説明

SPSモジュール検査システム

【課題】受信機に搭載したSPSモジュールの性能を検査することができるSPSモジュール検査システムを提供すること。
【解決手段】SPS(Satellite Positioning System)モジュール22を端末装置20に配置した状態で検査するSPSモジュール検査システム10であって、SPSモジュール22の内部クロック26の基準となる基準周波数電波を発生する基準周波数電波発生手段32と、SPSモジュール22の検査を実施する検査プログラム50と、検査プログラム50を制御する制御プログラム42と、各SPS衛星ごとに固有なC/A(Coarse and Acquisition)コードを含むSPS信号を発信するSPS信号発信手段30と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SPS(Satellite Positioning System)衛星からの測位用信号を受信するSPSモジュールの検査システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、人工衛星を利用した衛星航法システムであるSPS(Satellite Positioning System)を利用して受信機の現在位置を測位する測位システムが実用化されている。
ここで、実際に人工衛星から送信される信号ではなくて、模擬信号を受信機に受信させて受信機の性能を検査する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2004−309307号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、受信機の中枢部品である信号受信モジュール(以下、「SPSモジュール」と呼ぶ)の生産メーカー(以下、モジュールメーカーと呼ぶ)と、そのSPSモジュールを搭載する受信機の生産メーカー(以下、受信機メーカーと呼ぶ)が異なる場合がある。この場合、受信機メーカーにおいて、SPSモジュールの検査結果が合格であったとしても、そのSPSモジュールを受信機に搭載した場合に性能が発揮できるとは限らないという問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、受信機に搭載したSPSモジュールの性能を検査することができるSPSモジュール検査システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的は、第1の発明によれば、SPS(Satellite Positioning System)モジュールを端末装置に配置した状態で検査するSPSモジュール検査システムであって、前記SPSモジュールの内部クロックの基準となる基準周波数電波を発生する基準周波数電波発生手段と、前記SPSモジュールの検査を実施する検査プログラムと、前記検査プログラムを制御する制御プログラムと、各SPS衛星ごとに固有なC/A(Coarse and Acquisition)コードを含むSPS信号を発信するSPS信号発信手段と、を有することを特徴とするSPSモジュール検査システムにより達成される。
【0006】
第1の発明の構成によれば、受信機に搭載したSPSモジュール検査することができる。
【0007】
第2の発明は、第1の発明の構成において、前記基準周波数電波発生手段は、前記端末装置の外部の基準周波数発生装置であることを特徴とするSPSモジュール検査システムである。
第2の発明の構成によれば、前記端末装置の内部に、基準周波数発生装置を配置する必要がない。
【0008】
第3の発明は、第1の発明又は第2の発明の構成において、前記制御プログラムが、前記端末装置の外部のコンピュータに配置されており、前記検査プログラムが、前記端末装置に配置されていることを特徴とする請求項1及び請求項2のいずれかに記載のSPSモジュール検査システムである。
【0009】
第3の発明の構成によれば、前記検査プログラムが前記端末装置に配置された状態で、前記SPSモジュールを検査することができる。
【0010】
第4の発明は、第1の発明又は第2の発明の構成において、前記制御プログラムと前記検査プログラムが共に、前記コンピュータに配置されていることを特徴とするSPSモジュール検査システムである。
【0011】
第4の発明の構成によれば、前記制御プログラムと前記検査プログラムが共に前記端末装置に配置された状態で、前記SPSモジュールを検査することができる。
【0012】
第5の発明は、第1の発明乃至第4の発明のいずれかの構成において、前記C/Aコードは、極性が頻繁に入れ替わる検査用航法データによって極性変換されていることを特徴とするSPSモジュール検査システムである。
【0013】
第5の発明の構成によれば、前記C/Aコードを容易に検出することができるから、効率的に前記SPSモジュールを検査することができる。
【0014】
第6の発明は、第1の発明乃至第5の発明のいずれかの構成において、前記SPS信号の信号強度を切り替えるタイミングを通知する切り替えタイミング通知手段と、前記切り替えタイミング通知手段の通知に基づいて、前記SPS信号の信号強度を自動的に切り替える信号強度自動切り替え手段と、を有することを特徴とするSPSモジュール検査システムである。
【0015】
第6の発明の構成によれば、無駄な時間を消費することなく、前記SPS信号の信号強度を切り替えて、前記SPSモジュールを検査することができる。
【0016】
第7の発明は、第1の発明乃至第6の発明のいずれかの構成において、前記検査プログラムは、前記SPSモジュールの内部クロックのドリフト算出機能を検査するドリフト検査プログラムを含むことを特徴とするSPSモジュール検査システムである。
【0017】
第8の発明は、第1の発明乃至第7の発明のいずれかの構成において、前記検査プログラムは、前記SPSモジュールのAGC(Automatic Gain Controller)を検査するAGC検査プログラムを含むことを特徴とするSPSモジュール検査システムである。
【0018】
第9の発明は、第8の発明の構成において、前記AGCの検査においては、キャリア(Carrier)が使用されることを特徴とするSPSモジュール検査システムである。
【0019】
第9の発明の構成によれば、前記SPSモジュールが外部の電波を受信することができるか否かについて、簡易な構成の電波を使用して検査することができる。
【0020】
第10の発明は、第1の発明乃至第9の発明のいずれかの構成において、前記検査プログラムは、前記端末装置の時計を検査する時計検査プログラムを含むことを特徴とするSPSモジュール検査システムである。
【0021】
第11の発明は、第1の発明乃至第10の発明のいずれかの構成において、前記検査プログラムは、前記端末装置のシリアル受信を検査するシリアル受信検査プログラムを含むことを特徴とするSPSモジュール検査システムである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、この発明の好適な実施の形態を添付図面等を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0023】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態のGPS(Global Satellite System)モジュール検査システム10(図2参照)において検査対象となるGPSモジュール22(図2参照)を搭載した端末20等を示す概略図である。GPSモジュール検査システム10は、SPSモジュール検査システムの一例である。GPSモジュール22は、SPSモジュールの一例である。端末20は、端末装置の一例である。
図1に示すように、端末20は、SPS衛星である例えば、GPS衛星12a,12b,12c,12d,12e,12f,12g及び12hから、電波G1,G2,G3,G4,G5,G6,G7及びG8を受信することができる。なお、測位衛星は、GPS衛星に限らず、広くSPSにおいて使用される衛星であってもよい。端末20は、端末装置の一例である。
なお、GPS12a等は、例えば、32個存在するが、図示を省略する。
電波G1等には各種のコード(符号)が乗せられている。そのうちの一つがC/AコードScaである。このC/AコードScaは、1.023Mbpsのビット率、1,023bit(=1msec)のビット長の信号である。C/AコードScaは、1,023チップ(chip)で構成されている。端末20は、このC/Aコードを使用して現在位置の測位を行う。
【0024】
また、電波G1等に乗せられる情報として、アルマナックSal及びエフェメリスSehがある。アルマナックSalはすべてのGPS衛星12a等の概略の衛星軌道を示す情報であり、エフェメリスSehは各GPS衛星12a等の精密な衛星軌道を示す情報である。アルマナックSal及びエフェメリスSehを総称して航法メッセージと呼ぶ。
【0025】
端末20は、例えば、3個以上の異なるGPS衛星12a等からのC/Aコードのコードフェーズ(位相)を特定して、各GPS衛星12a等と端末20との擬似距離を算出し、その擬似距離を使用して現在位置を測位することができるようになっている。
【0026】
なお、本実施の形態とは異なり、端末20は、例えば、携帯電話の通信基地局からの電波を使用して測位を行うようにしてもよい。
【0027】
図2は、本発明の実施の形態のGPSモジュール検査システム10(以下、「検査システム10」と呼ぶ)を示す概略図である。
図2に示すように、検査システム10は、GPSモジュール22を端末20に配置した状態で検査対象とする。
端末20は、外部からの信号を受信するアンテナ24を有する。
また、端末20は、局部発振器であるクロック26を有する。クロック26は、例えば、XO(Crystal Oscillator)である。クロック26は、内部クロックの一例である。
また、端末20は、データ送信プログラム28を有する。データ送信プログラム28については、後述する。
【0028】
図2に示すように、検査システム10は、信号S1を発信する信号発生装置30を有する。信号発生装置30は、各GPS衛星12a等(図1参照)ごとに固有なC/Aコードを含む信号S1を発生することができる。信号S1は、SPS信号の一例である。
信号発生装置30は、各GPS衛星12a等のうち、一度に1つのGPS衛星12a等の信号S1等のレプリカ信号を発生することができる。すなわち、信号発生装置30は、1チャンネルの発信装置である。
【0029】
図2に示すように、検査システム10は、基準電波RWを発信する基準電波発信装置32を有する。基準電波RWは、精度の高い周波数を有する。この基準周波数電波RWは、基準周波数電波の一例である。そして、基準電波発信装置32は、基準周波数電波発信手段の一例である。
基準電波RWは、クロック26の基準となる。言い換えると、クロック26は、基準電波RWを受信して、クロック26自身の周波数を補正することができる。
このように、基準電波発信装置32は、端末20の外部に配置されている。
【0030】
図2に示すように、検査システム10は、PC(Personal Computer)40を有する。PC40は、制御プログラム42、信号強度調整プログラム44及び検査プログラム50を有する。制御プログラム42は、PC40のOS(Operating Sysytem)上で動作し、検査プログラム50を制御する。PC40は、コンピュータの一例である。検査プログラム50は、制御プログラム42を介して実行される。
検査プログラム50は、GPSモジュール22の検査を実施するプログラムである。この検査プログラム50は、検査プログラムの一例である。上述の制御プログラム40は、制御プログラムの一例である。
【0031】
図2に示すように、制御プログラム42が、端末20の外部のPC40に配置されている。そして、制御プログラム42と検査プログラム50が共に、PC40に配置されている。
そして、データ送信プログラム28が、検査プログラム50を制御する制御プログラム42からの信号をGPSモジュール22に転送するようになっている。
また、制御プログラム42は、検査プログラム50の指示によって、各種処理を行うようになっている。具体的には、コールバック関数を使用するが、その詳細な説明は省略する。
【0032】
図3は、信号S1等を示す概略図である。
図3(a)に示すように、信号S1に乗せられているC/Aコードは、検査用航法データSnavと掛け合わされて極性変換されている。検査用航法データSnavは、検査用航法データの一例である。
図3(a)に示すように、検査用航法データSnavは、極性が頻繁に入れ替わるように構成されている。具体的には、検査用航法データSnavは、「0」と「1」とが、交互に入れ替わるように構成されている。
【0033】
これに対して、図3(b)は、通常の航法データの概念図である。通常の航法データは、極性は入れ替わるが、頻繁であるとは限らない。
そして、航法データの極性が頻繁に入れ替わるほど、C/Aコードの開始点が検出され易くなる。
このため、図3(a)に示すように、C/Aコードを検査用航法データSnavで極性変換することによって、効率的にC/Aコードの受信検査を実施することができる。
【0034】
図4は、検査プログラム50の説明図である。
図4に示すように、検査プログラム50は、屋外測定プログラム100を含む。
屋外測定プログラム100によって実施される検査は、強信号(−130dBm程度)下での測位を想定した検査であり、設定された測定時間において検査を行う。測定時間及び測定回数が設定できるようになっており、得られたSNR(Signal to Noise Ratio)を評価するようになっている。そして、SNRが所定の閾値を上回った場合に、合格であると判断されるようになっている。
なお、本実施の形態とは異なり、SNRが予め規定した範囲内(下限閾値と上限閾値によって規定される範囲)になった場合に、合格であると判断するようにしてもよい。
【0035】
図4に示すように、検査プログラム50は、屋内測定プログラム102を含む。
屋内測定プログラム102によって実施される検査は、弱信号(−140dBm以下)下での測位を想定した検査であり、設定された積算時間において検査を行う。屋内測定プログラム102の内容は、検査時間以外は、上述の屋外測定プログラム100と同様である。
上述の屋外測定プログラム100と屋内測定プログラム102に基づく検査を総称して、感度検査とも呼ぶ。
なお、本実施の形態においては、屋外測定プログラム100の「測定時間」と、屋内測定プログラム102の「積算時間」は同義で使用する。
【0036】
図4に示すように、検査プログラム50は、ドリフト算出検査プログラム104を含む。ドリフト算出検査プログラム104は、GPSモジュール22の内部クロックのドリフト算出機能を検査するためのプログラムである。ドリフト算出検査プログラム104は、ドリフト検査プログラムの一例である。
【0037】
図4に示すように、検査プログラム50は、時計検査プログラム106を含む。時計検査プログラム106は、端末20のRTC(Real Time Clock)(図示せず)の動作を検査するためのプログラムである。時計検査プログラム106は、時計検査プログラムの一例である。
RTCは、GPSモジュール22の外部であって、端末20内部に配置されている。例えば、1秒間におけるRTCのカウント値を測定し、カウント値が増加していれば、合格であると判断される。
【0038】
図4に示すように、検査プログラム50は、AGC検査プログラム108を含む。AGC検査プログラム108は、GPSモジュール22のAGCの動作を検査するためのプログラムである。AGC検査プログラム108は、AGC検査プログラムの一例である。
端末20に入力する信号の信号強度を変化させた場合に、出力が特定領域で安定していれば、合格であると判断される。
なお、AGC検査のために使用する電波は、C/Aコードを含まなくてもよく、純粋なキャリア(Carrier)であってもよい。これにより、GPSモジュールが外部の信号を受信することができるか否かについて、簡易な構成の電波を使用して検査することができる。
【0039】
図4に示すように、検査プログラム50は、シリアル受信検査プログラム110を含む。シリアル受信検査プログラム110は、端末20のシリアル受信を検査するためのプログラムである。シリアル受信検査プログラム110は、シリアル受信検査プログラムの一例である。
一定時間に受信したバイト(byte)数を判定し、全くバイトを受信しない場合や、一定のバイトを受信したとしても発信したバイト数と異なる場合に、不合格と判断される。
【0040】
図4に示すように、検査プログラム50は、信号強度切替タイミング通知プログラム112を含む。信号強度切替タイミング通知プログラム112は、信号S1の信号強度を切り替えるタイミング(以下、「切替タイミング」と呼ぶ)を通知するためのプログラムである。信号強度切替タイミング通知プログラム112は、切替タイミング通知手段の一例である。
具体的には、屋外測定検査が、設定された測定時間に基づき終了した後に、切替タイミングを通知するようになっている。
【0041】
図4に示すように、検査プログラム50は、信号強度切替プログラム114を含む。信号強度切替プログラム114は、切替タイミングの通知に基づいて、信号S1の信号強度を自動的に切り替えるためのプログラムである。信号強度切替プログラム114は、信号強度切替手段の一例である。
【0042】
以下、検査システム10の設定について説明する。
図5、図6、図7、図8及び図9は、設定画面の一例を示す図である。
図5に示すように、設定画面(1)においては、衛星番号の選択、検査項目等の設定をすることができる。
衛星番号は、GPS衛星12a等のいずれかを示す番号である。設定された衛星番号に対応して、信号発生装置30が発生する信号S1に含まれるC/Aコードが決定され、また、GPSモジュール22が使用するレプリカC/Aコードが決定される。
【0043】
検査項目は、屋外測定検査を実施するか否か、屋内測定検査を実施するか否か、ドリフト算出検査を実施するか否か、時計検査を実施するか否か、AGC検査を実施するか否か、シリアル受信検査を実施するか否かを含む。
【0044】
また、設定画面(1)においては、AGC設定、シリアル受信制限を設定することができる。
シリアル受信制限は、シリアル受信時のエラーを判断する閾値(時間又は回数)を設定するものである。このシリアル受信制限は、受信時の無限ループを阻止するためのものである。そして、上述のシリアル受信時のエラーを判断するための時間又は回数の閾値は、特定時間受信動作が行えなくなった場合にエラーとするための指標である。
【0045】
図6に示すように、設定画面(2)においては、終了条件、ドリフト利用、信号損失を設定することができる。終了条件の設定においては、いずれか1つの検査項目において不合格であれば検査全体を終了するか、あるいは、いずれか1つの検査項目において不合格であっても検査を継続するか、を設定することができる。
ドリフト利用の設定においては、ドリフトを屋外測定検査及び屋内測定検査に利用するか否かを設定することができる。
信号損失の設定においては、端末20内部の信号損失を設定することができる。
【0046】
図7に示すように、設定画面(3)においては、信号強度、測定時間(屋外測定)、積算時間(屋内測定)、SNR許容値の設定をすることができる。
信号強度としては、屋外測定検査の場合、マイナス(−)120乃至マイナス(−)130dBmの信号強度を設定することができる。そして、屋内測定検査の場合、マイナス(−)136乃至マイナス(−)160dBmの信号強度を設定することができる。
【0047】
測定時間及び積算時間としては、1秒(s)乃至64秒(s)の時間を設定することができる。なお、積算時間(及び測定時間)とは、相関処理におけるコヒーレント処理とインコヒーレント処理のうち、インコヒーレント処理を行う時間を意味する。
【0048】
SNR許容値として、0乃至20dBを設定することができる。
【0049】
図8に示すように、設定画面(4)においては、VCO周波数、VCOエラー判定値、VCO想定エラー及びVCO入力時間を設定することができる。
VCO周波数として、10乃至26.5MHzを設定することができる。
VCOエラー判定値として、0乃至31.999ppmを設定することができる。
VCO想定エラーとして、0乃至31.999ppmを設定することができる。
VCO入力時間として、任意の時間を設定することができる。
【0050】
図9に示すように、設定画面(5)においては、AGC調整値、判定下限閾値、判定上限閾値として、それぞれ0乃至4095の値を設定することができる。
【0051】
図10は、エラーコードの一例を示す図である。
図10に示すように、状態や、屋外測定等の不合格の検査結果、検査項目の設定の誤り等がそれぞれ異なるエラーコードによって出力される。
【0052】
コールバックについては、コールバックの戻り値でエラー発生の場合、強制終了の場合に、それぞれ異なるエラーコードが出力される。
【0053】
シリアル受信については、シリアル受信で設定回数以上受信データが0バイトである場合、シリアルチェックサムエラーの場合に、それぞれ異なるエラーコードが出力される。
【0054】
AGCについては、PCM値が基準外の場合、AGC内部エラー(AGCレンジ外)の場合に、それぞれ異なるエラーコードが出力される。PCM値は、AGCのゲイン制御を行うパラメータである。例えば、AGCから出力される電圧0ボルト(V)に対して「0」、2.5ボルト(V)に対して「2000」という数値(PCM値)を対応させる。例えば、0以上2000の範囲内ではない値がPCM値として設定された場合には、PCM値が基準外となる。
【0055】
さらに、ドリフト算出のエラー、時計検査のエラー、検査項目設定エラーについて、それぞれ異なるエラーコードが出力される。
【0056】
次に、検査システム10が出力するエラーコード以外の情報について、図11及び図12を使用して説明する。
【0057】
図11は、トラッキング情報の一例を示す図である。
トラッキング情報として、トラッキングしている衛星番号、屋外測定・屋内測定の区別、タイムタグ、積算時間(インコヒーレント時間)、SNR、ドップラー及びコードフェーズが出力される。
【0058】
図12は、AGC情報の一例を示す図である。
図12に示すように、AGC情報として、AGC動作設定に関するパラメータ出力値が出力される。
【0059】
検査システム10は、上述のように構成されている。
上述のように、検査システム10において、受信機(端末20)に搭載したGPSモジュール20を検査することができる。
【0060】
また、基準電波発信装置32が端末20の外部に配置されているから、端末20の内部に、基準電波発生装置を配置する必要がない。
【0061】
さらに、制御プログラム42と検査プログラム50が共に、端末20に配置されているから、制御プログラム42と検査プログラム50が共に端末20に配置された状態で、GPSモジュール22を検査することができる。
【0062】
また、C/Aコードは、極性が頻繁に入れ替わる検査用航法データSnavによって極性変換されているから、C/Aコードを容易に検出することができる。このため、効率的にGPSモジュール22を検査することができる。
【0063】
また、検査プログラム50は、切替タイミング通知プログラム112及び信号強度切替プログラム114を含むから、無駄な時間を消費することなく、GPS信号の信号強度を切り替えて、GPSモジュール22を検査することができる。
【0064】
さらに、検査システム10は、ドリフト算出機能の検査、AGCの動作検査、端末20の時計の検査、端末20のシリアル受信機能の検査を行うことができる。
【0065】
なお、GPSモジュール22を実装する例えば、携帯電話機メーカ(以下、「端末メーカ」と呼ぶ)は、GPSモジュール22のメーカからGPSモジュール22を動作させるための情報、もしくはソフトウエアを提供されるから、独自に検査システムを作成することも考えられる。しかし、GPSモジュール22のメーカが提供する情報若しくはソフトウエアは、基本的に測位を目的としているため、例えば、携帯電話機の生産工程において、必ずしも最適な動作を実現できない場合がある。これは、測位には時間がかかること、提供された情報(又はインターフェース)では要求する動作が実現できない、検査時の端末のOSやソフトウエアの制限等の端末状況によっては動作させるのに必要な条件を満たすことが困難である等の理由による。
このため、GPSモジュール22のメーカが、本実施の形態のような検査システム10を提供することが有用である。
【0066】
以上が本実施の形態に係るシステム10の構成であるが、以下、その動作例を主に図13を使用して説明する。
図13は検査システム10の動作例を示す概略フローチャートである。
【0067】
以下の各ステップを実施する前に、検査システム10の各設定は完了している。
まず、制御プログラム42は、検査プログラム50を起動する(図13のステップST1)。
続いて、検査プログラム50は、検査プログラム50自体を初期化する(ステップSt11)。
【0068】
続いて、検査プログラム50は、信号発生装置30及びGPSモジュール22を起動する(ステップST12)。
続いて、検査プログラム50は、時計検査を実施し(ステップST13)、ドリフト検査を実施する(ステップST14)。
続いて、検査プログラム50は、屋外測定検査を実施し(ステップST15)、屋内測定検査を実施する(ステップST16)。
【0069】
続いて、検査プログラム50は、信号発生装置30及びGPSモジュール22を停止する(ステップST17)。
続いて、検査プログラム50は、測定結果、検査判定結果及び終了通知を制御プログラム42へ送信する(ステップST18)。
【0070】
一方、制御プログラム42は、上述の検査プログラム50の各ステップST12乃至ST17における指示により、シリアル送受信、測位結果出力及びログ出力、通知処理を行う(ステップST2)。通知処理は、どの検査項目が終了したかを検査プログラム50へ伝える処理である。例えば、制御プログラム42は、屋外測定検査が終了した場合に、検査プログラム50へ通知する。これに対して、検査プログラム50は、制御プログラム42を介して、信号発生装置30の出力を低くする。
続いて、検査プログラム50から測定結果、検査判定結果及び終了通知を受信する(
ステップST3)。
【0071】
GPSモジュール22は、制御プログラム42からの信号を受信して動作を開始し(ステップST31)、また、制御プログラム42からの信号を受信して動作を停止する(ステップST32)。
【0072】
信号発生装置30は、制御プログラム42からの信号を受信して動作を開始し(ステップST41)、屋外測定用の信号を発生する(ステップST42)。
続いて、屋内測定用の信号を発生し(ステップST43)、制御プログラム42からの信号を受信して動作を停止する(ステップST44)。
【0073】
以上のステップによって、受信機に搭載したSPSモジュール検査することができる。
【0074】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について、説明する。
第2の実施の形態におけるGPSモジュール検査システム10A(以下、「検査システム10A」と呼ぶ)の構成は、上記第1の実施の形態の検査システム10と多くの構成が共通するため共通する部分は同一の符号等とし、説明を省略し、以下、相違点を中心に説明する。
【0075】
図14は、検査システム10Aの構成を示す概略図である。
図14に示すように、端末20には、制御プログラム29及び検査プログラム50が配置されている。制御プログラム29は、検査プログラム50を制御するためのプログラムである。制御プログラム29は、制御プログラムの一例である。
このように、検査プログラム50は、端末20に配置された状態においても、GPSモジュール22を検査することができる。
【0076】
上述の第1の実施の形態においては、検査プログラム50はPC40に配置されているのに対して、第2の実施の形態においては、検査プログラム50は端末20に配置されている。このように、検査プログラム50は、端末20に配置されていてもPC40に配置されていても、GPSモジュール22を検査することができる。
【0077】
本発明は、上述の実施の形態に限定されない。さらに、上述の各実施の形態は、相互に組み合わせて構成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】端末等を示す概略図である。
【図2】GPSモジュール検査システムの構成を示す概略図である。
【図3】信号S1等の一例を示す図である。
【図4】検査プログラムの説明図である。
【図5】設定画面の一例を示す図である。
【図6】設定画面の一例を示す図である。
【図7】設定画面の一例を示す図である。
【図8】設定画面の一例を示す図である。
【図9】設定画面の一例を示す図である。
【図10】エラーコードの一例を示す図である。
【図11】トラッキング情報の一例を示す図である。
【図12】AGC情報の一例を示す図である。
【図13】GPSモジュール検査システム動作例を示す概略フローチャートである。
【図14】GPSモジュール検査システムの構成を示す概略図である。
【符号の説明】
【0079】
12a,12b,12c,12d,12e,12f,12g,12h・・・GPS衛星、20・・・端末、22・・・GPSモジュール、24・・・アンテナ、26・・・クロック、28・・・データ送信プログラム、30・・・信号発生装置、32・・・基準電波発信装置、40・・・PC、42・・・制御プログラム、44・・・信号強度調整プログラム、50・・・検査プログラム、100・・・屋外測定検査プログラム、102・・・屋内測定検査プログラム、104・・・ドリフト算出検査プログラム、106・・・時計検査プログラム、108・・・AGC検査プログラム、110・・・シリアル受信検査プログラム、112・・・信号強度切替タイミング通知プログラム、114・・・信号強度切替タイミング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
SPS(Satellite Positioning System)モジュールを端末装置に配置した状態で検査するSPSモジュール検査システムであって、
前記SPSモジュールの内部クロックの基準となる基準周波数電波を発生する基準周波数電波発生手段と、
前記SPSモジュールの検査を実施する検査プログラムと、
前記検査プログラムを制御する制御プログラムと、
各SPS衛星ごとに固有なC/A(Coarse and Acquisition)コードを含むSPS信号を発信するSPS信号発信手段と、
を有することを特徴とするSPSモジュール検査システム。
【請求項2】
前記基準周波数電波発生手段は、前記端末装置の外部の基準周波数発生装置であることを特徴とする請求項1に記載のSPSモジュール検査システム。
【請求項3】
前記制御プログラムが、前記端末装置の外部のコンピュータに配置されており、
前記検査プログラムが、前記端末装置に配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載のSPSモジュール検査システム。
【請求項4】
前記制御プログラムと前記検査プログラムが共に、前記コンピュータに配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載のSPSモジュール検査システム。
【請求項5】
前記C/Aコードは、極性が頻繁に入れ替わる検査用航法データによって極性変換されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のSPSモジュール検査システム。
【請求項6】
前記SPS信号の信号強度を切り替えるタイミングを通知する切り替えタイミング通知手段と、
前記切り替えタイミング通知手段の通知に基づいて、前記SPS信号の信号強度を自動的に切り替える信号強度自動切り替え手段と、
を有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のSPSモジュール検査システム。
【請求項7】
前記検査プログラムは、前記SPSモジュールの内部クロックのドリフト算出機能を検査するドリフト検査プログラムを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のSPSモジュール検査システム。
【請求項8】
前記検査プログラムは、前記SPSモジュールのAGC(Automatic Gain Controller)を検査するAGC検査プログラムを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のSPSモジュール検査システム。
【請求項9】
前記AGCの検査においては、キャリア(Carrier)が使用されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のSPSモジュール検査システム。
【請求項10】
前記検査プログラムは、前記端末装置の時計を検査する時計検査プログラムを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載のSPSモジュール検査システム。
【請求項11】
前記検査プログラムは、前記端末装置のシリアル受信を検査するシリアル受信検査プログラムを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれかに記載のSPSモジュール検査システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−322322(P2007−322322A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−154703(P2006−154703)
【出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】