説明

UWB通信システムに属する2つの無線装置の間の偶発的な干渉を抑制する方法及び対応する装置

【課題】無線通信システムにおいて、可用帯域幅の損失なく、さらに資源の減少なしに偶発的な干渉を抑制すること。
【解決手段】無線通信システムに属し、メイン周波数帯域内の前記システムの別の無線装置と情報を交換するように構成された無線装置(WAP1)であって、
それぞれ異なるアンテナ特性を有するN個(Nは1より大きい)の相違するアンテナ(ANT1、ANT2)と、
1つのアンテナを選択するように構成された制御可能な選択手段(SWM)と、
メイン周波数帯域内で動作する少なくとも1つの干渉の偶発的な存在を前記選択されたアンテナによって検出するように構成された検出手段(DTM)と、
検出された干渉の存在時に、別のアンテナを選択するために、前記選択手段を制御するように構成されている制御手段(CTLM)と、
を備える、無線装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置に関し、より詳細には、例えば、UWB(Ultra Wide Band)通信システムに属する、それぞれ異なる無線設備、又は装置内における干渉の処理に関するものである。
【背景技術】
【0002】
UWB基盤の無線通信システムの主な特徴は、他の無線通信及び位置決定(RADAR)システムにより、既に使用中の周波数帯域で下位システムとして動作するということである。これらの該当(incumbent)システムは、UWBシステムで干渉(バンド内の干渉)を発生させ、そのUWBシステムは、これらのシステムに干渉を発生させるようになる。UWBシステムの極めて制限された送信電力により、その発生した干渉が現在のシステムにおいて劣化をもたらす範囲は、数メートル〜10(10th)メートルに制限される。また、この領域で動作する該当システムは、動作時にUWBシステムに干渉を発生して、通信性能の劣化をもたらす。
【0003】
本発明の非制限的なアプリケーションは、いわゆる、MBOA(Multiband OFDM Alliance)と呼ばれるOFDM(Orthogonal Frequency−Division Multiplexing)に基づいた超広帯域(UWB)標準に従って動作する装置に関するもので、固定無線装置であるWIMAX装置(Worldwide Interoperability for Microwave Access)に対して干渉を発生しうることがある。
【0004】
直交周波数−分割多重化(OFDM)は、それぞれ異なる周波数の数個の狭帯域チャンネル(サブ−キャリア)に信号を分割するデジタル変調方式である。
【0005】
このようなWIMAX装置は、3.5GHzの中心周波数で、例えば、20MHzの帯域幅で動作するのに対し、MBOAの周波数帯域は、3.1と5.0GHzの間に存在する。
【0006】
MBOA標準のようなOFDM及びUWBの技術に基づいた無線個人通信網は、このような広帯域装置に近い狭帯域の干渉装置(interferer:干渉を起こす装置)に直接干渉するようになる。現在のところ、OFDM(MBOA)を基盤とするUWB標準では、特定の干渉低減の技術が実現されていない。
【0007】
バンド内のスペクトラム干渉を避けるために、国際公開公報第2005/006698号(INTEL)は、選択されたサブ−キャリアをパンクチュアリングする(puncturing)、すなわち、除去することを提案する。より正確には、このパンクチュアリングは、送信機でOFDM変調の後に、チャンネル情報(knowledge)を考慮して行われているが、デパンクチュアリング(depuncturing)は、受信機でOFDM復調器の前に行われる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、このような帯域を除去する解決策は、可用帯域幅の減少をもたらす。
【0009】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものである。本発明の目的は、UWB装置のような無線装置からの該当装置に対する干渉のみならず、その該当装置によりUWBのような無線装置に対して発生する干渉を、帯域が損失する解決策のような可用帯域幅の損失なしに、さらに、資源の減少なしに抑制する(control)ことである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によれば、例えば多重キャリア基盤のUWB通信システムに属する2つのメイン無線装置間の情報交換中の偶発的な干渉を抑制する方法であり、前記情報がメイン周波数帯域内で、例えばメイン周波数帯域に属する周波数を有するサブ−キャリアを介して、交換される方法であって、
各無線装置にそれぞれ異なるアンテナ特性を有する数個のアンテナを設けるステップを含み、さらに、各メイン装置において、
a) 前記情報交換を実行するための1つのアンテナを選択するステップと、
b) メイン周波数帯域内で動作する、少なくとも1つの干渉(interferer:干渉装置、干渉を起こす装置)の偶発的な存在を前記選択されたアンテナによって検出するステップと、
c) 前記少なくとも1つの干渉が検出される場合、前記情報交換を続けるために、別のアンテナを選択するステップと、
を含む、方法が提案されている。
【0011】
当分野の状況とは対照的に、本発明は、アンテナ側からの問題に取り組んでいる。適切なアンテナの選択を利用することにより、該当装置への干渉が減少するので、さらに、この該当装置により無線装置に対して発生する干渉も減少する。
【0012】
例えば、本発明は、単に、アンテナの入力とUWB装置の無線周波数部の間にスイッチを追加する。付加的な無線周波数の処理ステージが要求されない。例えば、単に、小型の付加的な制御ユニットだけが、そのスイッチング動作のための外部の制御信号とともに、基底帯域(baseband)ステージに追加されることが必要である。
【0013】
例えば、その制御ユニット自体は、既存の基底帯域の制御プロセッサを用いてソフトウェアに実現されることができる。
【0014】
このような本発明の態様は、アンテナの技術を含むので、妨害の可能性を大きく減らすことができる。これは、ノッチング、又は、帯域除去のうちのいずれか1つを用いた基底帯域の解決策を通じては不可能である。
【0015】
一般的に、それぞれ異なるアンテナ特性を有するアンテナの数に求められる最小値は、たとえ、2つ以上のアンテナが使用できる場合でも、2つである。
【0016】
実際に、1つの干渉が1つの選択されたアンテナを通して検出される場合、別のアンテナが選択されるとき、この干渉の電力レベルは、与えられた検出及び回避の閾値(例えば、UWBアプリケーションに対して−70dBm/MHz)より小さくなる可能性が高い。
【0017】
特に、2つ以上のアンテナが使用される場合には、それぞれの新たに選択されたアンテナに対してステップb)及びc)を反復して、最終的に1つのアンテナを選択することが望ましい。
【0018】
実際に、1つ以上の干渉がメイン無線装置の近傍に存在する可能性がある。したがって、メイン無線装置の環境を精密に調べることによって、干渉が検出されない少なくとも1つのアンテナを決定することが可能である。
【0019】
しかし、最悪の場合、すべてのアンテナが干渉を検出することもある。その場合には、制御階層、例えば、MAC階層がその2つのUWB装置間の情報交換を中止するように決定してもよい。別の実現形態として、干渉が最も低いレベルにあるアンテナを選択し、干渉を最小化するための解決策、例えば、従来の技術で一般的に使用されたような帯域除去の解決策を用いることがある。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、この方法は、干渉が検出されないアンテナのグループを検出するステップと、前記グループの各アンテナに対して、前記情報交換の品質を示す表示を決定するステップと、前記情報交換を続けるために、前記情報交換の最高の品質に関連する(associated to)アンテナを選択するステップとを含む。
【0021】
前記情報交換の品質を示す表示は、例えば、ビットエラー率(BER; Bit Error Rate)、又は、信号に対する雑音の比率(SNR)の決定であってもよい。したがって、発生し得る被害、つまり、干渉する装置の存在なしに、本実施形態は、特にUWBシステムで通信性能を最適化するために用いることができる。すなわち、最善のアンテナ構成をその通信のために使用することができる。
【0022】
それぞれ異なるアンテナ特性と関連して多くの可能性が存在する。
【0023】
例えば、アンテナを識別するのに用いられるアンテナの特性には、アンテナ放射パターンが含まれる。
【0024】
利用できる別の特性として、アンテナの分極を含むことも可能である。
【0025】
利用できる他のアンテナ特性には、アンテナの方位及び/又はメイン装置の位置指定が含まれる。
【0026】
勿論、アンテナを識別するために、少なくとも2つ以上のこれらの特性を組合せて使用することも可能である。
【0027】
各々のメイン装置は、OFDM基盤のUWB通信システムに属することもでき、例えば、DS−UWB(Direct Sequence UWB)通信システムに属することも可能である。
【0028】
また、本発明の別の態様によれば、無線通信システム、例えば多重キャリア基盤のUWB通信システムに属し、メイン周波数帯域内で、例えばメイン周波数帯域に属する周波数を有するサブ−キャリアを介して、前記システムの別の無線装置と情報を交換するように構成された無線装置(WAP1)であって、
−それぞれ異なるアンテナ特性を有するN個(Nは1より大きい)のアンテナと、
−1つのアンテナを選択するように構成された制御可能な選択手段と、
−メイン周波数帯域内で動作する少なくとも1つの干渉の偶発的な存在を前記選択されたアンテナによって検出するように構成された検出手段と、
−検出された干渉の存在時に、別のアンテナを選択するために、前記選択手段を制御するように構成された制御手段と、
を備える、無線装置が提案されている。
【0029】
本発明の一実施形態によれば、前記装置は、送信列及び受信列を備え、前記制御可能な選択手段は、N個のアンテナにそれぞれ関連するN個のスイッチング状態を有し、対応アンテナを送受信列に実際に接続するために、制御信号の受信時にN個の状態のうちの1つになるように構成されている制御可能なスイッチング手段を備え、さらに、前記制御手段が前記制御信号を該当スイッチング手段に転送するように構成されている。
【0030】
前記検出手段は、各々の新たに選択されたアンテナによって干渉を検出するように構成されることが好ましく、また、前記制御手段は、1つのアンテナを最終的に選択するようにさらに構成されている。
【0031】
本発明の実施形態によれば、この装置は、干渉が検出されないアンテナグループを検出し、前記グループの各アンテナ毎に、前記情報交換の品質を示す表示を決定するように構成された処理手段をさらに備え、前記制御手段は、前記情報交換の最高の品質に関連するアンテナを選択するために、前記選択手段を制御するように構成されている。
【0032】
本発明の他の利点及び特徴はこれに限定されるのではなく、添付図面を参照する以後の詳細な説明からより明らかに理解できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
図1は、WLAN(“Wireless Local Area Network”)、又は、WPAN(“Wireless Personal Area Network”)のような、非統合の通信システムに属する無線通信装置WAP1の例を開示する。
【0034】
このような無線装置WAP1は、例えば、OFDM基盤の超広帯域通信システムに属する。しかし、本発明は、このような例に限定されるのでなく、さらに、モバイル無線システム、又は、WIMAXシステム、又は、WLANのようなアクセスポイントを利用して調整されたモードで調整された無線システム、より詳細には、例えば、キャリアが必ずしも直交しないCDMA、GSMシステム、又は、一般の多重キャリア(GMC)システムのような、任意の種の無線システムに適用可能である。
【0035】
WPAN MACプロトコルは、媒体の接近を割り当てるために、中央調整器ターミナル、又は、基地局のない、分散特性を有する。モバイル無線ターミナルとは対照的に、WPAN受信機は、送信スロット及びフォーマットを割り当てるのに、より高い柔軟性を有する。通信資源の割り当ては、分散型プロセスである。スーパーフレームで特定時間のスロットに対する割り当ては、1つのスーパーフレームから次のスーパーフレームに変更できる。制御するエンティティは、通信するターミナルのWPAN−MAC階層である。この割り当ては、要請されたデータレート及び送信されるサービスのタイプに基づく。また、利用可能な資源が、その割り当ての過程で考慮される。MAC階層は、これらの制約に基づき、特定の時間スロット、又は、時間スロットの数に対する予約を要請する。これらの制約は、送信される、又は、受信されるデータレートのようなローカル制約、及び既存のスロット予約のような全体ネットワーク制約に分離可能である。
【0036】
分散型WPAN−MACの例には、MBOA MACがある。
【0037】
提案されたMBOA MAC標準ドラフトは、UWB技術を基盤とし、3.1〜10.7GHzの周波数帯域で用いられるように設計されたものである。まず、標準を用いた実現例は、3.1〜5.0 GHzの周波数範囲で動作する。
【0038】
この無線装置のWAP1は、UWBアプリケーションブロックと空中チャンネル間を接続するOFDM基盤のUWB通信インターフェースを一般的に備える。
【0039】
この通信インターフェースは、クロック信号によりクロックされ(clocked:電子パルスを送り込まれ)、PHY階層及びUWBアプリケーションブロックに接続されたUWB MAC階層を含む。
【0040】
この通信インターフェースのMAC階層及びPHY階層に関するより詳細な説明としては、当業者は、高速超広帯域PHY及びMAC標準である2005年12月、第1版、標準EMA−368を参照したり、ECMA−368に対するMAC−PHYインターフェースである2005年12月、第1版、標準ECMA−369を参照することができる。
【0041】
特に、このMAC階層は、UWBデータストリームの送信及び受信を管理し、ソフトウェアにより制御プロセッサBBで具体化される。
【0042】
この無線装置のWAP1は、さらに、一般的に送信列TXCH及び受信列RXCHを備える。この両方の列は、後に詳細に述べるように、制御可能なスイッチング手段のSWMを介して、数個の相異するアンテナ(ここでは、2つのアンテナ)AN1及びANT2に接続される。
【0043】
一般的な方法において、送信列は、ソースエンコーディング手段からデータを受信した後、パンクチュアリングされたビットストリームを転送するパンクチュアリング手段でビットストリームを転送する重畳エンコーダーのようなエンコーダーを含む外部送信ブロックを備えている。
【0044】
該送信列の他の、一般的な手段は、利用された変調方式、例えば、BPSK変調、又は、より一般的なQAM変調の種類に依存し、変調マッピング方式によってビットをシンボルにマッピングするマッピング手段の次に位置する、インターリービング手段である。その後、そのシンボルは、各符号をサブキャリアに対応させて、OFDMシンボルを形成するために、IFFT処理を行うOFDM変調器に転送される。各サブキャリアは、対応するシンボルの値によって変調される。
【0045】
マッピング手段のみならず、OFDM変調器も送信列の内部送信ブロックに属する。
【0046】
その後、基底帯域の制御プロセッサBBによって転送されたOFDMシンボルは、1つの選択されたアンテナANT1、又は、ANT2を経由して空中を通して転送される前に、一般的な無線周波数ステージRFで処理される。
【0047】
一般的な方法で、受信列のRXCHは、送信列の手段に対応する、送信列の手段によって行われる動作に対して反対の動作を行うための手段を備える。
【0048】
このUWB装置WAP1は、該通信システムの別のUWB装置のWAP2と情報を交換する。UWB装置のWAP2は、装置WAP1の構造と類似する構造を有する。
【0049】
メイン装置のWAP1及びWAP2の動作(送信及び/又は受信)に使用されるメイン周波数帯域は、3.1〜4.9 GHz範囲である。また、メイン周波数帯域は、互いに離隔したホッピング下位−帯域と呼ばれる3つの下位−帯域にさらに分割される。
【0050】
送信中における、この下位−帯域の割り当ては、所定のホッピングシークエンスによって行われる。
【0051】
図1の下部において、狭帯域装置(補助装置)、すなわち干渉装置のXDVCは、メイン周波数帯域内に含まれている補助周波数帯域、例えば、第2の下位−帯域内で動作するものと仮定する。この補助周波数帯域は、例えば、20MHzの幅を有する。
【0052】
MBOA標準のような技術に基づいたUWB装置に比べて、このような装置XDVCは、狭帯域装置と見なされる。
【0053】
一例として、補助装置(例えば、WIMAX装置)の補助周波数の幅であり得る20MHz狭帯域キャリアは、MBOA基盤の装置の使用UWBスペクトラムの単に1.3%に相当し、例えば、5又は7サブキャリア中の干渉するサブキャリアグループに対応する。
【0054】
前記補助装置、すなわち干渉装置は、WIMAXシステムのような固定無線システム(FWA、fixed wireless access)に属する場合もある。しかし、このような補助装置は、モバイル無線システム、又は、衛星システム、又は、レーダーシステムの周波数帯域がメイン装置のメイン周波数帯域内に位置する場合、例えば、IMT−2000以降の、UMTS、GSM、CDMA、EDGEのようなモバイル無線標準により定義されるモバイル無線システムに付属するか、又は、固定式衛星システム(FSS)に付属するか、又は、ラジオナビゲーションに使用されるレーダーシステムに付属することも可能である。
【0055】
再び、図1を参照すれば、2つのアンテナANT1及びANT2が制御可能なスイッチング手段のSWMに接続される。これらのスイッチング手段は、基底帯域プロセッサBB(図3)内で、ソフトウェアにより実現できる制御手段CTLMにより転送された制御信号CTLSにより制御される。
【0056】
このスイッチング手段の出力は、UWB装置WAP1のRF前面のN部分に接続される。
【0057】
このスイッチング手段は、本質的に知られている如何なる手段により、例えば、制御可能なMOSトランジスターを含む一般的なGaAsスイッチ、又は、RF−MEMS(Radio−Frequency Micro−Electro−Mechanical System)スイッチを利用して実現することも可能である。
【0058】
ここで、2つのアンテナANT1及びANT2は、例えば、それぞれ異なるビーム特性を有する。アンテナは、同一の基板(例えば、IPAD)上に実現されるか、又は、PDA又はPC(非統合のアンテナシステム)の異なるコーナーに位置してもよい。
【0059】
図1に示すように、干渉装置XDVCは、UWBシステムの近傍で動作している。
【0060】
ここで、アンテナANT2のビームに位置される。
【0061】
したがって、UWB装置のWAP1で干渉する装置によって発生する干渉レベル、要するに、犠牲受信機(victim receiver)のXDVCへの装置WAP1によって発生する干渉が、アンテナANT1の配置に比べて、アンテナANT2が使用されるとき、より高いレベルを有するようになる。
【0062】
この状態が図4及び図5に示されている。
【0063】
図4において、アンテナANT2の選択に対応して、UWB装置のWAP1で−70dBm/MHzとして定義された検出閾値が超過する。アンテナANT1を使用する場合には、閾値に到達せず、このため、UWBシステムが制約なしに動作することができる(図5)。
【0064】
したがって、この場合には、アンテナANT1が選択される。
【0065】
なお、アンテナANT1の使用は、干渉装置XDVCによってUWB通信リンク側に発生する干渉を著しく減少させるようになる。
【0066】
アンテナの指向性利得として制限された干渉に起因する付加的な利得が、スイッチング手段SWMにより導入される付加的な損失を容易に補償する(compensate)ようになる。
【0067】
さらに、一般的には、図2に示すように、第1のアンテナが2つのUWB装置のWAP1及びWAP2の間の情報交換のために選択される(ステップ20)。
【0068】
偶発的な干渉は、その選択されたアンテナによって検出される(ステップ21)。
【0069】
このような偶発的な干渉を検出するために、様々な既知の一般的な解決策を使用することができる。
【0070】
1つの解決策としては、異なるサブキャリアに対してSNRを求める方法があり、平均値とピーク値の間の比較に基づいて、干渉されたキャリアを識別できる。
【0071】
また、別の解決策は、全てのサブキャリアに対してエネルギーを測定し、その後、そのエネルギーを平均した上、1つ、又は、数個のサブキャリアのエネルギーがこの平均値以上に閾値を超過するかどうかを検出する方法である。
【0072】
また、別の解決策は、チャンネル推定の変化推定に基づく方法である。
【0073】
このような検出は、例えば、基底帯域プロセッサBBでソフトウェアモジュールにより、あるいは、専用の集積回路で実現される検出手段DTMにより行われることができる。例えば、検出手段は、一般的な基底UWB装置に利用可能なFFT(Fast Fourier Transform)手段を用いて実現することができる。
【0074】
干渉が検出されない場合(ステップ22)には、その選択されたアンテナが維持される(ステップ23)。
【0075】
その後、ステップ21が偶発的な新たな干渉を検出するために、規則的に実行される。
【0076】
ステップ22で偶発的な干渉が検出される場合には、別のアンテナが選択される(ステップ24)。
【0077】
このように新たに選択されたアンテナが以前選択されなかったと仮定する場合、このアンテナの選択が確認され、ステップ21は、再びこの新たに選択されたアンテナに対して規則的に実行される。
【0078】
別の干渉、又は、同一の干渉が依然としてこの新たなに選択されたアンテナによって検出される場合には、別のアンテナが存在する場合には、再び選択される(ステップ24)。
【0079】
どのアンテナが選択されても、干渉が依然として検出されると仮定する場合には、基底帯域プロセッサにより、例えば、MAC階層により、決定が行われる。
【0080】
このような決定は、例えば、所定の期間中に2つのUWB装置間のある情報交換を中断し、その情報交換が少なくとも1つのアンテナを通して継続できるかどうかを決定するものであってもよい。
【0081】
別の可能性は、アンテナ、例えば、干渉レベルが最も低いアンテナを最終に選択し(ステップ26)、このアンテナと情報交換を継続することである。
【0082】
上記のように、数個のアンテナがそれぞれ異なるアンテナ特性を有する。
【0083】
図6〜図8は、アンテナにそれぞれ異なるアンテナ特性を各々提供するための異なる解決策を示す。
【0084】
当業者には周知のように、送信するアンテナからの放射フィールドは、複合ポインティングベクトルE×Hを特徴とし、ここで、Eは電界で、Hは磁場である。
【0085】
分極は、時間による方向と大きさの変化量を定義する電界ベクトルの性質である。この電界は、空間で固定位置において伝播方向に垂直な平面で観察する場合、瞬間電界の大きさを表すベクトルのエンドポイントが曲線を描く。
【0086】
一般的な場合、この曲線は、図7に示したように楕円形である。この楕円は、軸比率の主軸と短軸の比率、及び楕円主軸の傾斜角τに特徴がある。
【0087】
分極は、曲線の形態によって線形、円形、又は、楕円形に分けられる。楕円が各々直線、又は、円になるとき、線形及び円形の分極は、楕円分極の特殊な場合である。
【0088】
したがって、アンテナは、それらの分極の種類によって分けられることも可能である。
【0089】
別の可能性は、水平分極を有するアンテナ及び垂直分極を有する別のアンテナを使用することである。
【0090】
1つのアンテナを他のアンテナと識別するのを許容する別の特徴は、放射パターンである。
【0091】
アンテナの放射パターンは、図8に示すように、球面座標(θ、φ)の関数として、アンテナの放射レベルをマッピングするものである。殆どの場合、この放射パターンは、一定の半径距離及び周波数に対して、ファーフィールド領域(far-field region)で決定される。代表的な放射パターンは、相異するレベルにおけるメインビームと一連のサイドローブに特徴がある。このアンテナ性能は、しばしばその主要E−及びH−プレーンパターンの観点から説明される。
【0092】
別のアンテナとあるアンテナとの識別のための、別の可能性は、図6に示す例のように、装置における位置及び/又は方位である。
【0093】
勿論、そのアンテナは、これらの異なる特性のうち、少なくとも2つの組合を利用して互いに区分できる。
【0094】
2つのアンテナが本発明の実施形態を実施するための最小限のアンテナの数であるが、周波数の範囲が10GHz未満であるUWBアプリケーションに対しては、4〜6個のアンテナを使用することも可能である。例えば、これらのアンテナは円上に配置してもよい。
【0095】
潜在的な犠牲の存在、要するに、アンテナグループ内、又は、全てのアンテナ内に干渉する装置がなく、本発明は、UWBシステムで通信性能を最適化するのに使用することができる。このような実施形態が、図9に示されている。例えば、アンテナグループ内、又は、全てのアンテナ内で干渉が検出されない場合、情報交換品質に関する基準、例えばビットエラー率(BER)を決定できる(ステップ90)。そして、制御手段は、その低いBERをもたらすアンテナを選択できる(ステップ91)。
【0096】
このようなアンテナグループは、検出手段によって与えられた表示に基づいて、処理手段PM(例えば、基底帯域プロセッサに含まれたソフトウェア・モジュール)により検出されることができる。
【0097】
勿論、一旦アンテナが選択されれば、偶発的な干渉の検出が、図2を参照して説明したように、30秒毎に周期的に行われる(ステップ92)。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の実施形態を図式的に示す図である。
【図2】本発明による方法の実施形態に関するフローチャートを図式的に示す図である。
【図3】本発明によるメイン装置の実施形態の手段を図式的に、より詳細に示す図である。
【図4】偶発的な干渉を検出するための、利用可能な解決策を示す図である。
【図5】偶発的な干渉を検出するための、利用可能な解決策を示す図である。
【図6】それぞれ異なる、可能なアンテナ特性を示す図である。
【図7】それぞれ異なる、可能なアンテナ特性を示す図である。
【図8】それぞれ異なる、可能なアンテナ特性を示す図である。
【図9】本発明による方法の他の実施形態に関するフローチャートを図式的に示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信システムに属する2つのメイン無線装置間の情報交換中における偶発的な干渉を抑制する方法であり、前記情報がメイン周波数帯域内で交換される方法であって、
それぞれ異なるアンテナ特性を有する数個のアンテナを各々の無線装置に設けるステップを含み、さらに、各メイン装置において、
a)前記情報交換を行うために、1つのアンテナを選択するステップ(ステップ20)と、
b)メイン周波数帯域内で動作する少なくとも1つの干渉器の偶発的な存在を、前記選択されたアンテナを経由して検出するステップ(ステップ21)と、
c)前記少なくとも1つの干渉器が検出される場合、前記情報交換を続けるために、別のアンテナを選択するステップ(ステップ24)と、
を含む、方法。
【請求項2】
各々の新たに選択されたアンテナに対して、ステップb)及びc)を反復して、最終的に1つのアンテナを選択するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
干渉器が検出されないアンテナのグループを検出するステップと、前記グループの各アンテナに対して、前記情報交換の品質を示す表示を決定するステップと、前記情報交換を継続するために、前記情報交換の最高の品質に関連するアンテナを選択するステップとをさらに含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記アンテナ特性は、アンテナ放射パターンを含む、請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記アンテナ特性は、アンテナの分極を含む、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記アンテナ特性は、アンテナの方位及びメイン装置における位置指定の少なくとも1つを含む、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
各々のメイン装置は、UWB通信システムに属する、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
各々のメイン装置は、OFDM基盤のUWB通信システムを含む多重キャリア基盤のUWB通信システムに属する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
各々のメイン装置は、DS−UWB通信システムに属する、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
無線通信システムに属し、メイン周波数帯域に属する周波数を有するサブキャリアを介して、前記システムの別の無線装置と情報を交換するように構成された無線装置(WAP1)であって、
それぞれ異なるアンテナ特性を有するN個(Nは1より大きい)のアンテナ(ANT1、ANT2)と、
1つのアンテナを選択するように構成された制御可能な選択手段(SWM)と、
メイン周波数帯域内で動作する少なくとも1つの干渉器の偶発的な存在を前記選択されたアンテナによって検出するように構成された検出手段(DTM)と、
検出された干渉器の存在時、別のアンテナを選択するために、前記選択手段を制御するように構成された制御手段(CTLM)と、
を備える、無線装置。
【請求項11】
送信列(TXCH)及び受信列(RXCH)をさらに備え、
前記制御可能な選択手段(SWM)は、制御信号(CTLS)の受信時、N個のアンテナにそれぞれ関連するN個のスイッチング状態を有し、対応アンテナを送受信列に実際に接続するために、N個の状態のうちの1つになるように構成される制御可能なスイッチング手段を備え、さらに、前記制御手段(CTLM)は、前記制御信号を前記スイッチング手段に転送するように構成されている、請求項10に記載の無線装置。
【請求項12】
前記検出手段(DTM)は、各々の新たに選択されたアンテナによって干渉器を検出するように構成され、前記制御手段は、1つのアンテナを最終選択するようにさらに構成されている、請求項10又は11に記載の無線装置。
【請求項13】
干渉器が検出されないアンテナグループを検出し、前記グループの各アンテナ毎に、前記情報交換の品質を示す表示を決定するように構成された処理手段(PM)をさらに備え、
前記制御手段は、前記情報交換の最高の品質に関連するアンテナを選択するために、前記選択手段を制御するように構成されている、請求項10から12のいずれかに記載の無線装置。
【請求項14】
前記アンテナ特性は、アンテナ放射パターンを含む、請求項10から13のいずれかに記載の無線装置。
【請求項15】
前記アンテナ特性は、アンテナの分極を含む、請求項10から14のいずれかに記載の無線装置。
【請求項16】
前記アンテナ特性は、アンテナの方位及びメイン装置における位置指定の少なくとも1つを含む、請求項10から15のいずれかに記載の無線装置。
【請求項17】
OFDM基盤のUWB通信システムを含む多重キャリア基盤のUWB通信システムに属する、請求項10から16のいずれかに記載の無線装置。
【請求項18】
DS−UWB通信システムに属する、請求項10から16のいずれかに記載の無線装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate