説明

RFIDリーダライタ装置

【課題】利便性の高いRFIDリーダライタ装置を提供する。
【解決手段】データ受信の場合(SB3)、対象となるRFIDリーダライタ装置1又は他のRFIDリーダライタ21が無線通信範囲内に入ったら(SB4)、通信対象から送信されたWriteデータを受信して、接続されたパソコン11のモニタに表示するとともにハードディスクに記憶等する(SB5)。一方、データセットの場合(SB3)、Readデータを入力する等してReadデータをセットし(SB6)、通信対象となるRFIDリーダライタ装置1又は他のRFIDリーダライタ21が無線通信範囲内に入った際には(SB7)、通信対象から送信されたReadeコマンドを受信して(SB8)、このReadeコマンドに従ってReadデータを送信する(SB9)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFIDタグとの間でデータを遣り取りするRFIDリーダライタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図5に示すように、RFIDタグカード801に内蔵されたRFIDタグとデータを遣り取りする際には、RFIDリーダライタ802が使用されていた。
【0003】
このRFIDリーダライタ802は、前記RFIDタグカード801内の前記RFIDタグとの間で電波を用いた通信を行うことによって、前記RFIDタグに記憶されたデータを読み出せるように構成されている。また、前記RFIDタグに対して書き込み用のデータを送信することによって、前記RFIDタグにデータを書き込んだり、前記RFIDタグに記憶されたデータを書き換えたりできるように構成されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来のRFIDリーダライタ802にあっては、通信対象がRFIDタグに限られていた。
【0005】
このため、他の用途に使用することができず、不便であった。
【0006】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、利便性の高いRFIDリーダライタ装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために本発明の請求項1記載のRFIDリーダライタ装置にあっては、RFIDタグと無線通信でデータを遣り取りするRFIDリーダライタ装置において、他のRFIDリーダライタからのデータを受信した際に、当該データに従ってRFIDタグと同様の動作を行うタグモードを備えている。
【0008】
すなわち、このRFIDリーダライタ装置は、RFIDタグと無線通信でデータを遣り取りする通常モードの他に、他のRFIDリーダライタからのデータを受信した際に、当該データに従ってRFIDタグと同様の動作を行うタグモードを備えている。
【0009】
このため、当該RFIDリーダライタ装置を、RFIDタグに成り済まして無線通信を行うことができる。
【0010】
また、請求項2のRFIDリーダライタ装置においては、他のRFIDリーダライタから送信されたデータを受信するとともに、前記他のRFIDリーダライタに対してデータを送信して、当該他のRFIDリーダライタと交信する交信モードを備えている。
【0011】
そして、本発明の請求項3記載のRFIDリーダライタ装置では、RFIDタグと無線通信でデータを遣り取りするRFIDリーダライタ装置において、他のRFIDリーダライタから送信されたデータを受信するとともに、前記他のRFIDリーダライタに対してデータを送信して、当該他のRFIDリーダライタと交信する交信モードを備えている。
【0012】
すなわち、前記請求項2及び請求項3のRFIDリーダライタ装置は、他のRFIDリーダライタからデータが送信された際に、これを受信するとともに、前記他のRFIDリーダライタに対してデータを送信することによって、当該他のRFIDリーダライタと交信することができる。
【0013】
これにより、他のRFIDリーダライタと対で使用することによって、RFIDデータの通信規格を利用した無線通信が可能となる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように本発明の請求項1のRFIDリーダライタ装置にあっては、他のRFIDリーダライタからのデータを受信した際に、当該データに従って動作することで、RFIDタグに成り済まして前記他のRFIDリーダライタと無線通信を行うことができる。
【0015】
このように、前記RFIDタグとデータの遣り取りを行う通常動作に加えて、前記他のRFIDリーダライタと通信を行うことができるため、他のRFIDリーダライタとの電波インターフェイスの確認など、測定器や評価機としても有効利用することができる。
【0016】
したがって、通信対象がRFIDタグに限られてしまう従来のRFIDリーダライタと比較して、他の用途に使用することができ、利便性が向上する。
【0017】
また、請求項2及び請求項3記載のRFIDリーダライタ装置においては、他のRFIDリーダライタを使用する、又は当該RFIDリーダライタ装置を一組使用することによって、RFIDデータの通信規格を利用した無線通信を行うことができる。
【0018】
これにより、非接触でのデータ通信が可能となるとともに、他のRFIDリーダライタと通信してデータの遣り取りを行うことができる。
【0019】
したがって、通信対象がRFIDタグに限られてしまう従来のRFIDリーダライタと比較して、他のRFIDリーダライタと無線通信する等、他の用途に使用することができ、利便性が向上する。
【0020】
このとき、請求項2のRFIDリーダライタ装置では、前記測定器や前記評価機などにも使用することができ、利便性のさらに向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の一実施の形態を図面に従って説明する。図1は、本実施の形態にかかるRFIDリーダライタ装置1の使用状態を示す図であり、該RFIDリーダライタ装置1は、RFIDタグカード2に内蔵されたRFIDタグ3とISO規格の無線通信でデータを遣り取りする装置である。
【0022】
ここで、RFIDとは、Radio Frequency Identificationの略語である。
【0023】
すなわち、前記RFIDタグカード2には、ICチップからなる前記RFIDタグ3が内蔵されており、該RFIDタグ3は、電波を用いることによってデータを非接触で読み書きできるように構成されている。
【0024】
また、前記RFIDリーダライタ装置1は、コマンドを電波に乗せて内蔵アンテナから前記RFIDタグ3に送信するとともに、当該コマンドに応答して前記RFIDタグ3から送信されたRFIDデータを受信するように構成されている。
【0025】
これにより、前記RFIDリーダライタ装置1から読み出し用のコマンドを電波に乗せて送信することで、前記RFIDタグ3のメモリに記憶された所定のデータを読み出したり、前記RFIDリーダライタ装置1から書き込み用のコマンド及び書込データを電波に乗せて送信することで、前記RFIDタグ3のメモリに前記書込データを記憶したり、メモリ内のデータを書き換えたりできるように構成されており、前記RFIDタグカード2に、情報を読み書きする通常モード5を実現できるように構成されている。
【0026】
前記RFIDリーダライタ装置1の主要部のハードウエア構成は、通常のRFIDリーダライタとほぼ同様に形成されており、当該RFIDリーダライタ装置1には、パソコン(PC)11と接続する為のコネクタ等が設けられている。これにより、前記RFIDリーダライタ装置1は前記パソコン11の操作に従って動作するように構成されており、例えば前記パソコン11からのデータを当該RFIDリーダライタ装置1から送信したり、該RFIDリーダライタ装置1で受信したデータを前記パソコン11で読み出してモニタに表示するとともに記憶装置に記憶することもできる。
【0027】
具体的には、当該RFIDリーダライタ装置1は、他のRFIDリーダライタ装置1から送信されたデータを受信するとともに、前記他のRFIDリーダライタ装置1に対してデータを送信して、当該他のRFIDリーダライタ装置1と交信する交信モード25を実現できるように構成されており、このようにRFIDリーダライタ装置1,1を一組使用したり、他のRFIDリーダライタ21を使用することによって、前記両RFIDリーダライタ装置1,1間、又は前記他のRFIDリーダライタ21との間において、無線によるデータ通信を行えるように構成されている。
【0028】
また、前記RFIDリーダライタ装置1は、他のRFIDリーダライタ21からのデータを受信した際に、当該データに従ってRFIDタグと同様の動作を行うタグモード31を実現できるように構成されている。
【0029】
具体的には、前記他のRFIDリーダライタ21から読み出し用のコマンドが電波によって送られてきた際には、これを受信するとともに、この受信したデータが示すコマンドに従って内蔵のメモリ41に記憶された所定のデータを抽出し要求した前記他のRFIDリーダライタ21に送信したり、該他のRFIDリーダライタ21から書き込み用のコマンド及び書込データが電波によって送られてきた際には、これを受信するとともに、このデータが示すコマンドに従って受信した前記書込データを内蔵のメモリ41に記憶したり、あるいはメモリ41内容を書き換えたりできるように構成されている。
【0030】
そして、前記RFIDリーダライタ装置1は、CPU(central processing unit)を中心に構成されており、該CPUは、ROMに記憶されたプログラムに従って動作するとともに、処理過程でのデータをRAMに記憶するように構成されている。前記ROMには、ISO(International Organization for Standardization)で定められたRFIDデータとして使用する規格データが記憶されており、当該RFIDリーダライタ装置1は、受信した電波を復調して符号化するとともに、この符号化データと前記ROMに記憶された前記規格データとを比較することで、適合した規格データを受信データとして採用するように構成されている。
【0031】
以上の構成に係る本実施の形態の動作を、前記CPUが実行する図2から図4のフローチャートに従って説明する。
【0032】
(通常モード)
【0033】
すなわち、図2に示したように、セットアップメニューにおいて(S1)、通常モード5である「モード1」が選択された際には(S2)、対象となるRFIDタグカード2内蔵のRFIDタグ3からデータを読み取るRead操作か、あるいは前記RFIDタグ3に対してデータを書き込むWrite操作かを判断し(S3)、Read操作の場合には、通信対象となるRFIDタグ3内蔵の前記RFIDタグカード2が無線通信範囲内に入ったことを検出するまで待機する(S4)。
【0034】
通信対象となるRFIDタグ3内蔵の前記RFIDタグカード2が無線通信範囲内に入ったことを検出した際には、前記RFIDタグ3に対して読み出し用のコマンドを送信すると、該RFIDタグ3は、内蔵のメモリから読み出したデータを送信するので、このデータを受信して読み込む(S5)。そして、前記RFIDタグ3から読み出したデータを、当該RFIDリーダライタ装置1に設けられた図外のモニタに表示した後(S6)、前記ステップS3へ移行する。
【0035】
一方、前記ステップS3において、Write操作の場合、当該RFIDリーダライタ装置1に設けられた図外の入力部から書込データを入力し(S7)、書込データが入力された際には、通信対象となるRFIDタグ3内蔵の前記RFIDタグカード2が無線通信範囲内に入ったことを検出するまで待機する(S8)。
【0036】
通信対象となるRFIDタグ3内蔵の前記RFIDタグカード2が無線通信範囲内に入った際には、前記RFIDタグ3に対して書き込み用のコマンドと共に前記書込データを送信して書込処理を行う(S9)。すると、該RFIDタグ3は、受信した書込データを前記コマンドに従ってメモリに書き込むとともに、その書込データを返信するので、この返信されたデータと送信した前記書込データとを比較する(S10)。
【0037】
その結果、返信されたデータと送信した前記書込データとが一致する場合には、前記ステップS3へ戻る一方、返信されたデータと送信した前記書込データとが一致しない場合には、前記モニタに「エラー」を表示して前記ステップS3へ移行する。
【0038】
これにより、前記RFIDタグ3と無線通信でデータを遣り取りする通常モード5を実現することができ、通常のRFIDリーダライタと同等の使用形態を形成することができる。
【0039】
(交信モード)
【0040】
また、図3に示すように、前述と同様のセットアップメニューにおいて(SB1)、交信モード25である「モード2」が選択された際には(SB2)、対象となるRFIDリーダライタ装置1又は他のRFIDリーダライタ21からのデータを受信するデータ受信か、あるいは前記RFIDリーダライタ装置1又は他のRFIDリーダライタ21に対してデータを送信するデータセットかを判断する(SB3)。
【0041】
このとき、データ受信の場合には、対象となるRFIDリーダライタ装置1又は他のRFIDリーダライタ21が無線通信範囲内に入ったことを検出するまで待機し(SB4)、対象となるRFIDリーダライタ装置1又は他のRFIDリーダライタ21が無線通信範囲内に入ったことを検出した際には、このRFIDリーダライタ装置1又は他のRFIDリーダライタ21から送信されたWriteデータを受信して、例えば接続されたパソコン11のモニタに表示するとともにハードディスク等の記憶装置に記憶して(SB5)、前記ステップSB3へ移行する。
【0042】
一方、前記ステップSB3において、前記RFIDリーダライタ装置1又は他のRFIDリーダライタ21に対してデータを送信するデータセットの場合には、当該RFIDリーダライタ装置1に接続されたパソコン11や図外の入力部からReadデータを入力する等してReadデータをセットし(SB6)、このReadデータがセットされた際には、通信対象となる前記RFIDリーダライタ装置1又は他のRFIDリーダライタ21が当該RFIDリーダライタ装置1の無線通信範囲内に入ったことを検出するまで待機する(SB7)。
【0043】
通信対象となる前記RFIDリーダライタ装置1又は他のRFIDリーダライタ21が無線通信範囲内に入ったことを検出した際には、通信対象である前記RFIDリーダライタ装置1又は他のRFIDリーダライタ21から送信されたReadeコマンドを受信し(SB8)、このReadeコマンドに従って前記パソコン11や当該RFIDリーダライタ装置1のメモリに記憶されたデータをReadデータとして送信要求した前記RFIDリーダライタ装置1又は他のRFIDリーダライタ21に対して送信して(SB9)、前記ステップSB3へ移行する。
【0044】
このように、対を成すRFIDリーダライタ装置1,1又は他のRFIDリーダライタ21を使用することによって、RFIDデータの通信規格を利用した無線通信が可能となり、無線による交信を行う交信モード25を実現することができる。
【0045】
これにより、非接触でのデータ通信が可能となるとともに、対を成す前記RFIDリーダライタ装置1又は他のRFIDリーダライタ21と通信してデータの遣り取りを行うことができる。
【0046】
したがって、通信対象がRFIDタグに限られてしまう従来のRFIDリーダライタと比較して、対を成す前記RFIDリーダライタ装置1や他のRFIDリーダライタ21と無線通信する等、他の用途に使用することができ、利便性が向上する。
【0047】
(タグモード)
【0048】
そして、図4に示すように、前述と同様のセットアップメニューにおいて(SC1)、タグモード31である「モード3」が選択された際には(SC2)、対象となる他のRFIDリーダライタ21による無線通信範囲内であることを検出するまで待機し(SC3)、対象となる他のRFIDリーダライタ21の無線通信範囲内であることを検出した場合には、当該他のRFIDリーダライタ21からデータ送信されたコマンドを受信する(SC4)。
【0049】
このコマンドを受信した際には、当該コマンドがReadコマンドであるか又はWriteコマンドであるかを判断し(SC5)、Readコマンドの場合には、このReadコマンドに従ってメモリ41等に記憶されたデータをReadデータとして要求した他のRFIDリーダライタ21に対して送信して(SC6)、前記ステップSC3へ移行する。
【0050】
前記ステップSC5において、Writeコマンドであると判断した際には、前記他のRFIDリーダライタ21からWriteデータを受信するまで待機する(SC7)。Writeデータを受信した際には、前記Writeコマンドに従って前記Writeデータを図外のモニタに表示して(SC8)、前記ステップSC3へ移行する。
【0051】
これにより、他のRFIDリーダライタ21からのデータを受信した際に、当該データに従ってRFIDタグと同様の動作を行うタグモード31を実現することができる。
【0052】
このため、当該RFIDリーダライタ装置1を、RFIDタグに成り済まして無線通信を行うことができる。
【0053】
このように、前記RFIDタグ3とデータの遣り取りを行う前記通常モード5に加えて、前記他のRFIDリーダライタ21と通信を行うことができるため、他のRFIDリーダライタ21との電波インターフェイスの確認など、測定器や評価機としても有効利用することができる。
【0054】
したがって、通信対象がRFIDタグに限られてしまう従来のRFIDリーダライタと比較して、他の用途に使用することができ、利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施の形態を示す説明図である。
【図2】同実施の形態の通常モードの動作を示すフローチャートである。
【図3】同実施の形態の交信モードの動作を示すフローチャートである。
【図4】同実施の形態のタグモードの動作を示すフローチャートである。
【図5】従来のRFIDリーダライタを示す説明図である。
【符号の説明】
【0056】
1 RFIDリーダライタ装置
3 RFIDタグ
5 通常モード
21 他のRFIDリーダライタ
25 交信モード
31 タグモード
41 メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFIDタグと無線通信でデータを遣り取りするRFIDリーダライタ装置において、
他のRFIDリーダライタからのデータを受信した際に、当該データに従ってRFIDタグと同様の動作を行うタグモードを備えたことを特徴とするRFIDリーダライタ装置。
【請求項2】
他のRFIDリーダライタから送信されたデータを受信するとともに、前記他のRFIDリーダライタに対してデータを送信して、当該他のRFIDリーダライタと交信する交信モードを備えたことを特徴とする請求項1記載のRFIDリーダライタ装置。
【請求項3】
RFIDタグと無線通信でデータを遣り取りするRFIDリーダライタ装置において、
他のRFIDリーダライタから送信されたデータを受信するとともに、前記他のRFIDリーダライタに対してデータを送信して、当該他のRFIDリーダライタと交信する交信モードを備えたことを特徴とするRFIDリーダライタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−197754(P2008−197754A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−29863(P2007−29863)
【出願日】平成19年2月9日(2007.2.9)
【出願人】(000210964)中央電子株式会社 (81)
【Fターム(参考)】