説明

ping試験機、ping試験方法およびプログラム

【課題】保守員に煩雑な操作を強いることなく、ping試験を行うために必要となる試験用情報を保守員から受け付け、その試験用情報を用いてping試験を実行することが可能なping試験機を提供する。
【解決手段】ping試験機は、ping試験を行うために必要となる試験用情報の入力を促す入力用画面を表示する表示手段と、前記入力用画面に入力された試験用情報を受け付ける受付手段と、前記受付手段にて受け付けられた試験用情報を用いて、ping試験を行う実行手段と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ping(Packet INternet Groper)試験機、試験方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
保守業務でのping試験は、以下のように行われている。保守員が、ノートPC(Personal Computer)を試験現場まで持参し、ノートPCを試験対象機器に接続し、ノートPC上でコマンドプロンプトを開き、コマンドプロンプトにpingコマンドを入力して、ping試験を実施する。
【0003】
また、特許文献1には、ping試験を行うネットワーク機器が記載されている。このネットワーク機器は、自己の各ポートに接続された端末のIP(Internet Protocol)アドレスを自動的に学習する。このネットワーク機器は、そのIPアドレスを用いて、ping試験を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−22271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ping試験を行うためにノートPCが用いられた場合、保守員は、ノートPC上でコマンドプロンプトを開き、コマンドプロンプトにpingコマンドを入力するという煩雑な操作を行わなければならないという課題があった。
【0006】
一方、保守業務において、特許文献1に記載のネットワーク機器が使用された場合、以下のような課題が発生する。
【0007】
特許文献1に記載のネットワーク機器は、各ポートに接続された端末のIPアドレスを自動的に学習し、そのIPアドレスを用いて、ping試験を実行する。このため、このネットワーク機器は、各ポートに接続された端末のIPアドレスを学習できない場合、ping試験を行うために必要となる試験用情報を受け付けることができなくなり、よって、ping試験を実行できなくなってしまう。
【0008】
本発明の目的は、上述した課題を解決可能な、ping試験機、試験方法およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のping試験機は、送信先装置のIPアドレスを指定してping試験を行うping試験機であって、ping試験を行うために必要となる試験用情報の入力を促す入力用画面を表示する表示手段と、前記入力用画面に入力された試験用情報を受け付ける受付手段と、前記受付手段にて受け付けられた試験用情報を用いて、ping試験を行う実行手段と、を含む。
【0010】
本発明のping試験方法は、送信先装置のIPアドレスを指定してping試験を行うping試験機でのping試験方法であって、ping試験を行うために必要となる試験用情報の入力を促す入力用画面を表示手段に表示する表示ステップと、前記入力用画面に入力された試験用情報を受け付ける受付ステップと、前記試験用情報を用いてping試験を行う実行ステップと、を含む。
【0011】
本発明のプログラムは、コンピュータに、送信先装置のIPアドレスを指定してping試験を行うために必要となる試験用情報の入力を促す入力用画面を表示手段に表示する表示処理と、前記入力用画面に入力された試験用情報を受け付ける受付処理と、前記試験用情報を用いてping試験を行う実行処理と、を実行させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、保守員に煩雑な操作を強いることなく、ping試験を行うために必要となる試験用情報を保守員から受け付け、その試験用情報を用いてping試験を実行することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態のping試験機を示したブロック図である。
【図2】ping試験機1の外観を示した外観図である。
【図3】ping試験機1の接続の概要を示したブロック図である。
【図4】ping試験機1を用いた試験方法を説明するためのフローチャートである。
【図5】メニュー画面の一例を示した図である。
【図6】入力用画面の一例を示した図である。
【図7】ping試験の実行結果の表示例を示した図である。
【図8】ping試験の実行結果の表示例を示した図である。
【図9】セットアップ画面の一例を示した図である。
【図10】本発明の第2実施形態のping試験機1Aを示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0015】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態のping試験機1を示したブロック図である。図1において、ping試験機1は、表示部11と、キー入力部12と、実行部13と、を含む。
【0016】
実行部13は、表示制御部131と、LAN(Local Area Network)制御部132と、MAC(Media Access Control)アドレス格納部133と、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)格納部134と、ping試験用プログラム格納部135と、CPU(Central Processing Unit)136と、バス137と、を含む。なお、ping試験機1は、スピーカを備えてもよい。
【0017】
表示部11は、一般的に表示手段と呼ぶことができる。表示部11は、例えば、液晶表示部であり、ping試験を行うために必要となる試験用情報の入力を促す入力用画面を表示する。なお、試験用情報は、例えば、ping試験機1のIPアドレスおよび送信先装置のIPアドレスである。
【0018】
キー入力部12は、一般的に受付手段と呼ぶことができる。キー入力部12は、入力用画面に入力された試験用情報を受け付ける。
【0019】
実行部13は、一般的に実行手段と呼ぶことができる。実行部13は、キー入力部12にて受け付けられた試験用情報を用いてping試験を行う。
【0020】
表示制御部131は、表示部11が表示する画面を制御する。
【0021】
LAN制御部132は、pingパケットの入出力ポート(LANケーブル接続ポート)である。以下では、LAN制御部132は、LANケーブル接続ポート132とも称される。本実施形態では、LAN制御部132として、RJ45コネクタのUTP(Unshielded Twist Pair)ケーブル(全ピンストレート)を接続するポートが用いられる。
【0022】
MACアドレス格納部133は、ping試験機1のMACアドレス、および、送信先装置のMACアドレスを格納する。なお、送信先装置のMACアドレスは、例えば、送信先装置のIPアドレスとarp(アープ)コマンドとを用いることによって、CPU136が取得する。
【0023】
TCP/IP格納部134は、TCP/IPを格納する。
【0024】
ping試験用プログラム格納部135は、ping試験用プログラムを格納する。
【0025】
なお、MACアドレス格納部133とTCP/IP格納部134とping試験用プログラム格納部135は、コンピュータにて読み取り可能な記録媒体である。
【0026】
CPU136は、バス137を介して、キー入力部12、表示制御部131、LAN制御部132、MACアドレス格納部133、TCP/IP格納部134、および、ping試験用プログラム格納部135と接続されている。
【0027】
CPU136は、例えば、ping試験用プログラム格納部135内のping試験用プログラムを読み取り実行して、表示部11に、ping試験を行うために必要となる試験用情報の入力を促す入力用画面を表示する処理と、キー入力部12で、入力用画面に入力された試験用情報を受け付ける処理と、キー入力部12にて受け付けられた試験用情報を用いて、ping試験を行う処理と、を行う。
【0028】
本実施形態では、CPU136は、TCP/IP格納部134内のTCP/IPとping試験用プログラム格納部135内のping試験用プログラムとに従って、キー入力部12にて受け付けられた試験用情報とMACアドレス格納部133内のMACアドレスを用いて、ping試験を実行する。
【0029】
図2は、ping試験機1の外観を示した外観図である。図2において、図1に示したものと同一構成のものには同一符号を付してある。
【0030】
図2において、キー入力部12は、テンキー121と、MEキー122と、SEキー123と、STキー124と、SPキー125と、移動キー126と、ENTキー127と、POWキー128と、を含む。
【0031】
MEキー122は、メニュー画面を表示する旨の指示を受け付ける。メニュー画面は、画面のコントラストの調整用画面と、音量の調整用画面と、セルフテストの実施を受け付ける画面と、電池残量を表示する画面と、を含む。
【0032】
SEキー123は、セットアップ画面を表示する旨の指示を受け付ける。セットアップ画面は、自局IPアドレス、相手IPアドレス、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイ、および、DNS(Domain Name System)サーバのアドレスのそれぞれを表示および変更可能な画面である。
【0033】
STキー124は、pingテストを実行する旨の指示を受け付ける。SPキー125は、pingテストを停止する旨の指示を受け付ける。ENTキー127は、入力完了の指示を受け付ける。POWキー128は、電源キーである。
【0034】
図2に示したping試験機1のサイズは、例えば、縦60mm、横200mm、厚さ20mmである。なお、ping試験機1のサイズは、上記に限らず適宜変更可能である。
【0035】
図3は、ping試験機1の接続の概要を示したブロック図である。図3において、図1に示したものと同一構成のものには同一符号を付してある。
【0036】
図3において、ping試験機1のLANケーブル接続ポートに、UTPケーブル(LANケーブル)2の一端が接続される。UTPケーブル2の他端は、試験対象となるネットワーク端末3のLANポートに接続される。ネットワーク端末3は、インターネット等のネットワーク4を介して、センター試験PC5(送信先装置)と接続される。
【0037】
図4は、ping試験機1を用いた試験方法を説明するためのフローチャートである。以下、図4を参照して、ping試験機1を用いた試験方法を説明する。
POWキー128の操作に伴い電源が投入されると、CPU136は、表示部11にメニュー画面を表示する(ステップS1)。なお、メニュー画面は、MEキー122が操作された場合にも表示される。
【0038】
図5は、メニュー画面の一例を示した図である。メニュー画面では、液晶画面のコントラクションの調整、電子音量の調整、バッテリーの残存容量表示、セルフテスト機能、および、pingテスト開始(Ping TEST Start ENT key)のメニューが表示される。
【0039】
メニュー画面からpingテスト開始が選択されるように、保守員が移動キー126およびENTキー127を操作すると(ステップS2)、CPU136は、表示部11の表示画面を、ping試験を行うために必要となる試験用情報の入力を促す入力用画面に切り替える。
【0040】
図6は、入力用画面の一例を示した図である。入力用画面60は、自局IPアドレス(ping試験機1のIPアドレス)の入力を促す画面61と、相手側のIPアドレス(センター試験PC5のIPアドレス)の入力を促す画面62と、ping試験回数の入力を促す画面63と、ping試験の実行開始指示の入力を促す画面64と、を含む。
【0041】
続いて、CPU136は、画面61にカーソルを表示することによって、自局IPアドレスの入力待ち状態を表示する(ステップS3)。
【0042】
自局IPアドレスの入力待ち状態が表示されると、保守員は、画面61にping試験機1のIPアドレスが入力されるように、テンキー121および移動キー126を操作し、その後、ENTキー127を操作する(ステップS4)。
【0043】
なお、IPアドレス入力時の数字の間には、ピリオド「.」を入力されずに、次の数字が入力される。
【0044】
ping試験機1のIPアドレスが入力されて、ENTキー127が操作されると、CPU136は、ping試験機1のIPアドレスを自局IPアドレスとして保持する。このとき、CPU136は、ping試験機1のIPアドレスの数字の間にピリオド「.」を挿入する。
【0045】
続いて、CPU136は、画面62にカーソルを表示することによって、相手先IPアドレスの入力待ち状態を表示する(ステップS5)。
【0046】
相手先IPアドレスの入力待ち状態が表示されると、保守員は、画面62にセンター試験PC5のIPアドレスが入力されるように、テンキー121および移動キー126を操作し、その後、ENTキー127を操作する(ステップS6)。
【0047】
センター試験PC5のIPアドレスが入力されて、ENTキー127が操作されると、CPU136は、センター試験PC5のIPアドレスを、相手先IPアドレスとして保持する。このとき、CPU136は、センター試験PC5のIPアドレスの数字の間にピリオド「.」を挿入する。
【0048】
続いて、CPU136は、画面63にカーソルを表示することによって、ping試験回数の入力待ち状態を表示する(ステップS7)。
【0049】
ping試験回数の入力待ち状態が表示されると、保守員は、画面63にping試験回数が入力されるように、テンキー121および移動キー126を操作し、その後、ENTキー127を操作する(ステップS8)。
【0050】
ping試験回数が入力されて、ENTキー127が操作されると、CPU136は、入力されたping試験回数を保持する。続いて、CPU136は、画面64にカーソルを表示することによって、ping実行開始待ち状態を表示する(ステップS9)。
【0051】
ping実行開始待ち状態が表示されると、保守員は、STキー124を操作する。
【0052】
ping実行開始待ち状態が表示されている状況で、STキー124が操作されると、CPU136は、「ping」の後に「−n」と「ping試験回数」と「センター試験PC5のIPアドレス」が記載されたpingコマンドを作成する。
【0053】
CPU136は、このpingコマンドに従ってpingパケットを生成し、そのpingパケットをイーサネット・フレームに入れて送り出す。なお、pingコマンドに従ってpingパケットを生成し、pingパケットをイーサネット・フレームに入れて送り出す処理は、公知技術であるため詳細な説明は省略する。
【0054】
図7および8は、ping試験の実行結果の表示例を示した図である。なお、図7と図8との表示の切り替えは、移動キー126の操作に基づいて行われる。
【0055】
図9は、SEキー123の操作に応じて表示されるセットアップ画面の一例を示した図である。保守員は、セットアップ画面を用いて、現在の設定値の詳細を確認できる。
【0056】
本実施形態によれば、表示部11は、ping試験を行うために必要となる試験用情報の入力を促す入力用画面を表示する。キー入力部12は、入力用画面に入力された試験用情報を受け付ける。実行部13は、キー入力部12にて受け付けられた試験用情報を用いて、ping試験を行う。
【0057】
このため、保守員に、ノートPC上でコマンドプロンプトを開き、コマンドプロンプトにpingコマンドを入力するという煩雑な操作を強いることなく、操作方法が簡潔となり、試験用情報を保守員から受け付け、その試験用情報を用いてping試験を実行することが可能になる。
【0058】
また、ping試験機1は、様々な通信試験のうちping試験に必要な機能のみを有しているので、低コスト化を実現することが可能になり、小型化および軽量化が可能となり、持ち運び、携帯が容易となる。また、電池を電源として利用できるので、AC電源を不要にできる。
【0059】
(第2実施形態)
図10は、本発明の第2実施形態のping試験機1Aを示したブロック図である。図10において、図1に示したものと同一構成のものには同一符号を付してある。
【0060】
第2実施形態のping試験機1Aは、書き込み部138が追加された点が、第1実施形態のping試験機1と異なる。以下、ping試験機1Aについて、ping試験機1と異なる点を中心に説明する。
【0061】
書き込み部138は、一般的に書き込み手段と呼ぶことができる。書き込み部138は、例えば、外部記録媒体6、例えば、外付けのUSB(Universal Serial Bus)メモリーに、実行部13にて行われたping試験の結果を書き込む。
【0062】
なお、本実施形態では、CPU136は、ping試験用プログラム格納部135内のping試験用プログラムを読み取り実行して、さらに、書き込み部138を用いて、ping試験の結果を外部記録媒体6に書き込む処理を行う。
【0063】
この場合、ping試験の結果を、容易に外部記録媒体に書き込むことが可能になる。
【0064】
以上説明した各実施形態において、図示した構成は単なる一例であって、本発明はその構成に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0065】
1 ping試験機
11 表示部
12 キー入力部
13 実行部
131 表示制御部
132 LAN制御部
133 MACアドレス格納部
134 TCP/IP格納部
135 ping試験用プログラム格納部135
136 CPU
137 バス
138 書き込み部
2 UTPケーブル
3 ネットワーク端末
4 ネットワーク
5 センター試験PC
6 外部記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信先装置のIPアドレスを指定してping試験を行うping試験機であって、
ping試験を行うために必要となる試験用情報の入力を促す入力用画面を表示する表示手段と、
前記入力用画面に入力された試験用情報を受け付ける受付手段と、
前記受付手段にて受け付けられた試験用情報を用いて、ping試験を行う実行手段と、を含むping試験機。
【請求項2】
請求項1に記載のping試験機において、
前記試験用情報は、前記ping試験機のIPアドレスおよび送信先装置のIPアドレスである、ping試験機。
【請求項3】
請求項1または2に記載のping試験機において、
前記実行手段にて行われたping試験の結果を、外部記録媒体に書き込む書き込み手段を、さらに含むping試験機。
【請求項4】
送信先装置のIPアドレスを指定してping試験を行うping試験機でのping試験方法であって、
ping試験を行うために必要となる試験用情報の入力を促す入力用画面を表示手段に表示する表示ステップと、
前記入力用画面に入力された試験用情報を受け付ける受付ステップと、
前記試験用情報を用いてping試験を行う実行ステップと、を含むping試験方法。
【請求項5】
請求項4に記載のping試験方法において、
前記試験用情報は、前記ping試験機のIPアドレスおよび送信先装置のIPアドレスである、ping試験方法。
【請求項6】
請求項4または5に記載のping試験方法において、
前記ping試験の結果を、外部記録媒体に書き込む書き込みステップを、さらに含むping試験方法。
【請求項7】
コンピュータに、
送信先装置のIPアドレスを指定してping試験を行うために必要となる試験用情報の入力を促す入力用画面を表示手段に表示する表示処理と、
前記入力用画面に入力された試験用情報を受け付ける受付処理と、
前記試験用情報を用いてping試験を行う実行処理と、を実行させるためのプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のプログラムにおいて、
前記試験用情報は、前記ping試験機のIPアドレスおよび送信先装置のIPアドレスである、プログラム。
【請求項9】
請求項7または8に記載のプログラムにおいて、
前記コンピュータに、前記ping試験の結果を外部記録媒体に書き込む書き込み処理をさらに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−263467(P2010−263467A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−113432(P2009−113432)
【出願日】平成21年5月8日(2009.5.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】