説明

invitro免疫感作により創製されたハイブリドーマからの抗体の高生産量の生成方法

本発明は、骨髄腫細胞をin vitroで免疫したドナー細胞と融合することにより製造されるハイブリドーマ細胞からの高力価の高親和性抗体の生成方法を提供する。高親和性抗体を産生するハイブリドーマからのクローン化された抗体遺伝子をもつハイブリドーマ細胞若しくは哺乳動物発現細胞は、該ハイブリドーマ細胞を超変異性にさせるミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブなアレルの発現による内因性ミスマッチ修復サブユニットの欠損によりミスマッチ修復欠損でありうるか、化学的手段により超変異性にされうるか、若しくは天然にミスマッチ修復欠損でありうる。高親和性抗体および抗体を産生する高力価産生体細胞を本発明の方法により製造しうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への交差引用
本出願は、2002年11月15日出願の米国仮出願第60/427,165号明細書および2003年9月10日出願の米国仮出願第60/501,650号明細書(それらの開示はこれによりそっくりそのまま引用することにより組込まれる)の利益を主張する。
【0002】
本発明は高力価の高親和性抗体を産生するハイブリドーマ細胞の生成に関する。より具体的には、本発明は、高親和性で抗原に結合するIgGサブクラスの高力価の抗原特異的抗体を産生するためのドミナントネガティブなミスマッチ修復遺伝子若しくはミスマッチ修復の化学的阻害剤を使用するハイブリドーマ技術とともにのin vitro免疫感作方法の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
外来および/若しくは内因性のポリペプチドの活性を阻害するための抗体の使用は疾患の根底にある原因を治療するための効果的かつ選択的な戦略を提供する。具体的には、FDAに承認されたCentocorからの抗血小板モノクローナル抗体(MAb)、レオプロ(ReoPro)(非特許文献1);Genentechからの抗Her2/neu
MAb、ハーセプチン(Herceptin)(非特許文献2);およびMedimmuneにより製造されている抗RSウイルスMAb、サイナジス(Synagis)(非特許文献3)のような有効な治療薬としてのMAbの使用である。
【0004】
候補タンパク質標的に対するMAbの標準的生成方法は当業者により既知である。簡潔には、マウス若しくはラットのようなげっ歯類に、免疫応答を生成させるためのアジュバントの存在下、精製した抗原を注入する(非特許文献4)。陽性の免疫血清を伴うげっ歯類を殺しそして脾細胞を単離する。単離した脾細胞を骨髄腫に融合して不死化細胞株を生じさせ、それをその後抗体産生についてスクリーニングする。陽性株を単離しそして抗体産生について特徴付けする。ヒト治療薬としてのげっ歯類MAbの直接使用は、げっ歯類由来抗体で治療した患者のかなりの数においてヒト抗げっ歯類抗体(HARA)応答が発生したという事実のため混乱した(非特許文献5)。HARAの問題を回避するために、相補性決定領域(CDR)(抗原結合ドメインを構成する免疫グロブリン(Ig)サブユニットのHおよびL鎖可変領域内で見出される決定的に重要なモチーフである)のヒト抗体バックボーンへのグラフトが、これらのキメラ分子がHARA応答を欠きつつ抗原に対するそれらの結合活性を保持することが可能であることを見出した(非特許文献6)。げっ歯類由来MAbの「 ヒト化」(下でHAbと称される)の間に存在する共通の一問題は、ヒトIgバックボーンへのグラフトに際してのCDRドメインの三次元構造のコンホメーション変化による結合親和性の喪失である(特許文献1)。この問題を克服するために、通常、高親和性HAbを再創製するために枠組み領域および/若しくはCDRコーディング領域それ自身内で付加的なアミノ酸残基を挿入若しくは欠失することにより工作するために付加的なHAbベクターが必要とされる(特許文献1)。この過程は、高親和性HAbに至るかもしれない変化を予測するための高価なコンピュータモデル化プログラムの使用を必要とする、非常に時間のかかる処置である。いくつかの例においては、HAbの親和性はMAbのものにまで復帰されることはなく、それらをほとんど治療的に有用でなくしている。
【0005】
抗体工学に存在する別の問題は臨床材料のための分子の製造に必要とされる安定な高収
量産生体細胞株の生成である。この問題を回避するためにいくつかの戦略が当業者により標準的実務で採用されている。一方法は、抗体全体、若しくは抗原結合ポリペプチドを形成するLおよびH鎖双方を含有するキメラ分子である一本鎖抗体を製造するために、グラフトされたヒトLおよびH鎖を含有する外因性Ig融合遺伝子でトランスフェクトしたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞の使用である(非特許文献7)。別の方法は、ヒトのグラフト免疫系を含有するトランスジェニックマウス若しくはヒトIg遺伝子レパートリーを含有するトランスジェニックマウス由来のヒトリンパ球の使用を使用する。なお別の方法は、ヒト抗サル応答を欠くことが報告されている霊長類MAbを製造するためのサルの使用を使用する(非特許文献8)。全部の場合において、十分な量の高親和性抗体を生成させることが可能である細胞株の生成は、臨床研究に十分な材料を製造するための大きな制限を有する。これらの制限のため、 ヒト化抗体の安定な高レベル製造につながることができる系としての植物のような他の組換え系の有用性が現在探究されている(非特許文献9)。
【0006】
外来抗体に対するヒトの反応の問題を克服するための一戦略は、ヒト免疫グロブリン産生細胞をin vitroで刺激することである。in vitroでヒト抗体産生を刺激するための多様な試みは、典型的に、IgMサブクラスの低親和性抗体をもたらした(非特許文献10)。
【0007】
抗原に対する高い結合親和性をもつHAbおよびMAbをもたらす可変ドメイン内の多彩な抗体配列の生成方法は、それぞれより強力な治療的および診断的試薬の創製に有用であるとみられる。さらに、抗体分子全体を通じての無作為に変えられたヌクレオチドおよびポリペプチド残基の生成は、より少なく抗原性でありかつ/若しくは有益な薬物動態特性を有する新たな試薬をもたらすであろう。本明細書に記述される本発明は、生化学的に活性の抗体をコードする免疫グロブリンを産生する宿主細胞の内因性のミスマッチ修復(MMR)活性を阻害することによるin vitroでの抗体構造全体での無作為遺伝子突然変異の使用に向けられる。本発明はまた、反復されたin vitro遺伝子変化方法ならびに高められた結合および薬物動態プロファイルをもつ抗体の選択方法にも関する。
【0008】
加えて、増大された量の抗体を分泌することが可能である遺伝子的に変えられた宿主細胞を開発する能力は、製品開発のための宿主細胞の貴重な創製方法をもまた提供するであろう。本明細書に記述される本発明は、MMRの阻害を介する増大された抗体産生を伴う遺伝子的に変えられた宿主細胞の創製にさらに向けられる。本発明は、高親和性抗体の生成、およびハイブリドーマ細胞由来の高められた抗体産生レベルを伴う細胞株の製造を助長する。本明細書に記述される本発明は抗原特異的モノクローナル抗体(mAb)の生成方法を提供する。本発明の他の利点は本明細書に記述される実施例および図面に記述される。
【特許文献1】Queenらへの米国特許第5,530,101号明細書
【非特許文献1】Glaser、(1996)Nat.Biotechnol.14:1216−1217
【非特許文献2】Weiner、(1999)Semin.Oncol.26:43−51
【非特許文献3】SaezLlorensら(1998)Pediat.Infect.Dis.J.17:787−791
【非特許文献4】Shiledら(1996)Am.J.Kidney Dis.27:855−864
【非特許文献5】Khazaeliら、(1994)Immunother.15:42−52
【非特許文献6】ANTIBODY ENGINIEERING、C.A.K.Borrebaeck(編)Oxford University Press、ニューヨーク、1995中、EmeryとHarris,“Strategies for humanaizing antibodies”、pp.159−183
【非特許文献7】Reff,M.E.(1993)Curr.Opin.Biotechnol.4:573−576
【非特許文献8】NeubergerとGruggermann(1997)Nature 386:25−26
【非特許文献9】FiedlerとConrad(1995)Bio/Technology 13:1090−1093
【非特許文献10】Zafiropoulosら(1997)J.Immunological Methods 200:181−190
【発明の開示】
【0009】
[発明の要約]
本発明は:(a)免疫グロブリン産生細胞を含んでなるドナー細胞を免疫原性の抗原とin vitroで組み合わせること;(b)該免疫グロブリン産生細胞を骨髄腫細胞と融合して、ミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブなアレルを発現する親ハイブリドーマ細胞を形成すること;(c)突然変異誘発を見込んで該親ハイブリドーマ細胞をインキュベートしてそれにより超変異ハイブリドーマ細胞を形成すること;(d)該超変異ハイブリドーマ細胞から産生された抗体について、抗原への抗体の結合についてのスクリーニングを実施すること;および(e)該親ハイブリドーマ細胞により産生された抗体よりも該抗原に対し高められた親和性をもつ抗体を産生する超変異ハイブリドーマ細胞を選択して;それにより高親和性抗体を産生するハイブリドーマ細胞を製造することを含んでなる、in vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞からの高親和性抗体を産生するハイブリドーマ細胞の製造方法を提供する。
【0010】
いくつかの態様において、ミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブなアレルはPMS2遺伝子の短縮突然変異(例えばPMS2−134遺伝子)を含んでなる。本発明の方法のいくつかの態様において、抗体はELISAに基づくアッセイ、または抗体−抗原結合を測定し得る他のアッセイを使用してスクリーニングされる。いくつかの態様において、スクリーニングアッセイは、親ハイブリドーマにより産生された抗体よりも高親和性の抗体を産生する超変異ハイブリドーマについてスクリーニングする。他の態様において、スクリーニングアッセイは、親ハイブリドーマよりも高力価の抗体を産生する超変異ハイブリドーマについてスクリーニングする。
【0011】
本発明の方法のいくつかの態様において、該方法は、ミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブなアレルの不活性化、それによる前記超変異ハイブリドーマのゲノムを安定化することをさらに含んでなる。
【0012】
本発明の方法のいくつかの態様において、ドミナントネガティブなミスマッチ修復遺伝子は、免疫グロブリン産生細胞との前記骨髄腫の融合後にハイブリドーマ細胞に導入される。他の態様において、ドミナントネガティブなミスマッチ修復遺伝子は、免疫グロブリン産生細胞との融合前に骨髄腫細胞に導入される。
【0013】
本発明はまた、該ハイブリドーマ細胞により産生された抗体も含んでなる。
【0014】
本発明はまた:(a)免疫グロブリン産生細胞を含んでなるドナー血液細胞を免疫原性の抗原とin vitroで組み合わせること;(b)該免疫グロブリン産生細胞を骨髄腫細胞と融合して、ミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブなアレルを発現する親ハイブリドーマ細胞を形成すること;(c)突然変異誘発を見込んで該親ハイブリドーマ
細胞をインキュベートしてそれにより超変異ハイブリドーマ細胞を形成すること;(d)該親ハイブリドーマ細胞により生じられる力価よりも高力価で産生された抗原特異的抗体についての超変異ハイブリドーマ細胞のスクリーニングを実施すること;および(e)該親ハイブリドーマ細胞により生じられる力価よりも高力価の抗体を産生する超変異ハイブリドーマ細胞を選択することを含んでなる、in vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞からの高力価の抗体を産生するハイブリドーマ細胞の製造方法も含んでなる。
【0015】
いくつかの態様において、ミスマッチ修復遺伝子の前記ドミナントネガティブなアレルはPMS2遺伝子の短縮突然変異(例えばPMS2−134遺伝子)を含んでなる。本発明の方法のいくつかの態様において、抗体はELISAに基づくアッセイを使用してスクリーニングされる。いくつかの態様において、該スクリーニングアッセイは、親ハイブリドーマにより産生された抗体よりも高親和性の抗体を産生する超変異ハイブリドーマについてスクリーニングする。他の態様において、該スクリーニングアッセイは、親ハイブリドーマより高力価の抗体を産生する超変異ハイブリドーマについてスクリーニングする。
【0016】
本発明の方法のいくつかの態様において、該方法は、ミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブなアレルの不活性化、それによる前記超変異ハイブリドーマのゲノムを安定化することをさらに含んでなる。
【0017】
本発明の方法のいくつかの態様において、ドミナントネガティブなミスマッチ修復遺伝子が前記骨髄腫の免疫グロブリン産生細胞との融合後にハイブリドーマ細胞に導入される。他の態様において、ドミナントネガティブなミスマッチ修復遺伝子は免疫グロブリン産生細胞との融合前に骨髄腫細胞に導入される。
【0018】
本発明の方法のいくつかの態様において、ミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブなアレルは、該細胞のゲノムを再安定化するためにその後不活性化される。
【0019】
ミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブなアレルは免疫グロブリン産生細胞との融合前に骨髄腫細胞に導入してよい。かように、生じるハイブリドーマ細胞は骨髄腫細胞と同一のミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブなアレルを発現する。あるいは、ミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブなアレルをハイブリドーマ細胞に導入してよい。
【0020】
本発明は該ハイブリドーマ細胞により産生された抗体もまた含んでなる。
【0021】
本発明はさらに、ドミナントネガティブなミスマッチ修復タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含んでなる組換え骨髄腫細胞を提供する。該ドミナントネガティブなミスマッチ修復タンパク質は、ドミナントネガティブな形態の例えばPMS2、PMS1、PMSR3、PMSR2、PMSR6、MLH1、GTBP、MSH3、MSH2、MLH3若しくはMSH1、ならびに、Nicolaidesら(1995)Genomics 30:195−206およびHoriiら(1994)Biochem.Biophys.Res.Commun.204:1257−1264に記述されるところのPMSR遺伝子のホモログによりコードされるPMSRタンパク質であってよい。いくつかの態様において、組換え骨髄腫細胞はPMS2遺伝子のドミナントネガティブなアレル(例えばPMS2−134遺伝子のようなPMS2遺伝子の短縮突然変異)をコードするポリヌクレオチドを発現する。
【0022】
いくつかの態様において、組換え骨髄腫細胞はヒト細胞である。他の態様において、組換え骨髄腫細胞は免疫グロブリン遺伝子および/若しくはエプスタイン−バーウイルスを発現しない。他の態様において、骨髄腫細胞はHAT感受性である。
【0023】
本発明はまた:(a)免疫グロブリン産生細胞を含んでなるドナー細胞を免疫原性の抗原とin vitroで組み合わせること;(b)前記免疫グロブリン産生細胞を骨髄腫細胞と融合してハイブリドーマ細胞を形成すること;(c)前記ハイブリドーマ細胞から産生された抗体の抗原への結合についてのスクリーニングを実施すること;(d)前記ハイブリドーマからの免疫グロブリン遺伝子を、ミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブなアレルを発現する哺乳動物発現細胞にクローン化すること;(e)前記ハイブリドーマ細胞から産生された抗体に比較して抗原に対してより高い親和性をもつ抗体を分泌する哺乳動物発現細胞についてのスクリーニングを実施して;それにより、in vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞から高力価の高親和性抗体を産生する哺乳動物発現細胞を製造することを含んでなる、in vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞からの高力価の高親和性抗体を産生する哺乳動物発現細胞の製造方法も提供する。
【0024】
いくつかの態様において、ミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブなアレルは免疫グロブリン遺伝子の導入前に前記哺乳動物発現細胞に導入される。他の態様において、ミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブなアレルは前記免疫グロブリン遺伝子の導入後に前記哺乳動物発現細胞に導入される。他の態様において、ミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブなアレルは免疫グロブリン遺伝子と同時に哺乳動物発現細胞に導入される。
【0025】
本発明はまた、該哺乳動物発現細胞により産生された抗体も含んでなる。
【0026】
本発明はまた:(a)免疫グロブリン産生細胞を含んでなるドナー細胞を免疫原性の抗原とin vitroで組み合わせること;(b)前記免疫グロブリン産生細胞を骨髄腫細胞と融合して、ミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブなアレルを発現するハイブリドーマ細胞を形成すること;(c)突然変異誘発を見込んで前記親ハイブリドーマ細胞をインキュベートしてそれにより超変異ハイブリドーマ細胞を形成すること;(d)前記超変異ハイブリドーマ細胞から産生される抗体について、抗原への抗体の結合についてのスクリーニングを実施すること;(e)前記親ハイブリドーマ細胞により産生された抗体よりも前記抗原に対してより大きい親和性をもつ抗体を産生する超変異ハイブリドーマ細胞を選択すること;(f)前記ハイブリドーマからの免疫グロブリン遺伝子を哺乳動物発現細胞にクローン化して;それにより、in vitroで免疫したヒト免疫グロブリン産生細胞から高力価の高親和性抗体を産生する哺乳動物発現細胞を製造することを含んでなる、in vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞からの高力価の高親和性抗体を産生する哺乳動物発現細胞の製造方法も提供する。
【0027】
いくつかの態様において、ミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブなアレルは細胞融合前に骨髄腫細胞中に存在する。他の態様において、ミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブなアレルは細胞融合後にハイブリドーマ細胞に導入される。
【0028】
本発明はまた、該哺乳動物発現細胞により産生された抗体も含んでなる。
【0029】
本発明はまた:(a)免疫グロブリン産生細胞を含んでなるドナー細胞を免疫原性の抗原とin vitroで組み合わせること;(b)該免疫グロブリン産生細胞を骨髄腫細胞と融合してハイブリドーマ細胞を形成すること;(c)該ハイブリドーマ細胞から産生された抗体の抗原への結合についてのスクリーニングを実施すること;(d)該ハイブリドーマからの免疫グロブリン遺伝子を、ミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブなアレルを発現する親哺乳動物発現細胞にクローン化すること;(e)突然変異誘発を見込んで該親哺乳動物発現細胞をインキュベートしてそれにより超変異哺乳動物発現細胞を形成すること;(f)該ハイブリドーマ細胞から産生された抗体に比較して抗原に対してよ
り高親和性をもつ抗体を分泌する超変異性哺乳動物発現細胞のスクリーニングを実施すること;および(g)親哺乳動物発現細胞よりも高力価の抗体を分泌する超変異性哺乳動物発現細胞のスクリーニングを実施して;それにより、in vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞から高力価の高親和性抗体を産生する哺乳動物発現細胞を製造することを含んでなる、in vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞からの高力価の高親和性抗体を産生する哺乳動物発現細胞の製造方法も提供する。
【0030】
いくつかの態様において、ミスマッチ修復遺伝子の前記ドミナントネガティブなアレルは免疫グロブリン遺伝子の導入前に前記哺乳動物発現細胞に導入される。他の態様において、ミスマッチ修復遺伝子の前記ドミナントネガティブなアレルは前記免疫グロブリン遺伝子の導入後に前記哺乳動物発現細胞に導入される。他の態様において、ミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブなアレルは免疫グロブリン遺伝子と同時に哺乳動物発現細胞に導入される。
【0031】
本発明はまた、該哺乳動物発現細胞により産生された抗体も提供する。
【0032】
本発明はまた、ドミナントネガティブなミスマッチ修復タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含んでなる組換えの超変異性哺乳動物発現細胞も提供する。
【0033】
該ミスマッチ修復遺伝子は、限定されるものでないが、ドミナントネガティブの形態のPMS2、PMS1、PMSR3、PMSR2、PMSR6、MLH1、GTBP、MSH3、MSH2、MLH3若しくはMSH1、ならびに、Nicolaidesら(1995)Genomics 30:195−206およびHoriiら(1994)Biochem.Biophys.Res.Commun.204:1257−1264に記述されるところのPMSR遺伝子のホモログを挙げることができるドミナントネガティブなミスマッチ修復遺伝子であってよい。制限しない一例はPMS2のドミナントネガティブな短縮変異体(例えばPMS2−134遺伝子)を包含する。
【0034】
本発明はまた:(a)免疫グロブリン産生細胞を含んでなるドナー細胞を免疫原性の抗原とin vitroで組み合わせること;(b)該免疫グロブリン産生細胞を骨髄腫細胞と融合して親ハイブリドーマ細胞を形成すること;(c)ミスマッチ修復の最低1種の化学的阻害剤の存在下で該親ハイブリドーマ細胞をインキュベートして、それにより超変異ハイブリドーマ細胞を形成すること;(d)該超変異ハイブリドーマ細胞から産生された抗体について、抗原結合についてのスクリーニングを実施すること;および(e)前記親ハイブリドーマ細胞により産生された抗体よりも該抗原に対するより大きな親和性をもつ抗体を産生する超変異ハイブリドーマ細胞を選択して;それにより高親和性抗体を産生するハイブリドーマ細胞を製造することを含んでなる、in vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞からの高親和性抗体を産生するハイブリドーマ細胞の製造方法も提供する。
【0035】
本発明はまた、該ハイブリドーマ細胞により産生された抗体も含んでなる。
【0036】
本発明はまた:(a)免疫グロブリン産生細胞を含んでなるドナー細胞を免疫原性の抗原とin vitroで組み合わせること;(b)該免疫グロブリン産生細胞を骨髄腫細胞と融合して親ハイブリドーマ細胞を形成すること;(c)ミスマッチ修復の最低1種の化学的阻害剤の存在下で該親ハイブリドーマ細胞をインキュベートして、それにより超変異ハイブリドーマ細胞を形成すること;(d)親ハイブリドーマ細胞により生じられる力価より高力価で産生された抗原特異的抗体についての超変異ハイブリドーマ細胞のスクリーニングを実施すること;および(e)前記親ハイブリドーマ細胞により生じられる力価よりも高力価の抗体を産生する超変異ハイブリドーマ細胞を選択して;それにより高力価
抗体を産生するハイブリドーマ細胞を製造することを含んでなる、in vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞からの高力価の抗体を産生するハイブリドーマ細胞の製造方法も提供する。
【0037】
本発明の方法のいくつかの態様において、超変異ハイブリドーマ細胞はまた親ハイブリドーマにより生じられる力価よりも高力価の抗体の産生についてもスクリーニングされる。該スクリーニングは、ELISAに基づくアッセイ、若しくは抗体−抗原結合を測定するためのいずれかの他の手段を使用することであってよい。
【0038】
本発明はまた、該ハイブリドーマ細胞により産生された抗体も含んでなる。
【0039】
本発明はまた:(a)免疫グロブリン産生細胞を含んでなるドナー細胞を免疫原性の抗原とin vitroで組み合わせること;(b)該免疫グロブリン産生細胞を骨髄腫細胞と融合してハイブリドーマ細胞を形成すること;(c)該ハイブリドーマ細胞から産生された抗体の抗原結合についてのスクリーニングを実施すること;(d)該ハイブリドーマからの免疫グロブリン遺伝子を哺乳動物発現細胞にクローン化すること;(e)ミスマッチ修復の最低1種の化学的阻害剤の存在下で該哺乳動物発現細胞をインキュベートすること;(f)該ハイブリドーマ細胞から産生された抗体に比較して抗原に対するより高親和性をもつ抗体を分泌する哺乳動物発現細胞についてのスクリーニングを実施して;それによりin vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞から高力価の高親和性抗体を産生する哺乳動物発現細胞を製造することを含んでなる、in vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞からの高力価の高親和性抗体を産生する哺乳動物発現細胞の製造方法も提供する。
【0040】
本発明の方法のいくつかの態様において、該方法は、超変異哺乳動物発現細胞からの化学的阻害剤の除去、それによる前記超変異哺乳動物発現細胞のゲノムを安定化することをさらに含んでもよい。
【0041】
本発明はまた、該哺乳動物発現細胞により産生された抗体も含んでなる。
【0042】
本発明はまた:(a)免疫グロブリン産生細胞を含んでなるドナー細胞を免疫原性の抗原とin vitroで組み合わせること;(b)該免疫グロブリン産生細胞を骨髄腫細胞と融合してハイブリドーマ細胞を形成すること;(c)ミスマッチ修復の最低1種の化学的阻害剤の存在下で該ハイブリドーマ細胞をインキュベートして超変異ハイブリドーマ細胞を形成すること;(d)該超変異ハイブリドーマ細胞から産生された抗体について、抗原結合についてのスクリーニングを実施すること;(e)該親ハイブリドーマ細胞により産生された抗体よりも該抗原に対するより大きな親和性をもつ抗体を産生する超変異ハイブリドーマ細胞を選択すること;(f)該超変異ハイブリドーマ細胞からの免疫グロブリン遺伝子を哺乳動物発現細胞にクローン化してそれにより親哺乳動物発現細胞を形成して;それによりin vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞から高力価の高親和性抗体を産生する哺乳動物発現細胞を製造することを含んでなる、in vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞からの選択された抗原に対する高力価の高親和性抗体を産生する哺乳動物発現細胞の製造方法も提供する。
【0043】
いくつかの態様において、親哺乳動物発現細胞をミスマッチ修復の最低1種の化学的阻害剤の存在下でさらにインキュベートしてそれにより超変異哺乳動物発現細胞を形成し;そして、該超変異哺乳動物発現細胞を、親哺乳動物発現細胞の産生量より高い抗体産生量についてスクリーニングする。
【0044】
本発明の方法のいくつかの態様において、該方法は、超変異ハイブリドーマおよび/若
しくは超変異哺乳動物発現細胞からの化学的阻害剤の除去、それによる前記超変異ハイブリドーマ細胞および/若しくは超変異哺乳動物発現細胞のゲノムを安定化することをさらに含んでもよい。
【0045】
本発明はまた、該哺乳動物発現細胞により産生された抗体も含んでなる。
【0046】
本発明はまた:(a)免疫グロブリン産生細胞を含んでなるドナー細胞を免疫原性の抗原とin vitroで組み合わせること;(b)前記免疫グロブリン産生細胞を骨髄腫細胞と融合してハイブリドーマ細胞を形成すること;(c)前記ハイブリドーマ細胞から産生された抗体の抗原への結合についてのスクリーニングを実施すること;(d)前記ハイブリドーマからの免疫グロブリン遺伝子を哺乳動物発現細胞にクローン化すること;(e)ミスマッチ修復の最低1種の化学的阻害剤の存在下で前記哺乳動物発現細胞をインキュベートして、それにより超変異哺乳動物発現細胞を形成すること;(f)前記親哺乳動物発現細胞から産生された抗体に比較して抗原に対するより高親和性をもつ抗体を分泌する超変異哺乳動物発現細胞についてのスクリーニングを実施すること;および(g)親哺乳動物発現細胞により生じられる力価よりも高力価の抗体を産生する超変異哺乳動物発現細胞についての第二のスクリーニングを実施し;それによりin vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞から高力価の高親和性抗体を産生する哺乳動物発現細胞を製造することを含んでなる、in vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞からの高力価の高親和性抗体を産生する哺乳動物発現細胞の製造方法も提供する。
【0047】
本発明の方法のいくつかの態様において、該方法は、超変異ハイブリドーマおよび/若しくは超変異哺乳動物発現細胞からの化学的阻害剤の除去、それによる前記超変異ハイブリドーマ細胞および/若しくは超変異哺乳動物発現細胞のゲノムを安定化することをさらに含んでもよい。
【0048】
本発明はまた、該哺乳動物発現細胞により産生された抗体も含んでなる。
【0049】
別の態様において、本発明は:(a)免疫グロブリン産生細胞を含んでなる、ミスマッチ修復が天然に欠損しているドナー由来であるドナー細胞を、免疫原性の抗原とin vitroで組み合わせること;(b)該免疫グロブリン産生細胞を骨髄腫細胞と融合して、ミスマッチ修復が欠損している親ハイブリドーマ細胞を形成すること;(c)突然変異誘発を見込んで該親ハイブリドーマ細胞をインキュベートしてそれにより超変異ハイブリドーマ細胞を形成すること;(d)該超変異ハイブリドーマ細胞から産生された抗体について、抗原への抗体の結合についてのスクリーニングを実施すること;および(e)該親ハイブリドーマ細胞により産生された抗体よりも抗原に対する高められた親和性をもつ抗体を産生する超変異ハイブリドーマ細胞を選択し;それにより高親和性抗体を産生するハイブリドーマ細胞を製造することを含んでなる、in vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞からの高親和性抗体を産生するハイブリドーマ細胞の製造方法を含んでなる。
【0050】
該方法はさらに、ミスマッチ修復の野性型遺伝子を前記選択された超変異ハイブリドーマ細胞に導入してミスマッチ修復欠損を補完して、それにより前記選択された超変異ハイブリドーマ細胞のゲノムを再安定化することを含んでもよい。
【0051】
本発明はまた、該ハイブリドーマ細胞により産生された抗体も含んでなる。
【0052】
別の態様において、本発明は:(a)免疫グロブリン産生細胞を含んでなるドナー細胞を免疫原性の抗原とin vitroで組み合わせること;(b)該免疫グロブリン産生細胞を、ミスマッチ修復遺が天然に欠損している骨髄腫細胞と融合して、それにより、ミ
スマッチ修復が欠損している親ハイブリドーマ細胞を形成すること;(c)突然変異誘発を見込んで該親ハイブリドーマ細胞をインキュベートしてそれにより超変異ハイブリドーマ細胞を形成すること;(d)該超変異ハイブリドーマ細胞から産生された抗体について、抗原への抗体の結合についてのスクリーニングを実施すること;および(e)該親ハイブリドーマ細胞により産生された抗体よりも抗原に対する高められた親和性をもつ抗体を産生する超変異ハイブリドーマ細胞を選択して;それにより高親和性抗体を産生するハイブリドーマ細胞を製造することを含んでなる、in vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞からの高親和性抗体を産生するハイブリドーマ細胞の製造方法を含んでなる。
【0053】
該方法は、ミスマッチ修復の野性型遺伝子を前記選択された超変異ハイブリドーマ細胞に導入してミスマッチ修復欠損を補完して、それにより前記選択された超変異ハイブリドーマ細胞のゲノムを再安定化することをさらに含んでもよい。
【0054】
本発明はまた、該ハイブリドーマ細胞により産生された抗体も含んでなる。
【0055】
別の態様において、本発明は:(a)免疫グロブリン産生細胞を含んでなる、ミスマッチ修復を天然に欠損しているドナー由来であるドナー細胞を免疫原性の抗原とin vitroで組み合わせること;(b)該免疫グロブリン産生細胞を骨髄腫細胞と融合して、ミスマッチ修復が欠損している親ハイブリドーマ細胞を形成すること;(c)突然変異誘発を見込んで該親ハイブリドーマ細胞をインキュベートして、それにより超変異ハイブリドーマ細胞を形成すること;(d)該超変異ハイブリドーマ細胞から産生された抗体について、抗原への抗体の結合についてのスクリーニングを実施すること;(e)該親ハイブリドーマ細胞により産生された抗体よりも抗原に対する高められた親和性をもつ抗体を産生する超変異ハイブリドーマ細胞を選択すること;(f)親ハイブリドーマ細胞に比較して増大された力価の抗体を産生する超変異ハイブリドーマ細胞についての第二のスクリーニングを実施すること;(g)該親ハイブリドーマ細胞により産生されるよりも高力価の抗体を産生する超変異ハイブリドーマ細胞を選択して;それにより高力価の高親和性抗体を産生するハイブリドーマ細胞を製造することを含んでなる、in vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞からの高力価の高親和性抗体を産生するハイブリドーマ細胞の製造方法を含んでなる。
【0056】
該方法は、ミスマッチ修復の野性型遺伝子を前記選択された超変異ハイブリドーマ細胞に導入してミスマッチ修復欠損を補完して、それにより前記選択された超変異ハイブリドーマ細胞のゲノムを再安定化することをさらに含んでもよい。
【0057】
本発明はまた、該ハイブリドーマ細胞により産生された抗体も含んでなる。
【0058】
別の態様において、本発明は:(a)免疫グロブリン産生細胞を含んでなるドナー細胞を免疫原性の抗原とin vitroで組み合わせること;(b)該免疫グロブリン産生細胞を、ミスマッチ修復が天然に欠損している骨髄腫細胞と融合してそれによりミスマッチ修復が欠損している親ハイブリドーマ細胞を形成すること;(c)突然変異誘発を見込んで該親ハイブリドーマ細胞をインキュベートしてそれにより超変異ハイブリドーマ細胞を形成すること;(d)該超変異ハイブリドーマ細胞から産生された抗体について、抗原への抗体の結合についてのスクリーニングを実施すること;(e)該親ハイブリドーマ細胞により産生された抗体よりも抗原に対する高められた親和性をもつ抗体を産生する超変異ハイブリドーマ細胞を選択すること;(f)親ハイブリドーマ細胞に比較して増大された力価の抗体を産生する超変異ハイブリドーマ細胞についての第二のスクリーニングを実施すること;(g)該親ハイブリドーマ細胞により産生されるよりも高力価の抗体を産生する超変異ハイブリドーマ細胞を選択して;それにより高力価の高親和性抗体を産生するハイブリドーマ細胞を製造することを含んでなる、in vitroで免疫した免疫グロ
ブリン産生細胞からの高力価の高親和性抗体を産生するハイブリドーマ細胞の製造方法を含んでなる。
【0059】
該方法は、ミスマッチ修復の野性型遺伝子を前記選択された超変異ハイブリドーマ細胞に導入してミスマッチ修復欠損を補完して、それにより前記選択された超変異ハイブリドーマ細胞のゲノムを再安定化することをさらに含んでもよい。
【0060】
本発明はまた、該ハイブリドーマ細胞により産生された抗体も含んでなる。
【0061】
別の態様において、本発明は:(a)免疫グロブリン産生細胞を含んでなる、ミスマッチ修復が天然に欠損しているドナー由来であるドナー細胞を、免疫原性の抗原とin vitroで組み合わせること;(b)免疫グロブリン産生細胞を骨髄腫細胞と融合して、ミスマッチ修復が欠損している親ハイブリドーマ細胞を形成すること;(c)突然変異誘発を見込んで親ハイブリドーマ細胞をインキュベートしてそれにより超変異ハイブリドーマ細胞を形成すること;(d)超変異ハイブリドーマ細胞から産生された抗体について、抗原への抗体の結合についてのスクリーニングを実施すること;(e)親ハイブリドーマ細胞により産生された抗体よりも抗原に対する高められた親和性をもつ抗体を産生する超変異ハイブリドーマ細胞を選択すること;(f)前記超変異ハイブリドーマからの免疫グロブリン遺伝子を哺乳動物発現細胞にクローン化し;それによりin vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞から高力価で高力価の高親和性抗体を産生する哺乳動物発現細胞を製造することを含んでなる、in vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞からの高力価の高親和性抗体を産生する哺乳動物発現細胞の製造方法を含んでなる。
【0062】
いくつかの態様において、親哺乳動物発現細胞は、ミスマッチ修復の最低1種の化学的阻害剤の存在下でさらにインキュベートしてそれにより超変異哺乳動物発現細胞を形成し;そして、該超変異哺乳動物発現細胞を、親哺乳動物発現細胞の産生量より高い抗体産生量についてスクリーニングする。
【0063】
本発明の方法のいくつかの態様において、該方法は超変異哺乳動物発現細胞からの化学的阻害剤の除去、それによる前記超変異哺乳動物発現細胞のゲノムを安定化することをさらに含んでもよい。
【0064】
本発明はまた、該哺乳動物発現細胞により産生された抗体も含んでなる。
【0065】
別の態様において、本発明は:(a)免疫グロブリン産生細胞を含んでなるドナー細胞を免疫原性の抗原とin vitroで組み合わせること;(b)免疫グロブリン産生細胞を、ミスマッチ修復が天然に欠損している骨髄腫細胞と融合して、それによりミスマッチ修復が欠損している親ハイブリドーマ細胞を形成すること;(c)突然変異誘発を見込んで親ハイブリドーマ細胞をインキュベートしてそれにより超変異ハイブリドーマ細胞を形成すること;(d)超変異ハイブリドーマ細胞から産生された抗体について、抗原への抗体の結合についてのスクリーニングを実施すること;(e)親ハイブリドーマ細胞により産生された抗体よりも抗原に対する高められた親和性をもつ抗体を産生する超変異ハイブリドーマ細胞を選択すること;および(f)前記超変異ハイブリドーマ細胞からの免疫グロブリン遺伝子を哺乳動物発現細胞にクローン化し;それによりin vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞から高力価の高親和性抗体を産生する哺乳動物発現細胞を製造することを含んでなる、in vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞からの高力価の高親和性抗体を産生する哺乳動物発現細胞の製造方法も含んでなる。
【0066】
いくつかの態様において、該親哺乳動物発現細胞は、ミスマッチ修復の最低1種の化学的阻害剤の存在下でさらにインキュベートして、それにより超変異哺乳動物発現細胞を形
成し;そして、該超変異哺乳動物発現細胞を、親哺乳動物発現細胞の産生量より高い抗体産生量についてスクリーニングする。
【0067】
本発明の方法のいくつかの態様において、該方法は、超変異哺乳動物発現細胞からの化学的阻害剤の除去、それによる前記超変異哺乳動物発現細胞のゲノムを安定化することをさらに含んでもよい。
【0068】
本発明はまた、該ハイブリドーマ細胞により産生された抗体も含んでなる。
【0069】
本発明の方法のいくつかの態様において、免疫グロブリン産生細胞は、限定されるものでないがマウス細胞、ラット細胞、ヤギ細胞、ウシ細胞、ウマ細胞、イヌ細胞、ネコ細胞、ウサギ細胞、トリ細胞、サル細胞およびヒト細胞を挙げることができる哺乳動物細胞である。好ましい態様において、細胞はヒト細胞である。
【0070】
いくつかの態様において、ミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブなアレルは、PMS2、PMS1、PMSR3、PMSR2、PMSR6、MLH1、GTBP、MSH3、MSH2、MLH3若しくはMSH1、ならびに、Nicolaidesら(1995)Genomics 30:195−206およびHoriiら(1994)Biochem.Biophys.Res.Commun.204:1257−1264に記述されるところのPMSR遺伝子のホモログのドミナントネガティブなアレルである。しかしながらミスマッチ修復遺伝子はこれらの例に制限されない。
【0071】
本発明の方法のいくつかの態様において、免疫原性抗原は、限定されるものでないが破傷風トキソイド、卵アルブミン、ウシ血清アルブミン、サイログロブリン、ジフテリアトキソイド、BCGおよびコレラトキシンを挙げることができるポリペプチドの少なくとも一部分を含んでなる分裂促進性ポリペプチドに結合される。いくつかの態様において、抗原は成熟タンパク質を変性させることにより生成される。
【0072】
本発明の方法のいくつかの態様において、産生された抗体は最低約1×10−1の親和性を有する。他の態様において、抗体は最低約1×10−1の親和性を有する。他の態様において、抗体は最低約1×10−1の親和性を有する。他の態様において、抗体は最低約1×1010−1の親和性を有する。他の態様において、抗体は最低約1×1011−1の親和性を有する。他の態様において、抗体は最低約1×1012−1の親和性を有する。他の態様において、抗体は最低約1×1013−1の親和性を有する。他の態様において、抗体は最低約1×1014−1の親和性を有する。
【0073】
いくつかの態様において、抗体は、親細胞株より最低約1.5倍より多い量でのような、親細胞株より高力価で産生される。他の態様において、力価は親細胞株より最低約1.5〜3倍より高い。他の態様において、力価は親細胞株より最低約3〜5倍より高い。他の態様において、力価は親細胞株より最低約5〜7倍より高い。他の態様において、力価は親細胞株より最低約7〜9倍より高い。他の態様において、力価は親細胞株より最低約9〜10倍より高い。
【0074】
本発明の方法のいくつかの態様において、突然変異率は、限定されるものでないがN−エチル−N−ニトロソ尿素、N−メチル−N−ニトロソ尿素、プロカルバジン塩酸塩、クロラムブシル、シクロホスファミド、メタンスルホン酸メチル、メタンスルホン酸エチル、ジエチル硫酸、アクリルアミド単量体、トリエチレンメラミン、メルファラン、ナイトロジェンマスタード、ビンクリスチン、ジメチルニトロソアミン、N−メチル−N’−ニトロニトロソグアニジン、7,12ジメチルベンズ(a)アントラセン、エチレンオキサイド、ヘキサメチルホスホルアミドおよびビスルファンを挙げることができる化学的突然
変異原とともにハイブリドーマ細胞をインキュベートすることによりさらに高められる。
【0075】
本発明の方法のある態様にて使用されるミスマッチ修復の化学的阻害剤は、限定されるものでないがアントラセン、ATPアーゼ阻害剤、ヌクレアーゼ阻害剤、RNA干渉分子、ポリメラーゼ阻害剤、およびミスマッチ修復タンパク質をコードするヌクレオチドに特異的にハイブリダイズするアンチセンスオリゴヌクレオチドの最低1種を挙げることができる。いくつかの態様において、化学的阻害剤は、式:
【0076】
【化1】

【0077】
(式中、R−R10は独立に水素、ヒドロキシル、アミノ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、O−アルキル、S−アルキル、N−アルキル、O−アルケニル、S−アルケニル、N−アルケニル、O−アルキニル、S−アルキニル、N−アルキニル、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アラルキルオキシ、アリールアルキル、アルキルアリール、アルキルアリールオキシ、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、グアニジノ、カルボキシ、アルコール、アミノ酸、スルホネート、アルキルスルホネート、CN、NO、アルデヒド基、エステル、エーテル、クラウンエーテル、ケトン、有機イオウ化合物、有機金属基、カルボン酸、有機ケイ素、または1個若しくはそれ以上のアルキル化ヒドロキシル基を場合によっては含有する炭水化物であり;ここで、前記ヘテロアルキル、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールは、酸素、イオウ、金属原子、リン、ケイ素若しくは窒素である最低1個のヘテロ原子を含有し;また、ここで、前記置換アルキル、置換アルケニル、置換アルキニル、置換アリールおよび置換ヘテロアリールの前記置換基は、ハロゲン、CN、NO、低級アルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アラルコキシ、グアニジノ、アルコキシカルボニル、アルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシおよびアミノであり;ならびにここで前記アミノ基は1個のアシル基または1ないし3個のアリール若しくは低級アルキル基で場合によっては置換される)
を有するアントラセンである。ある態様において、RおよびRは水素である。他の態様において、R−R10は独立に水素、ヒドロキシル、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、フェニル、トルイル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシプロピル若しくはヒドロキシブチルである。アントラセンの制限しない例は、1,2−ジメチルアントラセン、9,10−ジメチルアントラセン、7,8−ジメチルアントラセン、9,10−ジフェニルアントラセン、9,10−ジヒドロキシメチルアントラセン、9−ヒドロキシメチル−10−メチルアントラセン、ジメチルアントラセン−1,2−ジオール、9−ヒドロキシメチル−10−メチルアントラセン−1,2−ジオール、9−ヒドロキシメチル−10−メチルアントラセン−3,4−ジオールおよび9,10−ジ−m−トルイルアントラセンを包含する。
【0078】
化学的阻害剤は細胞の増殖培地に導入してよい。いくつかの態様において、化学的阻害剤は、細胞のゲノムを再安定化するために、超変異ハイブリドーマ細胞から除去してよい。
【0079】
本発明はまた:(a)ドナー細胞を動物から単離すること;(b)前記細胞をL−ロイ
シル−L−ロイシンメチルエステル臭化水素酸塩で処理すること;(c)前記ドナー細胞を、免疫原性の抗原とともにin vitroで5〜15%の血清および増殖を促進するサイトカインを補充した培地中、25〜37℃、5〜10%COで4日間インキュベートすること;(d)前記細胞を培地で洗浄すること;ならびに(e)前記細胞を、5〜15%の血清を補充した培地中で追加の8日培養し;それにより抗原特異的免疫グロブリン産生細胞の産生を刺激することを含んでなる、抗原特異的免疫グロブリン産生細胞のin
vitro製造方法も含んでなる。
【0080】
いくつかの態様において、免疫グロブリン産生細胞はヒト細胞である。
【0081】
本発明の方法のいくつかの態様において、免疫原性抗原は、限定されるものでないが破傷風トキソイド、卵アルブミン、ウシ血清アルブミン、サイログロブリン、ジフテリアトキソイド、BCGおよびコレラトキシンを挙げることができるポリペプチドの少なくとも一部分を含んでなる分裂促進性ポリペプチドに結合される。いくつかの態様において、抗原は成熟タンパク質を変性させることにより生成される。
【0082】
本発明の方法のいくつかの態様において、産生された抗体は最低約1×10−1の親和性を有する。他の態様において、抗体は最低約1×10−1の親和性を有する。他の態様において、抗体は最低約1×10−1の親和性を有する。他の態様において、抗体は最低約1×1010−1の親和性を有する。他の態様において、抗体は最低約1×1011−1の親和性を有する。他の態様において、抗体は最低約1×1012−1の親和性を有する。他の態様において、抗体は最低約1×1013−1の親和性を有する。他の態様において、抗体は最低約1×1014−1の親和性を有する。
【0083】
いくつかの態様において、抗体は、親細胞株より最低約1.5倍より多い量でのような、親細胞株より高力価で産生される。他の態様において、力価は親細胞株より最低約1.5〜3倍より高い。他の態様において、力価は親細胞株より最低約3〜5倍より高い。他の態様において、力価は親細胞株より最低約5〜7倍より高い。他の態様において、力価は親細胞株より最低約7〜9倍より高い。他の態様において、力価は親細胞株より最低約9〜10倍より高い。
【0084】
本発明の方法のいくつかの態様において、突然変異率は、限定されるものでないがN−エチル−N−ニトロソ尿素、N−メチル−N−ニトロソ尿素、プロカルバジン塩酸塩、クロラムブシル、シクロホスファミド、メタンスルホン酸メチル、メタンスルホン酸エチル、ジエチル硫酸、アクリルアミド単量体、トリエチレンメラミン、メルファラン、ナイトロジェンマスタード、ビンクリスチン、ジメチルニトロソアミン、N−メチル−N’−ニトロニトロソグアニジン、7,12ジメチルベンズ(a)アントラセン、エチレンオキサイド、ヘキサメチルホスホルアミドおよびビスルファンを挙げることができる化学的突然変異原とともにハイブリドーマ細胞および/若しくは哺乳動物発現細胞をインキュベートすることによりさらに高められる。
【0085】
本発明の方法にて使用される哺乳動物発現細胞は、限定されるものでないが、チャイニーズハムスター卵巣、ベビーハムスター腎細胞、ヒト胚腎株293、正常イヌ腎細胞株、正常ネコ腎細胞株、サル腎細胞、アフリカミドリザル腎細胞、COS細胞、および非腫瘍形成性マウス筋芽細胞G8細胞、線維芽細胞株、骨髄腫細胞株、マウスNIH/3T3細胞、LMTK31細胞、マウスセルトーリ細胞、ヒト子宮頚癌細胞、バッファローラット肝細胞、ヒト肺細胞、ヒト肝細胞、マウス乳癌細胞、TRI細胞、MRC 5細胞、ならびにFS4細胞を挙げることができる。
【0086】
これらおよび他の態様は次の節により完全に記述され、そしてある種の制限しない例を
含む。
[発明の詳細な記述]
本明細書で言及される、GenBankデータベース配列に対する受託番号を包含する引用される特許、特許出願および学術論文はこれによりそっくりそのまま引用することにより組み込まれる。本明細書で引用されるいかなる参考文献と本出願の特定の教示との間のいかなる不一致も後者に好都合に解消されるべきである。同様に、語若しくは句の技術に理解される定義と本明細でとりわけ教示されるところの語若しくは句の定義の間のいかなる不一致も後者に好都合に解消されるべきである。
【0087】
当業者に既知の組換えDNA技術の一般的原則を示す標準的参照著作は、限定されるものでないがAusubelら CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY、John Wiley & Sons、ニューヨーク(1998);Sambrookら MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、ニューヨーク州プレインビュー(1989);Kaufmanら編、HANDBOOK OF MOLECULAR AND CELLULAR METHODS IN BIOLOGY AND MEDICINE、CRC Press、ボカレイトン(1995);McPherson編、DIRECTED MUTAGENESIS:A PRACTICAL APPROACH、IRL Press、オックスフォード(1991)を挙げることができる。
【0088】
本発明は、高親和性および/若しくは増大された産生量を伴うin vitroで免疫した細胞からの抗体産生細胞および抗体の製造方法の多様な態様を提供する。いくつかの態様において、抗体を産生する細胞は、in vitroで抗原に対して免疫されたリンパ系細胞と骨髄腫細胞を融合することにより形成されるハイブリドーマ細胞である。他の態様において、抗体を産生する細胞は、in vitroで抗原に対して免疫されたリンパ系細胞からクローン化した免疫グロブリン遺伝子でトランスフェクトした哺乳動物細胞である。いくつかの態様において、該方法はハイブリドーマ細胞および哺乳動物細胞の双方を使用する。本発明の方法のいくつかの基本的な態様は後に続くとおり記述しうる。
【0089】
一態様において、本発明は:(a)免疫グロブリン産生細胞を含んでなるドナー細胞を免疫原性の抗原とin vitroで組み合わせること;(b)該免疫グロブリン産生細胞を骨髄腫細胞と融合して、ミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブなアレルを発現する親ハイブリドーマ細胞を形成すること;(c)突然変異誘発を見込んで該親ハイブリドーマ細胞をインキュベートしてそれにより超変異ハイブリドーマ細胞を形成すること;(d)該超変異ハイブリドーマ細胞から産生された抗体について、抗原への抗体の結合についてのスクリーニングを実施すること;および(e)該親ハイブリドーマ細胞により産生された抗体よりも該抗原に対しより大きな親和性をもつ抗体を産生する超変異ハイブリドーマ細胞を選択し;それにより高親和性抗体を産生するハイブリドーマ細胞を製造することを含んでなる、in vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞からの高親和性抗体を産生するハイブリドーマ細胞の生成方法を提供する。
【0090】
別の態様において、本発明は:(a)免疫グロブリン産生細胞を含んでなるドナー細胞を免疫原性の抗原とin vitroで組み合わせること;(b)該免疫グロブリン産生細胞を骨髄腫細胞と融合して、ミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブなアレルを発現する親ハイブリドーマ細胞を形成すること;(c)突然変異誘発を見込んで該親ハイブリドーマ細胞をインキュベートしてそれにより超変異ハイブリドーマ細胞を形成すること;(d)該親ハイブリドーマ細胞により生じられる力価よりも高力価で産生された抗原特異的抗体についての該超変異ハイブリドーマ細胞のスクリーニングを実施すること;および(e)該親ハイブリドーマ細胞により生じられる力価よりも高力価の抗体を産生する
超変異ハイブリドーマ細胞を選択し;それにより高力価の抗体を産生するハイブリドーマ細胞を製造することを含んでなる、in vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞からの高力価の抗体を産生するハイブリドーマ細胞の製造方法を提供する。
【0091】
別の態様において、本発明は:(a)免疫グロブリン産生細胞を含んでなるドナー細胞を免疫原性の抗原とin vitroで組み合わせること;(b)前記免疫グロブリン産生細胞を骨髄腫細胞と融合してハイブリドーマ細胞を形成すること;(c)前記ハイブリドーマ細胞から産生された抗体の抗原への結合についてのスクリーニングを実施すること;(d)前記ハイブリドーマからの免疫グロブリン遺伝子を、ミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブなアレルを発現する哺乳動物発現細胞にクローン化すること;および(e)前記ハイブリドーマ細胞から産生された抗体に比較して抗原に対してより高親和性をもつ抗体を分泌する哺乳動物発現細胞についてのスクリーニングを実施して;それにより、in vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞から高力価の高親和性抗体を産生するハイブリドーマ細胞を製造することを含んでなる、in vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞からの高力価の高親和性抗体を産生するハイブリドーマ細胞の製造方法を提供する。
【0092】
別の態様において、本発明は:(a)免疫グロブリン産生細胞を含んでなるドナー細胞を免疫原性の抗原とin vitroで組み合わせること;(b)前記免疫グロブリン産生細胞を骨髄腫細胞と融合して、ミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブなアレルを発現するハイブリドーマ細胞を形成すること;(c)突然変異誘発を見込んで前記親ハイブリドーマ細胞をインキュベートしてそれにより超変異ハイブリドーマ細胞を形成すること;(d)前記超変異ハイブリドーマ細胞から産生される抗体について、抗原への抗体の結合についてのスクリーニングを実施すること;(e)前記親ハイブリドーマ細胞により産生された抗体よりも前記抗原に対してより大きい親和性をもつ抗体を産生する超変異ハイブリドーマ細胞を選択すること;および(f)前記ハイブリドーマからの免疫グロブリン遺伝子を哺乳動物発現細胞にクローン化して;それにより、in vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞から高力価の高親和性抗体を産生することによりin vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞からの高力価の高親和性抗体が産生されるを産生する哺乳動物発現細胞の製造方法を提供する。
【0093】
なお別の態様において、本発明は:(a)免疫グロブリン産生細胞を含んでなるドナー細胞を免疫原性の抗原とin vitroで組み合わせること;(b)該免疫グロブリン産生細胞を骨髄腫細胞と融合してハイブリドーマ細胞を形成すること;(c)該ハイブリドーマ細胞から産生された抗体の抗原への結合についてのスクリーニングを実施すること;(d)該ハイブリドーマからの免疫グロブリン遺伝子を、ミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブなアレルを発現する親哺乳動物発現細胞にクローン化すること;(e)突然変異誘発を見込んで該親哺乳動物発現細胞をインキュベートしてそれにより超変異哺乳動物発現細胞を形成すること;(f)該ハイブリドーマ細胞から産生された抗体に比較して抗原に対してより高親和性をもつ抗体を分泌する超変異性哺乳動物発現細胞のスクリーニングを実施すること;および(g)親哺乳動物発現細胞よりも高力価の抗体を分泌する超変異性哺乳動物発現細胞のスクリーニングを実施して;それにより、in vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞から高力価の高親和性抗体を産生する哺乳動物発現細胞を製造することによりin vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞からの高力価の高親和性抗体が産生されるを産生する哺乳動物発現細胞を提供する。
【0094】
なお別の態様において、本発明は:(a)免疫グロブリン産生細胞を含んでなるドナー細胞を免疫原性の抗原とin vitroで組み合わせること;(b)該免疫グロブリン産生細胞を骨髄腫細胞と融合して親ハイブリドーマ細胞を形成すること;(c)ミスマッチ修復の最低1種の化学的阻害剤の存在下で該親ハイブリドーマ細胞をインキュベートし
て、それにより超変異ハイブリドーマ細胞を形成すること;(d)該超変異ハイブリドーマ細胞から産生された抗体について、抗原結合についてのスクリーニングを実施すること;および(e)前記親ハイブリドーマ細胞により産生された抗体よりも該抗原に対するより大きな親和性をもつ抗体を産生する超変異ハイブリドーマ細胞を選択して;それにより高親和性抗体を産生するハイブリドーマ細胞を製造することによりin vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞からの高親和性抗体が産生されるを産生するハイブリドーマ細胞の製造方法を提供する。
【0095】
さらに別の態様において、本発明は:(a)免疫グロブリン産生細胞を含んでなるドナー細胞を免疫原性の抗原とin vitroで組み合わせること;(b)該免疫グロブリン産生細胞を骨髄腫細胞と融合して親ハイブリドーマ細胞を形成すること;(c)ミスマッチ修復の最低1種の化学的阻害剤の存在下で該親ハイブリドーマ細胞をインキュベートして、それにより超変異ハイブリドーマ細胞を形成すること;(d)該親ハイブリドーマ細胞により生じられる力価より高力価で産生された抗原特異的抗体についての該超変異ハイブリドーマ細胞のスクリーニングを実施すること;および(e)前記親ハイブリドーマ細胞により生じられる力価よりも高力価の抗体を産生する超変異ハイブリドーマ細胞を選択して;それにより高力価の抗体を産生するハイブリドーマ細胞を製造することによりin vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞からの高力価の抗体が産生されるを産生するハイブリドーマ細胞の製造方法を提供する。
【0096】
別の態様において、本発明は:(a)免疫グロブリン産生細胞を含んでなるドナー細胞を免疫原性の抗原とin vitroで組み合わせること;(b)該免疫グロブリン産生細胞を骨髄腫細胞と融合してハイブリドーマ細胞を形成すること;(c)該ハイブリドーマ細胞から産生された抗体の抗原結合についてのスクリーニングを実施すること;(d)該ハイブリドーマからの免疫グロブリン遺伝子を哺乳動物発現細胞にクローン化すること;(e)ミスマッチ修復の最低1種の化学的阻害剤の存在下で該哺乳動物発現細胞をインキュベートすること;および(f)該ハイブリドーマ細胞から産生された抗体に比較して抗原に対するより高親和性をもつ抗体を分泌する哺乳動物発現細胞についてのスクリーニングを実施して;それによりin vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞からの高力価の高親和性抗体を産生する哺乳動物発現細胞を製造することによりin vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞からの高力価の高親和性抗体が産生されるを産生する哺乳動物発現細胞の製造方法を提供する。
【0097】
なお別の態様において、本発明は:(a)免疫グロブリン産生細胞を含んでなるドナー細胞を免疫原性の抗原とin vitroで組み合わせること;(b)該免疫グロブリン産生細胞を骨髄腫細胞と融合してハイブリドーマ細胞を形成すること;(c)ミスマッチ修復の最低1種の化学的阻害剤の存在下で該ハイブリドーマ細胞をインキュベートして超変異ハイブリドーマ細胞を形成すること;(d)該超変異ハイブリドーマ細胞から産生された抗体について、抗原結合についてのスクリーニングを実施すること;(e)該親ハイブリドーマ細胞により産生された抗体よりも該抗原に対するより大きな親和性をもつ抗体を産生する超変異ハイブリドーマ細胞を選択すること;および(f)該超変異ハイブリドーマ細胞からの免疫グロブリン遺伝子を哺乳動物発現細胞にクローン化して、それにより親哺乳動物発現細胞を形成して;それによりin vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞から高力価の高親和性抗体を産生する哺乳動物発現細胞を製造することによりin vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞からの選択された抗原に対する高親和性抗体が高力価で産生されるを産生する哺乳動物発現細胞の製造方法を提供する。
【0098】
なお別の態様において、本発明はまた:(a)免疫グロブリン産生細胞を含んでなるドナー細胞を免疫原性の抗原とin vitroで組み合わせること;(b)前記免疫グロブリン産生細胞を骨髄腫細胞と融合してハイブリドーマ細胞を形成すること;(c)前記
ハイブリドーマ細胞から産生された抗体の抗原への結合についてのスクリーニングを実施すること;(d)前記ハイブリドーマからの免疫グロブリン遺伝子を哺乳動物発現細胞にクローン化すること;(e)ミスマッチ修復の最低1種の化学的阻害剤の存在下で前記哺乳動物発現細胞をインキュベートしてそれにより超変異哺乳動物発現細胞を形成すること;(f)前記親哺乳動物発現細胞から産生された抗体に比較して抗原に対するより高親和性を伴う抗体を分泌する超変異哺乳動物発現細胞についてのスクリーニングを実施すること;および(g)親哺乳動物発現細胞により産生されるよりも高力価の抗体を産生する超変異哺乳動物発現細胞に対する第二のスクリーニングを実施して;それによりin vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞から高力価の高親和性抗体を産生する哺乳動物発現細胞を製造することを含んでなる、in vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞からの高力価の高親和性抗体を産生する哺乳動物発現細胞の製造方法も提供する。
【0099】
別の態様において、本発明は:(a)免疫グロブリン産生細胞を含んでなる、ミスマッチ修復が天然に欠損しているドナー由来であるドナー細胞を、免疫原性の抗原とin vitroで組み合わせること;(b)該免疫グロブリン産生細胞を骨髄腫細胞と融合して、ミスマッチ修復が欠損している親ハイブリドーマ細胞を形成すること;(c)突然変異誘発を見込んで該親ハイブリドーマ細胞をインキュベートして、それにより超変異ハイブリドーマ細胞を形成すること;(d)該超変異ハイブリドーマ細胞から産生された抗体についての抗原への抗体の結合についてのスクリーニングを実施すること;および(e)該親ハイブリドーマ細胞により産生された抗体よりも該抗原に対する高められた親和性をもつ抗体を産生する超変異ハイブリドーマ細胞を選択して;それにより高親和性抗体を産生するハイブリドーマ細胞を製造することを含んでなる、in vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞からの高親和性抗体を産生するハイブリドーマ細胞の製造方法を含んでなる。
【0100】
別の態様において、本発明は:(a)免疫グロブリン産生細胞を含んでなるドナー細胞を免疫原性の抗原とin vitroで組み合わせること;(b)該免疫グロブリン産生細胞を、ミスマッチ修復が天然に欠損している骨髄腫細胞と融合して、それによりミスマッチ修復が欠損している親ハイブリドーマ細胞を形成すること;(c)突然変異誘発を見込んで該親ハイブリドーマ細胞をインキュベートして、それにより超変異ハイブリドーマ細胞を形成すること;(d)該超変異ハイブリドーマ細胞から産生された抗体について、抗原への抗体の結合についてのスクリーニングを実施すること;および(e)該親ハイブリドーマ細胞により産生される抗体よりも該抗原に対して高められた親和性をもつ抗体を産生する超変異ハイブリドーマ細胞を選択して;それにより高親和性抗体を産生するハイブリドーマ細胞を製造することを含んでなる、in vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞からの高親和性抗体を産生するハイブリドーマ細胞の製造方法を含んでなる。
【0101】
別の態様において、本発明は:(a)免疫グロブリン産生細胞を含んでなる、ミスマッチ修復が天然に欠損しているドナー由来であるドナー細胞を、免疫原性の抗原とin vitroで組み合わせること;(b)該免疫グロブリン産生細胞を骨髄腫細胞と融合して、ミスマッチ修復が欠損している親ハイブリドーマ細胞を形成すること;(c)突然変異誘発を見込んで該親ハイブリドーマ細胞をインキュベートして、それにより超変異ハイブリドーマ細胞を形成すること;(d)該超変異ハイブリドーマ細胞から産生された抗体について、抗原への抗体の結合についてのスクリーニングを実施すること;(e)該親ハイブリドーマ細胞により産生された抗体よりも抗原に対する高められた親和性をもつ抗体を産生する超変異ハイブリドーマ細胞を選択すること;(f)親ハイブリドーマ細胞に比較して増大された力価の抗体を産生する超変異ハイブリドーマ細胞についての第二のスクリーニングを実施すること;および(g)該親ハイブリドーマ細胞により産生されるよりも高力価の抗体を産生する超変異ハイブリドーマ細胞を選択して;それにより高力価の高親和性抗体を産生するハイブリドーマ細胞を製造することを含んでなる、in vitro
で免疫した免疫グロブリン産生細胞からの高力価の高親和性抗体を産生するハイブリドーマ細胞の製造方法を含んでなる。
【0102】
別の態様において、本発明は:(a)免疫グロブリン産生細胞を含んでなるドナー細胞を免疫原性の抗原とin vitroで組み合わせること;(b)該免疫グロブリン産生細胞を、ミスマッチ修復が天然に欠損している骨髄腫細胞と融合して、それによりミスマッチ修復が欠損している親ハイブリドーマ細胞を形成すること;(c)突然変異誘発を見込んで該親ハイブリドーマ細胞をインキュベートして、それにより超変異ハイブリドーマ細胞を形成すること;(d)該超変異ハイブリドーマ細胞から産生された抗体について、抗原への抗体の結合についてのスクリーニングを実施すること;(e)該親ハイブリドーマ細胞により産生された抗体よりも抗原に対する高められた親和性をもつ抗体を産生する超変異ハイブリドーマ細胞を選択すること;(f)親ハイブリドーマ細胞に比較して増大された力価の抗体を産生する超変異ハイブリドーマ細胞についての第二のスクリーニングを実施すること;および(g)該親ハイブリドーマ細胞により産生されるよりも高力価の抗体を産生する超変異ハイブリドーマ細胞を選択して;それにより高力価の高親和性抗体を産生するハイブリドーマ細胞を製造することを含んでなる、in vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞からの高力価の高親和性抗体を産生するハイブリドーマ細胞の製造方法を含んでなる。
【0103】
別の態様において、本発明は:(a)免疫グロブリン産生細胞を含んでなる、ミスマッチ修復が天然に欠損しているドナー由来であるドナー細胞を免疫原性の抗原とin vitroで組み合わせること;(b)免疫グロブリン産生細胞を骨髄腫細胞と融合して、ミスマッチ修復が欠損している親ハイブリドーマ細胞を形成すること;(c)突然変異誘発を見込んで該親ハイブリドーマ細胞をインキュベートしてそれにより超変異ハイブリドーマ細胞を形成すること;(d)超変異ハイブリドーマ細胞から産生された抗体について、抗原への抗体の結合についてのスクリーニングを実施すること;(e)親ハイブリドーマ細胞により産生された抗体よりも抗原に対する高められた親和性をもつ抗体を産生する超変異ハイブリドーマ細胞を選択すること;および(f)前記超変異ハイブリドーマからの免疫グロブリン遺伝子を哺乳動物発現細胞にクローン化し;それによりin vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞から高力価で高力価の高親和性抗体を産生する哺乳動物発現細胞を製造することを含んでなる、in vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞からの高力価の高親和性抗体を産生する哺乳動物発現細胞の製造方法を含んでなる。
【0104】
別の態様において、本発明は:(a)免疫グロブリン産生細胞を含んでなるドナー細胞を免疫原性の抗原とin vitroで組み合わせること;(b)免疫グロブリン産生細胞を、ミスマッチ修復が天然に欠損している骨髄腫細胞と融合して、それによりミスマッチ修復が欠損している親ハイブリドーマ細胞を形成すること;(c)突然変異誘発を見込んで該親ハイブリドーマ細胞をインキュベートしてそれにより超変異ハイブリドーマ細胞を形成すること;(d)超変異ハイブリドーマ細胞から産生された抗体について、抗原への抗体の結合についてのスクリーニングを実施すること;(e)親ハイブリドーマ細胞により産生された抗体よりも抗原に対する高められた親和性をもつ抗体を産生する超変異ハイブリドーマ細胞を選択すること;および(f)前記超変異ハイブリドーマ細胞からの免疫グロブリン遺伝子を哺乳動物発現細胞にクローン化し;それによりin vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞から高力価の高親和性抗体を産生する哺乳動物発現細胞を製造することを含んでなる、in vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞からの高力価の高親和性抗体を産生する哺乳動物発現細胞の製造方法を含んでなる。
【0105】
本発明はまた、ハイブリドーマ細胞、本発明の方法のいずれかにより製造された発現細胞、ならびに、本発明のハイブリドーマ細胞および発現細胞のいずれかにより産生された
抗体も提供する。
【0106】
なお別の態様において:(a)ドナー細胞を動物から単離すること;(b)前記細胞をL−ロイシル−L−ロイシンメチルエステル臭化水素酸塩で処理すること;(c)前記ドナー細胞を、免疫原性の抗原とともにin vitroで5〜15%の血清および増殖を促進するサイトカインを補充した培地中、25〜37℃、5〜10%COで4日間インキュベートすること;(d)前記細胞を培地で洗浄すること;ならびに(e)前記細胞を、5〜15%の血清を補充した培地中で追加の8日培養して;それにより抗原特異的免疫グロブリン産生細胞の産生を刺激することにより、抗原特異的免疫グロブリン産生細胞が製造される。
【0107】
本発明の方法で使用される血液細胞は抗体を産生するいかなる動物由来であってもよい。好ましくは、ドナー細胞は、限定されるものでないがヒト、サル、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、スナネズミ、トリ、ウサギ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウマおよびウシを挙げることができる哺乳動物由来である。血液の供給源は必ずしも制限されないが、しかし全血、若しくはリンパ球を含有する画分であってよい。血液は例えばドナー血若しくは臍帯血であってよい。いくつかの態様において、血液細胞は好ましくはヒトドナー細胞である。
【0108】
本発明の方法でハイブリドーマ細胞を創製するのに使用される骨髄腫細胞は、適する骨髄腫細胞を有することが既知のいかなる種由来であってもよい。例えば、しかし制限としてでなく、骨髄腫細胞は便宜的にヒト若しくはマウス由来であってよい。骨髄腫細胞の適する例は、限定されるものでないが、Winkelhakeへの米国特許第4,720,459号明細書に記述されかつAmerican Type Culture Collection(ATCC)にCRL 8644として寄託されたところのHuNS1骨髄腫;GM4672;RPMI 8226;ならびにマウス骨髄腫細胞株(例えばP3−NS1/1−Ag4−1;P3−x63−Ag8.653;Sp2/O−Ag14;NS/O、NS/1、SP1およびS194)を挙げることができる。
【0109】
本発明の方法のある態様での使用に適する哺乳動物発現細胞は、限定されるものでないが、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞、UrlaubとChasin(1980)Proc.Natl.Acad.Sci.USA、77:4216)、ベビーハムスター腎(BHK細胞)、ヒト胚腎株293(HeLa細胞、Grahamら、(1977)、J.Gen Viol.、36:59)、正常イヌ腎細胞株(例えばMDCK、ATCC CCL 34)、正常ネコ腎細胞株(CRFK細胞)、サル腎細胞(CV1 ATCC CCL 70);アフリカミドリザル腎細胞(VERO−76、ATCC CRL−1587)、COS(例えばCOS−7)細胞、および非腫瘍形成性マウス筋芽細胞G8細胞(例えばATCC CRL 1246)、線維芽細胞株(例えばヒト、マウス若しくはニワトリ胚線維芽細胞株)、骨髄腫細胞株、マウスNIH/3T3細胞、LMTK31細胞、マウスセルトーリ細胞(TM4、Mather、(1980)Biol.Reprod.、23:243−251);ヒト子宮頚癌細胞(HELA、ATCC CCL
2);バッファローラット肝細胞(BRL 3A、ATCC CRL 1442);ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL 75);ヒト肝細胞(Hep G2、HB 8065);マウス乳癌細胞(MMT 060562、ATCC CCL 51)、TRI細胞(Matherら(1982)Annals N.Y.Acad.Sci.383:44−68);MRC 5細胞;FS4細胞;ならびにヒト肝癌株(Hep G2)を挙げることができる。
【0110】
哺乳動物発現細胞に対する一代替として、クローン化した免疫グロブリン遺伝子を発現させるのに他の非哺乳動物細胞を使用してよい。こうした非哺乳動物細胞は、限定される
ものでないが昆虫細胞(例えばSpodoptera frugiperda細胞など)を挙げることができる。ベクターおよび非哺乳動物宿主細胞は当該技術分野で公知であり、そして継続的に至適化かつ開発されている。抗体を発現することが可能ないかなる宿主細胞系も本発明の方法で使用してよい。
【0111】
本明細書で使用されるところの「ミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブなアレル」は、発現された場合に、野性型アレルの存在下でさえミスマッチ修復系の阻害に至る細胞若しくは生物体において優性の表現型を発揮するミスマッチ修復遺伝子のアレルを指す。ミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブなアレルを発現する細胞は、野性型細胞よりも高率で超変異性でありかつ突然変異を蓄積する。本発明の方法で有用なミスマッチ修復タンパク質をコードする核酸配列の例は、限定されるものでないが、以下すなわちPMS1(配列番号1);PMS2(配列番号3);PMS2−134(配列番号5);PMSR2(配列番号7);PMSR3(配列番号9);MLH1(配列番号11);MLH3(配列番号13);MSH2(配列番号15);MSH3(配列番号17);MSH4(配列番号19);MSH5(配列番号21);MSH6(配列番号23);PMSR6(配列番号25);PMSL9(配列番号27);酵母MLH1(配列番号29);マウスPMS2(配列番号31);マウスPMS2−134(配列番号33);シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)PMS2(配列番号35);シロイヌナズナ(A.thaliana)PMS2−134(配列番号37)シロイヌナズナ(A.thaliana)PMS1(配列番号39);シロイヌナズナ(A.thaliana)MSH7(配列番号41)シロイヌナズナ(A.thaliana)MSH2(配列番号43);シロイヌナズナ(A.thaliana)MSH3(配列番号45);シロイヌナズナ(A.thaliana)MSH6−1(配列番号47);およびイネ(Oryza satvia)MLH1(配列番号49)を挙げることができる。列挙された核酸配列の対応するアミノ酸配列は:PMS1(配列番号2);PMS2(配列番号4);PMS2−134(配列番号6);PMSR2(配列番号8);PMSR3(配列番号10);MLH1(配列番号12);MLH3(配列番号14);MSH2(配列番号16);MSH3(配列番号18);MSH4(配列番号20);MSH5(配列番号22);MSH6(配列番号24);PMSR6(配列番号26);PMSL9(配列番号28);酵母MLH1(配列番号30);マウスPMS2(配列番号32);マウスPMS2−134(配列番号34);シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)PMS2(配列番号36);シロイヌナズナ(A.thaliana)PMS2−134(配列番号38);シロイヌナズナ(A.thaliana)PMS1(配列番号40);シロイヌナズナ(A.thaliana)MSH7(配列番号42)シロイヌナズナ(A.thaliana)MHS2(配列番号44);シロイヌナズナ(A.thaliana)MSH3(配列番号46);シロイヌナズナ(A.thaliana)MSH6−1(配列番号48);およびイネ(Oryza satvia)MLH1(配列番号50)である。
【0112】
本明細書で使用されるところの「高力価」は親細胞株より最低約1.5倍より高い力価を指す。いくつかの態様において、力価は親細胞株より最低約1.5〜3倍より高いか、3〜5倍より高いか、5〜7倍より高いか、7〜9倍より高いか、若しくは9〜10倍より高い。
【0113】
本明細書で使用されるところの「高親和性」は、式K=8/3(It−Tt)(式中「It」は50%トレーサーでの阻害剤取り込みの総モル濃度であり、また、「Tt」はトレーサーの総モル濃度である)により標準的方法に従って計算しうる高い抗体結合親和性を指す。Muller(1980)J.Immunol.Meth.34:345−352を参照されたい。結合親和性は、式B/T=n×NAb×W108[(V−V)K+Q×W]を使用して計算してもまたよい(AntoniとMariani(1985)
J.Immunol.Meth.83:61−68を参照されたい)。本明細書で使用されるところの「高親和性」は最低約1×10−1である。いくつかの態様において、抗体は最低約1×10−1の親和性を有する。他の態様において、抗体は最低約1×10−1の親和性を有する。他の態様において、抗体は最低約1×1010−1の親和性を有する。他の態様において、抗体は最低約1×1011−1の親和性を有する。他の態様において、抗体は最低約1×1012−1の親和性を有する。他の態様において、抗体は最低約1×1013−1の親和性を有する。他の態様において、抗体は最低約1×1014−1の親和性を有する。
【0114】
本明細書で使用されるところの「抗原特異的」は、抗原のエピトープと免疫グロブリン分子のCDR領域との間の相互作用を指し、ここで免疫グロブリン分子のCDR領域はエピトープに結合する。
【0115】
本明細書で使用されるところの「治癒される」は、ドミナントネガティブなミスマッチ修復遺伝子が細胞から排除されている、若しくはドミナントネガティブなアレルの発現のスイッチが切られて安定化されたゲノムに至り免疫グロブリンのような安定な生物学的産物を産生する細胞の状態を指す。
【0116】
本発明の方法のいくつかの態様において、ミスマッチ修復は、ミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブなアレルを細胞に導入することにより阻害される。
【0117】
本発明の方法の他の態様において、ミスマッチ修復は、ミスマッチ修復を阻害する化合物に抗体を発現する細胞を曝露することにより阻害される。いくつかの態様において、化合物はATPアーゼ阻害剤である。適するATPアーゼ阻害剤は、限定されるものでないが、細胞中でのミスマッチ修復に必要なATPアーゼ活性を阻害することが可能であるATP類似物を挙げることができる。本発明の方法で使用してよいATP類似物の例は、限定されるものでないが、ミスマッチ修復活性を阻害するAMP−PNPおよびATPγSのような加水分解不可能な形態のATPを挙げることができる(Galioら(1999)Nucl.Acids Res.27:2325−2331;Allenら(1997)EMBO J.16:4467−4476;Bjornsonら(2000)Biochem.39:3176−3183)。他の適するATPアーゼ阻害剤は、候補のATPアーゼ阻害剤を用いてスクリーニングして細胞中のATPアーゼ活性を効果的に阻害する化合物を同定しうるミスマッチ修復レポーター細胞を使用して同定しうる。
【0118】
本発明の方法の他の態様において、ミスマッチ修復はヌクレアーゼ阻害剤に抗体を発現する細胞を曝露することにより阻害される。ヌクレアーゼ阻害剤はミスマッチ修復の生化学的経路中のエキソヌクレアーゼ活性を阻害することが可能である。ミスマッチ修復レポーター細胞は、候補のヌクレアーゼ阻害剤を用いてスクリーニングしてミスマッチ修復系のエキソヌクレアーゼ活性を効果的に阻害する化合物を同定しうる。本発明の方法で使用してよい適するヌクレアーゼ阻害剤は、限定されるものでないがエンドヌクレアーゼ阻害剤N−エチルマレイミドの類似物(Huangら(1995)Arch.Biochem.Bipohys.316:485);エキソヌクレアーゼIII阻害剤のヘテロ二量体アデノシン鎖アクリジン化合物(Belmontら(2000)Bioorg.Med.Chem Lett.10:293−295);ならびにヘリカーゼ阻害活性を有するヘリキノマイシンのような抗生物質化合物(Chinoら(1998)J.Antibiot.(Tokyo)51:480−486)を挙げることができる。他の適するヌクレアーゼ阻害剤は、候補のヌクレアーゼ阻害剤でスクリーニングして細胞中のヌクレアーゼ活性を効果的に阻害する化合物を同定しうるミスマッチ修復レポーター細胞を使用して同定しうる。
【0119】
本発明の方法の他の態様において、ミスマッチ修復はDNAポリメラーゼ阻害剤に抗体を産生する細胞を曝露することにより阻害される。DNAポリメラーゼ阻害剤は、機能的ミスマッチ修復に必要とされるDNAの重合を阻害することが可能である。適するDNAポリメラーゼ阻害剤の例は、限定されるものでないが、アクチノマイシンD(Martinら(1990)J.Immunol.145:1859);アフィジコリン(Kuwakadoら(1993)Biochem.Pharmacol.46:1909);1−(2’−デオキシ−2’−フルオロ−β−L−アラビノフラノシル)−5−メチルウラシル(L−FMAU)(Kukhanovaら(1998)Biochem.Pharmacol.55:1181−1187);および2’3’−ジデオキシリボヌクレオシド5’−三リン酸(ddNTP)(Onoら(1984)Biomed.Pharmacother.38:382−389)を挙げることができる。他の適するDNAポリメラーゼ阻害剤は、候補のDNAポリメラーゼ阻害剤を用いてスクリーニングして細胞中のDNAポリメラーゼ活性を効果的に阻害する化合物を同定しうるミスマッチ修復レポーター細胞を使用して同定しうる。
【0120】
本発明の方法の他の態様において、ミスマッチ修復は抗体を産生する細胞をアントラセンに曝露することにより阻害される。本明細書で使用されるところの「アントラセン」という用語は化合物アントラセンを指す。しかしながら、「アントラセン類」、「1種のアントラセン」若しくは「該アントラセン」のような一般的意味で称される場合、こうした用語は、置換の程度に関係なく、アントラセンの縮合トリフェニル核構造を含有するいかなる化合物、すなわち
【0121】
【化2】

【0122】
も指す。アントラセンは置換されていても未置換であってもよい。
【0123】
本明細書で使用されるところの「アルキル」は1から約20個までの炭素原子を含有する炭化水素を指す。アルキル基は直鎖状、分枝状、環状若しくはそれらの組合せであってよい。アルキル基は従って、具体的説明のみとしてメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、シクロペンチル、シクロペンチルメチル、シクロへキシル、シクロへキシルメチルなどを包含する。例えばアダマンタンのような縮合かつ/若しくは多環脂肪族環状環系もまた「アルキル」の定義内に包含される。本明細書で使用されるところの「アルケニル」という用語は最低1個の炭素−炭素二重結合を有するアルキル基を示す。本明細書で使用されるところの「アルキニル」という用語は最低1個の炭素−炭素三重結合を有するアルキル基を示す。
【0124】
いくつかの好ましい態様において、上述されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールオキシおよびヘテロアリール置換基は1個若しくはそれ以上のさらなる置換基をもってよい;すなわちそれらは「置換されて」いてよい。いくつかの好ましい態様において、これらの置換基は、ハロゲン(例えばフッ素、塩素、臭素およびヨウ素)、CN、NO、低級アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基、アラルキルオキシ基、グアニジノ、アルコキシカルボニル、アルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシならびにアミノ基を包含し得る。加えて、アラルキルオキシ、アリールアルキル、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、アルコキシカルボニルおよびアリールオキシカルボニル基のアルキルおよびアリール部分もまたこうした置換基をもち得る。従って、例のみとして、置換アルキル基は、例えばアルキル基、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨー
ドアルキル基、アミノアルキル基、ならびにヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチルなどのようなヒドロキシアルキル基を包含する。いくつかの好ましい態様において、こうしたヒドロキシアルキル基は1から約20個までの炭素を含有する。
【0125】
本明細書で使用されるところの「アリール」という用語は、フェニル、ビフェニルおよびナフチルのような最低1個の芳香環を含有する5ないし約20個の炭素原子を有する基を意味する。好ましいアリール基は未置換若しくは置換フェニルおよびナフチル基を包含する。「アリールオキシ」という用語は酸素原子により結合されているアリール基、例えばフェノキシ基を示す。
【0126】
一般に、接頭語「ヘテロ」は最低1個のヘテロ(すなわち非炭素)原子の存在を示し、それらはいくつかの好ましい態様においては独立に1ないし3個のO、N、S、P、Si若しくは金属原子である。従って、「ヘテロアリール」という用語は、1個若しくはそれ以上の環炭素原子がこうしたヘテロ原子により置き換えれているアリール基を示す。好ましいヘテロアリール基はピリジル、ピリミジル、ピロリル、フリル、チエニルおよびイミダゾリル基を包含する。
【0127】
「アラルキル」(若しくは「アリールアルキル」)という用語は、1個のアリール基をもつアルキル基よりなる6から15個までの炭素を有する基を示すことを意図している。アラルキル基の例はベンジル、フェネチル、ベンズヒドリルおよびナフチルメチル基を包含する。
【0128】
「アルキルアリール」(若しくは「アルカリール」)という用語は、1個のアルキル基をもつアリール基よりなる6から15個までの炭素を有する基を示すことを意図している。アラルキル基の例はメチルフェニル、エチルフェニルおよびメチルナフチル基を包含する。
【0129】
「アリールスルホニル」という用語はスルホニル基により結合されているアリール基、例えばフェニルスルホニルを示す。「アルキルスルホニル」という用語はスルホニル基により結合されているアルキル基、例えばメチルスルホニルを示す。
【0130】
「アルコキシカルボニル」という用語は、式−C(=O)−O−R(式中Rはアルキル、アルケニル若しくはアルキニルである)の基を示し、ここでそれらのアルキル、アルケニル若しくはアルキニル部分は本明細書に記述されるとおり場合によっては置換され得る。
【0131】
「アリールオキシカルボニル」という用語は、式−C(=O)−O−R(式中Rはアリールである)の基を示し、ここでそのアリール部分は本明細書に記述されるとおり場合によっては置換され得る。
【0132】
「アリールアルキルオキシ」若しくは「アラルキルオキシ」という用語は同等であり、かつ、R’がRが本明細書に記述されるとおり場合によっては置換され得るアルキル、アルケニル若しくはアルキニルでありかつR’’がアリール若しくは置換アリール基を示す式−O−R’−R’’の基を示す。
【0133】
「アルキルアリールオキシ」若しくは「アルカリールオキシ」という用語は同等であり、かつ、R’がアリール若しくは置換アリール基でありかつR’’が本明細書に記述されるとおり場合によっては置換され得るアルキル、アルケニル若しくはアルキニルである式−O−R’−R’’の基を示す。
【0134】
本明細書で使用されるところの「アルデヒド基」という用語は式−C(=O)−Hの部分をもつ基を示す。「ケトン」という用語は、式−R−C(=O)−R=の基を含有する部分を示し、式中、RおよびR=は独立にアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル若しくはアルカリールであり、それらのそれぞれは本明細書に記述されるとおり置換されてよい。
【0135】
本明細書で使用されるところの「エステル」という用語は式−R−C(=O)−O−R=若しくは−R−O−C(=O)−R=の基を有する部分を示し、式中、RおよびR=は独立にアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル若しくはアルカリールであり、それらのそれぞれは本明細書に記述されるとおり置換されてよい。
【0136】
「エーテル」という用語は、式−R−O−R=若しくはの基を有する部分を示し、式中、RおよびR=は独立にアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル若しくはアルカリールであり、それらのそれぞれは本明細書に記述されるとおり置換されてよい。
【0137】
「クラウンエーテル」という用語は数個の酸素原子を含有する環状エーテルというその通常の意味を有する。本明細書で使用されるところの「有機イオウ化合物」という用語は脂肪族若しくは芳香族イオウ含有化合物、例えばチオールおよびジスルフィドを示す。「有機金属基」という用語は最低1個の金属原子を含有する有機分子を示す。
【0138】
「有機ケイ素化合物」という用語は脂肪族若しくは芳香族ケイ素含有化合物、例えばアルキルおよびアリールシランを示す。
【0139】
「カルボン酸」という用語はアミノ酸以外のカルボキシル基を有する部分を示す。
【0140】
本発明の方法で使用してよい適するアントラセンは、式:
【0141】
【化3】

【0142】
(式中、R−R10は独立に水素、ヒドロキシル、アミノ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、O−アルキル、S−アルキル、N−アルキル、O−アルケニル、S−アルケニル、N−アルケニル、O−アルキニル、S−アルキニル、N−アルキニル、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アラルキルオキシ、アリールアルキル、アルキルアリール、アルキルアリールオキシ、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、グアニジノ、カルボキシ、アルコール、アミノ酸、スルホネート、アルキルスルホネート、CN、NO、アルデヒド基、エステル、エーテル、クラウンエーテル、ケトン、有機イオウ化合物、有機金属基、カルボン酸、有機ケイ素、または1個若しくはそれ以上のアルキル化ヒドロキシル基を場合によっては含有する炭水化物であり;ここで、前記ヘテロアルキル、ヘテロアリール
および置換ヘテロアリールは、酸素、イオウ、金属原子、リン、ケイ素若しくは窒素である最低1個のヘテロ原子を含有し;また、ここで、前記置換アルキル、置換アルケニル、置換アルキニル、置換アリールおよび置換ヘテロアリールの前記置換基は、ハロゲン、CN、NO、低級アルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アラルコキシ、グアニジノ、アルコキシカルボニル、アルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシおよびアミノであり;ならびに、ここで、前記アミノ基は1個のアシル基または1ないし3個のアリール若しくは低級アルキル基で場合によっては置換される)
を有する化合物を含んでなる。いくつかの態様において、RおよびRは水素である。他の態様において、R−R10は独立に水素、ヒドロキシル、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、フェニル、トルイル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシプロピル若しくはヒドロキシブチルである。本発明の方法での使用に適するアントラセンは、限定されるものでないが1,2−ジメチルアントラセン、9,10−ジメチルアントラセン、7,8−ジメチルアントラセン、9,10−ジフェニルアントラセン、9,10−ジヒドロキシメチルアントラセン、9−ヒドロキシメチル−10−メチルアントラセン、ジメチルアントラセン−1,2−ジオール、9−ヒドロキシメチル−10−メチルアントラセン−1,2−ジオール、9−ヒドロキシメチル−10−メチルアントラセン−3,4−ジオールおよび9,10−ジ−m−トルイルアントラセンを挙げることができる。
【0143】
他の適するアントラセンは、候補アントラセンを用いてスクリーニングして細胞中のミスマッチ修復活性を効果的に阻害する化合物を同定しうるミスマッチ修復レポーター細胞を使用して同定しうる。いくつかの態様において、ミスマッチ修復の化学的阻害剤は、本発明のミスマッチ修復遺伝子に相同であるRNA干渉分子である。配列特異的RNA干渉分子の生成技術は当該技術分野で公知でありかつ例えばSharpら(2000)Science 287:2431−2433;Marx(2000)Science 288:1370−1372;Grishokら(2001)Science 287:2494−2497;およびFireら(1998)Nature 391:806−811(それらの開示はとりわけそっくりそのまま引用することにより組み込まれる)に見出しうる。
【0144】
本発明の方法の他の態様において、ミスマッチ修復は、ミスマッチ修復遺伝子をコードする1種若しくはそれ以上の核酸と特異的にハイブリダイズする「アンチセンス化合物」に抗体を産生する細胞を曝露することにより阻害される。本明細書で使用されるところの「標的核酸」および「ミスマッチ修復遺伝子をコードする核酸」という用語は、ミスマッチ修復遺伝子をコードするDNA、こうしたDNAから転写された(プレmRNAおよびmRNAを包含する)RNA、およびまたこうしたRNA由来のcDNAも包含する。アンチセンス化合物のその標的核酸との特異的ハイブリダイゼーションは、複製および転写のような核酸の正常な機能を妨害する。アンチセンス化合物により破壊されるRNAの機能は、例えば、タンパク質翻訳の部位へのRNAの転位、RNAからのタンパク質の翻訳、および1種若しくはそれ以上のmRNA種を生じるためのRNAのスプライシングのような機能を包含する。アンチセンス化合物はそれによりミスマッチ修復遺伝子の発現若しくは機能を阻害する。
【0145】
所定のミスマッチ修復遺伝子の機能を可逆的に破壊するために、ミスマッチ修復のアンチセンスの阻害に特異的な核酸にターゲッティングすることが好ましい。本発明の情況において特定の核酸へのアンチセンス化合物の「ターゲッティング」は、機能が調節されるはずである核酸配列の同定で開始する多段階過程である。本明細書に開示されるとおり、アンチセンス戦略により標的としうる数種のミスマッチ修復遺伝子が存在する。標的としうる多様なミスマッチ修復遺伝子は、DNA若しくはRNAを包含する、PMS2、PMS1、PMSR3、PMSR2、PMSR6、MLH1、GTBP、MSH3、MSH2
、MLH3若しくはMSH1、ならびに、Nicolaidesら(1995)Genomics 30:195−206およびHoriiら(1994)Biochem.Biophys.Res.Commun.204:1257−1264に記述されるところのPMSR遺伝子のホモログなどである。ターゲッティングの次の段階は、ミスマッチ修復遺伝子の機能の阻害が起こるようなアンチセンス相互作用が起こるためのこの遺伝子内の部位(1個若しくは複数)の決定を必要とする。一態様において、遺伝子内部位が標的とされる。「遺伝子内部位」は該遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)の翻訳開始若しくは終止コドンを包含する領域である。当該技術分野で既知であるとおり、翻訳開始コドンは典型的に5’−AUG(転写されたmRNA分子中で;対応するDNA分子中で5’−ATG)であるため、翻訳開始コドンはまた「AUGコドン」、「開始コドン」若しくは「AUG開始コドン」とも称される。少数の遺伝子はRNA配列5’−GUG、5’−UUG若しくは5’−CUGを有する翻訳開始コドンを有し、また、5’−AUA、5’−ACGおよび5’−CUGがin vivoで機能することが示されている。従って、「翻訳開始コドン」および「開始コドン」という用語は、各場合の開始アミノ酸が真核生物において典型的にメチオニンであるとしても、多くのコドン配列を包含し得る。真核生物および原核生物遺伝子は2種若しくはそれ以上の代替開始コドンを有することがあり、それらのいずれか1つが特定の細胞型若しくは組織または特定の一組の条件下で翻訳開始に優先的に利用されうることもまた当該技術分野で既知である。本発明の情況において、「開始コドン」および「翻訳開始コドン」は、こうしたコドンの配列(1種若しくは複数)に関係なく、ミスマッチ修復遺伝子をコードする遺伝子から転写されたmRNA分子の翻訳を開始するのにin vivoで使用されるコドン(1種若しくは複数)を指す。
【0146】
遺伝子の翻訳終止コドン(すなわち「終止コドン」)が3種の配列すなわち5’−UAA、5’−UAGおよび5’−UGA(対応するDNA配列はそれぞれ5’−TAA、5’−TAGおよび5’−TGAである)の1つを有してよいこともまた当該技術分野で既知である。「開始コドン領域」および「翻訳開始コドン領域」という用語は、翻訳開始コドンからいずれかの方向(すなわち5’若しくは3’)に約25から約50までの連続するヌクレオチドを包含するこうしたmRNA若しくは遺伝子の一部分を指す。同様に、「終止コドン領域」および「翻訳終止コドン領域」という用語は、翻訳終止コドンからいずれかの方向(すなわち5’若しくは3’)に約25から約50までの連続するヌクレオチドを包含するこうしたmRNA若しくは遺伝子の一部分を指す。
【0147】
翻訳開始コドンと翻訳終止コドンとの間の領域を指すことが当該技術分野で既知であるオープンリーディングフレーム(ORF)若しくは「コーディング領域」もまた効果的に標的としうる領域である。他の標的領域は、翻訳開始コドンから5’の方向のmRNAの部分を指すことが当該技術分野で既知かつ従って該遺伝子上のmRNA若しくは対応するヌクレオチドの5’cap部位と翻訳開始コドンとの間のヌクレオチドを包含する5’非翻訳領域(5’UTR)、および翻訳終止コドンから3’の方向のmRNAの部分を指すことが当該技術分野で既知かつ従って該遺伝子上のmRNA若しくは対応するヌクレオチドの翻訳終止コドンと3’端との間のヌクレオチドを包含する3’非翻訳領域(3’UTR)を包含する。mRNAの5’capは、5’−5’三リン酸結合を介してmRNAの最も5’の残基に結合されているN7−メチル化グアノシン残基を含んでなる。mRNAの5’cap領域は、5’cap構造それ自身ならびにcapに隣接する最初の50ヌクレオチドを包含すると考えられる。5’cap領域もまた好ましい標的領域でありうる。
【0148】
数種の真核生物のmRNA転写物は直接翻訳されるとは言え、多くは、翻訳される前に転写物から削除される「イントロン」として知られる1個若しくはそれ以上の領域を含有する。残存する(かつ従って翻訳される)領域は「エキソン」として知られ、そして一緒にスプライスされて連続したmRNA配列を形成する。mRNAスプライス部位すなわち
イントロン−エキソン結合部もまた好ましい標的領域であることができ、そして異常なスプライシングが疾患に関与する場合、若しくは特定の1種のmRNAスプライス産物の過剰発現が疾患に関与する状況でとりわけ有用である。再配列若しくは欠失による異常な融合結合部もまた好ましい標的である。イントロンもまた、例えばDNA若しくはプレmRNAを標的としたアンチセンス化合物の有効なそして従って好ましい標的領域であり得ることもまた見出されている。
【0149】
1個若しくはそれ以上の標的部位が一旦同定されれば、該標的に十分に相補性である、すなわち所望の効果を生じるのに十分に良好にハイブリダイズしかつ十分な特異性をもつオリゴヌクレオチドを選ぶ。
【0150】
本発明の情況において、「ハイブリダイゼーション」は、相補ヌクレオシド若しくはヌクレオチド塩基間の水素結合(ワトソン−クリック、フーグステン若しくは逆フーグステン水素結合であってよい)を意味している。例えば、アデニンおよびチミンは水素結合の形成により対形成する相補核酸塩基である。本明細書で使用されるところの「相補的」は2ヌクレオチド間の正確な対形成の能力を指す。例えば、あるオリゴヌクレオチドのある位置のヌクレオチドが、あるDNA若しくはRNA分子の同一位置のヌクレオチドと水素結合することが可能である場合には、該オリゴヌクレオチドおよび該DNA若しくはRNAはその位置で相互に相補的であるとみなされる。該オリゴヌクレオチドおよび該DNA若しくはRNAは、各分子中の十分な数の対応する位置が相互と水素結合し得るヌクレオチドにより占められる場合に相互に相補的である。従って、「特異的にハイブリダイズ可能な」および「相補的」は、該オリゴヌクレオチドと該DNA若しくはRNA標的との間で安定かつ特異的な結合が起こるような十分な程度の相補性若しくは正確な対形成を示すのに使用される用語である。アンチセンス化合物の配列は、特異的にハイブリダイズ可能であるためにその標的核酸の配列に100%相補的である必要はないことが当該技術分野で理解されている。アンチセンス化合物は、標的DNA若しくはRNA分子への該化合物の結合が該標的DNA若しくはRNAの正常な機能を妨害して利用性の喪失を引き起こし、また、特異的結合が望ましい条件下、すなわちin vivoアッセイ若しくは治療的処置の場合には生理学的条件下、およびin vitroアッセイの場合にはアッセイが実施される条件下で該アンチセンス化合物の非標的配列への非特異的結合を回避するのに十分な程度の相補性が存在する場合に、特異的にハイブリダイズ可能である。アンチセンスオリゴヌクレオチドの相補性は好ましくは100%であるが、しかしながら、相補性がいくつかの態様において80〜85%、85〜90%、90〜95%若しくは95〜100%であるような縮重をオリゴヌクレオチドに導入しうる。
【0151】
標的にハイブリダイズしかつ標的の発現を阻害する本発明のアンチセンスおよび他の化合物は実験により同定され、そして、これらの化合物の配列は本発明の好ましい態様として本明細書で下に同定されている。これらの好ましい配列が相補的である標的部位は、例えばPMS2タンパク質のC末端部分の翻訳を阻害して短縮変異体を効果的に形成するPMS2の領域を含んでなる。標的とされた領域は、例えばPMS2の134アミノ酸をコードするPMS遺伝子の一部分を含んでなる。
【0152】
本発明の情況において、「オリゴヌクレオチド」という用語はリボ核酸(RNA)若しくはデオキシリボ核酸(DNA)のオリゴマー若しくはポリマーまたはそれらの模倣物を指す。この用語は、天然に存在する核酸塩基、糖および共有ヌクレオシド間(バックボーン)結合から構成されるオリゴヌクレオチド、ならびに同様に機能する天然に存在しない部分を有するオリゴヌクレオチドを包含する。こうした修飾若しくは置換オリゴヌクレオチドは、例えば高められた細胞取り込み、核酸標的に対する高められた親和性、およびヌクレアーゼの存在下での増大された安定性のような望ましい特性により天然の形態よりしばしば好ましい。
【0153】
アンチセンスオリゴヌクレオチドがアンチセンス化合物の好ましい一形態である一方、本発明は、限定されるものでないが下述されるようなオリゴヌクレオチド模倣物を挙げることができる他のオリゴマーアンチセンス化合物を包括する。本発明のアンチセンス化合物は好ましくは約8から約50個までの核酸塩基(すなわち約8から約50個までの結合されたヌクレオシド)を含んでなる。とりわけ好ましいアンチセンス化合物はアンチセンスオリゴヌクレオチド、なおより好ましくは約12から約30個までの核酸塩基を含んでなるものである。アンチセンス化合物は、リボザイム、外的ガイド配列(external guide sequence)(EGS)オリゴヌクレオチド(オリゴザイム(olygozyme))、ならびに、標的核酸にハイブリダイズしかつその発現を調節する他の短い触媒的RNA若しくは触媒的オリゴヌクレオチドを包含する。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは長さが最低約15ヌクレオチドであり、かつ、長さが最低20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100若しくはそれ以上のヌクレオチドであってよい。
【0154】
いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号1;配列番号3;配列番号5;配列番号7;配列番号9;配列番号11;配列番号13;配列番号15;配列番号17;配列番号19;配列番号21;配列番号23;配列番号25;配列番号27;配列番号29;配列番号31;配列番号33;配列番号35;配列番号37;配列番号39;配列番号41;配列番号43;配列番号45;配列番号47;若しくは配列番号49に示されるミスマッチ修復配列の一部分に相補的である配列を含んでなる。ある態様において、オリゴヌクレオチドは85〜100%の相補性を伴い、長さが最低15〜50ヌクレオチドである。
【0155】
当該技術分野で既知であるとおり、ヌクレオシドは塩基と糖の組合せである。ヌクレオシドの塩基部分は通常ヘテロ環塩基である。こうしたヘテロ環塩基の2種の最も一般的な分類はプリンおよびピリミジンである。ヌクレオチドは、ヌクレオシドの糖部分に共有結合したリン酸基をさらに包含するヌクレオシドである。ペントフラノシル糖を包含するヌクレオシドについて、リン酸基は糖の2’、3’若しくは5’いずれかのヒドロキシル部分に結合し得る。オリゴヌクレオチドの形成において、リン酸基は隣接するヌクレオシドを相互に共有結合して直鎖状ポリマー化合物を形成する。順に、この直鎖状ポリマー構造のそれぞれの端がさらに結合されて環状構造を形成し得るが、しかしながら開放の直鎖状構造が一般に好ましい。オリゴヌクレオチド構造内で、リン酸基は一般にオリゴヌクレオチドのヌクレオシド間バックボーンを形成すると称される。RNAおよびDNAの通常の結合若しくはバックボーンは3’から5’のホスホジエステル結合である。
【0156】
本発明で有用な好ましいアンチセンス化合物の特定の例は、改変バックボーンすなわち非天然のヌクレオシド間結合を含有するオリゴヌクレオチドを包含する。本明細で定義されるとおり、改変バックボーンを有するオリゴヌクレオチドは、バックボーンにリン原子を保持するものおよびバックボーンにリン原子を有しないものを包含する。本明細の目的上、および当該技術分野でときに言及されるとおり、それらのヌクレオシド間バックボーンにリン原子を有しない改変オリゴヌクレオチドもまたオリゴヌクレオシドであるとみなし得る。
【0157】
好ましい改変オリゴヌクレオチドバックボーンは、例えばホスホロチオエート、キラルなホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、3’−アルキレンリン酸、5’−アルキレンリン酸およびキラルなリン酸を包含するメチルおよび他のアルキルリン酸、ホスフィン酸、3’−アミノホスホルアミデートおよびアミノアルキルホスホルアミデートを包含するホスホルアミデート、チオノホスホルアミデート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエス
テル、通常の3’−5’結合を有するセレノホスフェートおよびボラノホスフェート、これらの2’−5’結合した類似物、ならびに1個若しくはそれ以上のヌクレオチド間結合が3’から3’、5’から5’、若しくは2’から2’結合である逆の極性(inverted polarity)を有するものを包含する。逆の極性を有する好ましいオリゴヌクレオチドは、最も3’のヌクレオチド間結合で単一の3’から3’の結合、すなわち塩基性でありうる単一の逆ヌクレオシド残基(該核酸塩基を欠いているか若しくはその代わりにヒドロキシル基を有する)を含んでなる。多様な塩、混合塩および遊離の酸の形態もまた包含される。
【0158】
上のリンを含有する結合の製造法を教示する代表的な米国特許は、限定されるものでないが、米国特許第3,687,808号;同第4,469,863号;同第4,476,301号;同第5,023,243号;同第5,177,196号;同第5,188,897号;同第5,264,423号;5,276,019号;同第5,278,302号;同第5,286,717号;同第5,321,131号;同第5,399,676号;同第5,405,939号;同第5,453,496号;同第5,455,233号;同第5,466,677号;同第5,476,925号;同第5,519,126号;同第5,536,821号;同第5,541,306号;同第5,550,111号;同第5,563,253号;同第5,571,799号;同第5,587,361号;同第5,194,599号;同第5,565,555号;同第5,527,899号;同第5,721,218号;同第5,672,697号および同第5,625,050号明細書(それらのそれぞれは引用することにより本明細書に組み込まれる)を挙げることができる。
【0159】
その中にリン原子を包含しない好ましい改変オリゴヌクレオチドバックボーンは、短鎖アルキル若しくはシクロアルキルヌクレオシド間結合、混合したヘテロ原子およびアルキル若しくはシクロアルキルヌクレオシド間結合、または1種若しくはそれ以上の短鎖ヘテロ原子若しくは複素環ヌクレオシド間結合により形成されるバックボーンを有する。これらは、モルホリノ結合(ヌクレオシドの糖部分から部分的に形成される);シロキサンバックボーン;スルフィド、スルホキシドおよびスルホンバックボーン;ホルムアセチルおよびチオホルムアセチルバックボーン;メチレンホルムアセチルおよびチオホルムアセチルバックボーン;リボアセチルバックボーン;アルケン含有バックボーン;スルファメートバックボーン;メチレンイミノおよびメチレンヒドラジノバックボーン;スルホネートおよびスルホンアミドバックボーン;アミドバックボーンを有するもの;ならびに混合したN、O、SおよびCH成分部分を有する他者を包含する。
【0160】
上のオリゴヌクレオシドの製造法を教示する代表的な米国特許は、限定されるものでないが、米国特許第5,034,506号;同第5,166,315号;同第5,185,444号;同第5,214,134号;同第5,216,141号;同第5,235,033号;同第5,264,562号;同第5,264,564号;同第5,405,938号;同第5,434,257号;同第5,466,677号;同第5,470,967号;同第5,489,677号;同第5,541,307号;同第5,561,225号;同第5,596,086号;同第5,602,240号;同第5,610,289号;同第5,602,240号;同第5,608,046号;同第5,610,289号;同第5,618,704号;同第5,623,070号;同第5,663,312号;同第5,633,360号;同第5,677,437号;同第5,792,608号;同第5,646,269号および同第5,677,439号明細書(それらのそれぞれは引用することにより本明細書に組み込まれる)を挙げることができる。
【0161】
他の好ましいオリゴヌクレオチド模倣物において、ヌクレオチド単位の糖およびヌクレオシド間結合の双方すなわちバックボーンが新規基で置換されている。塩基単位は適切な核酸標的化合物とのハイブリダイゼーションのため維持される。1種のこうしたオリゴマ
ー化合物すなわち優れたハイブリダイゼーション特性を有することが示されているオリゴヌクレオチド模倣物はペプチド核酸(PNA)と称される。PNA化合物において、オリゴヌクレオチドの糖バックボーンが、アミド含有バックボーン、とりわけアミノエチルグリシンバックボーンで置換されている。核酸塩基は保持されかつバックボーンのアミド部分のアザ窒素原子に直接若しくは間接的に結合される。PNA化合物の製造法を教示する代表的な米国特許は、限定されるものでないが米国特許第5,539,082号;同第5,714,331号;および同第5,719,262号明細書(それらのそれぞれは引用することにより本明細書に組み込まれる)を挙げることができる。PNA化合物のさらなる教示はNielsenら、(1991)Science 254:1497−1500に見出し得る。
【0162】
本発明の最も好ましい態様は、ホスホロチオエートバックボーンをもつオリゴヌクレオチド、およびヘテロ原子バックボーンをもつオリゴヌクレオシド、ならびにとりわけ上で参照される米国特許第5,489,677号明細書の−CH−NH−O−CH−、−CH−N(CH)−O−CH−[メチレン(メチルイミノ)すなわちMMIバックボーンとして知られる]、−CH−O−N(CH)−CH−、−CH−N(CH)−N(CH)−CH−および−O−N(CH)−CH−CH−[式中、天然のホスホジエステルバックボーンは−O−P−O−CH−として表される]、ならびに上で参照される米国特許第5,602,240号明細書のアミドバックボーンである。上で参照される米国特許第5,034,506号明細書のモルホリノバックボーン構造を有するオリゴヌクレオチドもまた好ましい。
【0163】
修飾オリゴヌクレオチドはまた1個若しくはそれ以上の置換された糖部分も含有してよい。好ましいオリゴヌクレオチドは、2’位の以下すなわちOH;F;O−、S−若しくはN−アルキル;O−、S−若しくはN−アルケニル;O−、S−若しくはN−アルキニル;またはO−アルキル−O−アルキルの1種を含んでなり、ここでアルキル、アルケニルおよびアルキニルは置換若しくは未置換のCないしC10アルキル若しくはCないしC10アルケニルおよびアルキニルであってよい。O[(CHO]CH、O(CHOCH、O(CHNH、O(CHCH、O(CHONHおよびO(CHON[(CHCH(式中nおよびmは1から約10までである)がとりわけ好ましい。他の好ましいオリゴヌクレオチドは、2’位に以下すなわちCないしC10低級アルキル、置換低級アルキル、アルケニル、アルキニル、アルカリール、アラルキル、O−アルカリール若しくはO−アラルキル、SH、SCH、OCN、Cl、Br、CN、CF、OCF、SOCH、SO、CH、ONO、NO、N、NH、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリール、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、RNA切断基、レポーター基、干渉物質、オリゴヌクレオチドの薬物動態特性を改善するための基、若しくはオリゴヌクレオチドの薬動力学特性を改善するための基、および類似の特性を有する他の置換基の1種を含んでなる。好ましい修飾は、2’−メトキシエトキシ(2’−O−CHCHOCH、2’−O−(2−メトキシエチル)すなわち2’−MOEとしてもまた知られる)(Martinら(1995)Helv.Chim.Acta 78:486−504)すなわちアルコキシアルコキシ基を包含する。さらなる好ましい修飾は、下に実施例で記述されるところの2’−DMAOEとしてもまた知られる2’−ジメチルアミノオキシエトキシすなわちO(CHON(CH基、およびまた下に実施例で記述されるところの2’−ジメチルアミノエトキシエトキシ(2’−O−ジメチルアミノエトキシエチルすなわち2’−DMAEOEとしてもまた当該技術分野で既知)すなわち2’−O−CH−O−CH−N(CHを包含する。
【0164】
さらなる好ましい修飾は、2’−ヒドロキシル基が糖環の3’若しくは4’炭素原子に結合されてそれにより二環性の糖部分を形成するロック核酸(Locked Nucle
ic Acids)(LNA)を包含する。該結合は、好ましくは2’酸素原子および3’若しくは4’炭素原子を架橋するメチレン(−CH−)基(式中nは1若しくは2である)である。LNAおよびその製造法は第WO 98/39352号および同第WO
99/14226号明細書に記述されている。
【0165】
他の好ましい修飾は、2’−メトキシ(2’−O−CH)、2’−アミノプロポキシ(2’−OCHCHCHNH)、2’−アリル(2’−CH−CH=CH)、2’−O−アリル(2’−O−CH−CH=CH)および2’−フルオロ(2’−F)を包含する。2’−修飾はアラビノ(上)位であってもリボ(下)位であってもよい。好ましい2’−アラビノ修飾は2’−Fである。類似の修飾をオリゴヌクレオチドの他の位置、とりわけ3’末端ヌクレオチド若しくは2’−5’結合したオリゴヌクレオチドの糖の3’位、および5’末端ヌクレオチドの5’位でもまた作成してよい。オリゴヌクレオチドはペントフラノシル糖の代わりにシクロブチル部分のような糖模倣物を有してもまたよい。こうした修飾された糖構造の製造法を教示する代表的な米国特許は、限定されるものでないが米国特許第4,981,957号;同第5,118,800号;同第5,319,080号;同第5,359,044号;同第5,393,878号;同第5,446,137号;同第5,446,786号;同第5,514,785号;同第5,519,134号;同第5,567,811号;同第5,576,427号;同第5,591,722号;同第5,597,909号;同第5,610,300号;同第5,627,053号;同第5,639,873号;同第5,646,265号;同第5,658,873号;同第5,670,633号;同第5,792,747号;および同第5,700,920号明細書(それらのそれぞれはそっくりそのまま引用することにより本明細書に組み込まれる)を挙げることができる。
【0166】
オリゴヌクレオチドは核酸塩基(しばしば、当該技術分野では「塩基」と単純に称される)の修飾若しくは置換もまた包含してよい。本明細書で使用されるところの「未置換の」若しくは「天然の」核酸塩基は、プリン塩基アデニン(A)およびグアニン(G)、ならびにピリミジン塩基チミン(T)、シトシン(C)およびウラシル(U)を包含する。修飾された核酸塩基は、5−メチルシトシン(5−me−C)、5−ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2−アミノアデニン、アデニンおよびグアニンの6−メチルおよび他のアルキル誘導体、アデニンおよびグアニンの2−プロピルおよび他のアルキル誘導体、2−チオウラシル、2−チオチミンおよび2−チオシトシン、5−ハロウラシルおよびシトシン、5−プロピニル(−C≡C−CH)ウラシルおよびシトシン、ならびにピリミジン塩基の他のアルキニル誘導体、6−アゾウラシル、シトシンおよびチミン、5−ウラシル(プソイドウラシル)、4−チオウラシル、8−ハロ、8−アミノ、8−チオール、8−チオアルキル、8−ヒドロキシルおよび他の8−置換アデニンおよびグアニン、5−ハロ、とりわけ5−ブロモ、5−フルオロメチルおよび他の5−置換ウラシルおよびシトシン、7−メチルグアニンおよび7−メチルアデニン、2−F−アデニン、2−アミノアデニン、8−アザグアニンおよび8−アザアデニン、7−デアザグアニンおよび7−デアザアデニンならびに3−デアザグアニンおよび3−デアザアデニンのような他の合成および天然の核酸塩基を包含する。さらなる修飾核酸塩基は、フェノキサジンシチジン(1H−ピリミド[5,4−b][1,4]ベンゾキサジン−2(3H)−オン)、フェノチアジンシチジン(1H−ピリミド[5,4−b][1,4]ベンゾチアジン−2(3H)−オン)のような三環性ピリミジン、置換フェノキサジンシチジン(例えば9−(2−アミノエトキシ)−H−ピリミド[5,4−b][1,4]ベンゾキサジン−2(3H)−オン)、カルバゾールシチジン(2H−ピリミド[4,5−b]インドル−2−オン)、ピリドインドールシチジン(H−ピリド[3’,2’:4,5]ピロロ[2,3−d]ピリミジン−2−オン)のようなG−クランプ(G−clamp)を包含する。修飾核酸塩基はまた、プリン若しくはピリミジン塩基が他の複素環で置換されているもの、例えば7−デアザアデニン、7−デアザグアノシン、2−アミノピリジンおよび
2−ピリドンも包含してよい。さらなる核酸塩基は、米国特許第3,687,808号明細書に開示されるもの、THE CONCISE ENCYCLOPEDIA OF POLYMER SCIENCE AND ENGINEERING、Kroschwitz(編)John Wiley & Sons、1990、858〜859ページに開示されるもの、Englischら(1991)Angewandte Chemie(International Edition)30:613により開示されるもの、およびSanghvi、ANTISENSE RESEARCH AND APPLICATIONS、CrookeとLebleu(編)、CRC Press、1993、289〜302ページにより開示されるものを包含する。これらの核酸塩基のあるものは本発明のオリゴマー化合物の結合親和性を増大させるためにとりわけ有用である。これらは、5−置換ピリミジン、6−アザピリミジン、ならびに2−アミノプロピルアデニン、5−プロピニルウラシルおよび5−プロピニルシトシンを包含するN−2、N−6およびO−6置換プリンを包含する。5−メチルシトシン置換が核酸二重鎖の安定性を0.6〜1.2℃増大させることが示されており(Sanghvi、ANTISENSE RESEARCH AND APPLICATIONS、CrookeとLebleu(編)、CRC
Press、1993、pp.276〜278)そして、なおよりとりわけ2’−O−メトキシエチル糖修飾と組み合わせられる場合に現在好ましい塩基置換である。
【0167】
上に示される修飾核酸塩基ならびに他の修飾核酸塩基のあるものの製造法を教示する代表的な米国特許は、限定されるものでないが、上に示された米国特許第3,687,808号明細書、ならびに米国特許第4,845,205号;同第5,130,302号;同第5,134,066号;同第5,175,273号;同第5,367,066号;同第5,432,272号;同第5,457,187号;5,459,255号;同第5,484,908号;同第5,502,177号;同第5,525,711号;同第5,552,540号;同第5,587,469号;同第5,594,121号、同第5,596,091号;同第5,614,617号;同第5,645,985号;同第5,750,692号;同第5,830,653号;同第5,763,588号;同第6,005,096号;および同第5,681,941号明細書(それらのそれぞれはそっくりそのまま引用することにより本明細書に組み込まれる)を挙げることができる。
【0168】
本発明のオリゴヌクレオチドの他の修飾は、該オリゴヌクレオチドの活性、細胞分布若しくは細胞取り込みを高める1種若しくはそれ以上の部分若しくは複合物(conjugate)をオリゴヌクレオチドに化学的に結合することを必要とする。本発明の化合物は一級若しくは二級ヒドロキシル基のような官能基に共有結合された複合物基を包含し得る。本発明の複合物基は、干渉物質、レポーター分子、ポリアミン、ポリアミド、ポリエチレングリコール、ポリエーテル、オリゴマーの薬動力学特性を高める基、およびオリゴマーの薬物動態特性を高める基を包含する。典型的な複合物基は、コレステロール、脂質、リン脂質、ビオチン、フェナジン、葉酸、フェナントリジン、アントラキノン、アクリジン、フルオレセイン、ローダミン、クマリンおよび色素を包含する。本発明の情況において薬動力学特性を高める基は、オリゴマーの取り込みを向上させ、分解に対するオリゴマーの抵抗性を高め、かつ/若しくはRNAとの配列特異的ハイブリダイゼーションを強化する基を包含する。本発明の情況において、薬物動態特性を高める基は、オリゴマーの取り込み、分布、代謝若しくは排泄を向上させる基を包含する。代表的な複合物基は1992年10月23日出願の国際特許出願第PCT/US92/09196号明細書(その開示全体は引用することにより本明細書に組み込まれる)に開示されている。複合物部分は、限定されるものでないが、コレステロール部分のような脂質部分(Letsingerら(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:6553−6556)、コール酸(Manoharanら(1994)Bioorg.Med.Chem.Let.4:1053−1060)、チオエーテル、例えばヘキシル−S−トリチルチオール(Manoharanら(1994)Ann.N.Y.Acad.Sci.660
:306−309;Manoharanら(1993)Bioorg.Med.Chem.Let.3:2765−2770)、チオコレステロール(Oberhauserら(1992)Nucl.Acids Res.20:533−538)、脂肪族鎖、例えばドデカンジオール若しくはウンデシル残基(Saison−Behmoarasら(1991)EMBO J.10:1111−1118;Kabanovら(1990)FEBS Lett.259:327−330;Svinarchukら(1993)Biochimie 75:49−54)、リン脂質、例えばジヘキサデシル−rac−グリセロール若しくは1,2−ジ−O−ヘキサデシル−rac−グリセロ−3−H−リン酸トリエチルアンモニウム(Manoharanら(1995)Tetrahedron Lett.36:3561−3654;Sheaら(1990)Nucl.Acids Res.18:3777−3783)、ポリアミン若しくはポリエチレングリコール鎖(Manoharanら(1995)Nucleosides & Nucleotides 14:969−973)、またはアダマンタン酢酸(Manoharanら(1995)Tetrahedron Lett.36:3651−3654)、パルミチル部分(Mishraら(1995)Biochim.Biophys.Acta 1264:229−237)、あるいはオクタデシルアミン若しくはヘキシルアミノカルボニルオキシコレステロール部分(Crookeら(1996)J.Pharmacol.Exp.Ther.277:923−937)を挙げることができる。
【0169】
こうしたオリゴヌクレオチド複合物の製造法を教示する代表的な米国特許は、限定されるものでないが、米国特許第4,828,979号;同第4,948,882号;同第5,218,105号;同第5,525,465号;同第5,541,313号;同第5,545,730号;同第5,552,538号;同第5,578,717号;同第5,580,731号;同第5,580,731号;同第5,591,584号;同第5,109,124号;同第5,118,802号;同第5,138,045号;同第5,414,077号;同第5,486,603号;同第5,512,439号;同第5,578,718号;同第5,608,046号;同第4,587,044号;同第4,605,735号;同第4,667,025号;同第4,762,779号;同第4,789,737号;同第4,824,941号;同第4,835,263号;同第4,876,335号;同第4,904,582号;同第4,958,013号;同第5,082,830号;同第5,112,963号;同第5,214,136号;同第5,082,830号;同第5,112,963号;同第5,214,136号;同第5,245,022号;同第5,254,469号;同第5,258,506号;同第5,262,536号;同第5,272,250号;同第5,292,873号;同第5,317,098号;同第5,371,241号、同第5,391,723号;同第5,416,203号、同第5,451,463号;同第5,510,475号;同第5,512,667号;同第5,514,785号;同第5,565,552号;同第5,567,810号;同第5,574,142号;同第5,585,481号;同第5,587,371号;同第5,595,726号;同第5,597,696号;同第5,599,923号;同第5,599,928号および同第5,688,941号明細書(それらのそれぞれはそっくりそのまま引用することにより本明細書に組み込まれる)を挙げることができる。
【0170】
所定の化合物中の全部の位置が均一に修飾されることは必要でなく、そして、実際、前述の修飾の1種以上が単一の化合物若しくは1オリゴヌクレオチド内の単一ヌクレオシドでさえ組込まれていてよい。本発明はキメラ化合物であるアンチセンス化合物もまた包含する。本発明の情況における「キメラの(chimeric)」アンチセンス化合物若しくは「キメラ(chimera)」は、それぞれ最低1個の単量体単位、すなわちオリゴヌクレオチド化合物の場合には1個のヌクレオチドから構成されている2個若しくはそれ以上の化学的に別個の領域を含有するアンチセンス化合物、とりわけオリゴヌクレオチドである。これらのオリゴヌクレオチドは、典型的には、ヌクレアーゼ分解に対する増大さ
れた抵抗性、増大された細胞取り込み、および/若しくは標的核酸に対する増大された結合親和性を該オリゴヌクレオチドに賦与するように該オリゴヌクレオチドが改変されている最低一領域を含有する。オリゴヌクレオチドの付加的な一領域が、RNA:DNA若しくはRNA:RNAハイブリッドを切断することが可能な酵素の基質としてはたらきうる。例として、RNアーゼHはRNA:DNA二重鎖のRNA鎖を切断する細胞性エンドヌクレアーゼである。RNアーゼHの活性化は従ってRNA標的の切断をもたらし、それにより遺伝子発現のオリゴヌクレオチド阻害の効率を大きく高める。結果、キメラオリゴヌクレオチドを使用した場合に、同一標的領域にハイブリダイズするホスホロチオエートデオキシオリゴヌクレオチドに比較してより短いオリゴヌクレオチドを用いて匹敵する結果をしばしば得ることができる。RNA標的の切断はゲル電気泳動、および必要な場合は当該技術分野で既知の関連した核酸ハイブリダイゼーション技術により慣例に検出し得る。
【0171】
本発明のキメラアンチセンス化合物は、上述されたところの2種若しくはそれ以上のオリゴヌクレオチド、修飾オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオシドおよび/若しくはオリゴヌクレオチド模倣物の混成構造として形成しうる。こうした化合物は当該技術分野でハイブリッド若しくはギャップマー(gapmer)ともまた称される。こうしたハイブリッド構造の製造法を教示する代表的な米国特許は、限定されるものでないが、米国特許第5,013,830号;同第5,149,797号;同第5,220,007号;同第5,256,775号;同第5,366,878号;同第5,403,711号;同第5,491,133号;同第5,565,350号;同第5,623,065号;同第5,652,355号;同第5,652,356号;および同第5,700,922号明細書(それらのそれぞれはそっくりそのまま引用することにより本明細書に組み込まれる)を挙げることができる。
【0172】
本明細書で使用されるところの、ときに単純に「ドナー細胞」若しくは「ドナー血液細胞」と称される「免疫グロブリン産生細胞を含んでなるドナー細胞」若しくは「免疫グロブリン産生細胞を含んでなるドナー細胞」は、抗原性化合物で免疫した場合に抗体を産生することが可能である細胞を指す。本発明での使用に適するこうしたドナー細胞の供給源の例は、限定されるものでないが脾細胞、リンパ節細胞、骨髄細胞および不死化腫瘍浸潤性リンパ球を挙げることができる。
【0173】
本明細書で使用されるところの「アミノ酸」という用語はアミノ基およびカルボキシル基双方を含有する分子を示す。いくつかの好ましい態様において、アミノ酸はそれらの立体異性体およびラセミ化合物を包含するα−、β−、γ−若しくはδ−アミノ酸である。本明細書で使用されるところの「L−アミノ酸」という用語はα炭素の周囲でL−配置を有するα−アミノ酸、すなわちL−配置を有する一般式CH(COOH)(NH)−(側鎖)のカルボン酸を示す。「D−アミノ酸」という用語は同様にα炭素の周囲でD−配置を有する一般式CH(COOH)(NH)−(側鎖)のカルボン酸を示す。L−アミノ酸の側鎖は天然に存在するおよび天然に存在しない部分を包含する。天然に存在しない(すなわち非天然の)アミノ酸側鎖は例えばアミノ酸類似物で天然に存在するアミノ酸側鎖の代わりに使用される部分である。例えばLehninger、BIOCHEMISTRY、第2版、Worth Publishers,Inc.、1975、72〜77ページ(引用することにより本明細書に組み込まれる)を参照されたい。アミノ酸置換基は、それらの酸素若しくはカルボニル炭素によりそれらのカルボキシル基により、またはそれらのアミノ基により、あるいはそれらの側鎖部分に存する官能性により結合されていてよい。
【0174】
本明細書で使用されるところの「ポリヌクレオチド」は核酸分子を指しかつゲノムDNA、cDNA、RNA、mRNAなどを包含する。
【0175】
本明細書で使用されるところの「ミスマッチ修復の阻害剤」は、細胞のミスマッチ修復系の最低1種の機能を妨害しかつそれにより細胞を突然変異に対しより感受性にする剤を指す。
【0176】
本明細書で使用されるところの「超変異性」は、細胞がin vitro若しくはin
vivoでミスマッチ修復系の喪失若しくは障害により突然変異に対しより感受性にされている状態を指す。
【0177】
本明細書で使用されるところの、「剤」、「化学物質」および「阻害剤」は、MMRの阻害に関して使用される場合、MMRの正常な機能を妨害する化学物質、オリゴヌクレオチド、RNA干渉分子、天然の基質の類似物などを指す。
【0178】
本明細書で使用されるところの「約」は引用される値の±10%の範囲内の量を指す。
【0179】
本明細書で使用されるところの「分裂促進性ポリペプチド」は、抗原と組合せの場合に、主題の抗原に対する免疫応答を増大させるために適切な細胞の刺激を提供するポリペプチドを指す。
【0180】
本明細書で使用されるところの「ハイブリドーマ」は、免疫グロブリン産生細胞と骨髄腫細胞のような形質転換細胞との間の細胞融合の結果を指す。
【0181】
本明細書で使用されるところの「IgGサブクラス」は、IgG1、IgG2、IgG2a、IgG2b、IgG3およびIgG4を含んでなる免疫グロブリンの一範疇を指す。
【0182】
本明細書で使用されるところの「ミスマッチ修復遺伝子」は、ミスマッチ修復複合体のタンパク質の1種をコードする遺伝子を指す。いずれか特定の作用機序理論により束縛されることを願わないとは言え、ミスマッチ修復複合体はヌクレオチド塩基の非相補的対形成から生じるDNAへリックスの歪みを検出すると考えられている。より新たなDNA鎖上の非相補的塩基を切り出し、そして切り出された塩基をより古いDNA鎖に相補的である適切な塩基で置換する。こうして、細胞はDNA複製における誤りの結果として生じる多くの突然変異を排除する。ドミナントネガティブなアレルは、同一細胞中で野性型アレルの存在下でさえミスマッチ修復欠損表現型を生じさせる。ミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブなアレルの制限しない一例は、コドン134に短縮突然変異を運搬するヒト遺伝子hPMS2−134である。該突然変異は、この遺伝子の産物を134番目のアミノ酸の位置で異常に終止させてN末端の133アミノ酸を含有する短縮されたポリペプチドをもたらす。こうした突然変異はDNA複製後に細胞中に蓄積する突然変異の率の増大を引き起こす。従って、ミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブなアレルの発現は、野性型アレルの存在下でさえミスマッチ修復活性の障害をもたらす。
【0183】
本明細書で使用されるところの「HAT感受性」は、ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジンを含有する培地中で培養される場合の細胞に対する致死的影響を指す。
【0184】
本明細書で使用されるところの「EBV陰性」は、EBNAタンパク質の産生若しくはEBV核酸の検出により測定されるところの細胞中のエプスタイン−バーウイルスの感染の欠如を指す。
【0185】
本明細書で使用されるところの「Ig陰性」は免疫グロブリンのいかなるL若しくはH鎖の細胞中での産生の欠如も指す。
【0186】
本明細書で使用されるところの「スクリーニング」は、限定されるものでないが、核酸配列、タンパク質配列、タンパク質機能(例えば結合、酵素活性、阻害活性、交差阻害活性、中和活性など)を挙げることができる細胞若しくは細胞産物の遺伝子型若しくは表現型を評価するためのアッセイを指す。該アッセイはELISAに基づくアッセイ、Biacore分析などを包含する。
【0187】
本明細書で使用されるところの「単離された」は、その天然の環境の成分から分離かつ/若しくは回収されている核酸若しくはタンパク質を指す。その天然の環境の汚染成分は、該ポリペプチドの診断的若しくは治療的用途を妨害するとみられる物質であり、かつ、酵素、ホルモンおよび他のタンパク質性若しくは非タンパク質溶質を包含してよい。いくつかの態様において、核酸若しくはタンパク質はタンパク質の95重量%以上まで精製される。他の態様において、核酸若しくはタンパク質はタンパク質の99重量%以上まで精製される。タンパク質純度の測定は、ローリー法のような当該技術分野で既知のいずれかの手段によっても、クマシーブルー若しくは銀染色のような染色を使用する還元若しくは非還元条件下でのSDS−PAGEによってもよい。核酸の精製は、限定されるものでないが分光法、蛍光若しくは例えばメチレンブルーのような化学的染色を用いるアガロース若しくはポリアクリルアミド分離を挙げることができるいずれかの既知の方法により評価しうる。
【0188】
本発明は、IgGサブクラスの免疫グロブリンを産生する抗原特異的免疫グロブリン産生細胞を得るためのin vitro免疫感作方法、および本方法により製造された細胞を提供する。in vitro免疫感作手順はドナー細胞を培養物中で免疫原性の抗原と組み合わせることを含んでなる。一態様において、ドナー細胞のバフィコートを使用する。ドナーは、限定されるものでないが臍帯血、静脈血などを挙げることができるいずれの供給源からであってもよい。血液細胞の供給源は免疫細胞を産生するいかなる動物、具体的には哺乳動物からであってもよい。血液細胞供給源の制限しない例は、マウス、ラット、ヒト、サル、イヌ、ネコ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、トリ、ウシ、モルモットおよび魚を包含する。血液若しくはバフィコートは、限定されるものでないが差次的遠心分離、濾過などを挙げることができるいずれかの既知の方法によりリンパ球についてさらに濃縮してよい。
【0189】
末梢血単核細胞(PBMC)のようなドナー細胞をL−ロイシル−L−リシンメチルエステル臭化水素酸塩(LLOMe)中でインキュベートしうる。いずれかの特定の操作理論により拘束されることを願わない一方、LLOmeはリソゾーム向性であると考えられており、かつ、B細胞、Tヘルパー細胞アクセサリー細胞および線維芽細胞に対する影響を有しない一方でNK細胞、細胞傷害性T細胞およびCD8+サプレッサーT細胞のようなPBMCプール中の細胞傷害性細胞を特異的に殺す(Borrenbaeck(1988)Immunol.Today 9(11):355−359)。一般に、PBMCをLLOMeともに1〜30分間インキュベートしうる。いくつかの態様において、該インキュベーションは10〜20分間実施する。他の態様において、該インキュベーションは15分間実施する。LLOMeは一般に例えばRPMI 1640のような培地の一成分であり、そして約0.10ないし1mMの濃度で提供される。いくつかの態様において、LLOMeは約0.10ないし0.50mMの量で提供される。他の態様において、LLOMeは約0.25mMの量で提供される。
【0190】
抗原はいかなる抗原であってもよいが、但しそれは免疫原性である。全タンパク質を使用してもペプチドを使用してもよい。加えて、例えば膜調製物(腫瘍からのものを包含する)、リンパ腫細胞、全細胞、単細胞、ホモジェナイズした細胞、病原体、封入体、細胞ライセート、タンパク質調製物および刻んだ組織(腫瘍組織を包含する)を使用しうる。全タンパク質は天然のコンホメーションであっても変性したコンホメーションであっても
よい。ペプチドは免疫原性を提供するように担体分子に結合してよい。いずれかの特定の操作理論により拘束されることを願わない一方、担体分子は、より確実なin vitro抗体応答の刺激において有用でありうる付加的なT細胞エピトープを提供しうる。本発明の方法での使用に適する担体の例は、破傷風トキソイド、ジフテリアトキシン、サイログロブリン、コレラトキシン、BCG、ウシ血清アルブミン(BSA)、卵アルブミン(OVA)などを包含する。これらの担体は本明細書で「分裂促進性ポリペプチド」と称される。
【0191】
抗原は当該技術分野で既知のいずれの方法で分裂促進性ポリペプチドに結合してもよい。例えば、分裂促進性ポリペプチドの最低一部分をコードするポリヌクレオチドにインフレームで結合させた抗原の最低一部分をコードするポリヌクレオチドを含んでなる組換え発現系でポリペプチドを発現させることにより融合タンパク質を生成させうる。該融合タンパク質は、分裂促進性ポリペプチドを該抗原のアミノ若しくはカルボキシいずれかの末端に結合させている。いくつかの態様において、1種以上の抗原を分裂促進性ポリペプチドとともに融合タンパク質として発現しうる。他の態様において、1種以上の分裂促進性ポリペプチドを抗原(1種若しくは複数)を伴う融合タンパク質として発現しうる。他の態様において、1種以上の分裂促進性ポリペプチドおよび1種以上の抗原を単一融合タンパク質として一緒に発現しうる。
【0192】
代替の一態様において、分裂促進性ポリペプチドの最低一部分を、化学的架橋剤を使用して抗原の最低一部分に結合する。化学的架橋剤の例は、限定されるものでないが、グルタールアルデヒド、ホルムアルデヒド、1,1−ビス(ジアゾアセチル)−2−フェニルエタン、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(例えば4−アジドサリチル酸とのエステル、3,3’−ジチオビス(プロピオン酸スクシンイミジル)のようなジスクシンイミジルエステルを包含するホモ二官能性イミドエステル、およびビス−N−マレイミド−1,8−オクタンのような二官能性マレイミド)を挙げることができる。メチル−3−[(p−アジドフェニル)ジチオ]プロピオイミデートのような誘導体化剤は光の存在下で架橋を形成することが可能である光活性化可能な中間体を生じる。あるいは、例えば、分裂促進性ポリペプチド若しくは抗原中のリシン残基を、N−γ−マレイミドブチリルオキシスクシンイミドでの処理によりそれぞれ該抗原若しくは分裂促進性ポリペプチド中のC末端若しくは他のシステインに結合しうる(KitagawaとAikawa(1976)J.Biochem.79、233−236)。あるいは、分裂促進性ポリペプチド若しくは抗原中のリシン残基は、クロロギ酸イソブチルを使用してそれぞれ該抗原若しくは分裂促進性ポリペプチド中のグルタミン酸若しくはアスパラギン酸残基に結合しうる(ThorellとDe Larson(1978)RADIOIMMUNOASSAY AND RELATED TECHNIQUES:METHODOLOGY AND CLINICAL APPLICATIONS、p.288)。他のカップリング反応および試薬は文献に記述されている。
【0193】
in vitro免疫感作処置の条件は、約5〜10%COを供給される約25〜37℃(好ましくは37℃)で細胞をインキュベートすることを含んでなる。いくつかの態様において、該インキュベーションは約6〜9%の間のCOを用いて実施する。他の態様において、該インキュベーションは約8%のCO中で実施する。細胞密度は培地中約2.5ないし5×10細胞/mlの間である。いくつかの態様において、培地には約2〜20%のFBSを補充する。他の態様において、培地には約5〜15%のFBSを補充する。他の態様において、培地には約7〜12%のFBSを補充する。他の態様において、培地には約10%のFBSを補充する。
【0194】
in vitro刺激培地には、細胞を刺激しかつ免疫応答を増大させるためにサイトカインを補充する。一般にIL−2を培地に供給する。しかしながら、免疫応答を増大さ
せるために他のサイトカインおよび添加物もまた包含してよい。こうしたサイトカインおよび因子は例えばIL−4および抗CD40抗体を包含してよい。
【0195】
骨髄腫細胞の免疫グロブリン産生細胞との融合は当該技術分野で既知のハイブリドーマ細胞のいずれの創製方法によってもよい。これらの方法は、限定されるものでないが、KohlerとMilsteinのハイブリドーマ技術、(1975、Nature 256:495−497;および米国特許第4,376,110号明細書)(Brownら(1981)J.Immunol.127:539−546;Brownら(1980)J.Biol.Chem.255(11):4980−4983;Yehら(1976)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 76:2927−2931;およびYehら(1982)Int.J.Cancer 29:269−275もまた参照されたい)、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kosborら、1983、Immunology
Today 4:72;Coleら、1983、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80:2026−2030)、ならびにEBVハイブリドーマ技術(Coleら、1985、MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER
THERAPY、Alan R.Liss,Inc.、pp.77−96)を挙げることができる。本発明のmAbを産生するハイブリドーマはin vitroで培養してもin vivoで培養してもよい。
【0196】
モノクローナル抗体ハイブリドーマの製造技術は当業者に公知であり、そして例えばMONOCLONAL ANTIBODIES:A NEW DIMENSION IN BIOLOGICAL ANALYSES、Plenum Publishing Corp.、ニューヨーク州ニューヨーク(1980)中、Kenneth;Lerner(1981)Yale J.Biol.Med.、54:387−402;Galfreら(1977)Nature 266:55052;およびGefterら(1977)Somatic Cell Genet.3:231−236)に記述されている。しかしながら、こうした方法の多くの変法が可能でありかつ当業者により認識されるであろう。従って、ハイブリドーマの生成技術はこれらの参考文献の開示に制限されない。
【0197】
いかなる骨髄腫細胞も本発明の方法で使用してよい。好ましくは、骨髄腫細胞はヒト細胞であるが、しかし本発明はそれに若しくはそれにより制限されない。いくつかの態様において、該細胞はヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジンを含有する培地(HAT培地)に感受性である。いくつかの態様において、骨髄腫細胞は免疫グロブリン遺伝子を発現しない。いくつかの態様において、骨髄腫細胞はエプスタイン−バーウイルス(EBV)感染について陰性である。好ましい態様において、骨髄腫細胞はHAT感受性、EBV陰性かつIg発現陰性である。いずれの適する骨髄腫を使用してもよい。こうした骨髄腫の一例は、Winkelhakeへの米国特許第4,720,459号明細書に記述されかつAmerican Type Culture Collection(ATCC)にCRL 8644として寄託されたものである。マウス骨髄腫細胞株(例えばP3−NS1/1−Ag4−1、P3−x63−Ag8.653若しくはSp2/O−Ag14骨髄腫株)を使用してマウスハイブリドーマを生成してよい。これらのマウス骨髄腫株はATCCから入手可能である。
【0198】
本発明の方法のいくつかの態様において、ハイブリドーマ細胞および/若しくは哺乳動物発現細胞をミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブなアレルの導入により超変異性にしうる。ミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブなアレルは、ハイブリドーマ細胞(すなわち骨髄腫細胞との免疫グロブリン産生細胞の融合後)に導入してよいか、若しくは融合前に骨髄腫細胞に導入してよい。本発明は、従って、ハイブリドーマ細胞の生成での使用のための超変異性骨髄腫細胞もまた提供する。該ドミナントネガティブなアレルはまた哺乳動物発現細胞にも導入しうる。
【0199】
ミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブなアレルはポリヌクレオチドの形態にあり、それらはゲノムDNA、cDNA、RNA若しくは化学合成したポリヌクレオチドの形態であってよい。該ポリヌクレオチドは、(限定されるものでないがCMV、SV40、EF−1 D若しくはLTR配列を挙げることができる)構成的に活性のプロモーターセグメントを含有する発現ベクター中に、またはドミナントネガティブなミスマッチ修復遺伝子の発現が調節され得る、テトラサイクリン若しくはエクジソン/グルココルチコイドで誘導可能なベクターからのもののような誘導可能なプロモーター配列にクローン化し得る。該ポリヌクレオチドはトランスフェクションにより細胞に導入し得る。
【0200】
トランスフェクションはポリヌクレオチドが細胞中に導入されるいずれかの過程である。トランスフェクションの過程はin vitroで、例えば培養物中の1個若しくはそれ以上の単離された細胞の懸濁液を使用して実施し得る。細胞は、モノクローナル抗体の産生のためのハイブリドーマを創製するのに使用されるいずれかの不死化細胞であってよいか、若しくは細胞はハイブリドーマそれ自身であってよい。ハイブリドーマはヘテロハイブリドーマ細胞(例えばヒト−マウス細胞の融合)であってもホモハイブリドーマ細胞(例えばヒト−ヒトハイブリドーマ細胞およびマウス−マウスハイブリドーマ細胞)であってもよい。
【0201】
一般に、トランスフェクションは細胞の懸濁液若しくは単細胞を使用して実施することができるが、しかし、処理した細胞若しくは組織の十分な画分が、トランスフェクトした細胞を増殖かつ利用させるようにポリヌクレオチドを取り込む限りは、他の方法もまた適用し得る。ポリヌクレオチドのタンパク質産物は細胞中で一過性に若しくは安定に発現されうる。トランスフェクション技術は公知である。ポリヌクレオチドを導入するために利用可能な技術は、限定されるものでないが電気穿孔法、形質導入、細胞融合、塩化カルシウムの使用、および目的の細胞との融合のための脂質と一緒のポリヌクレオチドのパッケージングを挙げることができる。細胞がミスマッチ修復遺伝子で一旦トランスフェクトされれば、該細胞を培養物中で増殖かつ再生し得る。遺伝子が多くの細胞世代の間一貫したレベルで発現されるようにトランスフェクションが安定である場合には細胞株が生じる。
【0202】
ミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブなアレルは、限定されるものでないがPMS2、PMS1、PMSR3、PMSR2、PMSR6、MLH1、GTBP、MSH3、MHS2、MLH3若しくはMHS1、ならびにNicolaidesら(1995)Genomics 30:195−206およびHoriiら(1994)Biochem.Biophys.Res.Commun.204:1257−1264に記述されるところのPMSR遺伝子のホモログなどを挙げることができるいずれの既知のミスマッチ修復遺伝子由来であってもよい。本明細書で使用されるところの「ドミナントネガティブなアレル」は、該アレルを発現する細胞に超変異性状態を賦与するアレルの能力を指す。こうした効果を生じるいかなるアレルも本発明で使用し得る。ミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブなアレルはヒト、動物、酵母、細菌若しくは他の生物体の細胞から得ることができる。本発明での使用に適するミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブなアレルは、構造の特徴と関連したある種の機能の特徴を有する。ドミナントネガティブなミスマッチ修復遺伝子の制限しない一例はPMS2の短縮変異体PMS2−134である。この遺伝子はPMS2タンパク質をアミノ酸133の後で短縮する突然変異を含有する。PMS2タンパク質のC末端の欠如は、とのPMS2の結合を妨害すると考えられている。不完全なミスマッチ修復活性についての細胞のスクリーニングがこうしたアレルを同定し得る。癌を伴う動物若しくはヒトからの細胞を不完全なミスマッチ修復についてスクリーニングし得る。大腸癌患者からの細胞がとりわけ有用でありうる。ミスマッチ修復タンパク質をコードするいずれかの細胞からのゲノムDNA、cDNA若しくはmRNAを野性型配列からの変異について分析し得る。ミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガ
ティブなアレルはまた、例えばhPMS2−134アレル若しくは他のミスマッチ修復遺伝子のバリアントを製造することにより人工的にも創製し得る。多様な部位特異的突然変異誘発技術を使用し得る。超変異性細胞若しくは動物の生成における使用のためのこうしたアレル(天然であろうと人工的であろうと)の適合性は、それがドミナントネガティブなアレルであるかどうかを決定するために1種若しくはそれ以上の野性型アレルの存在下で該アレルにより引き起こされるミスマッチ修復活性を試験することにより評価し得る。
【0203】
こうした遺伝子のドミナントネガティブなアレルは、細胞若しくはトランスジェニック動物に導入される場合に、DNA修復の有効性を低下させることにより自発的突然変異の率を増大させかつそれにより該細胞若しくは動物を超変異性にする。これは、こうした細胞若しくは動物の自発的突然変異率がこうしたアレルを伴わない細胞若しくは動物に比較して上昇されていることを意味している。自発的突然変異率の上昇の程度は、正常の細胞若しくは動物のものの最低2倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、200倍、500倍若しくは1000倍であり得る。超変異性ハイブリドーマ細胞は遺伝子(1種若しくは複数)中に新たな突然変異を蓄積させて該ハイブリドーマ内で新たな出力特質を生じさせることができる。該ハイブリドーマ細胞を所望の特徴についてスクリーニングし得、そしてこれらの特徴をもつ細胞株を拡張しうる。さらに、該ハイブリドーマ細胞は細胞中で該ドミナントネガティブなミスマッチ修復遺伝子を除外することにより、またはその発現のスイッチを切って変えられた遺伝子、RNA若しくはポリペプチドよりなる安定な生物学的産物に至ることにより、ミスマッチ修復欠損のを「治癒」させうる。
【0204】
ミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブなアレルはベクターの一部として導入しうる。ドミナントネガティブなミスマッチ修復タンパク質アレルをコードするポリヌクレオチドは、該ミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブなアレルの発現を駆動するように細胞中で機能するプロモーターに作動可能に連結してよい。ベクターの他の要素は、複製起点、増殖阻害性化合物の存在下で細胞を増殖させる薬剤耐性遺伝子のような1種若しくはそれ以上の選択可能なマーカーを包含してよい。
【0205】
ミスマッチ修復が天然に欠損している骨髄腫細胞若しくはドナーの免疫グロブリン産生細胞を利用する本発明の態様において、本発明は、野性型ミスマッチ修復遺伝子を細胞に導入して欠損を補完しかつ遺伝的安定性を復帰させることによるハイブリドーマの遺伝的安定性を復帰させる段階をさらに含みうる。
【0206】
本発明の別の局面は、宿主ゲノム中で高められた突然変異率を生じさせるためのMMRを欠く細胞(内因性のミスマッチ修復遺伝子中の欠損、若しくはドミナントネガティブなMMR遺伝子の導入のいずれかによる)および化学的突然変異原の使用である。MMR活性の欠如はDNA損傷剤の毒性効果に対し細胞をより抵抗性にすることが知られている。本発明は、ドミナントネガティブなMMR遺伝子アレルの発現を介して熟達したMMR細胞をミスマッチ修復欠損にすること、およびその後DNA突然変異原の使用を用いてゲノムの超変異性を高めることを含んでなる。化学的突然変異原は化学的特性により分類可能である(例えばアルキル化剤、架橋剤、など)。以下の化学的突然変異原、すなわち、N−エチル−N−ニトロソ尿素(ENU)、N−メチル−N−ニトロソ尿素(MNU)、プロカルバジン塩酸塩、クロラムブシル、シクロホスファミド、メタンスルホン酸メチル(MMS)、メタンスルホン酸エチル(EMS)、ジエチル硫酸、アクリルアミド単量体、トリエチレンメラミン(TEM)、メルファラン、ナイトロジェンマスタード、ビンクリスチン、ジメチルニトロソアミン、N−メチル−N’−ニトロニトロソグアニジン(MNNG)、7,12ジメチルベンズ(a)アントラセン(DMBA)、エチレンオキサイド、ヘキサメチルホスホルアミド、ビスルファンが、ここで列挙されない他者がそうであるように本発明に従って有用であり、そして本発明の方法の態様のいずれでも突然変異率をさらに高めるのに使用してよい。本発明の好ましい一局面において、100遺伝子ごとに
1個の突然変異;1,000遺伝子あたり1個の突然変異の範囲の突然変異率を賦与する突然変異誘発技術を使用する。こうした組合せ(MMR欠損および化学的突然変異原)の使用は、各特定の剤により優先的に誘発される多彩なゲノム変化(限定されるものでないが遺伝子のコーディング領域、遺伝子のイントロン領域、または5’若しくは3’の近位および/若しくは遠位領域の情況内のDNAセグメントの拡張若しくは欠失、点突然変異、変えられた反復配列を挙げることができる)の生成を見込むことができる。
【0207】
突然変異は、例えばゲノムDNA、cDMA、メッセンジャーRNA若しくは目的の遺伝子と関連するアミノ酸の配列を検査することにより細胞若しくは動物の遺伝子型の変化について分析することにより検出し得る。突然変異は遺伝子の表現型をスクリーニングすることによってもまた検出し得る。変えられた表現型は、変異体遺伝子によりコードされるタンパク質の電気泳動移動度、分光学的特性、または他の物理的若しくは構造の特徴の変化を同定することにより検出し得る。タンパク質の変えられた機能についてin situで、単離された形態で、若しくはモデル系でもまたスクリーニングし得る。限定されるものでないがタンパク質分泌、化学物質抵抗性、病原体抵抗性などを測定することを挙げることができる、目的の遺伝子の機能に関連する細胞若しくは動物のいかなる特性の変化についてもスクリーニングし得る。
【0208】
本発明の方法のいくつかの態様において、ドミナントネガティブのおよび正常に機能するMMR遺伝子の発現を制御する誘導可能なベクターを使用する。この戦略は、化学的突然変異原の組合せを用いる若しくは用いない特質選択を介して、新たな出力特質、変えられた遺伝子、RNA若しくはポリペプチドを表す宿主細胞若しくは生物体が一旦生成されてこの細胞若しくは生物体の遺伝的に安定なバージョンが確立されれば、DNAの安定性を復帰させる。ドミナントネガティブなMMR遺伝子アレルを異所性に発現することの結果としてのMMR欠損細胞の場合には、MMRの活性が細胞培養物若しくは生物体の環境から誘導物質分子を除去することにより低下若しくは完全に排除される。加えて、ドミナントネガティブなMMR遺伝子の発現は、生殖細胞若しくは体細胞中でのDNAノックアウト技術の当業者に標準的である方法を使用してMMR遺伝子アレルをノックアウトすることにより抑制し得る(Waldmanら(1995)Cancer Res.55:5187−5190)。
【0209】
アントラセンの側鎖のキラルな位置はとくに制限されず、そしていかなるキラル位置およびいかなるキラルの類似物であってもよい。アントラセンはまた、アントラセンの立体異性体を含んでなりかついかなる異性体の類似物も包含してよい。
【0210】
宿主の例は、限定されるものでないが、ヒト、霊長類、哺乳動物、げっ歯類、植物、魚類、は虫類、両生類、昆虫、真菌、酵母若しくは原核生物起源の微生物からの細胞若しくは全生物体である。
【0211】
本発明の特定の態様のより詳細な開示が特定の実施例で後に続くが、しかしながら、本発明はそれらに若しくはそれらにより制限されない。
[実施例]
【実施例1】
【0212】
破傷風トキシン(TT)に対するヒトモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマの生成
A.TT特異的Bリンパ球の生成およびアッセイ
ドナーからのリンパ球の単離。リンパ球は、製造元の説明書に従ってFicoll−Paqueを通す遠心分離により全血から単離した。単離されたリンパ球を、2%ウシ胎児血清(FBS)を含有するRPMI 1640中で調製した0.25mM Leu−Le
uメチルエステル臭化水素酸塩(LLOMe)とともに室温で15分間インキュベートした。細胞をその後培地で3回洗浄した。
【0213】
単離されたリンパ球のin vitro刺激。細胞は、10%FBSならびに多様な濃度のTTおよびIL−2を補充した培地中で、2.5ないし5×10細胞/mlの間の密度で、8%COを供給したインキュベータ中37℃でインキュベートした。4日培養後に細胞を培地で4回洗浄し、そして培養を追加の8日間継続した。
【0214】
B細胞応答の測定。リンパ球培養上清を培養第12日に収集し、そして抗TT抗体の存在についてELISAで試験した。簡潔には、0.05M炭酸−重炭酸緩衝液中0.5μg/mlのTT若しくはBSAをEIAプレートに固定した。0.05%Tween 20を含有するPBS中1%ウシ血清アルブミン(BSA)を用いてブロッキングした後に上清をウェルに添加した。TTに結合した抗体をペルオキシダーゼ標識ヤギ抗ヒトIgG若しくは抗ヒトIgMで検出した。TMBを発色に使用した。プレートは450nmのフィルターを伴うマイクロプレートリーダーを使用して読み取った。TTに結合したがしかしBSAに結合しなかった抗体を有しかつシグナルがアッセイバックグラウンドの2倍であった上清サンプルを陽性とみなした。陽性細胞をプールし、そしてハイブリドーマ製造に使用した(図1)。
【0215】
注目すべきことに、数例のドナーからの末梢血単核細胞(PBMC)がTT特異的抗体を培養物中に分泌するB細胞の画分を含有する。これは、米国の人口の約90%がTTに対しワクチン接種されているという事実による。こうした血清はまた1000より高い力価も有する(図2)。しかしながら、陽性事象の比率は、PBMCをin vitroでTTで免疫する場合に大きく増大する(図3)。PBMC応答の強度はまた、単独またはIL−2若しくはCD40Lと組合せのTTの刺激でも高められる(図4)。類似の効果が他の抗原で観察された(データは示されない)。
【0216】
ヒト抗体を分泌するハイブリドーマの生成。活性化されたリンパ球を調製するために、細胞をプールし、そして、融合の1日前に10%FBSを補充した培地中0.5〜1×10細胞/mlでTフラスコ中で培養した。融合パートナーを調製するために、マウス骨髄腫NS0細胞をNicolaidesら(1998)Mol.Cell.Biol.18(3):1635−1641に記述されるとおりヒトPMS2−134発現ベクターでトランスフェクトした。細胞は10%FBSおよび2mMグルタミンを補充したRPMI
1640(完全培地)中で培養し、そして培養物を対数期に保った。
【0217】
次に、リンパ球を収集かつカウントした。等しい数の骨髄腫細胞を収集した。双方の型の細胞を合わせ、そしてRPMI 1640培地で3回洗浄した。緩くした細胞ペレットにポリエチレングリコール(PEG)を一滴ずつ添加し、そしてPEGをその後2.5分の間に25mlのRPMI培地でゆっくりと希釈した。PEGを希釈した後、融合した細胞を、HATおよび20%FBSを補充した完全培地に懸濁しそして96ウェルプレートに接種した。
【0218】
抗原特異的ハイブリドーマクローンのスクリーニングおよび特徴付け。ハイブリドーマ細胞がセミコンフルエンスまで増殖した場合に上清を収集しかつ抗原特異的反応性についてのELISAにかけた。一例として、TTで免疫したリンパ球由来のハイブリドーマを試験した。簡潔には、0.05M炭酸−重炭酸緩衝液中0.5μg/mlのTT若しくはBSAをEIAプレートに固定した。0.05%Tween 20を含有するPBS中1%ウシ血清アルブミンでブロッキングした後に細胞培養上清をウェルに添加した。TTに結合した抗体をペルオキシダーゼ標識ヤギ抗ヒトIgG若しくは抗ヒトIgMで検出した。TMBを発色に使用した。プレートは450nmのフィルターを伴うマイクロプレート
リーダーで読み取った。TTに対する反応性を示したがしかしBSAに対し示さなかった細胞クローンを陽性とみなした(図5)。陽性クローンを拡張しかつ制限希釈によりサブクローニングしてモノクローナル細胞を生成させた。
【実施例2】
【0219】
上皮増殖因子受容体(EGF)(自己抗原)に対するヒトモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマの生成
A.EGFR特異的Bリンパ球の生成
抗原の調製。A431細胞から精製したヒト上皮増殖因子受容体(EGFR)はSigmaから購入した。以前の研究は、この抗原に対する免疫応答が、もっともありそうには寛容により非常に弱かったことを見出した。免疫感作を高めるために、われわれはEGFRを破傷風トキシンCに結合し(EGFR−TT)、そしていかなる免疫寛容も克服するために、in vitro免疫感作の免疫原として該複合物を使用した。
【0220】
EGFR−TT複合物の調製。100μgの精製したEGFRを100μlの滅菌MilliQ等級の水で再構成した。1mgの精製し凍結乾燥した組換え破傷風トキシンCフラグメント(TT−C)を滅菌MilliQ等級の水に溶解して2mg/mlのTT−C溶液を生じさせた。架橋は、0.5%の最終濃度のグルタールアルデヒドを使用し、TT−Cに対するEGFRの等モル比で50mM炭酸ナトリウム緩衝液pH9.0中で室温で3時間、次いで4℃で一夜実施した。50mM炭酸ナトリウムpH9.0中のホウ水素化ナトリウムの新鮮な100mg/mlの溶液の開放雰囲気下4℃で1時間の添加によりグルタールアルデヒドをクエンチした。架橋生成物は、3.5K MWCO Slide−A−Lyzerカセットを使用して、Ca2+、Mg2+を含まないリン酸緩衝生理的食塩水に対して4℃で一夜透析した。商業的抗EGFR(mAb−15)および抗TT−C(Roche)モノクローナル抗体を使用するウェスタンブロッティングにより反応をモニターした。この方法により、化合物の70%以上が架橋され、そして出発原料より大きなMWの免疫反応種として出現する(データは示されない)。
【0221】
末梢血単核細胞(PBMC)のin vitro刺激。LLOMeで前処理したPBMCを、10%FBSおよび刺激混合物を補充した培地中3×10細胞/mlの密度でインキュベートした。刺激混合物は、20IUの組換えヒトIL−2、0.5μg/mlのCD40Lとしてのマウス抗ヒトCD40抗体(IgGクラススイッチを高めるために使用した)を含む若しくは含まない50ng/mlの濃度のEGFR−TTから構成された。4日培養後、細胞に、添加された刺激の非存在下で完全培地を3若しくは4日ごとに再供給した。培養上清を第12〜18日に収集しかつEGFR特異的抗体について試験した。
【0222】
EGFR特異的抗体応答の検出。刺激に対するPBMC応答をEGFR特異的ELISAで検査した。簡潔には、0.05M炭酸−重炭酸緩衝液、pH9.6中0.5μg/mlのEGFR、TT若しくはBSAをEIAプレートに固定した。0.05%Tween
20を含有するPBS中5%無脂粉乳でプレートをブロッキングした後、上清をウェルに添加した。固定した抗原に結合した上清からの抗体をペルオキシダーゼ標識ヤギ抗ヒトIgG+IgM(H+L)で検出した。TMB基質キットを発色に使用した。プレートは450nmのフィルターを伴うマイクロプレートリーダーで読み取った。EGFRに結合したがしかしTTおよびBSAに結合しなかった抗体を含有する上清サンプルを陽性とみなした。EGFR−TTに対し免疫した培養物で、対照に比較して確実な応答が観察された。ドナーの小さな画分について抗EGFR応答がPBMCで観察された一方、陽性クローンの比率は、TTと複合体形成したEGFRでPBMCをin vitroで免疫した場合に大きく増大した(図6)。陽性細胞をプールし、そしてハイブリドーマ製造に使用した。
【0223】
ハイブリドーマの生成。活性化されたリンパ球を調製するため、細胞をプールし、そして、融合の1日前に10%FBSを補充した培地中0.5〜1×10細胞/mlでTフラスコ中で培養した。融合パートナーを調製するため、マウス骨髄腫NS0細胞をNicolaidesら(1998)Mol.Cell.Biol.18(3):1635−1641に記述されるとおり、ヒトPMS2−134発現ベクターでトランスフェクトした。細胞は10%FBSおよび2mMグルタミンを補充したRPMI 1640(完全培地)中で培養し、そして培養物を対数期に保った。
【0224】
抗原特異的ハイブリドーマクローンのスクリーニングおよび特徴付け。ハイブリドーマ細胞がセミコンフルエンスまで増殖した場合に上清を収集し、そして抗原特異的反応性についてのELISAにかけた。一例として、EGFR免疫したリンパ球由来のハイブリドーマを試験した。簡潔には、0.05M炭酸−重炭酸緩衝液中0.5μg/mlのEGFR、TT TNFR1若しくはBSAをEIAプレートに固定した。0.05%Tween 20を含有するPBS中1%ウシ血清アルブミンでブロッキングした後に細胞培養上清をウェルに添加した。結合した抗体はペルオキシダーゼ標識ヤギ抗ヒトIgG若しくは抗ヒトIgMで検出した。TMBを発色に使用した。正常ヒトIgG(nhIgG)およびIgM(nhIgM)を対照として使用した。プレートは450nmのフィルターを伴うマイクロプレートリーダーで読み取った。EGFRに対する反応性を示したがしかしBSAに対して示さなかった細胞クローンを陽性とみなした(図7)。
【実施例3】
【0225】
A.全血からのPBMCの単離
200mlのPBS−/−と混合したおよそ200mlの全血を、Ficoll−Paqueを通して2000rpmで30分間遠心分離した。血清を吸引し、リンパ球を含有する界面層を収集し、そしてPBS−/−で3倍に希釈しかつ2000rpmで10分間遠心分離した。上清液を吸引し、そしてペレットを10mlのPBS−/−に再懸濁した。細胞懸濁液を2本の50mlコニカルチューブに分割し、そしてPBS−/−を各チューブに添加して容量をそれぞれ35mlに調節した。チューブを800rpmで7分間遠心分離して血小板を除去した。上清液を吸引した後にペレットを10mlのACK溶解緩衝液に再懸濁しかつ室温で5分間インキュベートした。溶解後に35mlのPBS−/−をチューブに添加し、そしてチューブを1000rpmで7分間遠心分離した。その後細胞を45mlのRPMI培地で洗浄した。
B.樹状細胞の調製
細胞を1000rpmで7分間遠心分離し、そして2.5×10細胞/mlの密度のため40mlのcRPMIあたり1×10細胞で再懸濁した。細胞を37℃/8%COで2時間インキュベートした。非付着細胞をさらなる処置(段階Cを参照)のため除去し、そして付着細胞をPBS−/−で慎重に2回すすいだ。付着細胞は400IU/mlのIL−4および50ng/mlのGM−CSFを補充したcRPMI中で培養した。
C.非付着細胞のLLOMe処理および低温保存
非付着細胞培養物を1000rpmで7分間遠心分離した。上清液を吸引し、そしてペレットを2%FBSおよび新たに融解した85μg/mlのLLOMeを補充した10mlのRPMIに再懸濁した。細胞を室温で15分間インキュベートした。細胞をcRPMIで2回洗浄しかつ45mlのcRPMIに再懸濁した。細胞を、2μg/mlのPHAを補充したcRPMI中5×10細胞/mlの密度で縦型T25フラスコに移し、そして37℃/8%COで24時間インキュベートした。非付着細胞を収集し、1000rpmで7分間遠心分離し、そして細胞ペレットを5mlの冷cRPMI/5%DMSOに再懸濁した。細胞を含有するチューブをペーパータオルで包み、そして必要とされるまで−80℃で保存した。
D.腫瘍免疫感作
樹状細胞の単離のための処置の第6日に、腫瘍細胞を37℃の2.5mlの予め加温した培地中で融解した。樹状細胞のフラスコを10mlのPBS−/−で2回すすいだ。樹状細胞を、5mlの細胞解離緩衝液(Invitrogen カタログ番号13151−014)中で穏やかに揺すりながらインキュベートし、そして溶液を収集した(残存する細胞をフラスコから掻き取る)。フラスコを10mlのcRPMIですすぎ、そして培地を収集した。細胞を1000rpmで7分間遠心分離し、そしてペレットを4×10細胞/ml cRPMIで再懸濁した。細胞を1×10細胞/ウェルの密度で培養プレートに分配した。腫瘍サンプルをおよそ1〜3mmの微細な片に切り刻んだ。腫瘍懸濁液のアリコートをただ1個のウェルに移し、ウェルあたりの腫瘍の量を滴定した。0.25mlのcRPMIのアリコートを対照ウェルに添加した。ウェル中の総容量は0.5ml/ウェルであった。樹状細胞および腫瘍細胞を37℃/8%COで24時間共培養した。
E.PBMCのDCとの共培養
凍結PBMCは、50℃に予め加温した40mlのcRPMI/30IU/mlのIL−2/600IU/mlのIL−4/0.75μg/mlのCD−40Lを凍結細胞に添加することにより融解した。融解した場合に細胞を37℃で1〜2時間インキュベートした。細胞を1000rpmで7分間遠心分離し、そしてペレットを5mlのcRPMI/60IU/mlのIL−2/1200IU/mlのIL−4/1.5μg/mlのCD−40Lの2×カクテルに再懸濁した。細胞懸濁液を、組織培養プレートのウェルに沿って0.5ml/ウェルの懸濁液で分割し、そして30IU/mlのIL−2、600IU/mlのIL−4および0.75μg/mlのCD−40Lの最終濃度のため0.5mlの培地で希釈した。細胞には20IU/mlのIL−2、400IU/mlのIL−4、100IU/mlのIL−10および0.5μg/mlのCD−40Lを補充したcRPMIを供給した。
F.融合
腫瘍免疫したPBMCをその後A6骨髄腫細胞と融合させてハイブリドーマを生成させた。簡潔には、リンパ球を75%腫瘍および100%腫瘍ウェルから収集し、1mlのRPMIですすぎ、コニカルチューブに移しそしてcRPMIで容量を5mlに調節した。細胞を、Ficoll−Paqueを通して遠心分離しかつ上清液を収集した。全部のチューブからの細胞を含有する界面を合わせそして細胞をcRPMIですすいだ。細胞をその後7.5mlのcRPMIに再懸濁した。生存細胞をトリパンブルー排除により評価した。A6細胞の生存率もまたトリパンブルー排除により評価した。A6細胞および腫瘍免疫したリンパ球を個別に1200rpmで10分間遠心分離した。上清液を吸引し、そして細胞をチューブあたり10mlのDPBS−/−で洗浄した。各細胞株を2mlの冷マンニトール融合培地(MFM)(0.3Mマンニトール、0.18mM MgCl、0.18mM CaCl、1mM Hepes)で3回洗浄し、そして細胞を合わせ、かつ、200μl中に合計6×10細胞のため200μl中3×10のA6細胞および3×10のPBMCの密度でMFMに再懸濁した。BTX 450マイクロスライドガラスを65μLの100%EtOHで滅菌し、そして65μlのMFMで予め湿らせた。細胞懸濁液の40μlのアリコートをBTX 450−1マイクロスライドガラス上に均一に分配した。細胞を融合するために、ECM 2001の条件を、後に続くとおり(すなわち整列条件、20V30秒間;パルス条件、150V30秒間(1×);圧縮条件、20V9秒間)設定した。融合後に、1mlのフェノールレッドを含まないcRPMIを含有する24ウェルプレートの1個のウェルに細胞を移した。残存する細胞懸濁液について融合段階を反復し、融合の間にスライドを65μLのMFMですすいだ。融合した細胞培養物を含有する培養プレートを37℃/8%COで一夜インキュベートした。融合した細胞をクローン化し、そしてIgGおよびIgM産生についてELISAにより評価した。結果を図8に示す。
【実施例4】
【0226】
in vitro免疫感作
商業的供給源からの精製したGM−CSFを末梢血単核細胞(PBMC)にin vitroで投与する。
A.GM−CSF特異的Bリンパ球の精製およびアッセイ
末梢血からのリンパ球の単離。
【0227】
リンパ球は、製造元の説明書に従ってFicoll−Paqueを通す遠心分離により全血から単離する。単離したリンパ球は、2%ウシ胎児血清(FBS)を含有するRPMI 1640培地中で調製した0.25mM Leu−Leuメチルエステル臭化水素酸塩(LLOMe)とともに室温で15分間インキュベートする。細胞をその後培地で3回洗浄する。
単離したリンパ球のin vitro刺激。
【0228】
細胞を、10%FBSならびに多様な濃度のGM−CSFおよびIL−2を補充した培地中2.5ないし5×10細胞/mlの間の密度で、8%COを供給するインキュベータ中37℃でインキュベートする。4日培養後に細胞を培地で4回洗浄し、そして培養を追加の8日間継続した。
B細胞応答の測定。
【0229】
リンパ球培養上清を培養第12日に収集し、そして抗GM−CSF抗体の存在についてELISAで試験する。簡潔には、0.05M炭酸−重炭酸緩衝液中0.5μg/mlのGM−CSF若しくはBSAをEIAプレートに固定する。0.05%Tween 20を含有するPBS中1%ウシ血清アルブミン(BSA)でブロッキングした後に、上清をウェルに添加する。GM−CSFに結合した抗体をペルオキシダーゼ標識ヤギ抗ヒトIgG若しくは抗ヒトIgMで検出する。TMBを発色に使用する。プレートは450nmのフィルターを伴うマイクロプレートリーダーを使用して読み取る。GM−CSFに結合するがしかしBSAにしない抗体を有しかつシグナルがアッセイバックグラウンドの2倍であった上清サンプルを陽性とみなす。陽性細胞をプールし、そしてハイブリドーマ製造に使用する。
ヒト抗体を分泌するハイブリドーマの生成。
【0230】
活性化されたリンパ球を調製するために細胞をプールし、そして、融合の1日前に10%FBSを補充した培地中0.5〜1×10細胞/mlでTフラスコ中で培養する。融合パートナーを調製するために、マウス骨髄腫NS0細胞をNicolaidesら(1998)Mol.Cell.Biol.18(3):1635−1641に記述されるとおりヒトPMS2−134発現ベクターでトランスフェクトする。細胞を、10%FBSおよび2mMグルタミンを補充したRPMI 1640(完全培地)中で培養し、そして培養物を対数期に保つ。
【0231】
次にリンパ球を収集しかつカウントする。等しい数の骨髄腫細胞を収集する。双方の型の細胞を合わせ、そしてRPMI 1640培地で3回洗浄する。緩くした細胞ペレットにポリエチレングリコール(PEG)を一滴ずつ添加し、そしてPEGをその後2.5分の間に25mlのRPMI培地でゆっくりと希釈する。PEGを希釈した後に、融合した細胞をHATおよび20%FBSを補充した完全培地に懸濁し、そして96ウェルプレートに接種する。
抗原特異的ハイブリドーマクローンのスクリーニングおよび特徴付け。
【0232】
ハイブリドーマ細胞がセミコンフルエンスまで増殖した場合に、上清を収集しかつ抗原特異的反応性についてのELISAにかける。一例として、TT免疫したリンパ球由来のハイブリドーマを試験する。簡潔には、0.05M炭酸−重炭酸緩衝液中0.5μg/m
lのTT若しくはBSAをEIAプレートに固定する。0.05%Tween 20を含有するPBS中1%ウシ血清アルブミンでブロッキングした後に、細胞培養上清をウェルに添加する。GM−CSFに結合した抗体は、ペルオキシダーゼ標識ヤギ抗ヒトIgG若しくは抗ヒトIgMで検出する。TMBを発色に使用する。プレートは450nmのフィルターを伴うマイクロプレートリーダーで読み取る。GM−CSFに対する反応性を示したがしかしBSAに対して示さなかった細胞クローンを陽性とみなす。陽性クローンを拡張し、そして限界希釈によりサブクローニングしてモノクローナル細胞を生成させる。
【実施例5】
【0233】
GM−CSF−KLHに対するヒトモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマの生成A.GM−CSF特異的Bリンパ球の生成
抗原の調製。
【0234】
ヒトGM−CSFは製造供給元から購入した。免疫感作を高めるため、GM−CSFをキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)に結合し(GM−CSF−KLH)、そして、いかなる免疫寛容も克服するためのin vitro免疫感作の免疫原として該複合物を使用した。
GM−CSF−KLH複合物の調製。
【0235】
精製したGM−CSFを滅菌MilliQ等級の水で再構成して1mg/mlの溶液を生じさせた。精製し凍結乾燥した組換えKLHを滅菌MilliQ等級の水に溶解して1mg/mlのKLH溶液を生じさせた。PBS中のグルタールアルデヒドの0.2%溶液を調製した。架橋は、アルミホイルで覆った微小遠心管中で25μlの1mg/mlのKLH、25μlの1mg/mlのGM−CSFおよび50μlの0.2%グルタールアルデヒドを室温で振とうしながら1時間合わせることにより実施した。架橋した後に25μlの1Mグリシンをチューブに添加し、そして溶液を振とうしながら室温で追加の1時間インキュベートした。架橋生成物を、300mlのPBSの3回の変更に対し透析した。反応は、商業的な抗GM−CSFおよび抗KLHモノクローナル抗体を使用するウェスタンブロッティングによりモニターした。この方法により、成分の80%以上が架橋され、そして出発原料より大きいMWの免疫反応種として出現した(データは示されない)。
末梢血単核細胞(PBMC)のin vitro刺激。
【0236】
LLOMeで前処理したPBMCを、10%FBSおよび刺激混合物を補充した培地中3×10細胞/mlの密度でインキュベートした。刺激混合物は、20IUの組換えヒトIL−2、0.5μg/mlのCD40Lとしてのマウス抗ヒトCD40抗体(IgGクラススイッチングを高めるため使用した)を含む若しくは含まない50ng/mlの濃度のGM−CSF−KLHから構成された。培養4日後、細胞に、添加された刺激の非存在下で完全培地を3若しくは4日ごとに再供給した。培養上清を第12〜18日に収集し、そしてGM−CSF特異的抗体について試験した。
GM−CSF特異的抗体応答の検出。
【0237】
刺激に対するPBMCの応答をGM−CSF特異的ELISAで検査した。簡潔には、0.05M炭酸−重炭酸緩衝液、pH9.6中0.5μg/mlのGM−CSF、KLH若しくはニワトリ卵アルブミン(CAB)をEIAプレートに固定した。0.05%Tween 20を含有する1%BSAでプレートをブロッキングした後に上清をウェルに添加した。固定した抗原に結合した上清からの抗体をペルオキシダーゼ標識ヤギ抗ヒトIgG+IgM(H+L)で検出した。TMB基質キットを発色に使用した。プレートは450nmのフィルターを伴うマイクロプレートリーダーで読み取った。GM−CSFに結合したがしかしKLHおよびCABに結合しなかった抗体を含有する上清サンプルを陽性とみなした。GM−CSF−KLHに対し免疫した培養物中で観察された、対照に比較して
確実な応答が存在した。ドナーの小さな画分について抗GM−CSF応答がPBMCで観察された一方、陽性クローンの比率は、KLHと複合体形成したGM−CSFでPBMCをin vitroで免疫した場合に大きく増大した。陽性細胞をプールし、そしてハイブリドーマ製造に使用した。
ハイブリドーマの生成。
【0238】
活性化されたリンパ球を調製するために、細胞をプールし、そして、融合の1日前に10%FBSを補充した培地中0.5〜1×10細胞/mlでTフラスコ中で培養した。融合パートナーを調製するために、マウス骨髄腫NS0細胞をNicolaidesら(1998)Mol.Cell.Biol.18(3):1635−1641に記述されるとおりヒトPMS2−134発現ベクターでトランスフェクトした。細胞を、10%FBSおよび2%グルタミンを補充したRPMI 1640(完全培地)中で培養し、そして培養物を対数期に保った。
抗原特異的ハイブリドーマクローンのスクリーニングおよび特徴付け。
【0239】
ハイブリドーマ細胞がセミコンフルエンスまで増殖した場合に上清を収集しかつ抗原特異的反応性についてのELISAにかけた。一例として、GM−CSFで免疫したリンパ球由来のハイブリドーマを試験した。簡潔には、0.05M炭酸−重炭酸緩衝液中0.5μg/mlのGM−CSF、KLH若しくはCABをEIAプレートに固定した。0.05%Tween 20を含有するPBS中1%ウシ血清アルブミンでブロッキングした後に細胞培養上清をウェルに添加した。結合した抗体はペルオキシダーゼ標識ヤギ抗ヒトIgG若しくは抗ヒトIgMで検出した。TMBを発色に使用した。正常ヒトIgG(nhIgG)およびIgM(nhIgM)を対照として使用した。プレートは450nmのフィルターを伴うマイクロプレートリーダーで読み取る。GM−CSFに対する反応性を示したがしかしCABに対し示さなかった細胞クローンを陽性とみなした。結果を図9に示す。
【実施例6】
【0240】
増殖の阻害アッセイ
TF−1細胞を10%FBSおよび0.5ng/mlの組換えヒトGM−CSFを補充したRPMI中0.2×10/mlで接種した。TF−1細胞を、rhGM−CSFを含まない、0.5%BSAを含有する培地中で血清を24時間枯渇させた。細胞はその後、4μg/mlの多様な抗体を伴い若しくは伴わずに、0.275ng/mlのGM−CSFの存在下で3日間培養した。細胞増殖をATPLiteアッセイ(Perkin Elmer)を使用して測定した。このアッセイでは、ATPが生存細胞の溶解により放出され、そしてルシフェリンをオキシルシフェリンに転化する酵素ルシフェラーゼにより利用された。該反応の結果として光が発射され(発光)、そして発射の強度はATP含量および従って細胞数に究極的に比例した。照度計で反応を読み取ることにより1秒あたりカウント(CPS)を得、そして式:100−(AbなしCPS:AbありCPS)×100%に従って阻害パーセントを計算した。結果を図10に示す。
【0241】
前述の実施例は本発明の単なる具体的説明であり、そして本発明の範囲を制限するといかなる方法でも解釈されるべきでない。本発明の範囲は付属として付けられる請求の範囲により定義される。
【図面の簡単な説明】
【0242】
【図1】抗原刺激に対するPBMCの免疫応答を示す。PBMCをTTの存在若しくは非存在下で4日間培養し、その後培地で洗浄しかつTTの存在若しくは非存在下で追加の8日間培養した。培養上清を収集しかつTTに対し反応性の抗体の存在について試験した。固相に予め被覆したTTに結合した抗体をHRP標識ヤギ抗ヒトIgG若しくはHRP標識ヤギ抗ヒトIgMで検出した。
【図2A】ドナー抗TT IgGの検出によるTTに対するドナー血清の反応性を示す。
【図2B】ドナー抗TT IgMの検出によるTTに対するドナー血清の反応性を示す。
【図3】TTまたはIL−2若しくはCD40Lと組合せのTTでのin vitro免疫感作に際してのPBMCの抗TT応答の頻度を示す。
【図4】TTまたはIL−2若しくはCD40Lと組合せのTTでのin vitro免疫感作に際してのPBMCの応答の強度を示す。
【図5】抗TT抗体を発現するハイブリドーマの応答を示す。
【図6A】EGFRに対する未刺激のPBMCの反応性を示す。
【図6B】EGFR−TTでの免疫感作後のEGFRに対するPBMCの反応性を示す。
【図6C】EGFR−TTに対する未刺激のPBMCの反応性を示す。
【図6D】EGFR−TTでの免疫感作後のEGFR−TTに対するPBMCの反応性を示す。
【図7】ヒトGEFRに対する抗体を発現するハイブリドーマの応答を示す。固相に予め被覆したEGFR若しくはBSA(対照)に結合した抗体をHRP標識ヤギ抗ヒトIgG若しくはHRP標識ヤギ抗ヒトIgMで検出した。
【図8】in vitroで腫瘍細胞で免疫した細胞のIgGおよびIgM応答を示す。
【図9】GM−CSF、ニワトリ卵アルブミン(CAB)若しくはキーホールリンペットヘモシアニンに対するクローンの反応性を示す。
【図10】TF−1細胞の増殖に対する抗GM−CSF抗体の阻害効果を示す。GM−CSF特異的なブロッキング抗体;GM−CSF特異的な非ブロッキング抗体;および非特異的抗体の効果を示す。
【配列表】






















































































































【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)免疫グロブリン産生細胞を含んでなるドナー細胞を免疫原性の抗原とin vitroで組み合わせること;
(b)前記免疫グロブリン産生細胞を骨髄腫細胞と融合して、ミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブなアレルを発現する親ハイブリドーマ細胞を形成すること;
(c)突然変異誘発を見込んで前記親ハイブリドーマ細胞をインキュベートしてそれにより超変異ハイブリドーマ細胞を形成すること;
(d)前記超変異ハイブリドーマ細胞から産生された抗体について、抗原への抗体の結合についてのスクリーニングを実施すること;および
(e)前記親ハイブリドーマ細胞により産生された抗体よりも前記抗原に対しより大きな親和性をもつ抗体を産生する超変異ハイブリドーマ細胞を選択して;
それにより高親和性抗体を産生するハイブリドーマ細胞を製造すること
を含んでなる、in vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞からの高親和性抗体を産生するハイブリドーマ細胞の製造方法。
【請求項2】
ミスマッチ修復遺伝子の前記ドミナントネガティブなアレルが、PMS2、PMS1、PMSR3、PMSR2、PMSR6、MLH1、GTBP、MSH3、MSH2、MLH3若しくはMSH1、およびPMSR遺伝子のホモログよりなる群から選択される遺伝子のドミナントネガティブなアレルを含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ミスマッチ修復遺伝子の前記ドミナントネガティブなアレルがPMS2遺伝子のドミナントネガティブなアレルを含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記親ハイブリドーマより高力価の抗体もまた産生する超変異ハイブリドーマについてのスクリーニングをさらに含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ミスマッチ修復遺伝子の前記ドミナントネガティブなアレルの不活性化、それによる前記超変異ハイブリドーマのゲノムを安定化することをさらに含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ミスマッチ修復遺伝子の前記ドミナントネガティブなアレルの不活性化、それによる前記超変異ハイブリドーマのゲノムを安定化することをさらに含んでなる、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記高親和性抗体が最低約1×10−1ないし約1×1014−1の親和性を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記抗体の前記より高力価が、前記親ハイブリドーマ細胞により生じられる力価より最低約1.5〜8倍より大きい、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記ドミナントネガティブなアレルをノックアウトすること、若しくは前記ドミナントネガティブなアレルの誘導物質を除去することによりミスマッチ修復遺伝子の前記ドミナントネガティブなアレルを不活性化する段階をさらに含んでなる、請求項1若しくは4に記載の方法。
【請求項10】
前記親ハイブリドーマ細胞を化学的突然変異原とともにインキュベートすることをさらに含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
ドミナントネガティブなミスマッチ修復遺伝子が、前記骨髄腫の前記免疫グロブリン産
生細胞との融合後に前記ハイブリドーマ細胞に導入される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記骨髄腫細胞が、前記ハイブリドーマ細胞中でもまた発現されているドミナントネガティブなミスマッチ修復遺伝子を発現する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
請求項1、4、5、6、7若しくは10に記載の方法により製造された高親和性抗体を産生するハイブリドーマ細胞。
【請求項14】
請求項13に記載のハイブリドーマ細胞により産生された抗体。
【請求項15】
(a)免疫グロブリン産生細胞を含んでなるドナー細胞を免疫原性の抗原とin vitroで組み合わせること;
(b)前記免疫グロブリン産生細胞を骨髄腫細胞と融合して、ミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブなアレルを発現する親ハイブリドーマ細胞を形成すること;
(c)突然変異誘発を見込んで前記親ハイブリドーマ細胞をインキュベートしてそれにより超変異ハイブリドーマ細胞を形成すること;
(d)前記親ハイブリドーマ細胞により生じられる力価よりも高力価で産生された抗体について、前記超変異ハイブリドーマ細胞のスクリーニングを実施すること;および
(e)前記親ハイブリドーマ細胞により生じられる力価よりも高力価の抗体を産生する超変異ハイブリドーマ細胞を選択して;
それにより高力価の抗体を産生するハイブリドーマ細胞を製造すること
を含んでなる、in vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞からの高力価の抗体を産生するハイブリドーマ細胞の製造方法。
【請求項16】
ミスマッチ修復遺伝子の前記ドミナントネガティブなアレルが、PMS2、PMS1、PMSR3、PMSR2、PMSR6、MLH1、GTBP、MSH3、MSH2、MLH3若しくはMSH1のドミナントネガティブなアレル、およびPMSRのホモログよりなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
ミスマッチ修復遺伝子の前記ドミナントネガティブなアレルがPMS2遺伝子のドミナントネガティブなアレルを含んでなる、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記ミスマッチ修復遺伝子の前記ドミナントネガティブなアレルの不活性化、それによる前記超変異ハイブリドーマのゲノムを安定化することをさらに含んでなる、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記抗体の前記より高力価が、前記親ハイブリドーマ細胞により生じられる力価より最低約1.5〜8倍より大きい、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
ミスマッチ修復遺伝子の前記ドミナントネガティブなアレルが、前記ドミナントネガティブなアレルをノックアウトすること若しくは前記ドミナントネガティブなアレルの誘導物質を除去することにより不活性化される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記親ハイブリドーマ細胞を化学的突然変異原とともにインキュベートすることをさらに含んでなる、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
ドミナントネガティブなミスマッチ修復遺伝子が、前記免疫グロブリン産生細胞との前記骨髄腫の融合後に前記ハイブリドーマ細胞に導入される、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
前記骨髄腫細胞が、前記ハイブリドーマ細胞中でもまた発現されているドミナントネガ
ティブなミスマッチ修復遺伝子を発現する、請求項15に記載の方法。
【請求項24】
請求項15、18若しくは21の方法により製造された高親和性抗体を産生するハイブリドーマ細胞。
【請求項25】
請求項24に記載のハイブリドーマ細胞により産生された抗体。
【請求項26】
ドミナントネガティブなミスマッチ修復タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含んでなる組換え骨髄腫細胞。
【請求項27】
前記ミスマッチ修復タンパク質が、PMS2、PMS1、PMSR3、PMSR2、PMSR6、MLH1、GTBP、MSH3、MSH2、MLH3若しくはMSH1、およびPMSR遺伝子のホモログよりなる群から選択される、請求項26に記載の組換え骨髄腫細胞。
【請求項28】
ミスマッチ修復遺伝子の前記ドミナントネガティブなアレルがPMS2遺伝子のドミナントネガティブなアレルを含んでなる、請求項26に記載の組換え骨髄腫細胞。
【請求項29】
前記骨髄腫細胞が免疫グロブリン遺伝子を発現しない、請求項26に記載の組換え骨髄腫細胞。
【請求項30】
前記骨髄腫細胞がHAT感受性である、請求項29に記載の組換え骨髄腫細胞。
【請求項31】
前記骨髄腫細胞がEBV陰性である、請求項30に記載の組換え骨髄腫細胞。
【請求項32】
(a)免疫グロブリン産生細胞を含んでなるドナー細胞を免疫原性の抗原とin vitroで組み合わせること;
(b)前記免疫グロブリン産生細胞を骨髄腫細胞と融合してハイブリドーマ細胞を形成すること;
(c)前記ハイブリドーマ細胞から産生された抗体の抗原への結合についてのスクリーニングを実施すること;
(d)前記ハイブリドーマからの免疫グロブリン遺伝子を、ミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブなアレルを発現する哺乳動物発現細胞にクローン化すること;
(e)前記ハイブリドーマ細胞から産生された抗体に比較して抗原に対してより高い親和性をもつ抗体を分泌する哺乳動物発現細胞についてのスクリーニングを実施して;それにより、in vitroで免疫したヒト免疫グロブリン産生細胞から高力価の高親和性抗体を産生する哺乳動物発現細胞を製造すること
を含んでなる、in vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞からの高力価の高親和性抗体を産生する哺乳動物発現細胞の製造方法。
【請求項33】
ミスマッチ修復遺伝子の前記ドミナントネガティブなアレルが、前記免疫グロブリン遺伝子の導入前に前記哺乳動物発現細胞に導入される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
ミスマッチ修復遺伝子の前記ドミナントネガティブなアレルが、前記免疫グロブリン遺伝子の導入後に前記哺乳動物発現細胞に導入される、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
ミスマッチ修復遺伝子の前記ドミナントネガティブなアレルが、前記免疫グロブリン遺伝子と同時に前記哺乳動物発現細胞に導入される、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記ミスマッチ修復遺伝子が、PMS2、PMS1、PMSR3、PMSR2、PMS
R6、MLH1、GTBP、MSH3、MSH2、MLH3若しくはMSH1、およびPMSR遺伝子のホモログよりなる群から選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
ミスマッチ修復遺伝子の前記ドミナントネガティブなアレルが、PMS2遺伝子のドミナントネガティブなアレルを含んでなる、請求項32に記載の方法。
【請求項38】
前記高親和性抗体が、最低約1×10−1ないし約1×1014−1の親和性を有する、請求項32に記載の方法。
【請求項39】
請求項32に記載の方法により製造された哺乳動物発現細胞。
【請求項40】
請求項39に記載の哺乳動物発現細胞により産生された抗体。
【請求項41】
(a)免疫グロブリン産生細胞を含んでなるドナー細胞を免疫原性の抗原とin vitroで組み合わせること;
(b)前記免疫グロブリン産生細胞を骨髄腫細胞と融合して、ミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブなアレルを発現するハイブリドーマ細胞を形成すること;
(c)突然変異誘発を見込んで前記親ハイブリドーマ細胞をインキュベートしてそれにより超変異ハイブリドーマ細胞を形成すること;
(d)前記超変異ハイブリドーマ細胞から産生される抗体について、抗原への抗体の結合についてのスクリーニングを実施すること;
(e)前記親ハイブリドーマ細胞により産生された抗体よりも前記抗原に対してより大きい親和性をもつ抗体を産生する超変異ハイブリドーマ細胞を選択すること;
(f)前記ハイブリドーマからの免疫グロブリン遺伝子を哺乳動物発現細胞にクローン化して;
それにより、in vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞から高力価の高親和性抗体を産生する哺乳動物発現細胞を製造すること
を含んでなる、in vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞からの高力価の高親和性抗体を産生する哺乳動物発現細胞の製造方法。
【請求項42】
ミスマッチ修復遺伝子の前記ドミナントネガティブなアレルが、前記骨髄腫細胞および前記ハイブリドーマ細胞中で発現される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
ミスマッチ修復遺伝子の前記ドミナントネガティブなアレルが、前記融合後に前記ハイブリドーマ細胞に導入される、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記ミスマッチ修復遺伝子が、PMS2、PMS1、PMSR3、PMSR2、PMSR6、MLH1、GTBP、MSH3、MSH2、MLH3若しくはMSH1、およびPMSR遺伝子のホモログよりなる群から選択される、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
ミスマッチ修復遺伝子の前記ドミナントネガティブなアレルがPMS2遺伝子のドミナントネガティブなアレルを含んでなる、請求項41に記載の方法。
【請求項46】
前記高親和性抗体が、最低約1×10−1ないし約1×1014−1の親和性を有する、請求項41に記載の方法。
【請求項47】
請求項41に記載の方法により製造された哺乳動物発現細胞。
【請求項48】
請求項47に記載の哺乳動物発現細胞により産生された抗体。
【請求項49】
(a)免疫グロブリン産生細胞を含んでなるドナー細胞を免疫原性の抗原とin vitroで組み合わせること;
(b)前記免疫グロブリン産生細胞を骨髄腫細胞と融合してハイブリドーマ細胞を形成すること;
(c)前記ハイブリドーマ細胞から産生された抗体の抗原への結合についてのスクリーニングを実施すること;
(d)前記ハイブリドーマからの免疫グロブリン遺伝子を、ミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブなアレルを発現する親哺乳動物発現細胞にクローン化すること;
(e)突然変異誘発を見込んで前記親哺乳動物発現細胞をインキュベートしてそれにより超変異哺乳動物発現細胞を形成すること;
(f)前記ハイブリドーマ細胞から産生された抗体に比較して抗原に対しより高親和性をもつ抗体を分泌する超変異性哺乳動物発現細胞のスクリーニングを実施すること;および(g)親哺乳動物発現細胞よりも高力価の抗体を分泌する超変異性哺乳動物発現細胞のスクリーニングを実施して;
それにより、in vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞から高力価の高親和性抗体を産生する哺乳動物発現細胞を製造すること
を含んでなる、in vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞からの高力価の高親和性抗体を産生する哺乳動物発現細胞の製造方法。
【請求項50】
ミスマッチ修復遺伝子の前記ドミナントネガティブなアレルが、前記免疫グロブリン遺伝子の導入前に前記哺乳動物発現細胞に導入される、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
ミスマッチ修復遺伝子の前記ドミナントネガティブなアレルが、前記免疫グロブリン遺伝子の導入後に前記哺乳動物発現細胞に導入される、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
ミスマッチ修復遺伝子の前記ドミナントネガティブなアレルが、前記免疫グロブリン遺伝子と同時に前記哺乳動物発現細胞に導入される、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
前記ミスマッチ修復遺伝子が、PMS2、PMS1、PMSR3、PMSR2、PMSR6、MLH1、GTBP、MSH3、MSH2、MLH3若しくはMSH1、およびPMSR遺伝子のホモログよりなる群から選択される、請求項49に記載の方法。
【請求項54】
ミスマッチ修復遺伝子の前記ドミナントネガティブなアレルがPMS2遺伝子のドミナントネガティブなアレルを含んでなる、請求項49に記載の方法。
【請求項55】
前記高親和性抗体が、最低約1×10−1ないし約1×1014−1の親和性を有する、請求項49に記載の方法。
【請求項56】
前記抗体の前記より高力価が、前記親ハイブリドーマ細胞により生じられる力価より最低約1.5〜8倍より大きい、請求項49に記載の方法。
【請求項57】
請求項49に記載の方法により製造された哺乳動物発現細胞。
【請求項58】
請求項57に記載の哺乳動物発現細胞により産生された抗体。
【請求項59】
ドミナントネガティブなミスマッチ修復タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含んでなる組換えの超変異性哺乳動物発現細胞。
【請求項60】
前記ミスマッチ修復タンパク質が、PMS2、PMS1、PMSR3、PMSR2、PMSR6、MLH1、GTBP、MSH3、MSH2、MLH3若しくはMSH1、およ
びPMSR遺伝子のホモログよりなる群から選択される、請求項59に記載の組換えの超変異性哺乳動物発現細胞。
【請求項61】
ミスマッチ修復遺伝子の前記ドミナントネガティブなアレルがPMS2遺伝子のドミナントネガティブなアレルを含んでなる、請求項59に記載の組換えの超変異性哺乳動物発現細胞。
【請求項62】
(a)免疫グロブリン産生細胞を含んでなるドナー細胞を免疫原性の抗原とin vitroで組み合わせること;
(b)前記免疫グロブリン産生細胞を骨髄腫細胞と融合して親ハイブリドーマ細胞を形成すること;
(c)ミスマッチ修復の最低1種の化学的阻害剤の存在下で前記親ハイブリドーマ細胞をインキュベートして、それにより超変異ハイブリドーマ細胞を形成すること;
(d)前記超変異ハイブリドーマ細胞から産生された抗体について、抗原への抗体の結合についてのスクリーニングを実施すること;および
(e)前記親ハイブリドーマ細胞により産生された抗体よりも前記抗原に対するより大きな親和性をもつ抗体を産生する超変異ハイブリドーマ細胞を選択して;
それにより高親和性抗体を産生するハイブリドーマ細胞を製造すること
を含んでなる、in vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞からの高親和性抗体を産生するハイブリドーマ細胞の製造方法。
【請求項63】
ミスマッチ修復の前記化学的阻害剤が、アントラセン、ATPアーゼ阻害剤、ヌクレアーゼ阻害剤、RNA干渉分子、ポリメラーゼ阻害剤、およびミスマッチ修復タンパク質をコードするヌクレオチドに特異的にハイブリダイズするアンチセンスオリゴヌクレオチドよりなる群から選択される、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記阻害剤が、式:
【化1】

(式中、R−R10は独立に水素、ヒドロキシル、アミノ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、O−アルキル、S−アルキル、N−アルキル、O−アルケニル、S−アルケニル、N−アルケニル、O−アルキニル、S−アルキニル、N−アルキニル、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アラルキルオキシ、アリールアルキル、アルキルアリール、アルキルアリールオキシ、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、グアニジノ、カルボキシ、アルコール、アミノ酸、スルホネート、アルキルスルホネート、CN、NO、アルデヒド基、エステル、エーテル、クラウンエーテル、ケトン、有機イオウ化合物、有機金属基、カルボン酸、有機ケイ素、または場合によっては1個若しくはそれ以上のアルキル化ヒドロキシル基を含有する炭水化物であり;
ここで、前記ヘテロアルキル、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールは、酸素、イオウ、金属原子、リン、ケイ素若しくは窒素である最低1個のヘテロ原子を含有し;また、ここで、前記置換アルキル、置換アルケニル、置換アルキニル、置換アリールおよび置換ヘテロアリールの前記置換基は、ハロゲン、CN、NO、低級アルキル、アリール、ヘ
テロアリール、アラルキル、アラルコキシ、グアニジノ、アルコキシカルボニル、アルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシおよびアミノであり;ならびに
ここで、前記アミノ基は場合によっては1個のアシル基または1ないし3個のアリール若しくは低級アルキル基で置換されている)
を有するアントラセンである、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
−R10が独立に水素、ヒドロキシル、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、フェニル、トルイル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシプロピル若しくはヒドロキシブチルである、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記親ハイブリドーマより高力価の抗体もまた産生する超変異ハイブリドーマについてのスクリーニングをさらに含んでなる、請求項62に記載の方法。
【請求項67】
超変異後に前記増殖培地から前記化学的阻害剤を除去してそれにより前記超変異ハイブリドーマのゲノムを安定化する段階をさらに含んでなる、請求項62に記載の方法。
【請求項68】
超変異後に前記増殖培地から前記化学的阻害剤を除去してそれにより前記超変異ハイブリドーマのゲノムを安定化する段階をさらに含んでなる、請求項66に記載の方法。
【請求項69】
前記高親和性抗体が最低約1×10−1ないし約1×1014−1の親和性を有する、請求項62に記載の方法。
【請求項70】
前記抗体の前記より高力価が、前記親ハイブリドーマ細胞により生じられる力価より最低約1.5〜8倍より大きい、請求項66に記載の方法。
【請求項71】
請求項62、66、67若しくは68に記載の方法により製造されたハイブリドーマ細胞。
【請求項72】
請求項71に記載のハイブリドーマ細胞により産生された抗体。
【請求項73】
(a)免疫グロブリン産生細胞を含んでなるドナー細胞を免疫原性の抗原とin vitroで組み合わせること;
(b)前記免疫グロブリン産生細胞を骨髄腫細胞と融合して親ハイブリドーマ細胞を形成すること;
(c)ミスマッチ修復の最低1種の化学的阻害剤の存在下で前記親ハイブリドーマ細胞をインキュベートして、それにより超変異ハイブリドーマ細胞を形成すること;
(d)前記親ハイブリドーマ細胞により生じられる力価よりも高力価で産生された抗原特異的抗体についての前記超変異ハイブリドーマ細胞のスクリーニングを実施すること;および
(e)前記親ハイブリドーマ細胞により生じられる力価よりも高力価の抗体を産生する超変異ハイブリドーマ細胞を選択して;
それにより高力価の抗体を産生するハイブリドーマ細胞を製造すること
を含んでなる、in vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞からの高力価の抗体を産生するハイブリドーマ細胞の製造方法。
【請求項74】
前記化学的阻害剤が、アントラセン、ATPアーゼ阻害剤、ヌクレアーゼ阻害剤、RNA干渉分子、ポリメラーゼ阻害剤、およびミスマッチ修復タンパク質をコードするヌクレオチドに特異的にハイブリダイズするアンチセンスオリゴヌクレオチドよりなる群から選択される、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記阻害剤が、式:
【化2】

(式中、R−R10は独立に水素、ヒドロキシル、アミノ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、O−アルキル、S−アルキル、N−アルキル、O−アルケニル、S−アルケニル、N−アルケニル、O−アルキニル、S−アルキニル、N−アルキニル、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アラルキルオキシ、アリールアルキル、アルキルアリール、アルキルアリールオキシ、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、グアニジノ、カルボキシ、アルコール、アミノ酸、スルホネート、アルキルスルホネート、CN、NO、アルデヒド基、エステル、エーテル、クラウンエーテル、ケトン、有機イオウ化合物、有機金属基、カルボン酸、有機ケイ素、または場合によっては1個若しくはそれ以上のアルキル化ヒドロキシル基を含有する炭水化物であり;
ここで、前記ヘテロアルキル、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールは、酸素、イオウ、金属原子、リン、ケイ素若しくは窒素である最低1個のヘテロ原子を含有し;また、ここで、前記置換アルキル、置換アルケニル、置換アルキニル、置換アリールおよび置換ヘテロアリールの前記置換基は、ハロゲン、CN、NO、低級アルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アラルコキシ、グアニジノ、アルコキシカルボニル、アルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシおよびアミノであり;ならびに
ここで、前記アミノ基は場合によっては1個のアシル基または1ないし3個のアリール若しくは低級アルキル基で置換されている)
を有するアントラセンである、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
−R10が独立に水素、ヒドロキシル、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、フェニル、トルイル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシプロピル若しくはヒドロキシブチルである、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
超変異後に前記増殖培地から前記化学的阻害剤を除去してそれにより前記超変異ハイブリドーマのゲノムを安定化する段階をさらに含んでなる、請求項73に記載の方法。
【請求項78】
前記抗体の前記より高力価が、前記親ハイブリドーマ細胞により生じられる力価より最低約1.5〜8倍より大きい、請求項73に記載の方法。
【請求項79】
請求項73若しくは77に記載の方法により製造されたハイブリドーマ細胞。
【請求項80】
請求項79に記載のハイブリドーマにより産生された抗体。
【請求項81】
(a)免疫グロブリン産生細胞を含んでなるドナー細胞を免疫原性の抗原とin vitroで組み合わせること;
(b)前記免疫グロブリン産生細胞を骨髄腫細胞と融合してハイブリドーマ細胞を形成すること;
(c)前記ハイブリドーマ細胞から産生された抗体の抗原への結合についてのスクリーニングを実施すること;
(d)前記ハイブリドーマからの免疫グロブリン遺伝子を哺乳動物発現細胞にクローン化すること;
(e)ミスマッチ修復の最低1種の化学的阻害剤の存在下で前記哺乳動物発現細胞をインキュベートすること;
(f)前記ハイブリドーマ細胞から産生された抗体に比較して抗原に対してより高親和性をもつ抗体を分泌する哺乳動物発現細胞についてのスクリーニングを実施して;それによりin vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞から高力価の高親和性抗体を産生する哺乳動物発現細胞を製造すること
を含んでなる、in vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞からの高力価の高親和性抗体を産生する哺乳動物発現細胞の製造方法。
【請求項82】
ミスマッチ修復の前記化学的阻害剤が、アントラセン、ATPアーゼ阻害剤、ヌクレアーゼ阻害剤、RNA干渉分子、ポリメラーゼ阻害剤、およびミスマッチ修復タンパク質をコードするヌクレオチドに特異的にハイブリダイズするアンチセンスオリゴヌクレオチドよりなる群から選択される、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記阻害剤が、式:
【化3】

(式中、R−R10は独立に水素、ヒドロキシル、アミノ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、O−アルキル、S−アルキル、N−アルキル、O−アルケニル、S−アルケニル、N−アルケニル、O−アルキニル、S−アルキニル、N−アルキニル、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アラルキルオキシ、アリールアルキル、アルキルアリール、アルキルアリールオキシ、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、グアニジノ、カルボキシ、アルコール、アミノ酸、スルホネート、アルキルスルホネート、CN、NO、アルデヒド基、エステル、エーテル、クラウンエーテル、ケトン、有機イオウ化合物、有機金属基、カルボン酸、有機ケイ素、または場合によっては1個若しくはそれ以上のアルキル化ヒドロキシル基を含有する炭水化物であり;
ここで、前記ヘテロアルキル、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールは、酸素、イオウ、金属原子、リン、ケイ素若しくは窒素である最低1個のヘテロ原子を含有し;また、ここで、前記置換アルキル、置換アルケニル、置換アルキニル、置換アリールおよび置換ヘテロアリールの前記置換基は、ハロゲン、CN、NO、低級アルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アラルコキシ、グアニジノ、アルコキシカルボニル、アルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシおよびアミノであり;ならびに
ここで、前記アミノ基は場合によっては1個のアシル基または1ないし3個のアリール若しくは低級アルキル基で置換されている)
を有するアントラセンである、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
−R10が独立に水素、ヒドロキシル、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、フェニル、トルイル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシプロピル若しくはヒドロキシブチルである、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記超変異ハイブリドーマ細胞からの前記抗体の収集の前の前記親ハイブリドーマより高力価の抗体もまた産生する超変異ハイブリドーマについてのスクリーニングをさらに含んでなる、請求項81に記載の方法。
【請求項86】
前記高親和性抗体が最低約1×10−1ないし約1×1014−1の親和性を有する、請求項81に記載の方法。
【請求項87】
前記抗体の前記より高力価が、前記親ハイブリドーマ細胞により生じられる力価より最低約1.5〜8倍より大きい、請求項81に記載の方法。
【請求項88】
前記化学的阻害剤を除去してそれにより前記超変異哺乳動物発現細胞のゲノムを安定化することをさらに含んでなる、請求項81に記載の方法。
【請求項89】
請求項81、85若しくは88に記載の方法により製造された哺乳動物発現細胞。
【請求項90】
請求項89に記載の哺乳動物発現細胞により産生された抗体。
【請求項91】
(a)免疫グロブリン産生細胞を含んでなるドナー細胞を免疫原性の抗原とin vitroで組み合わせること;
(b)前記免疫グロブリン産生細胞を骨髄腫細胞と融合してハイブリドーマ細胞を形成すること;
(c)ミスマッチ修復の最低1種の化学的阻害剤の存在下で前記ハイブリドーマ細胞をインキュベートして超変異ハイブリドーマ細胞を形成すること;
(d)前記超変異ハイブリドーマ細胞から産生された抗体について、抗原の結合についてのスクリーニングを実施すること;
(e)前記親ハイブリドーマ細胞により産生された抗体よりも前記抗原に対するより大きい親和性をもつ抗体を産生する超変異ハイブリドーマ細胞を選択すること;
(f)前記超変異ハイブリドーマ細胞からの免疫グロブリン遺伝子を哺乳動物発現細胞にクローン化して、それにより親哺乳動物発現細胞を形成して;
それにより、in vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞から高力価の高親和性抗体を産生する哺乳動物発現細胞を製造すること
を含んでなる、in vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞からの選択された抗原に対する高力価の高親和性抗体を産生する哺乳動物発現細胞の製造方法。
【請求項92】
ミスマッチ修復の前記化学的阻害剤が、アントラセン、ATPアーゼ阻害剤、ヌクレアーゼ阻害剤、RNA干渉分子、ポリメラーゼ阻害剤、およびミスマッチ修復タンパク質をコードするヌクレオチドに特異的にハイブリダイズするアンチセンスオリゴヌクレオチドよりなる群から選択される、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記阻害剤が、式:
【化4】

(式中、R−R10は独立に水素、ヒドロキシル、アミノ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、O−アルキル、S−アルキ
ル、N−アルキル、O−アルケニル、S−アルケニル、N−アルケニル、O−アルキニル、S−アルキニル、N−アルキニル、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アラルキルオキシ、アリールアルキル、アルキルアリール、アルキルアリールオキシ、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、グアニジノ、カルボキシ、アルコール、アミノ酸、スルホネート、アルキルスルホネート、CN、NO、アルデヒド基、エステル、エーテル、クラウンエーテル、ケトン、有機イオウ化合物、有機金属基、カルボン酸、有機ケイ素、または場合によっては1個若しくはそれ以上のアルキル化ヒドロキシル基を含有する炭水化物であり;
ここで、前記ヘテロアルキル、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールは、酸素、イオウ、金属原子、リン、ケイ素若しくは窒素である最低1個のヘテロ原子を含有し;また、ここで、前記置換アルキル、置換アルケニル、置換アルキニル、置換アリールおよび置換ヘテロアリールの前記置換基は、ハロゲン、CN、NO、低級アルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アラルコキシ、グアニジノ、アルコキシカルボニル、アルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシおよびアミノであり;ならびに
ここで、前記アミノ基は場合によっては1個のアシル基または1ないし3個のアリール若しくは低級アルキル基で置換されている)
を有するアントラセンである、請求項91に記載の方法。
【請求項94】
−R10が独立に水素、ヒドロキシル、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、フェニル、トルイル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシプロピル若しくはヒドロキシブチルである、請求項92に記載の方法。
【請求項95】
前記高親和性抗体が最低約1×10−1ないし約1×1014−1の親和性を有する、請求項91に記載の方法。
【請求項96】
ミスマッチ修復の最低1種の化学的阻害剤の存在下で前記哺乳動物発現細胞をインキュベートして、それにより超変異哺乳動物発現細胞を形成する段階;および
前記親哺乳動物発現細胞よりも高力価の抗体を産生する超変異哺乳動物発現細胞についてスクリーニングする段階
をさらに含んでなる、請求項91に記載の方法。
【請求項97】
前記化学的阻害剤を除去してそれにより前記超変異ハイブリドーマ細胞のゲノムを安定化することをさらに含んでなる、請求項91に記載の方法。
【請求項98】
前記化学的阻害剤を除去してそれにより前記超変異哺乳動物発現細胞のゲノムを安定化することをさらに含んでなる、請求項96に記載の方法。
【請求項99】
前記抗体の前記より高力価が、前記親ハイブリドーマ細胞により生じられる力価より最低約1.5〜8倍より大きい、請求項96に記載の方法。
【請求項100】
請求項91、95、96若しくは97に記載の方法により製造された哺乳動物発現細胞。
【請求項101】
請求項100に記載の哺乳動物発現細胞により産生された抗体。
【請求項102】
(a)免疫グロブリン産生細胞を含んでなる、ミスマッチ修復が天然に欠損しているドナー由来であるドナー細胞を、免疫原性の抗原とin vitroで組み合わせること;(b)前記免疫グロブリン産生細胞を骨髄腫細胞と融合して、ミスマッチ修復が欠損している親ハイブリドーマ細胞を形成すること;
(c)突然変異誘発を見込んで前記親ハイブリドーマ細胞をインキュベートして、それにより超変異ハイブリドーマ細胞を形成すること;
(d)前記超変異ハイブリドーマ細胞から産生された抗体について、抗原への抗体の結合についてのスクリーニングを実施すること;
(e)前記親ハイブリドーマ細胞により産生された抗体よりも抗原に対する高められた親和性をもつ抗体を産生する超変異ハイブリドーマ細胞を選択すること;
(f)前記親ハイブリドーマ細胞に比較して増大された力価の抗体を産生する超変異ハイブリドーマ細胞についての第二のスクリーニングを実施すること;
(g)前記親ハイブリドーマ細胞により産生されるよりも高力価の抗体を産生する超変異ハイブリドーマ細胞を選択して;
それにより高力価の高親和性抗体を産生するハイブリドーマ細胞を製造すること
を含んでなる、in vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞からの高力価の高親和性抗体を産生するハイブリドーマ細胞の製造方法。
【請求項103】
ミスマッチ修復の野性型遺伝子を前記選択された超変異ハイブリドーマ細胞に導入してミスマッチ修復欠損を補完してそれにより前記選択された超変異ハイブリドーマ細胞のゲノムを再安定化する段階をさらに含んでなる、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
前記親ハイブリドーマ細胞を化学的突然変異原とともにインキュベートすることをさらに含んでなる、請求項102に記載の方法。
【請求項105】
請求項102、103若しくは104に記載の方法により製造されたハイブリドーマ細胞。
【請求項106】
請求項105に記載のハイブリドーマ細胞により産生された抗体。
【請求項107】
(a)免疫グロブリン産生細胞を含んでなるドナー細胞を免疫原性の抗原とin vitroで組み合わせること;
(b)前記免疫グロブリン産生細胞を、ミスマッチ修復が天然に欠損している骨髄腫細胞と融合して、それによりミスマッチ修復が欠損している親ハイブリドーマ細胞を形成すること;
(c)突然変異誘発を見込んで前記親ハイブリドーマ細胞をインキュベートしてそれにより超変異ハイブリドーマ細胞を形成すること;
(d)前記超変異ハイブリドーマ細胞から産生された抗体について、抗原への抗体の結合についてのスクリーニングを実施すること;
(e)前記親ハイブリドーマ細胞により産生された抗体よりも抗原に対する高められた親和性をもつ抗体を産生する超変異ハイブリドーマ細胞を選択すること;
(f)親ハイブリドーマ細胞に比較して増大された力価の抗体を産生する超変異ハイブリドーマ細胞についての第二のスクリーニングを実施すること;
(g)前記親ハイブリドーマ細胞により産生されるよりも高力価の抗体を産生する超変異ハイブリドーマ細胞を選択して;
それにより高力価の高親和性抗体を産生するハイブリドーマ細胞を製造すること
を含んでなる、in vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞からの高力価の高親和性抗体を産生するハイブリドーマ細胞の製造方法。
【請求項108】
ミスマッチ修復の野性型遺伝子を前記選択された超変異ハイブリドーマ細胞に導入してミスマッチ修復欠損を補完してそれにより前記選択された超変異ハイブリドーマ細胞のゲノムを再安定化することをさらに含んでなる、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
前記親ハイブリドーマ細胞を化学的突然変異原とともにインキュベートすることをさら
に含んでなる、請求項107に記載の方法。
【請求項110】
前記高親和性抗体が最低約1×10−1ないし約1×1014−1の親和性を有する、請求項107に記載の方法。
【請求項111】
前記抗体の前記より高力価が、前記親ハイブリドーマ細胞により生じられる力価より最低約1.5〜8倍より大きい、請求項107に記載の方法。
【請求項112】
請求項107、108若しくは109に記載の方法により製造されたハイブリドーマ細胞。
【請求項113】
請求項112に記載のハイブリドーマ細胞により産生された抗体。
【請求項114】
(a)免疫グロブリン産生細胞を含んでなる、ミスマッチ修復が天然に欠損しているドナー由来であるドナー細胞を、免疫原性の抗原とin vitroで組み合わせること;(b)免疫グロブリン産生細胞を骨髄腫細胞と融合して、ミスマッチ修復が欠損している親ハイブリドーマ細胞を形成すること;
(c)突然変異誘発を見込んで親ハイブリドーマ細胞をインキュベートしてそれにより超変異ハイブリドーマ細胞を形成すること;
(d)超変異ハイブリドーマ細胞から産生された抗体について、抗原への抗体の結合についてのスクリーニングを実施すること;
(e)親ハイブリドーマ細胞により産生された抗体よりも抗原に対する高められた親和性をもつ抗体を産生する超変異ハイブリドーマ細胞を選択すること;
(f)前記超変異ハイブリドーマからの免疫グロブリン遺伝子を哺乳動物発現細胞にクローン化して;
それによりin vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞から高力価で高力価の高親和性抗体を産生する哺乳動物発現細胞を製造すること
を含んでなる、in vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞からの高力価の高親和性抗体を産生する哺乳動物発現細胞の製造方法。
【請求項115】
前記高親和性抗体が、最低約1×10−1ないし約1×1014−1の親和性を有する、請求項114に記載の方法。
【請求項116】
前記抗体の前記より高力価が、前記親ハイブリドーマ細胞により生じられる力価より最低約1.5〜8倍より大きい、請求項114に記載の方法。
【請求項117】
ミスマッチ修復の最低1種の化学的阻害剤の存在下で哺乳動物発現細胞をインキュベートして、それにより超変異哺乳動物発現細胞を形成する段階;および
親哺乳動物発現細胞の産生量よりも高い抗体産生量について前記超変異哺乳動物発現細胞をスクリーニングする段階
をさらに含んでなる、請求項114に記載の方法。
【請求項118】
ミスマッチ修復の前記化学的阻害剤が、アントラセン、ATPアーゼ阻害剤、ヌクレアーゼ阻害剤、RNA干渉分子、ポリメラーゼ阻害剤、およびミスマッチ修復タンパク質をコードするヌクレオチドに特異的にハイブリダイズするアンチセンスオリゴヌクレオチドよりなる群から選択される、請求項117に記載の方法。
【請求項119】
前記阻害剤が、式:
【化5】

(式中、R−R10は独立に水素、ヒドロキシル、アミノ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、O−アルキル、S−アルキル、N−アルキル、O−アルケニル、S−アルケニル、N−アルケニル、O−アルキニル、S−アルキニル、N−アルキニル、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アラルキルオキシ、アリールアルキル、アルキルアリール、アルキルアリールオキシ、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、グアニジノ、カルボキシ、アルコール、アミノ酸、スルホネート、アルキルスルホネート、CN、NO、アルデヒド基、エステル、エーテル、クラウンエーテル、ケトン、有機イオウ化合物、有機金属基、カルボン酸、有機ケイ素、または場合によっては1個若しくはそれ以上のアルキル化ヒドロキシル基を含有する炭水化物であり;
ここで、前記ヘテロアルキル、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールは、酸素、イオウ、金属原子、リン、ケイ素若しくは窒素である最低1個のヘテロ原子を含有し;また、ここで、前記置換アルキル、置換アルケニル、置換アルキニル、置換アリールおよび置換ヘテロアリールの前記置換基は、ハロゲン、CN、NO、低級アルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アラルコキシ、グアニジノ、アルコキシカルボニル、アルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシおよびアミノであり;ならびに
ここで、前記アミノ基は場合によっては1個のアシル基または1ないし3個のアリール若しくは低級アルキル基で置換されている)
を有するアントラセンである、請求項117に記載の方法。
【請求項120】
−R10が独立に水素、ヒドロキシル、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、フェニル、トルイル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシプロピル若しくはヒドロキシブチルである、請求項119に記載の方法。
【請求項121】
ミスマッチ修復の前記化学的阻害剤を超可変哺乳動物発現細胞から除去してそれにより前記超変異哺乳動物発現細胞のゲノムを安定化する段階をさらに含んでなる、請求項117に記載の方法。
【請求項122】
請求項114、117、118若しくは121に記載の方法により製造された哺乳動物発現細胞。
【請求項123】
請求項122に記載の哺乳動物発現細胞により産生された抗体。
【請求項124】
(a)免疫グロブリン産生細胞を含んでなるドナー細胞を免疫原性の抗原とin vitroで組み合わせること;
(b)免疫グロブリン産生細胞を、ミスマッチ修復が天然に欠損している骨髄腫細胞と融合して、それによりミスマッチ修復が欠損している親ハイブリドーマ細胞を形成すること;
(c)突然変異誘発を見込んで親ハイブリドーマ細胞をインキュベートしてそれにより超変異ハイブリドーマ細胞を形成すること;
(d)超変異ハイブリドーマ細胞から産生された抗体について、抗原への抗体の結合についてのスクリーニングを実施すること;
(e)親ハイブリドーマ細胞により産生された抗体よりも抗原に対する高められた親和性をもつ抗体を産生する超変異ハイブリドーマ細胞を選択すること;および
(f)前記超変異ハイブリドーマ細胞からの免疫グロブリン遺伝子を哺乳動物発現細胞にクローン化して;
それによりin vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞から高力価の高親和性抗体を産生する哺乳動物発現細胞を製造すること
を含んでなる、in vitroで免疫した免疫グロブリン産生細胞からの高力価の高親和性抗体を産生する哺乳動物発現細胞の製造方法。
【請求項125】
前記高親和性抗体が、最低約1×10−1ないし約1×1014−1の親和性を有する、請求項124に記載の方法。
【請求項126】
前記抗体の前記より高力価が、前記親ハイブリドーマ細胞により生じられる力価より最低約1.5〜8倍より大きい、請求項124に記載の方法。
【請求項127】
ミスマッチ修復の最低1種の化学的阻害剤の存在下で哺乳動物発現細胞をインキュベートして、それにより超変異哺乳動物発現細胞を形成する段階;および
親哺乳動物発現細胞の産生量よりも高い抗体産生量について前記超変異哺乳動物発現細胞をスクリーニングする段階
をさらに含んでなる、請求項124に記載の方法。
【請求項128】
ミスマッチ修復の前記化学的阻害剤が、アントラセン、ATPアーゼ阻害剤、ヌクレアーゼ阻害剤、RNA干渉分子、ポリメラーゼ阻害剤、およびミスマッチ修復タンパク質をコードするヌクレオチドに特異的にハイブリダイズするアンチセンスオリゴヌクレオチドよりなる群から選択される、請求項127に記載の方法。
【請求項129】
前記阻害剤が、式:
【化6】

(式中、R−R10は独立に水素、ヒドロキシル、アミノ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、O−アルキル、S−アルキル、N−アルキル、O−アルケニル、S−アルケニル、N−アルケニル、O−アルキニル、S−アルキニル、N−アルキニル、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アラルキルオキシ、アリールアルキル、アルキルアリール、アルキルアリールオキシ、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、グアニジノ、カルボキシ、アルコール、アミノ酸、スルホネート、アルキルスルホネート、CN、NO、アルデヒド基、エステル、エーテル、クラウンエーテル、ケトン、有機イオウ化合物、有機金属基、カルボン酸、有機ケイ素、または場合によっては1個若しくはそれ以上のアルキル化ヒドロキシル基を含有する炭水化物であり;
ここで、前記ヘテロアルキル、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールは、酸素、イオウ、金属原子、リン、ケイ素若しくは窒素である最低1個のヘテロ原子を含有し;また、ここで、前記置換アルキル、置換アルケニル、置換アルキニル、置換アリールおよび置換ヘテロアリールの前記置換基は、ハロゲン、CN、NO、低級アルキル、アリール、ヘ
テロアリール、アラルキル、アラルコキシ、グアニジノ、アルコキシカルボニル、アルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシおよびアミノであり;ならびに
ここで、前記アミノ基は場合によっては1個のアシル基または1ないし3個のアリール若しくは低級アルキル基で置換されている)
を有するアントラセンである、請求項127に記載の方法。
【請求項130】
−R10が独立に水素、ヒドロキシル、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、フェニル、トルイル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシプロピル若しくはヒドロキシブチルである、請求項129に記載の方法。
【請求項131】
ミスマッチ修復の前記化学的阻害剤を超変異哺乳動物発現細胞から除去してそれにより前記超変異哺乳動物発現細胞のゲノムを安定化する段階をさらに含んでなる、請求項127に記載の方法。
【請求項132】
請求項124、127若しくは131に記載の方法により製造された哺乳動物発現細胞。
【請求項133】
請求項132に記載の哺乳動物発現細胞により産生された抗体。
【請求項134】
(a)ドナー細胞を動物から単離すること;
(b)前記細胞をL−ロイシル−L−ロイシンメチルエステル臭化水素酸塩で処理すること;
(c)前記ドナー細胞を、免疫原性の抗原とともにin vitroで5〜15%の血清および増殖を促進するサイトカインを補充した培地中、25〜37℃、5〜10%COで4日間インキュベートすること;
(d)前記細胞を培地で洗浄すること;ならびに
(e)前記細胞を、5〜15%の血清を補充した培地中で追加の8日培養して;
それにより抗原特異的免疫グロブリン産生細胞の産生を刺激すること
を含んでなる、抗原特異的免疫グロブリン産生細胞のin vitro製造方法。
【請求項135】
ミスマッチ修復の前記化学的阻害剤が、配列番号2;配列番号4;配列番号6;配列番号8;配列番号10;配列番号12;配列番号14;配列番号16;配列番号18;配列番号20;配列番号22;配列番号24;配列番号26;配列番号28;配列番号30;配列番号32;配列番号34;配列番号36;配列番号38;配列番号40;配列番号42;配列番号44;配列番号46;配列番号48;および配列番号50よりなる群から選択されるタンパク質をコードする配列の最低15の連続するヌクレオチドを含んでなるアンチセンス分子である、請求項62、73、81、91、117若しくは127に記載の方法。
【請求項136】
ミスマッチ修復の前記化学的阻害剤が、配列番号1;配列番号3;配列番号5;配列番号7;配列番号9;配列番号11;配列番号13;配列番号15;配列番号17;配列番号19;配列番号21;配列番号23;配列番号25;配列番号27;配列番号29;配列番号31;配列番号33;配列番号35;配列番号37;配列番号39;配列番号41;配列番号43;配列番号45;配列番号47;および配列番号49よりなる群から選択される配列の最低15の連続するヌクレオチドを含んでなるアンチセンス分子である、請求項62、73、81、91、117若しくは127に記載の方法。
【請求項137】
請求項9に記載の方法により製造された高親和性抗体を産生するハイブリドーマ細胞。
【請求項138】
請求項137に記載のハイブリドーマ細胞により産生された抗体。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A−D】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2006−526983(P2006−526983A)
【公表日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−570421(P2004−570421)
【出願日】平成15年11月14日(2003.11.14)
【国際出願番号】PCT/US2003/036702
【国際公開番号】WO2004/046330
【国際公開日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【出願人】(503166643)モーフオテク・インコーポレーテツド (4)
【Fターム(参考)】