説明

VLP−抗原コンジュゲートとワクチンとしてのその使用

本発明は、医学、免疫学、ウイルス学及び分子生物学の分野に関連する。本発明は、RNAバクテリオファージのウイルス様粒子(VLP)と少なくとも一の抗原を含有してなる組成物であって、VLPが宿主内で組み換えて産生されるものであり、VLPに含有される二次構造を有する宿主RNAの量が、VLPに当初より含有される二次構造を有する宿主RNAの量の最大20%であり、VLPと少なくとも一の抗原が互いに結合している組成物を提供する。また、本発明は、本発明の組成物の産生方法を提供する。本発明の組成物は、疾患、障害及び症状の治療のためのワクチンの産生に有用である。さらに、本発明の組成物は、望ましくないT細胞応答を低減するか排除しながら、示した範囲内の抗原に対して強い抗体応答を効率よく誘発するために特に有用である。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) 少なくとも一の第一付着部位を有するRNAバクテリオファージのコートタンパク質、そのムテインないしはその断片を含有してなるウイルス様粒子(VLP)であって、該VLPが宿主内で組み換えて産生されるものであり、該VLPに含有される二次構造を有する該宿主RNAの量が、該VLPに当初より含有される二次構造を有する宿主RNAの量の最大20%である、ウイルス様粒子;
(b) 少なくとも一の第二付着部位を有する少なくとも一の抗原;
を含んでなる組成物であって、該少なくとも一の抗原(b)が該少なくとも一の第一付着部位と該少なくとも一の第二付着部位を介して該VLP(a)に結合している、組成物。
【請求項2】
(a) 少なくとも一の第一付着部位を有するRNAバクテリオファージのコートタンパク質、そのムテインないしはその断片を含有してなるウイルス様粒子(VLP)であって、該VLPが宿主内で組み換えて産生されるものであり、該VLPは宿主RNA、好ましくは宿主の核酸を本質的に含有しない、ウイルス様粒子;
(b) 少なくとも一の第二付着部位を有する少なくとも一の抗原;
を含んでなる組成物であって、該少なくとも一の抗原(b)が該少なくとも一の第一付着部位と該少なくとも一の第二付着部位を介して該VLP(a)に結合している、組成物。
【請求項3】
さらに、前記VLPに結合された少なくとも一のポリ陰イオン性高分子を含んでなり、好ましくは該ポリ陰イオン性高分子が該VLP内にパッケージ化されている、請求項2又は3に記載の組成物。
【請求項4】
前記ポリ陰イオン性高分子の分子量が10000から100000ダルトンである、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記ポリ陰イオン性高分子が、
(a) ポリ陰イオン性ポリペプチド;
(b) ポリ陰イオン性糖類;
(c) ポリ陰イオン性有機ポリマー;及び
(d) toll様レセプターリガンドでない核酸、
からなる群から選択されるものである、請求項3又は4に記載の組成物。
【請求項6】
前記核酸がtRNAである、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記ポリ陰イオン性ポリペプチドが、
(a) ポリグルタミン酸;
(b) ポリアスパラギン酸;
(c) ポリ(GluAsp);及び
(d) (a)−(c)の任意の化学的修飾、
からなる群から選択されるものである、請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
前記ポリ陰イオン性高分子がポリグルタミン酸及び/又はポリアスパラギン酸であり、好ましくは該ポリ陰イオン性高分子がポリグルタミン酸である、請求項3又は4に記載の組成物。
【請求項9】
前記ポリ陰イオン性糖類が、
(a) 陰イオン性デキストラン;
(b) ホスホセルロース;
(c) ポリグルクロン酸;
(d) ポリガラクツロン酸;
(e) ポリシアル酸;
(f) ヒアルロン酸;及び
(g) グリコサミノグリカン
からなる群から選択されるものである、請求項5に記載の組成物。
【請求項10】
前記の陰イオン性デキストランが、
(a) 硫酸デキストラン;
(b) カルボキシルメチルデキストラン;
(c) スルホプロピルデキストラン;
(d) メチルスルホン酸デキストラン;及び
(e) リン酸デキストラン
からなる群から選択されるものである、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記グリコサミノグリカンが、
(a) ヘパリン;
(b) ヘパラン硫酸;
(c) デルマタン硫酸;
(d) コンドロイチン硫酸;及び
(e) ケラタン硫酸
からなる群から選択されるものである、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
前記ポリ陰イオン性有機ポリマーが、
(a) ポリビニル硫酸;及び
(b) ポリアクリラート
からなる群から選択されるものである、請求項5に記載の組成物。
【請求項13】
前記RNAファージが、
(a) バクテリオファージQβ;
(b) バクテリオファージR17;
(c) バクテリオファージfr;
(d) バクテリオファージGA;
(e) バクテリオファージSP;
(f) バクテリオファージMS2;
(g) バクテリオファージM11;
(h) バクテリオファージMX1;
(i) バクテリオファージNL95;
(j) バクテリオファージf2;
(k) バクテリオファージPP7;および、
(l) バクテリオファージAP205
からなる群から選択されるものである、請求項1ないし12の何れか一に記載の組成物。
【請求項14】
前記VLPがRNAファージQβ、fr、AP205又はGAのコートタンパク質、及び/又はそのムテイン、及び/又はその断片を含んでなる、請求項1ないし13の何れか一に記載の組成物。
【請求項15】
前記第一付着部位が、少なくとも一の共有結合、好ましくは少なくとも一の非ペプチド共有結合を介して前記第二付着部位に結合する、請求項1ないし14の何れか一に記載の組成物。
【請求項16】
前記第一付着部位がアミノ基、好ましくはリジンのアミノ基を含有する、請求項1ないし15の何れか一に記載の組成物。
【請求項17】
前記第二付着部位がスルフヒドリル基、好ましくはシステインのスルフヒドリル基を含有する、請求項1ないし16の何れか一に記載の組成物。
【請求項18】
前記第一付着部位がリジンのアミノ基を含有し、前記第二付着部位がシステインのスルフヒドリル基を含有する、請求項1ないし17の何れか一に記載の組成物。
【請求項19】
さらに、リンカーを含んでなる、請求項1ないし18の何れか一に記載の組成物。
【請求項20】
前記の少なくとも一の抗原が、
(a) ポリペプチド;
(b) 炭水化物;
(c) ステロイドホルモン;
(d) 有機分子;及び
(e) ハプテン
からなる群から選択されるものである、請求項1ないし19の何れか一に記載の組成物。
【請求項21】
前記の少なくとも一の抗原が自己抗原又はその断片ないしはその変異体である、請求項1ないし20の何れか一に記載の組成物。
【請求項22】
前記自己抗原が、
(a) リンホトキシン(好ましくはリンホトキシンα(LTα)、リンホトキシンβ(LTβ));
(b) リンホトキシンレセプター;
(c) 核因子kBリガンド(RANKL)のレセプター活性化因子;
(d) 血管内皮成長因子(VEGF);
(e) 血管内皮成長因子レセプター(VEGF-R);
(f) インターロイキン-5;
(g) インターロイキン-17;
(h) インターロイキン-13;
(i) IL-23p19;
(j) グレリン;
(k) CCL21;
(l) CXCL12;
(m) SDF-1;
(n) M-CSF;
(o) MCP-1;
(p) エンドグリン;
(q) GnRH;
(r) TRH;
(s) エオタキシン;
(t) ブラジキニン;
(u) BLC;
(v) 腫瘍壊死因子α;
(w) アミロイドβペプチド(Aβ1−42);
(x) Aβ1−6
(y) アンギオテンシン;
(z) ガストリン及び/又はプロガストリン;
(aa) CETP;
(bb) CCR5;
(cc) C5a;
(dd) CXCR4;
(ee) Des-Argブラジキニン;
(ff) GnRHペプチド;
(gg) アンギオテンシンペプチド;
(hh) TNF-ペプチド;
(ii) 前述の抗原(a)−(hh)の断片;及び、
(jj) 前述の抗原(a)−(hh)の変異体
からなる群から選択されるものである、請求項1ないし21の何れか一に記載の組成物。
【請求項23】
請求項1ないし22の何れか一に記載の組成物を含んでなるワクチン組成物。
【請求項24】
前記ワクチンがアジュバントを欠いている、請求項23に記載のワクチン組成物。
【請求項25】
さらに、少なくとも一のアジュバントを含んでなる、請求項23に記載のワクチン組成物。
【請求項26】
RNAバクテリオファージ-抗原コンジュゲートのVLPと本発明の組成物をそれぞれ調整する方法であって、
(a) 少なくとも一の第一付着部位を有するウイルス様粒子(VLP)を宿主によって組み換えて産生させる工程、このときの該VLPはRNAバクテリオファージのコートタンパク質、そのムテインないしはその断片を含有するものである;
(b) 該RNAバクテリオファージのコートタンパク質、そのムテインないしはその断片にウイルス様粒子を分解させる工程;
(c) 該コートタンパク質、そのムテインないしはその断片を精製する工程;
(d) 精製した該RNAバクテリオファージのコートタンパク質、そのムテインないしはその断片をウイルス様粒子に再構築させる工程、このときの該ウイルス様粒子は宿主RNA、好ましくは宿主核酸を本質的に欠いているものである;そして
(e) 少なくとも一の第二付着部位を有する少なくとも一の抗原を工程(d)より得た該VLPに結合させる工程、
を含む、方法。
【請求項27】
前記の精製されたコートタンパク質は、少なくとも一のポリ陰イオン性高分子の存在下で再構築される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
RNAバクテリオファージ-抗原コンジュゲートのVLPを調整する方法であって、
(a) ウイルス様粒子(VLP)を宿主によって組み換えて産生させる工程、このときの該VLPはRNAバクテリオファージのコートタンパク質、そのムテインないしはその断片と、少なくとも一の抗原を含有する融合タンパク質を含んでなるものである;
(b) 該VLPを該融合タンパク質に分解させる工程;
(c) 該融合タンパク質を精製する工程;
(d) 該精製された融合タンパク質をVLPに再構築させる工程、このときの該ウイルス様粒子は宿主RNA、好ましくは宿主核酸を本質的に欠いているものである
を含む、方法。
【請求項29】
前記の精製されたコートタンパク質は、少なくとも一のポリ陰イオン性高分子の存在下で再構築される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記VLPがRNAバクテリオファージAP205のVLPである、請求項28又は29に記載の方法。
【請求項31】
請求項23ないし25の何れか一に記載のワクチン組成物が動物又はヒトに投与されることを含む、免疫化方法。
【請求項32】
疾患の治療のための医薬の製造における、請求項1ないし22の何れか一に記載の組成物又は請求項23ないし25の何れか一に記載のワクチン組成物の使用であって、好ましくは該疾患が炎症性疾患及び/又は慢性自己免疫性疾患である、使用。
【請求項33】
請求項1ないし22の何れか一に記載の組成物又は請求項23ないし25の何れか一に記載のワクチン組成物が動物又はヒトに投与されることを含む疾患の治療方法であって、好ましくは該疾患が炎症性疾患及び/又は慢性自己免疫性疾患である、治療方法。
【請求項34】
(a) 請求項1ないし22の何れか一に記載の組成物;及び
(b) 受容可能な製薬的担体
を含有してなる薬剤組成物。
【請求項35】
請求項26ないし30の何れか一に記載の方法によって入手可能な組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−515851(P2008−515851A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−535158(P2007−535158)
【出願日】平成17年10月5日(2005.10.5)
【国際出願番号】PCT/EP2005/055009
【国際公開番号】WO2006/037787
【国際公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【出願人】(304042375)サイトス バイオテクノロジー アーゲー (26)
【Fターム(参考)】