説明

RFIDリードライト装置

【課題】低コスト化を図ることができるRFIDリードライト装置を提供する。
【解決手段】各IDタグ11〜26に対応するとともに対応したIDタグのみとIDデータの遣り取りが行える第1〜第16のアンテナブロック31〜46を設ける。各アンテナブロック31〜46を、通信線51を介して互いに接続するとともに、コントローラ52に接続し、コントローラ52は、各アンテナブロック31〜46のそれぞれとデータの遣り取りを行う。コントローラ52を、通信回線53を介してホストマシン54に接続し、コントローラ52とホストマシン54とで通信できるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IDタグに記憶されたIDデータの読み込み及び書き込みを行うRFIDリードライト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、IDタグに記憶されたIDデータの読み込み及び書き込みを行う際には、図4に示すように、RFIDリードライト装置801が用いられていた。
【0003】
このRFIDリードライト装置801は、IDタグと通信する為のアンテナ811と、該アンテナ811との間でアナログデータを遣り取りするコントローラ812とによって構成されており、該コントローラ812は、ホストマシンに接続されるように構成されている。
【0004】
これにより、前記IDタグから送信されたIDデータを前記アンテナ811で受信した際には、この受信したアナログのIDデータを前記コントローラ812でデジタル化し、このデジタル化されたIDデータを前記ホストマシンに送信するように構成されている。
【0005】
一方、IDタグにIDデータを書き込む際には、ホストマシンから書き込み用のIDデータを前記コントローラ812に送信すると、該コントローラ812では、このIDデータをアナログ化して前記アンテナ811に送る。すると、該アンテナ811から前記IDタグに対してIDデータが送信され、当該IDデータが前記IDタグに書き込まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このようなRFIDリードライト装置801にあっては、アンテナ811とIDタグとが対応関係にあり、複数のIDタグと遣り取りする際には、各IDタグに対応した数のアンテナ811,・・・とコントローラ812,・・・とが必要となる。同様に、各コントローラ812,・・・とホストマシンとを接続する接続ラインや接続ポートもIDタグの数に合わせて用意する必要があった。
【0007】
これにより、システムのコストが増大するという問題があった。
【0008】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、低コスト化を図ることができるRFIDリードライト装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために本発明の請求項1のRFIDリードライト装置にあっては、複数のIDタグに対してIDデータを読み書きするRFIDリードライト装置において、読み書き対象とする総てのIDタグにそれぞれ対応したアンテナブロックと、前記各アンテナブロックに接続され各アンテナブロックのそれぞれとデータの遣り取りを行うとともに、ホストマシンと通信可能に接続されるコントローラと、を備えている。
【0010】
すなわち、本発明のRFIDリードライト装置は、読み書き対象とする総てのIDタグと同数のアンテナブロックと、各アンテナブロックに接続され各アンテナブロックのそれぞれとデータの遣り取りを行う単一のコントローラとによって構成されている。
【0011】
そして、前記各アンテナブロックとホストマシンとの遣り取りは、前記コントローラを介して行われる。
【0012】
また、請求項2のRFIDリードライト装置においては、前記アンテナブロックは、対応するIDタグからIDデータを受信した際に、該IDデータを前記コントローラへ送信する一方、前記コントローラは、前記アンテナブロックから送信されたIDデータを受信した際に、該IDデータを送信したアンテナブロックを示す識別子と共に当該IDデータを前記ホストマシンに送信する読取データ転送手段と、書き込み用のIDデータを特定のIDタグに対して書き込む旨のコマンドを前記ホストマシンから受信した際に、前記特定のIDタグに対応するアンテナブロックに対して前記書き込み用のIDデータを送信する書込データ転送手段とを備えている。
【0013】
すなわち、前記アンテナブロックにおいて、対応するIDタグからIDデータを受信した際には、該IDデータを前記コントローラへ送信する。すると、このIDデータを受信したコントローラにおいては、IDデータを送信したアンテナブロックを示す識別子と共に当該IDデータを前記ホストマシンに送信する。
【0014】
これにより、ホストマシンでは、どのIDタグから、どのようなIDデータが送られて来かが確認される。
【0015】
一方、書き込み用のIDデータを特定のIDタグに対して書き込む旨のコマンドが前記ホストマシンから送られて来た際には、前記特定のIDタグに対応するアンテナブロックに対して前記書き込み用のIDデータを送信する。
【0016】
このとき、IDタグとアンテナとは、対応関係にある。このため、ホストマシンで特定したIDタグに前記書き込み用のIDデータが書き込まれる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明の請求項1のRFIDリードライト装置にあっては、読み書き対象とする総てのIDタグと同数のアンテナブロックと、各アンテナブロックに接続され各アンテナブロックのそれぞれとデータの遣り取りを行う単一のコントローラとによって、複数のIDタグに対してIDデータを読み書きするRFIDリードライト装置を構成することができる。
【0018】
このため、読み書き対象となるIDタグと同数のコントローラを必要とした従来と比較して、コントローラの数を削減することができ、低コスト化を実現することができる。
【0019】
同様に、前記コントローラとホストマシンとを接続する接続ラインや接続ポート数も削減することができる。
【0020】
また、請求項2のRFIDリードライト装置においては、アンテナブロックを示す識別子を用いることによって、ホストマシンでは、どのIDタグから、どのようなIDデータが送られて来かを確認することができる。
【0021】
このため、読み書き対象となるIDタグを増加した場合であっても、該IDタグに対応するアンテナブロックを増設するとともに、このアンテナブロックの識別子をホストマシンに登録するだけで、これに対応することができる。
【0022】
一方、書き込み用のIDデータを特定のIDタグに書き込む際には、この特定のIDタグに対応するアンテナブロックに対して前記書き込み用のIDデータを送信することで、特定したIDタグに前記書き込み用のIDデータを書き込むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の一実施の形態を図面に従って説明する。図1は、本実施の形態にかかるRFIDリードライト装置1を示す図であり、該RFIDリードライト装置1は、IDタグに記憶されたIDデータの読み込みや書き込みを行う装置である。
【0024】
このRFIDリードライト装置1は、RFID(Radio Frequency Identification)方式によって第1〜第16のIDタグ11〜26に対してIDデータを読み書きできるように構成されており、前記各IDタグ11〜26に対応するとともに、対応したIDタグのみとIDデータの遣り取りが行える第1〜第16のアンテナブロック31〜46を備えている。
【0025】
各アンテナブロック31〜46は、通信線51を介して互いに接続されるとともに、コントローラ52に接続されており、該コントローラ52は、前記各アンテナブロック31〜46のそれぞれとデータの遣り取りを行えるように構成されている。このコントローラ52は、通信回線53を介してホストマシン54に接続されており、該ホストマシン54と通信できるように構成されている。
【0026】
図2は、その詳細を示す図であり(第1のアンテナブロック31のみを図示)、前記各アンテナブロック31〜46を構成するアンテナ基板61には、対応したIDタグ11と電波で遣り取りする為のアンテナ62が形成されている。このアンテナ62は、アナログ制御部63が接続されており、該アナログ制御部63は、通信用の電波を送受信す為の変調回路や復調回路及び受信アンプ等で構成されている。
【0027】
このアナログ制御部63には、デジタル制御部71が接続されており、前記IDタグ11からIDデータを受信した際に、これを復調してアナログのIDデータとして前記デジタル制御部71へ出力するように構成されている。また、前記デジタル制御部71から書き込み用のIDデータが入力された際には、これをASK変調してアンテナ62から出力するように構成されている。
【0028】
前記デジタル制御部71は、A/D変換部やD/A変換部を備えており、当該デジタル制御部71は、前記コントローラ52と通信する為の通信ドライバ72に接続されている。これにより、前記デジタル制御部71は、前記アナログ制御部63から送られて来たアナログのIDデータを前記A/D変換部でデジタル化して前記通信ドライバ72へ出力する一方、該通信ドライバ72から送られて来たデジタルのIDデータをD/A変換部でアナログ化して、前記アナログ制御部63へ出力するように構成されている。
【0029】
そして、デジタル制御部71には、アドレス設定部81が接続されており、当該アンテナ基板61を識別する為の識別子としてのターミナルアドレスを設定できるように構成されている。これにより、前記通信ドライバ72は、前記コントローラ52と通信する際に、前記アドレス設定部81で設定された前記ターミナルアドレスを通信データに付加するように構成されている。
【0030】
また、前記コントローラ52を構成するコントローラ基板91には、前記各アンテナブロック31〜46と通信する為の通信ドライバ92が設けられており、該通信ドライバ92は、デジタル制御部93に接続されている。
【0031】
該デジタル制御部93は、マイコンを中心に構成されており、前記通信ドライバ92を介して前記各アンテナブロック31〜46に対して常時ポーリングセレクションを行うように構成されている。また、このデジタル制御部93は、各アンテナブロック31〜46からIDデータを受信した際に、該IDデータを送信したアンテナブロック31〜46のターミナルアドレスを、受信したIDデータと共に、ホスト通信ドライバ101を介して、前記ホストマシン54へ送信するように構成されている。
【0032】
また、前記デジタル制御部93は、前記ホストマシン54から送られて来たコマンドを前記ホスト通信ドライバ101を介して受信するとともに、このコマンドに応じた処理、例えばホストマシン54より特定のIDタグに対してIDデータを書き込む旨の書込コマンドが送られて来た際には、この特定されたIDタグに対応するアンテナブロックに対して書き込み用のIDデータを、前記通信ドライバ92を介して送信するように構成されている。
【0033】
図3は、当該RFIDリードライト装置1の動作を示すフローチャートであり、前記コントローラ52は、前記各アンテナブロック31〜46を構成するアンテナ基板61に対して常時ポーリングセレクションを行い(S1)、総てのアンテナブロック31〜46のポーリングを一巡した際には、各アンテナブロック31〜46からIDデータが送信されたか否かを判断する(S2)。
【0034】
この判断において、いずれのアンテナブロック31〜46からもIDデータが送信されていない場合には、ステップS4へ分岐する一方、いずれかのアンテナブロック31〜46からIDデータが送信された場合には、このIDデータを付加されたターミナルアドレスと共に受信し、このアンテナブロックを示す識別子としての前記ターミナルアドレスを、当該IDデータと共に前記ホストマシン54に送信する(S3)。
【0035】
次に、前記コントローラ52は、前記ホストマシン54から書込コマンドが送られて来たか否かを判断し(S4)、書込コマンドが送られて来ない場合には、前記ステップS1へ分岐する。このとき、前記ホストマシン54から前記書込コマンドが送られて来た場合には、この書込コマンドに付加された書き込み用のIDデータと、当該IDデータの書込対象となるIDタグを示す識別番号とを受信するとともに、この識別番号が示すIDタグに対応するアンテナブロックのターミナルアドレスを抽出し、このターミナルアドレスのアンテナブロックのアンテナ基板61に対して前記書き込み用のIDデータを送信した後(S5)、前記ステップS1へ移行する。
【0036】
すると、この書き込み用のIDデータを受信したアンテナ基板61では、前記IDデータをアナログ化してアンテナ62から出力することによって、当該アンテナブロックに対応するIDタグに前記IDデータが書き込まれる。
【0037】
以上の構成において、読み書き対象とする総てのIDタグ11〜26と同数のアンテナブロック31〜46と、各アンテナブロック31〜46に接続され各アンテナブロック31〜46のそれぞれとデータの遣り取りを行う一つのコントローラ52とによって、複数のIDタグ11〜26に対してIDデータを読み書きするRFIDリードライト装置1を構成することができる。
【0038】
このため、読み書き対象となるIDタグ11〜26と同数のコントローラを必要とした従来と比較して、コントローラ52の数を削減することができ、低コスト化を実現することができる。
【0039】
同様に、前記コントローラ52とホストマシン54とを接続する通信回線53やホストマシン54での接続ポート数も削減することができる。
【0040】
前記コントローラ52と前記ホストマシン54との通信において、各アンテナブロック31〜46を示す識別子としてのターミナルアドレスを用いることによって、前記ホストマシン54では、どのIDタグから、どのようなIDデータが送られて来かを確認することができる。
【0041】
このため、読み書き対象となるIDタグを増加した場合であっても、該IDタグに対応するアンテナブロックを増設するとともに、このアンテナブロックに設定したターミナルアドレスをホストマシン54に登録するだけで、これに対応することができる。
【0042】
一方、書き込み用のIDデータを特定のIDタグに書き込む際には、この特定のIDタグに対応するアンテナブロックに対して前記書き込み用のIDデータを送信することにより、特定したIDタグに前記書き込み用のIDデータを書き込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施の形態を示すブロック図である。
【図2】同実施の形態の詳細を示すブロック図である。
【図3】同実施の形態の動作を示すフローチャートである。
【図4】従来のRFIDリードライト装置を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0044】
1 RFIDリードライト装置
11 第1のIDタグ
31 第1のアンテナブロック
54 ホストマシン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のIDタグに対してIDデータを読み書きするRFIDリードライト装置において、
読み書き対象とする総てのIDタグにそれぞれ対応したアンテナブロックと、
前記各アンテナブロックに接続され各アンテナブロックのそれぞれとデータの遣り取りを行うとともに、ホストマシンと通信可能に接続されるコントローラと、
を備えたことを特徴とするRFIDリードライト装置。
【請求項2】
前記アンテナブロックは、対応するIDタグからIDデータを受信した際に、該IDデータを前記コントローラへ送信する一方、
前記コントローラは、
前記アンテナブロックから送信されたIDデータを受信した際に、該IDデータを送信したアンテナブロックを示す識別子と共に当該IDデータを前記ホストマシンに送信する読取データ転送手段と、
書き込み用のIDデータを特定のIDタグに対して書き込む旨のコマンドを前記ホストマシンから受信した際に、前記特定のIDタグに対応するアンテナブロックに対して前記書き込み用のIDデータを送信する書込データ転送手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1記載のRFIDリードライト装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−148742(P2007−148742A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−341823(P2005−341823)
【出願日】平成17年11月28日(2005.11.28)
【出願人】(000210964)中央電子株式会社 (81)
【Fターム(参考)】