説明

X線/コンピュータ断層撮影用ナノ粒子系造影剤

本発明は、一般に、コア/シェル型ナノ粒子に関する。このコア/シェル型ナノ粒子は、ナノ粒子コアと、ナノ粒子コアの周囲に配置されたナノ粒子シェルを含み、凝集体においてコアとシェルが、X線/コンピュータ断層撮影(CT)時に造影剤として機能し得るコア/シェル型ナノ粒子を形成する。通常、この種のコア/シェル型ナノ粒子を含むX線CT用造影剤は、造影剤を疾患部位にターゲティングするためのターゲティング用の成分をさらに含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は広義にはX線/コンピュータ断層撮影用の造影剤に関するものであり、特にナノ粒子系造影剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ヨウ素化安息香酸誘導体は、ヨウ素静脈注射に伴うリスクファクターや副作用にもかかわらず、標準的なX線/コンピュータ断層撮影(CT)用造影剤として使用され続けている。また、かかる標準的なCT用造影剤は通例低分子量であり、人体から短時間で消失することが知られており、そのため、かかる造影剤を疾患部位にターゲティングするのは難しい(Shi-Bao Yu and Alan D. Watson, Chem. Rev. 1999, 99, 2353-2377)。
【0003】
文献には、CT撮影用のガドリニウム(Gd)を含む実験的ナノ粒子系が記載されている。しかし、かかる系では、ガドリニウム原子が、標的組織又はその近傍まで送達し得るガドリニウム原子は比較的少数でしかない。かかる方法としては、ヨウ素化分子をリポソームに封入するリポソーム法(Leike et al., Invest. Radiol. 2001, 36(6), 303-308)、並びにG−4 Starburst(登録商標)ポリアミドアミド(PAMAM)デンドリマーにガドリニウム原子を結合させるデンドリマー法(Yordanov et al., Nano Letters 2002, 2(6), 595-599)が挙げられる。これらの方法では、いずれも、せいぜい数百個の重金属(ガドリニウム)原子が送達されるにすぎない。
【0004】
送達される重金属原子を増やす試みとして、かかる重金属のナノ粒子を使用するものがある。国際公開第03/075961号及び同第2005/051435号参照。元素態(ゼロ価)金属のナノ粒子は最も高い密度(重金属原子の数/体積)を有するものの、確実な合成や酸化安定性などに問題がある。金のような不活性金属のナノ粒子(例えば国際公開第03/075961号に記載されたもの)では、こうした問題を解決できるが、費用効果がよくない。
【0005】
以上の点から、新規CT用造影剤、特に、確実な合成、コスト削減、画像コントラスト増強、血中半減期の増大、毒性の低下、放射線量の低下及びターゲティング能力の1以上の点で性能が改善され、利点がある造影剤に対するニーズが存在し続けている。
【特許文献1】国際公開第03/075961号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2005/051435号パンフレット
【非特許文献1】Shi-Bao Yu and Alan D. Watson, Chem. Rev. 1999, 99, 2353-2377
【非特許文献2】Leike et al., Invest. Radiol. 2001, 36(6), 303-308
【非特許文献3】Yordanov et al., Nano Letters 2002, 2(6), 595-599
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は一般に、ナノ粒子コアと該ナノ粒子コアの周囲に配置されたナノ粒子シェルとを含むコア/シェル型ナノ粒子であって、凝集体においてコアとシェルがX線/コンピュータ断層撮影(CT)時に造影剤として機能し得るコア/シェル型ナノ粒子を形成するコア/シェル型ナノ粒子に関する。
【0007】
本発明のある実施形態では、本発明は、不活性ナノ粒子コアと活性ナノ粒子シェルとを含む第一タイプの造影剤であって、ナノ粒子シェルが活性CT用造影剤材料を含んでいてナノ粒子コアの周囲に配置され、凝集体においてコアとシェルがCTでの撮影時に造影剤として機能し得るコア/シェル型ナノ粒子を形成する造影剤に関する。
【0008】
本発明のある実施形態では、本発明は、活性ナノ粒子コアと活性ナノ粒子シェルとを含む第二タイプの造影剤であって、ナノ粒子シェルがナノ粒子コアとは異なる材料から形成されていて、活性CT用造影剤材料を含んでいるとともに、ナノ粒子コアの周囲に配置され、凝集体においてコアとシェルがCTでの撮影時に造影剤として機能し得るコア/シェル型ナノ粒子を形成する造影剤に関する。
【0009】
本発明のある実施形態では、本発明は、活性ナノ粒子コアと不活性ナノ粒子シェルとを含む第一タイプの造影剤であって、ナノ粒子シェルがナノ粒子コアの周囲に配置され、凝集体においてコアとシェルがCTでの撮影時に造影剤として機能し得るコア/シェル型ナノ粒子を形成する造影剤に関する。
【0010】
本発明のある実施形態では、本発明は、上述の造影剤の製造方法に関する。また、本発明の他の実施形態は、CTにおける造影剤の使用方法に関する。
【0011】
本発明は、ナノ粒子法を使用して、比較的多数の高密度で減衰性の高い元素態又は分子状の原子(有効原子番号Zが34(セレンの原子番号)以上の放射線不透過性の分子構造)を送達して、CTのコントラスト増強を改善する。本発明のある実施形態では、本発明は、CT造影剤による特異的な疾患部位へのターゲティングをもたらす。本発明のある実施形態では、本発明は、マクロファージによるCT用造影剤の取り込みをもたらす。本発明のある実施形態では、本発明は、血中半減期の増大したCT用造影剤を提供する。
【0012】
以上では、以下の詳細な説明を理解しやすいように、本発明の特徴についてごく概略を説明した。請求の範囲の主題となるような本発明のさらなる特徴や利点については、以下で詳述する。
【0013】
本発明及びその利点を十分に理解できるように、以下、図面を参照しながら本発明をさらに説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、一般には、コア/シェル型ナノ粒子に関する。このコア/シェル型ナノ粒子は、ナノ粒子コアと、ナノ粒子コアの周囲に配置されたナノ粒子シェルとを含んでおり、凝集体においてコアとシェルが、コンピュータ断層撮影(CT)に使用した際に造影剤として機能する、特にX線/コンピュータ断層撮影(CT)用造影剤として機能し得るコア/シェル型ナノ粒子を形成する。
【0015】
図面一般に関しては、これらの図面は本発明の特定の実施形態を説明する目的で示すものであって、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではないことを理解されたい。
【0016】
本明細書で使用する用語の大半は、当業者には明らかであろうが、本発明を理解しやすいように、以下の定義を記載しておく。しかし、明示的に定義されていない場合は、各用語は、当業者に今日受け入れられている意味をもつものとし理解されたい。
【0017】
本明細書で定義し、また、コンピュータ体軸断層撮影法、コンピュータ援用断層撮影法(CAT)、体切片X線撮影法としても公知である「コンピュータ断層撮影法」(「CT」と略す)は、単一の回転軸に沿って撮影された多数の一連の二次元X線画像から、デジタル処理を利用して、撮影対象の内部についての三次元画像を生成する断層撮影を用いた医用画像撮影方法である。本明細書では、コンピュータ断層撮影を中心に論じるが、当業者であれば、かかる議論が、あらゆるタイプのX線画像撮影に一般に適用可能であることがわかるはずである。
【0018】
本明細書で定義し、造影剤(contrast agent)としても公知の「造影剤(imaging agent)」は、入射してくるX線を有意に減衰させて、当該容積を通過するX線を低減させることのできる物質を含む薬剤である。CT画像を再構築し、通常の後処理を行うと、このX線減衰の増大は、当該容積での濃度の増大として解釈され、その結果、画像中においては、バックグラウンドの組織に対して造影剤を含む容積のコントラストが増強される。本明細書での議論は、あらゆるタイプのX線画像撮影に一般に適用可能であるので、本発明では、本発明の造影剤のことを、「X線/コンピュータ断層撮影用造影剤」と総称する。この用語は、「コンピュータ断層撮影(CT)用造影剤」と互換的に用いる。
【0019】
コア/シェル型ナノ粒子コア成分及びシェル成分について「活性」及び「不活性」という用語を用いた場合、これらの用語は、その成分がCT撮影においてコントラストを増強する能力について述べる。通常のCTスキャナーは、約10keV〜約140keVという広い範囲のX線エネルギーを使用している。当業者であればわかるように、特定の物質を通過するX線の単位長さあたりの減衰量は、一次減衰係数として表すことができる。CT撮影で代表的なX線エネルギースペクトルでは、物質の減衰は、光電吸収効果とコンプトン散乱効果によって主に決まる。さらに、一次減衰係数は、入射するX線のエネルギー、物質の濃度(モル濃度に比例)、物質の原子番号(Z)の関数であることが周知である。分子化合物又は異なった原子の混合物については、「有効原子番号」Zeffは、構成元素の有効原子番号の関数として計算することができる。化学式が既知の化合物についての有効原子番号は、以下の式で決定することができる。
【0020】
【数1】

ここで、Zkは単一元素の原子番号、Pは単一元素の合計量、Wfkは、合計分子量に対する単一元素の重量分画(モル濃度と比例)である。CT撮影時の入射X線のエネルギーの最適量は、撮影対象物のサイズの関数であって、名目値から大きく変動することはないものと予測される。造影剤材料の一次減衰係数は、材料の密度に一時的に依存することも周知である。すなわち、材料の密度を増大させたり、造影剤のモル濃度を増大させたりすれば、一次減衰係数を増大させることができる。しかし、患者への造影剤物質の注射やその際に生じる有害な効果といった実際上の側面から、患者に投与する造影剤のモル濃度には限界がある。したがって、造影剤候補材料を有効原子番号によって分けるのは妥当だといえる。モル濃度を約50mMとしたときの代表的なCTでのエネルギースペクトルについての代表的な材料のCTでのコントラスト増強のシミュレーションに基づいて、出願人は、有効原子番号が34以上の材料で、約30ハウンスフィールド単位(HU)というコントラスト増強として妥当な値、すなわち水より3%高いコントラスト増強が得られると推定する。したがって、出願人は、CT用造影剤候補材料が、有効原子番号が34未満(すなわちZeff<34)で不活性であるか、有効原子番号が34以上(すなわちZeff≧34)で活性であるかのいずれかであると定義した。例えば、Handbook of Medical Imaging, Volume 1. Physics and Psychophysics, Eds. J. Beutel, H.L. Kundel, R.L. Van Metter, SPIE Press, 2000の第1章参照。)
本明細書で定義する「ナノ粒子」は、平均径が約1nm〜約500nmの粒子であり、ナノ粒子コアについて言及する場合と、コア/シェル型ナノ粒子凝集体について言及する場合に使用されうる。かかるナノ粒子は、球状であっても、不規則形状であってもよく、上記範囲うちの小さめのナノ粒子の場合、有機金属錯体分子とは異なる。本明細書で定義する「ナノ粒子シェル」は、コア/シェル型ナノ粒子の、シェル部分のことである。かかるナノ粒子シェルは、ナノ粒子コアの周囲に配置されており、下地であるナノ粒子コアのトポグラフィーと一致する場合としない場合がある。
【0021】
上述し、また図1にも示すように、本発明の特定の実施形態は、(a)ナノ粒子コア101と(b)ナノ粒子シェル102を含み、ナノ粒子シェルがナノ粒子コアの周囲に配置され、凝集して、コンピュータ断層撮影(通常X線)時の造影剤として機能し得るコア/シェル型ナノ粒子100となっている造影剤に関する。図1には、完全に球形のコア/シェル型ナノ粒子の断面を示してあるが、コア/シェル型ナノ粒子の形状は不規則でもよい。
【0022】
実施形態によっては、上述の造影剤は、1種以上のターゲティング剤をさらに含むものとすることもできる。かかるターゲティング剤は、造影剤を、投与対象動物のからだの特異的な疾患部位にターゲティングするのに有用である。ターゲティング剤として代表的なのは、抗体(例えばIgG)又は他のペプチドであるが、核酸(例えばDNA、RNA)又は他の適当な化学種を用いることもできる。通常、1種以上のターゲティング剤を、ナノ粒子コアとナノ粒子コアの周囲に配置されたナノ粒子シェルの片方又は両方に結合させる。その際の結合として通常使用できるものとしては、ペプチド結合、ジスルフィド結合、イソチオ尿素結合、イソ尿素結合、スルホンアミド結合、アミン結合、カルバメート結合、アミジン結合、ホスホラミダイト結合、チオエーテル結合、アリールアミン結合、アリールチオエーテル結合、エーテル結合、ヒドラジン結合、トリアゾール結合、オキシム結合、及びこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されるものではない。例えば、Bioconjugate Techniques. G. T. Hermanson, Academic Press, 1996の第2章参照。
【0023】
実施形態によっては、上述のCT用造影剤のマクロファージの取り込みを、コア/シェル型ナノ粒子の表面電荷を制御したり、及び/又はマクロファージの取り込みを誘導する官能基(例えばポリ硫酸ビニル)を提示したりすることによって最適化する。
【0024】
CT用造影剤に使用する本明細書に記載するコア/シェル型ナノ粒子については、ナノ粒子コアの平均径は、通常約1nm〜約100nm、好ましくは約2nm〜約100nm、さらに好ましくは約2nm〜約20nmである。ナノ粒子コアの周囲に配置されたナノ粒子シェルの平均厚さは、通常約0.5nm〜約100nmである。したがって、ナノ粒子コアとナノ粒子シェルとが凝集した造影剤の平均径は、通常約2nm〜約500nm、好ましくは約2nm〜約100nm、特に好ましくは約5nm〜約20nmである。
【0025】
1.第一タイプのコア/シェル型ナノ粒子
図2に示す本発明の実施形態は、不活性ナノ粒子コア101aと活性ナノ粒子シェル102aを備えた第一タイプの造影剤100aである。ナノ粒子シェルは、活性CT用造影剤材料を含んでおり、ナノ粒子コアの周囲に配置され、凝集することによって(すなわち双方で)、撮影時に造影剤として機能し得るようなコア/シェル型ナノ粒子100aが形成されている。
【0026】
上述のナノ粒子コア101aを形成する材料は、特に限定されず、これは、このナノ粒子コアは、通常活性造影剤材料(Zeff<34)を含まないためである。しかし、通常、ナノ粒子コアは、ナノ粒子シェルを構成する材料と識別可能な材料から形成する。実施形態によっては、ナノ粒子コアを構成する材料として、例えば、重金属及びその合金、酸化物、ハロゲン化物、窒化物、スルフィド、ホウ化物、リン化物及び炭化物など、並びにポリマー、セラミックス、及びこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されるものではない。かかる材料として適当なものとしては、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、マグネシウム(Mg)、及びそれぞれの酸化物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0027】
ナノ粒子シェル102aは、CTで造影剤として利用できる活性ナノ粒子シェルが得られ、ナノ粒子コアの周囲に適切なかたちで配置し得るものであれば任意の材料から形成することができる。一般に、かかる材料は、CT撮影時にコントラストが増強されるようなかたちでX線と相互作用を生じる活性材料(Zeff≧34)を含む。一般に、この種の活性材料は、原子量の大きな元素(例えば重金属)を含むものであり、かかる活性材料として適当なものとしては、ヨウ素(I)、ガドリニウム(Gd)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、ハフニウム(Hf)、ビスマス(Bi)、及びこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
上述の実施形態の一部では、かかる活性材料をコアの周囲に直接配置する。別の実施形態では、ナノ粒子シェルの不活性成分とともに、かかる活性材料を使用し、具体的には、例えば、ナノ粒子コアの周囲に配置したポリマーのマトリックス中に活性ナノ粒子を分散させて、活性ナノ粒子とポリマーのマトリックスの双方がナノ粒子シェルを構成するようにする。別の実施形態では、ナノ粒子シェルに分子のコーティングを形成して、このコーティングに活性材料を担持させる。適切な分子のコーティングの例としては、リガンド、ポリマー、クラスター、炭水化物、及びこれらの組合せが挙げられるこれらに限定されるものではない。
【0029】
2.第二タイプのコア/シェル型ナノ粒子
図3に示す本発明の実施形態は、活性ナノ粒子コア101bと活性ナノ粒子シェル102bを備えた第二タイプの造影剤100bである。ナノ粒子シェルは、ナノ粒子コアとは異なる物質から形成されており、活性CT用造影剤材料を含んでいて、ナノ粒子コアの周囲に配置され、凝集することによって、CT撮影時に造影剤として機能し得るようなコア/シェル型ナノ粒子100bが形成されている。
【0030】
上述のナノ粒子コア101bを形成する材料は、このナノ粒子コアが一般に活性造影剤材料(すなわちZeff≧34)を含有していること以外は、特に限定されない。通常、ナノ粒子コアは、ナノ粒子シェルを構成する材料と識別可能な材料から形成する。このナノ粒子コアは、通常、金属及びその合金、酸化物、ハロゲン化物、窒化物、炭化物、硫化物、リン化物、セレン化物、テルル化物、ホウ化物、及びこれらの組合せなどの材料から形成されるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
ナノ粒子シェル102bは、CTで造影剤として利用できる活性ナノ粒子シェルが得られ、ナノ粒子コアの周囲に適切なかたちで配置し得るものであれば任意の材料から形成することができる。一般に、かかる材料は、CT撮影時にコントラストが増強されるようなかたちでX線と相互作用を生じる活性材料(Zeff≧34)を含む。一般に、この種の活性材料は、原子量の大きな元素(例えば重金属)を含むものであり、かかる活性材料として適当なものとしては、ヨウ素(I)、ガドリニウム(Gd)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、ビスマス(Bi)、ハフニウム(Hf)、及びこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
第一タイプのCT用造影剤の場合と同じく、上述の実施形態の一部では、かかる活性材料をコアの周囲に直接配置する。別の実施形態では、ナノ粒子シェルの不活性成分とともに、かかる活性材料を使用し、具体的には、例えば、ナノ粒子コアの周囲に配置したポリマーのマトリックス中に活性ナノ粒子を分散させて、活性ナノ粒子とポリマーのマトリックスの双方がナノ粒子シェルを構成するようにする。別の実施形態では、ナノ粒子シェルに分子のコーティングを形成して、このコーティングに活性材料を担持させる。適切な分子のコーティングの例としては、リガンド、ポリマー、クラスター、炭水化物、及びこれらの組合せが挙げられるこれらに限定されるものではない。
【0033】
3.第三タイプのコア/シェル型ナノ粒子
図4に示す本発明の実施形態は、活性ナノ粒子コア101cと不活性ナノ粒子シェル102cを備えた第三タイプの造影剤100cである。ナノ粒子シェルは、ナノ粒子コアの周囲に配置され、凝集することによって、撮影時に造影剤として機能し得るようなコア/シェル型ナノ粒子100cが形成されている。
【0034】
上述のナノ粒子コア101を形成する材料は、金属ではなく、CTでコントラストを増強するための活性材料(Zeff≧34)を少なくとも含んでいるという点においてのみ、一般に限定されている。通常、ナノ粒子コアは、ナノ粒子シェルを構成する材料と識別可能な材料から形成する。このナノ粒子コアは、通常、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属スルフィド、金属リン化物、金属ホウ化物、金属セレン化物、金属テルル化物、及びこれらの混合物などの材料から形成されるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
ナノ粒子シェル102cを形成する材料は特に限定されないが、一般に、活性CT用造影剤材料(Zeff<34)を含まず、ナノ粒子コアの周囲に配置できなくてはならない。かかる材料として適当なものとしては、リガンド、ポリマー、クラスター、炭水化物、及びこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0036】
4.使用方法
本発明の実施形態は、上述のタイプの造影剤のいずれか又はすべてをCTの用途で使用するための方法にも関わる。図5にも示すように、かかる方法は、通常、以下の工程、すなわち、活性コンピュータ断層撮影用造影剤材料を含むコア/シェル型ナノ粒子のある量を用意し、ここで、各コア/シェル型ナノ粒子は、ナノ粒子コアとナノ粒子コアの周囲に配置されたナノ粒子シェルとを備えている工程 (工程501)と、コア/シェル型ナノ粒子を哺乳類被検体に投与する工程(工程502)と、哺乳類被検体に、コンピュータ断層撮影によってX線を照射し、その際に、コア/シェル型ナノ粒子が造影剤の役目をはたすようにする工程(工程503)とを含む。かかる実施形態の多くでは、コア/シェル型ナノ粒子がさらにターゲティング剤を含んいるため、造影剤を、投与対象動物のからだの特異的な疾患部位にターゲティングすることができる。実施形態によっては、上述のコア/シェル型ナノ粒子は、血液中に残留し得る限りにおいて、血管内貯留型造影剤ともなりうる。
【0037】
上述の造影剤の使用方法の幾つかの実施形態では、コア/シェル型ナノ粒子によって、一般に、約5ハウンスフィールド単位以上〜約5000ハウンスフィールド単位以下のCT信号、即に、約100ハウンスフィールド単位以上〜約5000ハウンスフィールド単位以下のCT信号が得られる。
【実施例】
【0038】
以下の実施例は、本発明の特定の実施形態を示す目的で記載する。当業者であれば、以下の実施例で開示する方法が単に本発明の特定の実施形態を例示するにすぎないものの、本明細書の開示内容を参考にすることによって、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、ここに記載された特定の実施形態に対して数多くの変更を加えることができ、しかも同様又は類似した結果を得ることができることがわかるはずである。
【0039】
実施例1
この実施例は、本発明の実施形態にしたがって、第一タイプのCT用造影剤をどのようにして調製できるのかを例示するために示す。この特定の実施例では、CT用造影剤は、トリヨード安息香酸系リガンドの活性シェルと、この活性シェルに結合されたポリ(スチレン)又は酸化鉄ナノ粒子などからなる不活性コアを備えている。
【0040】
不活性コアの合成
25mL入りの3口のシュレンクフラスコにビクルー管を取り付け、さらに冷却器を取り付けて、熱電対を挿入した。冷却器に窒素の入り口を取り付け、装置に窒素を流した。シュレンクフラスコとビグルー管は、グラスウールで断熱した。トリメチルアミンN−オキシド(TMAO)(0.570g、7.6mmol)及びオレイン酸(OA)(0.565g、2.0mmol)を10mLのジオクチルエーテル(OE)に分散させた。分散液を80℃まで約20℃/分で加熱した。混合物が80℃に達したところで、265μLのFe(CO)5(2.0mmol)を、撹拌しながら、シュレンクフラスコのジョイント部から迅速に導入した。溶液は、瞬時に黒色となり、白色の「クラウド」が激しく生成した。溶液を約120〜140℃に急速に加熱した。反応ポットを100℃に冷却し、この温度に75分間保ち、撹拌した。
【0041】
100℃で75分間撹拌した後、温度を280℃まで、約20℃/分で上昇させた。溶液を280℃で75分間撹拌した後、マントルヒーターとグラスウールを除去して、反応系を室温に戻した。室温まで戻ったところで、一部を取り出してトルエンに溶解し、動的(レーザー)光散乱法(DLS)と透過型電子顕微鏡(TEM)画像解析(TEM)でサイジングした。残りの溶液の半量(約5mL)を20mLのアセトニトリルに加えた。アセトニトリル/OE混合物を十分に撹拌し、3000rpmで5分間遠心して、各層に分離した。淡黄色のアセトニトリル層が観察される場合が多く、このアセトニトリル層を除去し、OE層をリガンド交換反応に使用した。誘導結合プラズマ発光分析法(ICP−AES)測定用のサンプルを調製するために、粗反応溶液の残りの半量を、20mLのイソプロパノールに加え、溶液を10分間3000rpmで遠心した。上層部をデカンテーションし、追加の20mLのイソプロパノールを加え、再度遠心して沈殿を集めた。沈殿した酸化鉄のナノ粒子を一晩風乾した。
【0042】
活性シェルの合成
実施形態によっては、コアのナノ粒子、例えば酸化鉄の表面に−OH官能基がカップリングされている。かかる一例では、3−アミノ−2,4,6−トリヨード安息香酸(Aldrich)を、塩基の存在下で、モノメソレート化PEG−750モノメチルエーテルと反応させて、1又は2のPEG−750モノメチルエーテル部分をアミノ官能基に付加して、分子に水溶性を付与した。このものをさらにオキサリルクロリド又は塩化チオニルで、塩基の存在下で処理して、酸塩化物を生成し、さらに、3−アミノプロピルトリエトキシシランで処理した。生成物は、精製の後、表面、例えば酸化鉄ナノ粒子の表面と反応させて、シロキサン結合によってヨウ素含有リガンドを結合させた。
【0043】
また、別の態様では、上述のシェル材料を、カルボン酸又はアミンで表面を改質したポリスチレンナノ粒子にカップリングする。カルボン酸で表面改質したポリスチレンナノ粒子(例えば、Bangs Beads社、インディアナ州フィッシャーズ)をLiAlH4を用いて対応するアルコールまで還元し、その後、上記実施例で合成した酸塩化物と反応させる。その結果、上記と同じくヨード化されたシェルを備えたポリスチレン粒子が得られる。また、アミノ表面改質ポリスチレンビーズを用いて、それ以上表面を改質せずに、酸塩化物に結合することもできる。
【0044】
粒子表面に−OH官能基がカップリングされている別の実施形態では、Omnipaque(登録商標)(イオヘキソール)(GE Healthcare)を1当量のp−トルエンスルホニルクロリドで処理し、さらに塩基で処理して、イオヘキソール中の1以上の近接したジオール官能基をエポキシ化する。これを、さらに、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(Gelest)で処理して、例えば酸化鉄ナノ粒子とのシロキサン結合を介した共有結合用の官能基を得る。
【0045】
カルボン酸又はアミンで表面を改質したポリスチレンナノ粒子へのカップリングを行う別の実施形態では、上述のようにしてカルボン酸で表面を改質したポリスチレンナノ粒子を対応するアルコールに還元する。塩基で処理し、さらにイオヘキソールエポキシド(上記参照)で処理すると、イオヘキソールでコーティングしてポリスチレンナノ粒子が得られる。同様に、アミンで表面を改質したナノ粒子も、イオヘキソールエポキシドで処理することができる。
【0046】
オレイン酸でコーティングした酸化鉄ナノ粒子の溶液(Fe、0.75mg)、3−アミノ−2,4,6−トリヨード安息香酸(0.305g、0.6mmol)、ナトリウムメトキシド(32mg、0.6mmol)をテトラヒドロフラン(THF)(5mL)に溶解したものを20時間超音波処理したところ、3−アミノ−2,4,6−トリヨード安息香酸でコーティングした酸化鉄ナノ粒子の溶液が得られた。
【0047】
図6は、本発明の実施形態に係る酸化鉄コアとヨー化シェルを備えた不活性コア/活性シェル型ナノ粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)画像である。
【0048】
実施例2
この実施例は、本発明の実施形態にしたがって、第二タイプのCT用造影剤をどのようにして調製できるのかを例示するために示す。この特定の実施例では、トリヨード安息香酸共有結合リガンドを含む活性シェルを、酸化ハフニウムの活性コアに結合する。
【0049】
活性コアの合成
オキシ塩化ハフニウムのエタノールへの懸濁液から、ハフニアのナノ結晶(HfO2)を調製することができる。オルガノシラン系コーティングは、以下のようにして設けることができる。3−グリシドキシプロピル(トリメトキシシラン)(GPTS)をブタノールで希釈し(体積比1:0.5)、GPTS:H2Oのモル比を1:0.5に保ちながら、0.1MのHClを加えることによって予め加水分解する。得られた溶液を一晩室温にて激しく撹拌し、HfO2のナノ結晶を加える。Ribeiroら,Appl. Phys. Lett. 2000,77(22),3502−3504参照。図7は、本発明の特定の実施形態に係る酸化ハフニウムを主要成分とする活性コアのTEM画像である。
【0050】
活性シェルの合成
実施形態によっては、酸化ハフニウムのコアの表面に−OH官能基がカップリングされている。かかる一例では、3−アミノ−2,4,6−トリヨード安息香酸(Aldrich)を、塩基の存在下で、モノメソレート化PEG−750と反応させて、1又は2のPEG−750部分をアミノ官能基に付加して、分子に水溶性を付与した。このものをさらにオキサリルクロリド又は塩化チオニルで、塩基の存在下で処理して、酸塩化物を生成し、さらに、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(Gelest)で処理した。生成物は、精製の後、表面、例えば酸化ハフニウムのコアの表面と反応させて、シロキサン結合によってヨウ素含有リガンドを結合させた。
【0051】
実施形態によっては、Omnipaque(登録商標)(イオヘキソール)(GE Healthcare)を1当量のp−トルエンスルホニルクロリドで処理し、さらに塩基で処理して、イオヘキソール中の1以上の近接したジオール官能基をエポキシ化する。これを、さらに、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(Gelest)で処理して、例えば酸化ハフニウムのコアとのシロキサン結合を介した共有結合用の官能基を得る。
【0052】
実施例3
この実施例は、本発明の実施形態にしたがって、第三タイプのCT用造影剤をどのようにして調製できるのかを例示するために示す。この特定の実施例では、不活性シェルを、酸化ハフニウムの活性コアに結合する。
【0053】
オキシ塩化ハフニウムのエタノールへの懸濁液から、ハフニアのナノ結晶(HfO2)を調製することができる(実施例2参照)。オルガノシラン系コーティングは、以下のようにして設けることができる。3−グリシドキシプロピル(トリメトキシシラン)(GPTS)をブタノールで希釈し(体積比1:0.5)、GPTS:H2Oのモル比を1:0.5に保ちながら、0.1MのHClを加えることによって予め加水分解する。得られた溶液を一晩室温にて激しく撹拌し、HfO2のナノ結晶を加える。Ribeiroら,Appl. Phys. Lett. 2000,77(22),3502−3504参照。図8は、本発明の実施形態に係る酸化タングステンのコアとポリマーのシェルを備えた活性コア/不活性シェル型ナノ粒子のTEM画像である。
【0054】
実施例4
この実施例では、本発明の実施形態で、コア/シェル型ナノ粒子のCT用造影剤をどのように使用してコントラストを増強するかについて示す。
【0055】
CT画像での対象体積を増大させるため、出願人は、不活性コア/活性シェル型のナノ粒子(すなわち第三タイプのCT用造影剤)で、コアが酸化タングステン、シェルがポリマーのものを水と混合して使用した。Lucite(商標)の直径約15cmの円柱状ブロック中に直径約1.5cmの円柱状キャビティを複数同心円状に設けて、試験ファントムを用意した。これらのキャビティに、水と造影剤材料候補の混合物(各種の濃度レベルのもの)を充填した。標準的な医用CTスキャナー(GE Lightspeed)を使用し、エネルギースペクトルを120kVp、ソース電流を195mAsとしてCT画像を得た。この画像を、標準的な再構築カーネルを用いて、切片厚さを1.25mmとして再構築した。この実験で得られた画像の例を図9に示す。水は、CT時のヒトのからだの軟部組織の大半をよく近似するので、タングステンナノ粒子造影剤の水との混合物の、水に対する相対的なコントラストを可視的に観察できるよう、ディスプレーのウィンドウレベルを設定した。図9に示す画像では、ウィンドウの幅を約1000HUに設定し、ウィンドウレベルは約270HUとした。図9では、画像の領域IIは、キャビティが純水で充填されている部分、領域Iは、キャビティが、酸化タングステンのコアとポリマーのシェルからなるナノ粒子と水との混合物(モル濃度約94mM)が充填されている部分である。造影剤による増強は、ディスクがより明るいことで示される。コントラスト増強のレベルを定量するために、出願人は、標準的な医用ワークステーション(GE Advantage Workstation)を使用して、純水の領域と、タングステンナノ粒子の造影剤と水との混合物の領域のそれぞれについて、CT画像のHU値の平均及び標準偏差を計算した。水の平均CT値は予想どおり約0HU、タングステンナノ粒子の造影剤を水と約70mMの混合物の平均CT値は、約400HUであった。このように、コントラストが増強されたわけであるが、CTによる撮影の用途では、こうしてコントラストが増強されることは大抵望ましい。
【0056】
なお、上述の実施形態に関して記載した構造、機能、機構の一部は、本発明を実施するうえで必須ではなく、例示した実施形態を十分に説明するためにのみ記載してあることを理解されたい。また、以上の記載で言及した特許や刊行物の特定の構造、機能、操作は本発明とともに実施することができるものの、かかる構造、機能、機構は、本発明を実施するうえで必須ではないことについても理解されたい。したがって、本発明は、請求の範囲で定義した本発明の精神及び範囲から実質的に逸脱することなく、以上で記載したのとは異なるかたちで実施することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】図1は、構成部分間の関係を示すためのコア/シェル型ナノ粒子の一般的な断面図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態に係る不活性コアと活性シェルを備えた第一タイプのコア/シェル型ナノ粒子の断面図である。
【図3】図3本発明の実施形態に係る活性コアと活性シェルを備えた第二タイプのコア/シェル型ナノ粒子の断面図である。
【図4】図4本発明の実施形態に係る活性コアと不活性シェルを備えた第三タイプのコア/シェル型ナノ粒子の断面図である。
【図5】図5では、本発明の実施形態にしたがってコア/シェル型ナノ粒子をコンピュータ断層撮影の造影剤として使用する方法を流れ図で示す。
【図6】図6は、本発明の実施形態に係る酸化鉄のコアとヨウ化物のシェルを備えた不活性コア/活性シェル型ナノ粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)画像である。
【図7】図7は、本発明の実施形態に係る酸化ハフニウムを主要成分とする活性コアのTEM画像である。
【図8】図8は、本発明の実施形態に係る酸化タングステンのコアとポリマーのシェルを備えた活性コア/不活性シェル型ナノ粒子のTEM画像である。
【図9】図9は、本発明の実施形態に係る酸化タングステンのコアとポリマーのシェルを備えた不活性コア/活性シェル型ナノ粒子のコンピュータ断層撮影(CT)画像である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ナノ粒子コアと、
b)ナノ粒子コアの周囲に分散したナノ粒子シェルと
を含むX線造影剤であって、ナノ粒子コアとナノ粒子シェルの少なくとも一方が活性造影剤材料を含んでおり、ナノ粒子シェル材料とナノ粒子コア材料が互いに材料として異なっていて凝集体においてナノ粒子コアとナノ粒子シェルがX線撮影時に造影剤として機能し得るコア/シェル型ナノ粒子を形成する、X線造影剤。
【請求項2】
前記ナノ粒子コアが活性造影剤材料を含み、ナノ粒子コアの周囲に分散したナノ粒子シェルが活性造影剤材料を含む、請求項1記載のX線造影剤。
【請求項3】
前記ナノ粒子コアが活性造影剤材料を含み、ナノ粒子コアの周囲に分散したナノ粒子シェルが活性造影剤材料を含まない、請求項1記載のX線造影剤。
【請求項4】
前記ナノ粒子コアが活性造影剤材料を含まず、ナノ粒子コアの周囲に分散したナノ粒子シェルが活性造影剤材料を含む、請求項1記載のX線造影剤。
【請求項5】
1種以上のターゲティング剤をさらに含む、請求項1記載のX線造影剤。
【請求項6】
前記ナノ粒子コアの平均粒径が約1〜約100nmであり、ナノ粒子コアの周囲に配置されたナノ粒子シェルの平均粒径が約0.5nm〜約100nmの範囲である、請求項1記載のX線造影剤。
【請求項7】
前記ナノ粒子コアとナノ粒子シェルの凝集体の平均粒径が約2〜約500nmである、請求項1記載のX線造影剤。
【請求項8】
前記ナノ粒子コアがZeff<34の元素からなる群から選択される材料を含む、請求項1記載のX線造影剤。
【請求項9】
前記ナノ粒子コアがZeff≧34の物質を含む、請求項1記載のX線造影剤。
【請求項10】
前記ナノ粒子が、Zeff≧34の元素からなる群から選択される活性材料を含む、請求項1記載のX線造影剤。
【請求項11】
前記ナノ粒子コアがZeff<34の元素、その合金、酸化物、ハロゲン化物、窒化物、硫化物、ホウ化物、セレン化物、リン化物及び炭化物、並びにポリマー、セラミックス並びにこれらの組合せからなる群から選択される材料を含む、請求項1記載のX線造影剤。
【請求項12】
前記活性ナノ粒子コアが金属酸化物、金属炭化物、金属硫化物、金属窒化物、金属リン化物、金属ホウ化物、金属ハロゲン化物、金属セレン化物、金属テルル化物、及びこれらの組合せからなる群から選択される活性造影剤材料を含む、請求項1記載のX線造影剤。
【請求項13】
前記活性ナノ粒子コアが金属及びその合金、酸化物、ハロゲン化物、窒化物、炭化物、硫化物、リン化物、セレン化物、テルル化物及びホウ化物、並びにこれらの組合せからなる群から選択される活性造影剤材料を含む、請求項1記載のX線造影剤。
【請求項14】
前記活性ナノ粒子シェルがリガンド、ポリマー、クラスター、炭水化物及びこれらの組合せからなる群から選択される材料を含む、請求項1記載のX線造影剤。
【請求項15】
a)ナノ粒子コアと、
b)ナノ粒子コアの周囲に分散したナノ粒子シェルと
を用意する工程であって、ナノ粒子コアとナノ粒子シェルの少なくとも一方が活性造影剤材料を含んでおり、ナノ粒子シェル材料とナノ粒子コア材料が互いに材料として異なっていて凝集体においてナノ粒子コアとナノ粒子シェルがコア/シェル型ナノ粒子を形成する工程、
c)コア/シェル型ナノ粒子を哺乳類被検体に投与する工程、次いで
d)コア/シェル型ナノ粒子が造影剤として作用するようにコンピュータ断層撮影によって哺乳類被検体にX線を照射する工程
を含んでなる方法。
【請求項16】
前記ナノ粒子コアが活性造影剤材料を含み、ナノ粒子コアの周囲に分散したナノ粒子シェルが活性造影剤材料を含む、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記ナノ粒子コアが活性造影剤材料を含み、ナノ粒子コアの周囲に分散したナノ粒子シェルが活性造影剤材料を含まない、請求項15記載の方法。
【請求項18】
前記ナノ粒子コアが活性造影剤材料を含まず、ナノ粒子コアの周囲に分散したナノ粒子シェルが活性造影剤材料を含む、請求項15記載の方法。
【請求項19】
前記コア/シェル型ナノ粒子がさらにターゲティング剤を含んでいて、コア/シェル型ナノ粒子のCT用造影剤としての効用がターゲティング剤が特異的な細胞をターゲティングする能力に部分的に依拠する、請求項15記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−514862(P2009−514862A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−538986(P2008−538986)
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【国際出願番号】PCT/US2006/042603
【国際公開番号】WO2007/055995
【国際公開日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】