説明

POSシステム、POS装置、バーコードの誤読検出方法及びそのプログラム

【課題】2つのバーコードが重なって付されている場合であっても、入力されたバーコードが、正しく読み取られたものであるか否かを正確に検出することのできる技術を提供する。
【解決手段】商品に付されているバーコードを読み取るスキャナ2と、スキャナ2が読み取って取得したバーコードと対応付けられた商品の登録を行うPOS端末3とを有するPOSシステム1において、POS端末3が、スキャナ2から入力されたバーコードデータの所定の桁を参照することにより、スキャナ2から入力されたバーコードが、商品に新たに付されたバーコードであるか否かを判定し、バーコードのうち、商品の値引きを示す値引情報の格納されている桁を参照し、参照した所定の桁と値引情報とに基づき、バーコードの誤読を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーコードを読み取って商品の価格等の情報を管理するPOSシステム、POS装置、バーコードの誤読検出方法及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
流通小売業等においては、POSシステムによる商品の売上や在庫の管理が広く一般的に行われている。POSシステムでは、商品に付したバーコードをスキャナで読み取り、取得したバーコードデータに基づきPOSレジにて販売する商品の登録を行っている。POSシステムは、バーコードに含まれる商品を識別する情報と対応付けて、価格や売上等の情報を各種マスタに格納し、マスタに格納されている情報を利用して、販売管理等の各種の処理を行っている。
【0003】
例えば量販スーパー等においては、所定の商品についての値引きを所定のタイミングで開始する、という場合がある。バーコードには、値引きの有無やどのように値引きをするかを示す情報が含まれ、値引きする商品については、値引きの内容を示す値が設定されているバーコードを、新たに貼付し直す。POSレジでは、バーコードに値引きに係わる情報が含まれている場合には、これにしたがって価格を値引きして、売上金額を集計する。
【0004】
従来は、POSシステムにおいて商品の値引きを行う際の運用方法の1つとして、図9(a)に示すように、値引き前の元価格のバーコードの上に、値引き後の価格のバーコードの表示されたラベルを貼る方法が知られている。バーコードを上貼りすることで、値引き後の価格のバーコードのみを読み取らせる。図中の網掛けは、値引き前の元価格のバーコードのうち、値引き後のバーコードラベルにより覆われて、スキャナで読み取れない状態にあることを示す。あるいは、図9(b)に示すように、スキャナが元価格のバーコードを誤って読み取ることのないように、元価格のバーコードをマジックで塗り潰す運用方法についても知られている。図9(b)では、上貼りした値引き後のバーコードラベルの位置が左にずれているため、値引き前の元価格のバーコードの全体は覆いきれていない。しかし、元価格のバーコードを塗り潰してバーコードとしての機能を動作させないようにすることにより、値引き後の価格のバーコードのみを読み取らせるようにしている。
【0005】
上記のような運用の背景には、複数の走査線で読み取った結果を合成し、1つのバーコードとして認識する技術を採用することにより、読取率を向上させることを優先させている、という事実がある。図9のような処置を確実にしておかないと、バーコードの合成技術により、元価格のバーコードの一部と値引き後の価格のバーコードとを合成して1つのバーコードとして認識してしまい、誤読が発生し易くなる。
【0006】
すなわち、スーパーマーケット等を中心とした流通小売業界では、多種類に渡る販売商品を取り扱うため、値引き後の価格のバーコードを商品に新たに貼付するための作業時間が膨大となり、1つ1つの商品に正確にバーコードが貼付できない環境にある。これにより、例えば図10に示すように、値引き後の価格のバーコードの一部が元価格のバーコードの先頭領域と重なって貼付されてしまう場合がある。
【0007】
ここで、従来においては、一般的に、商品を識別する情報は、バーコードの前半の領域(左側)に、値引きに係わる情報は、後半の領域(右側)に格納されている。この場合に、値引き後の価格のバーコードが元価格のバーコード上に正確に貼られず、図10に示すように、2つのバーコードの一部が重なって貼付されていると、スキャナが1本のバーコードとして読み取ることができないことがある。この場合、上記のバーコードの合成技術により、値引き後の価格のバーコードの前半部分と、元価格バーコードの後半部分が合成されて1つのバーコードと認識されてしまうことがある。バーコードの前半に格納されているスキャンコードは、商品ごとに割り当てられており、値引きの前後で共通する値であり、元価格のバーコード後半領域に格納されている値引きに係わる情報には、元価格を示す値が設定されている。このため、POSレジは、図10のような場合に合成されたバーコードが入力されると、正しく値引きをすることができない。このように、バーコードの合成技術により、誤読が多発し、値引き価格で読み取ることができず、元価格で読み取ってしまう確率が高くなってしまうことが考えられる。
【0008】
バーコードの読み取り技術に関しては、例えば、バーコードリーダからの送出データに異常データが含まれる場合には、上位制御部によりバーコードデータベースのデータに基づいて正しい読み取りデータを決定する技術について提供されている(例えば、特許文献1)。
【0009】
また、価格参照用の商品コードと値下げ価格を表すコードとで異なる体系のバーコードを作成し、異なる体系のバーコードを互いに近接する位置に設ける技術について提供されている。これによれば、値引きバーコードのデータ入力でエラーが生じた場合には、商品コードの読み取りができていても入力データを破棄する(例えば、引用文献2)。
【0010】
更には、会計操作の際に、商品バーコードとともに値引情報等を示すバーコードをスキャンしてバーコードの種類を判別し、商品バーコードでないバーコードに対しては、テーブルを参照してバーコードの種類を特定して値引き等の対応した処理を行う技術についても提供されている(例えば、特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2002−024756号公報
【特許文献2】特開2000−163656号公報
【特許文献3】特開平08−212459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
例えば、値引き前と値引き後とで異なるスキャンコードを割り当てることにより、誤読を回避する案も考えられる。しかし、POSシステムにおいて商品の管理を行うためには、値引き前のコードと値引き後のコードとを統合する必要がある。この場合、POSレジの上位側の装置において統合処理を実行するようシステム変更を行う必要となる。このようなシステム変更は大規模開発となるため、上記の上貼りによる運用方法において、バーコードが正しく読み取られているか否かをPOSシステムが判断できることが望ましい。
【0013】
本発明は、入力されたバーコードが、正しく読み取られたものであるか否かを正確に検出することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一態様によれば、商品に付されているバーコードを読み取るスキャナ装置と、前記スキャナ装置が読み取って取得したバーコードと対応付けられた商品の登録を行うPOS装置とを有するPOSシステムであって、前記POS装置は、前記スキャナ装置から入力されたバーコードデータの所定の桁を参照することにより、該スキャナ装置から入力されたバーコードが、前記商品に新たに付されたバーコードであるか否かを判定する判定部と、前記バーコードのうち、商品の値引きを示す値引情報の格納されている桁を参照し、前記判定部において参照した前記所定の桁と該値引情報とに基づき、該バーコードの誤読を検出する誤読検出部とを備える構成とする。
【0015】
また、本発明の他の態様によれば、商品に付されているバーコードを読み取るスキャナ装置と接続され、前記スキャナ装置が読み取って取得したバーコードと対応付けられた商品の登録を行うPOS装置であって、前記スキャナ装置から入力されたバーコードデータの所定の桁を参照することにより、該スキャナ装置から入力されたバーコードが、前記商品に新たに付されたバーコードであるか否かを判定する判定部と、前記バーコードのうち、商品の値引きを示す値引情報の格納されている桁を参照し、前記判定部において参照した前記所定の桁と該値引情報とに基づき、該バーコードの誤読を検出する誤読検出部とを備える構成とする。
【0016】
更に、本発明の他の態様によれば、商品に付されているバーコードを読み取るスキャナ装置と、前記スキャナ装置が読み取って取得したバーコードと対応付けられた商品の登録を行うPOS装置とを有するPOSシステムにおけるバーコードの誤読検出方法であって、前記スキャナ装置から入力されたバーコードデータの所定の桁を参照することにより、該スキャナ装置から入力されたバーコードが、前記商品に新たに付されたバーコードであるか否かを判定し、前記バーコードのうち、商品の値引きを示す値引情報の格納されている桁を参照し、前記参照した前記所定の桁と該値引情報とに基づき、該バーコードの誤読を検出する。
【0017】
更に、本発明の他の態様によれば、コンピュータを、商品に付されているバーコードを読み取るスキャナ装置と、前記スキャナ装置が読み取って取得したバーコードと対応付けられた商品の登録を行うPOS装置とを有するPOSシステムとして動作させるためのプログラムであって、前記スキャナ装置から入力されたバーコードデータの所定の桁を参照することにより、該スキャナ装置から入力されたバーコードが、前記商品に新たに付されたバーコードであるか否かを判定し、前記バーコードのうち、商品の値引きを示す値引情報の格納されている桁を参照し、前記参照した前記所定の桁と該値引情報とに基づき、該バーコードの誤読を検出する処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、入力されたバーコードが、正しく読み取られたものであるか否かを正確に検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施形態に係るPOSシステムの構成図である。
【図2】新旧バーコードのフォーマット例を説明する図である。
【図3A】POSシステムによる販売管理の全体処理を示したフローチャート(その1)である。
【図3B】POSシステムによる販売管理の全体処理を示したフローチャート(その2)である。
【図4】商品マスタ及び売上マスタのデータ構造例を示す図である。
【図5】POS端末の画面表示例を示す図である。
【図6】出力するレシートの例を示す図である。
【図7A】バーコードの解析処理を示したフローチャート(その1)である。
【図7B】バーコードの解析処理を示したフローチャート(その2)である。
【図7C】ステップS24の判定処理を説明する図である。
【図8】エラーを検出した場合に表示する画面例を示す図である。
【図9】従来における運用方法を説明する図である。
【図10】従来におけるバーコードの重ね貼りによる誤読の発生を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係るPOSシステムの構成図である。図1に示すPOSシステム1は、POS端末3、POSサーバ4、スキャナ2及びキーボード5を有する。
【0021】
POS端末3は、例えばキャッシュレジスタ機能を有する端末装置であり、小売店の店舗等に配置されて、店舗にて販売する商品の登録等を行う。POS端末3は、スキャナ2やキーボード5を備える。スキャナ2は、商品に付されたバーコードを光学的に読み取り、POS端末3に読み取ったバーコードを出力する。キーボード5は、POS端末3のユーザ、例えばレジ担当者等による各種情報の入力を受け付け、例えば、商品に付されたバーコードの手入力を受け付ける。
【0022】
POS端末3は、データチェック部21、既存処理部22及び取引ログ送出部23を有する。
データチェック部21は、スキャナ2やキーボード5から入力されたバーコードの妥当性を判定する。既存処理部22は、データチェック部21により妥当と判定されたバーコードに基づき、商品登録処理等の各種処理を実行する。なお、既存処理部22において実行する処理については、公知のPOS端末における処理と同様であるため、ここでは詳細な説明は割愛する。取引ログ送出部23は、既存処理部22において作成した取引ログを、POSサーバ4に向けて送出する。取引ログには、POS端末3において処理した取引の記録を含む。
【0023】
POSサーバ4は、POS端末3と接続され、取引ログ処理部41、売上マスタ42及び商品マスタ43を有する。取引ログ処理部41は、POS端末3から受信した取引ログに基づき、商品の販売管理に係わる処理を実行し、POS端末3における取引に係わる情報を、売上マスタ42に格納する。商品マスタ43は、商品の価格に係わる情報等を格納する。売上マスタ42や商品マスタ43の詳細については、図4を参照して説明する。
【0024】
なお、図1においては、POS端末3は1台のみを記載しているが、POSサーバ4には、複数のPOS端末3が接続され得る。また、図1においては、本実施形態に係るPOSシステム1によるバーコードのチェック方法に係わる構成のみを示し、他の構成については記載を省略している。
【0025】
また、商品マスタ43については、図1においては、POSサーバ4に備える構成例を示したが、これには限定されない。POS端末3内に商品マスタを備える構成としてもよい。
【0026】
本実施形態に係るPOSシステム1のPOS端末3によれば、データチェック部21において、スキャナ2等から入力されたバーコードのデータの妥当性を判定し、判定結果によりバーコードの誤読と判断すると、読み取りエラーとして再度のバーコード入力を促す。データチェック部21においてデータの妥当性が確認されたバーコードに対して、既存のPOS端末3における処理を実行する。
【0027】
実施例では、POS端末3に入力される各種のバーコードのうち、CODE128を対象に、データの妥当性をチェックする。以下に、データチェック部21によるバーコードデータのチェック方法について、具体的に説明する。
【0028】
図2は、新旧バーコードのフォーマット例を説明する図である。このうち、図2(a)は、新旧バーコードそれぞれのフォーマットの一例を示し、図2(b)は、値引きバーコードの各レイアウト項目の詳細を示す。
【0029】
図2(a)に示す例は、同一の商品すなわち同一のスキャンコード「2133242804988」についてのそれぞれ元価格及び値引き後のバーコードである。但し、値引き価格のバーコード(新バーコード体系)では、先頭1桁には、例えば固定値「1」を設定するのに対し、元価格のバーコード(現バーコード体系)では、1桁目には「1」以外を設定する。なお、元価格を示すバーコードについては、従来から用いられている一般的なフォーマットを用いている。
【0030】
図2(b)に示すとおり、新バーコード体系では、新バーコードフラグ、スキャンコード、消費期限情報、値引情報及びチェックデジット(C/D)を含む。
新バーコードフラグは、バーコードが新バーコード体系、すなわち、値引き価格のバーコードであることを示し、上記のとおり、実施例では固定値「1」を設定している。
【0031】
スキャンコードは、POSシステム1において商品を識別するための情報であり、13桁の値からなる。ある商品のスキャンコードは、バーコード体系によらず共通する値をとる。
【0032】
消費期限情報は、商品の消費期限の月、日及び時間を示す情報であり、6桁の値からなる。
値引情報は、商品の値引き後の価格を示す情報であり、5桁の値からなる。具体的には、値引情報は、値引き方法と、見切り価格とを有する。なお、値引き方法には、値引きの有無や、値引きする場合にはどのような方法によるかを示す値が格納される。値引きなしの場合は、値引き方法には値「0」が、見切り価格には値「0000」が設定される。
【0033】
チェックデジットは、バーコードのデータの誤り検出に用いられ、1桁の値からなる。
図2(a)に示すとおり、元価格のバーコードと値引き後のバーコードでは、体系が異なり、先頭の1桁目の値により、スキャナ2から入力されたバーコードが新旧いずれであるか、すなわち元価格あるいは値引き後のバーコードのいずれであるかを判別できる。値引情報は、新旧いずれのバーコード体系についても所定の箇所に値が格納されている。このため、重ね貼りした新旧2つの体系のバーコードが合成された場合には、新バーコードフラグには値引きバーコードであることを示す値が格納されているにも係わらず、値引情報には「値引きなし」であることを示す値が格納されていることとなる。これにより、バーコードが正しく読み取られていないことを検出する。バーコードが正しく読み取られていることが確認された場合にのみ、既存処理部22における既存の処理を実行する。
【0034】
次に、具体的にキャッシュレジスタとして機能するPOS端末3において商品の登録を行う場合を例に、本実施形態に係るPOSシステム1においてバーコードのチェックを行う方法について、具体的に説明する。
【0035】
図3A及び図3Bは、POSシステム1による販売管理の全体処理を示したフローチャートである。
まず、ステップS1で、スキャナ2においてバーコードがスキャンされたか否かを判定する。スキャンなしと判定した場合には、ステップS1に戻る。スキャン有りと判定した場合は、ステップS2に進む。
【0036】
ステップS2で、スキャナ2は、スキャンしたバーコードの種類を判定する。具体的には、バーコードの桁数を参照し、26桁バーコードであるか否かを判定する。26桁バーコードであると判定した場合は、ステップS3に進む。ステップS3では、スキャナ2及びPOS端末3のデータチェック部21が、バーコードの解析処理を実行する。バーコードの解析処理が完了すると、ステップS4に進む。ステップS2の判定において、26桁バーコードではないと判定した場合は、特に処理を行わず、ステップS4に進む。
【0037】
ステップS4で、POS端末3の既存処理部22は、バーコードを元に上位サーバであるPOSサーバ4の商品マスタ43の検索を行う。ステップS5で、既存処理部22は、ステップS4の検索により取得した情報を、POS端末3の記憶領域(図1においては不図示)に保持し、ステップS6に進む。
【0038】
図4(a)は、商品マスタ43のデータ構造例を示す図である。図4(a)に示すとおり、商品マスタ43には、スキャンコードと対応付けて、商品名称及び売価が格納されている。ここでは、図3の説明に関係するデータのみを記載している。
【0039】
例えば、POS端末3が、ステップS4において13桁のスキャンコード「1234567890123」をPOSサーバ4に対して送信したとする。POSサーバ4は、受信したスキャンコードをキーに商品マスタ43を検索し、検索結果をPOS端末3に送信する。POS端末3は、送信したスキャンコードに対応する商品名称「商品A」及び売価「100円」を取得する。
【0040】
ステップS6で、既存処理部22は、値引き処理を実行する。具体的には、バーコードの値引情報に「値引き有り」であることを示す値が格納されている場合には、記憶領域に保持した売価とバーコードに含まれる値引情報とから、値引き後の価格を算出し、記憶領域に保持する。値引き後の価格の算出方法については、公知の技術を利用する。バーコードの値引情報に「値引きなし」であることを示す値が格納されている場合には、特に処理を行わず、ステップS7に進む。
【0041】
ステップS7で、既存処理部22は、POS端末3において登録を受け付けた商品を表す情報を、POS端末3の画面の商品明細エリアに表示する。商品明細エリアには、商品マスタ43から取得した商品名称や売価等の情報を出力表示する。商品名称は、記憶領域に保持する情報を表示し、売価については、ステップS6において値引きを行っている場合には計算した価格を、値引きなしの場合はPOSサーバ4から取得した価格を表示する。
【0042】
図5は、POS端末3の画面表示例を示す図である。図5においては、画面に表示する各種項目のうち、商品明細エリアに表示する項目のみを示す。例えば上記のスキャンコード「1234567890123」のバーコードは、現バーコード体系に属し、値引きがないとすると、図5に示すとおり、商品明細エリアには、商品名称「商品A」とその価格「¥100」とが表示される。
【0043】
ステップS8で、既存処理部22は、商品登録処理が終了したか否かを判定する。商品登録処理が終了したか否かの判定は、実施例では、POS端末3の「小計」キーが押下されたか否かによる。所定の時間内に小計キーの押下を認識しない場合には、未だ商品登録が終了していないと判断し、ステップS1に戻る。小計キーが押下され、商品登録の終了を認識すると、ステップS9に進む。
【0044】
ステップS9で、既存処理部22は、図5の画面の商品明細エリアに表示している商品情報を計算し、合計金額を計算して画面に表示する。そして、ステップS10で、既存処理部22は、買い物客からの預かり金額の入力を受け付け、「合計」キーの押下を認識する。
【0045】
ステップS11で、既存処理部22は、取引ログを図1においては不図示のプリンタに送信し、レシートに取引内容を印字し、出力する。図6は、出力するレシートの例を示す図である。
【0046】
最後に、ステップS12で、POS端末3の取引ログ送出部23は、取引ログをPOSサーバ4の売上マスタ42宛に送信する。POSサーバ4の取引ログ処理部41は、受信した取引ログを処理して、売上マスタ42に売上情報を登録する。
【0047】
図4(b)は、売上マスタ42のデータ構造例を示す図である。図4(a)の商品マスタ43と同様に、ここでは、図3の説明に関係するデータのみを記載している。
図4(b)に示すとおり、売上マスタ42には、取引日時、スキャンコード及び販売売価が格納されている。ステップS6で値引き処理を行っている場合には、販売売価には、値引き後の価格が格納される。POSサーバ4は、売上マスタ42を利用して、商品の販売管理を行う。
【0048】
図7A〜図7Cは、バーコードの解析処理について説明する図である。このうち、図7A及び図7Bは、バーコードの解析処理を示したフローチャートである。上記のとおり、図7A及び図7Bに示すバーコードの解析処理は、図3AのステップS3の詳細フローに相当する。
【0049】
まず、ステップS21で、スキャナ2は、26桁のバーコードデータの全てを読み取れたか否かを判定する。読み取れた場合には、特に処理を行わず、ステップS26に進む。
26桁のバーコードデータの中で読み取れないデータが存在する場合には、ステップS22に進み、スキャナ2は、バーコードデータの左から14桁以上を読み取れたか否かを判定する。読み取れた桁数が、バーコードの左から14桁未満であった場合は、図3AのステップS1のバーコードのスキャン処理に戻る。
【0050】
左から14桁以上のバーコードデータが読み取れている場合には、ステップS23に進み、スキャナ2は、バーコードデータの右から14桁以上を読み取れたか否かを更に判定する。読み取れた桁数が、バーコードの右から14桁未満であった場合は、図3AのステップS1のバーコードのスキャン処理に戻る。
【0051】
右から14桁以上のバーコードデータが読み取れている場合には、ステップS24に進み、スキャナ2は、左から読み取ったバーコードデータと右から読み取ったバーコードでータとで正しく合成処理することが可能か否かを判定する。正しく合成することができないと判定した場合は、図3AのステップS1のバーコードのスキャン処理に戻る。
【0052】
図7Cは、ステップS24の判定処理を説明する図である。上記のとおり、実施例では、26桁のCODE128を図7A及び図7Bのバーコード解析処理の対象としている。左側及び右側からそれぞれ14桁以上ずつ読み取れていれば、バーコードデータには1桁以上の重なりがあるため、合成処理が可能である。
【0053】
ステップS24において、正しく合成することが可能と判定した場合には、ステップS25に進み、スキャナ2は、バーコードの合成処理を行う。上述のとおり、バーコードの合成処理については、公知の技術であるので、ここでは詳細な説明は割愛する。
【0054】
ステップS26で、スキャナ2は、POS端末3に対して26桁のバーコードデータを通知する。
ステップS27で、POS端末3のデータチェック部21は、バーコードデータの1桁目が「1」であるか否かを判定する。図2を参照して説明したとおり、スキャナ2において取得したバーコードが値引き後の新バーコード体系である場合には、1桁目には「1」が、元価格の現バーコード体系である場合には、1以外が設定されている。1桁目の値が1である場合は、データチェック部21は、値引きバーコードであると判断してステップS28に進む。1桁目の値が1以外である場合には、データチェック部21は、元価格のバーコードであると判断してステップS29に進む。
【0055】
ステップS28で、データチェック部21は、バーコードの値引情報を参照し、値が「0」以外であるか否かを判定する。図2を参照して説明したとおり、値引き価格のバーコードであれば、値引情報には0以外の値が設定されている。値引情報の値が0以外である場合は、データチェック部21は、スキャナ2から取得したバーコードは正しく読み取られたものであると判断して、ステップS31に進む。値引情報の値が0(全ての桁の値が0)である場合は、1桁目に「1」の設定されている新バーコード体系のバーコードに、「値引きなし」と設定されていることとなる。そこで、この場合は、データチェック部21は、スキャナ2から取得したバーコードは正しく読み取られたものでないと判断し、ステップS30に進む。
【0056】
バーコードの1桁目に1以外の値が設定されている場合は、ステップS29で、データチェック部21は、バーコードの値引情報を参照し、全ての桁に「0」が設定されているか否かを判定する。元価格のバーコードであれば、値引情報には全ての桁に「0」が設定されている。値引情報の値が0である場合は、データチェック部21は、スキャナ2から取得したバーコードは正しく読み取られたものであると判断して、ステップS31に進む。値引情報の値が0以外である場合は、1桁目に「1」以外の設定されている現バーコード体系のバーコードに、値引きを示す情報が設定されていることとなる。そこで、この場合は、データチェック部21は、スキャナ2から取得したバーコードは正しく読み取られたものではないと判断し、ステップS30に進む。
【0057】
ステップS30では、データチェック部21は、ステップS28またはステップS29において読み取りエラーを検出した旨をPOS端末3においては不図示の画面に表示し、図3AのステップS1のバーコードのスキャン処理に戻る。図8は、エラーを検出した場合に表示する画面例を示す図である。POS端末3のユーザは、図8等に示すエラー表示が画面に表示された場合は、表示メッセージにしたがって、再度スキャナ2にバーコードを読み取らせるか、キーボード5を介してバーコードの手入力を行う。
【0058】
ステップS31では、データチェック部21は、ステップS28またはステップS29において正しく読み取られていると判断されたバーコードの中から、スキャンコードを取得し、処理を図3Aのステップ4へと移す。
【0059】
以上説明したように、本実施形態に係るPOSシステム1によれば、データチェック部21において、入力されたバーコードデータのうち、所定の領域、実施例では先頭の桁の値に基づき、バーコードが新たに商品にふされたバーコードであるかを判定する。そして、先頭の桁の値とバーコードに含まれる値引情報とに基づいて、バーコードの誤読を検出する。具体的には、新たに商品に付されたバーコードには値引きを示す値が設定されているか、元から商品に付されているバーコードには値引なしを示す値が設定されているか、すなわち、バーコードの新旧を示す値と値引の有無を示す値の整合性に基づいて、バーコードの誤読を検出する。元価格のバーコードと値引後の価格のバーコードとが一部重複して商品に付されており、スキャナで読み取ったときに2つのバーコードが合成されてしまった場合には、これを検出することが可能となる。また、正しく入力されているバーコードに対して商品登録を行う構成とすることで、POSシステム1において、誤った価格で処理することを効果的に防止する。
【0060】
なお、本発明は、上述の実施の形態に例示した構成に限らず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0061】
1 POSシステム
2 スキャナ
3 POS端末
4 POSサーバ
5 キーボード
21 データチェック部
22 既存処理部
23 取引ログ送出部
41 取引ログ処理部
42 売上マスタ
43 商品マスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品に付されているバーコードを読み取るスキャナ装置と、前記スキャナ装置が読み取って取得したバーコードと対応付けられた商品の登録を行うPOS装置とを有するPOSシステムであって、
前記POS装置は、
前記スキャナ装置から入力されたバーコードデータの所定の桁を参照することにより、該スキャナ装置から入力されたバーコードが、前記商品に新たに付されたバーコードであるか否かを判定する判定部と、
前記バーコードのうち、商品の値引きを示す値引情報の格納されている桁を参照し、前記判定部において参照した前記所定の桁と該値引情報とに基づき、該バーコードの誤読を検出する誤読検出部と
を備えることを特徴とするPOSシステム。
【請求項2】
商品に付されているバーコードを読み取るスキャナ装置と接続され、前記スキャナ装置が読み取って取得したバーコードと対応付けられた商品の登録を行うPOS装置であって、
前記スキャナ装置から入力されたバーコードデータの所定の桁を参照することにより、該スキャナ装置から入力されたバーコードが、前記商品に新たに付されたバーコードであるか否かを判定する判定部と、
前記バーコードのうち、商品の値引きを示す値引情報の格納されている桁を参照し、前記判定部において参照した前記所定の桁と該値引情報とに基づき、該バーコードの誤読を検出する誤読検出部と
を備えることを特徴とするPOS装置。
【請求項3】
前記誤読検出部は、前記判定部において前記商品に新たに付されたバーコードであると判定されたバーコードの前記値引情報に、値引きがないことを示す値が設定されている場合、及び前記判定部において前記商品に元から付されているバーコードであると判定されたバーコードの前記取引情報に、値引きを示す値が設定されている場合には、該バーコードの誤読と判断する
ことを特徴とする請求項2記載のPOS装置。
【請求項4】
前記誤読検出部は、前記判定部において前記商品に新たに付されたバーコードであると判定されたバーコードの前記値引情報に、値引を示す値が設定されている場合、及び前記判定部において前記商品に元から付されているバーコードであると判定されたバーコードの前記値引情報に、値引がないことを示す値が設定されている場合には、該バーコードは正しく読み取られていると判断する
ことを特徴とする請求項2記載のPOS装置。
【請求項5】
商品に付されているバーコードを読み取るスキャナ装置と、前記スキャナ装置が読み取って取得したバーコードと対応付けられた商品の登録を行うPOS装置とを有するPOSシステムにおけるバーコードの誤読検出方法であって、
前記スキャナ装置から入力されたバーコードデータの所定の桁を参照することにより、該スキャナ装置から入力されたバーコードが、前記商品に新たに付されたバーコードであるか否かを判定し、
前記バーコードのうち、商品の値引きを示す値引情報の格納されている桁を参照し、前記参照した前記所定の桁と該値引情報とに基づき、該バーコードの誤読を検出する
ことを特徴とするバーコードの誤読検出方法。
【請求項6】
コンピュータを、商品に付されているバーコードを読み取るスキャナ装置と、前記スキャナ装置が読み取って取得したバーコードと対応付けられた商品の登録を行うPOS装置とを有するPOSシステムとして動作させるためのプログラムであって、
前記スキャナ装置から入力されたバーコードデータの所定の桁を参照することにより、該スキャナ装置から入力されたバーコードが、前記商品に新たに付されたバーコードであるか否かを判定し、
前記バーコードのうち、商品の値引きを示す値引情報の格納されている桁を参照し、前記参照した前記所定の桁と該値引情報とに基づき、該バーコードの誤読を検出する
処理をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【図10】
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【図5】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−181620(P2012−181620A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−43090(P2011−43090)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】