説明

html中で指定されたリンクに対応するウェブ・ページの事前ロード装置および方法

【課題】 現在ユーザが見ているウェブ・ページ上のリンクによって参照された別のウェブ・ページへのユーザのアクセスを迅速におこなう方法およびシステムを提供する。
【解決手段】 ウェブ・ブラウザは、ウェブ・ページをロードし、表示させ、このウェブ・ページのhtmlを読んで、事前ロードの対象として印を付けられたリンクのエントリを識別する。次いで、ウェブ・ブラウザは、このリンクに対応する別のhtmlおよび関連グラフィックス・ファイルを記憶装置に自動的に事前ロードする。この自動事前ロードは、ウェブ・ブラウザのユーザがリンクを選択しなくても実行される。ユーザが続いてそのリンクを選択した場合には、対応するhtmlおよび関連グラフィックス・ファイルが局部記憶装置から使用可能となり、そのため、htmlおよび関連グラフィックス・ファイルの取り込みにおける遅延がわずかになる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般的にはワールド・ワイド・ウェブ(WWW)上のクライアント・コンピュータに関し、より具体的にはウェブ・ブラウザ・プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】WWWは周知のものであり、多数のコンピュータ・サーバ、それぞれのデータ・ベース、、およびクライアント・コンピュータがサーバと通信しデータを要求したりロードしたりすることができるネットワークを含んでいる。サーバは、それ自体のデータ・ベースを直接に管理すること、およびクライアントのユーザに代わって他の遠隔データ・ベースにアクセスすることができる。クライアントは一般に、WWWへのユーザ・インタフェースを提供する「ウェブ・ブラウザ」プログラムを備えている。
【0003】サーバは、「ウェブ・ページ」としてデータをユーザに提示し、各ウェブ・ページは「URL」アドレスによって代表される。URLは、プレフィックスとしてhttpのようなアクセス方式/プロトコル、「ホームページ」とも呼ばれるサーバ名、およびもしあればサフィックスとしてデータ型を含んでいる。サーバ名は一般に、そのサーバを所有する会社、教育機関、またはその他の団体の名称である「ドメイン名」を含んでいる。クライアントがウェブ・ページにアクセスする方法にはいくつかの異なる方法がある。クライアントがサーバ名、およびもしあれば、データ型のサフィックスを知っている場合は、クライアントはサーバに直接、ウェブ・ページを要求することができる。しかし、クライアントがサーバ名しか知らない場合には、クライアントはサーバ名をアドレス指定することができ、これに応答してサーバはこのサーバの「ホームページ」を提示する。少なくともサーバ名をユーザが知らない、これらのウェブ・ページに対しては、キー・ワード・サーチ・エンジンやカタログ・サーチ・エンジンなど、興味を引くサーバまたはウェブ・ページあるいはその両方を識別する各種サーチ・エンジンがある。ホームページおよび他のウェブ・ページは一般に、他のウェブ・ページへのリンクの役目をするテキストまたはグラフィックスを含んでいる。リンクは、「ホット・リンク」または「クリック・ポイント」と呼ばれることもあり、ユーザがマウスでリンクを選択すると、ウェブ・ブラウザはサーバにウェブ・ページを要求し、受領するとそのウェブ・ページを表示する。
【0004】ウェブ・ブラウザがウェブ・ページをサーバに要求するときにはいつでも、ユーザがURLを指定するかまたはリンクを選択するかのいずれかによって、そのウェブ・ページがhtmlファイルの形でクライアント・マシンにロードされる。htmlファイルは、ウェブ・ページの各コンポーネント、すなわちテキスト、グラフィックス、コンポーネントの性質、各テキストまたはグラフィックが別のウェブ・ページへのリンクであるかどうかなどの仕様を含んでいる。従来のhtmlのフォーマットは業界標準となっており、さらにメアリ E.S.モリス(Mary E. S. Morris)著 「HTML for Fun and Profit」, SunSoft Press, Prentice Hall, 1995等に定義されている。テキストの場合、htmlは実際のテキストおよびそのウェブ・ページ上の位置を定義する。しかし、グラフィックスの場合は、htmlはそのグラフィックス自体を定義するのではなく、代わりに、クライアントから離れた場所にあってグラフィックスを実際に定義する別のファイルへのポインタを指定する。グラフィックスには複雑なものもある。グラフィックスは、ウェブ・ページに意味を加えリンクとして機能することができる反面、特にグラフィックスが複雑である場合は、ロードするのに時間がかかることがしばしばある。時間遅れは、クライアントとサーバの間の通信回線の遅さに起因する。したがって、リンクを選択した後ユーザは、対応するhtmlおよびグラフィックスがロードされるのを待たなければならず、この待ち時間が非常に長くなることがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の一般的な目的は、現在ユーザが見ているウェブ・ページ上のリンクによって参照された別のウェブ・ページへのユーザのアクセスを迅速におこなう方法およびシステムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、ウェブ・ページをロードして表示し、そのウェブ・ページのhtmlを読んで、事前ロードの対象として印を付けられたリンクのエントリを識別するウェブ・ブラウザにある。次いでウェブ・ブラウザは、このリンクに対応する別のhtmlおよび関連グラフィックス・ファイルを記憶装置に自動的に事前ロードする。この自動事前ロードは、ウェブ・ブラウザのユーザがリンクを選択しなくても実施される。ユーザが続いてそのリンクを選択した場合には、対応するhtmlおよび関連グラフィックス・ファイルが局部記憶装置から使用可能となり、そのため、htmlおよび関連グラフィックス・ファイルの取り込みにおける遅延がわずかになる。
【0007】本発明の一特徴に従って、現在表示されているウェブ・ページ中の別のリンクをユーザが選択し、この別のリンクに対応するウェブ・ページが局部記憶装置になく、事前ロードが実行中である場合には、ウェブ・ブラウザはこの事前ロードを停止し、代わりに現在ユーザが選択しているウェブ・ページをロードする。
【0008】
【発明の実施の形態】次に図面を詳細に説明する。全体を通じ同じ参照番号は同じ要素を指している。図1は、通常10で表す、本発明によるクライアント・コンピュータを示したものである。クライアント・コンピュータ10は、ウェブ・ブラウザ・プログラム12およびウェブ・ページを記憶する記憶装置14(RAMおよび/またはディスク)を備えている。ウェブ・ブラウザ12は、ユーザ・インタフェースを提供し、サーバと通信してユーザが要求したウェブ・ページを手に入れ、ウェブ・ページのユーザへの表示を制御する。クライアント10は、モデム、および電話または光ファイバなどの通信回線18を介してWWW16に結合される。WWWは、サーバ20などの多数のサーバを含む。サーバ20は、クライアント10に代わってディスク24のウェブ・ページにアクセスする、またはクライアント10に代わって別のサーバ26にウェブ・ページを要求するウェブ・ページ・アクセス機構プログラム22を有する。図示の例では、クライアント10はhttpアクセス方式を使用してサーバ20と通信する。
【0009】サーバ20がクライアントにウェブ・ページを供給するときには、ウェブ・ページは、http通信に組み込まれたhtmlファイルによって定義される。後により詳細に説明するが、本発明によるhtmlは、このhtmlにリンクしたウェブ・ページのあるものを事前ロードの対象に指定する。ウェブ・ブラウザがhtmlをロードし対応するウェブ・ページを表示すると直ちに、ウェブ・ブラウザは、指定されたリンクに対応するhtmlおよびグラフィックスを記憶装置14に事前ロードし始める。ユーザが続いて、事前ロードされたこれらのウェブ・ページの1つを、現在表示されているウェブ・ページ上のそれぞれのリンクを介して選択した場合には、ウェブ・ブラウザは即座に、局部記憶装置14中のウェブ・ページを取り込み、表示することができる。
【0010】以下は、あるユーザによって設計された本発明に基づくhtmlの例である。
33. <html>35. <head>37. <title>Patent Test Page</title>39. </head>41. <body>43. <h3>Test Links</h3>45. <u1>47. <li><a href="http://www.test.com">Catalog</a>49. <li><a href="http://www.test1.com"PRIORITY=1>Vacuum</a>51. <li><a href="http://www.test2.com"PRIORITY=10>Carpet Shampooer</a>53. </ul>55. </body>最初のエントリ33の「<html>」は、このファイルがhtmlであることを示す。次のエントリ35の「<head>」は、ページ・ヘッダを示す。次のエントリ37は、以降のテキストが、プリント・ジョブ名およびクイックリストに使用されるウェブ・ページのタイトルであることを示すタグ「<title>」で始まっている。次のエントリ39は、ページ・ヘッダの終わりを示すタグ</head>である。次のエントリ41は、htmlページの本体を示す。次のエントリ43は、見出し(heading)を示す。次のエントリ45は、番号なしリストを示す。次のエントリ47は、これがリストの要素であることを意味する<li>で始まり、次いで、以降のテキスト「Catalog」をクリックすると指定されたURL「www.test.com」に行くことができることを意味するタグ「<a>」を含んでいる。これは例であり、これによって制限されるものではないが、「Catalog(カタログ)」ウェブ・ページは、現在見ているウェブ・ページを所有するメーカーの、テキストで書かれたカタログである。このウェブ・ページはテキストのみを含みグラフィックスを含まないのでロード時間は短く、このウェブ・ページの設計者は、このリンクを事前ロードの対象として指定する必要を認めなかった。したがって、エントリ47は標準的な従来技術のhtmlのエントリである。次のエントリ49も、リストの要素を意味する<li>で始まり、次いで、以降のテキスト「Vacuum」をクリックすると指定されたURL「www.test1.com」に行くことができることを意味するタグ「<a>」を含んでいる。これは例であり、これによって制限されるものではないが、「Vacuum(掃除機)」ウェブ・ページは、前述のメーカーが販売する掃除機の写真1枚、およびこれについてのその他の情報を含んでいる。したがってロード時間はかなり長くなりそうであり、ウェブ・ページの設計者は、このウェブ・ページを事前ロードの対象とする必要を認めた。本発明に従って、エントリ49は、前述のhtmlに対応するウェブ・ページが表示された後すぐに、URL「www.test1.com」のhtmlを事前ロードしなければなならないことを意味するフィールド「PRIORITY = 1」も含んでいる。この事前ロードは、ユーザが要求したり、エントリ49に対応するリンクを選択したりしなくても自動的に実行される。次のエントリ51も、リストの要素を意味する<li>で始まり、次いで、以降のテキスト「Carpet Shampooer」をクリックすると指定されたURL「www.test2.com」に行くことができることを意味するタグ「<a>」を含んでいる。これは例であり、これによって制限されるものではないが、「carpet shampooer(カーペット洗浄機)」ウェブ・ページは、前述のメーカーが販売する洗浄機の写真、およびこれについてのその他の情報を含んでおり、ロード時間はかなり長くなりそうである。したがって、本発明に従ってエントリ51は、前述のhtmlに対応するウェブ・ページが表示された後すぐに、URL「www.test2.com」のhtmlを事前ロードしなければならないことを意味するフィールド「PRIORITY= 10」も含んでいる。この事前ロードは、ユーザが要求したり、エントリ51に対応するリンクを選択したりしなくても自動的に実行される。後により詳細に述べるが、優先度レベルがそれぞれのhtmlを事前ロードする順序を決定する。次のエントリ53は、これが番号なしリストの終わりであることを示す。最後のエントリ55は、これがhtmlの終わりであることを示す。
【0011】図2に、ウェブ・ブラウザ・プログラム12の中のブラウジング・スレッド60による処理を示す。段階62で、ブラウジング・スレッドは、ユーザの選択したウェブ・ページをURL、またはリンクのいずれかによって受け取る。説明の目的上、段階62での最初の選択はURLでおこなわれ、そのURLは前記のhtmlを指すと仮定する。これに応答して、ブラウジング・スレッドは、このURLをダイナミック・ロード待ち行列63(図1)に加え(段階64)、図3および図4に示すローディング・スレッド66に、ダイナミック・ロード待ち行列を直ちに処理するよう指示するメッセージを送る(段階65)。
【0012】図3および図4は、ローディング・スレッド66の流れ図を構成する。ブラウジング・スレッド60からメッセージを受け取ると(段階82)、ローディング・スレッドは最初に、このメッセージは、ダイナミック・ロード待ち行列の処理に関するもので、事前ロード待ち行列73(図1)の処理に関するものではないと判断する(判断84および判断130)。ローディング・スレッドは次に、ユーザが選択したウェブ・ページが以前の事前ロード操作の結果として記憶装置14に現在あるかどうかを判断する(判断104)。(事前ロード操作を以下に説明する。)もしあれば、ローディング・スレッドは、記憶装置14からウェブ・ページを取り込み、表示する(段階106)。記憶装置14は局部記憶装置なので、この操作は迅速に実行される。しかし、ユーザが選択したウェブ・ページが記憶装置14に現在ない場合には、ローディング・スレッドは、事前ロード操作に従って現在事前ロード処理中のウェブ・ページがあるかどうかを判断する(判断110)。もしなければ、ローディング・スレッドは、ユーザが選択したウェブ・ページをサーバに要求し、ユーザが選択したウェブ・ページを記憶装置14にロードし、ユーザが選択したウェブ・ページを表示する(段階112)。判断110に戻る。事前ロード操作に従って事前ロード処理中のウェブ・ページが現在ある場合には、ローディング・スレッドは、このページがユーザが選択したウェブ・ページかどうかを判断する(判断113)。もしそうであれば、ローディング・スレッドは、ユーザが選択したウェブ・ページのロードを完了させ、ユーザが選択したウェブ・ページを表示する(段階114)。しかし、ユーザが選択したウェブ・ページ以外のウェブ・ページが現在事前ロードされている場合は、ローディング・スレッドは、この別のウェブ・ページの事前ロードを停止させ(段階120)、ユーザの選択したウェブ・ページをサーバに要求してロードし、ユーザの選択したウェブ・ページを表示する(段階112)。段階106、112、114のいずれかの後、ローディング・スレッドは、ダイナミック・ロード待ち行列上のウェブ・ページのロードおよび表示に成功したことを、ブラウジング・スレッドに通知する(段階124)。
【0013】ローディング・スレッドから表示の通知を受け取ると(段階67)、ブラウジング・スレッドは、現在表示されているウェブ・ページのhtmlを読み、現在表示されているウェブ・ページ中にあって、事前ロードを指示する「priority」フラグを有する全てのリンクを探し出す(段階68)。前記のhtmlには、このようなリンクが2つ、エントリ49および51によって定義されている。しかし、ブラウジング・スレッドは最初に、エントリ47によって定義された、事前ロードの対象としての印を付けられていないリンクに出会う。したがって、エントリ47に出会ったときには、判断70から、一切の事前ロード操作を迂回して判断72に移り、判断72からは段階68に再び戻って次のエントリ49をチェックする。この繰返しの間に、ブラウジング・スレッド60は、事前ロードを指示する「priority」フラグで印を付けられたエントリ49に出会う(判断70)。その結果、ブラウジング・スレッドは、エントリ49中のURLを、事前ロード待ち行列73の優先度レベルに応じた位置に加える(段階74)。優先度レベルが高いほど、URLは、待ち行列中の先頭に近い位置に置かれる。段階68および70の次の繰返しの間に、ブラウジング・スレッドは、事前ロードを指示する「priority」フラグをやはり含んだエントリ51に出会い、そのブラウジング機能が、エントリ51中のURLを事前ロード待ち行列73に加える(段階74)。エントリ51が「priority 10」の印を付けられ、エントリ49が「priority 1」の印を付けられている図示の例では、エントリ51のURLは、事前ロード待ち行列中でエントリ49のURLの前に置かれる。ブラウジング・スレッドは前記html中の全てのリンクのチェックを完了したので、ブラウジング・スレッドはローディング・スレッド66に事前ロード待ち行列を直ちに処理するよう通知する(段階76)。
【0014】ローディング・スレッド66は、ブラウジング・スレッドから事前ロード待ち行列を処理する通知メッセージを受け取り(段階82および判断84)、これに応答して、事前ロード待ち行列上の最初のURLを判断する(判断86)。次いで、ローディング・スレッドは、対応するhtmlおよび関連グラフィックスをサーバに要求する。ローディング・スレッドがhtmlおよび関連グラフィックスを受け取り、ロードする(段階88)間にも、ローディング・スレッドは、ブラウジング・スレッドからのメッセージを定期的にチェックする。メッセージを受け取っていない場合(判断90)、ローディング・スレッドはロードを継続する。すなわち、ロードすべき現在のhtmlおよび関連グラフィックスのデータがさらにあるかどうかを判断し(判断92)、もしあれば、ループは段階88に戻って、htmlまたは関連グラフィックスの次の部分をロードする。しかし、ローディング・スレッドが現在のhtmlおよび関連グラフィックスの最後の部分をロードしてしまっている場合は、ローディング・スレッドは、事前ロード待ち行列に別のURLがあるかどうかを判断し(段階94および判断86)、ループは判断86に戻って、この別のURLを読む。表示されたウェブ・ページが事前ロードされるべきウェブ・ページを2つ含む前述の例では、事前ロード待ち行列には少くとも2つのエントリがある。
【0015】判断90に戻る。ユーザがリンクを選択し、直ぐに表示することを指示するメッセージをローディング・スレッドがブラウジング・スレッドから受け取った場合には(判断90)、ローディング・スレッドは、ユーザが、現在記憶装置14にあるウェブ・ページを選択したかどうかを判断する(判断104)。もしそうであれば、ローディング・スレッドは記憶装置14からウェブ・ページを取り込み、表示する(判断106)。しかし、ユーザが選択したウェブ・ページが現在記憶装置14にない場合には、ローディング・スレッドは、事前ロード操作に従ってロード処理中のウェブ・ページがあるかどうかを判断する(判断110)。もしなければ、ローディング・スレッドは、ユーザが選択したウェブ・ページをサーバに要求し、ユーザが選択したウェブ・ページを記憶装置14にロードし、ユーザが選択したウェブ・ページを表示する(段階112)。判断110に戻る。事前ロード操作に従って事前ロード処理中のウェブ・ページが現在ある場合には、ローディング・スレッドは、このページがユーザが選択したウェブ・ページかどうかを判断する(判断113)。もしそうであれば、ローディング・スレッドは、ユーザが選択したウェブ・ページのロードを完了させ、ユーザが選択したウェブ・ページを表示する(段階114)。しかし、ユーザが選択したウェブ・ページ以外のウェブ・ページが現在事前ロードされている場合は、ローディング・スレッドは、この別のウェブ・ページの事前ロードを停止させ(段階120)、ユーザの選択したウェブ・ページをサーバに要求してロードし、ユーザの選択したウェブ・ページを表示する(段階112)。
【0016】段階106、112、または114の後、ローディング・スレッドは、ユーザが選択した、直ちに表示すべきウェブ・ページが表示されたことを、ブラウジング・スレッドに通知する。また、ローディング・スレッドは、事前ロードがまだ完了していないページが事前ロード待ち行列にあるかどうかを判断する(判断122)。もしあれば、ローディング・スレッドは判断92の処理を継続し、なければ、ローディング・スレッドは終了となる。
【0017】前述の事項に基づいて、本発明によるウェブ・ブラウザを開示した。しかし、多数の修正および置換えは、本発明の範囲から逸脱することなく実施することができる。希望する場合には、例えば、事前ロードを全く止める、または、優先度レベルが5未満の全ての事前ロードを止めるなど、事前ロードの優先度レベルが低い事前ロードを止める選択をユーザが任意にできる機能を、ウェブ・ブラウザに与えることもできる。したがって、本発明は、これによって制限されない例示によって開示されたものであり、本発明の範囲を決定する特許請求の範囲を参照すべきものである。
【0018】まとめとして、本発明の構成に関して以下の事項を開示する。
【0019】(1)htmlを読み、事前ロードの対象として印を付けられたリンクのエントリを識別する手段と、事前ロードの対象として印を付けられたリンクの識別に応答して、前記リンクに対応する別のhtml、および関連グラフィックスがあればその関連グラフィックスを、クライアント・ウェブ・ブラウザのユーザが前記リンクを選択しなくても、前記クライアント・ウェブ・ブラウザの記憶装置に自動的にロードする手段とを含むクライアント・ウェブ・ブラウザ。
(2)前記別のhtmlおよび関連グラフィックスが前記記憶装置に事前ロードされた後に、前記ユーザが前記リンクを選択するのに応答して、前記別のhtmlおよび関連グラフィックスを前記記憶装置から取り込み、前記別のhtmlおよび関連グラフィックスに対応するウェブ・ページを表示する手段をさらに含むことを特徴とする、上記(1)に記載のウェブ・ブラウザ。
(3)第1の前記htmlをサーバからロードし、前記第1のhtml、および関連グラフィックスがあればその関連グラフィックスに対応するウェブ・ページを表示する手段をさらに含むことを特徴とする、上記(1)に記載のウェブ・ブラウザ。
(4)事前ロードの対象として印を付けられた前記リンクが、第1の前記html中の前記リンクのエントリに事前ロードの対象として印を付けられていることを特徴とする、上記(1)に記載のウェブ・ブラウザ。
(5)前記別のhtml、および関連グラフィックスがあればその関連グラフィックスが事前ロードされている間に、第1の前記htmlに対応する現在表示されているウェブ・ページ中の別のリンクをユーザが選択するのに応答して、前記別のhtml、および関連グラフィックスがあればその関連グラフィックスの事前ロードを停止し、前記別のリンクに対応するhtmlをロードする手段をさらに含むことを特徴とする、上記(1)に記載のウェブ・ブラウザ。
(6)ウェブ・ページ記述子ファイルを読み、事前ロードの対象として印を付けられたリンクのエントリを識別する手段と、事前ロードの対象として印を付けられたリンクの識別に応答して、前記リンクに対応する別のウェブ・ページ記述子ファイル、および関連グラフィックスがあればその関連グラフィックスを、クライアント・ウェブ・ブラウザのユーザが前記リンクを選択しなくても、前記クライアント・ウェブ・ブラウザの記憶装置に自動的にロードする手段とを含むクライアント・ウェブ・ブラウザ。
(7)前記別のウェブ・ページ記述子ファイルおよび関連グラフィックスが前記記憶装置に事前ロードされた後に、前記ユーザが前記リンクを選択するのに応答して、前記別のウェブ・ページ記述子ファイルおよび関連グラフィックスを前記記憶装置から取り込み、前記別のウェブ・ページ記述子ファイルおよび関連グラフィックスに対応するウェブ・ページを表示する手段をさらに含むことを特徴とする、上記(6)に記載のウェブ・ブラウザ。
(8)前記別のウェブ・ページ記述子ファイル、および関連グラフィックスがあればその関連グラフィックスが事前ロードされている間に、第1の前記ウェブ・ページ記述子ファイルに対応する現在表示されているウェブ・ページ中の別のリンクをユーザが選択するのに応答して、前記別のウェブ・ページ記述子ファイルおよび、関連グラフィックスがあればその関連グラフィックスの事前ロードを停止し、前記別のリンクに対応する第3のウェブ・ページ記述子ファイルをロードする手段をさらに含むことを特徴とする、上記(6)に記載のウェブ・ブラウザ。
(9)htmlを読み、事前ロードの対象として印を付けられたリンクのエントリを識別する段階と、事前ロードの対象として印を付けられたリンクの識別に応答して、前記リンクに対応する別のhtml、および関連グラフィックスがあればその関連グラフィックスを、クライアント・コンピュータのユーザが前記リンクを選択しなくても、ワールド・ワイド・ウェブ(WWW)上の遠隔記憶装置から、前記クライアント・コンピュータの記憶装置に自動的にロードする段階とを含むWWWに結合したクライアント・コンピュータを操作する方法。
(10)前記別のhtmlおよび関連グラフィックスが前記記憶装置に事前ロードされた後に前記ユーザが前記リンクを選択するのに応答して、前記別のhtmlおよび関連グラフィックスを前記記憶装置から取り込む段階と、前記別のhtmlおよび関連グラフィックスに対応するウェブ・ページを表示する段階とをさらに含むことを特徴とする、上記(9)に記載の方法。
(11)前記別のhtml、および関連グラフィックスがあれば、その関連グラフィックスが事前ロードされている間に、第1の前記htmlに対応する現在表示されているウェブ・ページ中の別のリンクをユーザが選択するのに応答して、前記別のhtml、および関連グラフィックスがあれば、その関連グラフィックスの事前ロードを停止する段階と、前記別のリンクに対応するhtmlをロードする段階とをさらに含むことを特徴とする、上記(9)に記載の方法。
(12)コンピュータ可読媒体と、htmlを読み、事前ロードの対象として印を付けられたリンクのエントリを識別するようにプロセッサに命令する第1のプログラム命令手段と、前記リンクに対応する別のhtml、および関連グラフィックスがあればその関連グラフィックスを、クライアント・コンピュータのユーザが前記リンクを選択しなくても、ワールド・ワイド・ウェブ(WWW)上の遠隔記憶装置から、クライアント・コンピュータの記憶装置に自動的にロードすることによって、事前ロードの対象として印を付けられたリンクの識別に応答するようにプロセッサに命令する第2のプログラム命令手段とを含み、前記第1および第2のプログラム命令手段が前記媒体上に記録されるWWWに結合したクライアント・コンピュータを操作するコンピュータ・プログラム製品。
(13)前記別のhtmlおよび関連グラフィックスを前記記憶装置から取り込み、前記別のhtmlおよび関連グラフィックスに対応するウェブ・ページを表示することによって、前記別のhtmlおよび関連グラフィックスが前記記憶装置に事前ロードされた後に、前記ユーザが前記リンクを選択するのに応答するようにプロセッサに命令する第3のプログラム命令手段をさらに含み、前記第3のプログラム命令手段が前記媒体上に記録されることを特徴とする、上記(12)に記載のプログラム製品。
(14)前記別のhtml、および関連グラフィックスがあればその関連グラフィックスの事前ロードを停止し、前記別のリンクに対応するhtmlをロードすることによって、前記第2のhtml、および関連グラフィックスがあればその関連グラフィックスが事前ロードされている間に、第1の前記htmlに対応する現在表示されているウェブ・ページ中の別のリンクをユーザが選択するのに応答するようにプロセッサに命令する第4のプログラム命令手段をさらに含むことを特徴とする、上記(12)に記載のプログラム製品。
【図面の簡単な説明】
【図1】ウェブ・ブラウザを備えた本発明によるクライアント・コンピュータ、サーバ、およびサーバにクライアント・コンピュータを相互接続するネットワークのブロック図である。
【図2】図1のウェブ・ブラウザ内のブラウジング・スレッドによる処理を示した流れ図である。
【図3】図1のウェブ・ブラウザ内のローディング・スレッドによる処理を示した流れ図である。
【図4】図1のウェブ・ブラウザ内のローディング・スレッドによる処理を示した流れ図である。
【符号の説明】
10 クライアント・コンピュータ
12 ウェブ・ブラウザ・プログラム
14 記憶装置
16 ワールド・ワイド・ウェブ(WWW)
18 通信回線
20 サーバ
22 ウェブ・ページ・アクセス機構プログラム
24 ディスク
26 サーバ
60 ブラウジング・スレッド
63 ダイナミック・ロード待ち行列
66 ローディング・スレッド
73 事前ロード待ち行列

【特許請求の範囲】
【請求項1】htmlを読み、事前ロードの対象として印を付けられたリンクのエントリを識別する手段と、事前ロードの対象として印を付けられたリンクの識別に応答して、前記リンクに対応する別のhtml、および関連グラフィックスがあればその関連グラフィックスを、クライアント・ウェブ・ブラウザのユーザが前記リンクを選択しなくても、前記クライアント・ウェブ・ブラウザの記憶装置に自動的にロードする手段とを含むクライアント・ウェブ・ブラウザ。
【請求項2】前記別のhtmlおよび関連グラフィックスが前記記憶装置に事前ロードされた後に、前記ユーザが前記リンクを選択するのに応答して、前記別のhtmlおよび関連グラフィックスを前記記憶装置から取り込み、前記別のhtmlおよび関連グラフィックスに対応するウェブ・ページを表示する手段をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のウェブ・ブラウザ。
【請求項3】第1の前記htmlをサーバからロードし、前記第1のhtml、および関連グラフィックスがあればその関連グラフィックスに対応するウェブ・ページを表示する手段をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のウェブ・ブラウザ。
【請求項4】事前ロードの対象として印を付けられた前記リンクが、第1の前記html中の前記リンクのエントリに事前ロードの対象として印を付けられていることを特徴とする、請求項1に記載のウェブ・ブラウザ。
【請求項5】前記別のhtml、および関連グラフィックスがあればその関連グラフィックスが事前ロードされている間に、第1の前記htmlに対応する現在表示されているウェブ・ページ中の別のリンクをユーザが選択するのに応答して、前記別のhtml、および関連グラフィックスがあればその関連グラフィックスの事前ロードを停止し、前記別のリンクに対応するhtmlをロードする手段をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のウェブ・ブラウザ。
【請求項6】ウェブ・ページ記述子ファイルを読み、事前ロードの対象として印を付けられたリンクのエントリを識別する手段と、事前ロードの対象として印を付けられたリンクの識別に応答して、前記リンクに対応する別のウェブ・ページ記述子ファイル、および関連グラフィックスがあればその関連グラフィックスを、クライアント・ウェブ・ブラウザのユーザが前記リンクを選択しなくても、前記クライアント・ウェブ・ブラウザの記憶装置に自動的にロードする手段とを含むクライアント・ウェブ・ブラウザ。
【請求項7】前記別のウェブ・ページ記述子ファイルおよび関連グラフィックスが前記記憶装置に事前ロードされた後に、前記ユーザが前記リンクを選択するのに応答して、前記別のウェブ・ページ記述子ファイルおよび関連グラフィックスを前記記憶装置から取り込み、前記別のウェブ・ページ記述子ファイルおよび関連グラフィックスに対応するウェブ・ページを表示する手段をさらに含むことを特徴とする、請求項6に記載のウェブ・ブラウザ。
【請求項8】前記別のウェブ・ページ記述子ファイル、および関連グラフィックスがあればその関連グラフィックスが事前ロードされている間に、第1の前記ウェブ・ページ記述子ファイルに対応する現在表示されているウェブ・ページ中の別のリンクをユーザが選択するのに応答して、前記別のウェブ・ページ記述子ファイルおよび、関連グラフィックスがあればその関連グラフィックスの事前ロードを停止し、前記別のリンクに対応する第3のウェブ・ページ記述子ファイルをロードする手段をさらに含むことを特徴とする、請求項6に記載のウェブ・ブラウザ。
【請求項9】htmlを読み、事前ロードの対象として印を付けられたリンクのエントリを識別する段階と、事前ロードの対象として印を付けられたリンクの識別に応答して、前記リンクに対応する別のhtml、および関連グラフィックスがあればその関連グラフィックスを、クライアント・コンピュータのユーザが前記リンクを選択しなくても、ワールド・ワイド・ウェブ(WWW)上の遠隔記憶装置から、前記クライアント・コンピュータの記憶装置に自動的にロードする段階とを含むWWWに結合したクライアント・コンピュータを操作する方法。
【請求項10】前記別のhtmlおよび関連グラフィックスが前記記憶装置に事前ロードされた後に前記ユーザが前記リンクを選択するのに応答して、前記別のhtmlおよび関連グラフィックスを前記記憶装置から取り込む段階と、前記別のhtmlおよび関連グラフィックスに対応するウェブ・ページを表示する段階とをさらに含むことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】前記別のhtml、および関連グラフィックスがあれば、その関連グラフィックスが事前ロードされている間に、第1の前記htmlに対応する現在表示されているウェブ・ページ中の別のリンクをユーザが選択するのに応答して、前記別のhtml、および関連グラフィックスがあれば、その関連グラフィックスの事前ロードを停止する段階と、前記別のリンクに対応するhtmlをロードする段階とをさらに含むことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項12】コンピュータ可読媒体と、htmlを読み、事前ロードの対象として印を付けられたリンクのエントリを識別するようにプロセッサに命令する第1のプログラム命令手段と、前記リンクに対応する別のhtml、および関連グラフィックスがあればその関連グラフィックスを、クライアント・コンピュータのユーザが前記リンクを選択しなくても、ワールド・ワイド・ウェブ(WWW)上の遠隔記憶装置から、クライアント・コンピュータの記憶装置に自動的にロードすることによって、事前ロードの対象として印を付けられたリンクの識別に応答するようにプロセッサに命令する第2のプログラム命令手段とを含み、前記第1および第2のプログラム命令手段が前記媒体上に記録されるWWWに結合したクライアント・コンピュータを操作するコンピュータ・プログラム製品。
【請求項13】前記別のhtmlおよび関連グラフィックスを前記記憶装置から取り込み、前記別のhtmlおよび関連グラフィックスに対応するウェブ・ページを表示することによって、前記別のhtmlおよび関連グラフィックスが前記記憶装置に事前ロードされた後に、前記ユーザが前記リンクを選択するのに応答するようにプロセッサに命令する第3のプログラム命令手段をさらに含み、前記第3のプログラム命令手段が前記媒体上に記録されることを特徴とする、請求項12に記載のプログラム製品。
【請求項14】前記別のhtml、および関連グラフィックスがあればその関連グラフィックスの事前ロードを停止し、前記別のリンクに対応するhtmlをロードすることによって、前記第2のhtml、および関連グラフィックスがあればその関連グラフィックスが事前ロードされている間に、第1の前記htmlに対応する現在表示されているウェブ・ページ中の別のリンクをユーザが選択するのに応答するようにプロセッサに命令する第4のプログラム命令手段をさらに含むことを特徴とする、請求項12に記載のプログラム製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開平10−222541
【公開日】平成10年(1998)8月21日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−4436
【出願日】平成10年(1998)1月13日
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレイション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION