説明

POSシステムおよびPOSシステム制御方法

【課題】 現金取引における「つり銭詐欺」を防止し、さらに、商品を購入した取引客と、POS端末装置のオペレータとの金銭授受のトラブルを防止することができるPOSシステムおよびPOSシステム制御方法を提供する。
【解決手段】 商取引にともない、取引客によりキャッシュトレイ2に載置された預り金となる貨幣を、撮像装置20により撮影する。そして、撮影された画像に対しての画像データを、その商取引の売上情報および預り金の情報を含んだ取引データとともにハードディスクに記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、POSシステムおよびPOSシステム制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーマーケット、小売店等において、商品を購入した取引客の不正行為を防止するために、監視カメラを利用する方法が知られている。
例えば、特許文献1に記載されるPOSシステムにおいては、他人のクレジットカードを使用した不正行為を防止するため、商品を購入した取引客および取引客のドライバーズライセンス等を監視カメラで撮影し、その商取引の取引情報とともに、撮影された取引客および取引客のドライバーズライセンス等の画像の画像データを所定の記憶部に記録している。また、特許文献2に記載されるキャッシュレジスタにおいては、偽造紙幣を使用した不正行為を防止するため、商品を購入した取引客を監視カメラで撮影し、その取引客が使用した紙幣の情報を読み取って、その商取引の取引情報とともに、撮影された取引客の画像および紙幣の情報を所定の記憶部に記録している。
【0003】
【特許文献1】特開2003−296817号公報
【特許文献2】特開2000−172952号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載されるPOSシステムでは、他人のクレジットカードを使用した不正行為については防止が図れても、現金取引における「つり銭詐欺」の不正行為については防止できない課題があった。また、特許文献2に記載されるキャッシュレジスタでは、紙幣を1枚ずつ読み取って画像解析することにより、紙幣の番号を抽出する方法のため、「つり銭詐欺」の不正行為を防止できても、POS端末装置のオペレータに大きな負荷がかかってしまう課題があった。
なお、「つり銭詐欺」とは、現金取引における貨幣の支払いにおいて、例えば、商品を購入した取引客が実際には千円札で支払いをしたとしても、後になって、1万円札を出したと意図的に虚偽の主張を行い、つり銭の差額を騙し取ろうとする不正行為のことである。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、現金取引における「つり銭詐欺」をPOS端末装置のオペレータに大きな負荷をかけずに防止し、さらに、商品を購入した取引客およびPOS端末装置のオペレータの思い違い等のミスによる金銭授受のトラブルを防止することができるPOSシステムおよびPOSシステム制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するために、本発明のPOSシステムは、商取引にともない受け渡しされる貨幣が載置されるキャッシュトレイと、キャッシュトレイに載置された貨幣を撮影する撮像装置と、撮像装置の撮影結果から画像データを生成する画像データ生成部と、商取引の情報を入力する入力装置と、入力装置により入力された商取引の情報から、取引データを生成する取引データ生成部と、画像データを記憶する画像記憶部と、取引データを記憶する取引記憶部と、画像記憶部に記憶された画像データおよび取引記憶部に記憶された取引データのうち少なくとも画像記憶部に記憶された画像データを出力する出力部と、を備えていることを特徴とする。
【0007】
このようなPOSシステムによれば、商取引にともないキャッシュトレイに載置された貨幣を撮影し、撮影された貨幣の画像に対する画像データと、入力された商取引の取引情報に対する取引データとを記憶する。そして、記憶された画像データおよび取引データから、画像データを出力したり、画像データに加えて取引データを出力したりする。
したがって、例えば、表示装置や印刷装置を使用することにより、画像データに基づいた貨幣の画像を表示や印刷することで確認が行え、さらに取引データに基づいた取引情報を表示や印刷することで確認が行える。その結果、例えば、商品を購入した取引客が、キャッシュトレイに載置した貨幣について、意図的に虚偽の主張をした場合、実際に載置された貨幣の画像が確認でき、それに加えてその商取引における取引情報が確認できるので、その取引客の主張の不当性を立証でき、現金取引における「つり銭詐欺」の不正行為を防止することができる。
また、キャッシュトレイに載置された貨幣を撮影する撮像装置が備えられていることにより、「つり銭詐欺」の不正行為を未然に防止する心理的な抑止効果が期待できる。
さらに、「つり銭詐欺」のような不正行為ではなく、取引客およびPOS端末装置のオペレータの思い違い等のミスにより、商品の購入代金の支払いおよびつり銭等の金銭授受に関するトラブルが発生することがある。この様な場合、実際にキャッシュトレイに載置された貨幣の画像が確認でき、それに加えてその商取引における取引情報についても確認することができるので、金銭授受に関するトラブルを防止することができる。
なお、ここで、貨幣の画像データに基づき画像を出力した場合、貨幣の金種(例えば、1万円札、千円札、500円硬貨等)が識別可能な画像であることが好ましい。また、貨幣とは、紙幣および硬貨を示す。
【0008】
上記POSシステムにおいて、画像データは、取引データに対応付けられて画像記憶部に記憶されることが好ましい。
【0009】
このようなPOSシステムによれば、画像記憶部に記憶された画像データと取引記憶部に記憶された取引データとが対応付けされているため、商取引にともないキャッシュトレイに載置された貨幣に対する画像データを、その商取引における取引データから検索することができる。例えば、商取引の決済時に発行されるレシートに記載されるレシート番号に、その商取引にともない受け渡しされた貨幣に対する画像データが対応付けられることにより、レシート番号を元に、取引データに対応する画像データを容易にかつ迅速に検索することができる。
【0010】
上記POSシステムにおいて、出力部は、取引データに対応付けられた画像データを出力することが好ましい。
【0011】
このようなPOSシステムによれば、取引データに対応付けられた画像データを出力するため、取引データを出力しても、その後に、出力した取引データに対応付けられた画像データを出力できる。逆に、画像データを出力しても、その後に、出力した画像データに対応付けられた取引データを出力できる。また、取引データと取引データに対応付けられた画像データとを同時に出力することができる。これにより、商取引における取引情報を元にその商取引にともない受け渡しされた貨幣の画像を確認できる。また逆に、貨幣の画像を元にその時の商取引における取引情報を容易に確認することができる。
【0012】
上記POSシステムにおいて、取引データを構成する少なくとも1つの情報を入力する入力部をさらに備え、出力部は、入力部により入力された情報に基づき、当該情報に対応する画像記憶部に記憶された画像データおよび取引記憶部に記憶された取引データのうち、少なくとも画像記憶部に記憶された画像データを出力することが好ましい。
【0013】
このようなPOSシステムによれば、取引データを構成する情報の入力を受け付け、画像記憶部に記憶された当該情報に対応する画像データや、画像データに加えて取引記憶部に記憶された当該情報に対応する取引データを出力する。
したがって、例えば、取引データを構成する情報の一部である日付およびレシート番号の入力を受け付け、過去に画像記憶部に記憶された画像データおよび取引記憶部に記憶された取引データから、入力された日付およびレシート番号に対応する画像データを出力したり、画像データに加えて対応する取引データを出力したりすることができる。
これにより、例えば、過去に商品を購入した取引客が、後になって、その時の商取引について意図的に虚偽の主張をして「つり銭詐欺」を行おうとした場合、その商取引にともない実際にキャッシュトレイに載置された貨幣の画像を確認したり、貨幣の画像に加えてその商取引における取引内容を確認したりできるので、過去の商取引に関しても「つり銭詐欺」の不正行為を防止することができる。また、過去の商取引に関しての取引客およびPOS端末装置のオペレータの思い違い等のミスによる金銭授受のトラブルに対しても防止することができる。
【0014】
上記POSシステムにおいて、ディスプレイ装置を備え、ディスプレイ装置は、出力部から出力された画像データに基づき画像を表示することおよび出力部から出力された取引データに基づき取引情報を表示することのうち、少なくとも出力部から出力された画像データに基づき画像を表示することが好ましい。
【0015】
このようなPOSシステムによれば、ディスプレイ装置に、画像データに基づいた画像を表示させたり、この画像に加えて取引データに基づいた取引情報を表示させたりする。したがって、商取引にともないキャッシュトレイに載置された貨幣の画像を表示させて確認したり、貨幣の画像に加えてその商取引における取引情報を表示させて確認したりできる。これにより、取引客から、商取引における金銭授受について何らかの申し入れがあった場合、その商取引にともないキャッシュトレイに載置された貨幣の画像をディスプレイ装置に表示させて確認ができ、さらに、その商取引における取引情報も表示させ確認ができるので、「つり銭詐欺」も含めた金銭授受に関するトラブルを防止できる。
【0016】
上記POSシステムにおいて、印刷装置を備え、印刷装置は、出力部から出力された画像データに基づき画像を印刷することおよび出力部から出力された取引データに基づき取引情報を印刷することのうち、少なくとも出力部から出力された画像データに基づき画像を印刷することが好ましい。
【0017】
このようなPOSシステムによれば、印刷装置に、画像データに基づいた画像を印刷させたり、この画像に加えて取引データに基づいた取引情報を印刷させたりする。したがって、商取引にともないキャッシュトレイに載置された貨幣の画像を紙に印刷させて確認したり、貨幣の画像に加えてその商取引における取引情報を紙に印刷させて確認したりできる。これにより、取引客から、商取引における金銭授受について何らかの申し入れがあった場合、その商取引にともないキャッシュトレイに載置された貨幣の画像を紙に印刷させて確認ができ、さらに、その商取引における取引情報も紙に印刷させ確認ができるので、「つり銭詐欺」も含めた金銭授受に関するトラブルを防止できる。また、印刷されたこれらの紙は、金銭授受に関するトラブルの記録として残すこともできる。
【0018】
上記POSシステムにおいて、印刷装置は、画像記憶部および取引記憶部のうち少なくとも画像記憶部を備えていることが好ましい。
【0019】
このようなPOSシステムによれば、印刷装置に、画像記憶部を備えて画像データを記憶したり、画像記憶部に加えて取引記憶部を備えて取引データを記憶したりするため、印刷装置のクローズな環境の中で独自のデータ管理が行え、セキュリティの面で好ましい。また、印刷装置は独自なコマンド仕様を有し、かつ非公開にすることが可能であるため、さらにセキュリティを高めることができる。そして、印刷装置で画像や取引情報を印刷する場合、印刷装置に備えた画像記憶部や、画像記憶部に加えて取引記憶部からデータを読み出して印刷するため、印刷に関わる処理時間を短縮することができる。
【0020】
上記POSシステムにおいて、画像データは、動画像を撮影したデータであることが好ましい。
【0021】
このようなPOSシステムによれば、キャッシュトレイに載置された貨幣の画像を動画像で撮影することにより、取引客とPOS端末装置のオペレータとのキャッシュトレイ上での貨幣の受け渡しの場面を撮影し、その場面を動画像で出力することができる。これにより、1つの商取引における貨幣の受け渡しの状況が動画により詳細に確認できる。例えば撮影は、商品を購入した取引客が代金を現金で支払うために、貨幣がキャッシュトレイに載置されるところから開始され、次に、POS端末装置のオペレータが預り金としてキャッシュトレイに載置された貨幣を受け取り、その後、つり銭がある場合は、つり銭がPOS端末装置のオペレータによりキャッシュトレイに載置され、続けて取引客によりそのつり銭が受け取られるところで終了する。撮影開始から終了までの動画像の画像データを出力することにより、商取引における貨幣の受け渡しの一連の状況を確認できる。また、複数の貨幣が重なった状態にあり、そのままでは貨幣の個々の画像が確認できないような場合、POS端末装置のオペレータが貨幣をキャッシュトレイ上にひろげて重ならないようにする場面を撮影することにより、貨幣の個々の内容を確認することができる。
なお、動画像データを、例えば表示装置および印刷装置に出力する場合、表示装置では動画像を表示させることは可能であるが、印刷装置では動画像の各場面における静止画像を印刷する。
【0022】
上記POSシステムにおいて、キャッシュトレイに載置された貨幣が収納されるキャッシュドロワを備え、キャッシュドロワが開かれた状態から閉じられた状態に変わったことを示す信号が、検出されたときに撮影を終了することが好ましい。
【0023】
このようなPOSシステムによれば、撮像装置による貨幣の撮影を、キャッシュドロワが閉じられたときに終了させることができる。このため、手動により撮像装置の撮影を終了させる必要がなく、撮像装置の撮影にともなう手間を軽減することができる。さらに、商取引毎に貨幣の画像を撮影できるので、撮影した貨幣に対する画像データを商取引毎に管理することが容易になり、他の商取引の画像データと混同することを防止できる。
【0024】
上記POSシステムにおいて、次の商取引の情報が入力装置により入力されたことを示す信号が、検出されたときに撮影を終了することが好ましい。
【0025】
このようなPOSシステムによれば、撮像装置による貨幣の撮影を、次の商取引の情報が入力装置により入力されたときに終了させることができる。このため、キャッシュドロワが開かれた状態で次の商取引に変わった場合、これまで撮影していた商取引の撮影を終了させることになり、複数の商取引にまたがって連続して撮影することがなくなる。これにより、撮影した貨幣に対する画像データを商取引毎に管理することが容易になる。
【0026】
上記POSシステムにおいて、画像データは、静止画像を撮影したデータであることが好ましい。
【0027】
このようなPOSシステムによれば、キャッシュトレイに載置された貨幣の画像を静止画像で撮影し、静止画像の画像データを記憶して出力できるため、貨幣を撮影する撮像装置を、動画像で撮影する撮像装置に比べて廉価な装置にすることができ、また記憶する画像データの容量も小さくできる。
【0028】
上記POSシステムにおいて、貨幣がキャッシュトレイに載置されたことを検出する検出部を有し、撮像装置は、貨幣がキャッシュトレイに載置されたことが、検出部により検出されたときに撮影を開始することが好ましい。
【0029】
このようなPOSシステムによれば、貨幣がキャッシュトレイに載置されると、検出部の検出により、連動して、撮像装置により撮影が開始されるため、手動により撮像装置の撮影を開始させる必要がなく、撮像装置の撮影にともなう手間を軽減することができ、かつ撮影漏れもなくすことができる。
【0030】
上述した目的を達成するために、本発明のPOSシステム制御方法は、商取引にともないキャッシュトレイに載置された貨幣を撮影するステップと、撮影された貨幣の画像から画像データを生成するステップと、入力された商取引の情報から取引データを生成するステップと、画像データおよび取引データを記憶するステップと、記憶された、画像データおよび取引データのうち少なくとも画像データを出力するステップとを備えていることを特徴とする。
【0031】
このようなPOSシステム制御方法によれば、商取引にともないキャッシュトレイに載置された貨幣を撮影し、撮影された貨幣の画像に対する画像データと、入力された商取引の取引情報に対する取引データとを記憶させる。そして、記憶された画像データおよび取引データから、画像データを出力したり、画像データに加えて取引データを出力させたりする。
したがって、例えば、表示装置や印刷装置を使用することにより、画像データに基づいた貨幣の画像を表示や印刷することで確認が行え、さらに取引データに基づいた取引情報を表示や印刷することで確認が行える。その結果、例えば、商品を購入した取引客が、キャッシュトレイに載置した貨幣について、意図的に虚偽の主張をした場合、実際に載置された貨幣の画像が確認でき、それに加えてその商取引における取引情報が確認できるので、その取引客の主張の不当性を立証でき、現金取引における「つり銭詐欺」の不正行為を防止することができる。
また、キャッシュトレイに載置された貨幣を撮影する撮像装置が備えられていることにより、「つり銭詐欺」の不正行為を未然に防止する心理的な抑止効果が期待できる。
さらに、「つり銭詐欺」のような不正行為ではなく、取引客およびPOS端末装置のオペレータの思い違い等のミスにより、商品の購入代金の支払いおよびつり銭等の金銭授受に関するトラブルが発生することがある。この様な場合、実際にキャッシュトレイに載置された貨幣の画像が確認でき、それに加えてその商取引における取引情報についても確認することができるので、金銭授受に関するトラブルを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1の実施形態)
【0033】
図1は、POSシステムを構成するPOS端末装置の外観斜視図である。図1を用いて、POS端末装置1の構成および動作を説明する。
【0034】
同図に示すように、POS端末装置1は、タッチパネル11、バーコードスキャナ12、磁気カードリーダ13、カスタマディスプレイ14、オペレータディスプレイ15、印刷装置16、キャッシュドロワ17、撮像装置20およびキャッシュトレイ2を有して構成されている。
【0035】
商取引の情報を入力する入力装置には、入力部としてのタッチパネル11、バーコードスキャナ12および磁気カードリーダ13の3種類がある。タッチパネル11は、オペレータディスプレイ15と重ね合わせて構成され、商取引に関してのデータ入力に使用される。バーコードスキャナ12は、商品等に添付されているバーコードの読み取りに使用され、商品名、単価などの商品情報等を取得する。磁気カードリーダ13は、クレジットカード等の読み取りに使用され、クレジットカードID等の取引客情報を取得する。
ディスプレイ装置には、カスタマディスプレイ14およびオペレータディスプレイ15の2種類がある。カスタマディスプレイ14には、取引客の確認用に取引額等が表示される。オペレータディスプレイ15には、POS端末装置1のオペレータの確認用に取引額等が表示される。
印刷装置16は、レシート等を印刷する。キャッシュトレイ2には、取引客とオペレータとの間で受け渡しされる貨幣(紙幣・硬貨)が載置される。なお、本実施形態においては、キャッシュトレイ2の底に検出部としての光学式のトレイセンサ21を設置し、貨幣が載置されたか否かを検知している。撮像装置20は、キャッシュトレイ2に載置された貨幣を撮影するためのものであり、キャッシュトレイ2の貨幣が載置される全領域(以下、載置領域と称す)を撮影可能にしてある。なお、本実施形態の撮像装置20は動画像の撮影が可能なCCDカメラを使用している。
【0036】
図2は、POS端末装置の主制御系を示すブロック図である。図2を用いて、POS端末装置1の主制御系について説明する。
【0037】
同図に示すように、POS端末装置1は、タッチパネル制御部11c、バーコードスキャナ制御部12c、磁気カードリーダ制御部13c、カスタマディスプレイ制御部14c、オペレータディスプレイ制御部15c、印刷装置制御部16c、キャッシュドロワ制御部17c、撮像装置制御部20c、トレイセンサ制御部21cおよび端末制御部31を備えている。端末制御部31は、POS端末装置1の各部の動作を統括管理するものであり、演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)32と、各種情報を記憶するメモリすなわち情報記憶媒体であるRAM(Random Access Memory)33と、ROM(Read Only Memory)34と、ハードディスク35とを有している。これらはデータバス53を介して互いに接続されている。CPU32は、また、データバス53およびホスト装置入出力インターフェース52を介してホスト装置51と接続されている。そして、ハードディスク35は、取引記憶部としての取引データ領域35aと画像記憶部としての画像データ領域35bの記憶領域を有している。
【0038】
タッチパネル11、バーコードスキャナ12、磁気カードリーダ13、カスタマディスプレイ14、オペレータディスプレイ15、印刷装置16、キャッシュドロワ17、トレイセンサ21および撮像装置20の各装置は、上記した各装置の制御部とデータバス53とを介してCPU32に接続されている。
【0039】
図3は、キャッシュトレイに載置された預り金となる貨幣を、動画像で撮影する処理を示すフローチャートである。図3を用いて、フローチャートを説明する。
なお、以下の説明は、商取引が現金取引により行われる場合のみに該当し、クレジットカード等により行われる場合は除外している。また、図3に示すフローチャートの各ステップにおける動作は、すべてCPU32の制御により実行されている。
【0040】
まず、ステップS101では、取引客が商品を購入する等の商取引にともない、オペレータがPOS端末装置1へ商品情報等を入力することにより、売上情報が取得されたか否かを判定する。取得されたと判定された場合(YES)はステップS102へ移行し、そうでない場合(NO)は取得されるまで待機する。
ここで、売上情報とは、例えば、取引客が商品を購入した日付・時刻、担当オペレータの識別、商品名、単価および個数等の情報であり、これらの情報は、POS端末装置1が有する日時情報、バーコードスキャナ12によリ取り込まれた商品情報、オペレータによりタッチパネル11から入力された入力情報等から取得される。なお、これらの売上情報は、取引データの一部を構成している。
【0041】
次に、ステップS102では、キャッシュトレイ2に預り金となる貨幣が載置されたか否かを判定する。載置されたと判定された場合(YES)はステップS103へ移行し、そうでない場合(NO)は載置されるまで待機する。
ここで、本実施形態においては、トレイセンサ21により、キャッシュトレイ2の載置領域への載置が検出されることで、貨幣が載置されたか否かを判定している。なお、載置領域には、取引客により、商品購入代金の支払いのための預り金となる貨幣が載置される。
【0042】
次に、ステップS103では、撮像装置20に対して、キャッシュトレイ2の載置領域を撮影範囲とした動画像による撮影を開始させる。
【0043】
次に、ステップS104では、オペレータがタッチパネル11から入力する預り金の情報が、取得されたか否かを判定する。取得されたと判定された場合(YES)はステップS105へ移行する。そうでない場合(NO)は取得されるまで待機し、この間、動画像による撮影は続いている。
ここで、預り金とは、取引客によりキャッシュトレイ2に載置された貨幣の合計金額であり、オペレータは載置された貨幣を確認し、預り金としてタッチパネル11から入力する。その際、例えば、載置された貨幣が重なっている等の理由により、そのままでは合計金額の確認が困難な場合、オペレータは重なっている貨幣をひろげる等して確認するが、この場面についても撮像装置20による撮影が継続されている。
【0044】
次に、ステップS105では、撮像装置20に対して、キャッシュトレイ2の載置領域を撮影範囲とした動画像による撮影を終了させる。
これで、当該商取引についての動画像による撮影は終了する。すなわち、当該商取引について、取引客により預り金となる貨幣がキャッシュトレイ2に載置されてから、オペレータが預り金をタッチパネル11から入力するまでの間、キャッシュトレイ2の載置領域が動画像により撮影されることになる。
【0045】
次に、ステップS106では、ステップS101において取得された売上情報と、ステップS104において取得された預り金の情報とを含んだデータを、取引データとして生成する。
【0046】
次に、ステップS107では、ステップS106において生成された取引データを、ハードディスク35の記憶領域である取引データ領域35aに記憶する。
【0047】
次に、ステップS108では、ステップS103〜S105において撮影された動画像に対するデータを、画像データとして生成する。
【0048】
次に、ステップS109では、ステップS108において生成された画像データを、ステップS107において記憶された取引データと対応付けられて、ハードディスク35の記憶領域である画像データ領域35bに記憶する。そして、ステップS101へ戻り、次の商取引の売上情報が取得されるまで待機する。
ここで、本実施形態では、画像データと取引データとの対応付けは、取引データの一部の情報を、画像データに付与することにより行っている。具体的には、取引データの情報である日付および商取引毎の番号となるレシート番号を、画像データに付与している。
なお、画像データと取引データとの対応付けは別の方法により行っても良い。また、1つの取引データに対して複数の画像データの対応付けを可能としても良い。
【0049】
図4は、キャッシュトレイに載置されていた貨幣を確認する処理を示すフローチャートである。図4を用いて、フローチャートを説明する。なお、取引データを構成する情報として、商取引の日付およびレシート番号を用いて、該当する商取引の貨幣の画像を確認する場合の説明を行う。また、図4に示すフローチャートの各ステップにおける動作は、すべてCPU32の制御により実行されている。
【0050】
まず、ステップS501では、これから確認を行う商取引の日付およびレシート番号が、取得されたか否かを判定する。取得されたと判定された場合(YES)はステップS502へ移行し、そうでない場合(NO)は取得されるまで待機する。
ここで、商取引の日付およびレシート番号は、確認を行う商取引を特定するためのものであり、オペレータにより、タッチパネル11から入力されることにより取得される。なお、日付およびレシート番号は、例えば、取引客が所持しているレシート等に記載されている内容を参照する。
【0051】
次に、ステップS502では、ステップS501において取得された商取引の日付およびレシート番号に基づき、ハードディスク35の画像データ領域35bに記憶された画像データを検索する。該当する画像データを検索したらステップS503へ移行する。
ここで、本実施形態では、画像データは、取引データの情報である日付およびレシート番号に対応付けられて記憶されており、日付およびレシート番号による画像データの検索が可能である。
【0052】
次に、ステップS503では、ステップS502において検索された画像データに基づき、動画像を、オペレータディスプレイ15に表示させる。この動画像には、ステップS501において取得された日付およびレシート番号に該当する商取引において、取引客によりキャッシュトレイ2に載置された預り金となる貨幣の画像が記録されている。
【0053】
次に、ステップS504では、ステップS503において表示された貨幣の動画像に加えて、該当の商取引の取引情報を表示する要求が取得されたか否かを判定する。取得されたと判定された場合(YES)はステップS505へ移行し、そうでない場合(NO)はステップS501へ戻り、次に確認を行う商取引の日付およびレシート番号が、取得されるまで待機する。
ここで、取引情報を表示する要求は、例えば貨幣の動画像が終了した後、オペレータがタッチパネル11から取引情報表示の要求を入力しても良いし、または、貨幣の動画像に続けて取引情報を毎回表示するようにあらかじめ設定しておいても良い。
【0054】
次に、ステップS505では、ステップS501において取得された日付およびレシート番号に基づき、ハードディスク35の取引データ領域35aに記憶された取引データを検索する。該当する取引データを検索したらステップS506へ移行する。
【0055】
次に、ステップS506では、ステップS505において検索された取引データに基づき、該当する商取引における取引情報をオペレータディスプレイ15に表示させる。そして、ステップS501へ戻り、次に確認を行う商取引の日付およびレシート番号が、取得されるまで待機する。
なお、オペレータディスプレイ15に表示された貨幣の画像や取引情報は、オペレータおよび取引客により確認される。
【0056】
なお、本実施形態では、日付およびレシート番号の情報により、確認を行う商取引を特定したが、取引データを構成する情報として少なくとも1つの情報であればこれに限られない。例えば、オペレータが、取引客から確認する商取引の日付および時間帯を聞いて、この日付および時間帯に該当する複数の商取引の取引情報をオペレータディスプレイ15に表示させ、これらの商取引の中から確認を行う商取引を特定しても良い。
【0057】
なお、画像データ生成部は、図3のフローチャートのS108を実行するCPU32により構成される。取引データ生成部は、S106を実行するCPU32により構成される。
また、本実施形態では、POS端末装置1として、タッチパネル11、バーコードスキャナ12、磁気カードリーダ13、カスタマディスプレイ14、オペレータディスプレイ15、印刷装置16、キャッシュドロワ17、撮像装置20およびキャッシュトレイ2が一体型となる装置について説明したが、これらの各装置の一部または全部は、一体型ではなく、個別の装置としてPOS端末装置1を構成しても良い。さらに、データ入力のためにタッチパネル11を用いたが、データ入力に用いることが可能であれば、キーボード、マウス等の入力機器を用いても良い。
【0058】
上述した、第1の実施形態によれば以下の効果が得られる。
(1)本実施形態によれば、商取引にともない、取引客によりキャッシュトレイ2に載置された預り金となる貨幣を、撮像装置20により撮影する。そして、撮影された画像に対しての画像データを、その商取引の売上情報および預り金の情報を含んだ取引データとともにハードディスク35に記憶する。ここで、画像データと取引データとは、例えば取引データの情報である日付・レシート番号等に対応付けられて記憶される。
これにより、預り金として受け取った貨幣の金額について確認の必要が生じたとき、その商取引において発行されたレシートに記載されている日付・レシート番号から、その商取引における載置領域の画像データを短時間に検索することができる。そして、載置領域の画像をオペレータディスプレイ15に表示させることにより、預り金として載置された貨幣の画像を確認することができる。また、貨幣の画像に加えて、その商取引の取引情報も表示させることにより、より詳細にその商取引について確認することができる。
【0059】
(2)本実施形態によれば、撮像装置20により、キャッシュトレイ2の載置領域が動画像で撮影される。撮影は、取引客により預り金となる貨幣が載置されてから、オペレータが預り金をタッチパネル11から入力するまで続けられる。この間、キャッシュトレイ2の載置領域には、様々な場面の変化が生じることがある。例えば、取引客が何らかの事情により、一旦載置された貨幣を別の貨幣に替えるとか、貨幣を追加して載置するとか等々がある。また、取引客により載置された貨幣が重なっていたため、オペレータが金額を確認しやすいように、その貨幣をひろげることもある。こうした様々な場面の変化が動画像で撮影され、画像データとして記憶されるため、載置領域における貨幣の受け渡しの場面を詳細に残すことができる。
【0060】
(3)本実施形態によれば、POS端末装置1が売上情報の入力を受け付けた後、キャッシュトレイ2に設置されたトレイセンサ21により、貨幣が載置されたことが検出される。そして、載置されたことが検出されると、撮像装置20によりキャッシュトレイ2の載置領域の動画像の撮影が開始される。
このため、オペレータが手動により撮像装置20の撮影を開始させる必要がなくなり、撮影にともなうオペレータの負担を軽減できる。また、撮影は、キャッシュトレイ2に貨幣が載置されてから開始されるので、貨幣が載置される前の不要な場面は撮影されず、それだけ撮影時間が短くて済む。これにより、動画像を確認する時間も短くて済み、さらに、動画像の画像データの容量が削減される効果がある。
(第2の実施形態)
【0061】
第1の実施形態では、キャッシュトレイ2に載置された預り金となる貨幣を、動画像で撮影していたが、第2の実施形態では、第1の実施形態においての動画像に加えて、つり銭となる貨幣を動画像で撮影する。なお、つり銭となる貨幣は、オペレータが預り金を受け取った後、つり銭がある場合、オペレータによりキャッシュトレイ2に載置される。
【0062】
図5は、キャッシュトレイに載置された預り金およびつり銭となる貨幣を、動画像で撮影する処理を示すフローチャートである。図5を用いて、フローチャートを説明する。
なお、以下の説明は、商取引が現金取引により行われる場合のみに該当し、クレジットカード等により行われる場合は除外している。また、図5に示すフローチャートの各ステップにおける動作は、すべてCPU32の制御により実行されている。
【0063】
まず、ステップS201では、取引客が商品を購入する等の商取引にともない、オペレータがPOS端末装置1へ商品情報等を入力することにより、売上情報が取得されたか否かを判定する。取得されたと判定された場合(YES)はステップS202へ移行し、そうでない場合(NO)は取得されるまで待機する。
ここで、売上情報とは、第1の実施形態の場合と同様である。
【0064】
次に、ステップS202では、キャッシュトレイ2に預り金となる貨幣が載置されたか否かを判定する。載置されたと判定された場合(YES)はステップS203へ移行し、そうでない場合(NO)は載置されるまで待機する。
ここで、貨幣が載置されたか否かを判定する方法は、第1の実施形態の場合と同様である。
【0065】
次に、ステップS203では、撮像装置20に対して、キャッシュトレイ2の載置領域を撮影範囲とした動画像による撮影を開始させる。
【0066】
次に、ステップS204では、キャッシュドロワ17がオープンされている状態からクローズされたか否か、または、次の商取引に対しての売上情報が取得されたか否かを判定する。
キャッシュドロワ17がオープンされている状態からクローズされたか、または、次の商取引に対しての売上情報が取得されたと判定された場合(YES)は、ステップS205へ移行する。そうでない場合(NO)は取得されるまで待機する。待機している間、オペレータは、預り金をタッチパネル11から入力し、つり銭がある場合、つり銭となる貨幣をキャッシュトレイ2に載置する。
ここで、キャッシュドロワ17がオープンされている状態からクローズされたか否かの情報は、キャッシュドロワ制御部17cからのクローズ信号をCPU32が受け取ることによって判定される。
【0067】
次に、ステップS205では、撮像装置20に対して、キャッシュトレイ2の載置領域を撮影範囲とした動画像による撮影を終了させる。
これで、当該商取引についての動画像による撮影は終了する。すなわち、当該商取引について、取引客により預り金となる貨幣がキャッシュトレイ2に載置されてから、キャッシュドロワ17がクローズされるか、または、次の商取引に対しての売上情報が取得されるまでの間、キャッシュトレイ2の載置領域が動画像により撮影されることになる。
【0068】
次に、ステップS206では、ステップS201において取得された売上情報と、ステップS204において待機中に取得された預り金の情報とを含んだデータを、取引データとして生成する。
【0069】
次に、ステップS207では、ステップS206において生成された取引データを、ハードディスク35の記憶領域である取引データ領域35aに記憶する。
【0070】
次に、ステップS208では、ステップS203〜S205において撮影された動画像に対するデータを、画像データとして生成する。
【0071】
次に、ステップS209では、ステップS208において生成された画像データを、ステップS207において記憶された取引データと対応付けられて、ハードディスク35の記憶領域である画像データ領域35bに記憶する。
ここで、画像データと取引データとの対応付けについては、第1の実施形態の場合と同様である。
【0072】
次に、ステップS210では、ステップS204において次の商取引の売上情報が取得済みであるか否かを判定する。取得済みであると判定された場合(YES)はステップS202へ移行し、キャッシュトレイ2に預り金が載置されるまで待機する。そうでない場合(NO)は、ステップS204において、キャッシュドロワ17がクローズされており、ステップS201へ戻り、次の商取引の売上情報が取得されるまで待機する。
【0073】
上述した、第2の実施形態によれば以下の効果が得られる。
【0074】
(1)本実施形態によれば、撮像装置20による動画像の撮影は、商取引にともない、キャッシュトレイ2に貨幣が載置されてから、キャッシュドロワ17がクローズされるか、または、オペレータが次の商取引にともなう売上情報を入力するまで続けられる。この間、キャッシュトレイ2の載置領域では、取引客により預り金となる貨幣が載置され、オペレータによりその預り金が受け取られ、そして、つり銭がある場合、つり銭となる貨幣がオペレータにより載置され、取引客によりそのつり銭が受け取られる。こうした載置領域の各場面が、撮像装置20により動画像で撮影される。
これにより、第1の実施形態で可能であった、預り金として受け取った貨幣の確認に加えて、オペレータがつり銭としてキャッシュトレイ2に載置した貨幣についても確認ができ、つり銭についての金銭授受のトラブルを防止できる。
(第3の実施形態)
【0075】
第1および第2の実施形態では、キャッシュトレイ2の載置領域を、動画像により撮影したが、第3の実施形態では、キャッシュトレイ2の載置領域を、静止画像により撮影する。
なお、第3の実施形態における撮像装置20は、静止画像を撮影するためのものであり、オペレータがタッチパネル11から撮影指示の情報を入力することにより撮影が行われる。
【0076】
図6は、キャッシュトレイに載置された預り金となる貨幣を、静止画像で撮影する処理を示すフローチャートである。図6を用いて、フローチャートを説明する。
なお、以下の説明は、商取引が現金取引により行われる場合のみに該当し、クレジットカード等により行われる場合は除外している。また、図6に示すフローチャートの各ステップにおける動作は、すべてCPU32の制御により実行されている。
【0077】
まず、ステップS301では、取引客が商品を購入する等の商取引にともない、オペレータがPOS端末装置1へ商品情報等を入力することにより、売上情報が取得されたか否かを判定する。取得されたと判定された場合(YES)はステップS302へ移行し、そうでない場合(NO)は取得されるまで待機する。
ここで、売上情報とは、第1および第2の実施形態の場合と同様である。
【0078】
次に、ステップS302では、オペレータがタッチパネル11から撮影指示の情報を入力することにより、撮影指示の情報が取得されたか否かを判定する。取得されたと判定された場合(YES)はステップS303へ移行し、そうでない場合(NO)はステップS304へ移行する。
【0079】
次に、ステップS303では、ステップS302において撮影が指示されたため、撮像装置20に対して、キャッシュトレイ2の載置領域を撮影範囲とした静止画像を撮影させる。
【0080】
次に、ステップS304では、オペレータがタッチパネル11から入力する預り金の情報が、取得されたか否かを判定する。取得されたと判定された場合(YES)はステップS305へ移行する。そうでない場合(NO)はステップS302へ移行し、静止画像の撮影の指示を受け付ける。
ここで、預り金とは、第1の実施形態の場合と同様に、オペレータによりタッチパネル11から入力される。その際、例えば、載置された貨幣が重なっている等の理由により、そのままでは合計金額の確認が困難な場合、オペレータは重なっている貨幣をひろげて静止画像の撮影を指示する。
【0081】
次に、ステップS305では、ステップS301において取得された売上情報と、ステップS304において取得された預り金の情報とを含んだデータを、取引データとして生成する。
【0082】
次に、ステップS306では、ステップS305において生成された取引データを、ハードディスク35の記憶領域である取引データ領域35aに記憶する。
【0083】
次に、ステップS307では、ステップS303において撮影された静止画像に対するデータを、画像データとして生成する。
【0084】
次に、ステップS308では、ステップS307において生成された画像データを、ステップS306において記憶された取引データと対応付けられて、ハードディスク35の記憶領域である画像データ領域35bに記憶する。そして、ステップS301へ戻り、次の商取引の売上情報が取得されるまで待機する。
ここで、画像データと取引データとの対応付けについては、第1および第2の実施形態の場合と同様である。
【0085】
上述した、第3の実施形態によれば以下の効果が得られる。
【0086】
(1)本実施形態によれば、撮像装置20により、キャッシュトレイ2の載置領域を静止画像で撮影する。撮像装置20は、静止画像を撮影する装置であるため、動画像を撮影する撮像装置に比べて、簡単な機構を有する廉価な装置にすることができる。また、動画像に対する画像データを記憶するには大容量の記憶領域が必要であるが、静止画像に対する画像データの場合は、動画像に対する画像データほど大容量の記憶領域を必要としない。
【0087】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、種々の変更や改良を加えることが可能である。変形例を以下に述べる。
【0088】
(変形例1)前記実施形態において、キャッシュトレイ2に載置された貨幣の動画像および静止画像を、オペレータディスプレイ15に表示しているが、このようなディスプレイ装置に表示するのではなく、印刷装置16を使用して紙に印刷しても良い。なお、動画像の印刷については、例えば、貨幣の種類が識別できる場面を選択し、その場面の静止画像を印刷しても良い。
キャッシュトレイ2に載置された貨幣の画像を、紙に印刷することにより、例えば、オペレータディスプレイ15の表示が取引客には確認できない場合でも、紙に印刷された貨幣の画像や取引情報であれば、取引客は確認することができる。また、オペレータは、紙に印刷されたこれらの内容を、トラブルの記録として保存することができる。
【0089】
(変形例2)前記実施形態において、取引データおよび画像データを、ハードディスク35の記憶領域である取引データ領域35aおよび画像データ領域35bに記憶している。しかし、これに限らず、印刷装置16に記憶部を備えて、画像データを記憶したり、画像データに加えて取引データを記憶しても良い。
図7は、印刷装置に記憶部を備えたPOS端末装置の主制御系を示すブロック図である。同図に示すように、印刷装置16は記憶部16dを備え、記憶部16dは、取引データ領域16aおよび画像データ領域16bの記憶領域を有している。ここで、印刷装置16に備えた記憶部16dは、例えばフラッシュメモリ等で構成し、読み書きが自在で電源が停止されても記憶内容を保持できる構成とすることが好ましい。
印刷装置16に備えた記憶部16dの記憶領域に、画像データや取引データが記憶されることにより、印刷装置16のクローズな環境の中で独自のデータ管理が行えるため、セキュリティの面で好ましい。また、画像データに基づいた貨幣の画像や、取引データに基づいた取引情報を印刷する場合、記憶部16dの記憶領域から印刷するため、印刷に関わる処理時間を短縮することができる。
【0090】
(変形例3)前記実施形態において、商取引にともない、キャシュトレイ2に載置された貨幣の画像を、動画像または静止画像により撮影し、画像に対しての画像データをハードディスク35の記憶領域である画像データ領域35bに記憶している。しかし、貨幣の画像に限らず、商取引において発生する音声を録音し、その音声に対しての音声データをハードディスク35に記憶し、記憶された音声データを出力しても良い。具体的には、例えば、POS端末装置1に、音声録音可能なマイクと、音声を再生可能なスピーカーとを設置する。そして、商取引毎に音声を録音し、録音された音声に対しての音声データを、ハードディスク35に記憶する。キャシュトレイ2に載置された貨幣の画像の確認が必要な場合には、画像データに基づき画像を表示させるとともに、音声データに基づきスピーカーから音声を出力させる。なお、商取引毎の音声データは、画像データと同様に、取引データと対応付けられて記憶される。
商取引毎の音声を録音して再生できることにより、例えば、取引客から預り金を受け取った際、預り金の合計金額を、オペレータが声に出して確認する音声が記録され、さらに、取引客とオペレータとの音声によるやり取りも記録されることになる。これにより、金銭授受について取引客からの申し入れがあった際、画像だけではなく、音声の記録も再生でき、オペレータと取引客とのやり取りの場面をより詳細に再現できることになり、トラブルの防止への効果が期待できる。
【0091】
(変形例4)前記第1および第2の実施形態において、キャッシュトレイ2の底に光学式のトレイセンサ21を設置し、貨幣が載置されたか否かを検知している。しかし、これに限らず、例えば、赤外線センサを備えた自動撮影可能な撮像装置を用いる等の別の方法によりキャッシュトレイへの載置を検出しても良い。
【0092】
(変形例5)前記第2の実施形態において、キャッシュトレイ2に載置された預り金となる貨幣およびつり銭となる貨幣を動画像で撮影しているが、キャッシュトレイ2に載置された預り金となる貨幣は撮影しないで、つり銭となる貨幣のみ動画像で撮影しても良い。これにより、つり銭となる貨幣に限定して動画像で確認ができ、画像データの容量も削減できる。
【0093】
(変形例6)前記第3の実施形態において、キャッシュトレイ2に載置された預り金となる貨幣を静止画像で撮影しているが、これに加えて、オペレータがつり銭としてキャッシュトレイ2に載置した貨幣についても静止画像で撮影しても良い。また、預り金となる貨幣は撮影しないで、つり銭となる貨幣のみ撮影しても良い。これにより、つり銭となる貨幣について静止画像で確認ができ、つり銭についての金銭授受のトラブルが防止できる。
【0094】
(変形例7)前記第3の実施形態において、撮像装置20は、オペレータがタッチパネル11から撮影指示の情報を入力することにより撮影が行われている。しかし、これに限らず、手動スイッチを設置し、この手動スイッチが操作されることにより撮影が指示されても良い。なお、手動スイッチは、撮像装置20やキャッシュトレイ2に設置することが好ましい。こうすることで、重なっている貨幣をひろげて撮影する際に、貨幣の近くでスイッチ操作することができ、オペレータの動作が少なくて済み、オペレータの負荷を軽減できる。
【0095】
また、前記第1および第2の実施形態と同様に、キャッシュトレイ2にトレイセンサ21を設置し、キャッシュトレイ2の載置領域への載置を検出することにより、撮影が指示されても良い。この場合、静止画像による撮影は、載置領域において貨幣が追加される等の様々な場面の変化に対応するために、複数枚の静止画像が間歇的(例えば、2秒間隔)に撮影されることが好ましい。これにより、オペレータが手動により撮像装置20の撮影を開始させる必要がなくなり、撮影にともなうオペレータの負荷を軽減できる。
【0096】
(変形例8)前記実施形態において、ハードディスク35の記憶領域に画像データや取引データを記憶している。また、タッチパネル11から、検索する商取引の取引情報を入力し、検索した商取引における貨幣の画像を、オペレータディスプレイ15や印刷装置16に表示や印刷をさせている。しかし、これに限らず、POS端末装置1と入出力インターフェース52を介して接続されているホスト装置51が有する記憶部に、画像データや取引データを記憶しても良い。また、ホスト装置51が有する入力部から検索する商取引の取引情報を入力し、検索した商取引における貨幣の画像を、ホスト装置51が有するディスプレイ装置や印刷装置に表示や印刷をさせても良い。
これにより、ホスト側において、貨幣の画像を確認したい場合、ホスト装置51において、商取引を検索し、検索した商取引における貨幣の画像や取引情報を表示や印刷をさせて確認することができる。
【0097】
(変形例9)前記実施形態において、POSシステムにおいて本発明を実施する場合について説明したが、単独で動作するキャッシュレジスタ等に用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】POSシステムを構成するPOS端末装置の外観斜視図。
【図2】POS端末装置の主制御系を示すブロック図。
【図3】キャッシュトレイに載置された預り金となる貨幣を、動画像で撮影する処理を示すフローチャート。
【図4】キャッシュトレイに載置されていた貨幣を確認する処理を示すフローチャート。
【図5】キャッシュトレイに載置された預り金およびつり銭となる貨幣を、動画像で撮影する処理を示すフローチャート。
【図6】キャッシュトレイに載置された預り金となる貨幣を、静止画像で撮影する処理を示すフローチャート。
【図7】印刷装置に記憶部を備えたPOS端末装置の主制御系を示すブロック図。
【符号の説明】
【0099】
1…POS端末装置、2…キャシュトレイ、11…タッチパネル、11c…タッチパネル制御部、12…バーコードスキャナ、12c…バーコードスキャナ制御部、13…磁気カードリーダ、13c…磁気カードリーダ制御部、14…カスタマディスプレイ、14c…カスタマディスプレイ制御部、15…オペレータディスプレイ、15c…オペレータディスプレイ制御部、16…印刷装置、16a…取引データ領域、16b…画像データ領域、16c…印刷装置制御部、16d…記憶部、17…キャッシュドロワ、17c…キャッシュドロワ制御部、20…撮像装置、20c…撮像装置制御部、21…センサトレイ、21c…センサトレイ制御部、31…端末制御部、32…CPU、35…ハードディスク、35a…取引データ領域、35b…画像データ領域、51…ホスト装置、52…ホスト装置入出力インターフェース、53…データバス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商取引にともない受け渡しされる貨幣が載置されるキャッシュトレイと、
前記キャッシュトレイに載置された前記貨幣を撮影する撮像装置と、
前記撮像装置の撮影結果から画像データを生成する画像データ生成部と、
前記商取引の情報を入力する入力装置と、
前記入力装置により入力された前記商取引の情報から、取引データを生成する取引データ生成部と、
前記画像データを記憶する画像記憶部と、
前記取引データを記憶する取引記憶部と、
前記画像記憶部に記憶された前記画像データおよび前記取引記憶部に記憶された前記取引データのうち少なくとも前記画像記憶部に記憶された前記画像データを出力する出力部と、を備えていることを特徴とするPOSシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のPOSシステムにおいて、
前記画像データは、前記取引データに対応付けられて前記画像記憶部に記憶されることを特徴とするPOSシステム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のPOSシステムにおいて、
前記出力部は、前記取引データに対応付けられた画像データを出力することを特徴とするPOSシステム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のPOSシステムにおいて、
取引データを構成する少なくとも1つの情報を入力する入力部をさらに備え、
前記出力部は、前記入力部により入力された情報に基づき、当該情報に対応する前記画像記憶部に記憶された前記画像データおよび前記取引記憶部に記憶された前記取引データのうち、少なくとも前記画像記憶部に記憶された前記画像データを出力することを特徴とするPOSシステム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のPOSシステムにおいて、
ディスプレイ装置を備え、
当該ディスプレイ装置は、前記出力部から出力された前記画像データに基づき画像を表示することおよび前記出力部から出力された前記取引データに基づき取引情報を表示することのうち、少なくとも前記出力部から出力された前記画像データに基づき画像を表示することを特徴とするPOSシステム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のPOSシステムにおいて、
印刷装置を備え、
当該印刷装置は、前記出力部から出力された前記画像データに基づき画像を印刷することおよび前記出力部から出力された前記取引データに基づき取引情報を印刷することのうち、少なくとも前記出力部から出力された前記画像データに基づき画像を印刷することを特徴とするPOSシステム。
【請求項7】
請求項6に記載のPOSシステムにおいて、
前記印刷装置は、前記画像記憶部および前記取引記憶部のうち少なくとも前記画像記憶部を備えていることを特徴とするPOSシステム。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載のPOSシステムにおいて、
前記画像データは、動画像を撮影したデータであることを特徴とするPOSシステム。
【請求項9】
請求項8に記載のPOSシステムにおいて、
前記キャッシュトレイに載置された前記貨幣が収納されるキャッシュドロワを備え、
当該キャッシュドロワが開かれた状態から閉じられた状態に変わったことを示す信号が、検出されたときに撮影を終了することを特徴とするPOSシステム。
【請求項10】
請求項9に記載のPOSシステムにおいて、
次の商取引の情報が前記入力装置により入力されたことを示す信号が、検出されたときに撮影を終了することを特徴とするPOSシステム。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載のPOSシステムにおいて、
前記画像データは、静止画像を撮影したデータであることを特徴とするPOSシステム。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載のPOSシステムにおいて、
前記貨幣が前記キャッシュトレイに載置されたことを検出する検出部を有し、
前記撮像装置は、前記貨幣が前記キャッシュトレイに載置されたことが、前記検出部により検出されたときに撮影を開始することを特徴とするPOSシステム。
【請求項13】
商取引にともないキャッシュトレイに載置された貨幣を撮影するステップと、
撮影された前記貨幣の画像から画像データを生成するステップと、
入力された前記商取引の情報から取引データを生成するステップと、
前記画像データおよび前記取引データを記憶するステップと、
記憶された、前記画像データおよび前記取引データのうち少なくとも前記画像データを出力するステップと、を備えていることを特徴とするPOSシステム制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−344105(P2006−344105A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−170459(P2005−170459)
【出願日】平成17年6月10日(2005.6.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】