説明

RFIDの配備を最適化する方法

【課題】 RFID装置の配置を最適化する方法およびこの方法を用いるRFID配備オ
プティマイザを提供する。
【解決手段】 RFIDアンテナとRFIDタグとを備えるRFID装置の配備を最適化
する方法であって、A.前記RFID装置が配備される交信領域を分析するステップと、
B.目標物体上の種々の配置セットと関連したRFIDタグの判読率を確認するステッ
プと、C.前記ステップAの分析結果および前記ステップBで確認されたすべての前記R
FIDタグの判読率に基づいて最良の配備選択肢を選択するステップとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFID(Radio Frequency Identification)装置に関し、特に、RFID
装置の配備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
米国および欧州の主要小売業者による無線識別(RFID)の採用により、多くの開発
業者(Vendor)および供給業者が自社の製品および配備プロセスにRFID技術を組み込も
うと試みている。しかし、種々の要因および不確実性のため、通常は精度100%でRF
IDが実施されることはない。RFID配備の適合性および性能に関してRFID配備の
ための最良の解決策を見出すために用いられる体系的な方法は存在していない。これまで
、RFID配備のためのセットアップおよび構成の評価および最適化は試行錯誤で行うし
かなく、したがってRFID配備の設計も試行錯誤で行うしかなかった。
【0003】
他方、環境要因を無視してRFID装置の仕様書だけを基準としたRFIDのセットア
ップが多くの企業で行われる可能性がある。例えば、RFIDシステムが仕様として要求
されているように3mという読取範囲を必要とするのなら、RFIDインテロゲータ(int
errogator)(RFIDリーダまたはコントローラ等とも呼ばれる)とアンテナが用いられ
てセットアップが行われるだろう。しかし、種々の環境要因のために読取範囲が増減する
ことがある。配備プランがRFID装置製品の仕様および試行錯誤に基づいて設定される
と、その配備の性能を保証および予測しにくく、これがRFIDベースのプロジェクトの
失敗要因となる場合がある。
【0004】
また、企業は、配備現場を理解することに加え、読取性能を保証するための正確なタグ
配置を考慮する必要がある。目標物体の種々の材料および含有物の性質がRFIDの性能
に影響を及ぼすので、別々の目標物体すなわち製品SKU(在庫保管単位)に対して別々
のタグ配置とするための最適位置を探すことも困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術の問題に鑑み、本発明の目的はRFIDの配備を最適化する方法およびこの方
法を用いるRFID配備オプティマイザを提供することである。前記方法および前記配備
オプティマイザでは、配備されたRFID装置の交信領域内のRFID配備を最適化でき
るように、さまざまな配備選択肢のRFIDタグ判読率に関する大量の有用データを速や
かに収集および分析することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、RFIDアンテナとRFIDタグとを備えたR
FID装置の配備を最適化する方法を提供する。
【0007】
この方法は以下のステップを備えている。
A.RFID装置が配備される交信領域(または、読取ゾーン、読取フィールド、リー
ダフィールド等とも呼ばれる)を分析するステップ。
B.交信領域内の目標物体上の種々の配置セットと関連したRFIDタグの判読率を確
認するステップ。
C.ステップAで達成された交信領域の分析結果およびステップBで確認されたRFI
Dタグのすべての判読率に基づいて最良の配備選択肢を選択するステップ。
【0008】
好適には、上記ステップAは、次のサブステップをさらに備える。
A-1.交信領域のゲートウェイの周辺に少なくとも1つのRFIDアンテナを配置す
るサブステップ。
A-2.1つの配置セットと関連した交信領域内に少なくとも1つのRFIDタグを配
置するサブステップ。
A-3.少なくとも1つのRFIDアンテナのそれぞれと配置セットに関連した少なく
とも1つのRFIDタグのそれぞれとの間のインタラクション成功率を記録するサブステ
ップ。
別の配置セットと関連したサブステップA-2およびA-3を繰り返すサブステップ。
【0009】
ここで、少なくとも1つのRFIDタグは、交信領域に満遍なく及ぶn×m個(但し、
n>1,m>1)のスポットに配置される。これにより、サブステップA-2は、交信領
域の分析を迅速化するために1つの配置セットと関連した交信領域内に、m個のRFID
タグを一列に配置して実行される。
【0010】
上記ステップBは、次のサブステップをさらに備えることが好ましい。
B-1.交信領域のゲートウェイの周辺に少なくとも1つのRFIDアンテナを配置す
るサブステップ。
B-2.1つの配置セットと関連した目標物体上に少なくとも1つのRFIDタグを配
置するサブステップ。
B-3.目標物体が交信領域のゲートウェイを通過している間にRFID読取データを
取り込み、配置セットと関連したRFIDの判読率をRFID読取データに基づいて確認
するステップ。
その後、別の配置セットと関連したサブステップB-2およびB-3を繰り返すサブステ
ップ。
【0011】
上記の方法について、RFIDタグを配置するための各配置セットはRFIDタグの位
置および配向を含む。さらに詳細に述べると、3セットの位置が、目標物体の前面、目標
物体の側面、および目標物体の角部として定められ、同時に、各位置に適用可能な2セッ
トの配向が、垂直(vertical)および水平(horizontal)として定められる。
【0012】
好ましくは、RFID装置の配備を最適化する上記方法は、別々のスポットの観点から
少なくとも1次元において交信領域の分析結果をグラフィックに表示するステップDをさ
らに含む。さらに好ましくは、交信領域の分析結果は、交信領域のサイズ/形状および/
または交信領域の最良/最悪の配備スポットを詳細に示すために等高線図の形態で表示さ
れるか、または、交信領域の前記結果は、交信領域のサイズ/形状および/または交信領
域の最良/最悪の配備スポットを詳細に示すために表面図(surface diagram)の形態で表
示される。
【0013】
好適には、RFID装置の配備を最適化する上記方法は、各配置セットと関連したRF
IDタグの判読率をグラフィックに示すステップEをさらに含む。さらに好適には、各配
置セットと関連したRFIDタグの判読率は時間に対する折れ線グラフの形態で表示され
る。
【0014】
また、本発明は、RFIDアンテナおよびRFIDタグを備えるRFID装置の配備を
最適化する上記方法を用いる、RFID配備オプティマイザを提供する。RFID配備オ
プティマイザは、RFIDミドルウェアと、データベースと、アナライザと、オプティマ
イザとを備える。RFIDミドルウェアはRFID装置と通信してRFID読取データを
データベースに送る。データベースは種々のRFID配備選択肢と関連したRFID読取
データを格納する。アナライザはデータベースに格納されたRFID読取データを分析し
、種々のRFID配備選択肢と関連した対応性能を生成する。オプティマイザは、種々の
配備選択肢と関連した全部の性能に基づいて最良のRFID配備選択肢を選択するために
アナライザと接続する。
【0015】
好適には、上述のアナライザは、RFID装置が配備される交信領域を分析するための
交信領域分析ユニットと、交信領域内の種々の配置セットと関連したRFIDタグの判読
率を確認するためのタグ配置分析ユニットとを備える。
【0016】
好適には、上記RFID配備オプティマイザは、前記アナライザによって出力された分
析結果をグラフィックに表示するためのビジュアライザをさらに備える。さらに好適には
、ビジュアライザは、交信領域のサイズ/形状および/または交信領域の最良/最悪の配
備スポットを詳細に示すために、交信領域の分析結果を等高線図の形態で表示する。また
は、ビジュアライザは、交信領域のサイズ/形状および/または交信領域の最良/最悪の
配備スポットを詳細に示すために、交信領域の分析結果を表面図の形態で表示する。また
は、ビジュアライザは、1つの配置セットに関連した時間に対するRFIDタグの判読率
を詳細に示すために、RFIDタグの判読率を折れ線グラフの形態で表示する。
【0017】
本発明の上記および他の特徴、態様、および実施形態は、「発明を実施するための形態
」という見出しのセクションで後述する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に従うRFID装置の配備を最適化する方法のフローチャートである。
【図2】図1に示されたステップA−1によるRFIDアンテナの配置を示す図である。
【図3】図2に示されたステップA−2によるRFIDタグの配置を示す図である。
【図4】図1に示されたステップDによる交信領域の分析結果を示す等高線図である。
【図5】図1に示されたステップDによる交信領域の分析結果を示す表面図である。
【図6】図1に示されたステップB−1によるRFIDアンテナの配置を示す図である。
【図7−A】図1に示されたステップB−2によるRFIDタグの第1の配置セットを示す図である。
【図7−B】図1に示されたステップB−2によるRFIDタグの第2の配置セットを示す図である。
【図7−C】図1に示されたステップB−2によるRFIDタグの第3の配置セットを示す図である。
【図7−D】図1に示されたステップB−2によるRFIDタグの第4の配置セットを示す図である。
【図7−E】図1に示されたステップB−2によるRFIDタグの第5の配置セットを示す図である。
【図7−F】図1に示されたステップB−2によるRFIDタグの第6の配置セットを示す図である。
【図8】図7−Eに示される第5の配置セットと関連したRFIDの判読率を示す折れ線グラフである。
【図9】図7−Fに示される第6の配置セットと関連したRFIDの判読率を示す折れ線グラフである。
【図10】図7−Aに示される第1の配置セットと関連したRFIDの判読率を示す折れ線グラフである。
【図11】図7−Cに示される第3の配置セットと関連したRFIDの判読率を示す折れ線グラフである。
【図12】図7−Eに示される第5の配置セットと関連したRFIDの判読率を示す折れ線グラフである。
【図13】本発明の実施形態に従うRFID配備オプティマイザを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1に示されるように、本発明によって提供される発明は次のステップを含む。
A.RFID装置が配備される交信領域(または、読取ゾーン、読取フィールド、リー
ダフィールド等とも呼ばれる)を分析するステップ。
D.別々のスポットの観点から少なくとも1次元において交信領域の分析結果をグラフ
ィックに表示するステップ。
B.交信領域内の目標物体上の種々の配置セットと関連したRFIDタグの判読率を確認するステップ。
E.各配置セットと関連したRFIDタグの判読率をグラフィックに表示するステップ

C.ステップAで達成された交信領域の分析結果およびステップBで確認されたRFI
Dタグのすべての判読率に基づいて最良の配備選択肢を選択するステップ。
【0020】
ここで、実線で囲まれているのでステップAは必須のステップである。ステップAの目
的は、ゲートウェイ周辺の交信領域の試験用RFID読取データを収集し、このRFID
読取データに基づいて交信領域の性能を分析することである。交信領域(または、読取ゾ
ーン、読取フィールド、リーダフィールド等と呼ばれる)は、RFIDタグに要求を出し
てRFIDタグから戻ってくる応答を受信するのに十分なエネルギーを供給できるが、交
信領域外のRFIDタグは応答を返すのに十分なエネルギーをRFIDから受け取ること
ができない。図1に示されるように、ステップAは次のサブステップをさらに含んでいる

A-1.交信領域のゲートウェイの周辺に少なくとも1つのRFIDアンテナを配置す
るサブステップ。
A-2.配置セットと関連した交信領域内に少なくとも1つのRFIDタグを配置する
サブステップと、
A-3.少なくとも1つのRFIDアンテナそれぞれと配置セットと関連した少なくと
も1つのRFIDタグそれぞれとの間のインタラクション成功率を記録するサブステップ

別の配置セットと関連したサブステップA-2およびA-3を繰り返すサブステップ。
【0021】
図2はステップA-1による少なくとも1つのRFIDアンテナの配置を示し、図3は
ステップA-2による少なくとも1つのRFIDアンテナの配置を示す。
【0022】
図2に示されるように、3つのアンテナを備えたゲートウェイマウントが、ゲートウェ
イの片側に配置されており、アンテナの高さは、それぞれ、30cm、100cm、およ
び145cmである。
【0023】
図3に示されるように、2mのゲートウェイの交信領域を分析するために、RFIDタ
グを配置するためのスポットを作り出すために7×15のマトリックスが定められ、この
マトリックスは各スポットが25cm間隔で交信領域を満遍なくカバーしている。
【0024】
交信領域全体の性能を理解するために、マトリックスのすべてのスポットを試験する必
要がある。従来、スポットの試験は1つずつ行われるので、長い試験時間中に交信領域の
環境要因が一貫したものでなくなることがあり、その結果、分析結果の精度が保証されな
い。分析結果の精度を保証するために、本発明では、一列のスポット15個を同時に試験
することによって分析の迅速化をはかる。
【0025】
図3に示されるように、この分析は、RFIDタグは1列15個ずつ行われ、したがっ
て、試験回数が7×15回から7回に減少する。すなわち、別々の異なる配置セットと関
連した7回の試験が、PFIDタグとPFIDアンテナの間の25cm〜175cmまで
の25cm刻みの別々の距離で実施される。いずれの試験も10回ずつの試行によって検
査され、各試行では各RFIDアンテナと各RFIDタグのとの間で(要求と応答を含む
)100回のインタラクションが行われる。
【0026】
要求および応答の回数が記録される。毎回の試行で、それぞれの特定スポットにおける
RFIDの判読度は、試行と関連したインタラクション成功率(すなわち、要求回数に対
する応答回数)として定義される。交信領域の分析の場合、それぞれの特定スポットにお
けるRFIDタグの判読率は、10回の試行によるRFID判読率の平均によって求めら
れる。
【0027】
また、試験中のノイズをさらに減らして分析結果を滑らかにするために、試行10回で
は極値(RFIDタグの最大判読率および最小判読率を含む)が取り除かれ、その後、残
りのRFID判読率の数値の平均によって各特定スポットにおけるRFIDの判読率が求
められる。
【0028】
次の表1は、図1に示されるステップAによる交信領域の分析結果を示す。表1の第1
行は一列のRFID15個のRFIDタグの各位置を示しており、表1の第1列はRFI
DタグとRFIDアンテナの間の直角距離(perpendicular distance)を示しており、既定
の交信領域内の各スポットのRFIDタグの判読率が特定スポット位置情報と対応させて
示されている。また、90%超のRFIDタグ判読率を示したスポットは灰色で強調表示
されている。
【0029】
【表1】

【0030】
ステップAで達成された分析結果をさらに鮮明に示すには、ステップDは交信領域のサ
イズ、交信領域の形状、交信領域内の最良の配備スポット、交信領域内の最悪の配備スポ
ット等といった詳細な環境情報を用いて交信領域を視覚化するのが好ましい。この結果、
(図1に示されるように破線で囲まれている)ステップDは省略可能なステップであるが
、このステップにより最良の配備選択肢の検出を大幅に容易化できる。
【0031】
ステップAで得られた交信領域の分析結果は、例えば、図4に示されるように等高線図
の形態で表示される。既定の交信領域内の各スポットにおけるRFIDタグの判読率は、
別々のグレースケールで示される。また、図4から交信領域のサイズおよび形状を簡単に
読み取ることができ、交信領域内のRFIDタグの最良および最悪の配備スポットも明確
に検出できる。別の例として、ステップAで得られた交信領域の分析結果は、例えば、図
5に示されるように表面図の形態で同様に表示される。
【0032】
図1に示されるように、実線で囲まれているのでステップBは必須のステップである。
ステップBの目的は、目標物体が交信領域内に存在するときに、その目標物体上の種々の
配置位置と関連したRFIDタグの判読率を確認することである。
【0033】
一般にRFIDタグは経験に基づいて目標物体上に取り付けられる。1つの配置セット
と関連したRFIDアンテナがこのRFIDタグを読み取ることができると、この配置セ
ットはRFID配備のソリューションとして選択されるだろう。しかし、選択されたRF
ID選択肢の性能が交信領域の多種多様な環境要因および/または目標物体のさまざまな
材料によって不安定で、RFIDベースのシステム全体のRFID読取精度が最終的にひ
どく悪い場合がある。
【0034】
交信領域内でどの配置セットが読取可能であるか見分けるのみならず、交信領域内のR
FIDタグの判読率を定量的および定性的に測定するためにも、本発明では、図1に示さ
れるようにステップBを下記のサブステップに細分する。
【0035】
B-1.交信領域のゲートウェイの周辺に少なくとも1つのRFIDアンテナを配置す
るサブステップ。
B-2.1つの配置セットと関連した目標物体上に少なくとも1つのRFIDタグを配
置するサブステップ。
B-3.目標物体が交信領域のゲートウェイを通過している間にRFID読取データを
取り込み、配置セットと関連したRFIDの判読率をRFID読取データに基づいて確認
するサブステップ。
その後、別の配置セットと関連したサブステップB-2およびB-3を繰り返すサブステ
ップ。
【0036】
図6はステップB-1によるRFIDアンテナの配置を示し、図7-A〜図7-Fはステ
ップB-2にしたがってRFIDタグを配置するための6セットの配置を示す。
【0037】
図6に示されるように、3つのアンテナを備えたゲートウェイマウントが、ゲートウェ
イの片側に配置されており、アンテナの高さは、それぞれ、30cm、100cm、およ
び145cmである。
【0038】
RFIDタグは、種々の配置セットと関係する目標物体(カートン、パレット等)上に
取り付けられ、目標物体がゲートウェイを動的に通過しているときに、RFIDタグの判
読率と関係するRFID読取データがリアルタイムで取り込まれる。また、RFIDタグ
を配置するための各配置セットはRFIDタグの位置および配向を含む。さらに詳細に述
べると、3セットの位置は、目標物体の前面、目標物体の側面、および目標物体の角部と
定められ、同時に、各位置に適用可能な2セットの配向は、垂直および水平と定められる

【0039】
その結果、全部で6セットのRFIDタグを配置するための配置セットが存在する。図
7-Aに示されるように第1のセットでは位置が角部で配向が垂直であり、図7-Bに示さ
れるように第2のセットでは位置が角部で配向が水平であり、図7-Cに示されるように
第3のセットでは位置が側面で配向が水平であり、図7-Dに示されるように第4のセッ
トでは位置が側面で配向が垂直であり図7-Eに示されるように第5のセットでは位置が
前面で配向が垂直であり、図7-Fに示されるように第6のセットでは位置が前面で配向
が水平である。
【0040】
各配置セットと関連したRFIDタグの判読率を測定するために、パレット付きフォー
クリフトはステップB-3により5km/時でゲートウェイを通過している。各配置セッ
トと関連したRFIDタグの判読率を比較することによって、RFIDタグを配置するの
に最良の位置および配向を判断できる。
【0041】
図1に示されるように、ステップBで測定された各配置セットと関連したRFIDタグ
の判読率をグラフィックに視覚化するためにステップE(破線で囲まれている)が好適で
ある。また、さらに好適には、各配置セットに関連したRFIDタグの判読率は、図8〜
図12に示されるように時間に対する折れ線図の形態で表示される。x軸がRFIDアン
テナとRFIDタグとの間の種々のインタラクションを表し、y軸がアンテナによって検
出されたRFIDタグからの応答数を表しているので、折れ線グラフは時間に対するRF
IDタグの判読率を示している。また、曲線の形状は、RFIDタグがゲートウェイを通
過するときのRFIDタグの判読率を示す。
【0042】
異なる配向と関連したRFIDタグの判読率を比較するために、図8は、図7-Eに示
される第5の配置セットと関連したRFIDタグの判読率の折れ線グラフを示し、図9は
図7-Fに示される第6の配置セットと関連したRFIDタグの判読率の折れ線グラフを
示す。また、上記比較によって、水平配向に関連したRFIDタグの判読率が、垂直配向
よりも良いことが目で見て分かる。
【0043】
同様に、異なる位置と関連したRFIDタグの判読率を比較するために、図10は図7
-Aに示される第1の配置セットと関連するRFIDタグの判読率の折れ線グラフを示し
、図11は図7-Cに示される第3の配置セットと関連するRFIDタグの判読率の折れ
線グラフを示し、図12は図7-Eに示される第5の配置セットと関連するRFIDタグ
の判読率の折れ線グラフを示す。前面位置の判読率が最も悪いことが目で見て分かる。
【0044】
図13に示されているように、本発明によって提供されるRFID配備オプティマイザ
100の実施形態は、RFIDミドルウェア110と、データベース120とアナライザ
130と、オプティマイザ140と、ビジュアライザ150とを備えている。
【0045】
RFIDミドルウェア110はRFID装置900と通信して、RFID読取データを
データベース120に送る。
【0046】
データベース120は種々のRFID配備選択肢と関連したRFID読取データを格納
する。
【0047】
アナライザ130はデータベース120に格納されたRFID読取データを分析し、種
々のRFID配備選択肢と関連した対応性能を出す。好適には、アナライザ130は、R
FID装置が配備される交信領域を分析するための交信領域分析ユニット(IZA)13
1と、この交信領域内の種々の配置セットと関連したRFIDタグの判読率を確認するた
めのタグ配置分析ユニット(TPA)132とを備える。また、IZA131は、図1に
示されるステップA-3の実行中に主として動作しており、TPA132は、図1に示さ
れるステップB-3の実行中に主として動作している。
【0048】
オプティマイザ140は、種々のRFID配備選択肢と関連した全部の性能に基づいて
最良のRFID配備選択肢を選択するようにアナライザ130と接続する。オプティマイ
ザ140は、図1に示されるステップCの実行中に主として動作される。
【0049】
ビジュアライザ150は、アナライザ130によって出力された分析結果をグラフィッ
クに表示するようにアナライザ130と接続する。また、ビジュアライザ150は、図1
に示されるステップDおよびEの実行中に主として動作される。
【0050】
本発明によって提供されるRFID配備オプティマイザの主たる利点は次の通りである

【0051】
第1に、前述のRFID配備オプティマイザおよび方法は、環境効果および配備考察に
関する大量の有用データを迅速に検出および収集できる。これらのデータを用いて種々の
配備選択肢のRFID性能に関する豊富な情報が分析され、定量的および定性的な測定が
行われる。また、性能が悪い配備選択肢が排除され、RFID配備の総合性能および総合
精度が向上され保証される。
【0052】
第2に、前述RFID配備オプティマイザおよび方法は、別々の開発業者の別々のリー
ダおよびタグなどのハードウェアについて最良の組合せを見つけるために適用することも
できる。
【0053】
第3に、前述のRFID配備オプティマイザおよび方法は、RFID配備前の現地試験
に速やかに適用できる。特に、RFID配備に膨大な費用を要する場合、本発明は最良の
配備を見出し、迅速かつ自動的に危険を排除するように企業を支援することができる。
【0054】
本願明細書に記載された実施形態および実施例は、当業者が本発明を作成および使用で
きるように本発明およびその特定用途を最もよく説明するために示されたものである。し
かし、当業者には、前述の説明および実施例が説明および例示のためだけに示されている
ことが分かるであろう。記載されている説明は、開示された正確な形態に本発明を束縛ま
たは限定するものではない。上記教示内容に照らし、添付の請求項の精神から逸脱せずに
数多くの変更および変形が可能である。
【符号の説明】
【0055】
100: RFID配備オプティマイザ
110: RFIDミドルウェア
120: データベース
130: アナライザ
131: 交信領域分析ユニット
132: タグ配置分析ユニット
140: オプティマイザ
150: ビジュアライザ
900: RFID装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFIDアンテナとRFIDタグとを備えるRFID装置の配備を最適化する方法であ
って、
A.前記RFID装置が配備される交信領域を分析するステップと、
B.目標物体上の種々の配置セットと関連したRFIDタグの判読率を確認するステッ
プと、
C.前記ステップAの分析結果および前記ステップBで確認されたすべての前記RFI
Dタグの判読率に基づいて最良の配備選択肢を選択するステップと
を備える方法。
【請求項2】
前記ステップAが、
A−1.前記交信領域のゲートウェイの周辺に少なくとも1つのRFIDアンテナを配
置するサブステップと、
A−2.1つの配置セットに関連した交信領域内に少なくとも1つのRFIDタグを配
置するサブステップと、
A−3.前記少なくとも1つのRFIDアンテナのそれぞれと前記配置セットと関連し
た少なくとも1つのRFIDタグのそれぞれとの間のインタラクション成功率を記録する
サブステップと、
その後、別の配置セットに関連して前記サブステップA−2およびA−3を繰り返すサ
ブステップと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記RFIDタグが、交信領域に満遍なく及ぶn×m個(但し、n>1,m>1)のスポ
ットに配置される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記サブステップA−2が、前記1つの配置セットと関連した交信領域内に、m個のR
FIDタグを一列に配置して実行される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ステップAと前記ステップBの間に、別々のスポット下の少なくとも1つの範囲内
という観点から前記交信領域の分析結果をグラフィックに表示するステップDを含む、請
求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記交信領域の前記分析結果は、前記交信領域のサイズ/形状および/または前記交信
領域の最良/最悪の配備スポットを詳細に示すために等高線図の形態で表示される、請求
項5に記載の方法。
【請求項7】
前記交信領域の前記分析結果は、前記交信領域のサイズ/形状および/または前記交信
領域の最良/最悪の配備スポットを詳細に示すために表面図の形態で表示される、請求項
5に記載の方法。
【請求項8】
前記ステップBが、
B−1.前記交信領域の前記ゲートウェイの周辺に少なくとも1つのRFIDアンテナ
を配置するサブステップと、
B−2.1つの配置セットに関連した目標物体上に少なくとも1つのRFIDタグを配
置するサブステップと、
B−3.前記目標物体が前記交信領域の前記ゲートウェイを通過している間にRFID
読取データを取り込み、前記配置セットと関連したRFIDの判読率を前記RFID読取
データに基づいて確認するサブステップと、
その後、別の配置セットに関連してサブステップB−2およびB−3を繰り返すサブス
テップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
RFIDタグを配置するための各配置セットはRFIDタグの位置および配向に関する
ものである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記RFIDタグの位置が前記目標物体の前面である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記RFIDタグの位置が前記目標物体の側面である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記RFIDタグの位置が前記目標物体の角部である、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記RFIDタグの配向が垂直である、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記RFIDタグの配向が水平である、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記ステップBと前記ステップCの間に、各配置セットに関連したRFIDタグの判読
率をグラフィックに表示するステップEをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
各配置セットに関連したRFIDタグの判読率が、時間に対する折れ線グラフの形態で
表示される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
RFIDアンテナとRFIDタグとを備えたRFID装置の配備を最適化するRFID
配備オプティマイザであって、
前記RFID装置と通信してRFID読取データをデータベースに送るRFIDミドル
ウェアと、
種々のRFID配備選択肢と関連したRFID読取データを格納するデータベースと、
前記RFID読取データを分析して種々のRFID配備選択肢と関連した対応性能を出
すアナライザと、
種々のRFID配備選択肢と関連した全部の性能に基づいて最良のRFID配備選択肢
を選択するように前記アナライザと接続するオプティマイザと、
を備えるRFID配備オプティマイザ。
【請求項18】
前記アナライザは、RFID装置が配備される交信領域を分析するための交信領域分析
ユニットと、前記交信領域内の種々の配置セットに関連したRFIDタグの判読率を確認
するためのタグ配置分析ユニットとを備える、請求項17に記載のRFID配備オプティ
マイザ。
【請求項19】
前記RFID配備オプティマイザが、前記アナライザによって出力された分析結果をグ
ラフィックに表示するためのビジュアライザをさらに備える、請求項17に記載のRFI
D配備オプティマイザ。
【請求項20】
前記ビジュアライザは、前記交信領域のサイズ/形状および/または前記交信領域の最
良/最悪の配備スポットを詳細に示すために、前記交信領域の前記分析結果を等高線図の
形態で表示する、請求項19に記載のRFID配備オプティマイザ。
【請求項21】
前記ビジュアライザは、前記交信領域のサイズ/形状および/または前記交信領域の最
良/最悪の配備スポットを詳細に示すために、前記交信領域の前記分析結果を表面図の形
態で表示する、請求項19に記載のRFID配備オプティマイザ。
【請求項22】
前記ビジュアライザは、1つの配置セットと関連した時間に対するRFIDタグの判読
率を詳細に示すために、前記RFIDタグの判読率を折れ線グラフの形態で表示する、請
求項19に記載のRFID配備オプティマイザ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−54777(P2013−54777A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−267197(P2012−267197)
【出願日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【分割の表示】特願2009−543331(P2009−543331)の分割
【原出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(505456997)ザ ホンコン ポリテクニック ユニヴァーシティ (5)
【Fターム(参考)】