説明

VX478のようなHIVプロテアーゼ阻害剤およびビタミンE―TPGSのような水溶性ビタミンEを含む組成物

【発明の詳細な説明】
本発明は、特に3S−[3R(1R,2S)]−[3−[[(4−アミノフェニル)スルホニル](2−メチルプロピル)−アミノ]−2−ヒドロキシ−1−フェニルメチル)プロピル]カルバミン酸,テトラヒドロ−3−フラニルエステル(あるいはVX478または141W94として知られている)を含むHIVプロテアーゼ阻害剤、およびトコフェノールを含有する新規な医薬配合物、並びに医学的治療におけるそれらの使用に関する。
本発明は、薬科学の分野、特に薬剤放出、とりわけHIV阻害剤放出の分野に属する。
HIVプロテアーゼの阻害剤は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、後天性免疫不全症候群(エイズ)の原因薬剤、およびエイズ関連合併症(ARC)のような関連症状に対して有効な活性を有する。プロテアーゼ阻害化合物の例はWO94/05639、WO95/24385、WO94/13629、WO92/16501、WO95/16688、WO/US94/13085、WO/US94/12562、US93/59038、EP541168、WO94/14436、WO95/09843、WO95/32185、WO94/15906、WO94/15608、WO94/04492、WO92/08701、WO95/32185、およびUS特許5,256,783に記載されているもの、特に(S)−N−((α,S)−((1R)−2((3S,4aS,8aS)−3−(t−ブチルカルボモイル)オクタヒドロ−2−(1H)−イソキノリル)−1−ヒドロキシエチル)フェネチル)−2−キナルドアミノスクシンアミドモノメタンスルホネート(サキナビール)、N−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)インダニル)−2(R)−(フェニルメチル)−4(S)−ヒドロキシ−5−[1−[4−(3−ピリジルメチル)−2(S)−(N−t−ブチルカルバモイル)ピペラジニル]]ペンタンアミド(インジナビール)、10−ヒドロキシ−2−メチル−5−(1−メチルエチル)−1−[2−(1−メチルエチル)−4−チアゾリル]−3,6−ジオキソ−8,11−ビス(フェニルメチル)−2,4,7,12−テトラアザトリデカン−13−オイックアシッド、5−チアゾリルメチルエステル(リトナビール)、(N−(1,1−ジメチル)デカヒドロ−2−[2−ヒドロキシ−3−[(3−ヒドロキシ−2−メチルベンゾイル)アミノ]−4−(フェニルチオ)ブチル]−3−イソキノリンカルボキサミドモノメタンスルホネート(ネルフィナビール)、および関連化合物である。
特に、以下の式(I)


の化合物の構造で示されるような、3S−[3R(1R,2S)]−[3−[[(4−アミノフェニル)スルホニル](2−メチルプロピル)−アミノ]−2−ヒドロキシ−1−フェニルメチル)プロピル]カルバミン酸,テトラヒドロ−3−フラニルエステル;[3−(S)−N−(3−テトラヒドロフラニルオキシカルボニル)アミノ−1−(N,N−イソブチル−4−アミノベンゼンスルホニル)アミノ−2−(S)−ヒドロキシ−4−フェニルブタン;4−アミノ−N−(2(R)−ヒドロキシ−4−フェニル−3−(S)−(テトラヒドロフラン−3−(S)−イルオキシカルボニルアミノ)ブチル)−N−イソブチルベンゼンスルホンアミド(あるいはVX478または141W94として知られている)。
WO94/05639(参照することによってここに記載されたものとする)に記載の式(I)の化合物は、HIV−1およびHIV−2の阻害剤として特に有効であることが分かっている。特に好ましいのは式(I)の化合物である。
HIVプロテアーゼ阻害剤はHIVに対して高度の有効性を有するが、もちろん、患者に投与するとき、HIVプロテアーゼ阻害剤は、治療効果が生じるのに十分な量でかつ期間の間、作用部位に施すが、過度のかつ避けられない毒性効果が存在するようなレベルでは施さないことが必須である。したがって、上記の基準を満たすために、他の薬剤と同じように、HIVプロテアーゼ阻害剤のバイオアベイラビリティを測定して、患者に投与するのに必要な薬剤の量を推定する。
「バイオアベイラビリティ」の定義は、以下で引用するファーマシューティカル・サイエンシーズ、レミントン、第17版、p.1424に見ることができる。
「バイオアベイラビリティは、投与された形態から一般的な循環に達する時間(速度)および薬剤の全量(範囲)の目安を示す絶対用語である。」
薬剤のバイオアベイラビリティに影響を及ぼす多くのファクターがある。薬剤は吸収の前にまず溶液になる。従って、重要なファクターは薬剤の溶解速度である。一般的な種類の薬剤HIVプロテアーゼ阻害剤は、溶解度および湿潤性が低いという不十分な物理特性を有しており、従って、それらの溶解速度は低い。それ故、そのような薬剤の簡単な錠剤またはカプセル配合物はバイオアベイラビリティが低く、治療効果を得るためにより多くの量を投与する必要がある。
経口投与のためのHIVプロテアーゼ阻害剤の現在用いられている配合物は、粉末または錠剤形である。しかしながら、これらの経口配合物中のHIVプロテアーゼ阻害剤は一般に溶解しにくく、従って、上記の理由のためバイオアベイラビリティに乏しい。例えば、式(I)の化合物の水への溶解度は室温でわずか0.095mg/mLであり、pHと共に有意に変化しない(図1)。さらに、式(I)の化合物は湿潤性に乏しい。従って、標準的な配合技術を用いて化合物を配合することは難しく、とにかくバイオアベイラビリティの低い配合物になる。
従って、より少ない薬剤投与量で同じ治療効果が得られたり、より少ない頻度間隔で必要投与量がより少なくなり、それによって患者の協力度が向上するというような多くの利点を提供する、HIVプロテアーゼ阻害剤のバイオアベイラビリティの改善は、この分野における重要な目標である。
溶解速度を制限する配合物を避け、バイオアベイラビリティを改善するために、我々は式(I)の化合物を経口投与に適した溶液として配合した。我々は、10mg/mの式(I)の化合物のポリエチレングリコール400(PEG400)溶液が25〜30%の経口バイオアベイラビリティを有すること(表1)を見いだした。しかしながら、PEG400中の式(I)の化合物の濃度がこれより高い濃度(250mgの式(I)の化合物/g溶液)では、バイオアベイラビリティは、10mg/mL溶液で得られる値の半分に低下し、得られる最高濃度(Cmax)も劇的に低下する(表1)。
意外にも、我々は、式(I)の化合物をd−αトコフェニルポリエチレングリコール1000スクシネート(ビタミンE−TPGS)を含む溶液として投与すると、式(I)の化合物のバイオアベイラビリティが大きく改善されることを見いだした。
ビタミンE−TPGSはビタミンEの水溶性形であり、親油性物質の乳化を促進する賦形剤として認められており、非イオン界面活性剤として作用し、そして特定の薬剤のバイオアベイラビリティを改善する。
The Lancet、1991、338、212−214 Sokol R.J.等では、ビタミンE−TPGSとシクロスポリンとの同時投与で、シクロスポリンのバイオアベイラビリティが改善されることを教示している。
WO95/31217(ダメックス社)では、トコフェノールが、特に局所配合物の製造のため、水に実質的に不溶性の溶剤の溶媒および/または乳化剤として用いうることを教示している。ビタミンE−TPGSの使用については、高レベルのα−トコフェノールを脂質層として含有する配合物で使用するための乳化剤として7〜8頁および12頁で詳しく述べている。ビタミンE−TPGSを含有する記載の局所投与用配合物の例、例えば実施例1〜5は、脂質層(α−トコフェノール)、薬剤およびビタミンE−TPGSを、配合物の25%w/w未満の量で、乳化剤として一般に含む。HIVプロテアーゼ阻害剤の配合物に関する記載はない。
本出願の優先権日後ではあるが、本出願の出願日前に発行されたWO96/36316(アボット・ラボラトリーズ)では、ビタミンE−TPGSを、a)親油性薬剤(シクロスポリンが特に例示されている)、b)ビタミンE−TPGSおよびc)親油性相を含む自己乳化性予備濃縮配合物として、親油性化合物の放出を高めるのに用いうることを教示している。実施例2および4のような記載されている典型的な配合物例は、14%w/w未満の乳化剤としてのビタミンE−TPGS、脂質層および薬剤を含む。HIVプロテアーゼ阻害剤の配合物に関する記載はない。
我々はこのたび、HIVプロテアーゼ阻害剤のバイオアベイラビリティを、水溶性トコフェノール誘導体、特にビタミンE−TPGSを含む液体配合物として配合することによって、有意に高めうることを見いだした。
我々は意外にも、(a)HIVプロテアーゼ阻害剤および(b)水溶性トコフェノール誘導体を約1:0.5〜約1:10w/wの比率で含む配合物が、バイオアベイラビリティの点で有利な性質を有することを見いだした。
従って、本発明は、第1の側面において、(a)HIVプロテアーゼ阻害剤および(b)水溶性トコフェノール誘導体を約1:0.5〜約1:10w/wの比率で含む経口投与用医薬配合物を提供するものである。
我々は、(a)HIVプロテアーゼ阻害剤および(b)少なくとも20%w/wのビタミンE−TPGSのような水溶性トコフェノール誘導体を含む配合物が、HIVプロテアーゼ阻害剤が高濃度で存在するときも、良好なバイオアベイラビリティを有することを見いだした。
我々は、HIVプロテアーゼ阻害剤および水溶性トコフェノール誘導体の配合物では親油性相は必要がなく、従って、経費の少ない、かつより便利な配合物となることを見いだした。親油性相がなく、そしてバイオアベイラビリティに悪影響を及ぼすことなくより高濃度でHIVプロテアーゼ阻害剤を溶解するという能力は、配合物をより小さく、より便利に、より安価にそしてより簡単に製造することができることを意味する。
従って、本発明は、さらなるまたは別の側面において、(a)HIVプロテアーゼ阻害剤および(b)少なくとも20%の水溶性トコフェノール誘導体を、親油性相なしで含む、経口投与医薬配合物を提供するものである。
本発明のさらに別の側面は、(a)HIVプロテアーゼ阻害剤および(b)少なくとも20%の水溶性トコフェノール誘導体を含み、(a)対(b)の比率が約1:0.5〜約1:10w/wである、経口投与用医薬配合物を提供するものである。
好ましくは、水溶性トコフェノール誘導体はビタミンE−TPGSである。
好ましくは、本発明の配合物は約10〜約60%w/w、より好ましくは約20〜約50%、例えば約30〜約50%w/w、例えば約30%の水溶性トコフェノール誘導体、好ましくはビタミンE−TPGSを含む。
好ましくは、HIVプロテアーゼ阻害剤は式(I)の化合物である。
本発明の配合物におけるHIVプロテアーゼ阻害剤対水溶性トコフェノール誘導体の比率は、好ましくは約1:0.5〜約1:3、例えば約1:0.67〜約1:2.6w/w、より好ましくは約1:1.3〜約1:3である。
水溶性トコフェノール誘導体、特にビタミンE−TPGSは、室温でワックス状固体として存在する。HIVプロテアーゼ阻害剤化合物は水溶性トコフェノール誘導体単独中のものとして患者に投与してもよいが、さらに薬学的賦形剤を加えて、例えば水溶性トコフェノール誘導体と混和性の親水性非水性溶媒を加えて、例えばソフトゼラチンカプセルの中に加えるような配合物により適した流動性を得て、配合物の物理的性質を改善するのが好ましい。さらに、我々は、水溶性トコフェノール誘導体と混和性の親水性非水性溶媒を加えると、HIVプロテアーゼ阻害剤の溶解度が高まり、有効投与量を放出するのに必要な配合物の体積をさらに減じることができることを見いだした。好ましい薬学的に許容される溶媒はポリエチレングリコールおよびプロピレングリコールである。ポリビニルピロリドンも用いることができる。ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコールを、ビタミンE−TPGS中のHIVプロテアーゼ阻害剤の配合物に加えると、ソフトゼラチンカプセルに充填するのに適した流動性液体が形成され、このことは本発明の好ましい特徴を示している。
式(I)の化合物をビタミンE−TPGS、PEG400およびプロピレングリコールの混合物中に配合すると、式(I)の化合物のバイオアベイラビリティはビタミンE−TPGS単独中の配合物と同程度に悪影響を受けない。
好ましい態様によると、本発明は(a)HIVプロテアーゼ阻害剤、(b)水溶性トコフェノール誘導体および(c)水溶性トコフェノール誘導体と混和性の親水性非水性溶媒を含み、(a)対(b)の比率は約1:0.5〜約1:10w/wである、経口投与用医薬配合物を提供するものである。
好ましくは親水性非水性溶媒は、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールおよびポリビニルピロリドンから選択される。さらに好ましくは親水性非水性溶媒は、ポリエチレングリコール400のようなポリエチレングリコールとプロピレングリコールとの混合物である。本発明の配合物における親水性非水性溶媒の量は、約15〜約95%、例えば約25〜約60%w/wである。
好ましい側面では、本発明は(a)HIVプロテアーゼ阻害剤、(b)ビタミンE−TPGS、(c)ポリエチレングリコールおよび(d)プロピレングリコールより本質的による経口投与用医薬配合物を提供する。
さらに好ましい側面では、本発明は3S−[3R(1R,2S)]−[3−[[(4−アミノフェニル)スルホニル](2−メチルプロピル)−アミノ]−2−ヒドロキシ−1−フェニルメチル)プロピル]カルバミン酸,テトラヒドロ−3−フラニルエステル、[3−(S)−N−(3−テトラヒドロフラニルオキシカルボニル)アミノ−1−(N,N−イソブチル−4−アミノベンゼンスルホニル)アミノ−2−(S)−ヒドロキシ−4−フェニルブタン(b)ビタミンE−TPGS、(c)ポリエチレングリコールおよび(d)プロピレングリコールより本質的になる医薬配合物を提供する。
本発明の配合物は、好ましくはカプセル、より好ましくはソフトゼラチンカプセルの形で提供する。
本発明には、HIVプロテアーゼ阻害化合物、特に式(I)の化合物、または対象者に安全で治療に有効な量の化合物を投与したとき抗ウイルス活性代謝産物またはその残基を(直接的または間接的に)提供することができる他の化合物の薬学的に許容される塩、エステル、またはそのようなエステルの塩が含まれる。
HIVプロテアーゼ阻害化合物は、WO95/24385、WO94/13629、WO92/16501、WO95/16688、WO94/13085、WO/US94/12562、US93/59038、EP541168、WO94/14436、WO95/09843、WO95/32185、WO94/15906、WO94/15608、WO94/04492、WO92/08701、WO95/32185、US特許5,256,783;5,475,136;5,461,067;5,484,926;5,476,874;5,475,027;5,482,947;および5,475,013(これは参照することによってここに記載されたものとする)に記載のように製造することができる。
式(I)の化合物はWO94/05639(参照することによってここに記載されたものとする)に記載のように製造しうる。
水溶性トコフェノール誘導体は適切なエステル化法によって製造しうる。適当な方法は当業者には容易に明らかである。例えば、ビタミンE−TPGSは、US特許2,680,649および5,234,695に記載のように、ポリエチレングリコール1000を結晶質d−αトコフェニル酸スクシネートの酸基へエステル化することによって製造しうる。
ここで用いるように、用語「溶媒」とは、薬学的にまたは医学的に許容され、HIVプロテアーゼ阻害化合物を溶解して溶液を形成し、そしてカプセルシェルを実質的に破壊しない溶媒または補助溶媒を意味する。
300〜1000のポリエチレングリコールモノマー単位(CH2CH2O)を含有するポリエチレングリコールは溶媒として有利に用いることができ、約300〜400のエチレングリコールモノマー単位を含有する平均分子量300〜1000のポリエチレングリコールは溶媒として有利に用いることができる。
適した他の溶媒または補助溶媒には、これらに限定されないが、さらにプロピレングリコール、アルコール、グリセリンおよびソルビトールも含まれる。溶媒または補助溶媒の濃度は0.1〜10%が適している。さらに、0〜10%の水を補助溶媒として用いてもよい。
ここで用いるように、親油性相という用語は、グリセロールの脂肪酸エステルまたはプロピレングリコールの脂肪酸エステル、および植物油のような1種以上の疎水性成分を示す。
本発明の配合物をカプセルとして提供する場合、カプセルシェルは、ゼラチンで製造するのが適しており、アニドリソルブ、グリセリンまたはソルビトールのような可塑剤、水、防腐剤、着色剤、および不透明剤を含んでいてもよい。レミントンの調剤術の実践(Remington's Practice of Pharmacy)、マーチン・アンド・クック、第12版、467頁の表題、弾性カプセルの下から、胃腸管内で急速溶解しうるゼラチンカプセルおよびそのようなカプセルの製造についての記載の469頁までを参照(これら全ては参照することによってここに記載されたものとする)。また、ソフトゼラチンカプセルおよびそれらの製造に関するUS特許2,899,361並びに2,928,128(いずれも参照することによってここに記載されたものとする)も参照しうる。さらにまた、ラックマン、リーベルマンおよびカニッグによる“工業適調剤術の理論と実践(The Theory and Practice of Industrial Pharmacy)”(1970)、p.359−389、ペンシルベニア州フィラデルフィア、リー・アンド・フェビガー出版のソフトゼラチンカプセル技術についての議論も参照でき、本文のp.359−389を参照することによってここに記載されたものとする。
本発明のカプセルはどのような形でもよく、端が丸くなった楕円形、卵形または円筒形のようなカプセルが適している。約10〜1500mgの式(I)の化合物を用いるのが適している。好ましくは、カプセルは25mg、50mg、150mg、200mgの式(I)の化合物を含有しうる。特に、各カプセルは10〜1000mg/mLの濃度の溶液の形で式(I)の化合物を含有し、25〜500mg/mLの濃度が最も好ましい。ここで用いるように、濃度とは式(I)の化合物のmg/溶液のmLを意味する。ソフトゼラチンカプセルは、ここに示す濃度を提供する次の例の容積を有する様々な製造業者から入手しうるものより選択しうる。カプセルはR.P.スキーラー,ノースアメリカ社製造のサイズ番号12の長方形、またはサイズ番号3の卵形の白色不透明ソフトゼラチンカプセルが好ましい。
本発明の好ましい配合物は、全溶液の約1〜約50重量%のHIVプロテアーゼ阻害化合物(好ましくは式(I)の化合物)、および全溶液の約5〜約100重量%のビタミンE−TPGS、全溶液の約15〜約95重量%のポリエチレングリコールおよび全溶液の約0.1〜約10重量%のプロピレングリコールを含む。配合物は約0〜10%の水を含んでいてもよい。
ここで用いるように、式(I)の化合物の「治療に有効な量」とは、好ましくは25mg、50mg、150mgまたは300mgの式(I)の化合物を含有する、ここに記載のタイプの1種以上のカプセルを意味する。患者の初期の治療の場合、約100〜3000mgの式(I)の化合物を、次いで約100〜5000mgの式(I)の化合物の投与量を用いうる。その後、患者によって式(I)の化合物を100〜5000mgの持続投与量で投与しうる。適した投薬法は、例えば、一日2回、式(I)の化合物を1200mg投与するものである。
本発明の配合物は、シロップ、懸濁液または溶液のような液体の形を含めた、直接経口投与に適合した様々な形で提供しうる。本発明の配合物は、他の薬学的に許容される担体を、そのような配合物で慣用的に用いられる賦形剤として含んでいてもよい。従って、例えば、シロップは糖シロップ、ソルビトールまたは水水素化グルコースシロップまたは合成甘味剤、例えばアスパルタム、サッカリンナトリウム、アセスルファムK等を含んでいてもよい。懸濁液はメチルセルロース、微晶質セルロース、カルメロースナトリウムまたは分散性セルロースを含んでいてもよい。溶液は液体グルコース、レブロースまたはキシリトールを含んでいてもよい。
本発明の配合物は、医薬工業において製材の製造に一般に用いられる方法および技術を用いて製造しうる。
本発明の配合物は慣用的な方法によって、例えば1つ以上の容器で成分を適切に混合することによって製造し、成分は確立された製薬技術を用いて溶解また懸濁する。HIVプロテアーゼ阻害化合物は、溶解を促すために約65℃に加熱した液化乳化剤−溶媒混合物に溶解させる。化合物が完全に溶解した後、プロピレングリコールを、得られた溶液に加える。28〜35℃の透明な流動性液体である最終溶液を、ソフトゼラチンカプセルに適当に充填する。そのような配合部は水に溶解すると、改善されたバイオアベイラビリティを有する透明溶液を形成する。
本発明の配合物では、式(I)の化合物の必要量は、治療する状態の重篤度、並びに受容者の年令および状態を含めた多くのファクターによって変わり、最終的には担当医が決定する。しかしながら、一般に、適当な有効投与量は5〜100mg/kg受容者の体重/日、有利には8〜70mg/kg体重、好ましくは8〜50mg/kg体重である。所望投与量は好ましくは、例えば単位投与形態当たり25〜500mgの活性成分を含有する、単位投与形態で投与される、1、2、3または4以上の小分けた投与量で提供しうる。
本発明の配合物は、HIV感染症、そのような感染症の結果生じる臨床的症状、例えばエイズ、ARC、進行性全身化リンパ節症(PGL)およびHIV漿液陽性およびエイズ抗体陽性状態を含めたヒトレトロウイルス感染症の治療および予防に用いうる。
本発明の配合物は、HIV感染症の治療に適した他の治療剤、例えば、ヌクレオジド逆トランスクリプターゼ阻害剤、例えばジドブジン、ザルシタビン、ラミブジン、ジダノシン、スタブジン、5−クロロ−2′,3′−ジデオキシ−3′−フルオロウリジンおよび(2R,5S)−5−フルオロ−1−[2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−5−イル]シトシン;非ヌクレオシド逆トランスクリプターゼ阻害剤、例えばネビラピン、TIBOおよびα−APA;HIVプロテアーゼ阻害剤、例えばサキナビール、インジナビールおよびリトナビール;他の抗HIV剤、例えば可溶性CD4;免疫モジュレーター、例えばインターロイキンII、エリスロポエチン、ツカレゾル;並びにα−インターフェロン、例えばα−インターフェロンと組み合わせた医学的治療に用いうる。
そのような組み合わせ治療の成分は、別々のまたは組み合わせた配合物の形で同時に、あるいは異なる時間、例えば、組み合わせた効果が得られるように順次投与してもよい。
図1は、さまざまなpHでの式(I)の化合物の溶解度を示す。
次の実施例は本発明を説明するためのものであり、その妥当な範囲を限定するものではない。
実施例1液体配合物は次のように製造した:1)組成 成分 量(mg/カプセル)式(I)の化合物 150.0 ビタミンE−TPGS 400.0 ポリエチレングリコール400NF 200.5 プロピレングリコールUSP 39.5 2)製造方法 4kgのビタミンE−TPGS(イーストマン・ケミカル社から得た)を、液化するまで50℃で加熱した。液化ビタミンE−TPGSに、50℃に加熱した2.005kgのポリエチレングリコール400(PEG400)(低アルデヒド、<10ppm、ユニオン・カーバイド社またはダウ・ケミカル社から得た)を加え、均質な溶液が形成されるまで混合した。得られた溶液を65℃に加熱した。1.5kgの式(I)の化合物をビタミンE−TPGSおよびPEG400の液化溶液に溶解した。室温の0.395kgのプロピレングリコールを加え、均質な溶液が形成されるまで混合した。溶液を28〜35℃に冷却した。次に、溶液のガス抜きを行った。混合物は好ましくは28〜35℃にて、150mgの揮発分非含有化合物に相当する充填重量で、サイズ12の長方形の白色不透明ソフトゼラチンカプセルに、カプセル充填機を使用して封入した。カプセルシェルは一定の充填水分率3〜6%およびシェル硬度7〜10ニュートンに乾燥し、適当な容器内に置いた。
実施例2ラットおよびビーグル犬における式(I)の化合物の薬物動力学 静脈内および経口投与後の式(I)の化合物の薬物動力学を、PEG400に溶解した10、24.1および50mg/kgを投与した後Hsd:スプラグードーリーSDラットで調べた。薬物動力学の調査は、Hsdラットおよびビーグル犬におけるD−αトコフェニルPEG1000スクシネート(TPGS)、並びにビタミンE−TPGS、PEG400およびプロピレングリコールの混合物でも行った。
ラットの薬物動力学 式(I)の化合物は4匹のカニューレを挿入したHsdラットのグループに、静脈内注射によって10および50mg/kgまたは胃管によってPEG400に溶解した10、24.1および50mg/kgの投与量で個々に投与した。他の4匹の動物には、PEG400およびビタミンE−TPGSを含む溶液に式(I)の化合物が11mg/kgの平均投与量で含まれる個々のカプセルを投与した。血液サンプルを投与後2分〜7時間の様々な時間で採取した。式(I)の化合物の主な薬物動力学パラメーターを表1に示す。
ビーグル犬の薬物動力学 式(I)の化合物の主な薬物動力学的パラメーターは表2に示す。








【特許請求の範囲】
【請求項1】(a)全配合物重量の1%〜50%w/wの量の3S−[3R(1R,2S)]−[3−[[(4−アミノフェニル)スルホニル](2−メチルプロピル)−アミノ]−2−ヒドロキシ−1−フェニルメチル)プロピル]カルバミン酸,テトラヒドロ−3−フラニルエステル、(b)全配合物重量の10%〜60%w/wの量の水溶性トコフェノール誘導体および(c)全配合物重量の25%〜60%w/wの量の水溶性トコフェノール誘導体と混和性の親水性非水性溶媒を含み、(a)、(b)、および(c)が流動性液体として処方された状態で維持される、経口投与用医薬配合物。
【請求項2】(a)3S−[3R(1R,2S)]−[3−[[(4−アミノフェニル)スルホニル](2−メチルプロピル)−アミノ]−2−ヒドロキシ−1−フェニルメチル)プロピル]カルバミン酸,テトラヒドロ−3−フラニルエステル、(b)水溶性トコフェノール誘導体および(c)水溶性トコフェノール誘導体と混和性の親水性非水性溶媒を含み、(a)対(b)の比率が約1:0.5〜約1:10w/wであり、(a)、(b)、および(c)が流動性液体として処方された状態で維持される、経口投与用医薬配合物。
【請求項3】少なくとも20%の水溶性トコフェノール誘導体を含む、請求項1に記載の医薬配合物。
【請求項4】(a)対(b)の比率が約1:0.5〜約1:1.3w/wである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の医薬配合物。
【請求項5】水溶性トコフェノール誘導体がビタミンE−TPGSである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の医薬配合物。
【請求項6】親水性非水性溶媒がポリエチレングリコール、プロピレングリコールまたはポリビニルピロリドンである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の医薬配合物。
【請求項7】(a)3S−[3R(1R,2S)]−[3−[[(4−アミノフェニル)スルホニル](2−メチルプロピル)−アミノ]−2−ヒドロキシ−1−フェニルメチル)プロピル]カルバミン酸,テトラヒドロ−3−フラニルエステル、(b)ビタミンE−TPGS、(c)ポリエチレングリコールおよび(d)プロピレングリコールより本質的になり、(a)、(b)、(c)および(d)が流動性液体として処方された状態で維持される、経口投与医薬配合物。
【請求項8】カプセルの形態である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の配合物。
【請求項9】溶液の形態である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の配合物。
【請求項10】3S−[3R(1R,2S)]−[3−[[(4−アミノフェニル)スルホニル](2−メチルプロピル)−アミノ]−2−ヒドロキシ−1−フェニルメチル)プロピル]カルバミン酸,テトラヒドロ−3−フラニルエステルを、水溶性トコフェノール誘導体および親水性非水性溶媒の混合物に溶解することを含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の配合物の製造法。

【第1図】
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【特許番号】特許第3117726号(P3117726)
【登録日】平成12年10月6日(2000.10.6)
【発行日】平成12年12月18日(2000.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平9−534017
【出願日】平成9年3月21日(1997.3.21)
【公表番号】特表2000−500504(P2000−500504A)
【公表日】平成12年1月18日(2000.1.18)
【国際出願番号】PCT/EP97/01438
【国際公開番号】WO97/35587
【国際公開日】平成9年10月2日(1997.10.2)
【審査請求日】平成11年4月20日(1999.4.20)
【早期審査対象出願】早期審査対象出願
【出願人】(999999999)グラクソ、グループ、リミテッド
【参考文献】
【文献】特開 平5−132417(JP,A)
【文献】国際公開95/9614(WO,A1)
【文献】国際公開95−7696(WO,A1)
【文献】The Lancet,vol.338,no.8731,p212−214,1991
【文献】Eur.J.Pharm.Sci.,vol.1,no.5,p269−271,1994