説明

TRPV2の部分ペプチド

【課題】TRPV2の発現を抑制しうるTRPV2の部分ペプチド、さらに当該TRPV2の部分ペプチドを発現しうる非ヒト動物を提供する。
【解決手段】TRPV2タンパク質を構成するアミノ酸配列のN末端領域を含む配列から選択されるペプチドであって、細胞膜でのTRPV2タンパク質発現を抑制可能なペプチド。さらに、当該ペプチドを発現させるトランスジェニック非ヒト動物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Ca2+チャネルであるTRPV2(transient receptor potential cation channel, subfamily V, member 2)の、細胞膜での発現を抑制しうるTRPV2の部分ペプチドに関する。さらには、当該TRPV2の部分ペプチドを発現し、TRPV2に関連する疾患の病因や治療方法の解明に寄与する非ヒトモデル動物に関する。
【背景技術】
【0002】
Trp (transient receptor potential)遺伝子産物スーパーファミリーは、TRPC(7種)、TRPV(6種)、TRPM(8種)の3ファミリーに分類され、いずれも形質膜を6回貫通するイオンチャネルであり、主としてCa2+を通過させる。細胞膜に存在する多くのイオンチャネルはそれぞれに異なったチャネル特性を有し、これらに特異的に反応する薬物をスクリーニングするためには、それらに適合したアッセイ系を構築する必要がある。これらは、細胞応答が比較的限定されるGタンパク質共役型受容体(GPCR)とは大きく異なる点である。
【0003】
TRPV2及びそのアゴニストの2APBの存在は公知であり、Ca2+チャネルの電気生理学的な性質を利用したTRPV1、TRPV2、TRPV3の測定系について報告がある(非特許文献1)。TRPV2はストレッチ活性化Ca2+チャネルであり(非特許文献2−4)、正常組織では細胞内膜系に存在するが、筋ジストロフィー、心筋症などの筋変性疾患に伴って細胞膜に移行し、活性化されて細胞内への異常なCa2+流入に寄与する(非特許文献3、5)。
【0004】
従来からストレッチ感受性Ca2+チャネルのブロッカーとして用いられているガドリニウムは、Ca2+チャネル全般に作用すると考えられ、ルテニウムレッドは、TRPVファミリー(TRPV1〜TRPV6)全般に作用すると考えられ、いずれも非特異的な薬物である(非特許文献6、7)。また、心筋症などの病態に対する効果は全く調べられていない。
【0005】
一方、TRPV2は上述のような特徴を有するため、TRPV2を特異的に阻害する薬剤は変性を起こした筋肉のみに作用し、筋変性を軽減することが期待できる。TRPV2の機能については、未解明な部分が多く、TRPV2に関連する疾患については、今後の解明が期待される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】J. Biological Chemistry; 279(34): 35741-35748 (2004)
【非特許文献2】Circulation Research; 93: 829-838 (2003)
【非特許文献3】J. Cell Biology; 161(5): 957-967 (2003)
【非特許文献4】J. Endocrinology; 191: 515-523 (2006)
【非特許文献5】Hum Mol Genet.; 18(5): 824-834 (2009)
【非特許文献6】J. Neuroscience; 28(24): 6231-6238 (2008)
【非特許文献7】Diabetologia; 51: 2252-2262 (2008)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、TRPV2の細胞膜での発現を抑制しうるTRPV2の部分ペプチドを提供することを課題とする。本発明はさらに、当該TRPV2の部分ペプチドを発現しうるトランスジェニック(Tg)非ヒト動物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ね、TRPV2発現培養細胞にTRPV2の特定の領域の部分ペプチドを共発現させたところ、通常では細胞膜にTRPV2の発現が認められるのに対し、当該部分ペプチドを共発現させた培養細胞では細胞内にTRPV2が移動し、Ca2+の過剰流入が抑制されたことを確認し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は以下よりなる。
1.TRPV2タンパク質を構成するアミノ酸配列のN末端領域を含む配列から選択されるペプチドであって、細胞膜でのTRPV2タンパク質発現を抑制可能なペプチド。
2.N末端領域が、配列表の配列番号2、4又は6に記載のアミノ酸配列のうちN末端から1−387位の領域である前項1に記載のペプチド。
3.TRPV2タンパク質を構成するアミノ酸配列のN末端領域を含む配列から選択されるペプチドが、少なくとも17残基のアミノ酸を含む、前項1又は2に記載のペプチド。
4.配列表の配列番号7に示すアミノ酸配列を含む、前項1〜3のいずれか1に記載のペプチド。
5.前項1〜4のいずれか1に記載のペプチドを発現しうるTg非ヒト動物。
6.前項1〜4のいずれか1に記載のペプチドをコードする遺伝子を組み込むことによる、Tg非ヒト動物の作製方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明のTRPV2の部分ペプチドは、細胞膜でのTRPV2タンパク質発現を抑制可能である。さらに、本発明のペプチドを発現させてなるTg非ヒト動物を拡張型心筋症モデル動物と交配し、当該拡張型心筋症モデル動物にこのペプチドを発現させたモデル動物では、心肥大の程度、心エコーによる心機能及び生存率のいずれにおいても、拡張型心筋症モデル動物に比べて改善効果が認められた。これにより、本発明のTRPV2の部分ペプチドは、病態時においてTRPV2を細胞膜より消失させ、不活化させることが可能と考えられ、移植しか治療手段がない拡張型心筋症に対する有力な治療薬候補となりうる。また、本発明のペプチドを発現させてなるTg非ヒト動物は、TRPV2を特異的に阻害する実験ツールとなるなどの効果が期待される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】TRPV2発現ヒト胎児腎臓細胞(TRPV2発現HEK293細胞)にTRPV2−NT(1−387)又はTRPV2−CT(633−756)を共発現させたときのTRPV2の発現分布を示す写真図である。(実施例1)
【図2】TRPV2発現HEK293細胞にTRPV2−NT(1−387)又はTRPV2−CT(633−756)を共発現させたときの、外液高Ca2+又はアゴニスト刺激による細胞内Ca2+動態を示す図である。(実験例1)
【図3】野生型(WT)C57BL/6Jマウス、4C30マウス、NT(1−387)−Tgマウス、4C30/NT(1−387)−Tgマウス各々180日令の心筋縦断面写真図である。(実験例2)
【図4】野生型(WT)C57BL/6Jマウス、4C30マウス、NT(1−387)−Tgマウス、4C30/NT(1−387)−Tgマウス各々180日令の心エコー検査結果を示す図である。(実験例2)
【図5】野生型(WT)C57BL/6Jマウス、4C30マウス、NT(1−387)−Tgマウス、4C30/NT(1−387)−Tgマウス各々の生存率を示す図である。(実験例2)
【図6】TRPV2発現HEK293細胞に各種のTRPV2−NTを共発現させたときのTRPV2の発現分布を示す写真図である。(実施例3)
【図7】TRPV2タンパク質のN末端領域を含む配列から選択される各種ペプチドを示す図である。(実施例4)
【図8】TRPV2発現HEK293細胞に各種のTRPV2−NTを共発現させたときのアゴニスト刺激による細胞内Ca2+の上昇の割合を示す図である。(実施例4)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、TRPV2の細胞膜での発現を抑制しうるTRPV2の部分ペプチドに関する。本発明者らは、培養細胞を用いてTRPV2の部分ペプチドを共発現させ、in vitroの系で確認したところ、TRPV2の特定の部位の部分ペプチドを共発現させた場合に、当該培養細胞において、通常では細胞膜にTRPV2の発現が認められるのに対し、細胞内にTRPV2が移動し、Ca2+の流入が抑制されたことを確認した。本発明はさらに、当該TRPV2の部分ペプチドを発現しうるTg非ヒト動物に関する。
【0013】
TRPV2の遺伝子は、ヒトTRPV2としてGenbank accession No.NM_016113(配列番号1)、マウスTRPV2としてGenbank accession No.NM_011706(配列番号3)及びラットTRPV2としてGenbank accession No. NM_017207(配列番号5)が報告されている。TRPV2タンパク質のアミノ酸配列は、上記配列番号で特定される塩基配列のうち、CDS部分により特定されるアミノ酸配列(配列番号2、4、6)である。
【0014】
本発明のペプチドは、配列番号2、4又は6に記載のアミノ酸配列のうち、N末端を含む領域から選択され、細胞膜でのTRPV2タンパク質発現を抑制可能なペプチドであればよい。前記N末端を含む領域とは、具体的には配列番号2、4又は6に記載のアミノ酸配列のうちN末端から1−387位の領域をいう。本発明の細胞膜でのTRPV2タンパク質発現を抑制可能なペプチドは、前記N末から1−387位の領域から選択され、好ましくは同290−387位の領域から選択される。本発明のペプチドは、少なくとも17残基、好ましくは97残基、より好適には387残基のアミノ酸を含むペプチドが好適である。具体的には、配列表の配列番号7(LSRKFTEWCYGPVRVSL)に示すアミノ酸配列を含むペプチドが挙げられる。以下、本明細書において、本発明の細胞膜でのTRPV2タンパク質発現を抑制可能なペプチドを、「TRPV2−NT」といい、当該ペプチドをコードする遺伝子を、「TRPV2−NT遺伝子」という。
【0015】
本発明のTg非ヒト動物は、上記ペプチドを発現させてなる非ヒト動物である。本明細書において、TRPV2−NTを発現しうる非ヒト動物を、「NT−Tg非ヒト動物」ともいう。本発明におけるTRPV2−NT遺伝子は、上述のTRPV2タンパク質のN末端領域を含む配列から選択されるペプチドを発現しうる塩基配列からなるDNAであればよい。そのような塩基配列としては、上述の配列番号1、3又は5に示す塩基配列の対応部分から選択することができ、あるいは上記のペプチドをコードしうる配列からなるDNAの他、遺伝子コドンの縮重のため、上記のペプチドと同じアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするいずれかのDNAであってもよく、さらにはそれらの相補鎖であってもよい。
【0016】
本発明におけるNT−Tg非ヒト動物を作製する宿主動物としては、ヒト以外の哺乳動物が挙げられ、例えば、ウシ、サル、ブタ、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウスなどが挙げられる。特に、モルモット、ラット、マウスなどのげっ歯類の取扱いが容易であるため好ましく、中でもマウスが好ましい。
【0017】
本発明のNT−Tg非ヒト動物は、未受精卵、受精卵、精子及びその始原細胞を含む胚芽細胞などに対して、好ましくは、非ヒト動物の発生における胚発生の段階(さらに好ましくは、単細胞又は受精卵細胞の段階でかつ一般に8細胞期以前)において、リン酸カルシウム法、電気パルス法、リポフェクション法、凝集法、マイクロインジェクション法、パーティクルガン法、DEAE−デキストラン法などにより上述のNT遺伝子を導入することにより作製することができる。また、該遺伝子導入方法により、体細胞、生体の臓器、組織細胞などに目的とするTRPV2−NT遺伝子を転移し、細胞培養、組織培養などに利用することもできる。さらに、これら細胞を上述の胚芽細胞と自体公知の細胞配合法により融合させることで、NT−Tg非ヒト動物を作製することもできる。
【0018】
TRPV2−NT遺伝子のcDNAを対象動物に導入させる際、当該cDNAを対象となる動物の細胞で発現させうるプロモーターの下流に連結した遺伝子構築物として導入することが好ましい。特に心筋特異的にTRPV2タンパク質のN末端を含むペプチドを発現させるために、心筋α−ミオシン重鎖プロモーターに結合したプラスミドコンストラクションを行うのが好適である。このプロモーターの制御下では、心筋のみに目的遺伝子を発現させることができる。全身に発現させる場合には、各種哺乳動物由来のTRPV2タンパク質のN末端を含むペプチドを発現させうる各種プロモーターに結合したプラスミドコンストラクションを行うことが必要である。
【0019】
TRPV2−NT遺伝子の発現ベクターとしては、大腸菌由来のプラスミド、枯草菌由来のプラスミド、酵母由来のプラスミド、λファージなどのバクテリオファージ、モロニー白血病ウイルスなどのレトロウイルス、ワクシニアウイルス又はバキュロウイルスなどの動物ウイルスなどが用いられる。遺伝子発現の調節を行うプロモーターとしては、たとえばウイルス(サイトメガロウイルス、モロニー白血病ウイルス、JCウイルス、乳癌ウイルス、など)由来遺伝子のプロモーター、各種哺乳動物(ヒト、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ラット、マウスなど)及び鳥類(ニワトリなど)由来遺伝子[例えば、アルブミン、インスリンII、エリスロポエチン、エンドセリン、オステオカルシン、筋クレアチンキナーゼ、血小板由来成長因子β、ケラチンK1,K10及びK14、コラーゲンI型及びII型、心房ナトリウム利尿性因子、ドーパミンβ−水酸化酵素、内皮レセプターチロシンキナーゼ、ナトリウムカリウムアデノシン3リン酸化酵素、ニューロフィラメント軽鎖、メタロチオネインI及びIIA、メタロプロティナーゼ1組織インヒビター、MHCクラスI抗原、平滑筋αアクチン、ポリペプチド鎖延長因子1α(EF−1α)、βアクチン、α及びβミオシン重鎖、ミオシン軽鎖1及び2、ミエリン基礎タンパク、血清アミロイドPコンポーネント、ミオグロビン、レニンなどの遺伝子]のプロモーターなどが挙げられる。上記ベクターは、NT−Tg非ヒト動物において、目的とするメッセンジャーRNA(mRNA)の転写を終結するターミネターを有していてもよい。
【0020】
その他、TRPV2−NT遺伝子をさらに高発現させる目的で、各遺伝子のスプライシングシグナル、エンハンサー領域、真核生物遺伝子のイントロンの一部をプロモーター領域の5’上流、プロモーター領域と翻訳領域間あるいは翻訳領域の3’下流に連結することも所望により可能である。
【0021】
受精卵細胞段階におけるTRPV2−NT遺伝子の導入は、対象動物の胚芽細胞及び体細胞の全てに過剰に存在するように確保することが好ましい。トランスジェニック後の作出動物の胚芽細胞においてTRPV2−NT遺伝子が過剰に存在することは、作出動物の子孫が全てその胚芽細胞及び体細胞の全てにTRPV2−NT遺伝子を過剰に有することを意味する。遺伝子を受け継いだこの種の動物の子孫はその胚芽細胞及び体細胞の全てにTRPV2−NT遺伝子を過剰に有する。導入遺伝子を相同染色体の両方に持つホモ接合体の動物を取得し、この雌雄の動物を交配することによりすべての子孫が該遺伝子を安定に保持し、また、該遺伝子を過剰に有することを確認して、通常の飼育環境で繁殖継代することができる。
【0022】
Tg対象動物が有する内在性の遺伝子とは異なる遺伝子である外来性のTRPV2−NT遺伝子を、好ましくはマウスなどの対象動物、又はその先祖の受精卵に転移する際に用いられる受精卵は、同種の雄哺乳動物と雌哺乳動物を交配させることによって得られる。受精卵は自然交配によっても得られるが、雌哺乳動物の性周期を人工的に調節した後、雄哺乳動物と交配させる方法が好ましい。雌哺乳動物の性周期を人工的に調節する方法としては、例えば初めに卵胞刺激ホルモン(妊馬血清性性腺刺激ホルモン(PMSG))、次いで黄体形成ホルモン(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG))を例えば腹腔注射などにより投与する方法が好ましい。
【0023】
得られた受精卵に前述の方法により外来性のTRPV2−NT遺伝子を導入した後、雌動物に人工的に移植、着床させることにより、外来性遺伝子を組み込んだDNAを有する非ヒト動物が得られる。好ましくは、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)を投与後、雄動物と交配させることにより、受精能を誘起された偽妊娠雌動物に得られた受精卵を人工的に移植・着床させることができる。遺伝子を導入する全能性細胞としては、マウスの場合、受精卵や初期胚を用いることができる。また培養細胞への遺伝子導入法としては、Tg非ヒト動物個体の産出効率や次代への導入遺伝子の伝達効率を考慮した場合、DNAのマイクロインジェクションが好ましい。
【0024】
遺伝子を注入した受精卵は、次に仮親の卵管に移植され、個体まで発生し出生した動物を里親につけて飼育させたのち、体の一部(マウスの場合には、例えば、尾部先端)からDNAを抽出し、サザン解析やPCR法により導入遺伝子の存在を確認することができる。導入遺伝子の存在が確認された個体を初代(Founder)とすれば、導入遺伝子はその子(F1)の50%に伝達される。さらに、このF1個体を野生型動物又は他のF1動物と交配させることにより、2倍体染色体の片方(ヘテロ接合)又は両方(ホモ接合)に導入遺伝子を有する個体(F2)を作製することができる。
【0025】
あるいは、本発明のNT−Tg非ヒト動物は、上記したTRPV2−NT遺伝子を導入遺伝子としてES細胞に導入することによって作製することもできる。例えば、正常マウス胚盤胞に由来するHPRT陰性(ヒポキサンチングアニン・フォスフォリボシルトランスフェラーゼ遺伝子を欠いている)ES細胞(embryonic stem cell)に、TRPV2−NT遺伝子を導入する。TRPV2−NT遺伝子がマウス内在性遺伝子上にインテグレートされたES細胞をHATセレクション法により選別する。次いで、選別したES細胞を、別の正常マウスから取得した受精卵(胚盤胞)にマイクロインジェクションする。該胚盤胞を仮親としての別の正常マウスの子宮に移植する。そうして該仮親マウスから、キメラTgマウスが生まれる。該キメラTgマウスを正常マウスと交配させることによりヘテロTgマウスを得ることができる。該ヘテロTgマウス同士を交配することにより、ホモTgマウスが得られる。
【0026】
上記した本発明のNT−Tg非ヒト動物の子孫、並びに該NT−Tg非ヒト動物の一部も本発明の範囲内である。NT−Tg非ヒト動物の一部としては、該NT−Tg非ヒト動物の組織、器官及び細胞などが挙げられる。
【0027】
以下哺乳動物としてマウスを用いた場合を例にして、NT−Tgマウスを製造する方法の一例についてさらに具体的に説明する。
【0028】
1.遺伝子のクローニング
本発明の病理モデル動物を製造するには、まず、ヒト型若しくはマウス型のTRPV2−NT遺伝子をクローニングする。このクローニング方法としては公知の様々な方法が可能である。例えば、配列番号1又は3に示すTRPV2のmRNAからcDNAを作製し、そのcDNAをプラスミド等のベクターのDNAに組込み、更に該DNA組替えベクターを大腸菌等の宿主に組込んで、大腸菌を増殖させる。大量に産生された大腸菌からDNA組替えベクターを取りだし、TRPV2−NT遺伝子をカラムクロマトグラフ法、あるいは電気泳動法等により分取、精製することによりクローニングすることができる。目的の塩基配列をもつ遺伝子が精製されていることの確認は、DNAシーケンシングなどにより確定することが望ましい。
【0029】
2.TRPV2−NT遺伝子のスクリーニング
マウス遺伝子ライブラリーから得られた本件TRPV2をコードするcDNA、あるいは、マウスmRNAから直接RT−PCR等の方法により得られた同cDNAをプラスミドベクター等にライゲーションにより挿入する。TRPV2−NTは、TRPV2タンパク質を構成するアミノ酸残基から、一部のアミノ酸を欠失しているものであるので、RT−PCR等の方法により得られた同cDNAを用いることができる。
【0030】
3.ベクター
クローニング用ベクターとしては、宿主内で特定遺伝子を増幅できる細菌プラスミド由来、酵母プラスミド由来、バクテリオファージ由来、トランスポゾン由来及びこれらの組合せに由来するベクター、例えば、コスミドやファージミドのようなプラスミドとバクテリオファージの遺伝的要素に由来するものを挙げることができる。
【0031】
4.宿主
本発明のTRPV2−NT遺伝子は、好ましくはベクターを経由して宿主細胞により増殖させる。本件TRPV2−NT遺伝子の宿主細胞への導入は、Davisら(BASIC METHODS IN MOLECULAR BIOLOGY, 1986)及びSambrookら(MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL, 2nd Ed., Cold Spring Habor LABORATORY Press, Cold Spring Habor, NY., 1989)などの自体公知の実験室マニュアルに記載される形質転換や感染等により行うことができる。
そして、上記宿主細胞としては、大腸菌、ストレプトミセス、枯草菌、ストレプトコッカス、スタフィロコッカス等の細菌原核細胞や、酵母、アスペルギルス等の真菌細胞等を挙げることができる。
【0032】
5.Tgマウスの製造
TRPV2−NT発現Tgマウスを製造するには、例えばマウスの受精卵の細胞核に上記方法で得たTRPV2−NT遺伝子をマイクロインジェクトする。注入する遺伝子の量は1個の受精卵当り200〜1000コピーであることが好ましい。別に精管切断術を施した雄マウスと交尾させ偽妊娠状態にした仮親を用意して、この仮親の卵管内にこの受精卵を移植し、マウスを誕生させる。
【0033】
TRPV2−NT遺伝子を導入する方法としては、他に受精卵にレトロウイルスベクターを感染させる方法も採用しうる。また、受精卵の代わりにES細胞を用いて同様の方法によりTRPV2−NTを発現するマウスを製造することができる。
【0034】
上記方法でクローニングされたTRPV2−NTをコードするcDNAを、心筋−αミオシン重鎖プロモーターに結合してプラスミドコンストラクションを行い、トランスジーンベクターを作製する。作製されたトランスジーンベクターを線状化し、マイクロインジェクション法やレトロウイルスを用いた感染等によって受精卵に導入する。
【0035】
マイクロインジェクション後、一般的には生まれた胚の10−40%に染色体への導入遺伝子の安定な組み込みが起こっている。選択されたマウス染色体に目的とする遺伝子の組み込みが起こっているかどうかをPCR法、サザンブロット法等により確認することが好ましい。このマウスを野生型のマウスとインタークロスさせると、ヘテロ接合体マウスを得ることができ、本発明の本件TRPV2−NT発現マウスを作製することができる。
【0036】
本件TRPV2−NT発現マウスが生起しているか否かを確認する方法としては、例えば、上記の方法により得られたマウスからRNAを単離してノーザンブロット法等により調べ、又はタンパク質を抽出してウエスタンブロット法等により調べる方法がある。
【実施例】
【0037】
以下、本発明の理解を深めるために、実施例及び実験例を示して本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではないことはいうまでもない。
【0038】
(実施例1)TRPV2発現HEK293細胞でのTRPV2タンパク質のN末端を含むペプチドの発現
本実施例では、マウスTRPV2タンパク質を構成するアミノ酸配列(配列番号4)のうち、1−387位のアミノ酸残基からなるTRPV2タンパク質のN末端を含むペプチド(以下、「TRPV2−NT(1−387)」という。)及びFLAG配列を融合したものを、TRPV2発現HEK293細胞に共発現させた。比較例として、マウスTRPV2タンパク質を構成するアミノ酸配列(配列番号4)のうち、C末端を含む領域より選択されるペプチド、具体的には、N末より633−756位のアミノ酸残基からなるペプチド(以下、「TRPV2−CT(633−756)」という。)及びFLAG配列を融合したものを、同様にTRPV2発現HEK293細胞に共発現させた。各ペプチドのN末のアミノ酸をコードするコドン及びFLAG配列のアミノ酸をコードするコドンに適切な制限酵素認識配列を組み込んだプライマーを用いてPCRを行った。TRPV2−CT(633−756)の場合はHindIIIとXbaIを付加し、TRPV2−NT(1−387)はNotIと BamHI認識配列を付加した。
【0039】
該PCR産物をEcoR1で消化し、同じくEcoR1で消化したP3XFLAG−CMVTM−14発現ベクターに導入し、発現ベクターTRPV2−NT(1−387)FLAGとTRPV2−CT(633−756)FLAGを調製した。作製した発現ベクターをTRPV2発現HEK293細胞に導入し、TRPV2−NT(1−378)又は比較例としてTRPV2−CT(633−756)を組み込んだ。
【0040】
上記各ペプチドを共発現させたTRPV2発現HEK293細胞における、TRPV2の分布を免疫組織染色にて確認した。上記TRPV2発現HEK293細胞を10%ホルマリンで固定し、界面活性剤(0.2%TritonX−100)にて透過処理を行ったものに、TRPV2検出用一次抗体として抗TRPV2抗体(自家製:非特許文献3参照)を付加し、TRPV2−NT(1−387)又はTRPV2−CT(633−756)を検出する抗体として抗FLAG抗体(シグマ製)を付加し、免疫組織染色を行なった。
【0041】
上記の結果、TRPV2−CT(633−756)を導入したTRPV2発現HEK293細胞では、TRPV2は細胞膜に発現が認められたのに対して、TRPV2−NT(1−387)を導入したTRPV2発現HEK293細胞では、細胞質内にTRPV2の発現が認められた(図1)。
【0042】
(実験例1)細胞内Ca2+動態試験
本実験例では、実施例1で作製したTRPV2−NT(1−387)共発現TRPV2発現HEK293細胞及び比較例としてのTRPV2−CT(633−756)共発現のTRPV2発現HEK293細胞について、各々細胞内Ca2+動態を確認した。
細胞内Ca2+濃度指示薬fura−2を負荷した細胞を、0.5mM CaCl・BSS(Balanced Salt Solution):146mM NaCl,4mM KCl,2mM MgCl,0.5mM CaCl ,10mM グルコース,10mM HEPES/Tris(pH7.4)で2回洗浄後、BSS存在下測定開始した。
高Ca2+はBSSに最終濃度5mM CaClを加えることにより行った。高Ca2+刺激5分後、2APB (2-aminoethoxydiphenyl borate)溶液(0.5mM 2APB),5mM CaCl MES (2-Morpholinoethanesul phonic acid)−BSS:146mM NaCl,4mM KCl,2mM MgCl,0.5mM CaCl 10mM グルコース,10mM MES(pH6.8)で刺激し、5分後0mM CaCl BSSで洗いイオノマイシン10μM 5mM CaCl BSS刺激で最大Ca2+反応を確認した。
【0043】
その結果、TRPV2発現HEK293細胞にTRPV2−CT(633−756)を共発現させた場合は、TRPV2単独発現細胞とほとんど変わらない細胞内Ca2+動態を示すが、TRPV2−NT(1−387)を共発現させた場合は高Ca2+刺激2APB刺激とも顕著な抑制を示した(図2)。
【0044】
(実施例2)マウスTRPV2−NT(1−387)発現Tgマウスの作製
本実施例において、マウスTRPV2−NT(1−387)を発現するTgマウス(以下、「NT(1−387)−Tgマウス」)を構築した。
【0045】
マウスTRPV2遺伝子はマウスcDNAライブラリーからクローニングし、哺乳動物発現ベクターpECEのマルチクローニングサイトにクローニングされている。そのプラスミドを元にして、PCR法によりTRPV2−NT(1−387)遺伝子のcDNAを得た。
【0046】
上記調製したcDNAを基にして、PCR法で制限酵素NotI及びpolyA配列と制限酵素HindIIIを付加したcDNAを作製し、あらかじめ制限酵素Sal1とHindIIIで消化切断したサイトメガロウイルスプロモーターを有するphCMVトランスファーベクターに組込み、発現ベクターpCMV−TRPV2−NT(1−387)を作製し、トランスジーンを作製した。
【0047】
C57BL/6J雌マウスにPMS及びhCGを腹腔投与して過排卵を誘発し、C57BL/6J雄マウスと同居・交配した。交尾の成立した雌マウスを頚椎脱臼により殺し、腹腔を開き卵管膨大部を切り出して、ヒアルロニダーゼを含むM16培地中に移し、実体顕微鏡下で卵管膨大部を裂いて受精卵を培地中に移し、ガラスピペットを用いて受精卵を回収した。
【0048】
次に、ガラスディッシュに受精卵を含むM16培地及び注入DNA(濃度は5ng/μl)のドロップをそれぞれ作製し、パラフィンオイルでカバーした。マイクロマニュピレーター付き倒立顕微鏡下でインジェクション用ピペットに注入DNAをおおよそ0.1μl吸引して、ホールディング用ピペットで固定した受精卵の前核内にDNAを注入した。
【0049】
DNA注入した受精卵を移植するための偽妊娠雌マウス(ICRマウス)を、精管を切除した雄マウス(ICRマウス)と交配させることにより作製した。受精卵にDNAを注入した当日に、偽妊娠雌マウスを麻酔し、後背部より卵巣、卵管を引出し、卵管開口部を露出する。実体顕微鏡下で移植用ピペットを用いておよそ10個の受精卵を吸引して、左右の卵管開口部からそれぞれ受精卵を移植した。受精卵の移植後、偽妊娠雌マウスは約20日で子マウス(NT(1−387)−Tgマウス)初代(Founder)(ヘテロ)を出産した。
【0050】
(実験例2)拡張型心筋症モデル(4C30)と本発明のNT(1−387)−Tgマウスの交配試験
本実験例では、拡張型心筋症モデル(4C30)マウスと、実施例2で作製したNT(1−387)−Tgマウスと交配し、4C30/NT(1−387)−Tgマウス(F3マウス)を作製し、心筋縦断面像、エコーによる心機能検査及び生存率の各試験を行なった。4C30は、シアル酸転移酵素を導入したマウスのラインの一つであり、拡張型心筋症モデルとして国立感染症研究所獣医学部第四室(実験動物開発室)より分与された。ホモ導入個体は7ヶ月程度で心拡大を伴う呼吸不全で全例死亡するといわれている。交配は、7−8週令の4C30マウスと7−8週令の実施例2で作製したNT(1−387)−Tgマウスとで行ない、ヘテロ4C30/NT―Tg(F1)マウスを得、それと4C30(ホモ)との交配で得た4C30(ホモ)/NT―Tg(F2)マウス同士の交配で得た4C30(ホモ)/NT(1−387)−Tg(F3)マウスを使用した。
【0051】
1)心筋縦断面像
野生型(WT)C57BL/6Jマウス、4C30マウス、NT(1−387)−Tgマウス、4C30/NT(1−387)−Tgマウス各々180日令の心筋縦断面をマッソントリクローム染色を行い、確認した。マッソントリクローム染色は、核をヘマトキシリン染色、細胞質を酸性フクシン染色、膠原線維をアニリン青で染め分ける染色方法である。その結果、4C30マウスでは心肥大が認められたが、4C30/NT(1−387)−Tgマウスでは、WT及びNT(1−387)−Tgマウスと同様に心肥大は認められなかった。この結果より、TRPV2−NT(1−387)を発現するNT(1−387)−Tgマウスとの交配により、心肥大が改善しうることが認められた(図3参照)。
【0052】
2)エコーによる心機能検査
上記、各マウスの心機能をエコーを用いて測定した。その結果、4C30マウスにおける収縮能(Fractional shortning)減少が4C30/NT(1−387)−Tgマウスにおいて改善された(図4参照)。
【0053】
3)生存率
上記、各マウス(n=22)の生存曲線を調べた。その結果、4C30マウスでは雄、雌ともに300日未満で全てが死亡したが、4C30/NT(1−387)−Tgマウスでは死亡率に改善が認められ、特に雌では400日以上の生存を認めたものもあった。
【0054】
(実施例3)TRPV2発現HEK293細胞におけるTRPV2タンパク質のN末端領域を含む配列から選択される各種ペプチドの発現
本実施例では、マウスTRPV2タンパク質を構成するアミノ酸配列(配列番号4)のうち、1−103位のアミノ酸残基からなるペプチド(NT1)、104−198位のアミノ酸残基からなるペプチド(NT2)、199−289位のアミノ酸残基からなるペプチド(NT3)、290−387位のアミノ酸残基からなるペプチド(NT4)を、各々FLAG配列を付加し、TRPV2発現HEK293細胞に共発現させた。発現の方法は、実施例1と同手法にて行なった。上記TRPV2発現HEK293細胞におけるTRPV2の分布を、実施例1と同手法にて免疫組織染色し、確認した。
【0055】
上記の結果、NT1、NT2又はNT3のいずれかのペプチドを導入したTRPV2発現HEK293細胞では、TRPV2は細胞膜に発現が認められたのに対し、NT4ペプチドを導入したTRPV2発現HEK293細胞では、細胞質でTRPV2の発現が認められた(図6)。このことより、NT4ペプチドが、細胞膜でのTRPV2の発現抑制に有効であることが確認された。
【0056】
(実施例4)TRPV2発現HEK293細胞におけるTRPV2タンパク質のN末端領域を含む配列から選択される各種ペプチドの発現
本実施例では、実施例3に示すNT4のペプチドをさらに分類し、図7に示すペプチド1(NT4−p1)、ペプチド2(NT4−p2)、ペプチド3(NT4−p3)及びペプチド4(NT4−p4)ペプチド5(NT4−p5)それぞれに、膜透過性TATペプチド(RRRRRRRRRRR(配列番号8))を付加したものをTRPV2発現HEK293細胞とインキュベートすることにより細胞に発現させた。各発現細胞について、2APB刺激による細胞内Ca2+の濃度の上昇割合を以下の方法にて確認した。
先行出願である「TRPV2特異的アッセイ方法及びTRPV2特異的薬剤のスクリーニング方法(特開2007−259745号公報)」に基づき行った。
96穴マイクロプレートにTRPV2発現HEK293細胞を培養したものを用いた。培養したTRPV2発現HEK293細胞を、あらかじめ膜透過性TATペプチドを付加した各々ペプチドNT4−p1からp5を、それぞれ1〜6μg/ml又はペプチドなし(none)と2時間37℃でインキュベートした後、定法に従いfura−2負荷し、細胞内Ca2+濃度を測定した。0.5mM 2APB刺激後の最大Ca2+濃度変化を示した。Δratioは340nmと380nmで励起したとき510nmでの蛍光強度の比で示した。
【0057】
上記の結果、NT4−p2(LSRKFTEWCYGPVRVSL(配列番号7))を導入したTRPV2発現HEK293細胞では、2APB刺激による細胞内Ca2+濃度の上昇が抑制される傾向が認められ、NT4−p2がTRPV2活性の抑制に有効であることが確認された(図8)。
【産業上の利用可能性】
【0058】
以上説明したように、本発明のTRPV2の部分ペプチドは、細胞膜でのTRPV2タンパク質発現を抑制可能である。さらに、本発明のNT−Tg非ヒト動物を拡張型心筋症モデル動物(4C30)と交配し、4C30/NT−Tg動物を作製したとき、4C30/NT−Tg動物は心肥大の程度、心エコーによる心機能及び生存率のいずれにおいても、4C30モデル動物に比べて改善効果が認められた。
【0059】
TRPV2の活性化は、心筋、骨格筋を問わず、筋肉細胞の変性・細胞死を伴う広範囲の疾患で起こることがわかっている。従って、本発明のペプチドは、拡張型心筋症のみならず、筋ジストロフィー又は心不全一般の治療薬、あるいは心筋保護薬として適用することも可能と考えられる。さらに、病態時においてTRPV2を細胞膜より消失させ、不活化させることで、従来移植しか治療手段がない拡張型心筋症に対する有力な治療薬候補となりうる。また、本発明のNT−Tg非ヒト動物は、TRPV2を特異的に阻害する実験ツールとなり、TRPV2活性化で起こる心筋病態解明に重要であるとともに、様々な心筋病態でのTRPV2関与を確かめる手段としても利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
TRPV2タンパク質を構成するアミノ酸配列のN末端領域を含む配列から選択されるペプチドであって、細胞膜でのTRPV2タンパク質発現を抑制可能なペプチド。
【請求項2】
N末端領域が、配列表の配列番号2、4又は6に記載のアミノ酸配列のうちN末端から1−387位の領域である請求項1に記載のペプチド。
【請求項3】
TRPV2タンパク質を構成するアミノ酸配列のN末端領域を含む配列から選択されるペプチドが、少なくとも17残基のアミノ酸を含む、請求項1又は2に記載のペプチド。
【請求項4】
配列表の配列番号7示すアミノ酸配列を含む、請求項1〜3のいずれか1に記載のペプチド。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1に記載のペプチドを発現しうるトランスジェニック非ヒト動物。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1に記載のペプチドをコードする遺伝子を組み込むことによる、トランスジェニック非ヒト動物の作製方法。

【図4】
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【図5】
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【図8】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−37753(P2011−37753A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−186219(P2009−186219)
【出願日】平成21年8月11日(2009.8.11)
【出願人】(803000056)財団法人ヒューマンサイエンス振興財団 (341)
【Fターム(参考)】