説明

ラベル付きタイヤ

【課題】硬化されたタイヤサイドウォール面に貼られた印を備えるタイヤで、かつ印コーティング材料が良好な付着および耐久性を実現する。
【解決手段】空気入りタイヤ10は、タイヤ10の外側サイドウォール14から延びる複数のひげ状部54に固定されたラベル16を有する。ひげ状部はT字形であってもよい。ラベル16は着色されていてもよい。ラベル16はポリ塩化ビニルで形成されていてもよい。ラベル16は、サイドウォール14のひげ状部と相互連結される複数のT字形のひげ状部を有していてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概してゴム製品に関し、特にタイヤに関する。本出願は、2011年11月21日に出願された米国特許仮出願第61/561987号の利益を主張し、参照によって米国特許仮出願第61/561987号を組み込むものである。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤは多くの場合、一般にタイヤのサイドウォール上に配されたラベルとして知られる印のマーキングを有することが望ましい。このタイヤラベルは通常、商標または他のマーキングのような情報を含む。これらの印は通常、タイヤ成形プロセス中にゴムサイドウォールに直接形成される。したがって、印は、隆起したレタリングまたは他の形状であってよく、白い顔料または他の着色剤によってこのゴム化合物に着色されてもよい。現在の傾向では、ラベルはタイヤサイドウォールに成形される。ラベルは、ブラックタイヤサイドウォールで形作られ、成形された様々なパターンのリッジが使用されているので目に見える。文字または他の印は通常、異なる角度またはパターンのリッジを有し、したがって、消費者はそのラベルを読むことができる。たとえば特許文献1を参照されたい。
【0003】
レタリング、ロゴ、デカールまたはバーコードのような他の種類のアップリケをサイドウォール上に有するタイヤもかなり普及している。従来技術では、タイヤが硬化された後にタイヤサイドウォールにステッカーまたはデカールを貼ることが公知である。しかし、タイヤサイドウォールが繰り返し周期的に変形するため、デカールは一般に、付着が不適切になることによって剥がれ落ちる。また、タイヤが縁石または他の表面に接触した場合、デカールがこすり落とされるかまたは削り取られる。
【0004】
公知のサイドウォール装飾構造を、従来のブラックウォールタイヤ上に塗布されるアップリケで置き換えることも提案されている。しかし、タイヤのサイドウォール上への塗装模様が、この問題に対する満足行く解決策であることは証明されていない。これは主として、塗布される模様がかなり薄く、サイドウォールが繰り返し撓むことによって損傷を受けるためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願第5645661号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、硬化されたタイヤサイドウォール面に貼られた印を備えるタイヤで、かつ印コーティング材料が良好な付着および耐久性を実現することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、タイヤのサイドウォール上に隆起した印を備え、当該隆起した印が硬化可能なエラストマ組成の重ね合わせられた複数の層を有する、空気入りタイヤを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】ラベルの一例を示すタイヤのサイドウォールの部分斜視図である。
【図2A】タイヤモールドのサイドウォール形成部に取り付けられたタイヤラベルモールドを示すタイヤモールドの部分断面図である。
【図2B】タイヤモールドのサイドウォール形成部に取り付けられたタイヤラベルモールドを示すタイヤモールドの概略図である。
【図3】タイヤラベルモールドの正面図である。
【図4】図3の矢印4−4の方向におけるタイヤラベルモールドの断面図である。
【図5】図2Bの矢印5−5の方向におけるタイヤラベルモールドの断面図である。
【図6】ラベル領域における成形されたひげ状部を示す硬化済みのタイヤサイドウォールの部分図である。
【図7】ラベル領域における成形されたひげ状部上に取り付けられたラベルを示す硬化済みのタイヤサイドウォールの部分図である。
【図8】成形されたひげ状部の様々な形状を示す図である。
【図9】タイヤラベルおよびタイヤサイドウォールの第2の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、空気入りタイヤ用のラベルに関する。空気入りタイヤは、乗用車用タイヤ、小型トラック用タイヤ、中型トラック用タイヤ、または大型トラック用タイヤ、不整地用タイヤ、農業機械用タイヤ、採鉱トラック用タイヤ、航空機用タイヤ、オートバイ用タイヤのような任意の車両用タイヤを含んでもよい。車両用タイヤは、自転車用タイヤまたは玩具用タイヤであってもよい。代替実施形態では、ラベルは、ドアマット、自動車用マット、および他のゴム製品などであるがそれらに限られないゴム製品に使用されてもよい。
【0010】
図1は、タイヤトレッド12およびタイヤサイドウォール14を有するタイヤ10の部分を示している。タイヤ10は、サイドウォール14上に取り付けられたタイヤラベル16をさらに有している。タイヤラベル16は英数字を有してもよく、ラベルの形状は、レタリング、商標図形、またはロゴのような任意の所望のサイズ、形状、または色であってもよい。印は、ホワイトサイドウォールのような、1つまたは複数のサイドウォールストライプの形状またはパターンであってもよい。芸術的デザイン、記号、花、点、互いに平行および/若しくは傾斜した短いストライプまたは細切れのマーク、またはタイヤのユーザによって望まれるような任意の他の形状のような装飾マーキングも印とみなされる。ラベルのサイズは任意の所望のサイズであってよく、タイヤのサイドウォールの表面全体を含んでもよい。
【0011】
図2Aは、グリーンタイヤを成形するのに使用される代表的なモールド20を示している。モールド組立体20は通常、複数のセグメント22を備える。複数のセグメント22は、各セグメント22が共に組み立てられたときにグリーンタイヤのトレッドを囲む環状のリングを形成するように配置される。タイヤの外側トレッド面は、各セグメント22の内側成形面24によって形成される。内側成形面24は、トレッドパターンをグリーンタイヤに成形するための複数のランドおよびグルーブを有する。モールドセグメント22は、グリーンタイヤの周りにモールドを組み立てて分解するのを可能にするように半径方向に移動可能であってもよい。
【0012】
モールド組立体10は、タイヤ10の各サイドウォール14を成形するためのサイドウォールプレート26をさらに有している。サイドウォールプレート26は、タイヤサイドウォール14を成形するための内側モールド面28,28’を有しており、タイヤトレッド12からサイドウォール14に至る平滑な連続面を形成するために各セグメント22に隣接している。サイドウォールプレート26は、以下に詳しく説明するようにラベルモールド50を受け取るための内側キャビティ30をさらに備える。
【0013】
ラベルモールド50は、タイヤ10のサイドウォール14上に第1の表面層52を成形する。第1の表面層52は、この例では、タイヤサイドウォール14の表面からわずかにくぼんでいるように示されている。隆起した任意のリム53が、第1の表面層52を囲み、ラベル領域55を形成している。ラベル領域55は、第1の表面層52から延びる複数のひげ状部54をさらに含んでいる。複数のひげ状部(whisker)54は、グリーンタイヤの加硫時にサイドウォール面上のラベル領域55に意図的に形成される。これらのゴム製のひげ状部54は所望のパターンに形成されている。図6に示されている例では、ひげ状部54は、ラベル領域55全体にわたって均等な間隔を置いて配置されている。ひげ状部54は、図6または図8(a)〜(c)に示されているような任意の所望の形状であってもよい。ひげ状部54は、図8Cに示されているようにT字形構成を有することが好ましい。
【0014】
ラベルモールド50は、第1の表面層52と、ひげ状部54と、隆起した任意のリム53とを含むラベル領域55を形成している。ラベルモールド50は、図3〜5に示されており、グリーンタイヤの外側サイドウォール面に隣接して配置される外側面60を有している。外側面60は、タイヤ10上にくぼんだラベル領域52を形成する隆起部分62をさらに有している。隆起部分62は、グリーンタイヤ上に隆起したリム53を形成する任意の溝66によって囲まれている。隆起部分62は、ラベルモールド50の内部に掘り下げられ、横断溝70に連結された複数の穴68をさらに有している。複数の穴68は、タイヤが硬化される間にタイヤサイドウォール14の第1の表面層52上にひげ状部54を形成する。各穴68は、タイヤが硬化されるときに閉じ込められたガスがモールド50から逃げるのを可能にする通気口として働く。生ゴムが穴68に流入してひげ状部54を形成する。
【0015】
図6は、タイヤモールド20内で硬化されたタイヤサイドウォールの部分を示している。タイヤサイドウォール14は、タイヤサイドウォール14に成形されたくぼんだ第1の表面層52を有し、複数のひげ状部54が第1の表面層52から延びている。隆起したリム53がひげ状部54および第1の表面層52を囲んでいる。図8A〜図8Cは、使用してもよい様々なひげ状部の形状を示している。図7は、ひげ状部54に固定された装飾ラベル90を示している。装飾ラベル90は、ゴム接着剤を使用して硬化後にひげ状部54に固定される。
【0016】
装飾ラベル90は、可撓性ポリ塩化ビニル層(PVC)などのポリマーで形成された外側可視層を有してもよい。外側可視層はゴムまたは織物の裏当てに結合される。織物またはゴムの裏当ては、適切な接着剤を使用して硬化後にひげ状部54に固定される。適切な接着剤には、シアノアクリレート接着剤、ウレタン、エポキシ、ポリビニルアルコール、アクリル、メタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリエステルなどから形成されるかまたはそれらをベースとする接着剤が含まれる。
【0017】
図9は、本発明の第2の実施形態を示している。タイヤサイドウォールは、貼り付けられるべきラベルと同じ形状のフットプリントに形成された互いに近接して配置された複数のひげ状部100を含む成形部分を有している。複数のひげ状部100は、T字形であることが好ましい。ラベル90は、ラベル90をタイヤサイドウォールに取り外し可能に固定するようにタイヤサイドウォール上のひげ状部100と絡み合う複数のT字形のひげ状部110を有することが好ましい。接着剤を使用してラベルひげ状部110をタイヤサイドウォールひげ状部100に永久的に固定してもよい。
【0018】
本発明の例示的な上記の実施形態およびそれらの実施形態を実施する方法について例示し説明したが、本発明が特許請求の範囲内において様々な他の形態で具現化し実施することができることが認識されよう。
【符号の説明】
【0019】
10 タイヤ
12 タイヤトレッド
14 タイヤサイドウォール
16 ライヤラベル
20 モールド
22 セグメント
24 内側成形面
26 サイドウォールプレート
28,28’ 内側モールド面
50 ラベルモールド
52 第1の表面層
53 隆起したリム
54 ひげ状部
55 ラベル領域
60 外側面
62 隆起部分
66 溝
68 穴
70 横断溝
90 装飾ラベル
100 ひげ状部
110 ひげ状部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッドと、
所定のパターンで形成された複数のひげ状部、および接着剤によって前記複数のひげ状部に固定されたラベルを有するサイドウォールと、を備えたことを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記ラベルはポリ塩化ビニルで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記ラベルは着色されていることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記複数のひげ状部はT字形状であることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記ラベルは、前記サイドウォールの前記ひげ状部と相互連結される複数のT字形のひげ状部を有することを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項6】
タイヤの前記サイドウォールはT字形のひげ状部を有することを特徴とする請求項5に記載の空気入りタイヤ。
【請求項7】
所定のパターンで形成された複数のひげ状部と、接着剤によって前記ひげ状部に固定されたラベルとを有する第1の表面を含むことを特徴とするゴム製品。
【請求項8】
前記ラベルはポリ塩化ビニルで形成されていることを特徴とする請求項7に記載のゴム製品。
【請求項9】
前記ラベルは着色されていることを特徴とする請求項7に記載のゴム製品。
【請求項10】
前記ひげ状部はT字形であることを特徴とする請求項7に記載のゴム製品。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−107634(P2013−107634A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−251950(P2012−251950)
【出願日】平成24年11月16日(2012.11.16)
【出願人】(590002976)ザ・グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニー (256)
【氏名又は名称原語表記】THE GOODYEAR TIRE & RUBBER COMPANY
【住所又は居所原語表記】1144 East Market Street,Akron,Ohio 44316−0001,U.S.A.