説明

eIF−5Aアイソフォーム:老化誘導eIF−5A;損傷誘導eIF−5A;成長eIF−5A;及びDHS

本発明は、真核生物開始因子5A(「eIF-5A」)の独自のアイソフォーム:老化-誘導eIF-5A;損傷-誘導eIF-5A;及び成長eIF-5A、並びにこれらの3種の因子をコードするポリヌクレオチドに関する。本発明はまた、これらの因子の発現を調節することを含む方法に関する。本発明はまた、デオキシハイプシン シンターゼ(「DHS」)、DHSをコードするポリヌクレオチド、及びDHSの発現を調節することを含む方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2000年11月29日出願のシリアル番号09/725,019の一部継続出願であり、当該出願は2000年6月19日出願の09/597,771号、現在米国特許第6,538,182号の一部継続であり、現在放棄された1999年7月6日に出願された09/348,675号の一部継続である。本出願は優先権を主張し、共に2003年6月20日出願の米国仮出願60/479,968号及び60/479,969号、及び共に2004年5月14日出願の米国仮出願60/()事件整理番号 10799/120号及び60/(承認)事件整理番号10799/120号を、文献として本明細書に援用する。
発明の分野
本発明は、真核生物翻訳開始因子5A(「eIF-5A」)の固有のアイソフォーム、及びeIF-5A及びデオキシハイプシン・シンターゼ(「DHS」)をコードするポリヌクレオチド、及びDHSをコードするポリヌクレオチド、及びアイソフォームeIF-5A及びDHSの発現を調節することを含む方法に関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術の説明
老化は、植物生命の生物的発展の終期である。それは死を予測し、及び生物組織、例えば植物全体、器官、花及び果実、組織及び個々の細胞、の様々なレベルで起こる。
【0003】
老化の始まりは、内因性及び外因性の種々の因子によって誘導することができる。老化は、植物又は植物組織、例えば果実、花及び葉の生命において複雑かつ、高度に調節された発達段階である。老化は、細胞膜及び高分子の調整機能停止、及び植物の他の部分への次の代謝移動をもたらす。
【0004】
標準的植物の発達中に起こるプログラムされた老化に加えて、細胞死及び組織死及び次の代謝の再移動は、外因性の環境的要因への調整応答として起こる。ネクローシス又はアポトーシスとも言われる老化の早期開始を誘導する外因性因子は、環境的ストレス、例えば温度、日照り、日照不足又は低栄養供給、及び病原体の攻撃を含む。環境性ストレスに曝露される植物組織はまた、エチレン、通常ストレスエチレンとして知られている、を生じる(Buchanan-Wollaston, V., 1997, J. Exp. Botany, 48: 181-199; Wright, M., 1974, Plant, 120: 63-69)。エチレンは、いくつかの植物で老化を引き起こすことが知られている。
【0005】
老化は受動的プロセスではなく、むしろ特定の遺伝子の調節された発現を含む、積極的な調節プロセスである。老化中に、全RNAレベルが減少し、多くの遺伝子の発現のスイッチが切られる(Bate他, 1991, J. Exper. Botany, 42, 801-11 ; Hensel他, 1993, The Plant Cell, 5,553-64)。しかしながら、この老化プロセスは核遺伝子のde novo転写に依拠する。例えば、老化はmRNA阻害剤、タンパク質合成及び除核によって阻害される。in vitroでの翻訳実験のための老化葉及び青葉由来のmRNAを用いる分子研究は、老化葉中の葉タンパク質産物の変化様式を示す(Thomas他, 1992, J. Plant Physiol., 139, 403-12)。分別スクリーニング及びサブトラクティブ・ハイブリダイゼーション法の使用によって、老化-誘導遺伝子を示す多くのmRNAクローンは、異なった植物、例えば単子葉植物及び双子葉植物、例えばアラビドプシス、トウモロコシ、キュウリ、アスパラガス、トマト、コメ及びジャガイモ、の範囲から同定されてきた。老化の際に特異的に発現する遺伝子の同定は、老化を進めるためのde novo転写要件の確かな証拠である。
【0006】
老化の際に起こる事象は、ネクローシス及び細胞死が起こる前の細胞成分の使用を最大に可能にするように高度に調整されているようである。特異的シグナルの認識及び遺伝子発現のカスケードの誘導を含む複合相互作用は、このプロセスを調節するために起こる。老化関連タンパク質をコードする遺伝子発現はおそらく、一般的タンパク質活性化因子によって調節されている。当該因子は、次にホルモン性シグナルによって直接又は間接に活性化される。開始シグナル又はプロセスの次の調整に関連するメカニズムについてはほとんど知られていない。
【0007】
調整遺伝子発現は、転写及び翻訳に関連する因子、例えば開始因子を必要とする。翻訳開始因子遺伝子は、様々な生物、例えば植物で単離され、及び特徴付けられてきた。翻訳開始因子は、mRNA群が核から出る割合、それらがリボソームと関連する割合を制御することができ、ある程度、特定のmRNAの安定性に影響を及ぼすことができる(Zuk他., EMBO J. 17: 2914-2925 (1998)。実際に、1つのかかる翻訳開始因子は、翻訳活性全体には必要ではなく、翻訳のために核から細胞質へ特定のmRNAサブセットを輸送すると考えられる。Jao他, J. Cell. Biochem. 86: 590-600, (2002); Wang他, J Biol Chem 276: 17541-17549 (2001); Rosorius他, J. Cell Sci., 112,2369-2380 (1999)。この翻訳因子は、真核生物翻訳開始因子5A(eIF-5A)として知られ、アミノ酸ハイプシンを含む唯一のタンパク質である。Park他, J Biol Chem 263: 15264-15269(1988)。
【0008】
真核生物翻訳開始因子5A(eIF-5A)は、約17 KDaの大きさの必須タンパク質因子であり、真核生物のタンパク質合成の開始に関連する。それは、eIF-5Aにのみ存在することが知られている唯一の修飾アミノ酸である、ハイプシン[N-(4-アミノ-2-ヒドロキシブチル)リジン]の存在によって特徴付けられる。ハイプシンは、eIF-5A内の特定のリジン残基の側鎖アミノ基への、ポリアミン、スペルミジン由来のブチルアミノ基の転移及びヒドロキシル化によって、翻訳後に形成される。eIF-5Aの活性化は、スペルミジンのブチルアミン残基のeIF-5Aのリジンへの転移、ハイプシンの形成及びeIF-5Aの活性化を含む。真核生物では、デオキシハイプシン・シンターゼ(DHS)は、eIF-5Aにおける翻訳後合成を介在する。ハイプシン修飾は、メチオニル-プロマイシンアッセイを用いるin vitroでのeIF-5A活性に必須であることが明らかとなっている。
【0009】
ハイプシンは、デオキシハイプシン・シンターゼ(DHH; EC 1.14.99.29)及びデオキシハイプシン・ヒドロキシラーゼ(DHH; EC 1.14.99.29)の作用によって保存的リジン残基の変換によって翻訳後にeIF-5A上に形成される。DHSは、様々な植物種、例えばトマト(受託番号 AF296077)、シロイヌナズナ(AT-DHS; GenBank受託番号 AF296078)、タバコ(Ober and Hartmann, 1999)、カーネーション(GenBank受託番号 AF296079)及びバナナ(GenBank受託番号 AF296080)から単離されるが、DHH遺伝子は明らかになっていない。
【0010】
DHSは、スペルミジン由来のブチルアミン基の付加により、eIF-5Aの保存的リジン残基をデオキシハイプシンに変換する。eIF-5Aのこの中間体は、次いで、DHHによってヒドロキシル化され、ハイプシンになる。Park他, Biol. Signals 6,115- 123 (1997)。デオキシハイプシン及びeIF-5Aハイプシン体はいずれもin vitroでmRNAに結合する。Liu他, Biol Signals 6: 166-174 (1997)。eIF-5A機能は十分に理解されていないが、細胞分割(Park他, J Biol Chem 263: 15264-15269 (1998); Tome他, Biol Signals 6: 150-156, (1997))及び老化(Wang他, J. Biol. Chem. 276 (20): 17541-17549 (2001))を調節する、といういくつかの証拠がある。米国特許第6,538,182号明細書及び米国特許出願第09/725,019号明細書も参照されたい。これらは本明細書に参考として援用される。多数の生物は、1より多いeIF-5Aのアイソフォームを有することが知られており、これは、各アイソフォームが、細胞分割及び老化のようなプロセスに関連する特定の一式のmRNAに対する特異的シャトルである、という仮定と一致するようである。
【0011】
Wang他は、DHS mRNAのレベルの増加が、トマトの果実を柔らかくし、自然のストレス誘導葉老化に関連する、ことを証明した。Wang他, J. Biol. Chem. 276 (20): 17541-17549 (2001)。更に、DHS発現が、構成性プロモーターの調節下に、DHSアンチセンスcDNAフラグメントを誘導することにより、トランスジェニックトマト植物において抑制された場合に、これらのトランスジェニック植物由来のトマト果実は、果実の軟化及び損傷によって明らかなように、劇的に老化が遅れた。米国特許第6,538,182号明細書及び2003年11月29日出願の米国特許出願第09/725,019号明細書を参照されたい。これらは文献として本明細書に援用される。DHSはeIF-5Aを活性化することが知られているので、これらのデータは、ハイプシン修飾eIF-5A(活性eIF-5A)が老化に必要なmRNA種の選択的翻訳によって、老化を調節する、ことが示唆する。これは、構成性プロモーターの制御下でのアンチセンス完全長又は3'UTR cDNAによって、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)(「AT」)内のDHSのダウンレギュレーションを介して更に説明される。シロイヌナズナ DHS (「AT-DHS」)発現のダウンレギュレーション及びeIF-5A活性化にほとんど利用できなくすることにより、老化は約2週間遅れた(米国特許第6,538,182号明細書を参照)。トランスジェニック植物では、老化が遅れるだけでなく、種子収量の増加、ストレス寛容の増加及びバイオマスの増加が観察され、当該植物では、各表現型の程度がDHSダウンレギュレーションの程度によって決定された。核から出る老化転写物のシャトリングに因る特定のeIF-5Aアイソフォームを標的化するために、サザンブロット((Wang他, 2001)及びBLAST分析により明らかなように、トマト及びシロイヌナズナはそのゲノム内にDHSの1コピーを有するに過ぎないので、eIF-5Aの老化特異的アイソフォームは、(3'UTRの)老化-誘導eIF-5Aのアンチセンス構築物により、又は過剰発現遺伝子のダウンレギュレーションに関する植物が本来有する能力を利用することにより(すなわち、センスポリヌクレオチドの使用による過剰発現を起こす)、特定され及び特異的にダウンレギュレートされるに違いない。
【0012】
植物は免疫系を欠くので、ウイルス-コサプレッションを扱う独自の手段を有し、ウイルスRNAの配列-特異的分解を起こす。導入遺伝子が、カリフラワーモザイクウイルス二重35Sプロモーターのような強力な構成性プロモーター下にある場合には、植物へのウイルス転写、及び配列特異的な分解は、導入遺伝子そのものだけでなく、内因性遺伝子でも起こるようである(Fagard及びVaucheret, Annual Review. Plant Physiol. Plant Mol. Biol., June; 51: 167-194 (2000を参照されたい)。コサプレッションは、内因性遺伝子のダウンレギュレーションのためのアンチセンス発現抑制と比べてかなり有効ではないが、同程度に有効である、といういくつかの証拠がある。
【発明の開示】
【0013】
発明の概要
本発明は、真核生物翻訳開始因子5A(「eIF-5A」)のアイソフォーム:老化-誘導eIF-5A;損傷-誘導eIF-5A;及び成長eIF-5A、及びこれらの3因子をコードするポリヌクレオチドを提供する。本発明は、3種のeIF-5Aアイソフォームのアンチセンスポリヌクレオチドを提供する。本発明はまた、3種のeIF-5Aアイソフォームのセンス及びアンチセンスポリヌクレオチドを含む発現ベクターを提供する。本発明はまた、これらの因子の調節(亢進/アップレギュレート又は阻害)を含む方法に関する。
【0014】
本発明はまた、デオキシハイプシン・シンターゼ(「DHS」)及びDHSをコードするポリヌクレオチドに関する。本発明はまた、DHSのアンチセンスポリヌクレオチドを提供する。本発明はまた、DHSのセンス及びアンチセンスポリヌクレオチドを含む発現ベクターを提供する。本発明はまた、DHS発現の調節(亢進/アップレギュレート又は阻害)を含む方法を提供する。
【0015】
詳細な説明
本明細書で用いる用語「植物とは、植物全体、植物の一部分、植物細胞又は植物細胞群を称する。本発明の方法で用いられる植物種は、特に限定されないが、例えば、エチレン-感受性及びエチレン-非感受性植物;果実生産植物、例えば杏子、リンゴ、オレンジ、バナナ、グレープフルーツ、梨、トマト、イチゴ、アボガド等;野菜、例えばニンジン、エンドウ豆、レタス、キャベツ、蕪、ジャガイモ、ブロッコリ、アスパラガス等;花、例えばカーネーション、バラ、菊等;栽培作物植物、例えばトウモロコシ、コメ、大豆、アルファルファ等、及び森林種、例えば落葉樹、針葉樹、常緑樹等、並びに、一般的に、収穫することができかつ本発明のDNA分子を発現できる任意の植物である。それは、半数体、二倍体、四倍体及び多数を含む多数の倍数性レベルの植物を含んでもよい。当該植物は単子葉植物でも又は双子葉植物でもよい。
【0016】
トランスジェニック植物は、本明細書では、いくつかの方法において遺伝子工学的に改変される植物と定義され、異種又は同種の老化-誘導eIF-5A、損傷-誘導eIF-5A、成長eIF-5A又はDHSをそのゲノムに組み込んだ植物に限定されない。改変遺伝子材料は、タンパク質をコードしてもよく、調節又は制御配列を含んでもよく、あるいはアンチセンス配列もしくはセンス配列を含んでもよく、あるいは老化-誘導eIF-5A、損傷-誘導eIF-5A、成長eIF-5A又はDHS DNAもしくはmRNA配列又は植物のその部分に対して、アンチセンス又はセンスである、アンチセンスRNA又はセンスRNAをコードしてもよい。「トランスジェニック」又は「トランスジェニク配列」とは、トランスジェニック植物に組み込まれた外来遺伝子又は部分配列と定義される。
【0017】
本明細書で用いる用語「ハイブリダイゼーション」は、一般的に、プローブ配列及び標的配列の性質に依存する当業者に自明である好適な緊縮条件での、核酸のハイブリダイゼーションを意味するために使用される。ハイブリダイゼーション及び洗浄条件は、当業者に周知であり、インキュベーション時間、温度及び/又は溶液のイオン強度を変更することによる所望の緊縮性に依拠する条件の調整は、容易に行うことができる。例えば、Sambrook, J.他, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd edition, Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, New York, 1989を参照されたい。条件の選択は、ハイブリダイズされる配列の長さ、特にプローブ配列の長さ、核酸のG-C相対量及び許容されるミスマッチの量によって決定される。低度の相補性を有する鎖間の部分的ハイブリダイゼーションが望ましい場合には、低緊縮条件が好ましい。完全又はそれに近い相補性が望まれる場合には、高緊縮条件が好ましい。本明細書で意味する高緊縮条件とは、以下の通りである:ハイブリダイゼーション溶液が、6X S.S.C., 0.01 M EDTA, 1X デンハルト溶液及び0.5% SDSを含む。ハイブリダイゼーションは、クローン化DNAのフラグメントについては、約68℃で約3〜4時間、及び全真核生物DNAについては約12〜約16時間である。低緊縮に関しては、ハイブリダイゼーション温度は、デュプレックス融解温度(TM)未満の約42℃まで下げられる。TMは、G-C含量及びデュプレックス長、及び溶液のイオン強度の機能であることが知られている。
【0018】
本明細書で用いる用語「実質的配列同一性」又は「実質的相同性」は、ヌクレオチド配列又はアミノ酸配列が、他のヌクレオチド又はアミノ酸配列と実質的又は機能的な等価性を示す、ことを示すために使用される。実質的配列同一性又は実質的相同性を有する配列間の構造的又は機能的相違はいずれも些細なことである;すなわち、それらは、所望の出願中に示されるように、機能に対する配列能力に影響を与えないだろう。相違は、例えば異なった種間でのコドン使用における本質的変化に起因する。2以上の異種配列間に相当量の重複又は類似性がある場合に、又は当該配列が長さ又は構造の点で相違する場合でさえ、当該異種配列が類似の物理的性質を示すならば、構造的相違は些細なことであると考えられる。かかる性質は、例えば、規定条件下でのハイブリダイズする能力、又はタンパク質の場合に免疫交差活性、類似の酵素活性等を含む。これらの性質の各々は、当業者によって公知の方法により、容易に決定することができる。
【0019】
加えて、2ヌクレオチド配列は、当該配列が、配列間で少なくとも約70パーセント、より好ましくは80パーセント、最も好ましくは約90パーセントの類似性を有するならば、「実質的に相補的である」。2アミノ酸配列は、ポリペプチドの活性部分間で少なくとも70%の類似性を有するならば、実質的に相同性である。
【0020】
本明細書で用いる語句、DNA又はRNA分子の「対応部分にハイブリダイズする」とは、ハイブリダイズする分子、例えばオリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド又は任意の(センス又はアンチセンス方向の)ヌクレオチド配列が、ほぼ同じ大きさの別の核酸分子の配列を認識しかつハイブリダイズし、及び好適条件下、ハイブリダイゼーションに影響を及ぼすために十分な配列類似性を有する、ことを意味する。例えば、トマトの損傷-誘導eIF-5Aの3'コーディング又は非コーディング配列由来の100ヌクレオチド長アンチセンス分子は、当該2配列間に約70%以上の配列類似性がある限り、3'コーディング又は非コーディング部位、それぞれAT損傷-誘導eIF-5A遺伝子又は任意の他の植物損傷-誘導eIF-5A、内にヌクレオチド配列の約100ヌクレオチド部分を認識し、かつこれにハイブリダイズするだろう。この「対応部分」は、それにハイブリダイズする分子よりも小さくても又は大きくてもよく、例えば20〜30%大又は小、好ましくはたったの約12〜15%大又は小であるので、「対応部分」の大きさは、ハイブリダイゼーションにおけるいくつかのミスマッチを許容するだろう。
【0021】
本明細書で用いる、用語、核酸(又はポリヌクレオチド)の「機能性誘導体」とは、聾老化-誘導eIF-5A、損傷-誘導eIF-5A、成長eIF-5A又はDHSをコードする遺伝子もしくはヌクレオチド配列のフラグメント、変異体、ホモローグ、又はアナローグを意味する。機能性誘導体は、本発明に従ってその有用性を許容する、DNAをコードする老化-誘導eIF-5A、損傷-誘導eIF-5A、成長eIF-5A又はDHSの機能の少なくとも一部分を保持する。かかる機能は、野生型の単離老化-誘導eIF-5A、損傷-誘導eIF-5A、成長eIF-5A又はDHS、又は別の植物由来の実質的に同一DNA、又はそのmRNA転写物を用いる高緊縮条件下でハイブリダイズする能力であって、アンチセンス方向の老化-誘導eIF-5A、損傷-誘導eIF-5A、成長eIF-5A又はDHSが、老化-誘導eIF-5A、損傷-誘導eIF-5A、成長eIF-5A又はDHSの発現を阻害する能力を含んでもよい。
【0022】
遺伝子又はDNA配列の「フラグメント」とは、分子の任意の部分集団、例えばより短鎖のポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドを称する。「変異体」とは、完全遺伝子又はそのフラグメントに実質的に類似する分子、例えば1以上の置換ヌクレオチドを有するヌクレオチド置換変異体であって、特定の遺伝子をハイブリダイズするか又は野生型DNAとハイブリダイズするmRNA転写物をコードする能力を維持するものを称する。「ホモローグ」とは、異なった植物起源もしくは種由来のフラグメント又は変異体配列を称する。「アナローグ」とは、完全分子、変異体又はそれらのフラグメントに実質的に類似の非天然分子、又はこれらに関連する機能性非天然分子を称する。
【0023】
「発現を調節すること」とは、発現が阻害されるか又はアップレギュレートされるかのいずれかを意味する。「発現阻害」とは、標的遺伝子由来のタンパク質及び/mRNA産物、例えば老化-誘導eIF-5A、損傷-誘導eIF-5A、成長eIF-5A又はDHS、のレベルが皆無であること又は検出し得る減少を意味する。「アップレギュレーション」又は「過剰発現」とは、標的遺伝子由来のタンパク質及び/mRNA産物、例えば老化-誘導eIF-5A、損傷-誘導eIF-5A、成長eIF-5A又はDHS、のレベルが検出し得る増加を意味する。
【0024】
本発明の単離ポリヌクレオチドは、天然資源から単離される、組換え的に産生される又は合成ポリヌクレオチドを含む。
【0025】
本発明の単離ペプチドは、天然資源から単離される、組換え的に産生される又は合成ペプチド含む。本発明の単離タンパク質は、融合タンパク質、好ましくはマルトース結合タンパク質と融合したeIF-5A又はDHSを含む、として発現される老化-誘導eIF-5A、損傷-誘導eIF-5A、成長eIF-5A又はDHSを含む。
【0026】
本発明の老化-誘導eIF-5A、損傷-誘導eIF-5A、成長eIF-5A又はDHSペプチドの「機能性誘導体」は、老化-誘導eIF-5A、損傷-誘導eIF-5A、成長eIF-5A又はDHSのフラグメント、変異体、アナローグ又は化学誘導体を含む。それらは、活性、又は3種のeIF-5Aアイソフォーム又はDHSに特異的な抗体との免疫交差反応性の少なくとも一部を保持する。eIF-5A又はDHSペプチドのフラグメントは、分子の任意のサブセットを意味する。変異体ペプチドは、直接的化学合成、例えば当該分野で公知の方法を用いて製造することができる。eIF-5A又はDHSの化学誘導体は、通常、ペプチド又はペプチドフラグメントの一部分でない追加の化学部分を含む。改変は、ペプチドの標的アミノ酸残基を有機誘導剤と反応させることによってペプチド又はそのフラグメントに導入することができる。当該有機誘導剤は、選択側鎖又は末端残基と反応することができる。
【0027】
本発明に従うeIF-5A又はDHSは、本発明のヌクレオチド配列で(センス方向に)形質転換された細胞を培養し、細胞にタンパク質を合成させ、次いで使用するクローニングプロトコールによって、培地又は細胞抽出物から遊離のタンパク質又は融合タンパク質としてタンパク質を単離することによって製造することができる。あるいは、タンパク質は無細胞系で生産することができる。Ranu他, Meth. Enzymol., 60: 459-484, (1979)。
【0028】
プラスミドDNAお調製、制限酵素消化、DNAのアガロースゲル電気泳動、タンパク質のポリアクリルアミドゲル電気泳動、PCR、RT-PCR、サザンブロット、ノーザンブロット、DNAライゲーション及び細菌形質転換は、当該分野で周知の慣用的方法を用いて実行した。例えば、Sambrook, J.他, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed., Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989を参照されたい。核酸ハイブリダイゼーション法は、Sambrookにより開示される。
【0029】
本発明に従う組換えヌクレオチド分子の構築方法は、Sambrook他, In: Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed., Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, N. Y. (1989)及びManiatis, T.他, Molecular mechanisms in the Control of Gene expression, eds., Nierlich他 eds., Acad. Press, N. Y. (1976)に開示されている。これらはいずれも参考として本明細書に援用される。
【0030】
本発明に従うトランスジェニック植物は、当該分野で公知の任意の植物形質転換法を用いるDNA形質転換によって生産することができる。植物形質転換法は、アグロバクテリウム ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)による植物、組織又は細胞の直接共栽培、又は直接感染(Miki他, Meth. in Plant Mol. Biol. and Biotechnology, (1993), p.67-88); プロトプラスト又はプロトプラスト取り込みへの直接遺伝子導入(Paszkowski他, EMBO J., 12: 2717 (1984); エレクトロポレーション(Fromm他, Nature, 319: 719(1986); 粒子照射(Klein他, BioTechnology, 6: 559-563 (1988); 苗及び植物の分裂組織への注入(De LaPena,他, Nature, 325: 274-276 (1987); 培養細胞及び組織のプロトプラストへの注入(Reich他, BioTechnology, 4: 1001-1004 (1986))を含む。
【0031】
一般的に、完全植物は形質転換工程から得られる。植物は、プロトプラスト、カルス、組織部分、外植片等から再生される。3種のeIF-5Aアイソフォーム又はDHSの発現が改変される、再生トランスジェニック植物から得られる植物部分、例えば葉、花、果実、種子等は、本明細書で用いる「植物」の定義に含まれる。再生植物の子孫、変異体及び突然変異体もまた、「植物」の定義に含まれる。
【0032】
eIF-5A概略
本発明は、3種のeIF-5Aアイソフォーム;老化-誘導eIF-5A;損傷-誘導eIF-5A;及び成長eIF-5Aに関する。本発明は、様々な植物種から単離された様々なeIF-5Aアイソフォーム、及び様々なeIF-5Aアイソフォームの単離方法を提供する。本発明はまた、本発明のこれらの様々なeIF-5Aアイソフォームをコードするポリヌクレオチドを提供する。本発明はまた、eIF-5Aアイソフォームのアンチセンスポリヌクレオチド、及びかかるポリヌクレオチド又はアンチセンスポリヌクレオチドを含む発現ベクターを提供する。いくつかの実施態様では、植物を形質転換するために、eIF-5Aアイソフォームのアンチセンスポリヌクレオチドを含む発現ベクターの使用によって内因性eIF-5Aの発現を阻害する方法を提供する。いくつかの実施態様では、センス方向にeIF-5Aアイソフォームのポリヌクレオチドを含む発現ベクターを提供することによって内因性eIF-5Aアイソフォームをアップレギュレートする方法を提供する。
【0033】
異種のアイソフォームは、植物のライフステージ又は植物の状態によって自然にアップ又はダウンレギュレートされる。例えば、老化組織において、老化-誘導eIF-5Aアイソフォームはアップレギュレートされる。老化-誘導eIF-5Aは、翻訳のための核から細胞質へのmRNAの特定のサブセット(老化経路に関連するmRNA)を輸送することによって、植物又は植物組織の老化に更に参加すると考えられる。老化-誘導eIF-5Aの発現をダウンレギュレート又は阻害することによって、老化は植物及び/又は植物組織で遅らせることができる。老化の遅れは、非形質転換又は野生型植物に比べて、より大きなバイオマス、果物の賞味期間の延長、花の有効期間の延長、種子の大きさの拡大及び種子収量の増大を有する形質転換/トランスジェニック植物に明確に現れる。
【0034】
植物及び/又は植物組織が損傷事象、例えば冷却、脱水又は機械的応力に曝露される場合に、損傷-誘導eIF-5Aはアップレギュレートされる。損傷-誘導eIF-5Aの発現を調節することによって、非形質転換又は野生型植物における毒性損傷に対する抵抗性に比べて、当該植物では、病原体進入から起こる毒性損傷に対する抵抗性の増大が認められる。
【0035】
植物が成長期にある場合には、成長eIF-5Aアイソフォームはアップレギュレートされる。成長eIF-5Aをアップレギュレートすることにより、得られたトランスジェニック植物は、種子の大きさが増し、バイオマスが増え、及び種子収量が増加する。
【0036】
図1は、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)(「At」)から単離された3種のeIF-5Aアイソフォームのアラインメントを示す。図2は、3種アイソフォームのコーディング領域のアラインメントを示す。図3〜5は、3種のアイソフォームのゲノム配列を提供する。
【0037】
ウェスタンブロット(図8)は、異なった植物ライフステージにおける3種のアイソフォーム内の発現を示す。図8は、葉年齢が増えるにつれて、老化-誘導因子eIF-5Aアイソフォームの量が増すことを示す。それは、閉じた花のつぼみ、長角果又は茎では見られないが、養分吸収種子で見られる。養分吸収種子では、子葉組織及び成長胚が存在する。従って、胚が成長するにつれて子葉組織が老化するので、老化-誘導eIF-5A4は養分吸収種子に存在する。成長eIF-5Aは養分吸収種子で見られる。これは、胚がそこでは活発に成長するからである。損傷-誘導eIF-5Aは、長角果、種子及び茎で見られる。これらの組織の収穫がいくらかの損傷を引き起こすからである。
【0038】
異種アイソフォーム間及び異種植物種のアイソフォーム間では、高度の相同性(約85%)が存在するが、異種アイソフォームは3'UTR内では互いに変化する。アイソフォーム間及び種間で高度に保存される1領域は、ハイプシン部位であると考えられる領域である。当該ハイプシン部位は、次のアミノ酸であると考えられる:5'-CKVVEVSTSKTGKHGHAKCHFV-3' (配列番号_)。様々なeIF-5Aアイソフォーム及び様々な植物種のアラインメントについては、図85を参照されたい。
【0039】
老化-誘導eIF-5A
老化-誘導eIF-5Aは老化組織で発現する。本発明は、シロイヌナズナ、トマト及びカーネーション植物における老化-誘導eIF-5Aの発見に関する。老化-誘導eIF-5Aは、老化組織でアップレギュレートされ、植物及び植物組織における形態的変化に関連する老化誘導に関連する。植物における老化-誘導eIF-5Aの発現阻害は、植物における老化及び老化関連プロセスを変更するために用いることができる。ダウンレギュレーションは、アンチセンス構築物の使用又はセンス構築物の使用によって起こり、コサプレッションを達成する。老化-誘導eIF-5Aの発現阻害は、トランスジェニック植物において様々な形態的変化、例えば、植物バイオマスの増加、果物の軟化又は腐敗の遅れ、切り花又は植物組織の褐変の遅れ、例えばレタスの葉、種子収量の増加及び種子サイズの増大をもたらす。
【0040】
従って、本発明の1実施態様は、シロイヌナズナから単離された老化-誘導eIF-5Aである。アミノ酸配列は図59及び配列番号_で表される。アミノ酸をコードするポリヌクレオチドは図59及び配列番号_で表される。
【0041】
本発明の別の実施態様は、トマトから単離された老化-誘導eIF-5Aである。アミノ酸配列は、図57及び86及び配列番号_で表される。アミノ酸をコードするポリヌクレオチドは、図59及び86及び配列番号_で表される。
【0042】
本発明の別の実施態様は、カーネーションから単離された老化-誘導eIF-5Aである。アミノ酸配列は、図58及び配列番号_で表される。アミノ酸をコードするポリヌクレオチドは、図58及び配列番号_で表される。
【0043】
本発明はまた、上で列挙した配列番号と90%の配列相同性を有し、列挙配列番号の相補性に対する高緊縮条件下でハイブリダイズし、及び老化-誘導eIF-5Aをコードする、老化-誘導eIF-5Aの単離ポリヌクレオチドを提供する。
【0044】
本発明はまた、老化-誘導eIF-5Aのアンチセンスポリヌクレオチドを提供する。当該アンチセンスポリヌクレオチドは、発現を阻害することができる限り、任意の長さでよい。いくつかの実施態様では、アンチセンスポリヌクレオチドは、完全長コーディング配列を含み、他の特に好ましい実施態様では、異種eIF-5Aアイソフォームは3'UTRでアイソフォーム内に高度の変化を有するので、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、3'UTRで方向付けられる。いくつかの実施態様では、アンチセンスポリオリゴヌクレオチドは、5'-非コーディング配列を対象とする。主に5'-非コーディング配列に相補的なアンチセンスポリオリゴヌクレオチドは、転写因子をコーディングする遺伝子発現の有効な阻害剤であることが知られている。Branch, M. A., Molec. Cell Biol., 13: 4284-4290 (1993)。
【0045】
本明細書及びクレームで用いる用語「老化-誘導eIF-5Aのアンチセンスポリヌクレオチド」は、列挙配列番号の相補性について100%相同性を有するアンチセンスポリヌクレオチドだけでなく、機能性変異体であるアンチセンスポリヌクレオチドを含む。機能性変異体は、老化-誘導eIF-5Aの対応部分と少なくとも80%配列相同性を有し、及び当該対応部分と高緊縮条件下でハイブリダイズする天然又は人工の変異体である。更に、変異体は、本発明によって意図される機能を有していなければならない。その機能により、発現ベクターに導入され、かかるベクターが少なくとも1つの植物細胞のゲノムに組み込まれる場合に、内因性老化-誘導eIF-5Aの発現を調節することができる。当業者には理解できることであるが、転写物に結合するために及び遺伝子の発現を抑制又は阻害するためにアンチセンスポリヌクレオチドの能力に悪影響を及ぼさない配列内で実質的変化が起こり得る。従って、用語「アンチセンスポリヌクレオチド」は、転写物に実質的に相補的であり、及び転写物に特異的に結合しかつ遺伝子発現を阻害又は抑制する能力をなお維持するポリヌクレオチドを包含する。アンチセンスの一般的考察に関しては、Alberts他, Molecular Biology of the Cell, 2nd ed., Garland Publishing, Inc. New York, New York, 1989 (特に、pages 195-196, 本明細書に文献として援用する)を参照されたい。
【0046】
本発明の1実施態様は、(上記の本発明の)老化-誘導eIF-5Aポリヌクレオチド又は(上記の本発明の)老化-誘導eIF-5Aのアンチセンスポリヌクレオチドのいずれかを含む発現ベクターを提供する。ベクターはプラスミドであり、好ましくは植物細胞又は細菌細胞中のベクター上でコードされる遺伝子を複製及び発現するために、当該分野で公知のウイルスベクターでも又は他のベクターでもよい。ベクターは、老化-誘導eIF-5A RNAの所望のアンチセンスポリヌクレオチドを産生するために転写できるように、染色体状に(chromosomally)結合する。かかるプラスミド又はウイルスベクターは、当該分野で標準的な組換えDNA法により構築することができる。例えば、ベクターは、原核生物宿主内の複製系機能及び本発明に従うアンチセンスポリヌクレオチドを含むプラスミドベクターでもよい。あるいは、ベクターは、アグロバクテリウム内の複製系機能及び本発明に従うアンチセンスポリヌクレオチドを含むプラスミドでもよい。アグロバクテリウム内で複製できるプラスミドは、当該分野で周知である。Miki他, Procedures for Introducing Foreign DNA Into Plants, Methods in Plant Molecular Biology and Biotechnology, Eds. B. R. Glick and J. E. Thompson. CRC Press (1993), PP. 67-83を参照されたい。
【0047】
ベクターは、ポリヌクレオチドに作動可能に結合したチ調節配列を更に含み、このようなポリヌクレオチドを発現させることができる。調節配列は、形質転換植物細胞内にプロモーター機能を含んでもよい。プロモーターは、誘導性、構成性又は組織特異的でもよい。かかるプロモーターは、当業者に公知である。
【0048】
センス又はアンチセンス遺伝子転写物を生成するために、本発明のeIF-5A又はDHSの種々のアイソフォームとの組み合わせに有用なプロモーター調節要素は、一般的に任意の植物プロモーター、より特には、構成性プロモーター、例えばイチジク瘤モザイクウイルス35Sプロモーター、カリフラワーモザイクウイルスプロモーター、CaMV35Sプロモーター、又はMASプロモーター、又は組織-特異的又は老化-誘導プロモーター、例えばカーネーション花びらGST1プロモーター又はアラビドプシスSAG12プロモーターを含む(例えば、J. C. Palaqui他, Plant Physiol., 112: 1447-1456 (1996); Morton他, Molecular Breeding, 1: 123-132(1995); Fobert他, Plant Journal, 6: 567-577 (1994);及びGan他, Plant Physiol., 113: 313 (1997)を参照されたい,これらは本明細書に文献として援用される)。好ましくは、本発明で用いられるプロモーターは、構成性プロモーターである。SAG12プロモーターは、老化-誘導eIF-5Aのアンチセンスポリヌクレオチドを用いる場合に好ましい。実施例23を参照されたい。
【0049】
本発明に有用なプロモーター由来の発現レベルは、慣用の発現系を用いて、例えば、レポーター遺伝子産物、例えばプロモーター/レポーター遺伝子が導入されるトランスジェニック植物の葉、花、果実又は他の組織の抽出物中のタンパク質又はmRNA、のレベルを測定することによって試験できる。具体的レポーター遺伝子は、GUSである。
【0050】
場合により、調節配列は、5'非-翻訳リーダー配列又はポリアデニル化シグナル又はエンハンサーを含む。本発明は、当業者に公知の他の調節配列を更に考虜する。
【0051】
本発明はまた、センス又はアンチセンス方向に老化-誘導eIF-5Aのポリヌクレオチド、トランスジェニック苗又はかかる細胞から生じる成熟トランスジェニック植物、又は植物部分、例えばトランスジェニック植物の花、果実、葉、種子等、を含む本発明のベクター又はベクターの組み合わせによって形質転換されるトランスジェニック植物細胞を提供する。
【0052】
本発明はまた、内因性老化-誘導eIF-5Aの発現の阻害方法を提供する。これらの方法は、少なくとも1つの植物細胞ゲノムへの組み込み、及び老化-誘導eIF-5Aのアンチセンスポリヌクレオチドを含む本発明の発現ベクターを含む。老化-誘導eIF-5Aのアンチセンスポリヌクレオチドは転写され、内因性老化-誘導eIF-5Aの発現を阻害する。
【0053】
内因性老化-誘導eIF-5Aの発現を阻害する別の方法では、本発明の老化-誘導eIF-5Aポリヌクレオチドを含むセンス方向に発現ベクターは、少なくとも1つの植物細胞ゲノムに組み込まれる。老化-誘導eIF-5Aのポリヌクレオチドは転写され、外因性老化-誘導eIF-5Aの得られた共発現は、内因性老化-誘導eIF-5Aの発現をダウンレギュレーションし、かつ阻害する。
【0054】
損傷-誘導eIF-5A
損傷-誘導eIF-5Aは、損傷組織中で発現する。本発明は、シロイヌナズナ及びトマト中の損傷-誘導eIF-5Aの発見に関する。本発明者らは、このアイソフォームが植物への損傷事象中にアップレギュレートされることを、発見した。アップレギュレーションは、転写レベルで起こる。更に、それは、毒性感染に続いてタンパク質レベルで専らアップレギュレートされる。次いで、細胞死を引き起こし、損傷-誘導eIF-5Aは病原体の進入事象中に細胞死を引き起こす、と推定される。図9は、老化-誘導eIF-5Aが、対照植物、モック処理植物、Avr処理植物及びVir処理植物内に一定量で残存する(植物が4週齢の場合に検出される)、ことを示す。しかし、損傷-誘導eIF-5Aは、Vir処理植物内でアップレギュレートされる。
【0055】
図10は、植物のレベルが止血剤で損傷された実験を示す。シロイヌナズナ(「At」)内の老化-損傷eIF-5A、損傷-誘導eIF-5A及び成長eIF-5Aのレベルを、損傷後直ちに、損傷後1時間及び9時間に測定した。ノーザンブロットは、老化-誘導eIF-5Aが一定量を維持することを示すが、損傷-誘導eIF-5Aの発現レベルには顕著な増加は認められなかった。成長eIF-5Aの発現レベルは、損傷事象中には減少し始めた。
【0056】
本発明者らは、損傷-誘導eIF-5Aがアップレギュレートされ、損傷事象を植物に強いる場合に(例えば、苗木が移植される場合に起こる)、この損傷が成長eIF-5Aの強力な抑制を引き起こす、ことを証明した。図14〜17を参照されたい。得られた植物は、極度に発育不良である。しかし、種子がカナマイシン中で洗浄され、土に直接植えられる場合には(移植の必要はなく、従って移植損傷は起こらない)、種子は標準サイズの植物に発育する。
【0057】
センス損傷-誘導構築物(図15)が全て取り込まれた試験植物間に見られる相違は、損傷-誘導eIF-5Aの発現の様々な程度に起因する。当業者には明らかであるが、遺伝子が導入される(センス又はアンチセンス)場合に、様々な程度の遺伝子アップレギュレーション又はダウンレギュレーションのいずれかを受ける。相違の程度は、遺伝子がどこに取り込まれ、多くのコピーがどのようにして取り込まれるかに依拠する。発現程度を変化させることにより、当業者は、様々な表現型を遺伝子発現に関連付けることができる。所望の表現型が一旦産生されると、所望の子孫を作製するために、植物を選定し、使用することができる。従って、図15では、損傷-誘導eIF-5Aについて強力にアップレギュレートされた植物は、損傷事象後に辛うじて成長したが(植物タグ10)、若干成長した(しかし、野生型程良好ではない)植物(植物タグ4)は、強力にはアップレギュレートされなかった。
【0058】
本発明の1実施態様は、シロイヌナズナから単離された由来の損傷-誘導eIF-5Aである。アミノ酸配列は図41及び配列番号_で提供される。当該アミノ酸をコードするポリヌクレオチドは、図41及び配列番号_で提供される。
【0059】
本発明の別の実施態様は、トマトから単離された損傷-誘導eIF-5Aである。アミノ酸配列は103及び配列番号_で提供される。当該アミノ酸をコードするポリヌクレオチドは、図103及び配列番号_で提供される。
【0060】
本発明はまた、損傷-誘導eIF-5Aの単離ポリヌクレオチドを提供する。このポリヌクレオチドは、上記配列番号と90%の配列相同性を有し、高緊縮条件下で上記配列番号の補体(complement)にハイブリダイズし、損傷-誘導eIF-5Aをコードする。
【0061】
本発明はまた、損傷-誘導eIF-5Aのアンチセンスポリヌクレオチドを提供する。アンチセンスポリヌクレオチドは、発現を阻害することができればどのような長さであってもよい。いくつかの実施態様では、アンチセンスポリヌクレオチドは、完全長コーディング配列を含み、eIF-5Aの種々のアイソファームは、3'UTRのアイソフォーム内に高度の変化eIF-5Aを有するため、他の好ましい実施態様では、当該アンチセンスオリゴヌクレオチドは、3'UTR方向を標的とする。いくつかの実施態様では、アンチセンスポリヌクレオチドは、5'-非コーディング配列を対象とする。5'-非コーディング配列に主に相補的なアンチセンスポリヌクレオチドは、転写因子をコードする遺伝子発現の有効な阻害剤として知られている。Branch, M. A., Molec. Cell Biol., 13: 4284-4290 (1993)。
【0062】
本明細書及び本クレームで用いる用語「損傷-誘導eIF-5Aのアンチセンスポリヌクレオチド」は、上記配列番号の補体と100%の相同性を共有するアンチセンスポリヌクレオチドのみでなく、機能性変異体であるアンチセンスポリヌクレオチドを包含する。機能性変異体は、上記のポリヌクレオチドである。変異体は、本発明によって意図されるように、発現ベクターに導入される場合に、かかるベクターが少なくとも1つの植物細胞ゲノムに組み込まれるような内因性損傷-誘導eIF-5Aの発現を調節することができる。
【0063】
本発明の1実施態様は、(上記のように本発明の)損傷-誘導eIF-5Aポリヌクレオチド又は(上記のように本発明の)損傷-誘導eIF-5Aのアンチセンスポリヌクレオチドのいずれかを含む発現ベクターを提供する。ベクターは上記の通りである。本発明はまた、センスもしくはアンチセンス方向の損傷-誘導eIF-5Aのポリヌクレオチド、トランスジェニック苗木もしくはかかる細胞から得られる成熟トランスジェニック植物、又は植物部分、例えばトランスジェニック植物の花、果実、葉、種子等を含む、本発明のベクター又はベクターの組み合わせによって形質転換されたトランスジェニック植物細胞を提供する。
【0064】
本発明はまた、内因性損傷-誘導eIF-5Aの発現を阻害する方法を提供する。これらの方法は、少なくとも1つの植物細胞ゲノムへの結合、損傷-誘導eIF-5Aのアンチセンスポリヌクレオチドを含む本発明の発現ベクターを含む。損傷-誘導eIF-5Aのアンチセンスポリヌクレオチドは、転写され、内因性損傷-誘導eIF-5Aの発現を阻害する。
【0065】
内因性損傷-誘導eIF-5Aの発現の別の阻害方法では、センス方向の本発明の損傷-誘導eIF-5Aポリヌクレオチドを含む発現ベクターは、少なくとも1つの植物細胞ゲノム内に結合される。損傷-誘導eIF-5Aのポリヌクレオチドは転写され、その結果、外因性損傷-誘導eIF-5Aの共発現は、内因性損傷-誘導eIF-5Aのダウンレギュレーション又は阻害を引き起こす。
【0066】
内因性eIF-5Aの発現を阻害することにより、得られたトランスジェニック植物は、病原体進入から起こる毒性損傷に対する抵抗性を増す。実施例16及び図43と44を参照されたい。
【0067】
成長eIF-5A
本発明はまた、成長eIF-5Aに関する。成長eIF-5Aは成長組織内に発現される。eIF-5Aがセンス方向に成長eIF-5Aのポリヌクレオチドでアップレギュレートされる場合に、3種の表現型変化が注目される:種子サイズの増大、バイオマスの増加及び種子収量の増加。
【0068】
本発明の1実施態様は、シロイヌナズナから単離された成長eIF-5Aである。アミノ酸配列は、図1及び配列番号_で提供される。当該アミノ酸をコードするポリヌクレオチドは、図2及び配列番号_で提供される。
【0069】
本発明の別の実施態様は、トマトから単離された成長eIF-5Aである。アミノ酸配列は、図101及び配列番号_で提供される。当該アミノ酸をコードするポリヌクレオチドは、図101及び配列番号_で提供される。
【0070】
本発明の別の実施態様は、キャノーラから単離された成長eIF-5Aである。アミノ酸配列は、図95及び配列番号_で提供される。当該アミノ酸をコードするポリヌクレオチドは、図95及び配列番号_で提供される。
【0071】
本発明の別の実施態様は、上記配列番号と90%の配列相同性を有し、高緊縮条件下で上記配列番号の補体にハイブリダイズし、及び成長eIF-5Aをコードする、成長eIF-5Aの単離ポリヌクレオチドを提供する。
【0072】
本発明はまた、成長eIF-5Aのアンチセンスポリヌクレオチドを提供する。アンチセンスポリヌクレオチドは、発現を阻害することができれば、どのような長さでもよい。いくつかの実施態様では、アンチセンスポリヌクレオチドは、完全長コーディング配列を含み、eIF-5Aの種々のアイソファームは、3'UTRにアイソフォーム内に高度の変化eIF-5Aを有するため、他の好ましい実施態様では、当該アンチセンスオリゴヌクレオチドは、3'UTR方向を標的とする。いくつかの実施態様では、アンチセンスポリヌクレオチドは、5'-非コーディング配列を対象とする。5'-非コーディング配列に主に相補的なアンチセンスポリヌクレオチドは、転写因子をコードする遺伝子発現の有効な阻害剤として知られている。Branch, M. A., Molec. Cell Biol., 13: 4284-4290 (1993)。
【0073】
本明細書及び本クレームで用いる用語「成長eIF-5Aのアンチセンスポリヌクレオチド」は、上記配列番号の補体と100%の相同性を共有するアンチセンスポリヌクレオチドのみでなく、機能性変異体であるアンチセンスポリヌクレオチドを包含する。機能性変異体は、上記のポリヌクレオチドである。変異体は、本発明によって意図されるように、発現ベクターに導入される場合に、かかるベクターが少なくとも1つの植物細胞ゲノムに組み込まれるような内因性成長eIF-5Aの発現を調節することができる。
【0074】
本発明の1実施態様は、(上記のように本発明の)成長eIF-5Aポリヌクレオチド又は(上記のように本発明の)成長eIF-5Aのアンチセンスポリヌクレオチドのいずれかを含む発現ベクターを提供する。ベクターは上記の通りである。
【0075】
本発明はまた、センスもしくはアンチセンス方向の成長eIF-5Aのポリヌクレオチド、トランスジェニック苗木もしくはかかる細胞から得られる成熟トランスジェニック植物、又は植物部分、例えばトランスジェニック植物の花、果実、葉、種子等を含む、本発明のベクター又はベクターの組み合わせによって形質転換されたトランスジェニック植物細胞を提供する。
【0076】
本発明はまた、内因性成長eIF-5Aの発現を阻害する方法を提供する。これらの方法は、少なくとも1つの植物細胞ゲノムへの結合、成長eIF-5Aのアンチセンスポリヌクレオチドを含む本発明の発現ベクターを含む。成長eIF-5Aのアンチセンスポリヌクレオチドは、転写され、内因性成長eIF-5Aの発現を阻害する。
【0077】
内因性成長eIF-5Aの発現の別の阻害方法では、センス方向に本発明の成長eIF-5Aポリヌクレオチドを含む発現ベクターは、少なくとも1つの植物細胞ゲノム内に結合される。成長eIF-5Aのポリヌクレオチドは転写され、その結果、外因性成長eIF-5Aの共発現は、非トランスジェニック細胞よりも当該細胞に成長eIF-5Aを多く発現させる。
【0078】
図19は、成長eIF-5Aに関してアップレギュレートされた植物が対照植物よりも多くのバイオマスを有する、ことを示す。成長eIF-5Aは、シロイヌナズナ植物にセンス方向に挿入され、成長eIF-5Aの発現をアップレギュレートする。16母系統(1〜16)をアッセイし、成長eIF-5A発現の一般的レベルを決定した。各母系統から、8姉妹系統を生産した(A〜H)。各母系統中の成長eIF-5の発現レベルを試験し、結果を図20に示す。様々な発現程度が母系統中に注目される。例えば、系統2及び10は、非常に高発現レベルを有するが、系統11及び16は非常に低発現レベルを有する。
【0079】
図21及び22は、系統1及び2由来の植物を示す。これらの植物は、対照植物よりも大きい。成長eIF-5Aが細胞分割アイソフォームであり、それが構成的に発現されるため、細胞分割が増加する。植物が成長モードに固定され、及び老化経路にスウィッチが入らないため、老化は減少する。
【0080】
図23及び24は、成長eIF-5Aの中程度の発現レベルを有した系統由来を示す。これらは、葉がより大きく、及び老化が遅れる。
【0081】
図25及び26は、低レベルのアップレギュレーションを有した系統由来を示す。これらは、葉が大きく、ロゼットが大きい。
【0082】
図27及び28は、(遺伝子の共発現に起因する)アップレギュレーションがない系統由来を示す。植物はカナマイシン耐性であるので、培地上で植物を生育させるため、遺伝子が存在しなければならない。老化-誘導eIF-5Aも共発現し、それによって大きさが増加するようである。
【0083】
バイオマスの増加に加えて、成長eIF-5Aをアップレギュレートする植物中では種子サイズが大きくなる。全ての系統の種子サイズを測定した。最も高レベルのeIF-5A発現を有する系統では、種子サイズで3倍以上の増加が見られる。これは、成長eIF-5Aのアップレギュレーションが細胞分割を増加させ、それによって種子サイズを増加させるために、起こる。上の例での(シロイヌナズナ由来の)成長eIF-5Aは、構成的に発現する、すなわち一般的プロモーターの使用によって植物内の至るところに発現する。反対に、組織特異的プロモーターを用いることにより、特定の組織内のアップレギュレーションを方向付けることができる。例えば、種子特異的プロモーターを用いることにより、成長eIF-5Aは、種子内でアップレギュレートされ、葉を通常に成長させることができるのみならず、種子量の生産を増加させることができる。従って、特異的プロモーターを用いて、成長eIF-5Aは、所望の植物部分内でアップレギュレートし、所望の表現型を得ることができる。
【0084】
成長eIF-5Aをアップレギュレートすることにより、3表現型はバイオマスを増加させ、種子サイズを大きくさせるが、全ての3表現型は、同時には(又は同一の植物には)存在しない。例えば、植物が種子サイズの増加を示すならば、より小さな植物が存在するだろう。最も高い成長eIF-5Aのアップレギュレーションを有する植物系統では、最大種子が生産されたが、植物はより小さかった。これは、植物全体を通して大規模な細胞分割が進行し、細胞拡大(より大きな葉を必要とする)を犠牲にしたからであった。成長eIF-5発現の低レベルアップレギュレーションでは、種子に影響を及ぼすことなく、葉に対する影響(大きくする)が見られる。従って、当業者は、組織特異的発現を使用し、所望の表現型を選定することができる。例えば、木質部特異的プロモーター下に、成長eIF-5Aをおき、木質部の生産量を増加させることができる。従って、任意の所望のプロモーターが所望の組織-特異的アップレギュレーションを達成するため用いることができる。
【0085】
DHS
DHSは、eIF-5Aの活性化に必要であり、老化組織中に発現される。本発明は、シロイヌナズナ、トマト。カーネーション、キャノーラ、レタス、アルファルファ、バナナ、ハコヤナギ及びコタマカビ(mycosphaerella)から単離されたDHSを提供する。
【0086】
従って、本発明の1実施態様は、シロイヌナズナから単離されたDHSである。アミノ酸配列は、図46及び配列番号_で提供される。そのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドは、図46及び配列番号_で提供される。
【0087】
本発明の別の実施態様は、トマトから単離されたDHSである。そのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドは、図45AとB及び配列番号_で提供される。そのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドは、図45AとB及び配列番号_で提供される。
【0088】
本発明の別の実施態様は、カーネーションから単離されたDHSである。そのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドは、図54及び配列番号_で提供される。そのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドは、図54及び配列番号_で提供される。
【0089】
本発明の別の実施態様は、キャノーラから単離されたDHSである。そのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドは、図97及び配列番号_で提供される。そのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドは、図97及び配列番号_で提供される。
【0090】
本発明の別の実施態様は、レタスから単離されたDHSである。図105は、レタスDHSポリヌクレオチド配列の一部分を提供する。
【0091】
本発明の別の実施態様は、アルファルファから単離されたDHSである。そのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドは、図107AとB及び配列番号_で提供される。そのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドは、図107AとB及び配列番号_で提供される。
【0092】
本発明の別の実施態様は、バナナから単離されたDHSである。そのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドは、図108AとB及び配列番号_で提供される。そのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドは、図108AとB及び配列番号_で提供される。
【0093】
本発明の別の実施態様は、ハコヤナギから単離されたDHSである。そのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドは、図109AとB及び配列番号_で提供される。そのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドは、図109AとB及び配列番号_で提供される。
【0094】
本発明の別の実施態様は、コタマカビ(mycosphaerella)から単離されたDHSである。図110は、レタスDHSポリヌクレオチド配列の一部分を提供する。
【0095】
本発明はまた、上記配列番号と90%の配列相同性を有し、高緊縮条件下で上記配列番号の補体とハイブリダイズし、及びDHSをコードする、単離ポリヌクレオチドDHSを提供する。
【0096】
本発明はまた、DHSのアンチセンスポリヌクレオチドを提供する。アンチセンスポリヌクレオチドは、発現を阻害することができる限り、いずれの長さでもよい。いくつかの実施態様では、アンチセンスポリヌクレオチドは、3'UTR又は5'-非コーディング配列を対象とした完全長コーディング配列を含む。主に5'-非コーディング配列に相補的なアンチセンスポリヌクレオチドは、転写因子をコードする遺伝子発現の有効な阻害剤であることが知られている。Branch, M. A., Molec. Cell Biol., 13: 4284-4290 (1993)。
【0097】
本明細書及び本クレームで用いる用語「DHSのアンチセンスポリヌクレオチド」は、上記配列番号の補体と100%の相同性を共有するアンチセンスポリヌクレオチドのみでなく、機能性変異体であるアンチセンスポリヌクレオチドを包含する。機能性変異体は、上記のポリヌクレオチドである。変異体は、本発明によって意図されるように、発現ベクターに導入される場合に、かかるベクターが少なくとも1つの植物細胞ゲノムに組み込まれるような内因性DHSの発現を調節することができる。
【0098】
本発明の1実施態様は、(上記のように本発明の)DHSポリヌクレオチド又は(上記のように本発明の)DHSのアンチセンスポリヌクレオチドのいずれかを含む発現ベクターを提供する。ベクターは上記の通りである。
【0099】
本発明はまた、センスもしくはアンチセンス方向のDHSのポリヌクレオチド、トランスジェニック苗木もしくはかかる細胞から得られる成熟トランスジェニック植物、又は植物部分、例えばトランスジェニック植物の花、果実、葉、種子等を含む、本発明のベクター又はベクターの組み合わせによって形質転換されたトランスジェニック植物細胞を提供する。
【0100】
本発明はまた、内因性DHAの発現を阻害する方法を提供する。これらの方法は、少なくとも1つの植物細胞ゲノムへの結合、DHAのアンチセンスポリヌクレオチドを含む本発明の発現ベクターを含む。DHSのアンチセンスポリヌクレオチドは、転写され、内因性DHSの発現を阻害する。
【0101】
内因性DHSの発現の別の阻害方法では、センス方向に本発明のDHSポリヌクレオチドを含む発現ベクターは、少なくとも1つの植物細胞ゲノム内に結合される。DHSのポリヌクレオチドは転写され、その結果、外因性DHSの共発現は、内因性DHSのダウンレギュレーション及び発現阻害を引き起こす。
【0102】
内因性DHSの発現を阻害することにより、得られたトランスジェニッ植物は、eIF-5Aを活性化するためのDHSタンパク質が存在しないか又は実質的に少ない。先に考察したように、eIF-5Aは、生物学的に有用であるように活性化されなければならない。従って、アンチセンスポリヌクレオチド又はセンスポリヌクレオチドを用いる共抑制のいずれかにより、DHS発現を阻害又は減少させることによって、得られたトランスジェニック植物は活性eIF-5Aを有さないか又は活性eIF-5Aが減少する。これらのトランスジェニック植物は、植物のバイオマスを増加させ、種子収量eIF-5Aを増大させ及び/又は種子サイズを大きくするだろう。DHSのアンチセンスポリヌクレオチドを有するトランスジェニック植物は、光合成が増し、またデンプン含量が増加する、実施例24及び25を参照されたい。
【0103】
DHS及びeIF-5Aが老化に一定の役割を果たすという議論を支持する更なる証拠は、DHSに特異的な阻害剤でカーネーションの花を処理することによって与えられた。スペルミジン及びeIF-5Aは、DHS反応の基質である(Park他, 1993; Park他, 1997)。スペルミジンに類似の構造的特徴を有する多数のモノ-、ジ-及びポリアミンは、in vitroでDHS活性を阻害する(Jakus他, 1993)。いくつかのポリアミン、例えばスペルミジン、プトレスチン及びスペルミンは、カーネーションの花瓶寿命を延長するために一般的に用いられてきた(Wang及びBaker, 1980)。種々の濃度の種々のポリアミンによる処理によって、Wang他(非公表b)は、カーネーションの花瓶寿命を2倍まで延長することができた。DHSをダウンレギュレートするために一時的感染系を用いる更なる研究が進行中である。主なデータは、パーセント生存率が、アンチセンスDHSを発現する一時的感染系により真空浸透した切花カーネーションでは、非処理花に比べて、8日目にほぼ4倍の高さである、ことを示すWang他(非公表b。
【0104】
農業の更なる主な喪失及びストレスに起因する成長欠損は、ポストハーベストストレスウ-誘導老化である(McCabe他, 2001)。これは、例えばカットレタスのような部分的加工された植物には特に当てはまる。カットレタスの症候は、フェノール生成の結果である褐変である(Matile他, 1999)。レタスeIF-5A(LeIF-5A)のアンチセンスポリヌクレオチド又はアンチセンス完全長DHSによるレタスの実地試験は、トランスジェニックレタスが対照レタスに比べて、カット後の褐変に対して抵抗性が高い、ことを証明した。収穫に起因するストレス誘導老化が明確な回路を有するにもかかわらず(Page他, 2001)、褐変の翻訳制御上流及びおそらく他の老化症候はDHS及びeIF-5Aによって少なくとも部分的に調節されるようである。老化の調節の下流は実行遺伝子である。老化エフェクターが存在し、代謝的変化を引き起こし、老化症候を生じる。ダウンレギュレートされる場合には、eIF-5A及びDHSは老化によって起こる全ての範囲の症候を緩和することができる。
【0105】
本発明はまた、eIF-5Aの3アイソフォーム(老化-誘導eIF-5A);(損傷-誘導eIF-5A)及び(成長eIF-5A)を認識する抗体に関する。
【0106】
本発明はまた、他の植物及びキノコ類中の老化-誘導eIF-5A、損傷-誘導eIF-5A、成長eIF-5A及びDHSを識別する方法を提供する。本明細書に記載の方法及び提供配列を用いて、プローブを所望のアイソフォーム又はDHSを単離/識別するように設計した。eIF-5Aのアイソフォーム(老化-誘導eIF-5A、損傷-誘導eIF-5A及び成長eIF-5A)は、コーディング領域内で高相同的であることが多いので(図2)、所望のアイソフォームを同定し及び増幅の変更さえ確実にするためには、5'UTR開始から3''UTR末端まで設計される。(図3、4及び5を参照されたい。) 損傷-誘導eIF-5Aの増幅のためのプライマー又は損傷-誘導eIF-5Aの識別のためのプローブの好ましいセットは、以下の通りある。下流プライマーは、5' GAG CTC AAG AAT AAC ATC TCA TAA GAAAC3'(配列番号_)。上流プライマーは、5'CTC GAG TGC TCA CTT CTC TCT CTT AGG 3'(配列番号_)である。
【0107】
損傷-誘導eIF-5Aを植物又は植物部分から単離する前に、損傷事象を導入し、当該植物に損傷-誘導eIF-5Aの発現を開始させることが最も好ましい。任意の損傷事象が許容でき、例えば1つの具体的損傷事象は、葉を中心静脈で粉砕することを含む。同様に、老化-誘導eIF-5Aを単離する前に、植物組織にストレスを与えて老化を誘導することが最も好ましい。
【0108】
本発明をこれまで一般的に記載してきたが、例証として提供するものであり、本発明限定されること意図しない以下の実施例を参考として更に容易に理解できるだろう。
【実施例】
【0109】
実施例 1
メッセンジャーRNA (mRNA)単離
様々な成長段階のトマト花及びトマト果実及び葉から全RNAを単離した(非処理、又は冷却もしくはソルビトール処理後)。組織(5 g)を液体窒素中で瞬時に粉砕した。粉体を30 mlのグアジニウム緩衝液(4 M グアジニウム イソチオシアネート, 2.5 mM NaOAc pH 8.5, 0.8% メルカプトエタノール)と混合した。混合物を4層の平織り薄布で濾過し、4℃で30分間、10,000 Xgで遠心した。ぺレットRNAを75%エタノールで濯ぎ、600 μl DEPC-処理水に再懸濁し、RNAを-70℃で、0.75 ml 95%エタノール及び30 μlの3M NaOAcで沈殿させた。10 μgのRNAを1.2%変性ホルムアルデヒドアガロースゲルで分画し、ナイロン膜に転写した。42℃で終夜、当該膜を探知するために、ランダムに処理した32P-dCTP-標識完全長DHS cDNA (配列番号1)を使用した。次いで、室温で15分間、0.1% SDSを含む1X SSCで1回、65℃で15分間、0.1% SDSを含む0.2X SSCで3回、膜を洗浄した。-70℃で終夜、X-線フィルムに膜を曝露した。
【0110】
Promega製polyA+ tract mRNA Isolation Systemを用いて、全RNAからpolyA+mRNAを単離した。Stratagene製ZAP Express cDNA合成装置(La Jolla, Calif.)を用いるcDNA合成の鋳型として、polyA+mRNAを使用した。
【0111】
トマト葉cDNArライブラリ・スクリーニング
2 Mソルビトールに6時間曝露したMatch F1交配種のトマト葉から単離されたmRNAを用いて作製したcDNAライブラリを、約5 x 106 PFU/mlに希釈した。cDNAライブラリを32P-標識600 bp RT-PCR断片を用いて選別した。製造者の指示した方法を用いて、3陽性cDNAクローンを摘出し、pBK-CMV(商標) (Stratagene)ファージミドに再環化した。完全長cDNAをpBK-CMVベクターに挿入した。
【0112】
プラスミドDNA単離、DNA塩基配列決定
プラスミドDNAを単離するために、Sambrook他(前掲)によるアルカリ溶解法を用いた。ジデオキシ塩基配列決定法を用いて、完全長陽性cDNAクローンの塩基配列を決定した。Sanger他, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 74: 5463-5467。BLASTサーチ(GenBank, Bethesda, MD)を用いてオープンリーディングフレームを編成、解析し、誘導したコード遺伝子のアミノ酸と最も相同的な5タンパク質の配列を、BCM Search Launcher: Multiple Sequence Alignments Pattern-Induced Multiple Alignment Method (See F. Corpet, Nuc. Acids Res., 16:10881-10890, (1987))を用いて決定した。誘導したアミノ酸配列に存在する機能性モチーフは、Multi Finderにより同定した。
【0113】
トマトRNAのノーザンブロットハイブリダイゼーション
10μgの全RNAを、様々な段階(つぼみ、花及び大きく開いた又は乾燥している老化花弁)のトマト花、様々な段階の熟成(ブレイカーすなわち赤色10%未満の緑色果実、ピンクすなわち、果実全体がオレンジ又はピンク、及び赤色で、柔らかくても固くてもよい)のトマト葉及びトマト果実から単離し、1%変性ホルムアルデヒドアガロースゲルで分離し、ナイロン膜に固定した。ランダムプライーマーキット(Boehringer Mannheim)を用いる32P-dCTP標識完全長トマトcDNAをフィルター(7 x 107 cpm)を探知するために使用した。フィルターを室温で1x SSC、0.1% SDSで1回、65℃で0.2x SSC、0.1% SDSで3回、洗浄した。フィルターを乾燥し、-70℃で終夜、X-線フィルムに曝露した。結果を図50〜52に示す。
【0114】
アラビドプシスRNAのノーザンブロット・ハイブリダイゼーション
5週齢(レーン1)、6週齢(レーン2)及び7週齢(レーン3)のアラビドプシス植物の葉から、上記のようにして全RNAを単離し、1%変性ホルムアルデヒドアガロースゲルで分離し、ナイロン膜に固定した。ランダムプライマーキット(Boehringer Mannheim)を用いて32P-dCTPで標識した完全長アラビドプシス老化-誘導DHS cDNAを、フィルター(7 x 107 cpm)を探知するために使用した。フィルターを室温で1x SSC、0.1% SDSで1回、65℃で0.2x SSC、0.1% SDSで3回、洗浄した。フィルターを乾燥し、-70℃で終夜、X-線フィルムに曝露した。結果を図55に示す。
【0115】
カーネーションRNAのノーザンブロット・ハイブリダイゼーション
花の発育の様々段階、すなわち硬いつぼみ花(レーン1)、開花始め(レーン2)、完全開花(レーン3)、花弁が曲がっている花(レーン4)のカーネーション植物の花弁由来の全RNAを上記のようにして単離、1%変性ホルムアルデヒドアガロースゲルで分離し、ナイロン膜に固定した。ランダムプライマーキット(Boehringer Mannheim)を用いて32P-dCTPで標識した完全長カーネーション老化-誘導DHS cDNAを、フィルター(7 x 107 cpm)を探知するために使用した。フィルターを室温で1x SSC、0.1% SDSで1回、65℃で0.2x SSC、0.1% SDSで3回、洗浄した。フィルターを乾燥し、-70℃で終夜、X-線フィルムに曝露した。結果を図56に示す。
【0116】
実施例 2
トマト老化-誘導DHS遺伝子のソルビトール誘導
密閉チャンバー内で6時間、トマト葉を2 Mソルビトールで処理した。以下のようにしてソルビトール葉からRNAを抽出した。
【0117】
葉(5 g)を液体窒素中で粉砕した。粉体を30 mlのグアジニウム緩衝液(4 M グアジニウム イソチオシアネート, 2.5 mM NaOAc pH 8.5, 0.8% メルカプトエタノール)と混合した。混合物を4層の平織り薄布で濾過し、4℃で30分間、10,000 Xgで遠心した。次いで、上清を、20時間、26,000 Xg、塩化セシウム濃度勾配遠心に供した。ぺレットRNAを75%エタノールで濯ぎ、600 μl DEPC-処理水に再懸濁し、RNAを-70℃で、0.75 ml 95%エタノール及び30 μlの3M NaOAcで沈殿させた。10 μgのRNAを1.2%変性ホルムアルデヒドアガロースゲルで分画し、ナイロン膜に転写した。42℃で終夜、当該膜を探知するために、ランダムに処理した32P-dCTP-標識完全長DHS cDNA (配列番号1)を使用した。次いで、室温で15分間、0.1% SDSを含む1X SSCで1回、65℃で15分間、0.1% SDSを含む0.2X SSCで3回、膜を洗浄した。-70℃で終夜、X-線フィルムに膜を曝露した。
【0118】
結果を図52に示す。明らかなように、DHS転写物をソルビトールにより葉に誘導した。
【0119】
実施例 3
老化花におけるトマトDHS遺伝子の誘導
トマト植物の硬い花のつぼみ及び開いた老化花を収穫し、RNAを実施例2のようにして単離した。10 μgのRNAを1.2%変性ホルムアルデヒドアガロースゲルで分画し、ナイロン膜に転写した。42℃で終夜、当該膜を探知するために、ランダムに処理した32P-dCTP-標識完全長DHS cDNA (配列番号1)を使用した。次いで、室温で15分間、0.1% SDSを含む1X SSCで1回、65℃で15分間、0.1% SDSを含む0.2X SSCで3回、膜を洗浄した。-70℃で終夜、X-線フィルムに膜を曝露した。
【0120】
結果を図50に示す。明らかなように、DHS転写物を老化花に誘導した。
【0121】
実施例 4
完熟果実におけるトマトDHS遺伝子の誘導
実施例2のようにして、RNAをブレイカー、ピンク及び完熟果実から単離した。10 μgのRNAを1.2%変性ホルムアルデヒドアガロースゲルで分画し、ナイロン膜に転写した。42℃で終夜、当該膜を探知するために、ランダムに処理した32P-dCTP-標識完全長DHS cDNA (配列番号1)(図45)を使用した。次いで、室温で15分間、0.1% SDSを含む1X SSCで1回、65℃で15分間、0.1% SDSを含む0.2X SSCで3回、膜を洗浄した。-70℃で終夜、X-線フィルムに膜を曝露した。
【0122】
結果を図51に示す。明らかなように、DHS転写物は最も熟成しており、駄目になる老化の始まりの直前の赤色果実であった。
【0123】
実施例 5
トマト老化-誘導DHS遺伝子の冷却による誘導
鉢内のトマト植物(7〜8週齢)を2日間、3日間又は6日間、成育チャンバー内で、6℃に曝露した。光サイクルを、8時間の暗及び16時間の明で1セットとした。植物を温室に戻して再度暖めた。暖めた植物は、生育チャンバーから取り出した後直ちに収穫した。RNAを以下のようにして葉から抽出した。
【0124】
葉(5 g)を液体窒素中で粉砕した。粉体を30 mlのグアジニウム緩衝液(4 M グアジニウム イソチオシアネート, 2.5 mM NaOAc pH 8.5, 0.8% メルカプトエタノール)と混合した。混合物を4層の平織り薄布で濾過し、4℃で30分間、10,000 Xgで遠心した。次いで、上清を、20時間、26,000 Xg、塩化セシウム濃度勾配遠心に供した。ぺレットRNAを75%エタノールで濯ぎ、600 μl DEPC-処理水に再懸濁し、RNAを-70℃で、0.75 ml 95%エタノール及び30 μlの3M NaOAcで沈殿させた。10 μgのRNAを1.2%変性ホルムアルデヒドアガロースゲルで分画し、ナイロン膜に転写した。42℃で終夜、当該膜を探知するために、ランダムに処理した32P-dCTP-標識完全長DHS cDNA (配列番号1)を使用した。次いで、室温で15分間、0.1% SDSを含む1X SSCで1回、65℃で15分間、0.1% SDSを含む0.2X SSCで3回、膜を洗浄した。-70℃で終夜、X-線フィルムに膜を曝露した。
【0125】
結果を図53に示す。明らかなように、DHS転写物を冷却温度、続く再温に曝露することにより葉に誘導し、転写の増加は、膜漏れとして測定される冷却損傷と相関した。
【0126】
実施例 6
未知のアラビドプシス配列に基づくプライマーを用いるアラビドプシスPCR産物の生成
アラビドプシスゲノム配列から設計した一対のオリゴヌクレオチドプライマーを用いるPCRによって、アラビドプシスcDNA鋳型由来の部分長老化-誘導DHS配列を得た。5'プライマーは、配列5'-GGTGGTGT5TGAGGAAGATC (配列番号7)を有する19-マーであり;3'プライマーは、配列GGTGCACGCCCTGATGAAGC-3' (配列番号8)を有する20-マーである。Expand High Fidelity PCRシステム(Boehringer Mannheim)、及び鋳型として、アラビドプシス老化葉cDNAライブラリを用いるポリメラーゼ連鎖反応を以下のようにして実行した。
【0127】
反応成分:
cDNA 1 μl (5 x 107 pfu)
dNTP (各10 mM) 1 μl
MgCl2(5 mM)+10 x 緩衝剤 5 μl
プライマー1及び2(各100 μM) 2μl
拡張高忠実性DNAポリメラーゼ 1.75 U
反応体積 50 μl
【0128】
反応パラメータ:
94℃、3分間
94℃/1分間、58℃/1分間、72℃/2分間で45サイクル
72℃で15分間
【0129】
実施例 7
ゲノムDNAの単離及びサザン分析
液体窒素内で10gのトマト葉組織を細粉に粉砕化することにより、トマト葉からゲノムcDNAを抽出した。25 mlの均質化緩衝液[100 mM Tris-HCl, pH 8.0, 100 mm EDTA, 250 mM NaCl, 1% サルコシル, 1% 2メルカプトエタノール, 10 μg/ml RNase、及び12.5 mlフェノール]を含む37.5 mlの混合物を60℃に再度暖め、粉砕組織に加えた。混合物を15分間振盪した。追加の12.5 mlのクロロホルム/イソアミルアルコール(24: 1)を混合物に加え、更に15分間振盪した。混合物を遠心、水相を25 mlフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール(25: 24: 1)及びクロロホルム/イソアミルアルコール(24: 1)で再抽出した。室温下、核酸を15 mlイソプロパノールで沈殿させて回収した。沈殿を1 mlの水に再懸濁した。
【0130】
ゲノムDNAを以下の制限酵素消化に供した:10 μgゲノムDNA, 40 μl 10X反応緩衝液及び100 U制限酵素(XbaI, EcoRI, EcoRV又はHinDIII)を総反応体積400 μlで、5〜6時反応させた。次いで、混合物をフェノール-抽出、エタノール-沈殿させた。15ボルトで約15分間、0.8%アガロースゲル上のアガロースゲル電気泳動に消化DNAを供した。変性緩衝液[87.66 g NaCl及び20 g NaOH/リットル]に緩やかに動かしながら30分間、ゲルを沈め、蒸留水で洗浄し、中和緩衝液[87.66 g NaCl及び60.55 g tris-HCl, pH 7.5/リットル]に緩やかに動かしながら30分間、沈めた。キャピラリーブロッティングにより、DNAをHybond-N+ナイロン膜に転写した。
【0131】
1 x 106 cpm/mlの32P-dCTP-標識完全長DHS cDNA又はDHS cDNAクローンの3'-非-コーディング領域を用いて、42℃で終夜、ハイブリダイゼーションを行った。50% ホルムアミド, 6X SSC, 5X Denhardt溶液, 0.1% SDS及び100 mg/ml変性サーモン精子DNAを含む緩衝液中でプレハイブリダイゼーション及びハイブリダイゼーションを行った。膜は2〜4時間、プレハイブリダイゼーションし;ハイブリダイゼーションは終夜行った。
【0132】
ハイブリダイゼーションが完了した後、室温で2 X SSC及び0.1% SDS膜を濯ぎ、次いで15分間、2 X SSC及び0.1% SDS、15分間、0.2 X SSC及び0.1% SDSで洗浄した。次いで、膜を-80℃で終夜、X-線に曝露した。結果を図49に示す。
【0133】
実施例 8
老化-誘導eIF-5A遺伝子のアラビドプシスからの単離
鋳型としてアラビドプシス老化葉cDNAライブラリを用いるPCRにより、アラビドプシス葉に発現する老化-誘導eIF-5A遺伝子の完全長cDNAクローンを得た。最初に、縮重上流プライマー<AAARRYCGMCCYTGCAAGGT> (配列番号17)とこれと対のベクターT7プライマー<AATACGACTCACTATAG> (配列番号18)、及び縮重下流プライマー<TCYTTNCCYTCMKCTAAHCC> (配列番号19)とこれと対のベクターT3プライマー<ATTAACCCTCACTAAAG> (配列番号20)を用いて、5'-及び3'-遺伝子末端に対応するPCR産物を作製した。PCR産物を塩基配列決定のためにpBluescriptにサブクローニングした。次いで、5'-特異的プライマー<CTGTTACCAAAAAATCTGTACC> (配列番号21)とこれと対の3'-特異的プライマー<AGAAGAAGTATAAAAACCATC> (配列番号22)用いて、完全長cDNAを得、塩基配列決定のためにpBluescriptにサブクローニングした。
【0134】
実施例 9
老化-誘導eIF-5A遺伝子のトマト果実からの単離
鋳型としてトマト果実cDNAライブラリを用いるPCRにより、トマト果実に発現する老化-誘導eIF-5A遺伝子の完全長cDNAクローンを得た。最初に、縮重上流プライマー(配列番号17)とこれと対のベクターT7プライマー(配列番号18)、及び縮重下流プライマー(配列番号19)とこれと対のベクターT3プライマー(配列番号20)を用いて、5'-及び3'-遺伝子末端に対応するPCR産物を作製した。PCR産物を塩基配列決定のためにpBluescriptにサブクローニングした。次いで、5'-特異的プライマー<AAAGAATCCTAGAGAGAGAAAGG> (配列番号23)とこれと対のベクターT7プライマー(配列番号18)用いて、完全長cDNAを得、塩基配列決定のためにpBluescriptにサブクローニングした。
【0135】
実施例 10
老化-誘導eIF-5A遺伝子のカーネーションからの単離
鋳型としてカーネーション老化花cDNAライブラリを用いるPCRにより、カーネーション花に発現する老化-誘導eIF-5A遺伝子の完全長cDNAクローンを得た。最初に、縮重上流プライマー(配列番号17)とこれと対のベクターT7プライマー(配列番号18)、及び縮重下流プライマー(配列番号19)とこれと対のベクターT3プライマー(配列番号20)を用いて、5'-及び3'-遺伝子末端に対応するPCR産物を作製した。PCR産物を塩基配列決定のためにpBluescriptにサブクローニングした。次いで、5'-特異的プライマー<TTTTACATCAATCGAAAA> (配列番号24)とこれと対の3'-特異的プライマー<ACCAAAACCTGTGTTATAACTCC> (配列番号25)用いて、完全長cDNAを得、塩基配列決定のためにpBluescriptにサブクローニングした。
【0136】
実施例 11
老化-誘導DHS遺伝子のアラビドプシスからの単離
アラビドプシス葉内に発現する老化-誘導DHSの完全長cDNAクローンは、アラビドプシス老化葉cDNAライブラリをスクリーングすることにより得た。スクリーニングに用いたプローブ(配列番号26)の配列を図82に示す。プローブは、鋳型として老化葉cDNAライブラリを用いるPCRによって得、プライマーは、GenBankの未知ゲノム配列(AB017060)から設計した。PCR産物を塩基配列決定のため、pBluescriptにサブクローニングした。
【0137】
実施例 12
老化-誘導DHS遺伝子のカーネーションからの単離
カーネーション花弁内に発現する老化-誘導DHSの完全長cDNAクローンは、カーネーション老化花弁cDNAライブラリをスクリーングすることにより得た。スクリーニングに用いたプローブ(配列番号27)の配列を図83に示す。プローブは、鋳型として老化花弁cDNAライブラリを用いるPCR、縮重プライマー(上流: 5'TTG ARG AAG ATY CAT MAA RTG CCT 3') (配列番号28);下流 :5'CCA TCA AAY TCY TGK GCR GTG TT 3') (配列番号29)によって得た。PCR産物を塩基配列決定のため、pBluescriptにサブクローニングした。
【0138】
実施例 13
アンチセンス方向における、アラビドプシスDHSの完全長又は3’領域によるアラビドプシスの形質転換
完全長老化-誘導アラビドプシスDHS cDNA配列又はDHS遺伝子(配列番号30)(図80)の3’末端を含むバイナリーベクター、pKYLX71を用いて、アグロバクテリアを形質転換した。これらはいずれも、二重35Sプロモーターの調節によりアンチセンス配置で発現する。アラビドプシス植物を、真空浸潤により形質転換アグロバクテリアで形質転換し、植物への生成物由来の形質転換種子をアンピシリンで選択した。
【0139】
図65〜68は、形質転換アラビドプシス植物の写真を示す。この写真は、形質転換植物中のアンチセンス方向内のDHS遺伝子又はその3’末端の発現は、バイオマスの増加、例えば葉が大きくなり、かつ植物の大きさが大きくなる、ことを示す。図69は、トランスジェニックアラビドプシス植物が種子収量を増加させた、ことを示す。
【0140】
実施例 14
アンチセンス方向における、トマトDHSの完全長又は3’領域によるトマト植物の形質転換
完全長老化-誘導トマトDHS cDNA配列又はDHS遺伝子(配列番号31)(図81)の3’末端を含むバイナリーベクター、pKYLX71を用いて、アグロバクテリアを形質転換した。これらはいずれも、二重35Sプロモーターの調節によりアンチセンス配置で発現する。トマト葉外植体をこれらのアグロバクテリアで形成し、標準的組織培養法により形質転換カルス及び苗木を形成し、選択した。温室条件下で、形質転換苗木を果実生成T1植物に成熟するまで生育した。
【0141】
図70〜79は、形質転換植物中の老化-誘導トアトDHS遺伝子の発現の減少が、形質転換アラビドプシス植物に見られるように、バイオマスの増加、例えば葉が大きくなり、かつ植物の大きさが大きくなり、及びトマト果実の軟化及び損傷の遅れをもたらす、ことを示す写真である。
【0142】
実施例 15
アンチセンス方向における、トマトDHSの3’領域によるトマト植物の形質転換
DHS遺伝子(図81)の3’末端を含むバイナリーベクター、pKYLX71を用いて、アグロバクテリアを形質転換した。これは、二重35Sプロモーターの調節によりアンチセンス配置で発現する。トマト葉外植体をこれらのアグロバクテリアで形成し、標準的組織培養法により形質転換カルス及び苗木を形成し、選択した。温室条件下で、形質転換苗木を果実生成T1植物に成熟するまで生育した。
【0143】
DHS発現が低減したこれらのトランスジェニック植物由来の果実は、対照植物由来の果実の約33%がこの病気を発症した条件下で、花床腐敗が全くなかった。花床腐敗は、栄養障害に起因する生理的病気であり、果実の(花)床を聾老化させ腐敗させる。図84A及び84Bは、花床腐敗を示す対照果実、及び花床腐敗がないトランスジェニック果実を示す写真である。
【0144】
この結果は、DHS発現の低減が生理的病気から起こる組織及び細胞死の始まりを阻害する、ことをしめす。
【0145】
実施例 16
野生型コロンビア-植物原料におけるシロイヌナズナ翻訳開始因子5A(AteIF-5A)アイソフォームの発現
シロイヌナズナ、コロンビア生態型の種子を、6-インチ鉢のPromix BX土(Premier Brands, Brampton, ON, Canada)で生育した。播種したばかりの鉢を2日間、4℃に維持し、次いで16時間明/8時間暗のサイクル、22℃に調整した生育チャンバーに移した。Cool-white蛍光電球で、150 μmol放射m-2-1の光を当てた。全ロゼットを2週〜7週齢について1週おきに集め、芝生の葉を5週齢について、茎、長角果、つぼみ及び花を6週齢について集め、吸水種子(24時間水に浸漬)も集め、液体窒素で瞬時冷凍し、-80℃で保存した。
【0146】
Pseudornonas syringaeによるシロイヌナズナ植物の感染
64成長細胞を含むフラットのPromix BX土(Premier Brands, Brampton, ON, Canada)に、シロイヌナズナ、コロンビア生態型の種子を播いた。播種したフラットを2日間、4℃に維持し、次いで9時間明/15時間暗の光周期を有する生育チャンバーに移した。光周期を短くすると発育が生理的に遅くなるように見えるが、全ての植物を4週齢で処理した。
【0147】
4週齢のロゼット葉を、Pseudomonas syringe pvの無毒性(avr)及び毒性(vir)株で感染させた。トマトDC 3000は、Robin Cameron博士(university of Toronto, Toronto, Canada)から頂戴した。各植物のロゼット葉の背軸面をニードルなしの1 mlシリンジを用いて接種した。次の4処理の1つを用いて植物を処理した:接種なし、1O mM MgCl2によるモック-接種、avr P. syringae株(106 cfu/ml 1O mM MgCl2)を用いる接種、又はvir P. syringae株(106 cfu/ml 1O mM MgCl2)を用いる接種。avr処理において全身獲得抵抗性を誘導するために十分量の細菌が浸潤したことを確実にするために、1回目は接種後直ぐに、2回目は3日後に、2細菌をカウントした。次の分析のために、所定の時点で、接種葉を採取した。
【0148】
低DHS発現又は損傷-誘導eIF-5A発現の植物を、いずれか遺伝子についてアンチセンスT-DNA挿入を用いて発育させた。これらの植物系統は、Pseudomonas syringae pv トマト DC 300に顕著な抵抗性を示し、トランスジェニック系統は、野生型植物に比べて細菌量が99%まで減少したことを示す。図43及び44を参照されたい。収穫植物を用いたデータは病原体抵抗性も示した。
【0149】
シロイヌナズナ植物の止血剤による損傷
標準的光条件下で生育した4週齢植物を、Stotz他(2000)に従って、中心葉脈(midvein)(葉表面の約10%)に沿って止血剤で破砕することにより損傷した。組織を0分後、1時間後及び9時間後に採取し、直ちに液体窒素で凍結し、更なる分析のために-80℃で保存した。
【0150】
RNA単離及びノーザンブロッティング
ノーザンブロッティング分析のための全RNAを、Davis他(1986)に従い、シロイヌナズナロゼット葉から単離した。RNAを1%アガロースゲルで分画し、ナイロン膜に転写した(Davis他, 1986)。固定RNAと、老化-誘導AteIG-5A、損傷-誘導AteIF-5A又は成長AteIF-5Aの放射性同位体標識3’UTR部分とを、42℃で終夜ハイブリダイズした。ランダムプライマーキット(Boehringer Mannheim)を用いて、[α-32P]-dCTPで、3’UTRを標識した。ハイブリダイズした膜を42℃で15分間、0.1% SDSを含む2X SSCで2回、42℃で30分間、0.1% SDSを含む1X SSCで2回、洗浄した。-80℃に終夜曝露した後、オートラジオグラフィーでハイブリダイゼーションを視覚化した。
【0151】
抗体産生及び精製
シロイヌナズナ(At)の真核生物翻訳開始因子5A (eIF-5A)アイソフォームは、アミノ酸レベル、特にタンパク質のN-末端領域及び中央領域において相同性が高い(図1)。特異的なアイソフォームである抗体を取得するために、互いに固有と考えられるAteIF-5Aのアイソフォーム内の領域に対してペプチドを設計した。KLHとの結合のために各ペプチドのN-末端に追加のシステイン残基を加えた。用いた配列は:老化-誘導AteIF-5A用のCNDDTLLQQIKS、損傷-誘導AteIF-5A用のCTDDGLTAQMRL、及び成長AteIF-5A用のCTDEALLTQLKNである。これらの配列をタンパク質BLASTに供した(短いほとんど正確な配列;シロイヌナズナに限定;予想数20000;ワードサイズ2;Matrix PAM90; Gap cost 91)場合に、データベースで見出された多数の配列は、AteIF-5Aのみに一致し、その他のものとは一致しなかった。ペプチドは、Western Ontario大学ペプチド合成部門で合成した。Drenckhahn他(1993)、及びCollawn及びPatterson (1999)に従うm-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステルを用いて、キャリアタンパク質、Keyhole Limpet Hemocyanin (Sigma)をペプチドのN-末端システインに結合した。ウサギに結合ペプチドを2週間おきに4回、注射した。2週間後に、ウサギから全血を採血することにより、採取投与血液を回収し、血清を保存するために、回収血液を凝固させた。
【0152】
タンパク質分画及ウェスタンブロッティング
小乳棒によりエッペンドルフチューブ内で、又は大規模モーター及び大乳棒により、緩衝液(50 mM EPPS, pH 7.4, 0.25 M ソルビトールl, 1O mM EDTA, 2 mM EGTA, 1 mM DTT, 1O mM アミノ-n-カプロン酸, 植物組織用プロテアーゼ・インヒビター カクテル(Sigma))中で、上記の組織を均質化した(約0.5g/ml)。ホモジェネートをマイクロ遠心機で最大速度で短時間に遠心し、ペレットを廃棄した。総タンパク質をGhosh他(1988)に従って定量化した。SDS-PAGEをMini protein Dual Slab cells (BioRad, Mississauga, Ontario)で行い、ゲル(12%ポリアクリルアミド)をクマシーブリリアントブルーR250 (Fairbanks他 1971)で染色するか、又は準-乾燥転写細胞(semi-dry transfer cell, Bio-Rad, Hercules, CA)を用いてポリビニルジエン ジフルオリド(PVDF)に転写した。1mg/ml ポリビニルアルコール(Miranda他, 1993)、及び1時間、0.1% (v/v) Tween 20及び5% (w/v)粉末ミルクを含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で、30秒間、ブロットをブロックした。(第二注射後の出血由来の)一次抗体を、0.1%(v/v) Tween 20及び1% (w/v)粉末ミルクを含むPBSで1: 50に希釈した。アルカリホスファターゼ (Bioshop, Burlington, Ontario)及びホスファターゼ基質、NBT及びCIP (BioRad, Mississauga, ON)に結合したウサギ抗体に対してヤギ内で作製した第二抗体を用いて、抗原を視覚化した。
【0153】
実施例 17
3種のeIF-5Aアイソフォームを過剰発現する形質転換シロイヌナズナ植物の生産
プライマー設計
シロイヌナズナ(At)の真核生物翻訳開始因子5A(eIF-5A)アイソフォームは、コーディング領域において高い相同性を示した(図2)。修正遺伝子の増幅による問題を避けるために、老化-誘導AteIF-5A、損傷-誘導eIF-5A及び成長eIF-5Aのプラマーを各々図3、4、5に示す5'UTRのほぼ開始及び3'UTR末端まで設計した。5'UTR及び3'UTRは、EST情報及びGenBankデータベースの他の配列情報に基づいて判断した。好適な制限部位は、pKYLX71バイナリーベクターのセンス方向内のライゲーションプライマーの末端に加えた(図6)。老化-誘導AteIF-5Aについては、上流プライマーは、5' AAGCTT GATCGTGGTCAACTTCCTCTGTTACC 3'であり、下流プライマーは5' GAGCT CAGAAGAAGTATAAAAACCATC 3'である。損傷-誘導AteIF-5Aに関しては、上流プライマーは、5' CTC GAGTGCTCACTTCTCTCTCTTAGG 3'であり、下流プライマーは、5' GAGCTCAAGAATAACATCTCATAAGAAAC 3'である。成長AteIF-5Aの上流プライマーは、5' CTCGAGCTAAACTCCATTCGCTGACTTCGC 3'であり、下流プライマーは、5' GAGCCTCTAGTAAATATAAGAGTGTCTTGC 3'である。プライマーに加える制限部位は、老化-誘導AteIF-5AについてはHindIII及びSacI、損傷-誘導AteIF-5AについてはXhoI及びSacI、成長AteIF-5AについてはXhoI及びSacIであり、上記プライマー中に下線で示した。
【0154】
シロイヌナズナからのゲノムDNAの単離
ゲノムDNAを3週齢ロゼット葉から単離した。組織を抽出緩衝液(200 mM Tris pH 7.5, 250 mM NaCl, 25mM EDTA, 0.5% SDS)中で均質化し、得られたホモジネートを15秒間、攪拌した。残骸を最大速度で1分間、マイクロ遠心機で遠心することにより除去した。上清を集め、イソプロパノールで1: 1の比率で混合し、攪拌し、2分間、室温に放置した。ペレットを最大速度で5分間、マイクロ遠心機で遠心して集め、70%エタノールで洗浄し、5分間真空乾燥した。乾燥ペレットを水に再懸濁し、1: 1容のクロロホルムで処理し、攪拌した。最大速度で2分間、マイクロ遠心機で遠心後に、上層を集め、沈殿生成のため、20 μl塩(3M 酢酸ナトリウム)及び2倍容のエタノールで、-20℃で30分間処理した。次いで、精製ゲノムDNAをマイクロ遠心機により最大速度で30分間遠心し、乾燥し、PCR用に水に再懸濁した。
【0155】
ゲノムDNAからのPCR
上記のプライマーを用いてPCRを行った。PCR混合物は、1x Tsg又はTaqポリメラーゼ反応緩衝液、1UのTsg又はTaqポリメラーゼ、0.2 mM dNTP、2 mM MgCl2及び15 pmolの各特異的プライマーを含んだ。反応は、95℃で10分間、ホットスタートで開始し、第一サイクルは変性温度95℃で1分間、アニーリング温度55℃で2分間及び延長温度72℃で2分間から成った。次の29サイクルは、アニーリング温度が0.5℃/サイクル減少するタッチダウンプログラムを進行し、最終サイクルはアニーリング温度40℃であった。72℃の最終延長は10分間行った。PCR産物をアガロースゲル電気泳動で分離し、切断し、指示に従ってアガローススピンカラム(Millipore Corporation, Bedford, MA)からのDNA抽出用のMillipore Ultrafree-DAにより回収した。
【0156】
pGEM(商標)-T Easyへのライゲーション
Promegaによって提供される指示に従い、精製PCR産物をpGEM(商標)-T Easyベクター(図7)にライゲートした。すなわち、PCR産物を、迅速ライゲーション緩衝液(30 mM Tris-HCl, 1O mM MgCl2, 1O mM DTT, 1 mM ATP及び5% ポリエチレングリコール(MW8000, ACS Grade) pH 7.8)中で、pGEM T-Easy Vector、3 Weiss Units T4 DNAリガーゼと3: 1の比率で混合した。当該ライゲーション緩衝液は、Promega pGEM(商標)-T Easy Vector System (Promega Corporation, Madison WI)より入手した。ライゲーション反応は、15℃で終夜、インキュベートし、コンピテントE.coli DH5-α細胞懸濁液(RbCl/CaClを用いて作製したコンピテント; Kushner, 1978)に形質転換した。形質転換混合物をまず30分間氷上でインキュベートし、42℃で90秒間、ヒートショックを与え、1mlの2xYT培養液の添加後に1時間37℃で回収した。形質転換細胞をペレット化し、少量の2xYT培養液に再懸濁し、選択用の50μg/mlアンピシリンを含むアガープレートに播いた。pGEM(商標)-T Easyベクターが細胞にアンピシリン耐性を付与するので、形質転換体のみが、アンピシリン含有プレートで生育することができた。pGEM(商標)-T EasyベクターにライゲートされたPCR産物挿入について、形質転換体を選択し、選別した。
【0157】
制限酵素消化によるpGEM(商標)-T Easyベクター内のPCR産物挿入のスクリーニング
選択倍地で培養したコロニーを、50 μg/mlアンピシリンを含む5 ml 2xYT培地で37℃で終夜培養した。選択コロニー由来の組換えプラスミドをWizard Prep DNA Purification Kit(Promega)を用いて精製した。プラスミドDNAを37℃で1時間EcoRIで消化し、AteIF-5A挿入サイズが存在することを確認するために1%アガロースゲルで視覚化した。次いで、配列がインプランタでの過剰発現に好適であるかを確認するために、陽性プラスミドをCore Molecular Biology Facility(University of Waterloo, Waterloo, ON)で塩基配列決定した。
【0158】
pKYLX71へのライゲーション
pGEM:損傷-誘導AteIF-5A及びpGEM:成長AteIF-5Aの構築物をXhoI及びSacIで二重消化し、バイナリーベクター、pKYLX71にサブクローニングした。pKYLX71もXhoI及びSacIで消化した。これらの酵素消化により、損傷-誘導AteIF-5A及び成長AteIF-5Aがカリフラワーモザイクウイルスに重35Sプロモーターの制御下で、バイナリーベクターpKYLX71にセンス方向に挿入される、ことを確実にした。ライゲーション反応は、1 μgのバイナリーベクター、及び3 μgの損傷-誘導AteIF-5A又は成長AteIF-5Aを使用した。ライゲーションは、ライゲーション緩衝液(30 mM Tris-HCl, 1O mM MgCl2, 1O mM DTT, 1 mM ATP及び5% ポリエチレングリコール(MW8000, ACS Grade) pH 7.8)中で、3 Weiss Units T4 DNAリガーゼ(Fermentas)を用いて行った。ライゲーション反応は、15℃で終夜、インキュベートし、コンピテントE.coli DH5-α細胞懸濁液(RbCl/CaClを用いて作製したコンピテント; Kushner, 1978)に形質転換した。形質転換混合物をまず、30分間氷上でインキュベートし;42℃で90秒間ヒートショックを行い、1ml 2xYT培養液の添加後に、37℃で1時間、回収した。形質転換細胞をペレット化し、小量の2xYT培養液で再懸濁し、選択用50 μg/mlテトラサイクリンを含むアガープレートに播いた。バイナリーベクターpKYLX71が細菌細胞にテトラサイクリン耐性を付与するので、形質転換体のみがテトラサイクリン含有プレート上で生育することができた。PCR及びXhoI及びSacIによる二重消化により、損傷-誘導AteIF-5A又は成長AteIF-5A挿入について、形質転換体を選択し、かつ選別した。PCR増幅(上記のゲノムDNAで同様に行った)及び消化後、規定挿入サイズの確認のため、1%アガロースゲル電気泳動を用いて生成物を分離した。
【0159】
アグロバクテリウム エレクトロポレーション及び選択
pKYLX71:損傷-誘導AteIF-5A及びpKYLX71:成長AteIF-5A構築物をコンピテントアグロバクテリウム ツメファシエンスGV3010にエレクトロポレーションした。コンピテントアグロバクテリウム細胞単一コロニーの調製物を、50 g/mlのリファマイシン及び50 μg/mlのゲンタマイシンを含む5ml 2xYT培養液中で接種した。これを、280 rpmのForma Scientific Orbital Shaker (Fisher Scientific)中で、28℃で終夜培養し、様々な希釈(1: 500, 1: 1000, 1: 2000)の50 μg/mlのリファマイシン及び50 μg/mlのゲンタマイシンを含む30 mlの2xYT培養液に接種するために用いた。OD600が0.5〜0.8まで新規な接種培養液を培養し、冷却し、SS-34ローター(Sorvall)で2000 gで15分間、遠心した。ペレットを50 mlの冷却水に再懸濁し、2000 gで15分間、遠心した。この洗浄方法を全部で4回繰り返し、培養液から塩及び死細胞を除いた。最終ペレットを40 mlの氷冷10% (v/v)グリセロールに再懸濁し、2000 gで15分間遠心し、これを1度繰り返した。次いで、100 μlの氷冷グリセロールに再懸濁し、よく混合した。細胞を100 μlのアリコートに取り、氷上で保存した。
【0160】
コンピテントアグロバクテリム細胞へのDNA構築物のエレクトロポレーションのため、100 μlのアリコートを各々、500 ngのDNA構築物とよく混合した。次いで、バクテリアとベクターの混合物を予備冷却したエレクトロポレーションキュベットに移し、以下のように調整したGene Pulser (Biorad)に置いた:2.5 kV、25 μF及び200 Ω。エレクトロポレーション後に、1ml 2xYT培養液を加え、全懸濁液を培養試験管に移した。エレクトロポレーション後の培養液を28℃、280 rpmで3時間、インキュベートし、回収した後、2 ml 2x YT培養液、及び50 μg/mlのリファマイシン及び50 μg/mlのゲンタマイシンを加えた。培地中で2日間培養後、エレクトロポレーション細胞を、テトラサイクリン、ゲンタマイシン及びリファマイシン(全て50 μg/ml)に播き、更に2日間、コロニーを培養した。PCR、及びSacI及びXhoIによる二重消化により、pKYLX71:損傷-誘導AteIF-5A又はpKYLX71:成長AteIF-5Aについて、得られたコロニーを選別し、1%アガロースゲルで分離した。
【0161】
植物形質転換
pKYLX71:損傷-誘導AteIF-5A又はpKYLX71:成長AteIF-5Aを含むアグロバクテリウム ツメファシエンスGV3010の陽性コロニーを、野生型シロイヌナズナ生態型コロンビアの形質転換に使用した。植物形質転換に用いた細菌スラリーの調製には、pKYLX71:損傷-誘導AteIF-5A又はpKYLX71:成長AteIF-5A構築物に陽性の単一コロニーを、50 μ/mlのテトラサイクリン、50 μg/mlのリファマイシン及び50 μg/mlのゲンタマイシンを含む5mlの2xYT培養液で接種した。280 rpmのForma Scientific Orbital Shaker (Fisher Scientific)で28℃で2日間、これを培養し、50 μg/mlのリファマイシン及び50 μg/mlのゲンタマイシンを含む35 ml(総量)の2xYT培養液に接種するために用いた。35 ml培養物を28℃、280 rpmで培養し、50 μg/mlのリファマイシン及び50 μg/mlのゲンタマイシンを含む535 ml(総量)の2xYT培養液に接種するために用いた。再度、この培養物を28℃、280 rpmでOD600が約2.0になるまで培養した。
【0162】
培養物を250ml管に移し、GSAローター(Sorvall)で1945g、4℃で15分間、遠心した。ペレットを500mlの浸潤培地(1.1 g MS塩, 25gショ糖, 0.25 g MES, KOHで調整pH5.7, 100 ng/mlベンジルアミノプリン、及び50 μl Vac-In-Stuff (Silwet L-77; Lehle Seeds))に再懸濁し、4個の大ゴムストッパーを有する真空デシケーター内の大プラスチック皿に入れた。発育の下手にある8植物を含む5鉢を浸潤に順次用いた。各鉢を先ず、ゴミ箱の上にひっくり返し、ほぐれた土を除い後、4大ゴムストッパーがひっくり返った鉢のスタンドとして働き、ロゼットではなく、アグロバクテリウムスラリーにブロットがちょっと漬かるように、ガラスデシケーター内のプラスチック容器に(ひっくり返したまま)置いた。次いで、ひっくり返ったまま、10分間、真空(400 mmHg)に植物を供した。次に、真空浸潤植物を回収し、植物材料項で説明した生育チャンバー条件下で通常に生育した。長角果が乾燥し、種子が成熟した数週間後に、種子を各鉢ごとに回収し、併せた。
【0163】
植物形質転換体の選択及び分離分析
一次形質転換体を同定するために、回転装置(Barnstead/Thermolyne)上で20分間、1% (v/v) 次亜塩素酸ナトリウム及び0.1% (v/v) Tween 80の溶液で、真空-浸潤植物由来の種子を表面殺菌し、殺菌水で4回濯ぎ、殺菌0.8%アガーに再懸濁した。次いで、再懸濁種子を、殺菌した、1% (w/v)ショ糖、0.5 g/L 2-[N-モルホリノ]エタンスルホン酸(MES)、0.7% (w/v) 細菌アガー及び40〜50 μg/ml カナマイシンを添加したhalf-strength Murashige and Skoog (MS)培地(2.2 g/L)に播いた(Murashige and Shoog, 1962)。形質転換体のみが、バイナリーベクターが形質転換苗木に対し、カナマイシン耐性を付与するので、カナマイシン-含有プレート上で生育することができた(図6)。カナマイシン耐性遺伝子が存在しないので、バイナリーベクターを持たない苗木は黄色を帯びて枯れた。野生型苗木を対照として使用し、カナマイシンを添加しないMS培地に播き、カナマイシン含有プレートに、空pKYLX71ベクターを含む同型種由来の種子を対照として播いた。空ベクター対照は、カナマイシン効果が苗木の生長に与える効果、及びバイナリーバクターのシロイヌナズナゲノムへの無作為結合効果を説明する点で、有用である。MS培地及び40〜50 μg/mlカナマイシン含有した小面積プレートのそれぞれに、少量の野生型種子を播いた。これは、培地が形質転換体に十分に選択的であることを確実にし、及びカナマイシン強度を試験するために行った。
【0164】
播種プレートを4℃で3日間維持し、発芽に同期させた。3日後、植物を生育チャンバーに移し、16時間明/8時間暗のサイクル下で、20±2℃で更に7日間、生育した。照明を150 μmol照射m-2 s-1で維持し、cool-white蛍光電球により行った。pKYLX71:損傷-誘導AteIF-5A及びpKYLX71:成長AteIF-5Aベクターによるシロイヌナズナの形質転換率を測定した。
【0165】
播種から全10日後、センス損傷-誘導AteIF-5A及び成長AteIF-5Aの14又は16形質転換体を各々、32細胞を含む低地内のPromix BX土(Premier Brands, Brampton, ON, Canada)に移植した。次いで、これらの移植T1世代植物を、16時間明/8時間暗のサイクルで22℃に調整した別の生育チャンバーい移した。照明を150 μmol照射m-2 s-1で維持し、cool-white蛍光電球により行った。T1世代植物を成熟させ、T2世代種子を得た。これらを収穫し、更なるスクリーニングを行うまで、-20℃で保存した。T1世代を1、2、3等と名付けた。16系統のセンス成長AteIF-5A植物の全ては、生存し、種子を形成したが、センス損傷-誘導AteIF-5A植物については、14形質転換体の中の9のみが生存し、種子を形成した。
【0166】
T2世代形質転換体の選択をT1世代形質転換体と同様に行った。センス成長AteIF-5A植物の系統12は選択培地で形質転換体を生産せず、いずれの更なる研究にも関与しなかった。
センス成長AteIF-5A植物の系統1〜16(但し、系統12を除く)は各々、完遂する8亜系を有した。例えばT1系統1では、T2世代植物を1A、1B、1C等を名付けるので、これらをA〜Hと称した。センス損傷-誘導AteIF-5Aの系統1、2、3、4、5、7、9及び11は各々、完遂する8亜系(A〜H)を有した。系統12 T1植物は、約30のT2種子を形成するに過ぎず、T2世代の1亜系のみが完遂するだろう。センス損傷-誘導AteIF-5AのT2植物は、成長し続け、特徴付けられる。センス成長AteIF-5AのT2植物は、成熟し種子を形成する。この種子は収穫し、更なる分析まで-20℃で保存した。
【0167】
センス成長AteIF-5AのT3世代形質転換体の選択は、T2と同様の方法で行った。表現型分析及びセンス成長AteIF-5Aの過剰発現の程度により、8系統を選択した。発現レベルを4つのカテゴリーに分類した;高レベル発現、中レベル発現、低レベル発現、及び(コサプレッションに起因する)発現なし。各発現レベルについて2系統を選択し、各系統から12植物を移植した。これらの4つの発現レベルに対応する系統は:1A、2D、4D、15A、8D、9H、11C及び16Cである。センス成長AteIF-5A植物のT3世代は成長し続け、特徴付けられる。
【0168】
実施例 18
センス損傷-誘導AteIF-5A及びセンス成長AteIF-5Aの表現型分析:写真記録
対応する対照野生型植物の表現型(シロイヌナズナ生態型コロンビア)及び空のバイナリーベクターpKYLX71で形質転換した植物の表現型と同様に、分離する間、センス損傷-誘導AteIF-5A及びセンス成長AteIF-5A系統の形態的表現型を写真的に記録した。
【0169】
種子測定
センス成長AteIF-5AのT2植物から回収したT3種子の総種子収量(重量及び体積)、種子サイズ(長さ及び幅)を測定し、得られた種子の個々の重量及び体積を計算した。Sartorius分析デジタル天秤により、総種子収量を重量で測定し、及び各植物につき、100 μl毎に目盛を付けたガラス製1 mlシリンジに収穫総種子を注ぎ、次いでこれを圧縮することにより、体積を求めた。長さ、幅及び計算した体積により種子サイズを決定するために、マイクロメーターを含むスライド上に種子を置き、Olympus BX51 Microscopeで観察した。マイクロメーター上の種子の写真をCompaq Evo D500 (Compaq Company Corporation; Intel Pentium(登録商標) 4 CPU 1.7GHz, 262 MG RAM, running Windows(登録商標) 2000)に取り付けたSpot Insight Color Camera (Diagnostic Instruments Inc.)で撮った。Windows(登録商標)用Image-Pro Express Version 4.0 を使用した。サイズ校正画像内のマイクロメーターを用いて、各亜系の10種子を測定した。測定は、Microsoft Excelに取り込み、標準エラー及び体積等の計算を実行した。
【0170】
実施例 19
センス損傷-誘導AteIF-5A-及びセンス成長AteIF-5A-タンパク質分画の生化学的分析、及びウェスタンブロッティング
センス成長AteIF-5A T2植物の各亜系由来の一番芝生葉を集め、上記のようにしてタンパク質を抽出した。系統1A、2A〜16A由来の総タンパク質を12% SDS-PAGEで分画し、PVDF膜に転写した。ブロットを1: 50希釈の成長AteIF-5Aで探知した。対照総タンパク質を野生型及び空のバイナリーベクター対照植物由来の一番芝生葉から抽出した。
【0171】
実施例 20
野生型コロンビアにおけるイヌシロナズナ翻訳開始因子5A(AteIF-5A)アイソフォームの発現
様々な組織を異なった発育段階で集め、これらの組織由来の抽出タンパク質をウェスタンブロッティングに使用した。図8のウェスタンブロッティングによれば、老化-誘導AteIF-5Aが2週齢ロゼット葉には存在せず、3週齢ロゼット葉内でアップレギュレートされ、5週まで多量に増加し、多量に減少するが、7週では存在し続けた。老化AteIF-5Aは、PEG植物又は対照では検出されなかったが、花レーン(老化花を含む)及び胎盤葉組織の老化を反映する養分吸収種子レーンには、存在した。損傷-誘導AteIF-5A抗体でブロットを探知した場合、長角果、養分吸収種子及び茎レーンでは薄いバンドが現れた。長角果及び茎レーンで見られたバンドは、組織の回収が起こる損傷に起因する。長角果及び茎の回収は困難なため、それらは瞬時に冷凍しなかった。これにより、AteIF-5Aの損傷-誘導アイソフォームのアップレギュレーションが可能になる。ブロットを成長AteIF-5Aで探知した時に現れた唯一のバンドは、養分吸収種子であった。これは細胞分割に関連するアイソフォームであることに留意されたい。
【0172】
非処理、又はMgCl2、avr P.syringaeもしくはvir P.syringaによるモック接種処理した植物を、いくつかの時点で集め、病原体進入の間、AteIF-5A発現を分析した。avr株はその植物で分かり、感染領域で細胞死又は壊死を引き起こす過敏反応を誘導し、その結果、病気を引き起こす病原体を受け入れない。更に、局所的反応は終には全身性反応になり、更なる進入から植物を保護する。これは、全身獲得抵抗性(SAR)として知られ、病原性反応(PR)遺伝子として公知の一組の遺伝子の発現に関連する。一方、vir株は、その植物では分からず、敏感反応を誘導せず、病気を引き起こすだろう。シロイヌナズナの病気状態は、感染数日後に葉を黄色くし、細胞死を招く。処理後72時間では、対照植物、モック処理植物、avr処理植物及びvir処理植物を、3種のAteIF-5A抗体を用いるウェスタンブロッティング用に集めた(図9)。この時点で、SAR及び病気は、avr処理植物及びvir処理植物でそれぞれ観察された。老化-誘導AteIF-5A抗体で探知した場合には、全ての試料で比較的同一のバンドが観察された。老化アイソフォームが図9では3週での開始が見られたため、全ての植物が4週齢であることから、驚きはなかった。ブロットを次に損傷-誘導AteIF-5A抗体で探知した場合には、未処理、モック処理及びavr処理植物で薄いバンドが検出され、vir処理植物では強いバンドが検出された。損傷アイソフォームのこのアップレギュレーションは、病気によって起こる細胞死に起因する(細胞損傷型でもある)。成長AteIF-5Aによってブローブしたブロットは、何らバンドを示さなかった、そのため、この図には含まれていない。老化-誘導AteIF-5Aは処理中に発現に変化を起こさなかったので、自然的老化への特異性を示す。損傷-誘導AteIF-5A発現の増加はまた、損傷による死へのその特異性を示す。この可能性を更に試験するために、シロイヌナズナの損傷葉を用いて実験を行った。
【0173】
損傷実験は、病原実験と同様な結果を示した(図10)。老化-誘導AteIF-5A、損傷-誘導AteIF-5A及び成長AteIF-5Aの翻訳変化を示すために、ノーザンブロッティングを用いた。プローブはAteIF-5Aの各々に特異的であり、各々の3'UTRから成っていた。4週齢植物であり、試料は9時間毎に採取したに過ぎなかったため、病原実験のように、老化-誘導AteIF-5A発現は変化しなかった、ことが観察された。これはまた、老化-誘導AteIF-5Aが自然老化特異的アイソフォームであることと一致した。しかしながら、損傷-誘導AteIF-5Aの発現は、9時間後には増加しなかった。転写物がかなり構成的であるようなので、おそらく翻訳制御が起こるためであろうが(図10)、タンパク質は、誘導されない場合には高度に発現しないようである(図9)。成長AteIF-5Aの転写物は、全ての試料中で僅かに検出することができ、損傷後の発現では減少を示した。
【0174】
実施例 21
3種のeIF-5Aアイソフォームを過剰発現する形質転換イヌシロナズナ植物の生産
AteIF-5AをPCRによりゲノムDNAから単離した(図11)。生成物をpGEMにライゲートし(図12)、配列をインプランタで過剰発現に好適であることを証明した。損傷-誘導AteIF-5A及び成長AteIF-5Aは、XhoI及びSacIでpGEMから二重消化し、カリフラワーモザイクウイルス35S2プロモーpKYLX71の後に、センス方向にライゲートした。ポジティブライゲーションを消化及びPCRにより確認した(図13)。次いで、シロイヌナズナ野生型のコロンビア生態型の真空浸潤により、形質転換のため、pKYLX71: 老化-誘導AteIF-5A及びpKYLX71: 成長AteIF-5Aをアグロバクテリウム ツメファシエンス GV3010に、エレクトロポレーションした。植物形質転換後に、種子を集め、カナマイシン含有MSプレートで形質転換体を選択した。
【0175】
損傷-誘導AteIF-5A(センス損傷-誘導AteIF-5A)を過剰発現するシロイヌナズナ植物
T1世代植物を50μg/mlカナマイシンを含むMSプレートに播き、4℃で3日間保存し、7日間生育チャンバーにおいた(図14)。土に移植した14形質転換体があった。これらの14のT1世代植物の一般的表現型は、成長が止まった。系統1、4、6、8、10、11、12、13及び14を成長が顕著に止まり、6、8、10、13及び14は、種子を形成しなかった。系統2及び3は、適度に成長が止まったが。系統5、7及び9は野生型植物と同様に成長した(図15及び16)。センス損傷-誘導AteIF-5A植物のT1世代で観察されたいくつかの他の表現型は、葉が黄色、子葉が紫色、葉が曲がっており、花の形も異なっていた。興味深いことに、止まった成長の外観は、植物を土に移植するまでは観察されなかった。これは、移植の間に、根が少し傷付き(避けられない移植の結果)、回復することができなかった、ことにより説明できるだろう。事実、種子をカナマイシン溶液に漬け、土に直接播いた予備実験では、成長が止まった植物は観察されなかった(しかしながら、以前は、70%の植物は生長がある程度止まった)。根の損傷は移植とは無関係ではないからである。
【0176】
系統1、2、3、4、5、7、8、11及び12は、T2種子を形成し、完逐した(図17)。各T2系統は、系統12を除いて、1形質転換体しか生じないA〜Hの亜系を有し、現在分析中である。
【0177】
成長AteIF-5A(センス成長AteIF-5A)を過剰発現するシロイヌナズナ植物
センス成長AteIF-5AのT1世代種子を選択性培地で生育し、16形質転換体が成長した(図18)。形質転換体をその生存中、写真に撮った。表現型は同種から野生型(系統1、2、5、6、7、8、10、11、12、13、14、15及び16)へと変化し、適度に成長が止まりかつ黄色になった(系統2、4及び9;図19)。全ての系統はT2まで到達し、各系統は8亜系標識A〜Hを有した。系統12はT2で形質転換体を形成せず、野生型であると考えられた。T2世代植物は、T1世代植物の表現型よりもかなり強い表現型を有した。T3まで達した系統については詳細に考察する。
【0178】
センス成長AteIF-5A T2世代系統は、成長AteIF-5A導入遺伝子の発現レベルに従う群で特徴付けられた。各系統由来の芝生葉から抽出したタンパク質で、ウェスタンブロッティングを行った(図20)。ほとんどの亜系A〜Hは系内の類似の表現型を明示するので、ウェスタンブロッティングは各系統の亜系について行うのみで、成長AteIF-5Aの発現レベルの一般的概要を得ることができた。野生型植物及び空のバイナリーベクターを含む植物の芝生葉由来のタンパク質をゲル上で対照として用いた。これらの亜系で観察された発現レベルは、高(系統1、2、3、10、13)、中(系統4、5、6、15)、低(系統7、8、9、14)又は無し(系統11、16、野生型及びバイナリー対照)に分類することができる。ブロットを老化-誘導AteIF-5A及び損傷-誘導AteIF-5Aに対する抗体でも探知した。これらのウェスタンは、いずれのアイソフォームもわずかな量でしか検出されなかったことから、センス成長AteIF-5A系統の発現増加が成長AteIF-5Aに起因し、他のAteIF-5Aアイソフォームの一般的アップレギュレーションには起因しない、ことを示唆した。これは、抗体特異的アイソフォームが許容される、ことも示した。
【0179】
T3世代まで達するセンス成長AteIF-5A系統を、表現型及び成長AteIF-5Aの発現レベルに基づいて選択した(表各系統内の表現型の概要については1を参照)。発現レベルの各カテゴリーから2系統を選択した。おそらく完逐する系統は1A、2D、4D、15A、8D、9H、11C及び16Cである。
【0180】
図20のウェスタンブロッティングによれば、系統1は高度の成長AteIF-5A発現を有する。これらの植物は大きく、濃い緑ロゼットを有し、野生型植物に比べて葉がほとんど丸い(図21)。系統1のロゼットはまた、葉が全て同じ方向に曲がっている螺旋状の表現型を有する。これらのセンス成長AteIF-5A植物は野生型よりも若干遅れて萎れた。系統2はまた、高度の成長AteIF-5A発現を明らかにしたが、植物が小さくかつ黄色系統1とは異なった(図22)。系統2植物も野生型及びバイナリー対照植物よりも遅れて萎れ、その萎れは少なく(約半分)、長角果はほとんどなかった。
【0181】
中度の発現系統の中で、系統4は、野生型及びバイナリー対照植物の数日前に萎れたようであるが、葉/ロゼットサイズの点及び萎れサイズの点で、野生型に類似しているようだった。成長AteIF-5Aが中程度に発現する第二系統は、系統15である、これらの植物は、系統4と類似し、野生型に非常に類似するが、ロゼットが占める領域はは対照よりも大きかった(図23及び24)。ロゼットはまた、対照よりも先端が丸いようであった。しかしながら、その一束(bolts)は、特殊な表現型を有するようには見えなかった。
【0182】
T3まで達するだろう低発現センス成長AteIF-5A系統は、系統8及び9である。系統8は、対照植物に比べて大きな葉及び大きなロゼットを有した(図25)。葉はまた、対照植物よりも幅広くかつ丸いようであった。萎れる時期、束のサイズ及び数は対照と一致しているようであった。センス成長AteIF-5A系統9は、系統8と葉の形状が類似したが、かなり黄色で小さかった(図26)。系統2(高発現系統の1つ)では、これらの植物は成長が止まり、束が短かったが、系統2とは異なり、系統9は対照植物とほぼ同じ時期に萎れた。
【0183】
ウェスタンブロッティング(図20)に従うセンス成長AteIF-5A植物の2つ系統の11及び16では、成長AteIF-5Aの発現はアップレギュレートされなかった。これは、導入遺伝子及び内因性遺伝子のコサプレッションに起因する。これらの植物は対照に類似するように見えるが(図27及び図28)、いくつかの理由により、導入遺伝子が系統11及び16のゲノムに組み込まれる、と考えられる。第一に、これらの植物は、カナマイシン含有MSプレートによる選択によって証明されるように、カナマイシン耐性を有する。第二に、系統16(図28)のロゼット葉サイズ、葉サイズ及び束サイズは、少なくとも対照よりも50%大きい。しかし、最も強力な証拠は、それらが形成するT3種子の大きさ及び組成にある。
【0184】
T2センス成長AteIF-5A植物の全ての系統について、T3種子を測定した。各系統(図29で最大に強調したところ及び最小に強調したところ)について写真を撮り、校正に用いる写真内のマイクロマーターによってin silicoで測定を行った。各系統及び対照について、視界領域内の最大種子の内の10を測定し、校正に使用した。高発現系統2は、野生型及びバイナリー対照の最高3倍の種子を有していたことが見出された。しかしながら、最も低い発現(系統11及び16)が、野生型及びバイナリー対照種子の約88%のサイズに過ぎない最小種子をいくつか有していた、ことが当該系統により明らかとなった。各系統の平均種子サイズをnm3(図30)で示し、シロイヌナズナ由来の種子がほぼ楕円であるため、楕円体積の方程式を用いて計算した。対照種子の測定サイズは、Boyes他により決定された公表指針を満たした(2001)。個々の種子の測定サイズ及び総種子収量(重量及び体積)から、平均的な個々の種子重量を計算し、プロットした(図31)。対照種子のサイズとは異なったサイズであることが分かったほとんどの系統はまた、個々の種子重量の点で同じ傾向を有していたようである。事実、種子重量を種子サイズ(体積)に対してプロットした場合、相関は、R2=0.7412でほとんど直線的であった。5系統は値が外れ、濃度が増加するか(その内の3)又は減少した(その内の2)。濃度が増加した系統の内の1つは、8Dであり、T3世代に到達するだろう。全てのT2世代植物由来の総種子収量はかなり変動し、傾向が見られなかった。しかしながら、1つの注目すべき系統は、中程度発現センス成長AteIF-5A系統4Dであり、最大種子(重量及び体積)を形成した。事実、4Dは、対照植物の2.5倍以上を生成し、T3まで到達するだろう。
【0185】
T3種子を先に述べた選択培地に播いた。系統1A、2D、4D、15A、8D、9H、11C及び16Cを土に移植した。センス成長AteIF-5A系統1のいくつかの他の亜系は発芽せず、全ての亜系の内で最大種子を有する系統2Hも発芽しなかった。系統11(コサプレッション系統の1つ)由来の植物は、この年齢で典型的に見られるような健康ではなかった。これらの種子は測定した最小の内の1つでもあった。全ての系統から発芽しない非カナマイシン耐性植物、及び種子が存在したため、これらの系統はなお相違しているようである。同じ方法で処理した対照種子は全て発芽したため、これは、おそらく導入遺伝子の副作用であり、技術の問題ではない。
【0186】
実施例 22
アラビドプシスセンス-誘導eIF-5Aの特徴付け
完全長アラビドプシス老化-誘導eIF-5Aの取得方法
アラビドプシスcDNAライブラリ由来のeIF-5A遺伝子をPCRするために、いくつかの植物eIF-5A遺伝子に基づく縮退プライマーをベクタープライマーT3及びT7と組み合わせて使用した。特に、(ライブラリベクターのF5A遺伝子の上流に位置する)T3プライマー及び下流(リバース方向)縮退プライマーの1つを用いるPCR反応から、eIF-5A遺伝子の5’領域を得た。同様に、(ライブラリベクターのF5A遺伝子の下流に位置する)T7プライマー及び上流(フォワード方向)縮退プライマーの1つを用いるPCR反応から、当該遺伝子の3’領域を得た。完全長eIF-5Aを当該遺伝子の5’領域及び3’領域の配列分析から得た。
【0187】
各PCR反応には2〜3の生成物が主に存在した。これらの断片をpBluescriptプラスミドにクローニングし、配列決定した。eIF-5AポジティブPCR断片を、遺伝子バンクと対照して、マッピング解析により同定した。アラビドプシスの1上流及び1下流ポジティブeIF-5A PCR断片のみが存在した。
【0188】
5'及び3'PCR断片塩基配列決定の結果に従って、アラビドプシスeIF-5A遺伝子に特異的な5’-及び3’-末端プライマーを設計した。その特異的5’-及び3’-末端プライマー、及び対応するcDNAライブラリを鋳型として用いるPCR反応から、完全長アラビドプシスeIF-5A遺伝子を得た。完全長遺伝子を塩基配列決定により更に確認した。最後に、我々は、老化-誘導eIF-5Aと称する1つのアラビドプシスeIF-5Aアイソフォーム遺伝子をクローニングした。
【0189】
T3及びT7プライマー:
T3: 5'-ATT AAC CCT CAC TAA AG-3'
T7: 5'-AAT ACG ACT CAC TAT AG-3'
【0190】
アラビドプシスeIF-5Aの縮退プライマーA:
フォワード(上流)プライマー: 5'-AAA RRY CGM CCY TGC AAG GT-3'
リバース(下流)プライマー: 5'-TCY TTN CCY TCM KCT AAH CC-3'
【0191】
アラビドプシスアンチセンス完全長老化-誘導eIF-5AのpKYLX71ベクター(SAG12プロモーターを含む)へのサブクローニング
アラビドプシス老化-誘導eIF-5A、アンチセンス完全長構築物用の特異的(ホモローグ)プライマー:フォワード完全長老化誘導eIF-5Aプライマー(30-マー):5'-CCGAGCTCCTGTTACCAAAAAATCTGTACC-3' (注:下線部分は、マルチクローニングサイト(MCS)内のSacI部位にPCR断片の5'-末端をライゲートするために用いるSacI認識配列である)。リバース完全長老化誘導eIF-5Aプライマー(36-マー):5'-ACCTCGAGCGGCCGCAGAAGAAGTATAAAAACCATC-3' (注:下線部分は、マルチクローニングサイト(MCS)内のNotI部位にPCR断片の5'-末端をライゲートするために用いるSacI認識配列である)。
【0192】
pBluescriptベクターのMCS内のSacI及びNotI部位の方向は、当該遺伝子をそのアンチセンス方向にサブクローニングする方向である(すなわち、NotI部位はSacI部位の上流である)。
【0193】
実施例 23
SAG 12プロモーターをアンチセンス老化-誘導アラビドプシス完全長eIF-5Aを発現するために使用した
実験的証拠によれば、一組の「老化-関連遺伝子」又はSAGの転写は、老化の始まりでは増加する(Lohman他, 1994; Weaver他, 1998)。事実、老化は新規mRNAの合成及びおそらく他のmRNAのダウンレギュレーションで始まるようであり、タンパク質の選択的合成が老化に必要であることを示している(Nooden, 1988)。葉老化プログラムが遺伝子発現の変化を伴うことは、in vitro翻訳後に、翻訳可能なmRNA群で起こる変化を検出するためにゲル電気泳動を用いることにより、Watanabe及びImaseki(1982)によって初めて証明された。この最初の研究及び次のin vitro翻訳タンパク質解析により、老化の進行中にほとんどのmRNAがかなり減少したが、他の翻訳可能なmRNAは増加した、ことが分かった(Watanabe及びImaseki, 1982; Davies及びGrierson, 1989; Becker及びApel, 1993;Buchanan-Wollaston, 1994; Smart他, 1995)。老化葉組織のmRNAから作製したcDNAライブラリのディファレンシャル・スクリーニングは、多くの遺伝子の発現はダウンレギュレートされるが、他の遺伝子の発現は老化の間にはアップレギュレートされる、ことも証明した。ASGは、多数の植物種、例えば、アラビドプシス(Hensel他, 1993; Taylor他, 1993; Lohman他, 1994; Oh他, 1996)、アスパラガス(King他, 1995)、大麦(Becker及びApel, 1993)、セイヨウアブラナ(Brassica napus)(Buchanan-Wollaston, 1994)、トウモロコシ(Smart他, 1995)、ダイコン(Azumi及びWatanabe, 1991)及びトマト(Davies及びGrierson, 1989; Drake他, 1996)から同定した。
【0194】
老化は、葉の縁に始まり最後には葉脈に達する特徴的な傾向の葉黄変として、形態学的に特定することができる(Weaver他, 1998)。シロイヌナズナロゼット葉の目に見える老化は、発芽後約21日らしく、その時点でのSAG 12の劇的なアップレギュレーションがある(Noh an Amasino, 1999)。SAG 12は、自然の老化に最も特異性を有する遺伝子であり、そのため、老化マーカーと称される。若葉では検出可能な発現はく、SAG 12は約20%黄変した後に、より老葉で誘導されるが、黄変を誘導しない処理によっては誘導することができない(Weaver他, 1998)。自然老化のその高特異性は、SAG 12遺伝子産物がシステインプロテアーゼとの類似性を示し、老化の間にタンパク質新陳代謝に関連する、という事実によって説明することができる(Lohman他, 1994; Weaver他, 1998)。
【0195】
トランスジェニック植物の説明
トランスジェニックアラビドプシス植物を、SAG 12 (葉老化-特異的)プロモーターの制御の下で完全長アンチセンス老化-誘導eIF-5A導入遺伝子を発現させて得た。このプロモーターは、自然の葉老化の初期、発芽後約21日に活性化される(Noh及びAmasino, 1994)がストレス-誘導老化事象には存在しない。この時点で、トランスジェニック植物は、抑制完全長老化-誘導eIF-5A発現に特徴的な表現型を発現する。3〜8週齢トランスジェニック・アラビドプシス・アンチセンス完全長老化-誘導eIF-5A植物から、ロゼット葉を収穫した。
【0196】
SAG12プロモーターの制御下での異型トランスジェニックアンチセンス-誘導eIF-5Aシロイヌナズナ植物の生産方法
SAG12-アンチセンス完全長老化-ュ動eIF-5A構築物のpKYLX71への挿入
第一に、プラスミドpKYLX71をEcoRI及びHindIIIで切断し、その二重35Sプロモーターを除いた。得られた粘着性末端をクレノウ酵素で補い、平滑末端を得た。pKYLX71をプロモーターなしでライゲートし、プラスミドを再環化させた。
【0197】
第二に、以下のSaII及びXbaIを含むプライマーを用いるPCRにより、アラビドプシスSAG 12プロモーターをゲノムDNAから増幅した。次いで、このプロモーター配列を、制限酵素SaII及びXbaIを用いて、pBlueScriptのマルチクローニングサイト(MCS)に挿入し、T4 DNAリガーゼでライゲーションした。
【0198】
フォワードSAG 12プライマーは、5'-GGCCGTCGACGATATCTCTTTTTATATTCAAAC-3' (下線部分は、pBlueScriptのマルチクローニングサイト(MCS)内のSaII部位にPCR断片の5'-末端をライゲートするために用いるSaII認識配列である)であり、リバースSAG 12プライマーは、5'-CGTCTAGACATTGTTTTAGGAAAGTTAAATGA-3' (下線部分は、pBlueScriptのマルチクローニングサイト(MCS)内のSacI部位にPCR断片の5'-末端をライゲートするために用いるXbaI認識配列である)であった。
【0199】
第三に、pBlueScript-SAG 12:アンチセンス完全長老化-誘導eIF-5A構築物を作製するために、以下に述べるように、SacI及びXbaI制限部位を有するプライマーを用いるアラビドプシスcDNAライブラリから、PCRによって、完全長老化-誘導eIF-5Aを増幅し、前項で述べたpBlueScript-SAG 12にサブクローニングした。pBlueScript-SAG 12ベクターのMCS内のSacI及びXbaI部位の方向は、その遺伝子をアンチセンス方向にサブクローニングする方向である、ことに留意されたい(すなわち、NotI部位はSacI部位の上流である)。
【0200】
フォワード完全長老化-誘導eIF-5Aプライマーは、5'-CCGAGCTCCTGTTACCAAAAAATCTGTACC-3' (注:下線部分は、pBluescript-SAG 12ベクターのマルチクローニングサイト(MCS)内のSacI部位にPCR断片の5'-末端をライゲートするために用いるSacI認識配列である)である。リバース完全長老化-誘導eIF-5Aプライマーは、5'-ACCTCGAGCGGCCGCAGAAGAAGTATAAAAACCATC-3' (注:下線部分は、pBluescript-SAG 12ベクターのマルチクローニングサイト(MCS)内のSacI部位にライゲートするために用いるNotI認識配列である)である。
【0201】
最後に、バイナリーベクターpKYLX71内で、pKYLX71をSacI及びXhoIで消化し、更にSaII及びSacIを有するpBluescriptから、SAG 12:完全長老化-誘導eIF-5Aカセットを切り出すことにより、所望の構築物を作製した。
【0202】
XhoI及びSaII粘着末端は、部分的に相補的である。従って、これらの2組の消化突出(特に、SacIを有するSacI、SaIIを有するXhoI)は、T4DNAリガーゼでライゲートすることができ、最終構築物を生成した(SAG 12:アンチセンス老化-誘導eIF-5Aを含むpKYLX71)。
【0203】
形質転換及びT1種子採取
pKYLX71-SAG 12:アンチセンスeIF-5A構築物をE. coli DHα細胞内で増殖させ、単離し、コンピテントアグロバクテリウム株にエレクトロポレーションした。次いで、4.5週齢の野生型アラビドプシス植物を浸潤するためにバクテリアを用いた。得られた浸潤植物を「To」植物と表した。これは、そのライフサイクルの最後まで生育した。種子を採取し、回収し、T1種子と表した。10プレートのT1種子を播き、対照として野生型を用い、カナマイシン耐性(1/2 MS塩及び50μgカナマイシン/mL)を選別した;pKYLX71-SAG 12老化eIF-5A構築物を含むT1種子のみが生存し、カナマイシン(K50)培地で生育した。これらのプレートから24個のT1苗木を選び、土に植えた。T1トランスジェニック植物から採取した種子をT2種子として標識した。各苗木は1植物系統を与えた(#1=1植物を含む1系統、#2=1植物を含む1系統など)。
【0204】
表現型のスクリーニング及び同定
カナマイシン耐性T1種子を一旦同定した場合には、次世代T2、T3及びT4植物が生育した。K50培地での種子のスクリーニングにより、遺伝子構築物の遺伝を受け、当該構築物と同型である植物を識別することができた。鉢で生育した時には、成長が止まった表現型発現は、T3植物系統で観察された。しかしながら、同じ種子群が同一の条件下で再度生育する場合には、表現型は観察されなかった。
【0205】
24個のT1植物から、4系統を高種子収量に基づいて選択し(系統T2.14、T2.18、T2.19及びT2.23)、対照として野生型を用いるK50培地に播いた。各系統では、約75%の種子がK50培地で生存し、これを小、中及び大の大きさに分類した。各系統で、中苗木及び大苗木をプレートから除き、土に植えた。温室条件下では、小苗木は、中及び大苗木ほどは早く回復しなかった。6週間で、小植物は萎れの兆候を見せ始めたが、他の植物は既に萎れて花を咲かせた。全体的には、(全部で3系統×8植物=96トランスジェニックの内)6個のトランスジェニックT2植物は、萎れが劇的に遅いことが明らかとなり、「萎れが遅い」植物であると考えた。これらの植物の種子収量は、劇的に他のトランスジェニックよりも低かった。
【0206】
96個のT2植物から、3系統を選択し、T3植物を生産した(萎れが遅いT3.19.S8及びT3.14.L7;及び萎れが遅くないT3.23.S3)。K50培地プレートに播いた場合、これらの系統は同型接合型生存を示した。13苗木を鉢に移え変えた(10苗木/鉢)。この植物群から、劇的に小さい表現型がT3.14.L7植物系統で観察された。T4種子を集めると、当該系統では種子収量が更に低かった。系統T3.19.S8では、成長が密集(長角果の成長が密集し、枝が多い)表現型が観察され、同時に系統T3.23.S3では、野生型に類似の表現型が観察された。3トランスジェニック系統由来の種子サイズを比較したが、統計的有意差は測定されなかった。クロロフィルレベルも分析したが、野性型と比べて、統計的有意差は測定されなかった。
【0207】
系統T3.19.S8、T3.14.L7及びT3.23.S3のT4種子をK50で選別し、次世代植物を得た。枯れた野生型種子と比べて、遺伝子構築物の遺伝が受け継がれた証拠であった(プレートでの一様の青々とした成長)。しかしながら、一個一個低地に植えた場合には、小さな表現型は発現せず、eIF-5Aアンチセンス導入遺伝子が喪失したことを示した。最後に、全てのT5植物から集めた種子をK50で選別して、カナマイシン耐性であることが分かった。アンチセンス導入遺伝子が喪失し、T4植物が不対性であることを確認するための研究が進行中である。
【0208】
母系統T2.14、T2.19及びT2.23から、8娘系統を選択し、対照として野生型を用いてK50培地で選別した。3系統を低種子収量の点から選択した:T3.14.L8、T3.14.S8及びT3.23.S1。選んだ他の5系統は、T3.18.S7、T3.18.S2、T3.19.S1、T3.19.S5及びT3.23.S6である。K50倍地で選別した全ての系統は、同型接合型生存を示し、同時にT3.14.L8、T3.14.S8及びT3.23.S6は異種接合型生存を示した。生存した系統T3.14.L8及びT3.14.S8由来の苗木は、白く、葉脈組織が緑色であり、生存した系統T3.23.S6由来の苗木は、全体的に濃い緑色であった。これらの苗木を移植用に選択した。全部で、各系統から28苗木を細胞に移植し、温室条件で育てた。
【0209】
3週間で、全ての系統は、系統T3.14.L8及びT3.23.S1、及び系統T3.18.S7、T3.18.S2、T3.19.S1、T3.19.S5、T3.23.S1及びT3.23.S6の内のいくつかの植物を除いて、萎れ始めた。不規則なロゼット葉形態(葉の表現型の第二対が伸びた)が、系統T3.14.L8及びT3.14.S8で観察された。5週では、多数のロゼット葉及び縁に皺があるロゼット葉という更に不規則な葉形態も、系統T3.18.S7及びT3.23.S6で観察された。野生型よりも小さいロゼットも系統T3.23.S1、T3.19.S1及びT3.19.S5で観察された。7週では、系統T3.18.S7、T3.18.S2、T3.19.S1、T3.19.S5、T3.23.S1及びT3.23.S6で、茎が細くなり、茎の伸びは観察されなかった。老化eIF-5Aタンパク質発現の試験のために、各植物の第一及び第二芝生葉を5週及び6週でそれぞれ回収した。
【0210】
実施例 24
酸素生産量の測定
葉を採取し、面積を測定した後、重量を測定した。1 mLの冷脱ガス粉砕緩衝液、乳鉢及び乳棒を用いて、葉を細粉体に粉砕した。次いで、ホモジネートをエッペンドルフチューブに移し、直ちに氷上に置いた。トマト葉については、単離したホモジネートを1枚のMiraclothによって濾過した。
【0211】
全ての試料由来の50 μlのホモジネートを、5 ml粉砕緩衝液及び25 μl DCPIP(2,6-ジクロロフェノール インドフェノール)。試料を十分に攪拌し、次いで、1対のランプの照明下に15分間置き、第二試料群を暗闇に15分間置いた。15分間のインキュベーション後、反応を停止するために、50μlのDCMU(3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチルウレアを両試料群に加え、マイクロ遠心機で2分間、14,000gで遠心した。ブランクとして粉砕緩衝液を用いて、集めた上清の吸光度を590 nmで測定した。
【0212】
このアッセイのモル減衰係数は、16 x 103であり、これは、1 mol/lの濃度の変化が、DCPIP 減少/時間/mlの溶液の吸光度を、16 x 103 μmolのDCPIP 減少/時間/mlの溶液の吸光度 = (吸光度差) x [1/16 x103(mol/1)] x [反応体積(ml)/103 (ml/l)] x [106 (μmol/mol)] x [60 (分/時間) /反応時間(分)] x [1/試料体積(ml)]、変化させることを示す。
【0213】
2 molのDCPIPが減少すると、1 molの酸素が生成する。参考文献:Allen J. F.及びHolmes N. G., 1986 Electron Transport and Redox Titration s in Photosynthesis: Energy Transduction。M. F. Hipkins & N. R. Baker.著, IRL Press, Oxford, Pp107-108。
【0214】
実施例 25
デンプンの定量的測定
Lustinec他の方法により、トマト茎のデンプン量を測定した。ガラス繊維紙を用いる植物組織中のデンプン、アミロース及びアミロペクチンの定量的測定。Anal. Biochem. 132: 265-271 (1983)。トマト茎組織をOmnimixer (12レップ/5秒)、次いでPolytronホモジナイザー(30秒)を用いて3倍容の水で均質化した。ホモジネートを-20℃で10 mlのアリコートで保存し、分析した。分析には、10 mlホモジネートを解凍し、同量の濃過塩素酸(HClO4,70% w/w)と混合し、室温で20分間インキュベートして、デンプンを溶解した。同時に、ジャガイモデンプンのいくつかの溶液(0.1〜1.0 mg/mlの範囲)をトマト茎試料と平行して処理し、標準曲線を作成した。
ホモジネート(又はジャガイモデンプン標準溶液)を攪拌し、アスピレータに取り付けた真空フラスコを用いて、Whatman GF/Aガラスマイクロファイバー紙(9.0 cm径)でろ過した。1mlのろ液を3mlのヨウ素溶液A(8 mM I2, 17 mM KI, 514 mM NaCl)と混合し、4℃で30分間インキュベートし、デンプン-ヨウ素沈殿を形成した。沈殿をアスピレータに取り付けた真空フラスコを用いて、Whatman GF/Aガラスマイクロファイバー紙(9.0 cm径)で集め、次いで、ろ液を以下の溶液で洗浄した:10 mLヨウ素溶液B(83 mM I2, 180 mM KI, 8%過塩素酸[HClO4])で1回;5 mLエタノール-NaCl溶液(67%エタノール, 342 mM NaCl)で1回;3 mlエタノール-NaOH溶液(67%エタノール, 250 mM NaOH)で3回。エタノールを濃縮後に、マイクロファイバー紙をアスピレータから除き、ネジで留めたガラス管に挿入した。硫酸[H2S04](9 mLの0.75 M溶液)をこのガラス管に加え、沸騰水浴中で30分間インキュベートした。3つの1 mL-溶出液アリコートをガラス試験管にピペットでとり、1 mLの5%フェノールと混合し、直ちに5 mLの濃H2SO4を加えた。試験管をボルテックスし、室温で30分間インキュベートし、発色させた。同時に、分光光度計測定用のブランクを、1 mLの0.75 M H2SO4を1 mLの5%フェノールと混合し、直ちに5 mL濃H2SO4を加えて調製した;このブランクを更に室温で30分間インキュベートした。ブランクを用いて分光光度計を480nmに校正し、全ての試料及びジャガイモデンプン標準のO.D.を測定し、記録した。ジャガイモデンプン溶液を用いて標準曲線を作成し、各試料中のデンプン量を内挿するために用いた。
【0215】
実施例 26
シロイヌナズナ(コロンビア生態型)を、シロイヌナズナ センス老化-誘導eIF-5A(AteIF-5A)及びトマト センス老化-誘導eIF-5A遺伝子により各々形質転換した。これらの遺伝子をトランスジェニク植物のライフサイクル全体で構成的に発現した。これらの植物の花房茎は、木質部が顕著な成長を示した。図89〜94を参照。
【0216】
トランスジェニク及び対照植物の種子を1/2 MS培地アガープレートに播き、22℃、80% rh及び16時間明/日の生育チャンバーで9日間、維持した。次いで、市販土を入れた32-ウェル-フラットに苗木を移し、上記と同一条件下で48日間、維持した。主な花房茎を顕微鏡観察で選択した。ロゼットより上の2mm以内のところを茎の底部から断面的に切断した。切断面をフロログルチノール-HCl法で染色した。この段階の茎木質部が最も発達していることを、我々は見出した。トランスジェニク及び対照植物を木質部のサイズ(切断面)で比較した。加えて、トランスジェニク及び対照植物の師部及び樹芯を測定した。
【0217】
組織面積の測定は次のように行った。切断面をZeiss顕微鏡で撮影し、顕微鏡写真をPhotoshop(商標)でデジタル化した。これらの画像を紙に印刷し、様々な組織をカットし、その面積を面積測定器で測定した。各組織の実際の面積を計算するために、以下の式を用いた:実際の面積 = (紙上の個々の組織面積)/(倍率)2
【0218】
従った、老化-誘導eIF-5Aは、木質部生成に関連するプログラムされた細胞死にも関係する、ようである。アラビドプシスにおける老化-誘導AteIF-5Aの構成的アンチセンス抑制は、花房茎の厚さ及び木質部細胞層の数を減少させた。対照的に、アラビドプシス又はトマト老化-誘導eIF-5Aが構成的に過剰発現した植物の花房茎は、平均で、対応する野生型植物のそれの1.7倍の厚さであり、花房茎の切断面当たりの全木質面積は2倍以上であった。過剰発現トランスジェニク植物はまた、ロゼット葉バイオマスが大幅に増え、野生型植物よりも早く成長した。これは栄養取り込みが増加したことを反映した。トマト由来のeIF-5Aの老化-誘導アイソフォームがアラビドプシス植物中で過剰発現した場合には、同一の表現型が観察された。これらの結果は総体的に、eIF-5Aの老化-誘導アイソフォームが葉及び花老化を調節するだけでなく、木質部生成にも関連する、ことを示す。
【0219】
実施例 27
デオキシハイプシン シンターゼの抑制は、周囲温度での予め包装されたカットレタスの褐変を遅らす
市販の予め包装サラダは、生産物の有効期間を延ばすために、酸素レベルが空気濃度以下を大きく下回る、制御された空気条件下で一般的に保存される。駄目になった予め包装されたサラダの最も一般的な兆候は、レタス表面の褐変である。制御された空気包装は褐変を遅らせることができるが、におい及び香りを失ってしまう。この試験では、デオキシハイプシン シンターゼ(DHS)のダウンレギュレーションが、レタスのカット表面の褐変を遅らせる代替的方法として有効である、ことが示された。DHSは、真核生物の翻訳開始因子5A(eIF-5A)の活性化を触媒し、mRNAの選択的集団のための核細胞シャトルタンパク質として働く。(アンチセンス技術による)DHS発現の抑制が空気条件下での褐変の開始の顕著な遅れをもたらす限り、DHSは、カットレタスの褐変に役割を果たしているようである。特に、野生型レタス植物のカット部分の80%は、カット後6日目に褐変を示したが、5分離系統由来のトランスジェニク植物では、カット部分の平均27%が、同じ期間に茶色に変化したにすぎず、いくつかの植物は0%の褐変を示した。図51及び53を参照。
【0220】
実施例 28
キャノーラにおけるデオキシハイプシン シンターゼの抑制は種子収量を増加させる
デオキシハイプシン シンターゼ(DHS)は、不活性真核生物翻訳開始因子-5A(eIF-5A)を、翻訳を促進可能な活性体に変換する、2種の酵素反応の一番目を仲介する。老化葉から調製したcDNA発現ライブラリから、キャノーラ(Brassica napus cv Westar) DHSをコードする完全長CDNAクローンを単離した。構成的カリフラワーモザイクウイルス(CaMV-35S)プロモーターの調節下で、キャノーラDHS cDNAのアンチセンス3'-UTRを発現させることにより、トランスジェニクキャノーラ植物内でDHSを抑制した。このアンチセンス導入遺伝子を発現する植物は、葉DHSタンパク質のレベルが低下し、自然葉老化が遅れた。DHS発現の抑制はまた、ロゼット葉のサイズを1.5〜2倍に増加させ、及び種子収量を90%まで増加させた。キャノーラにおけるDHS抑制のこの多面的効果は、アラビドプシスについて先に得られた結果(Wang他, 2003, Plant Mol. Biol. 52: 1223-1235)と一致し、このタンパク質が植物成長及び老化に中心的役割を果たしていることを示す。
【0221】
実施例 29
デオキシハイプシン シンターゼの阻害剤の投与及びデオキシハイプシン シンターゼの「アンチセンス抑制によるカーネーション花の花瓶寿命の延長
デオキシハイプシン シンターゼ(DHS)をコードする完全長cDNAクローン(AF296079)をカーネーション花弁から単離した。DHSは、不活性真核生物翻訳開始因子-5A(eIF-5A)を、翻訳を促進可能な活性体に変換する、2種の酵素反応の一番目を仲介する。ノーザン分析により、DHS発現がカーネーション花弁の老化に関連することが明らかとなった。DHS反応の阻害剤、例えばジアミノブタン(プトレスチン)、ジアミノプロパン、ジアミノへキサン、ジアミノオクタン及びスペルミジン、によるカーネーション切花の処理は、花の花瓶寿命を83%まで延長した。カーネーション老化におけるDHSの役割をより確実に評価するために、アグロバクテリウム形質転換による構成的カリフラワーモザイクウイルスプロモーターの調節下、カーネーションDHScDNAのアンチセンス3'-UTRを導入することにより、トランスジェニク植物内で、タンパク質発現を抑制した。低DHS発現を有する3系統のトランスジェニク花を分析し、野性型花に比べて長い花瓶寿命を有することを見出した。実際に、この系統の内の1つは、100%を越える花瓶での延長を示した。これらの発見は、DHSが花老化に中心的役割を果たしている、ことを示す。
【0222】
実施例 30
アラビドプシスにおけるデオキシハイプシン シンターゼの抑制により誘導される萎れが遅い表現型はGA3による処理によって助けられる
デオキシハイプシン シンターゼ(DHS)は、真核生物翻訳開始因子-5A(eIF-5A)の翻訳後活性化に必要な至る所に存在する酵素であり、通常の植物成長及び発育に不可欠であるようである。老化-特異的SAG 12プロモーターの調節下、完全長アンチセンスアラビドプシスDHS cDNAをトランスジェニク植物中で発現させることにより、DHSは、アラビドプシス内で抑制された。導入遺伝子を発現する植物は、葉DHSタンパク質レベルが低く、萎れが遅れ、更には葉老化の始まりにおいて目立った遅れ(2〜5週)を示した。これはバイオマス又は種子収量の減少をもたらすものではなかったが、束は短かった。トランスジェニック植物のGA3による処理は、萎れが遅い表現型を逆転させた。GCI、すなわちグルカコルチコイド-誘導可能プロモーターの調節下でのDHSのアンチセンス抑制によって、類似の表現型を得た。GCIは、デキサメタソン(DEX)の投与によって活性化することができる。更に、GA3の投与はこの表現型を助けた;すなわち、GA3-処理トランスジェニック植物は標準的に萎れ、その束は標準の大きさであり、葉老化の始まりに遅れはなかった。これらの結果は総体的に、アラビドプシスの3種のeIF-5Aアイソフォームの「内の1以上により、DHSがGA代謝に影響を与える、ことを示す。
【0223】
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【図面の簡単な説明】
【0224】
【図1】図1は、単離シロイヌナズナ老化-誘導eIF-5の3種アイソフォーム(系列1)(米国特許第6,538,182号明細書及び係属出願第09/725,019号に前に記載);損傷-誘導eIF-5A(系統2);及び成長eIF-5A(系統3)を示す。
【図2】図2は、3種のシロイヌナズナのコーディング領域アラインメントを示す。系列1は老化-誘導eIF-5Aであり、系列2は損傷-誘導eIF-5Aである。系列3は成長eIF-5Aである。
【図3】図3は、シロイヌナズナの老化-誘導eIF-5Aのゲノム配列を提供する。
【図4】図4は、シロイヌナズナの損傷-誘導eIF-5Aのゲノム配列を提供する。
【図5】図5は、シロイヌナズナの成長eIF-5Aのゲノム配列を提供する。
【図6】図6は、バイナリーベクターpKYLX71-35S2のマップである。
【図7】図7は、バイナリーベクターGEMS-T イージー ベクターのマップである。
【図8】図8は、コロンビア生態型シロイヌナズナ野生型の種々の組織内の全3種eIF-5Aアイソフォームのウェスタンブロットを示す。
【図9】図9は、コロンビア生態型シロイヌナズナ野生型の72時間後の感染葉の老化-誘導eIF-5A及び損傷-誘導eIF-5Aのウェスタンブロットを示す。
【図10】図10は、シロイヌナズナ野生型のコロンビア生態型の72時間後の、損傷葉における3種のeIF-5Aアイソフォームのノーザンブロットである。
【図11】図11は、レーン1、2及び3にそれぞれ、老化-誘導AteIF-5A、損傷-誘導AteIF-5A及び成長AteIF-5AのゲノムDNA由来のPCR産物を示す。
【図12】図12は、pGEM内の老化-誘導AteIF-5A、損傷-誘導AteIF-5A及び成長AteIF-5Aゲノム配列を含むアガロースゲルを示す。
【図13】図13は、pKYLX71内の損傷AteIF-5A、成長AteIF-5Aゲノム配列を含むアガロースゲルを示す。
【図14】図14は、センス損傷-誘導AteIF-5Aを有する構築物で形質転換した植物のT1プレートの写真である。
【図15】図15は、4週齢のセンス損傷-誘導AteIF-5Aで形質転換したT1植物の写真である。
【図16】図16は、5.5週齢のセンス損傷-誘導AteIF-5Aで形質転換したT1植物の写真である。
【図17】図17は、播種10日後のセンス損傷-誘導AteIF-5Aで形質転換したT2植物の写真である。
【図18】図18は、播種10日後のセンス成長AteIF-5Aで形質転換したT1植物の写真である。
【図19】図19は、4週齢のセンス成長AteIF-5Aで形質転換したT1植物の写真である。
【図20】図20は、センス成長AteIF-5A系列で形質転換したT2植物のウェスタンブロッティングである。
【図21】図21は、4週齢(上)、5週齢(左下)及び6週齢(右下)のセンス成長AteIF-5A(系列1A〜1D)で形質転換したT2植物である。
【図22】図22は、4週齢(上)、5週齢(左下)及び6週齢(右下)のセンス成長AteIF-5A(系列2A〜1D)で形質転換したT2植物である。
【図23】図23は、4週齢(上)、5週齢(左下)及び6週齢(右下)のセンス成長AteIF-5A(系列4A〜1D)で形質転換したT2植物である。
【図24】図24は、4週齢(上)、5週齢(左下)及び6週齢(右下)のセンス成長AteIF-5A(系列15A〜1D)で形質転換したT2植物である。
【図25】図25は、4週齢(上)、5週齢(左下)及び6週齢(右下)のセンス成長AteIF-5A(系列8A〜D)で形質転換したT2植物である。
【図26】図26は、4週齢(上)、5週齢(左下)及び6週齢(右下)のセンス成長AteIF-5A(系列9E〜H)で形質転換したT2植物である。
【図27】図27は、4週齢(上)、5週齢(左下)及び6週齢(右下)のセンス成長AteIF-5A(系列11A〜D)で形質転換したT2植物である。
【図28】図28は、4週齢(上)、5週齢(左下)及び6週齢(右下)のセンス成長AteIF-5A(系列16A〜D)で形質転換したT2植物である。
【図29】図29は、様々な植物系統由来のシロイヌナズナ種子の写真(野生型対照及びセンス成長AteIF-5Aで形質転換した植物系統を含む)である。
【図30】図30は、センス成長AteIF-5Aで形質転換した各植物亜系の平均種子サイズの棒グラフである。
【図31】図31は、センス成長AteIF-5Aで形質転換した各植物亜系の個々の種子重量の棒グラフである。
【図32】図32は、個々の種子重量と個々の種子体積との比例関係を示すグラフである。
【図33】図33は、センス成長AteIF-5Aで形質転換した各植物亜系の種子収量/植物を示す棒グラフである。
【図34】図34は、センス成長AteIF-5A植物の表現型の概略である。
【図35】図35は、(アンチセンス完全長老化-誘導eIF-5Aで形質転換した)アラビドプシス植物と野生型植物との比較を示す。トランスジェニック植物は老化が遅れた。
【図36】図36は、(アンチセンス成長eIF-5Aで形質転換した)植物の写真を示す。
【図37】図37は、(アンチセンス成長eIF-5Aで形質転換した)植物の写真を示す。
【図38】図38は、(アンチセンス成長eIF-5Aで形質転換した)植物の写真を示す。
【図39】図39は、アンチセンスシロイヌナズナ3'DHSを産生するベクターを構築するために用いたプライマーを示す。
【図40】図40はベクター構築物を示す。
【図41】図41は、アラビドプシスから単離した損傷因子eIF-5Aの配列、及びアンチセンス構築物の位置を示す。
【図42】図42はベクター構築物を示す。
【図43】図43は、プソイドモナス(pseudomonas)で接種した葉ディスクのプレート数を示す。
【図44】図44は、アンチセンストランスジェニック植物対野生型のCFUのグラフを示す。
【図45A】図45Aは、トマト葉DHS cDNA配列のヌクレオチド配列(配列番号1)、及びトマト葉cDNAライブラリから得た誘導アミノ酸配列(配列番号2)を示す。
【図46A】図46Aは、トマトDHS配列をアラビドプシス遺伝子バンクの非特定ゲノム配列と並べ合わせることによって得たアラビドプシスDHS遺伝子のヌクレオチド配列(配列番号5)を示す。アミノ酸配列の差は予測されるイントロンである。
【図46B】図46Bは、誘導アラビドプシスDHSアミノ酸配列(配列番号6)を示す。
【図46C】図46Cは、PCRにより得た600塩基対アラビドプシスDHS cDNAのヌクレオチド配列を示す。
【図46D】図46Dは、アラビドプシスDHS cDN断片の誘導アミノ酸配列を示す。
【図47】図47は、誘導完全長トマト葉DHSアミノ酸配列(配列番号2)及び完全長アラビドプシス老化-誘導DHS配列の、ヒト、酵母、菌類及びArchaeobacteriaのDHSタンパク質の配列との並列である。3又は4配列の内の同一アミノ酸をボックスで囲んだ。
【図48】図48は、トマトDHS cDNAの制限マップである。
【図49】図49は、トマト葉から単離し、32P-dCTP-標識完全長トマトDHS cDNAで探知したゲノムDNAのサザンブロッティングである。
【図50】図50は、種々の成長段階のトマト葉から単離したRNAのノーザンブロットである。上パネルは、全RNAのエチジウムブロミド染色ゲルである。各レーンは10 μg RNAを含む。下パネルは、32P-dCTP-標識完全長トマトDHS cDNAで探知したノーザンブロットのオートラジオグラフである。
【図51】図51は、32P-dCTP-標識完全長トマトDHS cDNAで探知した、種々の成長段階の成熟トマト果実から単離したRNAのノーザンブロットである。各レーンは10 μg RNAを含む。
【図52】図52は、2 Mソルビトールの6時間処理により日照りストレスを与えたトマト葉から単離したRNAのノーザンブロットである。各レーンは10 μg RNAを含んだ。ブロットを32P-dCTP-標識完全長トマトDHS cDNAで探知した。
【図53A】図53Aは、冷却温度に曝露したトマト葉から単離したRNAのノーザンブロットである。図53Aは、全RNAのエチジウムブロミド染色ゲルである。各レーンは10 μg RNAを含んだ。
【図53B】図53Bは、冷却温度に曝露したトマト葉から単離したRNAのノーザンブロットである。図53Bは、32P-dCTP-標識完全長トマトDHS cDNAで探知したノーザンブロットのオートラジオグラフである。
【図53C】図53Cは、冷却温度に曝露したトマト葉から単離したRNAのノーザンブロットである。図53Cは、葉透析物の導電率として測定した対応する漏出データである。
【図54】図54は、PolyA尾及び5'末端非-コーディング配列を含まない、カーネーションDHS完全長(1384塩基対)cDNAクローンヌクレオチド配列(配列番号9)である。誘導アミノ酸配列を以下のヌクレオチド配列(配列番号10)(373アミノ酸)で示す。
【図55】図55は、32P-dCTP-標識完全長アラビドプシスDHS cDNAで探知した、種々の段階のアラビドプシス葉から単離した全RNAのノーザンブロットである。オートラジオグラフを上に、エチジウム染色ゲルを下に示す。
【図56】図56は、種々の段階のカーネーション花の花弁から単離した全RNAのノーザンブロットである。ブロットを32P-dCTP-標識完全長カーネーションDHS cDNAで探知した。オートラジオグラフを上に、エチジウム染色ゲルを下に示す。
【図57】図57は、トマト果実老化-誘導eIF-5A遺伝子のヌクレオチド(配列番号11)(上)、及び誘導アミノ酸配列(配列番号12)(下)である。
【図58】図58は、カーネーション老化-誘導eIF-5A遺伝子のヌクレオチド(配列番号13)(上)、及び誘導アミノ酸配列(配列番号14)(下)である。
【図59】図59は、アラビドプシス老化-誘導eIF-5A遺伝子のヌクレオチド(配列番号15)(上)、及び誘導アミノ酸配列(配列番号16)(下)である。
【図60】図60は、種々の成長段階のアラビドプシス植物の葉から単離した全RNAのノーザンブロットである。ブロットを、32P-dCTP-標識完全長アラビドプシスDHS cDNA及び完全長老化-誘導eIF-5Aで探知した。オートラジオグラフを上に、エチジウム染色ゲルを下に示す。
【図61】図61は、成長のブレーカー(BK)、赤くて硬い(RF)及び赤くて柔らかい(RS)段階のトマト果実から単離した全RNAのノーザンブロットである。ブロットを、32P-dCTP-標識完全長DHS cDNA及び完全長老化-誘導eIF-5Aで探知した。EIF-5A及びDHSは、平行して果実の成熟が同時に起こる赤くて柔らかい果実でアップレギュレートした。オートラジオグラフを上に、エチジウム染色ゲルを下に示す。
【図62】図62は、ソルビトールで処理して日照りストレスを誘導したトマト葉から単離した全RNAのノーザンブロットである。Cは対照;Sはソルビトール処理。ブロットを、32P-dCTP-標識完全長DHS cDNA及び完全長老化-誘導eIF-5Aで探知した。EIF-5A及びDHSは、日照りストレスに反応してアップレギュレートした。オートラジオグラフを上に、エチジウム染色ゲルを下に示す。
【図63】図63は、トマト葉の花つぼみ及び開いて老化した花から単離した全RNAのノーザンブロットである。ブロットを、32P-dCTP-標識完全長DHS cDNA及び完全長老化-誘導eIF-5Aで探知した。EIF-5A及びDHSは、開いて老化した花でアップレギュレートした。オートラジオグラフを上に、エチジウム染色ゲルを下に示す。
【図64】図64は、冷却-損傷トマト葉から単離した全RNAのノーザンブロットである。ブロットを、32P-dCTP-標識完全長DHS cDNA及び完全長老化-誘導eIF-5Aで探知した。EIF-5A及びDHSは、再度暖めている間に冷却損傷の進行によりアップレギュレートした。オートラジオグラフを上に、エチジウム染色ゲルを下に示す。
【図65】図65は、3.1週齢のアラビドプシス野生型(左)、及びアンチセンス方向にDHS遺伝子(図80に記載の配列)の3’-末端を発現するトランスジェニック植物の写真である。後者はトランスジェニック植物内の葉サイズが拡大したことを示す。
【図66】図66は、4.6週齢のアラビドプシス野生型(左)、及びアンチセンス方向にDHS遺伝子(図80に記載の配列)の3’-末端を発現するトランスジェニック植物の写真である。後者はトランスジェニック植物内の葉サイズが拡大したことを示す。
【図67】図67は、5.6週齢のアラビドプシス野生型(左)、及びアンチセンス方向にDHS遺伝子(図80に記載の配列)の3’-末端を発現するトランスジェニック植物の写真である。後者はトランスジェニック植物内の葉サイズが拡大したことを示す。
【図68】図68は、6.1週齢のアラビドプシス野生型(左)、及びアンチセンス方向にDHS遺伝子(図80に記載の配列)の3’-末端を発現するトランスジェニック植物の写真である。後者はトランスジェニック植物内の葉サイズが拡大したことを示す。
【図69】図69は、DHS遺伝子をアンチセンス方向に発現する3種T1トランスジェニック アラビドプシス植物系列由来の種子収量の増加を示すグラフである。種子収量は種子体積として表わした。n=30のSEを野生型植物について示す。
【図70】図70は、DHS遺伝子の3'-末端(図80に示した配列)をアンチセンス方向に発現するトランスジェニックトマト植物(左)、及び野生型植物(右)の写真である。トランスジェニック植物では、葉の大きさが拡大し、植物サイズが増したことを示す。写真は、苗木を土に移し変えた18日後に撮影した。
【図71】図71は、DHS遺伝子の3’-末端(図36に示す配列)をアンチセンス方向に発現するトランスジェニックトマト植物(左)、及び野生型植物(右)の写真である。トランスジェニック植物では、葉の大きさが増し、及び植物サイズが増したことを示す。写真は、苗木を土に移した32日後に撮影した。
【図72】図72は、野生型由来のトマト果実(上パネル)、及び完全長DHS遺伝子をアンチセンス方向に発現するトランスジェニック植物(下パネル)の写真である。果実を生育のブレーカー段階で収穫し、生育チャンバーで成熟させた。収穫後の日数を各パネルの上左角に示す。
【図73】図73は、野生型由来のトマト果実(上パネル)、及び完全長DHS遺伝子をアンチセンス方向に発現するトランスジェニック植物(下パネル)の写真である。果実を生育のブレーカー段階で収穫し、生育チャンバーで成熟させた。収穫後の日数を各パネルの上左角に示す。
【図74】図74は、野生型由来のトマト果実(上パネル)、及び完全長DHS遺伝子をアンチセンス方向に発現するトランスジェニック植物(下パネル)の写真である。果実を生育のブレーカー段階で収穫し、生育チャンバーで成熟させた。収穫後の日数を各パネルの上左角に示す。
【図75】図75は、野生型由来のトマト果実(上パネル)、及び完全長DHS遺伝子をアンチセンス方向に発現するトランスジェニック植物(下パネル)の写真である。果実を生育のブレーカー段階で収穫し、生育チャンバーで成熟させた。収穫後の日数を各パネルの上左角に示す。
【図76】図76は、野生型由来のトマト果実(上パネル)、及び完全長DHS遺伝子をアンチセンス方向に発現するトランスジェニック植物(下パネル)の写真である。果実を生育のブレーカー段階で収穫し、生育チャンバーで成熟させた。収穫後の日数を各パネルの上左角に示す。
【図77】図77は、野生型由来のトマト果実(上パネル)、及び完全長DHS遺伝子をアンチセンス方向に発現するトランスジェニック植物(下パネル)の写真である。果実を生育のブレーカー段階で収穫し、生育チャンバーで成熟させた。収穫後の日数を各パネルの上左角に示す。
【図78】図78は、野生型由来のトマト果実(上パネル)、及び完全長DHS遺伝子をアンチセンス方向に発現するトランスジェニック植物(下パネル)の写真である。果実を生育のブレーカー段階で収穫し、生育チャンバーで成熟させた。収穫後の日数を各パネルの上左角に示す。
【図79】図79は、野生型由来のトマト果実(上パネル)、及び完全長DHS遺伝子をアンチセンス方向に発現するトランスジェニック植物(下パネル)の写真である。果実を生育のブレーカー段階で収穫し、生育チャンバーで成熟させた。収穫後の日数を各パネルの上左角に示す。
【図80】図80は、形質転換植物に対してアンチセンス方向に用いられるアラビドプシス老化-誘導DHS遺伝子の3’-末端のヌクレオチド配列(配列番号30)(上)、及び誘導アミノ酸配列(下)である。
【図81】図81は、形質転換植物に対してアンチセンス方向に用いられるトマトDHS遺伝子の3’-末端のヌクレオチド配列(配列番号31)(上)、及び誘導アミノ酸配列(下)である。
【図82】図82は、完全長アラビドプシス遺伝子を単離するために用いられる600塩基対アラビドプシスDHSプローブのヌクレオチド配列(配列番号26)(上)、及び誘導アミノ酸配列(下)である。
【図83】図83は、完全長カーネーション遺伝子を単離するために用いられる483塩基対カーネーションDHSプローブのヌクレオチド配列(配列番号27)((上)、及び誘導アミノ酸配列(下)である。
【図84A】図84(A)は、DHS遺伝子の3’-末端をアンチセンス方向に発現するトランスジェニックトマト植物由来のトマト果実(右)、及び野生型植物由来のトマト果実(左)の写真である。野生型果実は花末端が腐敗したが、トランスジェニック果実は腐敗しない。
【図84B】図84(B)は、DHS遺伝子の3’-末端をアンチセンス方向に発現するトランスジェニックトマト植物由来のトマト果実(右)、及び野生型植物由来のトマト果実(左)の写真である。野生型果実は花末端が腐敗したが、トランスジェニック果実は腐敗しない。
【図85】図85は、いくつかの植物種由来の様々なeIF-5Aアイソフォームの配列を示す。また、ハイプシン保存的領域の配列を提供する。
【図86】図86は、トマト老化-誘導eIF-5A及びpKYLX71-センス老化-誘導eIF-5Aの構築物を提供する。
【図87】図87は、アラビドプシス老化-誘導eIF-5A及びpKYLX71-センス老化-誘導eIF-5Aの構築物を提供する。
【図88B】図88Bは、トマト老化-誘導eIF-5A及びpKYLX71-センス老化-誘導eIF-5Aの構築物を提供する。
【図89A】図89Aは、シロイヌナズナ対照及びセンスポリヌクレオチド老化-誘導eIF-5Aを含むトランスジェニック植物の比較写真を提供する。トランスジェニック植物は、対照植物よりも厚い花房茎を有する。
【図89B】図89Bは、シロイヌナズナ対照及びセンスポリヌクレオチド老化-誘導eIF-5Aを含むトランスジェニック植物の比較写真を提供する。トランスジェニック植物は、対照植物よりも厚い花房茎を有する。
【図90A】図90Aは、センスポリヌクレオチド老化-誘導eIF-5A(アラビドプシス)を含むトランスジェニック植物は、そのトランスジェニック植物において、木質部の増加によって示されるように木質部生成が増加した、ことを示す。
【図90B】図90Bは、センスポリヌクレオチド老化-誘導eIF-5A(アラビドプシス)を含むトランスジェニック植物は、そのトランスジェニック植物において、木質部の増加によって示されるように木質部生成が増加した、ことを示す。
【図91A】図91Aは、センスポリヌクレオチド老化-誘導eIF-5A(トマト)を含むトランスジェニック植物は、そのトランスジェニック植物において、木質部の増加によって示されるように木質部生成が増加した、ことを示す。
【図91B】図91Bは、センスポリヌクレオチド老化-誘導eIF-5A(トマト)を含むトランスジェニック植物は、そのトランスジェニック植物において、木質部の増加によって示されるように木質部生成が増加した、ことを示す。
【図92A】図92Aは、シロイヌナズナ対照及びセンスポリヌクレオチド老化-誘導eIF-5Aを含むシロイヌナズナ トランスジェニック植物の比較の写真を提供する。トマトセンスポリヌクレオチド老化-誘導eIF-5Aをシロイヌナズナに用いた。トランスジェニック植物は対照植物よりも厚い花房茎を有する。
【図92B】図92Bは、シロイヌナズナ対照及びセンスポリヌクレオチド老化-誘導eIF-5Aを含むシロイヌナズナ トランスジェニック植物の比較の写真を提供する。トマトセンスポリヌクレオチド老化-誘導eIF-5Aをシロイヌナズナに用いた。トランスジェニック植物は対照植物よりも厚い花房茎を有する。
【図93】図93は、センスポリヌクレオチド老化-誘導eIF-5Aを含むトランスジェニック植物における木質部生成が増加したことを示す棒グラフである。
【図94】図94は、センスポリヌクレオチド老化-誘導eIF-5Aを含むトランスジェニック植物における木質部生成が増加したことを示す棒グラフである。トマトセンスポリヌクレオチド老化-誘導eIF-5Aに関する。
【図95】図95は、キャノーラ成長eIF-5Aアミノ酸及びポリヌクレオチド配列を提供する。
【図96】図96は、キャノーラ成長eIF-5A及びpKYLX71-センス成長eIF-5Aの構築物を提供する。
【図97A】図97Aは、キャノーラDHSアミノ酸及びポリヌクレオチド配列を提供する。
【図98】図98は、キャノーラDHS及びpKYLX71-センスDHSの構築物を提供する。
【図99】図99は、DHS発現阻害がキャノーラの種子収量を増やすことを棒グラフで示す。
【図100】図100は、左か右へアラビドプシス、キャノーラ、トマトのeIF-5Aの成長アイソフォームのアップレギュレーション、及びトマトDHSのアップレギュレーションを棒グラフで示す。
【図101】図101は、トマト成長eIF-5Aアミノ酸及びポリヌクレオチド配列を提供する。
【図102A】図102Aは、トマト成長eIF-5A及びpKYLX71-センストマト成長eIF-5Aの構築物を提供する。
【図102B】図102Bは、トマト成長eIF-5A及びpKYLX71-センストマト成長eIF-5Aの構築物を提供する。
【図103】図103は、トマト損傷-誘導eIF-5Aアミノ酸及びポリヌクレオチド配列を提供する。
【図104A】図104Aは、トマト損傷-誘導eIF-5A及びpKYLX71-センストマト損傷-誘導eIF-5Aの構築物を提供する。
【図104B】図104Bは、トマト損傷-誘導eIF-5A及びpKYLX71-センストマト損傷-誘導eIF-5Aの構築物を提供する。
【図105】図105は、レタスDHSポリヌクレオチド配列の部分を提供する。
【図106】図106は、pTA7001-3'UTRアンチセンスレタスDHSの構築物を提供する。
【図107A】図107Aは、アルファルファDHSアミノ酸及びポリヌクレオチド配列を提供する。
【図107B】図107Bは、アルファルファDHSアミノ酸及びポリヌクレオチド配列を提供する。
【図108A】図108Aは、バナナDHSアミノ酸及びポリヌクレオチド配列を提供する。
【図108B】図108Bは、バナナDHSアミノ酸及びポリヌクレオチド配列を提供する。
【図109A】図109Aは、ハコヤナギDHSアミノ酸及びポリヌクレオチド配列を提供する。
【図109B】図109Bは、ハコヤナギDHSアミノ酸及びポリヌクレオチド配列を提供する。
【図110】図110は、部分的mycosphaerella fijiensisDHSアミノ酸及びポリヌクレオチド配列を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単離アラビドプシス(Arabidopsis)損傷-誘導eIF-5A。
【請求項2】
単離トマト損傷-誘導eIF-5A。
【請求項3】
アラビドプシス損傷-誘導eIF-5Aのアンチセンスポリヌクレオチド。
【請求項4】
トマト損傷-誘導eIF-5Aのアンチセンスポリヌクレオチド
【請求項5】
請求項3記載のアンチセンスポリヌクレオチドの転写を提供するための、当該アンチセンスオリヌクレオチド及び当該アンチセンスポリヌクレオチドに動作可能に結合した調節配列を含む、植物の形質転換体用発現ベクター。
【請求項6】
請求項4記載のアンチセンスポリヌクレオチドの転写を提供するための、当該アンチセンスオリヌクレオチド及び当該アンチセンスポリヌクレオチドに動作可能に結合した調節配列を含む、植物の形質転換体用発現ベクター。
【請求項7】
植物における内因性損傷-誘導eIF-5Aの発現の阻害方法であって、当該アンチセンスポリヌクレオチドの転写を提供するための、少なくとも1つの植物細胞ゲノムに、損傷-誘導eIF-5Aのアンチセンスポリヌクレオチド及び当該アンチセンスポリヌクレオチドに作動可能に結合した調節配列を含むベクターを組み込むステップを含み、その結果、当該アンチセンスポリヌクレオチドの当該転写が植物における内因性損傷-誘導eIF-5Aを阻害する、前記方法。
【請求項8】
前記発現阻害が、野生型植物に比較して、病原体進入から起こる毒性損傷に対して高い抵抗性を提供する、請求項7記載の方法。
【請求項9】
単離アラビドプシスナ成長eIF-5A。
【請求項10】
単離トマト成長eIF-5A。
【請求項11】
単離キャノーラ成長eIF-5A。
【請求項12】
成長eIF-5Aポリヌクレオチドの転写を提供するための、センス方向に成長eIF-5Aポリヌクレオチド及び当該ポリヌクレオチドに作動可能に結合した調節配列を含む、植物の形質転換体用発現ベクター。
【請求項13】
植物における成長eIF-5A成長発現を亢進する方法であって、eIF-5Aポリヌクレオチドの転写を提供するために、少なくとも1つの植物細胞ゲノムに、成長eIF-5Aポリヌクレオチド及び当該ポリヌクレオチドに作動可能に結合した調節配列を含むベクターを組み込むステップを含み、その結果、当該ポリヌクレオチドの当該転写が当該植物において成長eIF-5Aの発現を亢進する、前記方法。
【請求項14】
単離キャノーラDHS。
【請求項15】
単離アルファルファDHS。
【請求項16】
単離バナナDHS。
【請求項17】
単離ハコヤナギDHS。
【請求項18】
キャノーラDHSのアンチセンスポリヌクレオチド。
【請求項19】
アルファルファDHSのアンチセンスポリヌクレオチド。
【請求項20】
バナナDHSのアンチセンスポリヌクレオチド。
【請求項21】
請求項18記載のアンチセンスポリヌクレオチドの転写を提供するための、当該アンチセンスポリヌクレオチド及び当該アンチセンスポリヌクレオチドに作動可能に結合した調節配列を含む、植物の形質転換体用発現ベクター。
【請求項22】
請求項18記載のアンチセンスポリヌクレオチドの転写を提供するための、当該アンチセンスポリヌクレオチド及び当該アンチセンスポリヌクレオチドに作動可能に結合した調節配列を含む、植物の形質転換体用発現ベクター。
【請求項23】
請求項20記載のアンチセンスポリヌクレオチドの転写を提供するための、当該アンチセンスポリヌクレオチド及び当該アンチセンスポリヌクレオチドに作動可能に結合した調節配列を含む、植物の形質転換体用発現ベクター。
【請求項24】
植物における内因性DHS発現の阻害方法であって、DHSアンチセンスポリヌクレオチドの転写を提供するために、少なくとも1つの植物細胞ゲノムに、DHSアンチセンスポリヌクレオチド及び当該ポリヌクレオチドに作動可能に結合した調節配列を含むベクターを組み込むステップを含み、その結果、当該アンチセンスポリヌクレオチドの当該転写が当該植物において内因性DHS発現を阻害する、前記方法。
【請求項25】
DHS発現を阻害することによってレタスの褐変を遅らせる方法であって、
レタス植物の少なくとも1つの細胞ゲノムに、
a) レタスDHAのアンチセンスポリヌクレオチド、及び
b) DHS発現が阻害されたトランスジェニックレタス植物を生産するための、当該アンチセンスポリヌクレオチドが発現され、かつかかる発現がDHS内因性発現を阻害するように、当該アンチセンスポリヌクレオチドに作動可能に結合した調節配列
を含むベクター
を組み込むステップを含み、ここで、
DHS内因性発現の当該阻害が、野生型レタスの褐変に比べて褐変の遅れを示す当該トランスジェニックレタス植物をもたらす、
前記方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45A】
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【図45B】
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【図46A】
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【図46B】
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【図46C】
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【図46D】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53A】
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【図53B】
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【図53C】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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【図67】
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【図68】
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【図69】
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【図70】
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【図71】
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【図72】
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【図73】
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【図74】
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【図75】
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【図76】
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【図77】
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【図78】
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【図79】
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【図80】
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【図81】
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【図82】
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【図83】
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【図84A】
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【図84B】
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【図85】
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【図86】
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【図87】
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【図88A】
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【図88B】
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【図89A】
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【図89B】
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【図90A】
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【図90B】
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【図91A】
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【図91B】
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【図92A】
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【図92B】
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【図93】
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【図94】
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【図95】
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【図96】
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【図97A】
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【図97B】
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【図98】
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【図99】
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【図100】
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【図101】
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【図102A】
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【図102B】
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【図103】
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【図104A】
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【図104B】
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【図105】
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【図106】
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【図107A】
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【図107B】
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【図108A】
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【図108B】
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【図109A】
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【図109B】
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【図110】
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【公表番号】特表2007−524384(P2007−524384A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517498(P2006−517498)
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【国際出願番号】PCT/US2004/019840
【国際公開番号】WO2004/113528
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(502458132)セネスコ テクノロジーズ,インコーポレイティド (16)
【Fターム(参考)】