射能閾値」として用いてもよい。
【0017】
POS端末20は、図1に示すように、顧客用ディスプレイ21、タッチパネルを有する店員用ディスプレイ22、制御部23、記憶部、通信部、補助記憶装置等を備え、制御部23を記憶部に展開されたソフトウェアに従って動作させることにより、後述する各部を実現する。制御部23は、CPU等で構成され、記憶部は、ROM、RAM、ハードディスク等で構成されている。
【0018】
本実施例では、店員用ディスプレイ22のタッチパネルが、入力部として機能し、商品の数量入力も、当該タッチパネルで行うものとする。なお、当該入力部として、キーボード等を用いてもよい。
【0019】
制御部23は、比較部(比較手段)24を有している。詳しくは後述するが、比較部24は、バーコードスキャナ30のバーコード読取部31により読み取られた商品コードに対応する「放射能閾値」と、バーコードスキャナ30の放射能測定部32により測定された「放射能測定値」とを比較し、「放射能測定値」が「放射能閾値」を超えるか否かを判断する。なお、本実施例では、POS端末20の制御部23に比較部24を設けているが、上位装置10やバーコードスキャナ30に比較部を設けてもよい。
【0020】
POS端末20は、USBケーブル等の通信ケーブルにより接続されたバーコードスキャナ30を更に有している。
【0021】
バーコードスキャナ30は、図1に示すように、バーコード読取部31と、放射能測定部32と、制御部23との間でデータの送受信を行う送受信部33とを有している。
【0022】
バーコード読取部31は、周知の構成を備え、商品に付されたバーコードから商品コードを読み取る機能を有している。
【0023】
放射能測定部32は、バーコードスキャナ30に一体に内蔵され、商品から放出される放射線量から商品の放射能の量を測定するものであり、本実施例では、周知のGM(ガイガー=ミューラ)式放射線量計から構成されている。ここで、α線は、紙等の材料でも封止され、γ線は、一般環境に多く存在して測定誤差が大きいことから、本実施例では、放射能測定部32が、一般的な包装を通過するβ線を検出するように構成されている。なお、放射能測定部32の具体的な態様は、前述したGM式放射線量計に限定されない。
【0024】
放射能測定部32用の窓32aは、図2に示すように、バーコード読取部31用の窓31aと同一方向に向いた状態で、バーコード読取部31用の窓31aから距離Dだけ後方側に設けられており、これにより、商品の放射線量測定時に、商品と放射能測定部32用の窓32aとの間に一定以上の空間が形成され、確実な放射線量測定を達成できる。なお、本実施例では、距離Dは、1cmで設定されている。
【0025】
以下に、図4に基づいて、第1実施例のPOSシステムを用いた処理フローを説明する。
【0026】
なお、本実施例のPOSシステムでは、「通常モード(放射線量を測定しないモード)」と「放射線量測定モード」を選択可能であり、図4は、店員がタッチパネル(入力部)等を用いて「放射線量測定モード」を選択した場合の処理フローを示している。
【0027】
まず、バーコード読取部31を用いて、対象商品に付されたバーコードから商品コードを読み取る。
【0028】
次に、POS端末20は、バーコード読取部31により読み取った対象商品の商品コードに基づいて、対象商品の「放射能閾値」を含む各種商品情報を、上位装置10の記憶部11に格納されたPLUファイルから取得する。
【0029】
次に、バーコードスキャナ30の放射能測定部32が、対象商品から放出される放射線量の測定を開始して対象商品の放射能の量を測定し、続いて、POS端末20の比較部24が、放射能測定部32により測定した「放射能測定値」と、PLUファイルから取得した対象商品の「放射能閾値」とを比較する(放射能汚染確認ステップ)。
なお、本実施例においては、バーコード読取部31によるバーコード読取、および、商品情報の取得の後に、放射能測定部32による放射線測定、および、「放射能測定値」と「放射能閾値」との比較を行うものとして構成したが、バーコード読取部31によるバーコード読取、および、放射能測定部32による放射線測定を同時に行い、その後、商品情報の取得、および、「放射能測定値」と「放射能閾値」との比較を行うように構成してもよい。
【0030】
放射能汚染確認ステップにおいて「放射能測定値」が「放射能閾値」を超える場合には、対象商品の商品登録が行われることなく、アラームが出力される。
ここで、アラームの出力先としては、顧客用ディスプレイ21、店員用ディスプレイ22、任意の箇所で別途に設けたアラーム音出力部やアラーム光出力部、上位装置10などが考えられ、その他手段も含めてこれらを任意に選択または組み合わせればよく、また、店員および顧客の双方にアラームが伝わるように構成してもよく、店員のみにアラームが伝わるように構成してもよい。更には、店員および/または顧客に加えて、店舗の管理者やチェーン店の管理者等にもアラームが伝わるように構成してもよい。この場合、店舗の管理者やチェーン店の管理者等の管理者サイドでも、商品の放射能汚染に関する情報を取得でき、例えば、汚染件数の集計を行い商品の仕入れ先を変更する等の対応を取ることができる。また、更には、店員および/または顧客にアラームを伝えることなく、店舗の管理者やチェーン店の管理者等のみにアラームが伝わるように構成してもよく、この場合、店舗側の混乱の発生を避けつつ、管理者サイドで商品の放射能汚染に関する情報を取得することができる。また、アラーム内容としては、「放射能測定値」が「放射能閾値」を超える旨、「放射能測定値」、「放射能閾値」、「放射能基準値」、商品の除染や商品の交換を促すメッセージ、アラーム音、アラーム光などが考えられ、その他内容も含めてこれらを任意に選択または組み合わせればよい。
また、放射能汚染確認ステップにおいて「放射能測定値」が「放射能閾値」を超える場合であっても、アラームを出力しつつ、商品登録を行うように構成してもよい。
【0031】
他方、放射能汚染確認ステップにおいて「放射能測定値」が「放射能閾値」を超えない場合には、アラームが出力されることなく、商品の商品登録が行われる。
ここで、一般に、同一の商品を複数登録する場合、最初の商品登録後に商品の数量を入力することが行われるが、本実施例では、全ての商品の放射能測定を確実に行わせるために、数量入力を行った場合にはアラーム出力を行って数量入力を無効にするように構成されている。同一の商品を複数登録するためには、複数回の商品コード読取を行う。処理フローでは、アラーム出力後に商品コード読取に移行しているが、「数量入力できませんので、スキャンしてください。」等のメッセージを出し、店員がクリアボタンを押した後に商品コード読取に移行するようにしてもよい。
ここで、アラームの出力先としては、顧客用ディスプレイ21、任意の箇所で別途に設けたアラーム音出力部やアラーム光出力部などが考えられ、その他手段も含めてこれらを任意に選択または組み合わせればよい。また、アラーム内容としては、数量入力が行われた旨を伝えるメッセージ、アラーム音、アラーム光などが考えられ、その他内容も含めてこれらを任意に選択または組み合わせればよい。
【0032】
そして、全ての対象商品の商品登録を終了した後、精算処理に移行する。
【0033】
このようにして得られた本実施例のPOSシステムでは、バーコードスキャナ30に放射能測定部32を設けることにより、バーコード読取部31によるバーコード読取時に、作業負担を増加させることなく、対象商品の放射能汚染の有無を確認することができる。
【0034】
また、商品が放射能汚染を受ける可能性は、「商品の製造」、「商品の輸送」、「卸」、「輸送」、「店舗への入荷」、「店舗での陳列」等の流通経路における各工程で存在するが、本発明では、流通経路の最終段階である商品販売時に、商品の放射能汚染の有無を確認することが可能であるため、商品販売の安全性を確実に確保できる。
【0035】
また、店員が商品の数量入力を行った場合に、アラーム出力を行うように構成することにより、店員に全ての商品の放射能測定を個別に行うことを強制することが可能であるため、商品販売の安全性を向上できる。
【0036】
また、本実施例では、国等により定められた「放射能基準値」とは別途に、「放射能基準値」より厳しい「放射能閾値」を独自に定めて、放射能汚染の閾値として用いることにより、より安全な商品販売を実現できる。
【0037】
また、放射能測定部32がバーコードスキャナ30に一体化され、また、放射能測定部32用の窓32aが、バーコード読取部31用の窓31aと同一方向に向いた状態で設けられていることにより、店員は、対象商品に対してバーコードスキャナ30を一度向けるだけで、バーコード読取および放射線量測定の両方を達成できる。
【実施例2】
【0038】
つぎに、本発明の第2実施例であるPOSシステムについて、図5乃至図7に基づいて説明する。
ここで、本発明の第2実施例であるPOSシステムは、PLUファイルのデータ構成等の一部のみが第1実施例のPOSシステムと異なるだけであるため、以下では、第1実施例のPOSシステムとの間の相違点のみを説明する。
【0039】
まず、本発明の第2実施例であるPOSシステムでは、放射能測定を行う対象を一部商品に限定することを目的として、上位装置10の記憶部11に格納されたPLUファイルに、図6に示すように、「商品コード」に関連付けて「放射能測定判定フラグ」を登録している。なお、本実施例では、図6に示すように、放射能測定の対象となる商品(「ネギ」や「Tシャツ(S)」)に「1」、放射能測定の対象とならない商品(「CDケース」や「ゴミ箱」)に「0」のフラグを付したが、放射能測定の対象となる商品のみにフラグを付してもよい。
【0040】
また、POS端末20の制御部23は、商品が放射能測定の対象となるか否かを「放射能測定判定フラグ」を用いて判断する対象商品判断部25を更に有している。なお、比較部24と同様に、上位装置10やバーコードスキャナ30に対象商品判断部を設けてもよい。
【0041】
また、POS端末20には、アラーム音を出力するアラーム音出力部40が更に設けられている。なお、このアラーム音出力部40は、バーコードスキャナ30側に設けてもよい。
【0042】
また、POSシステムの処理フローに関しても、図7に示すように、第1実施例と第2実施例との間で以下の差異が生じる。
具体的には、第2実施例では、バーコード読取部31によるバーコード読取、および、商品情報の取得の後に、商品が放射能測定の対象となるか否かを判断するステップが含められる。例えば、本実施例では、図6に示すように、「ネギ」や「Tシャツ(S)」は、放射能測定の対象となるが、「CDケース」や「ゴミ箱」は、放射能測定の対象とはならない。
【0043】
そして、当該ステップにおいて、商品が放射能測定の対象であると判断された場合には、図7に示すように、第1実施例と同様に、商品の放射能汚染の有無が判断される。また、商品が放射能測定の対象である場合には、全ての商品の放射能測定を確実に行わせるために、数量入力を行った場合にはアラーム出力を行って数量入力を無効にする。商品が放射能測定の対象である場合、同一の商品を複数登録するためには、複数回の商品コード読取を行う。処理フローでは、アラーム出力後に商品コード読取に移行しているが、「数量入力できませんので、スキャンしてください。」等のメッセージを出し、店員がクリアボタンを押した後に商品コード読取に移行するようにしてもよい。
【0044】
他方、当該ステップにおいて、商品が放射能測定の対象ではないと判断された場合には、図6に示すように、前回の商品の商品コードと処理中の商品の商品コードとが同じであるか否かが判断され、同一である場合には、アラーム音出力部40により警告音が出力される。
そして、商品が放射能測定の対象ではない場合には、図6に示すように、商品が放射能測定の対象である場合とは異なり、必要に応じて商品の数量入力が受け付けられる。
【0045】
このようにして得られた本実施例のPOSシステムでは、第1実施例における効果に加えて、放射能測定を行う対象を一部商品に限定することができる。
【実施例3】
【0046】
つぎに、本発明の第3実施例であるPOSシステムについて、図8および図9に基づいて説明する。
ここで、本発明の第3実施例であるPOSシステムは、「放射能測定値」と「放射能閾値」とを比較する比較部の設置箇所等の一部のみが第1実施例のPOSシステムと異なるだけであるため、以下では、第1実施例のPOSシステムとの間の相違点のみを説明する。
【0047】
まず、第1実施例においては、「放射能測定値」と「放射能閾値」とを比較する比較部24が、POS端末20の制御部23に設けられているのに対して、第3実施例では、バーコードスキャナ30側に、「放射能測定値」と「放射能閾値」とを比較する比較部34が設けられている。この比較部34は、バーコードスキャナ30に内蔵された制御チップ等により構成される。
【0048】
また、本実施例におけるバーコードスキャナ30には、図8に示すように、放射線量測定を終了させる終了ボタン35が更に設けられている。
【0049】
また、POSシステムの処理フローに関しても、図9に示すように、第1実施例と第3実施例との間で以下の差異が生じる。
具体的には、第3実施例では、バーコード読取部31によるバーコード読取、および、商品情報の取得の後に、バーコードスキャナ30に「放射能閾値」が送信され、店員が、バーコードスキャナ30の放射能測定部32により、複数箇所に亘って商品全体の放射能測定を行う。
【0050】
そして、放射能汚染確認ステップにおいて、「放射能測定値」が「放射能閾値」を上回った場合には、アラームが出力される。なお、この場合のアラーム出力先や、アラーム内容については、第1実施例と同様である。
【0051】
他方、放射能汚染確認ステップにおいて、対象商品で測定した全ての「放射能測定値」が「放射能閾値」を下回る場合には、終了ボタン35を店員が押すことにより、放射能測定が完了し、対象商品の商品登録が行われる。
【0052】
このようにして得られた本実施例のPOSシステムでは、複数箇所に亘って対象商品の放射能汚染の確認を行うことができるため、より安全な商品販売を実現できる。
【実施例4】
【0053】
つぎに、本発明の第4実施例であるPOSシステムについて、図10および図11に基づいて説明する。
ここで、本発明の第4実施例であるPOSシステムは、「放射能測定値」と「放射能閾値」とを比較する比較部の設置箇所等の一部のみが第2実施例のPOSシステムと異なるだけであるため、以下では、第2実施例のPOSシステムとの間の相違点のみを説明する。
【0054】
まず、第2実施例においては、「放射能測定値」と「放射能閾値」とを比較する比較部24が、POS端末20の制御部23に設けられているのに対して、第4実施例では、バーコードスキャナ30側に、「放射能測定値」と「放射能閾値」とを比較する比較部34が設けられている。この比較部34は、バーコードスキャナ30に内蔵された制御チップ等により構成される。
【0055】
また、本実施例におけるバーコードスキャナ30には、図10に示すように、放射線量測定を終了させる終了ボタン35が更に設けられている。
【0056】
また、POSシステムの処理フローに関しても、図11に示すように、第2実施例と第4実施例との間で以下の差異が生じる。
具体的には、第4実施例では、バーコード読取部31によるバーコード読取、商品情報の取得、および、商品が放射能測定の対象となるか否かの判断の後に、商品が放射能測定の対象である場合、バーコードスキャナ30に「放射能閾値」が送信され、店員が、バーコードスキャナ30の放射能測定部32により、複数箇所に亘って商品全体の放射能測定を行う。
【0057】
そして、放射能汚染確認ステップにおいて、「放射能測定値」が「放射能閾値」を上回った場合には、アラームが出力される。なお、この場合のアラーム出力先や、アラーム内容については、第2実施例と同様である。
【0058】
他方、放射能汚染確認ステップにおいて、対象商品で測定した全ての「放射能測定値」が「放射能閾値」を下回る場合には、例えばバーコードスキャナ30に設けられた終了ボタン35を店員が押すことにより、放射能測定が完了し、対象商品の商品登録が行われる。
【0059】
このようにして得られた本実施例のPOSシステムでは、第2実施例における効果に加えて、複数箇所に亘って対象商品の放射能汚染の確認を行うことができるため、より安全な商品販売を実現できる。
【実施例5】
【0060】
つぎに、本発明の第5実施例であるPOSシステムについて、図12および図13に基づいて説明する。
ここで、本発明の第5実施例であるPOSシステムでは、放射能汚染の確認を2段階方式で行う点で、第1実施例のPOSシステムと相違する。以下では、第5実施例であるPOSシステムと第1実施例のPOSシステムとの間の相違点のみを説明する。
【0061】
第1実施例においては、POS端末20の比較部24により、「放射能閾値」を用いて放射能汚染の確認を1段階方式で行っていた。これに対して、第5実施例においては、初めに「放射能閾値」を用いて第1段階目の放射能汚染の確認を行い、この第1段階目の放射能汚染の確認で「放射能測定値」が「放射能閾値」を上回った商品に対してのみ、商品全体の放射線量を測定し「放射能基準値」を用いて第2段階目の放射能汚染の確認を行っている。
【0062】
まず、第5実施例であるPOSシステムでは、「放射能閾値」と「放射能測定値」とを比較し第1段階目の放射能汚染の確認を実行する比較部24を、POS端末20の制御部23に設け、また、「放射能基準値」と「放射能測定値」とを比較し第2段階目の放射能汚染の確認を実行する比較部34を、バーコードスキャナ30に設けている。この比較部34は、バーコードスキャナ30に内蔵された制御チップ等により構成される。
なお、POS端末20側に比較部24を設けることなく、バーコードスキャナ30に設けた比較部34により、「放射能閾値」を用いた第1段階目の放射能汚染の確認と、「放射能基準値」を用いた第2段階目の放射能汚染の確認とを行うように構成してもよい。
【0063】
また、本実施例におけるバーコードスキャナ30には、図12に示すように、放射線量測定を終了させる終了ボタン35が更に設けられている。
【0064】
POSシステムの処理フローに関しても、図13に示すように、第1実施例と第5実施例との間で以下の差異が生じる。
【0065】
具体的には、第5実施例では、バーコード読取部31によるバーコード読取、および、商品情報の取得の後に、商品のバーコード近傍の放射線量を測定し、「放射能閾値」と「放射能測定値」とを比較することにより、第1段階目の放射能汚染の確認を行う。
【0066】
次に、第1段階目の放射能汚染の確認において「放射能測定値」が「放射能閾値」を上回った場合にのみ、例えば店員用ディスプレイ22を用いて店員に対して第2段階目の放射能汚染の確認の必要性を通知するとともに、バーコードスキャナ30に「放射能基準値」を送信して、店員に第2段階目の放射能汚染の確認を実行させる。この第2段階目の放射能汚染の確認は、具体的には、店員が、バーコードスキャナ30の放射能測定部32により、複数箇所に亘って商品全体の放射能測定を行うことにより実行される。
なお、前述した第2段階目の放射能汚染の確認の必要性を通知するアラーム出力先やアラーム内容は、店員に対して第2段階目の放射能汚染の確認の必要性を通知するものであれば如何なるものでもよい。
【0067】
そして、第2段階目の放射能汚染の確認において、「放射能測定値」が「放射能基準値」を上回った場合には、アラームが出力される。なお、この場合のアラーム出力先や、アラーム内容については、第1実施例と同様である。
【0068】
他方、第2段階目の放射能汚染の確認において、対象商品で測定した全ての「放射能測定値」が「放射能基準値」を下回る場合には、終了ボタン35を店員が押すことにより、放射能測定が完了し、対象商品の商品登録が行われる。
【0069】
このようにして得られた本実施例のPOSシステムは、「放射能閾値」を用いた第1段階目の放射能汚染の確認によって放射能汚染の疑いがあると判断された商品に対してのみ、「放射能基準値」を用いた更に詳細な第2段階目の放射能汚染の確認を行うように構成されていることにより、店員の作業負担の増加を抑制しつつ、より確実な商品の放射能汚染の確認を行うことができる。
【実施例6】
【0070】
つぎに、本発明の第6実施例であるPOSシステムについて、図14および図15に基づいて説明する。
ここで、第6実施例であるPOSシステムは、特定の商品に対してのみ放射能汚染の確認を行う点が第5実施例のPOSシステムと異なるだけであるため、以下では、第5実施例のPOSシステムとの間の相違点のみを説明する。
【0071】
まず、第6実施例であるPOSシステムでは、放射能測定を行う対象を一部商品に限定することを目的として、上位装置10の記憶部11に格納されたPLUファイルに、「商品コード」に関連付けて「放射能測定判定フラグ」を登録している。なお、本実施例では、放射能測定の対象となる商品に「1」、放射能測定の対象とならない商品に「0」のフラグを付しているが、放射能測定の対象となる商品のみにフラグを付してもよい。
【0072】
また、POS端末20の制御部23は、商品が放射能測定の対象となるか否かを「放射能測定判定フラグ」を用いて判断する対象商品判断部25を更に有している。なお、比較部24と同様に、上位装置10やバーコードスキャナ30に対象商品判断部を設けてもよい。
【0073】
また、POS端末20には、アラーム音を出力するアラーム音出力部40が更に設けられている。なお、このアラーム音出力部40は、バーコードスキャナ30側に設けてもよい。
【0074】
また、POSシステムの処理フローに関しても、図15に示すように、第5実施例と第6実施例との間で以下の差異が生じる。
具体的には、第6実施例では、バーコード読取部31によるバーコード読取、および、商品情報の取得の後に、商品が放射能測定の対象となるか否かを判断するステップが含められる。
【0075】
そして、当該ステップにおいて、商品が放射能測定の対象であると判断された場合には、図15に示すように、第5実施例と同様に、商品の放射能汚染の有無が判断される。また、商品が放射能測定の対象である場合には、全ての商品の放射能測定を確実に行わせるために、数量入力を行った場合にはアラーム出力を行って数量入力を無効にする。商品が放射能測定の対象である場合、同一の商品を複数登録するためには、複数回の商品コード読取を行う。処理フローでは、アラーム出力後に商品コード読取に移行しているが、「数量入力できませんので、スキャンしてください。」等のメッセージを出し、店員がクリアボタンを押した後に商品コード読取に移行するようにしてもよい。
【0076】
他方、当該ステップにおいて、商品が放射能測定の対象ではないと判断された場合には、図15に示すように、前回の商品の商品コードと処理中の商品の商品コードとが同じであるか否かが判断され、同一である場合には、アラーム音出力部40により警告音が出力される。
そして、商品が放射能測定の対象ではない場合には、図15に示すように、商品が放射能測定の対象である場合とは異なり、必要に応じて商品の数量入力が受け付けられる。
【0077】
このようにして得られた本実施例のPOSシステムでは、第5実施例における効果に加えて、放射能測定を行う対象を一部商品に限定することができる。
【0078】
なお、上述した第1実施例乃至第6実施例においては、PLUファイルを上位装置の記憶部に格納したが、POS端末の記憶部に格納するようにしてもよい。
【0079】
また、上述した第1実施例乃至第6実施例においては、商品が放射能測定の対象である場合に数量入力ができないようにしているが、同一品であれば産地も同じであり、1個の放射能を測定すればよいと考えて、数量入力を可能としてもよい。
【符号の説明】
【0080】
10 ・・・ 上位装置
11 ・・・ 記憶部(記憶手段)
20 ・・・ POS端末
21 ・・・ 顧客用ディスプレイ
22 ・・・ 店員用ディスプレイ
23 ・・・ 制御部
24 ・・・ 比較部(比較手段)
25 ・・・ 対象商品判断部
30 ・・・ バーコードスキャナ
31 ・・・ バーコード読取部
31a ・・・ バーコード読取部用の窓
32 ・・・ 放射能測定部
32a ・・・ 放射能測定部用の窓
33 ・・・ 送受信部
34 ・・・ 比較部
35 ・・・ 終了ボタン
40 ・・・ アラーム音出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品を特定する商品コードと前記商品コードごとに定められた放射能閾値とを関連付けて記憶する記憶手段と、
商品に付されたバーコードから商品コードを読み取るバーコード読取部と、前記商品から放出される放射線量から前記商品の放射能を測定する放射能測定部とを有するバーコードスキャナと、
前記バーコード読取部により読み取られた商品コードに対応する放射能閾値と、前記放射能測定部により測定された放射能測定値とを比較する比較手段と、
前記放射能測定値が前記放射能閾値を超えた場合に、アラームを出力するアラーム出力手段とを備えることを特徴とするPOSシステム。
【請求項2】
商品の数量入力を受け付ける数量入力手段を更に備え、
商品が放射能測定の対象商品であって前記数量入力手段により入力があった場合に、数量入力を無効にすることを特徴とする請求項1に記載のPOSシステム。
【請求項3】
商品に付されたバーコードから商品コードを読み取るバーコード読取部と、
前記バーコード読取部により読み取られた商品コードを送信し前記商品コードに対応する放射能閾値を受信する送受信部と、
前記商品から放出される放射線量から前記商品の放射能を測定する放射能測定部と、
前記送受信部により受信した放射能閾値と、前記放射能測定部により測定された放射能測定値とを比較する比較部と、
前記放射能測定値が前記放射能閾値を超えた場合に、アラームを出力するアラーム出力部とを備えることを特徴とするバーコードスキャナ。
【請求項4】
バーコードスキャナのバーコード読取部により読み取られた商品コードに対応する放射能閾値と、前記バーコードスキャナの放射能測定部により測定された放射能測定値とを比較手段により比較し、前記放射能測定値が前記放射能閾値を超えた場合に、アラーム出力手段によりアラームを出力することを特徴とするPOSシステムの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−247997(P2012−247997A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119184(P2011−119184)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【特許番号】特許第4915709号(P4915709)
【特許公報発行日】平成24年4月11日(2012.4.11)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】