説明

TLD低圧ガス放電ランプ

本発明は、放電空間を気密性に密封する第1光伝達導管6及び第1導管を取り囲む第2光伝達導管を有する低圧水銀蒸気放電ランプ2,4に関する。第2導管22は、ポリマ材料を含む、又は前記第2導管16は、ガラス材料を含み、前記第1導管に面する側において赤外線反射材料18を用いて少なくとも部分的に被膜される。ガスの停滞層は、第1導管及び第2導管の間に設けられ、放電空間からランプの周囲領域への熱の伝達を低減する。結果として、光出力は、比較的低い周囲温度において、向上される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電空間を気密性に密封する第1光伝達導管であって、前記放電空間において放電を維持する放電手段を有する第1光伝達導管を備える低圧水銀蒸気放電ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
水銀蒸気放電ランプにおいて、水銀は、紫外線(UV)光の発生に関して主要な要素構成する。ルミネッセント材料を含むルミネッセント層は、放電導管の内壁に存在し得、UV光を、例えば日焼けの目的に関してUV−B及びUV−Aなどの他の波長の光へ、又は一般照明の目的に関して可視光へ、変換する。このような放電ランプは、したがって、蛍光灯としても呼ばれる。代替的に、発生される紫外線は、殺菌灯を製造するのにも使用され得る。低圧水銀蒸気放電ランプの放電導管は、通常、管状であり、細長い実施例及び小型な実施例の両方を含む。一般的に、小型蛍光灯の管状放電導管は、比較的小さい直径を有する比較的短い真っ直ぐな部品の一群を含み、これら真っ直ぐな部品は、ブリッジ部品を用いて又は曲げ部品を介して1つに接続される。小型蛍光灯は、通常、(一体型)ランプキャップを具備される。通常、放電空間における放電を維持する手段は、放電空間において配置される電極である。代替的な実施例において、低圧水銀蒸気放電ランプは、いわゆる無電極低圧水銀蒸気放電ランプである。
【0003】
従来の低圧水銀蒸発放電ランプは、約25℃の環境温度において最適な光出力を有している。この環境温度において、ランプの冷たい箇所における温度は、通常、43℃であり、ランプの光出力が最適である水銀蒸気圧力になる。25℃より低い環境温度において、水銀蒸気圧力及びランプの光出力が最適でないことは、従来の低圧水銀蒸発放電ランプの不利な点である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、少なくとも部分的に上述の不利な点を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、本発明に従う低圧水銀蒸気放電ランプにおいて、当該放電ランプが、2つの端部を有する第2光伝達導管を更に有し、前記第2導管が、前記第1導管を少なくとも部分的に同軸上に取り囲み、且つ前記2つの端部を介して前記第1導管へ接続され、前記第2導管が、ポリマ材料を含む、又は前記第2導管が、ガラス材料を含み、前記第1導管に面する側において赤外線反射材料を用いて少なくとも部分的に被膜される、ことを特徴とする、低圧水銀蒸気放電ランプを用いて達成される。例えば空気などの、断熱ガスの層が、放電空間とランプの周囲領域との間に設けられ、放電空間から周囲領域への熱の伝達を低減する。比較的低い温度、すなわち25℃より低い温度を有する周囲領域の場合、周囲領域への熱伝達の低減は、従来のランプと比較して冷たい箇所の温度の上昇になり、放電空間における水銀蒸気圧力を増加させ、したがって、ランプの光出力を増加させる。本発明に従う低圧水銀蒸気放電ランプは、例えば、冷蔵倉庫、冷蔵庫、又は比較的低い環境温度を有する場所における屋外になどにおいて、使用され得る。例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)又はポリメチル・メタクリレート(PMMA)などの、ポリマ材料の第2導管を有する低圧水銀蒸気放電ランプの更なる有利な点は、ガラス材料の第2導管と比較されると脆弱でないことである。後者の点は、特に、食品の貯蔵に関する冷蔵倉庫において、ランプが地面に落下する又は硬い物に当てられて、貯蔵されている食品にランプの破片が入ってしまうことになり得るような場合において、ランプの破損の危険性を低減するために重要である。更に、ポリマ材料の熱伝導係数は、一般的に、ガラス材料の係数よりも低く、ガラス製の第2導管と比較した場合、周囲領域への熱伝達を更に低減する。内部に赤外線反射被膜を有する第2導管を有する低圧水銀蒸気放電ランプの更なる有利な点は、放電空間において生成され周囲領域へ放射される熱が、放電空間へ少なくとも部分的に反射されて戻され、より更に、周囲領域への熱の損失を低減することである。
【0006】
本発明に従う低圧水銀蒸気放電ランプの一つの実施例は、前記赤外線反射材料が、TiO2、NbO2又はSnO2を含むことを特徴とする。本発明に従う低圧水銀蒸気放電ランプの一つの実施例は、前記赤外線反射材料が、SnO2:Fを含むことを特徴とする。これらの材料は、赤外線放射に関して比較的高い反射係数を有する。
【0007】
本発明に従う低圧水銀蒸気放電ランプの一つの実施例は、前記赤外線反射材料の被膜が、複数の層として形成されることを特徴とする。複数の層は、赤外線反射全体を向上させる。
【0008】
本発明に従う低圧水銀蒸気放電ランプの一つの実施例は、前記ポリマ材料が、アクリル酸化合物を含むことを特徴とする。アクリル酸化合物は、良好な透明性及び良好な耐久性を有する。
【0009】
本発明に従う低圧水銀蒸気放電ランプの一つの実施例は、前記第1導管が、前記第2導管へ気密性に接続されること、また前記第1導管及び第2導管の間の空間が二酸化炭素を含むガスで充填されることを特徴とする。二酸化炭素が空気と比較されて低い熱伝導係数を有するので、放電空間からランプの周囲領域への熱伝達は、更に低減される。
【0010】
本発明のこれら及び他の点は、図面を参照して非限定的な例を用いより詳細に説明される。
【0011】
図面は、単に概略的であり、縮尺どおりに描画されていない。明瞭性に関して具体的には、いくつかの寸法は、強く誇張されている。図面における同様な要素は、可能な限り同じ参照符号により記される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、本発明に従う低圧水銀蒸気放電ランプの第1の実施例の概略図である。図2は、本発明に従う低圧水銀蒸気放電ランプの第2の実施例の概略図である。明瞭性の理由により、図1及び2は、低圧水銀蒸気放電ランプの一部のみを示す。図1及び2を参照すると、低圧水銀蒸気放電ランプ2及び4は、水銀及び例えばアルゴンなどの不活性ガス混合の充填材を含む放電空間8を気密性に密封するガス放電導管6を有する。蛍光放電ランプにおいて、放電空間8に面する放電導管6の側面は、示されないルミネッセント層を用いて被膜され、このルミネッセント層は、例えば蛍光粉末などのルミネッセント材料を含み、この蛍光粉末は、例えば励起された水銀の準位落ち込みによって生成される紫外線光を、可視光へ変換する。この実施例において、放電空間8における放電を維持する放電手段は、電極10であり、1つのみが示されている。電極10は、この場合酸化バリウム、酸化カルシウム及び酸化ストロンチウムの混合である電子放出物質で被膜されるタングステンの巻き線である。電極10に接続される、示されない電流供給伝導体は、ランプの端部を通過し、放電導管6から外側へと延在する。電流供給伝導体は、1つのみが示されているランプキャップ14へ固締される接触ピン12及び12'へ接続される。
【0013】
代替的な実施例において、本発明に従う低圧水銀蒸気放電ランプは、いわゆる無電極放電ランプであり、放電を維持する放電手段が、放電導管によって取り囲まれる放電空間の外側に配置される。一般的に、前記手段は、動作時において、前記コイルへ供給される例えば約3MHzの周波数などの高周波数電圧を有する、電気伝導体の巻き線を具備されるコイルによって形成される。一般的に、前記コイルは、難磁性材料のコアを取り囲む。別の実施例において、本発明に従う低圧水銀蒸気放電ランプは、いわゆる容量性結合放電ランプであり、放電を維持する放電手段は、放電導管の端部に設けられる伝導性被膜である。伝導性被膜は、ランプの動作時において、放電が間において延在する容量性電極として、作用する。
【0014】
図1を参照すると、低圧水銀蒸気放電ランプ2は、更に、放電導管6を同軸上に取り囲む外側導管16を含む。外側導管16は、ガラス製であり、この外側導管16は、放電導管16に面する側において赤外線反射被膜18で被膜される。1つのみが示される外側導管16の端部20は、ランプキャップ14を介して放電導管6へ接続される。外側導管16と放電導管6の間において、空気の断熱層が設けられ、この断熱層は、動作時において、放電導管6とランプの周囲領域との間の熱の伝達を低減する。赤外線反射被膜18は、赤外線放射を放電導管6へ反射して戻し、これにより、より更に、放電ランプ2の周囲領域への熱の伝達を低減する。赤外線反射被膜18は、例えば、酸化チタン(TiO2)、酸化ニオビウム(NbO2)、酸化スズ(SnO2)又はフッ素をドープした酸化スズ(SnO2:F)を含み得る。
【0015】
図2の低圧水銀蒸気放電ランプの実施例において、外側導管22は、例えばポリメチル・メタクリレート(PMMA)などの、アクリル酸化合物からなる。外側導管22は、接着剤合成物を用いてランプキャップ14へ装着され、ランプキャップ14を介して放電導管6へ接続される。外側導管22及び放電導管6の間において、空気の断熱層が設けられる。アクリル酸化合物から外側導管22は、ガラス合成物から作製されるものと比べて脆弱でない。代替的な実施例において、例えば、ポリカーボネート(PC)又はポリスチレン(PS)などの、異なるポリマ材料が使用される。
【0016】
低圧水銀蒸気放電ランプの代替的な実施例において、外側導管16及び22は、外側導管16及び22を放電導管6へ直接接続することによって、又は外側導管16及び22をランプキャップ14を介して放電導管6へ接続することによって、放電導管6へ気密性に接続される。外側導管16・22及び放電導管6の間の空間は、二酸化炭素、又は代替的には二酸化炭素と空気の混合で充填される。二酸化炭素の熱伝導係数が空気より低いので、放電導管6からランプの周囲領域への熱伝達は、本発明において、更に低減される。空気と二酸化炭素との比率を変化させることによって、外側導管16・22及び放電導管6の間の停滞ガス層の断熱特性は、変化され得る。
【0017】
低圧水銀蒸気放電ランプの代替的な実施例において、赤外線反射被膜18は、放電空間6の方向における熱の反射を向上させる赤外線反射材料の複数の層を有する。
【0018】
上述の実施例は、本発明を制限するものよりもむしろ例証するものであり、当業者が、添付の請求の範囲から逸脱することなく、多数の代わりの実施例を設計することが可能であることを注意しなければならない。請求項における如何なる参照符号も請求項を制限するように解釈されてはならない。「有する」という動詞及びその活用形の使用は、請求項に記載される以外の異なる他の要素又はステップの存在を排除しないことは明らかである。単数形の構成要素は、複数個の斯様な構成要素の存在を排除しない。いくつかの手段を列挙している装置請求項において、これらの手段のいくつかは1つの同じハードウェアの項目によって、実施化することが可能である。特定の手段が、相互に異なる従属請求項において引用されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利になるように使用されていることができないと示すものではない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明に従う低圧水銀蒸気放電ランプの第1の実施例の概略図である。
【図2】図2は、本発明に従う低圧水銀蒸気放電ランプの第2の実施例の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低圧水銀蒸気放電ランプであって、
−放電空間を気密性に密封する第1光伝達導管を有し、
−前記第1導管が、前記放電空間において放電を維持する放電手段を有する、
低圧水銀蒸気放電ランプにおいて、
当該放電ランプが、2つの端部を有する第2光伝達導管を更に有し、前記第2導管が、前記第1導管を少なくとも部分的に同軸上に取り囲み、且つ前記2つの端部を介して前記第1導管へ接続され、
前記第2導管がポリマ材料を含む、又は前記第2導管がガラス材料を含み、且つ前記第1導管に面する側において赤外線反射材料を用いて少なくとも部分的に被膜される、
ことを特徴とする、低圧水銀蒸気放電ランプ。
【請求項2】
請求項1に記載の低圧水銀蒸気放電ランプにおいて、前記赤外線反射材料が、TiO2、NbO2又はSnO2を含むことを特徴とする、低圧水銀蒸気放電ランプ。
【請求項3】
請求項2に記載の低圧水銀蒸気放電ランプにおいて、前記赤外線反射材料が、SnO2:Fを含むことを特徴とする、低圧水銀蒸気放電ランプ。
【請求項4】
請求項1に記載の低圧水銀蒸気放電ランプにおいて、前記赤外線反射材料の被膜が、複数の層として形成されることを特徴とする、低圧水銀蒸気放電ランプ。
【請求項5】
請求項1に記載の低圧水銀蒸気放電ランプにおいて、前記ポリマ材料が、アクリル酸化合物を含むことを特徴とする、低圧水銀蒸気放電ランプ。
【請求項6】
請求項1に記載の低圧水銀蒸気放電ランプにおいて、前記第1導管が、前記第2導管へ気密性に接続され、前記第1導管及び第2導管の間の空間が二酸化炭素を含むガスで充填されることを特徴とする、低圧水銀蒸気放電ランプ。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−524903(P2009−524903A)
【公表日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−551918(P2008−551918)
【出願日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際出願番号】PCT/IB2007/050163
【国際公開番号】WO2007/085985
【国際公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】