説明

X線管装置

【課題】放電の発生を低減できるX線管装置を提供する。
【解決手段】X線管装置は、真空外囲器、陽極ターゲット及び陰極を有するX線管と、ハウジングと、冷却液と、高電圧絶縁部材40と、高電圧供給端子44と、高電圧絶縁部材の真空側の表面に設けられた積層膜70とを備えている。高電圧絶縁部材40は、端面41を有し、真空外囲器に気密に取り付けられ、陰極及び陽極ターゲットの何れか一方が取り付けられている。積層膜70は、高電圧絶縁部材40より面抵抗値の低い高抵抗部材で形成された膜72と、それぞれ上記高抵抗部材よりも面抵抗値の低い低抵抗部材で環状に形成され、互いに間隔を置いて位置した複数の環状膜71を含んだ環状膜群と、が積層して形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、X線管装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線管装置は、医療診断機器など、多くの用途に利用されている。X線管装置は、X線管と、X線管を収納したハウジングとを備えている。X線管は、真空外囲器と、真空外囲器内に設けられた陰極及び陽極とを備えている。陰極及び陽極間には、高電圧が印加されている。このため、陰極から放出された電子は加速され陽極に衝突し、陽極はX線を放出する。X線は、真空外囲器のX線放射窓及びハウジングのX線放射窓を通過させて外部に取り出される。
【0003】
陰極及び陽極は、真空外囲器に気密に取り付けられた高電圧絶縁部材を介して真空外囲器内に配置されている(例えば、特許文献1及び2参照)。高電圧絶縁部材の材質および厚みは、高電圧絶縁部材自体の電圧耐久性が十分高くなるように選定されている。
【0004】
その他、上記X線管装置に関連した分野においては、種々の技術が知られている(例えば、特許文献3乃至5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−216682号公報
【特許文献2】米国特許第6556654号明細書
【特許文献3】実公昭40−25466号公報
【特許文献4】特公昭47−36950号公報
【特許文献5】米国特許第6819741号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1及び2のX線管では以下のような問題がある。実際にX線を発生して使用した場合、高電圧絶縁部材の真空側の表面は、陽極の表面で反跳した反射電子の一部や、陰極や真空外囲器を構成する金属部材の表面のバリや傷などの電界放射源を基点として放射された電子が衝撃される。後者は前駆放電と呼ばれることもある。
【0007】
実際にX線を発生して使用した場合には、上記のように高電圧絶縁部材が電子衝撃を受けるため、単にX線管に高電圧を印加した場合に計算し得る電位分布と、実際にX線を発生して使用した場合に形成される電位分布とは、高電圧絶縁部材近傍で大きく異なることとなる。
【0008】
通常X線管で使用されるガラスやアルミナのような絶縁物に電子が衝撃すると、入射電子1個に対して平均して1個以上の2次電子が放出され、結果、電子衝撃された場所は+に帯電することになる。このような電荷の蓄積は高電圧絶縁部材表面上で不均一、かつ局所的に発生する。+に帯電すると電界強度がより高められ、さらに電子衝撃を受け易くなる。
【0009】
その結果、高電圧絶縁部材の蓄積電荷量は暴走的に増大し、遂には電界放射源とその対向電極の間でアーク放電が発生することとなる。陽極側の高電圧絶縁部材の場合には電界放射源は真空外囲器を構成する金属部材であり、その対向電極は陽極である。陰極側の高電圧絶縁部材の場合には電界放射源は陰極であり、その対向電極は真空外囲器を構成する金属部材である。
【0010】
このような問題を解決するため、上記特許文献3乃至5には、その対策の技術が開示されている。しかしながら、本願発明者等の経験によれば、このような対策では放電の発生の低減に不十分であり、依然として放電の発生を招くものと想定される。
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、放電の発生を低減できるX線管装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の態様に係るX線管装置は、
真空外囲器と、前記真空外囲器内に設けられた陽極ターゲットと、前記真空外囲器内に設けられて前記陽極ターゲットに照射する電子を放出する陰極と、を有するX線管と、
前記X線管を収納したハウジングと、
前記X線管及びハウジング間に充填された冷却液と、
前記ハウジングの外側に露出した端面を有し、前記真空外囲器に気密に取り付けられ、前記陰極及び陽極ターゲットの何れか一方が取り付けられた高電圧絶縁部材と、
前記高電圧絶縁部材に設けられ、前記端面から突出し、前記端面とともに前記ハウジングの外側に露出した高電圧供給端子と、
前記高電圧絶縁部材の真空側の表面に設けられた積層膜と、を備え、
前記積層膜は、前記高電圧絶縁部材より面抵抗値の低い高抵抗部材で形成された膜と、それぞれ前記高抵抗部材よりも面抵抗値の低い低抵抗部材で環状に形成され、互いに間隔を置いて位置した複数の環状膜を含んだ環状膜群と、が積層して形成されていることを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施の形態に係るX線管装置を分解して示す断面図である。
【図2】図1に示した接合部を示す正面図である。
【図3】図1に示した接合部を示す平面図である。
【図4】上記X線管装置の一部を示す拡大断面図であり、高電圧絶縁部材40及び積層膜70を示す図である。
【図5】上記X線管装置の他の一部を示す拡大断面図であり、高電圧絶縁部材50及び積層膜80を示す図である。
【図6】図5と同様、上記X線管装置の他の一部を示す平面図である。
【図7】第2の実施の形態に係るX線管装置を分解して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら第1の実施の形態に係るX線管装置について詳細に説明する。
図1に示すように、X線管装置10は、ハウジング20と、ハウジング20内に収容されたX線管30と、ハウジング20の内部に充填された冷却液7と、を備えている。
【0014】
ハウジング20は、ハウジング本体20aと、円環部20bと、を有している。ハウジング本体20aは、筒部20cと、筒部20cの一端に設けられた円環部20dと、が一体となって形成されている。筒部20cの一部には、X線を外部に放射するための放射窓24が形成されている。円環部20bは、筒部20c(ハウジング本体20a)の他端に取付けられている。ここでは、円環部20bは、筒部20cに取り外し可能にネジ留め(図示せず)されている。
【0015】
ハウジング20には、ゴムベローズ21が設けられ、冷却液7の圧力調整が行われている。ハウジング20の外部には、冷却液循環ポンプ22及び熱交換器23が設けられている。冷却液循環ポンプ22は、ハウジング20に連結されている。冷却液循環ポンプ22は、冷却液7の流れをハウジング20内に作り出すものである。熱交換器23は、ハウジング20及び冷却液循環ポンプ22間に連結されている。熱交換器23は、冷却液7の熱を外部に放出するものである。
【0016】
X線管30は、真空外囲器31と、高電圧絶縁部材40と、高電圧絶縁部材50とを備えている。真空外囲器31は、銅、ステンレス、アルミニウム等の金属で形成された真空容器32を備えている。陽極ターゲット35a及び陰極36は、真空外囲器31に収納されている。真空外囲器31の内部は真空状態である。放射窓33は、真空容器32に気密に設けられている。ここでは、放射窓33は、ベリリウムで形成されている。
【0017】
高電圧絶縁部材40は、真空容器32に気密に接続され、真空外囲器31の一部を形成している。高電圧絶縁部材40には陽極ターゲット35aが間接的に取り付けられている。高電圧絶縁部材40は、軸の周りに回転対称形状である。高電圧絶縁部材40は、冷却液7に直接又は間接的に接し冷却液7に熱を伝達する熱伝達面43と、ハウジング20(円環部20d)の開口に対向し、ハウジング20の外側に露出した端面41を含んでいる。詳しくは、高電圧絶縁部材40は、熱伝達面43を有した筒部46と、筒部46の一端側を閉塞し、熱伝達面43及び端面41を有した円環状の底部47と、が一体となって形成されている。この実施の形態において、熱伝達面43は、冷却液7に直に接している。端面41は平面である。
【0018】
底部47には高電圧供給端子44が設けられている。高電圧供給端子44は、底部47の開口部に設けられている。高電圧供給端子44は、端面41から突出し、端面41とともにハウジング20の外側に露出している。高電圧供給端子44は、陽極35に高電圧を供給するものである。高電圧供給端子44は金属端子であり、円環状の底部47にろう付けされている。
【0019】
陽極35は、陽極ターゲット35aを有している。陽極ターゲット35aは、ターゲット層35tを有している。ターゲット層35tは、電子が照射されることによりX線を放出する。
【0020】
X線管装置10は、ステータコイル910、ロータ920、軸受け930、固定体1、回転体2及び支持体35bを備えている。固定体1は円柱状に形成されている。回転体2は筒状に形成され、固定体1と同軸的に設けられている。回転体2の外面にロータ920が取り付けられている。ステータコイル910は、ハウジング20に取付けられ、ロータ920と対向している。軸受け930は、固定体1及び回転体2の間の隙間に設けられている。
【0021】
支持体35bは、高電圧絶縁部材40の内側(真空内部)に位置している。支持体35bは、テーパ穴を有し、テーパ穴に固定体1のテーパ部が嵌合されている。支持体35bは、陽極ターゲット35aを間接的に支持している。支持体35bには、円環状のスリット溝および半径方向に沿った矩形状のスリット溝(図示せず)が形成されている。
【0022】
支持体35bは、底部47に間隔を置いて位置している。支持体35bは、筒部46の内面に接合された接合部35cを含んでいる。接合部35cは、支持体35bにろう付けされている。接合部35cを含む支持体35bは、金属で形成されている。
【0023】
図1、図2及び図3に示すように、接合部35cは、可撓性を示すものである。このため、接合部35cは、高温時に弾性変形し熱応力の少なくとも一部を緩和するものである。この実施の形態において、接合部35cは、筒部46の内面に対向した凹凸面35dを有している。凸部35eは、接合部35cの周りに互いに隣合って並べられている。筒部46の内面に、接合部35cの凸部35eが接合されている。なお、支持体35bは、高温時に弾性変形し熱応力の少なくとも一部を緩和する可撓性部品を介して高電圧絶縁部材40の内面に接合されていればよい。
【0024】
図1に示すように、高電圧絶縁部材40の内面には、メタライズ層11が形成されている。メタライズ層11は、高電圧供給端子44及び接合部35cに接続されている。このため、高電圧供給端子44、メタライズ層11、支持体35b、固定体1、軸受け930及び回転体2を介して陽極ターゲット35aに高電圧が供給される。
【0025】
高電圧供給端子44及び接合部35cを繋ぐメタライズ層11の形状を幅の狭い帯状とすることにより、メタライズ層11を介した陽極35からの不要な熱伝導を抑制することができる。
【0026】
支持部材25は、円環状に形成されている。高電圧絶縁部材40は支持部材25に取付けられている。支持部材25は、円環部20dに対向している。円環部20dは、支持部材25と対向した側に形成された円環状の溝部を有している。支持部材25及び円環部20d間の隙間は、上記溝部に設けられた円環状のOリングによりシールされている。上記Oリングは、支持部材25及び円環部20d間の隙間から外部への冷却液7の漏れを防止する機能を有している。
【0027】
高電圧絶縁部材50は、真空容器32に気密に接続され、真空外囲器31の一部を形成している。高電圧絶縁部材50には、陰極36が間接的に取り付けられている。高電圧絶縁部材50は、軸の周りに回転対称形状である。高電圧絶縁部材50は、冷却液7に直接又は間接的に接し冷却液7に熱を伝達する熱伝達面53と、ハウジング20(円環部20b)の開口に対向し、ハウジング20の外側に露出した端面51を含んでいる。詳しくは、高電圧絶縁部材50は、熱伝達面53を有した筒部56と、筒部56の一端側を閉塞し、端面51を有した円環状の底部57と、が一体となって形成されている。この実施の形態において、熱伝達面53は、冷却液7に直に接している。端面51は平面である。
【0028】
高電圧絶縁部材50の内部には、陰極36に接続され、端面51側へ導出する高電圧供給端子54が設けられている。陰極36は、高電圧絶縁部材50に取り付けられた、低膨張合金であるKOV部材55で支持されている。高電圧供給端子54及び高電圧絶縁部材50間、並びにKOV部材55及び高電圧絶縁部材50間は、ろう付けされている。高電圧供給端子54は、陰極36に高電圧を供給するものである。高電圧供給端子54は、端面51から突出し、端面51とともにハウジング20の外側に露出している。高電圧供給端子54は金属端子である。
【0029】
図示しないが、陰極36は、電子を放出する電子放出源を有している。このため、陰極36は、陽極ターゲット35a(ターゲット層35t)に照射する電子を放出することができる。
【0030】
高電圧絶縁部材40、50は、ガラス材、アルミナ、窒化珪素、ジルコニア(酸化ジルコニウム)、窒化アルミニウム、ベリリア等の材料で形成することができる。ガラス材としては、石英ガラス、サファイア、無アルカリガラス等の材料が挙げられる。高電圧絶縁部材40、50は、熱伝導率の大きい窒化アルミニウムやベリリア等のセラミクスを用いて形成した方が好ましい。
【0031】
支持部材26は、円環状に形成されている。高電圧絶縁部材50は支持部材26に取付けられている。支持部材26は、円環部20bに対向している。円環部20bは、支持部材26と対向した側に形成された円環状の溝部を有している。支持部材26及び円環部20b間の隙間は、上記溝部に設けられた円環状のOリングによりシールされている。上記Oリングは、支持部材26及び円環部20b間の隙間から外部への冷却液7の漏れを防止する機能を有している。
【0032】
高電圧コネクタ100は、有底筒状のハウジング101と、ハウジング101内にその先端が挿入された高電圧ケーブル102と、ハウジング101内に充填され、高電圧ケーブル102の端子102aをハウジング101の開口部側に向けて固定する電気絶縁材103と、この電気絶縁材103と高電圧絶縁部材40の端面41との間に挿入されたシリコーン樹脂材製のシリコーンプレート104とを備えている。
【0033】
この実施の形態において、高電圧コネクタ100の電気絶縁材103は、高電圧絶縁部材40の端面41に間接的に密着されている。なお、電気絶縁材103は、端面41に直接密着されていても良い。電気絶縁材103は、例えば、電気絶縁ゴムやエポキシ樹脂を利用できる。高電圧コネクタ100は、高電圧供給端子44に高電圧を与えるものである。
【0034】
このように構成された高電圧コネクタ100をハウジング20に取り付ける際に、シリコーンプレート104が、それぞれ電気絶縁材103と、高電圧絶縁部材40の端面41とに密着するように押圧する。
【0035】
高電圧コネクタ200は、有底筒状のハウジング201と、ハウジング201内にその先端が挿入された高電圧ケーブル202と、ハウジング201内に充填され、高電圧ケーブル202の端子202aをハウジング201の開口部側に向けて固定する電気絶縁材203と、この電気絶縁材203と高電圧絶縁部材50の端面51との間に挿入されたシリコーン樹脂材製のシリコーンプレート204とを備えている。
【0036】
この実施の形態において、高電圧コネクタ200の電気絶縁材203は、高電圧絶縁部材50の端面51に間接的に密着されている。なお、電気絶縁材203は、端面51に直接密着されていても良い。電気絶縁材203は、例えば、電気絶縁ゴムやエポキシ樹脂を利用できる。高電圧コネクタ200は、高電圧供給端子54に高電圧を与えるものである。
【0037】
このように構成された高電圧コネクタ200をハウジング20に取り付ける際に、シリコーンプレート204が、それぞれ電気絶縁材203と、高電圧絶縁部材50の端面51とに密着するように押圧する。
【0038】
冷却液7は、ハウジング20内に充填され、X線管30及びハウジング20間を満たしている。冷却液7としては、絶縁油又は水系冷却液を用いることができる。この実施の形態において、冷却液7として水系冷却液を用いている。
【0039】
このように構成されたX線管装置10では、ステータコイル910に所定の電流を印加することでロータ920が回転し、陽極ターゲット35a(陽極35)が回転する。次に、高電圧コネクタ100、200に所定の高電圧を印加すると、陰極36から陽極ターゲット35aのターゲット層35tに電子が照射され、ターゲット層35tからX線が放射窓24、33から外部へ放射される。
【0040】
図1及び図4に示すように、積層膜70は、高電圧絶縁部材40の真空側の表面に設けられている。積層膜70は、高電圧絶縁部材40より面抵抗値の低い高抵抗部材で形成された膜72と、複数の環状膜71を含んだ環状膜群と、が積層して形成されている。複数の環状膜71は、それぞれ上記高抵抗部材よりも面抵抗値の低い低抵抗部材で環状に形成され、互いに間隔を置いて位置している。
【0041】
環状膜71は、高電圧絶縁部材40と同軸の周りで回転対称形状又はその一部からなる形状に形成されている。この実施の形態において、環状膜71は、高電圧絶縁部材40と同軸の周りで回転対称形状に形成され、全周に亘って連続して形成されている。
【0042】
環状膜71は、高電圧絶縁部材40及び膜72に接していることを除くと、電気的にフローティング状態にある。複数の環状膜71が並んだ方向(高電圧絶縁部材40の母線方向)に沿った複数の環状膜71の幅W1aは、複数の環状膜71の間隔D1aより小さい。
【0043】
環状膜群(複数の環状膜71)は、高電圧絶縁部材40の真空側の表面上に形成されている。膜72は、環状膜群(複数の環状膜71)を覆って高電圧絶縁部材40の真空側の表面上に形成されている。膜72の局所的な電荷の蓄積をより低減させるためには、膜72は、真空容器32(真空外囲器31)及び陽極ターゲット35a(陽極35)の何れか1つに短絡していることが好ましい。この実施の形態において、膜72は、真空容器32(真空外囲器31)及び接合部35c(陽極35)に短絡している。環状膜群(複数の環状膜71)の膜厚をT1a、膜72の膜厚をT2aとすると、T1a<T2aである。
【0044】
図1、図5及び図6に示すように、積層膜80は、高電圧絶縁部材50の真空側の表面に設けられている。積層膜80は、高電圧絶縁部材50より面抵抗値の低い高抵抗部材で形成された膜82と、複数の環状膜81を含んだ環状膜群と、が積層して形成されている。複数の環状膜81は、それぞれ上記高抵抗部材よりも面抵抗値の低い低抵抗部材で環状に形成され、互いに間隔を置いて位置している。
【0045】
環状膜81は、高電圧絶縁部材50と同軸の周りで回転対称形状又はその一部からなる形状に形成されている。この実施の形態において、環状膜81は、高電圧絶縁部材50と同軸の周りで回転対称形状に形成され、全周に亘って連続して形成されている。
【0046】
環状膜81は、高電圧絶縁部材50及び膜82に接していることを除くと、電気的にフローティング状態にある。複数の環状膜81が並んだ方向(高電圧絶縁部材50の母線方向)に沿った複数の環状膜81の幅W1bは、複数の環状膜81の間隔D1bより小さい。
【0047】
環状膜群(複数の環状膜81)は、高電圧絶縁部材50の真空側の表面上に形成されている。膜82は、環状膜群(複数の環状膜81)を覆って高電圧絶縁部材50の真空側の表面上に形成されている。膜82の局所的な電荷の蓄積をより低減させるためには、膜82は、真空容器32(真空外囲器31)及び陰極36の何れか1つに短絡していることが好ましい。この実施の形態において、膜82は、真空容器32(真空外囲器31)に短絡している。環状膜群(複数の環状膜81)の膜厚をT1b、膜82の膜厚をT2bとすると、T1b<T2bである。
【0048】
膜72、82を形成する高抵抗部材は、単体物質、酸化物、炭化物及び窒化物の何れか1つを主成分とする材料で形成されている。詳しくは、膜72、82を形成する高抵抗部材を構成する物質は、Ti(チタン)、V(バナジウム)、Cr(クロム)、Mn(マンガン)、Fe(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Cu(銅)、Nb(ニオブ)、Mo(モリブデン)、Ag(銀)、Ta(タンタル)、W(タングステン)、B(ホウ素)、C(炭素)、Al(アルミニウム)、Si(ケイ素)、Pt(白金)、Au(金)の何れか1つを主構成元素としている。膜72、82を形成する高抵抗部材は、上記単体物質、酸化物、炭化物及び窒化物の複合物であってもよい。
【0049】
例えば、膜72、82を形成する高抵抗部材に、酸化クロム、MoC、TiC、TiN、Ni−Cr、煤、DLCなどを利用することができる。
上記のように、X線管装置10が形成されている。
【0050】
上記のように構成された第1の実施の形態に係るX線管装置10によれば、X線管装置10は、真空外囲器31と、陽極ターゲット35aと、陰極36と、を有するX線管30と、ハウジング20と、冷却液7と、高電圧絶縁部材40、50と、高電圧供給端子44、54と、積層膜70、80と、を備えている。積層膜70は、高電圧絶縁部材40の真空側の表面に設けられている。積層膜80は、高電圧絶縁部材50の真空側の表面に設けられている。
【0051】
積層膜70は、高電圧絶縁部材40より面抵抗値の低い高抵抗部材で形成された膜72と、それぞれ上記高抵抗部材よりも面抵抗値の低い低抵抗部材で環状に形成され、互いに間隔を置いて位置した複数の環状膜71を含んだ環状膜群と、が積層して形成されている。
【0052】
積層膜80は、高電圧絶縁部材50より面抵抗値の低い高抵抗部材で形成された膜82と、それぞれ上記高抵抗部材よりも面抵抗値の低い低抵抗部材で環状に形成され、互いに間隔を置いて位置した複数の環状膜81を含んだ環状膜群と、が積層して形成されている。
【0053】
環状膜71、81により、高電圧絶縁部材40、50の円周方向(内周方向)に電位分布の均一化をもたらすことができ、蓄積電荷をより広い面積にかつ均一に分散することができる。このため、蓄積電荷をより小さい電流密度で逃すことができる。
【0054】
また、膜72、82により、蓄積電荷を高電圧絶縁部材40、50の母線方向(管軸方向)に逃し易くする経路を形成することができる。
これにより、環状膜71、81及び膜72、82の作用が相俟って、電荷が高電圧絶縁部材40、50の表面で局所的に存留することが防止される効果が生まれる。すなわち、積層膜70、80により、高電圧絶縁部材40、50の表面における蓄積電荷量の増大を抑制できるため、放電の発生を低減することができる。
【0055】
また、X線の照射が続くと、陽極ターゲット35a及び陰極36の温度が上昇する。陽極ターゲット35aの熱は、回転体2、軸受け930、固定体1及び支持体35bを介して高電圧絶縁部材40に伝達される。陰極36の熱は、高電圧供給端子54を介して高電圧絶縁部材50に伝達される。高電圧絶縁部材40、50は、これらの熱伝達面43、53が冷却液7に接しているため、冷却されている。すなわち、陽極35及び陰極36の熱は、冷却液7に放散され、高電圧コネクタ100、200の温度を低くできるため、高電圧コネクタ100、200の熱変形が抑制される。その結果、高電圧コネクタ100、200及び端面51、端面61の密着界面に沿った放電が抑制され、長期にわたって絶縁性を確保することができる。
接合部35cは、可撓性を示すものである。このため、陽極35と高電圧絶縁部材40との良好な接続状態の安定化を図ることができる。
【0056】
冷却液7は、冷却液循環ポンプ22で循環され、熱交換器23により熱が外部に放出される。なお、冷却液7として、熱伝達率が最も高い、水を主成分とする水系冷却液を用いることができるため、高電圧絶縁部材40、50を効率よく冷却できる。水系の冷却液7は、熱伝達率が高いため、冷却液7全体がより均一な温度となる。また、水系の冷却液7は、絶縁油に比べて、比熱が大きい(絶縁油の約2倍)ため、X線管30の放熱による冷却液の温度上昇が低く抑えられる。
上記したことから、放電の発生を低減できるX線管装置を得ることができる。
【0057】
次に、第2の実施の形態に係るX線管装置について詳細に説明する。この実施の形態において、他の構成は上述した第1の実施の形態と同一であり、同一の部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0058】
図7に示すように、真空容器32は支持部材26に気密に接続されている。このため、高電圧絶縁部材50は熱伝達面53を有していない。端面51は、ハウジング20の外部から内部に向かって細くなるテーパ状の凹面である。高電圧絶縁部材50の真空側の表面は、先端(陽極35)に向かって細くなるテーパ状の凸面である。
【0059】
高電圧コネクタ200は、シリコーンプレート204を備えていない。高電圧コネクタ200の電気絶縁材203は、先端に向かって細くなるテーパ状の凸面を有している。電気絶縁材203の凸面は、高電圧絶縁部材50の端面51に直に密着されている。
【0060】
積層膜80は、高電圧絶縁部材50の真空側の表面に設けられている。環状膜81は、高電圧絶縁部材50と同軸の周りで回転対称形状又はその一部からなる形状に形成されている。この実施の形態において、環状膜81は、高電圧絶縁部材50と同軸の周りで回転対称形状に形成され、全周に亘って連続して形成されている。
【0061】
環状膜81は、高電圧絶縁部材50及び膜82に接していることを除くと、電気的にフローティング状態にある。複数の環状膜81が並んだ方向(高電圧絶縁部材50の母線方向)に沿った複数の環状膜81の幅は、複数の環状膜81の間隔より小さい。
【0062】
環状膜群(複数の環状膜81)は、高電圧絶縁部材50の真空側の表面上に形成されている。膜82は、環状膜群(複数の環状膜81)を覆って高電圧絶縁部材50の真空側の表面上に形成されている。膜82の局所的な電荷の蓄積をより低減させるためには、膜82は、真空容器32(真空外囲器31)及び陰極36の何れか1つに短絡していることが好ましい。この実施の形態において、膜82は、支持部材26を介して真空容器32(真空外囲器31)に短絡し、KOV部材55を介して陰極36に短絡している。環状膜群(複数の環状膜81)の膜厚は、膜82の膜厚より小さい。
【0063】
上記のように構成された第2の実施の形態に係るX線管装置10によれば、X線管装置10は、真空外囲器31と、陽極ターゲット35aと、陰極36と、を有するX線管30と、ハウジング20と、冷却液7と、高電圧絶縁部材40、50と、高電圧供給端子44、54と、積層膜70、80と、を備えている。積層膜70は、高電圧絶縁部材40の真空側の表面に設けられている。積層膜80は、高電圧絶縁部材50の真空側の表面に設けられている。
【0064】
積層膜70は、高電圧絶縁部材40より面抵抗値の低い高抵抗部材で形成された膜72と、それぞれ上記高抵抗部材よりも面抵抗値の低い低抵抗部材で環状に形成され、互いに間隔を置いて位置した複数の環状膜71を含んだ環状膜群と、が積層して形成されている。
【0065】
積層膜80は、高電圧絶縁部材50より面抵抗値の低い高抵抗部材で形成された膜82と、それぞれ上記高抵抗部材よりも面抵抗値の低い低抵抗部材で環状に形成され、互いに間隔を置いて位置した複数の環状膜81を含んだ環状膜群と、が積層して形成されている。
【0066】
環状膜71、81により、高電圧絶縁部材40、50の円周方向(内周方向)に電位分布の均一化をもたらすことができ、蓄積電荷をより広い面積にかつ均一に分散することができる。このため、蓄積電荷をより小さい電流密度で逃すことができる。
【0067】
また、膜72、82により、蓄積電荷を高電圧絶縁部材40、50の母線方向(管軸方向)に逃し易くする経路を形成することができる。
これにより、環状膜71、81及び膜72、82の作用が相俟って、電荷が高電圧絶縁部材40、50の表面で局所的に存留することが防止される効果が生まれる。すなわち、積層膜70、80により、高電圧絶縁部材40、50の表面における蓄積電荷量の増大を抑制できるため、放電の発生を低減することができる。
上記したことから、放電の発生を低減できるX線管装置を得ることができる。
以上説明した実施の形態によれば、放電の発生を低減できるX線管装置を得ることができる。
【0068】
なお、この発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化可能である。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0069】
例えば、膜72、82の形成方法としては、水ガラスをバインダとして、上述した材料からなる粉体を分散させた塗料を塗布する方法、真空蒸着やイオンプレーティングなどの物理蒸着法などを採用することができる。
【0070】
膜72、82のシート抵抗は、1011乃至1013Ω/□(スクエア)の範囲となるように膜72、82の膜厚を調整することが望ましい。
膜72、82のその他の特性として、膜72、82を形成する高抵抗部材は、飽和蒸気圧が低く、2次電子放出係数が小さい物質が好ましい。
膜72、82は、巨視的にみて不連続に形成された膜ではない。言い換えると、膜72、82は、環状膜71、81のような切れ目のある膜ではない。
【0071】
膜72、82は、均一膜とは限らず、場所によって組成、膜厚が異なっていてもよい。また、膜72、82は、連続膜とは限らず、例えば金属を薄く蒸着して形成された高抵抗膜のように微視的にみて微細な島が500乃至50Åの間隔を置いて集合して形成されていてもよい。すなわち、膜72、82は、所謂アイランド状の膜であってもよい。
【0072】
このような膜の詳細については、下記の文献に記載されている。
【0073】
K.L.CHOPRA著「THIN FILM PHENOMENA」、ROBERT E. KRIEGER PUBLISH-ING COMPANY, HUNTINGTON NEW YORK,1979
環状膜71、81は、連続的な金属膜が好ましい。環状膜71、81の形成方法としては、高融点金属法を代表例とする導電性ペーストを使った塗布法、真空蒸着やイオンプレーティングなどの物理蒸着法等を採用することができる。
【0074】
複数の環状膜71の幅W1aは、複数の環状膜71の間隔D1aより小さければよく、例えば、幅W1aは間隔D1aの1/5以下にすればよい。複数の環状膜81の幅W1bは、複数の環状膜81の間隔D1bより小さければよく、例えば、幅W1bは間隔D1bの1/5以下にすればよい。上記のことは、あまり大きくし過ぎると、膜72、82の電界方向に沿う回路抵抗が小さくなって、膜72、82の電圧耐久性が不足したり、高電圧印加時の暗電流による発熱により、膜が破損したりする恐れがあるためである。
【0075】
環状膜群を塗布法で形成させる場合、環状膜の端部にエッジが形成され易い。
実施例では、環状膜71は高電圧絶縁部材40上に形成され、膜72は環状膜71を覆って高電圧絶縁部材40上に形成されている。環状膜81は高電圧絶縁部材50上に形成され、膜82は環状膜81を覆って高電圧絶縁部材50上に形成されている。このため、環状膜71、81のエッジ付近が、真空−金属−絶縁物がともに存在する所謂3重点となることを回避することができる。環状膜71、81のエッジが電界放射源とならないため、より確実に放電の低減を図ることができる。
【0076】
なお、積層膜70、80の積層構造は上述した例に限定されるものではない。
例えば、環状膜71、81の端部にエッジが形成されない場合には、積層膜70、80の膜厚は環状膜71、81の膜厚よりも小さくすることが可能である。環状膜71、81の端部にエッジを形成させないためには、環状膜群を物理蒸着法で形成させることが好ましい。
【0077】
環状膜群を物理蒸着法で形成させる場合に、被着体である高電圧絶縁部材40、50上に適度な間隔をおいてマスキング冶具を配置することにより、環状膜の端部の膜厚が除々に減少し、エッジが形成されることが防止される。個々の環状膜71、81はマスキング冶具の開口窓の格子に対応した数個所の切れ目が発生する。環状膜71、81は切れ目なく連続していることが理想であるが、格子幅を極力小さくすることで切れ目の幅を狭くすることができ、連続した環状膜71、81の場合と同様の効果を得ることができる。また、マスキング冶具を軸の周りに回転させながら成膜することにより、環状膜71、81に切れ目の発生を防ぐこともできる。
【0078】
また、積層膜70において、膜72が高電圧絶縁部材40上に形成され、環状膜71が膜72上に形成されていてもよい。積層膜80において、膜82が高電圧絶縁部材50上に形成され、環状膜81が膜82上に形成されていてもよい。
この実施の形態は、上述したX線管装置10等の回転陽極型のX線管装置に限らず、固定陽極型のX線管装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0079】
1…固定体、2…回転体、7…冷却液、10…X線管装置、20…ハウジング、30…X線管、31…真空外囲器、32…真空容器、35…陽極、35a…陽極ターゲット、36…陰極、40,50…高電圧絶縁部材、41,51…端面、44,54…高電圧供給端子、70,80…積層膜、71,81…環状膜、72,82…膜、100,200…高電圧コネクタ、103,203…電気絶縁材、104,204…シリコーンプレート、T1a,T1b,T2a,T2b…膜厚、W1a,W1b…幅、D1a,D1b…間隔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空外囲器と、前記真空外囲器内に設けられた陽極ターゲットと、前記真空外囲器内に設けられて前記陽極ターゲットに照射する電子を放出する陰極と、を有するX線管と、
前記X線管を収納したハウジングと、
前記X線管及びハウジング間に充填された冷却液と、
前記ハウジングの外側に露出した端面を有し、前記真空外囲器に気密に取り付けられ、前記陰極及び陽極ターゲットの何れか一方が取り付けられた高電圧絶縁部材と、
前記高電圧絶縁部材に設けられ、前記端面から突出し、前記端面とともに前記ハウジングの外側に露出した高電圧供給端子と、
前記高電圧絶縁部材の真空側の表面に設けられた積層膜と、を備え、
前記積層膜は、前記高電圧絶縁部材より面抵抗値の低い高抵抗部材で形成された膜と、それぞれ前記高抵抗部材よりも面抵抗値の低い低抵抗部材で環状に形成され、互いに間隔を置いて位置した複数の環状膜を含んだ環状膜群と、が積層して形成されていることを特徴とするX線管装置。
【請求項2】
前記高電圧絶縁部材は、軸の周りに回転対称形状に形成され、
前記複数の環状膜は、前記高電圧絶縁部材と同軸の周りで回転対称形状又はその一部からなる形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のX線管装置。
【請求項3】
前記高抵抗部材で形成された膜は、前記真空外囲器、並びに陰極若しくは陽極ターゲットの何れか1つに短絡していることを特徴とする請求項1又は2に記載のX線管装置。
【請求項4】
前記高抵抗部材は、単体物質、酸化物、炭化物及び窒化物の何れか1つを主成分とする材料で形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のX線管装置。
【請求項5】
前記高抵抗部材を構成する物質は、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Nb、Mo、Ag、Ta、W、B、C、Al、Si、Pt、Auの何れか1つを主構成元素とすることを特徴とする請求項4に記載のX線管装置。
【請求項6】
前記低抵抗部材で形成された環状膜群の膜厚をT1、前記高抵抗部材で形成された膜の膜厚をT2とすると、T1<T2であり、
前記環状膜群は、前記高電圧絶縁部材の真空側の表面上に形成され、
前記前記高抵抗部材で形成された膜は、前記環状膜群を覆って前記高電圧絶縁部材の真空側の表面上に形成されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のX線管装置。
【請求項7】
前記電気絶縁性部材の端面に直接又は間接的に密着される電気絶縁材を含み、前記高電圧供給端子に高電圧を与える高電圧コネクタをさらに備え、
前記高電圧絶縁部材の端面は、平面であることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のX線管装置。
【請求項8】
前記電気絶縁性部材の端面に直接又は間接的に密着される電気絶縁材を含み、前記高電圧供給端子に高電圧を与える高電圧コネクタをさらに備え、
前記高電圧絶縁部材の端面は、前記ハウジング外部から内部に向かって凹んだ凹面であることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のX線管装置。
【請求項9】
前記複数の環状膜が並んだ方向に沿った前記複数の環状膜の幅は、前記複数の環状膜の間隔より小さいことを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載のX線管装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−243421(P2011−243421A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−114658(P2010−114658)
【出願日】平成22年5月18日(2010.5.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(503382542)東芝電子管デバイス株式会社 (369)