説明

インジケータを有するデバイス取り外しシステム

【課題】インジケータを有するデバイス取り外しシステムを提供すること。
【解決手段】患者の脈管構造内の医療インプラントの配置のための医療デバイス取り外しシステムであって、該システムは、細長い送達部材の近位端と、該送達部材内でスライド可能に配置された細長いコア部材の近位端とを受容するように構成されたハウジングと、該ハウジング内に配置された把持機構と、該入力信号を受信し、該コア部材の該近位端を把持するための該把持機構の移動を可能にするように構成されたユーザ入力機構と、該ハウジング内の所定の位置における該コア部材の該近位端の配置を確認する出力信号を提供するように構成された第1センサと、該送達部材に対する該把持機構の近接を示す出力信号を提供するように構成された第2センサと、第1センサおよび第2センサに接続されたインジケータとを含む、システム。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(背景)
身体内の管腔は、サイズ、形状、および/または開通性において変化し得、そのような変化は、合併症を呈し得るか、または関連する身体機能に影響を与え得る。例えば、脈管構造の壁(特に、動脈壁)は、動脈瘤と称される病理的拡張を発生し得る。動脈瘤は、動脈の壁の膨張として観察される。これは、管壁が病気、怪我または先天性異常によって弱められた結果である。動脈瘤は、薄く弱い壁を有し、破裂する傾向を有し、しばしば、高血圧によって引き起こされるか、または高血圧によって悪化させられる。動脈瘤は、身体の様々な部分において見出され得、最も一般的には、腹部大動脈瘤(AAA)であり、脳または大脳の動脈瘤である。動脈瘤が存在するだけでは常に生命を脅かすとは限らないが、動脈瘤は、動脈瘤の1つが脳内で破裂した場合には、脳卒中等の深刻な健康上の影響を有し得る。さらに、破裂した動脈瘤は、死亡にもつながり得る。
【0002】
図1は、特定の脈管構造と、従来技術にしたがう、大脳の動脈瘤を処置するための塞栓コイルの導入のために大腿動脈中に導入されるカテーテルとを示す、ヒトの断面100を図示している。
【0003】
動脈瘤を処置する際の1つのアプローチは、閉塞コイルと、血管の所望の位置にコイルを配置するための送達システムとを利用する。図2A〜図2Cは、プッシャ204のユーザによる動脈瘤2中への塞栓コイル202の導入を示す脈管構造1の一部分の断面図200A〜200Cを例証している。
【0004】
図2A〜図2Cに示されているように、塞栓コイル202は、一旦配備されると、動脈瘤2内で閉塞コイル構造206を形成する(図2B〜図2Cを参照)。1つ以上の塞栓コイル202が、コイル構造206を形成するために用いられ得る。手順が完了すると、図2Cに示されているように、動脈瘤2は、効果的に充填され、増加した血液が脈管構造1の下流の枝に流れることを可能にする。
【0005】
そのような塞栓コイルは、典型的には、カテーテルおよびプッシャを用いて脈管構造内の所望の部位に配置されてきた。第1ステップとして、ガイドワイヤの使用を介して、またはカテーテルの遠位端に配置されたバルーン等のフロー配向手段によって、可撓性の小さな直径のカテーテルが標的部位にガイドされ得る。一旦標的部位に到達すると、カテーテル管腔は、(ガイドワイヤが用いられている場合には)ガイドワイヤを除去することにより、クリアにされ、コイルが、カテーテルの近位開口端部に配置され、プッシャを用いてカテーテルを介して前進させられる。プッシャは、コイルと係合するように適合された遠位端であって、かつ、そのプッシャがカテーテルを介して前進させられる際にカテーテル管腔を介してコイルをプッシュするように適合された遠位端を有する、本質的に特殊化されたワイヤである。コイルがカテーテルの遠位端に到達すると、コイルは、カテーテルからプッシャによって脈管部位中に放出される。
【0006】
血管内のコイルのより精密な配置を可能にするために、いくつかの技術が開発されてきた。1つの技術において、コイルは、金属間接合を介して、プッシャの遠位端に結合される。プッシャおよびコイルは、異なる金属から構成される。コイル搬送プッシャは、カテーテルを介して部位まで前進させられ、微小電流がプッシャコイルアセンブリを介して通過させられる。電流は、プッシャとコイルとの間の接合部を電気分解を介して切除させる。その後、プッシャは、取り外されたコイルを血管内の正確な位置に残して、後退させられ得る。コイルの電気分解的解放は、金属間接合が溶解するために時間を必要とするので、プッシャからのコイルの取り外しが、それほど迅速に起こり得ないということが認識されている。
【0007】
別のワイヤコイルおよび送達アセンブリは、放熱可能な接着剤結合によって、プローブアセンブリのコネクタに取り付けられる塞栓コイルを含む。塞栓コイルを解放するために、コネクタおよび接着剤結合を加熱するために、レーザエネルギーがプローブを介して伝送される。しかしながら、レーザエネルギーを生成するために必要とされるレーザ装置は、製造して、臨床医に利用可能なものとするためには、比較的高価な解決策である。
【0008】
なおもさらなるワイヤコイルおよび送達デバイスは、ステンレス鋼のガイドワイヤに取り付けられたプラチナのガイドワイヤ先端部を含む。プラチナのガイドワイヤ先端部を解放するために、血流内のガイドワイヤを腐食させ、プラチナのガイドワイヤ先端部を解放するために、正電流がステンレス鋼のガイドワイヤに適用される。このガイドワイヤ先端部を取り外すための方法は、比較的時間集約的であり、動脈瘤塞栓手順の持続時間を長期化させ得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
(概要)
本明細書中に記載されているのは、取り外しシステムを有する医療デバイス送達システムの実施形態であり、取り外しシステムは、医療デバイス送達システムから医療デバイスを取り外し、医療デバイス送達システムからの医療デバイスの取り外しを確認するために十分な条件が生じたというインジケーションを提供する。
【0010】
いくつかの実施形態にしたがうと、患者の脈管構造内の医療インプラントの配置のための医療デバイス取り外しシステムが記載されている。いくつかの実施形態において、システムは、細長い送達部材の近位端と、送達部材内にスライド可能に配置された細長いコア部材の近位端とを受容するように構成されたハウジングと、ハウジング内に配置され、入力信号を受信したことに応答して、コア部材の一部分を把持するように構成された把持機構と、入力信号を受信し、コア部材の近位端を把持するための把持機構の移動を可能にするように構成されたユーザ入力機構と、ハウジング内の所定の位置におけるコア部材の近位端の配置を確認する出力信号を提供するように構成された第1センサと、送達部材に対する把持機構の近接を示す出力信号を提供するように構成された第2センサと、第1近接センサおよび第2近接センサに接続されたインジケータであって、第1センサおよび第2センサから1つ以上の出力信号を受信し、1つ以上の出力信号が第1近接センサまたは第2近接センサから受信されたときに、対応するインジケーション信号をユーザに提供するように構成されたインジケータとを含む。
【0011】
いくつかの実施形態は、把持機構が、ハウジング内の第1位置からハウジング内の第2位置まで移動可能であり、第2センサが、把持機構が第2位置にあるときを検出するように構成されていることを定めている。いくつかの実施形態において、把持機構は、ツメおよびアンビルを含む。いくつかの実施形態において、ユーザ入力機構は、スライドを含む。
【0012】
いくつかの実施形態において、インジケータは、発光ダイオード(LED)を含み、いくつかの実施形態において、LEDは、複数のLEDを含む。いくつかの実施形態は、インジケータが、2つの光学的フィルタを含み、各光学的フィルタが、異なる波長帯域を通過させるように構成されていることを定めている。
【0013】
いくつかの実施形態において、第1センサは、マイクロスイッチを含み、このマイクロスイッチは、特定の実施形態においては、リーフスプリングマイクロスイッチを含み得る。いくつかの実施形態において、第2センサは、マイクロスイッチを含み、このマイクロスイッチは、ヒンジマイクロスイッチを含み得る。いくつかの実施形態において、第1センサは、容量性センサを含む。いくつかの実施形態は、第2センサが、容量性センサを含むことを定めている。いくつかの実施形態において、第1センサおよび/または第2センサは、RFセンサを含む。いくつかの実施形態において、第1センサおよび/または第2センサは、音響センサを含む。特定の実施形態において、第1センサおよび/または第2センサは、光学的検出器を含む。
【0014】
いくつかの実施形態において、インジケータは、スピーカを含み、いくつかの実施形態において、インジケータは、振動生成器を含む。特定の実施形態において、インジケータは、ハウジングの表面上に配置されたボタンを含む。
【0015】
いくつかの実施形態は、システムが、近位端および遠位端を有する送達部材と、送達部材内に配置され、近位端および遠位端を有する細長いコア部材とをさらに含むことを定めており、いくつかの実施形態において、システムは、コア部材の遠位端に解放可能に取り付けられた塞栓コイル構造をさらに含む。
【0016】
本明細書中に提供されるいくつかの方法は、医療デバイス送達手順を実行することを記載しており、これには、患者の脈管構造に対して、(i)近位端および遠位端を有する細長い送達部材と、(ii)送達部材内に配置され、近位端および遠位端を有する細長いコア部材と、(iii)コア部材の遠位端に解放可能に接続された医療デバイスとを提供することと、インジケータを有する医療デバイス取り外しシステムに対して、送達部材の近位端と、コア部材の近位端とを提供することであって、インジケータは、(i)システム内でのコア部材の近位端の所定の位置と、(ii)コア部材からの医療デバイスの取り外しのための送達部材に対するコア部材の近位端の所定の移動とを示す、ことと、医療デバイス取り外しシステム内での所望の位置にコア部材の近位端を着座させることと、コア部材の近位端が所定の位置にあることをユーザに示すことと、コア部材の遠位端から医療デバイスを取り外すために、医療デバイス取り外しシステムを用いて、送達部材の近位端に対して所定の距離だけコア部材の近位端を移動させることと、所定の移動が行われたことをユーザに示すこととを含む。
【0017】
いくつかの方法は、送達部材の近位端に対して所定の距離だけコア部材の近位端を移動させることが、把持デバイスを用いてコア部材の近位端を把持することと、医療デバイス取り外しシステム内で近位にコア部材の近位端を引っ張ることとを含むことを定めている。いくつかの方法において、送達部材の近位端に対して所定の距離だけコア部材の近位端を移動させることは、ユーザ入力に応答して、把持機構に接続されたスライドを移動させることを含む。特定の方法において、コア部材が所定の位置にあることをユーザに示すことは、把持デバイスに隣接するセンサに接続された発光ダイオードから光を生成することを含む。いくつかの例において、所定の移動が行われたことをユーザに示すことは、医療デバイス取り外しシステム内のフィードコアに対するスライドの位置に隣接するセンサに接続された発光ダイオードから光を生成することを含む。
【0018】
いくつかの方法においては、医療デバイスを患者の脈管構造内の所定の位置に配置することをさらに含む。いくつかの方法において、所定の距離は、コア部材の遠位端からの医療デバイスの取り外しをもたらすために十分な距離である。特定の方法において、医療デバイスは、塞栓コイルを含む。
【0019】
本願技術は、例えば、以下に議論される様々な局面にしたがって例証される。本願技術の局面の様々な例は、便宜上、番号付けされた項(1、2、3等)として記載される。これらは、例として提供されるものであり、本願技術を限定するものではない。従属項のうちの任意のものが、任意の組み合わせで組み合わされたり、それぞれの独立項(例えば、項1または項55)に配置されたりし得ることに留意されたい。その他の項は、同様の態様で提示され得る。
(項1)
患者の脈管構造内の医療インプラントの配置のための医療デバイス取り外しシステムであって、
該システムは、
細長い送達部材の近位端と、該送達部材内でスライド可能に配置された細長いコア部材の近位端とを受容するように構成されたハウジングと、
該ハウジング内に配置され、入力信号を受信したことに応答して、該コア部材の一部分を把持するように構成された把持機構と、
該入力信号を受信し、該コア部材の該近位端を把持するための該把持機構の移動を可能にするように構成されたユーザ入力機構と、
該ハウジング内の所定の位置における該コア部材の該近位端の配置を確認する出力信号を提供するように構成された第1センサと、
該送達部材に対する該把持機構の近接を示す出力信号を提供するように構成された第2センサと、
第1近接センサおよび第2近接センサに接続されたインジケータであって、該第1センサおよび該第2センサから1つ以上の出力信号を受信し、1つ以上の出力信号が該第1近接センサまたは該第2近接センサから受信されたときに、対応するインジケーション信号をユーザに提供するように構成されたインジケータと
を含む、システム。
(項2)
上記把持機構は、上記ハウジング内の第1位置から上記ハウジング内の第2位置まで移動可能であり、上記第2センサは、該把持機構が該第2位置にあるときを検出するように構成されている、上記項のいずれかに記載のシステム。
(項3)
上記把持機構は、ツメおよびアンビルを含む、上記項のいずれかに記載のシステム。
(項4)
上記ユーザ入力機構は、スライドを含む、上記項のいずれかに記載のシステム。
(項5)
上記インジケータは、発光ダイオード(LED)を含む、上記項のいずれかに記載のシステム。
(項6)
上記LEDは、複数のLEDを含む、上記項のいずれかに記載のシステム。
(項7)
上記インジケータは、2つの光学的フィルタを含み、各光学的フィルタは、異なる波長帯域を通過させるように構成されている、上記項のいずれかに記載のシステム。
(項8)
上記第1センサは、マイクロスイッチを含む、上記項のいずれかに記載のシステム。
(項9)
上記マイクロスイッチは、リーフスプリングマイクロスイッチを含む、上記項のいずれかに記載のシステム。
(項10)
上記第2センサは、マイクロスイッチを含む、上記項のいずれかに記載のシステム。
(項11)
上記マイクロスイッチは、ヒンジマイクロスイッチを含む、上記項のいずれかに記載のシステム。
(項12)
上記第1センサは、容量性センサを含む、上記項のいずれかに記載のシステム。
(項13)
上記第2センサは、容量性センサを含む、上記項のいずれかに記載のシステム。
(項14)
上記第1センサは、RFセンサを含む、上記項のいずれかに記載のシステム。
(項15)
上記第2センサは、RFセンサを含む、上記項のいずれかに記載のシステム。
(項16)
上記第1センサは、音響センサを含む、上記項のいずれかに記載のシステム。
(項17)
上記第2センサは、音響センサを含む、上記項のいずれかに記載のシステム。
(項18)
上記第1センサは、光学的検出器を含む、上記項のいずれかに記載のシステム。
(項19)
上記第2センサは、光学的検出器を含む、上記項のいずれかに記載のシステム。
(項20)
上記インジケータは、スピーカを含む、上記項のいずれかに記載のシステム。
(項21)
上記インジケータは、振動生成器を含む、上記項のいずれかに記載のシステム。
(項22)
上記インジケータは、上記ハウジングの表面上に配置されたボタンを含む、上記項のいずれかに記載のシステム。
(項23)
近位端および遠位端を有する送達部材と、該送達部材内に配置され、近位端および遠位端を有する細長いコア部材とをさらに含む、上記項のいずれかに記載のシステム。
(項24)
上記コア部材の上記遠位端に解放可能に取り付けられた塞栓コイル構造をさらに含む、上記項のいずれかに記載のシステム。
(項25)
医療デバイス送達手順を実行するための方法であって、
該方法は、
患者の脈管構造に対して、
(i)近位端および遠位端を有する細長い送達部材と、
(ii)該送達部材内に配置され、近位端および遠位端を有する細長いコア部材と、
(iii)該コア部材の該遠位端に解放可能に接続された医療デバイスと
を提供することと、
インジケータを有する医療デバイス取り外しシステムに対して、該送達部材の該近位端と、該コア部材の該近位端とを提供することであって、該インジケータは、
(i)該システム内での該コア部材の該近位端の所定の位置と、
(ii)該コア部材からの該医療デバイスの取り外しのための該送達部材に対する該コア部材の該近位端の所定の移動と
を示す、ことと、
該医療デバイス取り外しシステム内での所望の位置に該コア部材の該近位端を着座させることと、
該コア部材の該近位端が該所定の位置にあることをユーザに示すことと、
該コア部材の該遠位端から該医療デバイスを取り外すために、該医療デバイス取り外しシステムを用いて、該送達部材の該近位端に対して所定の距離だけ該コア部材の該近位端を移動させることと、
該所定の移動が行われたことをユーザに示すことと
を含む、方法。
(項26)
上記送達部材の上記近位端に対して所定の距離だけ上記コア部材の上記近位端を移動させることは、把持デバイスを用いて該コア部材の該近位端を把持することと、上記医療デバイス取り外しシステム内で近位に該コア部材の該近位端を引っ張ることとを含む、上記項のいずれかに記載の方法。
(項27)
上記送達部材の上記近位端に対して所定の距離だけ上記コア部材の上記近位端を移動させることは、ユーザ入力に応答して、上記把持デバイスに接続されたスライドを移動させることを含む、上記項のいずれかに記載の方法。
(項28)
上記コア部材が上記所定の位置にあることをユーザに示すことは、上記把持デバイスに隣接するセンサに接続された発光ダイオードから光を生成することを含む、上記項のいずれかに記載の方法。
(項29)
上記所定の移動が行われたことをユーザに示すことは、上記医療デバイス取り外しシステム内のフィードコーンに対する上記スライドの位置に隣接するセンサに接続された発光ダイオードから光を生成することを含む、上記項のいずれかに記載の方法。
(項30)
上記医療デバイスを患者の上記脈管構造内の所定の位置に配置することをさらに含む、上記項のいずれかに記載の方法。
(項31)
上記所定の距離は、上記コア部材の上記遠位端からの上記医療デバイスの取り外しをもたらすために十分な距離である、上記項のいずれかに記載の方法。
(項32)
上記医療デバイスは、塞栓コイルを含む、上記項のいずれかに記載の方法。
【0020】
本発明は、さらに、以下の手段を提供する。
(項目1)
患者の脈管構造内の医療インプラントの配置のための医療デバイス取り外しシステムであって、
該システムは、
細長い送達部材の近位端と、該送達部材内でスライド可能に配置された細長いコア部材の近位端とを受容するように構成されたハウジングと、
該ハウジング内に配置され、入力信号を受信したことに応答して、該コア部材の一部分を把持するように構成された把持機構と、
該入力信号を受信し、該コア部材の該近位端を把持するための該把持機構の移動を可能にするように構成されたユーザ入力機構と、
該ハウジング内の所定の位置における該コア部材の該近位端の配置を確認する出力信号を提供するように構成された第1センサと、
該送達部材に対する該把持機構の近接を示す出力信号を提供するように構成された第2センサと、
該第1センサおよび該第2センサに接続されたインジケータであって、該第1センサおよび該第2センサから1つ以上の出力信号を受信し、1つ以上の出力信号が該第1センサまたは第2センサから受信されたときに、対応するインジケーションをユーザに提供するように構成されたインジケータと
を含む、システム。
(項目2)
上記把持機構は、上記ハウジング内の第1位置から上記ハウジング内の第2位置まで移動可能であり、上記第2センサは、該把持機構が該第2位置にあるときを検出するように構成されている、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目3)
上記把持機構は、ツメおよびアンビルを含む、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目4)
上記ユーザ入力機構は、スライドを含む、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目5)
上記インジケータは、スピーカ、振動生成器、上記ハウジングの表面上に配置されたボタン、または少なくとも1つの発光ダイオード(LED)を含む、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目6)
上記インジケータは、少なくとも1つのLEDおよび2つの光学的フィルタを含み、各光学的フィルタは、異なる波長帯域を通過させるように構成されている、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目7)
上記第1センサまたは上記第2センサのうちの少なくとも1つは、マイクロスイッチを含む、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目8)
上記第1センサは、リーフスプリングマイクロスイッチを含む、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目9)
上記第2センサは、ヒンジマイクロスイッチを含む、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目10)
上記第1センサまたは上記第2センサのうちの少なくとも1つは、容量性センサを含む、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目11)
上記第1センサまたは上記第2センサのうちの少なくとも1つは、RFセンサを含む、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目12)
上記第1センサまたは上記第2センサのうちの少なくとも1つは、音響センサを含む、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目13)
上記第1センサまたは上記第2センサのうちの少なくとも1つは、光学的検出器を含む、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目14)
近位端および遠位端を有する送達部材と、該送達部材内に配置され、近位端および遠位端を有する細長いコア部材とをさらに含む、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目15)
上記コア部材の上記遠位端に解放可能に取り付けられた塞栓コイル構造をさらに含む、上記項目のいずれかに記載のシステム。
【0021】
(摘要)
医療デバイス取り外しシステムは、管腔および細長いコア部材を有する細長い送達部材を受容する。システムは、ハウジングと、送達部材の遠位端から塞栓コイル等の医療デバイスの取り外しをもたらすためのユーザ入力を受信するためのユーザ入力機構と、コア部材の近位端を把持し、送達部材の近位端に対してコア部材の近位端を移動させるための把持機構とを含む。システムはまた、ハウジング内のコア部材の近位端の配置を検出する第1センサと、把持機構の移動を検出する第2センサとを含む。インジケータが近第1近接センサおよび第2近接センサに接続され、ユーザに対してフィードバックを提供する。
本開示のこれらならびにその他の構成要素、ステップ、特徴、利益、および利点は、図面および特許請求の範囲とあわせて、例証的な実施形態の以下の詳細な説明を検討することにより、明らかになり得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図面は、例証的な実施形態を開示している。これらの図面は、全ての実施形態を示すものではない。その他の実施形態が、付加的または代替的に用いられ得る。明白または不要であり得る詳細は、スペースを節約するために、またはより効果的な例証のために、省略され得る。逆に、いくつかの実施形態は、開示されている詳細の全てを伴わずとも、実践され得る。異なる図面中に同一の数字が出現するとき、その数字は、同一または同様の構成要素またはステップを参照している。
【0023】
開示の局面は、添付図面と一緒に読まれたときに、以下の記載からより完全に理解され得る。添付図面は、例証的な性質のものとして見做されるべきであり、限定的な性質のものとして見做されるべきではない。図面は、必ずしも縮尺どおりではなく、その代りに、開示の原理に強調がされている。
【図1】図1は、特定の脈管構造と、従来技術にしたがう、大脳の動脈瘤を処置するための塞栓コイルの導入のために代替動脈中に導入されるカテーテルとを示す、ヒトの断面図を図示している。
【図2】図2A〜図2Cは、従来技術にしたがう、動脈瘤中の塞栓コイルの導入を例証している。
【図3】図3A〜図3Cは、細長いコア部材および塞栓コイルとともに利用されるコイル取り外しシステムの実施形態を例証しており、コイルに対する取り付け状態(B)および取り外し状態(C)の拡大図を含んでいる。
【図4】図4は、本開示にしたがう、インジケータを有するコイル取り外しシステムの例を例証している。
【図5】図5は、本開示にしたがう、コイル取り外しシステムの断面図を例証している。
【図6】図6A〜図6Cは、本開示にしたがう、コイル取り外しシステムの例示的実施形態のためのツメおよびアンビルに関連するサムスライドの動作を例証している。
【図7】図7は、本開示にしたがう、インジケータを有するコイル取り外しシステムの例示的実施形態の斜視分解図を図示している。
【図8】図8は、本開示にしたがう、スライドスイッチサブアセンブリの形態のユーザ入力機構の例を例証する図(A)〜(F)を含んでいる。
【図9】図9は、本開示にしたがう、コイル取り外しシステムのためのマイクロスイッチを有するツメおよびアンビルの形態の把持機構の斜視図を図示している。
【図10】図10は、本開示にしたがう、コイル取り外しシステムのスライドおよび解放マイクロスイッチの斜視図を図示している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
特定の実施形態が、図面に示されているが、当業者であれば、図示されている実施形態が例証的なものであり、これらの図面が示している変形ならびに本明細書中に記載されているその他の実施形態が、本開示の権利範囲内で構想され得、実践され得るということを理解し得る。
【0025】
(例証的な実施形態の詳細な説明)
ここでは、例証的な実施形態が議論される。その他の実施形態が、付加的または代替的に用いられ得る。明白または不要であり得る詳細は、スペースを節約するために、またはより効果的な提示のために、省略され得る。逆に、いくつかの実施形態は、開示されている詳細の全てを伴わずとも、実践され得る。
【0026】
患者の脈管構造内の所望の位置に医療デバイスを配置/挿入/埋め込みするための医療デバイス取り外しシステムは、プッシャカテーテルと、有色発光ダイオード等のフィードバックインジケータを有するハウジングとを用いる。プッシャカテーテルは、管腔および細長いコア部材を有する細長い送達部材であり得る。インジケータは、ハウジング内でのコア部材の近位端の適切な着座と、コア部材および/または送達部材の遠位端からの医療デバイスの取り外しを示し得る。医療デバイス取り外しシステムは、ユーザから入力信号を受信し、医療デバイスの解放を開始させるためのユーザ入力機構と、コア部材の近位端を保持し、コア部材のまわりに配置された細長い送達部材の近位端に対してコア部材の近位端を変位させるための把持機構とを含む。
【0027】
以下の記載においては、医療デバイス取り外しシステムの例示的な実施形態は、コイル取り外しシステムとして言及される。しかしながら、本開示の権利範囲は、コイルとの使用に限定されるものではなく、任意のその他の医療デバイスが、本開示にしたがうシステムおよび/または方法により、その他の脈管構造またはその他の管腔身体構造を含む患者内に配置され得る。本明細書中に記載されている実施形態は、これらの特定の用途のうちの1つ以上に関連する本開示の原理を議論しているが、これらの特定の用途は、その他の用途、デバイス、および手順とともに用いられ得る開示の一般的原理を例証するために提供されている。埋め込まれ得る医療デバイスの例は、塞栓コイル、ステント等を含むが、これらに限定されるものではない。
【0028】
図3A〜図3Cは、本開示にしたがう、インジケータ330を有するコイル取り外しシステム300の例を図示している。図3Aは、ハウジング302を有するコイル取り外しシステム300の部分断面を示しており、ハウジングは、細長い送達部材304の近位端と、細長いコア部材305の近位端とを受容し、細長い送達部材は、管腔を有し、かつ、プッシャまたはプッシャチューブとも称され得、細長いコア部材の遠位端は、塞栓コイル308に接続されている。送達部材304およびコア部材305の拡大図が、図3Bおよび図3Cに示されており、それぞれ、塞栓コイル308に対する取り付け状態および取り外し状態を示している。
【0029】
コイル取り外しシステム300は、送達部材304およびコア部材305を、コイル取り外しシステム300に対する両者の近位端において受容し、コイル308が各々の遠位端に位置するように構成されている。コイル取り外しシステム300は、ユーザ入力機構303を含み、このユーザ入力機構は、ユーザから入力信号を受信し、入力信号をコイル取り外しシステム300の把持機構(例えば、図5の把持機構509)に中継する。ユーザ入力機構303は、送達部材304の近位端に対してコア部材305の近位端を変位させるように、把持機構(図示されていない)をトリガすることにより、ユーザがコア部材305の遠位端におけるコイル308の取り外しを引き起こすことを可能にするように機能する。図3A〜図3Cに示されているように、コイル取り外しシステム300は、送達部材304およびコア部材305を有するより大きなシステムを形成し得、これらは全て一緒になって、塞栓コイル308および/またはその他の医療デバイスを有する、さらにより大きなシステムを形成し得る。
【0030】
ユーザ入力機構303に関して、ユーザ供給入力信号が、送達部材304の近位端に対するコア部材305の近位端の変位を開始させ、塞栓コイル308の取り外しをもたらすことを可能にする、任意の適切な機構が用いられ得る。このようにして、臨床医等であるユーザは、動脈瘤を処置するために、コイルが患者の脈管構造内の所望の位置に配置されたとき等の所望の時間において、コイル308の取り外しを引き起こすことができる。本明細書中に記載されている例示的な実施形態は、有用なユーザ入力機構303としてサムスライドを含み得るが、本開示の権利範囲は、そのようなものに限定されるものではなく、その他のタイプおよび/または形式のユーザ入力機構が、用いられ得る。例は、機械的スイッチ、電気機械的スイッチ、磁気的スイッチ、電磁気的スイッチ、および/またはこれらの組み合わせを含み得るが、これらには限定されない。ユーザ入力機構303は、送達部材304の近位端に対するコア部材305の近位端の変位を開始させるための任意の適切なタイプの信号を生成し得る。そのような信号は、機械的信号、電気的信号、磁気的信号、光学的信号、RF信号、または任意のその他のタイプの信号であり得、アナログ信号またはデジタル信号であり得る。ユーザ入力信号は、任意の適切なユーザ入力様式によって、例えば、ボタン、容量性タッチセンサ、キーボード、可動スライド等によって、開始され得る。
【0031】
図3Bに示されているように、塞栓コイル308は、コア部材307の遠位端および送達部材307の遠位端に対して解放可能に保持される。そのような解放可能接続は、示されているように、リンク315の端部におけるボール端部312によって達成され得、このリンクは、コイル308内で構成されて、例えばポリプロピレンまたはその他の適切な材料から構成された非伸縮性リンク313によって、端部キャップ310に接続される。例えば、図3Aにおけるスライドが矢印によって示されている方向に移動させられたときのように、ユーザ入力機構303がユーザによって活性化されたとき、コア部材304の遠位端311は、ボール端部312から離れるように移動させられ、図3Cに示されているように塞栓コイル308を解放する。このようにして、コイル308は、送達部材307およびコア部材304の遠位端から取り外される。
【0032】
図4は、本開示にしたがう、塞栓コイルまたはステント等の塞栓コイル構造を配置する際に用いるためのインジケータを有するコイル取り外しシステム400の例を例証している。コイル取り外しシステム400は、管腔を有する細長い送達部材と、患者の脈管構造内の所望の位置に塞栓コイルをプッシュするために用いられるもの等の細長いコア部材(図示されていない)とを受容するように構成された、フィードコーン(feed cone)404を有するハウジング402を含む。送達部材およびコア部材の各々は、コイル取り外しシステムに対する近位端および遠位端を有し、患者内の動脈瘤の処置のために、各々の遠位端は、通常は、患者の脈管構造に対して提供され得る。例えばユーザ活性スライドスイッチの形式のユーザ入力機構406が、送達部材の近位端に対してコア部材の近位端を移動させるために、提供される。コア部材の近位端がハウジング402内に適切に着座しているとき、および/またはコイル(図示されていない)がコア部材から取り外されるときを示し、これにより、臨床医またはその他の医療従事者等であるユーザに対してフィードバックを提供するために、インジケータ408が提供されている。
【0033】
図5は、図4のシステム400に類似したコイル取り外しシステム500の断面図を例証している。コイル取り外しシステム500は、ハウジング502の端部キャップ505に位置するフィードコーン504を有するハウジング502を含む。フィードコーン504は、送達部材および細長いコア部材(図示されていない)を受容するように構成されている。フィードコーンは、フィードコーンショルダー507を有し、フィードコーンショルダーは、送達部材を着座させ、コア部材の近位端の一部分を(開口部によって)通過させるように構成されている。コイル取り外しシステム500は、ユーザからユーザ入力信号を受信し、入力信号を把持機構509に中継するユーザ入力機構508(例えば、ツメ510およびアンビル512アセンブリ等)をハウジング502内に含んでいる。ツメ510は、示されているように、ピン511のまわりで回転するように構成され得る。コア部材の近位端の着座のために、把持機構509は、フィードコーンショルダー507からコア部材の近位端の一部分を受容する。把持機構509は、例えば図6A〜図6Cについて、以下にさらに詳細に記載されているように、ユーザがユーザ入力機構508を活性化したときに、送達部材の近位端に対してコア部材の近位端を変位させるために、コア部材の近位端を保持するように構成されている。送達部材の近位端に対するコア部材の近位端の変位は、コア部材の遠位端および送達部材の遠位端における、塞栓コイル等の医療デバイスの取り外しをもたらすために十分な運動を提供する。
【0034】
引き続き図5を参照すると、ハウジング502内でのコア部材の近位端の完了した着座を検出するために、第1近接センサ(例えば、スイッチ)506が、システム500内に提供されている。近接センサ506は、図面の左下に示されている把持機構509の詳細な拡大図において示されているように、可動アーム506aを含み得る。コア部材の近位端が完全に着座させられたとき、近接センサ506は、例えば、図5に示されている実施形態においては青色である第1色の光を放出するものであり得る、LEDアセンブリ等の第1インジケータ516を活性化し得る。近接センサ506は、可撓性回路522によって、インジケータ516に接続され得る。例示的な実施形態において、第1インジケータ516は、活性化されたときに各LEDが異なる色の光出力をユーザに対して生成する、複数のLEDおよび/またはフィルタを有するLEDアセンブリを含み得る。第1インジケータ516は、ハウジング502内でのコア部材の完了した着座を示し、コア部材がコイル取り外しのために変位させられる準備ができていることを示すために、ユーザに対して、アクティブフィードバックを提供する。
【0035】
図5においてはスイッチとして示されている第2近接センサ514は、例えばユーザによるスライド508の移動等のユーザ供給入力信号に応答して、コア部材の近位端が、送達部材の着座近位端に対して所定の距離だけ移動したときを示し、これにより、コア部材の遠位端からのコイルの取り外しを示すために、提供されている。示されているように、第2近接センサ514は、可動アーム514aを含み得る。第2近接センサ514は、第2インジケータ516を活性化し得、第2インジケータは、例えばこの実施形態においては緑色である第2色の光を放出し得る、LEDアセンブリとしても示されている。第2色(例えば、緑色)は、コア部材の遠位端からの塞栓コイルの取り外しを確認する。解放スペーサ524が、ユーザ入力機構508を第2近接センサ514から所定の距離に配置するために提供され得る。
【0036】
例示的な実施形態において、RS Componentsによって市販されているOmron製の検出スイッチ、例えば、リーフスプリングまたはヒンジ構成の単極単投ノーマルクローズスイッチ(SPST−NC)または単極単投ノーマルオープンスイッチ(SPST−NO)等が、例えば、第1近接センサ506および第2近接センサ514に対して用いられ得る。そのようなスイッチは、ほぼ3.0×3.4×0.9mm(W×D×H)であり、本明細書中に開示されているようなコイル取り外しシステム内に適切にフィットされ得る。第1近接センサ506として用いるために、そのようなスイッチは、コア部材の近位端によって接触されたときに、スイッチ506が適切な着座のためにコア部材の通過を可能にするように、可動部分(可動アーム506a)を提供するように構成され得る。そのような構成は、図5の左下の拡大図に示されている。当然ながら、電気機械的スイッチが、第1近接センサ506および第2近接センサ514のために用いられ得るが、その他のタイプの近接センサが、本開示の権利範囲内で用いられ得る。例は、RF近接センサまたは容量性近接センサ、光学的検出器、音響検出器等を含むが、これらに限定されるものではない。光学的検出器が利用されるとき、任意の適切な光学的波長(例えば、赤外線、可視、および/または紫外線)が利用され得、受動的検出器(光源を伴わずに用いられる)および検出器に加えて対応するソースを伴う能動検出器が、用いられ得る。検出器は、光学的放射の所望の波長を検出するために適切な材料(例えば、半導体合金)とともに選択される。
【0037】
例示的な実施形態において、把持機構509は、ユーザの動作によって解放されるまでコア部材の近位端を保持するためのツメ510およびアンビル512アセンブリを含む。その他の実施形態においては、異なるタイプの把持機構509が用いられ得る。例えば、コア部材の近位端を受容し、ハウジング内の一対のブロック間のクランプ力を活性化させるために、感圧スイッチが用いられ得る。そして、ユーザの入力信号(例えば、スライドの移動)は、送達部材の近位端に対してコア部材の近位端を変位させ得る。
【0038】
各々が異なる主要ピーク波長(色)を有する複数のLEDを有するLEDアセンブリが、インジケータとして用いられ得るが、その他のタイプのインジケータも用いられ得る。例は、スピーカ等の音響エミッタ、ボタンまたは振動生成器等の触覚/接触インジケータ等を含むが、これらに限定されるものではない。さらに、光学的インジケータが用いられる実施形態に対して、光源(例えば、白色発光LED)が、所望の色の光を提供するために、様々なフィルタとともに用いられ得る。例示的な実施形態においては、Philips Lumileds Lighting Companyによって市販されているLUXEON(登録商標) Rebel LEDが、インジケータに対する光源として1つ以上の適切なフィルタとともに用いられ得る。
【0039】
図6A〜図6Cは、インジケータを有するコイル取り外しシステム600の実施形態を図示しており、コイル取り外しのための、ツメおよびアンビルの形式の把持機構と関連する、サムスライドの形式のユーザ入力機構の動作を例証している。コイル取り外しシステム600は、ハウジング602と、ユーザ入力機構(例えば、スライド603)と、フィードコーン604とを含み、フィードコーンは、患者の脈管構造内に塞栓コイル構造を配置するために用いられるもの等の細長いコイル部材2とともに細長い送達部材1を受容するように、端部キャップ605内に構成されている。ハウジング602は、任意の適切な材料から構成され得る。例は、プラスチック、金属(例えば、6000シリーズのアルミニウム)、または複合体(例えば、カーボンファイバー強化プラスチック)を含むが、これらに限定されるものではない。
【0040】
端部キャップ605は、端部キャップショルダー606を含み、端部キャプショルダーは、フィードコーン604の1つの端部において、送達部材1の近位端の移動を停止し、その一方で、コア部材1の近位端のさらなる移動を可能にするように、構成されている。スライド603は、スライドサブアセンブリ(例えば、図8の800)の一部分であり得、スライドサブアセンブリは、例えばツメ608およびアンビル610等の把持機構ならびに第1近接センサ612を含み、これらは全て、スライド603に適用される力に応答して、ハウジング602内で移動する。例証されている実施形態において、把持機構あるいはツメ608およびアンビル610は、スライド603が例えば臨床医等であるユーザによって移動させられたときに、コア部材2の近位端を保持し得る。ツメ608は、ピン609によってスライドサブアセンブリに回転可能に搭載される。1つ以上のインジケータ616が、ユーザに対してフィードバックを提供するために、提供される。第1近接センサ(例えば、リーフスプリング電気機械的スイッチ)612は、ハウジング602内の完全に着座した位置または十分に着座した位置における、コア部材2の存在を検出し得る。スライドサブアセンブリは、スライド603がフィードコーン604から離れてスライド603’によって示されている位置に移動させられたときに、ハウジング602内に位置する第2近接センサまたはセンサ618と接触させられるように構成された部分614を含む。例示的な実施形態において、ハウジング602は、第1近接センサ612および第2近接センサ618ならびにインジケータ616に対して用いられる電力のための適切なバッテリー(図示されていない)を含み得る。バッテリー、第1近接センサ612および第2近接センサ618、ならびにインジケータ616は、適切な可撓性回路(図示されていない)によって接続され得る。代替的な実施形態において、必要に応じて、電力コード(図示されていない)によって、電力がシステム600に供給され得る。例示的な実施形態においては、示されているように、スライド603は、ユーザの親指または指のために、人間工学的に形成され得る。
【0041】
動作中に、図6Aに示されているように、603’におけるスライドの代替的な位置によって示されているように、スライド603がユーザによってフィードコーン604から離れた位置に移動させられる際に、スライドサブアセンブリ614の一部分は、ハウジング602内の第2近接センサ618と接触させられる。これに応答して、近接センサ618は、616において示されているようなインジケータ(例えば、所与の色のLED等)の活性化を引き起こし得る。
【0042】
引き続き図6B〜図6Cを参照すると、ツメ608およびアンビル610の動作がさらに説明されている。スライド603および関連するスライドサブアセンブリが、フィードコーン604に近位の位置にあるとき、端部キャップ605a(またはハウジング602の適切な部分)の一部分は、部分608aにおけるツメ608に接触し、ツメ608をピン609のまわりで回転させ(または、角度に関して変位させ)、その結果、端部608aおよび608bは、図6Bに示されている構成と同様の構成になる。アンビル610に対するツメ608のそのような構成は、送達部材に対して平行な軸に沿った、端部キャップショルダー606におけるオリフィス611を介したコア部材2の移動を可能にする。図中に示されてはいないが、スプリング結合部分608cにおいてツメ608に対してバイアス力(Fとして示されている)を供給するために、スプリングが提供され得る。
【0043】
例えば細長いコア部材がコイル取り外しシステム600内に完全に着座したというインジケーションの後に、ユーザが図6Cに示されているフィードコーン604から離れる位置にスライド603を移動させたときに、ツメ608に対するバイアス力Fは、図6Cに示されているものと同様の位置に、ピン609のまわりでツメを回転させる。そのような位置において、ツメ608の接触表面608dは、スライドサブアセンブリが移動させられたときに、アンビル610に対してコア部材2をしっかりと保持する。このようにして、コア部材2の近位端は、スライドサブアセンブリによって近位に引っ張られる。フィードコーン604の近位端における端部キャップショルダー606が、送達部材1の近位移動を停止させるとき、送達部材1は、コア部材2とともに近位に引っ張られることはなく、したがって、コア部材2は、送達部材1の近位端に対して変位または移動させられる。結果として、コア部材2の遠位端は、送達部材1の軸に沿って等しい距離を変位させられる(図3A〜図3C)。スライド603およびスライドサブアセンブリの移動の距離は、細長いコア部材2からのコイルの取り外しを十分保証する距離に一致または対応するように、設計または製造され得る。コア部材2の遠位端のこの移動は、コア部材の遠位端から塞栓コイルまたはその他の医療デバイスを取外し得る。コア部材およびスライドサブアセンブリのこの移動距離は、例えば3シグマ、6シグマ等の許容可能な所望の統計的エラーレートまで、取り外しが行われることを事実上保証する距離を決定するために、多数の塞栓コイルおよびプッシャシステムの解析から経験的に導出され得る。
【0044】
図7は、本開示にしたがう、インジケータ716を含むコイル取り外しシステム700の例示的な実施形態の斜視分解図を図示している。コイル取り外しシステムは、2つの嵌合する半分702aおよび702bおよび端部キャップ703において配置されるハウジングを含んでいる。フィードコーン704は、例えば塞栓コイル構造(例えば、コイルおよび/またはステント)のために用いられる、細長い送達部材および細長いコア部材を受容するように構成されている。システム700は、図3A〜図3Cに対して説明されているものと同様に、塞栓コイル(図示されていない)の取り外しを示すために、ユーザと接触するように適合された表面709と、近接センサ719に接触するように適合された拡張部分711とを含む、スライドサブアセンブリ708の形式のユーザ入力機構を含んでいる。ツメ710およびアンビル712を含む把持機構が提供されており、ツメ710は、ピン727によってスライドサブアセンブリ708に回転可能に取り付けられている。アンビル712もまた、スライドサブアセンブリ708に搭載されている。細長いコア部材がシステム700内に正確に着座されているときを検出するために、近接センサ706が含まれている。スペーサ707およびタブ732は、アンビル710の配置を容易にし、システム700内の所望の位置を越えた細長いコア部材の移動を防止するために、ストップ表面を提供し得る。スプリング736が、ツメ710とスライドサブアセンブリ708との間にバイアス力を提供し得る。ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テフロン(登録商標)、または適切なポリマーコーティング等の適切な材料のストリップまたはコーティング728a〜728bが、オプションとして、端部キャップ703および/またはハウジング702a〜702bとの接触を感受しやすい位置または複数の位置において、ツメ710上に配置され得る。
【0045】
システム700の記載を続けると、可撓性回路722が、近接センサ706および719ならびにインジケータ716およびバッテリーホルダ720(適切なバッテリー730を受容するように構成されている)の間に接続を提供する。解放スペーサ740は、システム700のハウジング内でバイアススプリング734によってバイアスされたときのスライドサブアセンブリ709の開始位置を制御し得る。
【0046】
図8は、本開示にしたがう、ユーザ入力機構として機能するスライドスイッチサブアセンブリ800の例を例証する図(A)〜(F)を含む。スライドスイッチサブアセンブリ800は、ツメ801およびツメスプリング802を含み、これらの両方は、アンビル(図示されていない)と関連して、把持機構の一部分として用いられ得る。ツメ801は、ダボピン803のまわりを回転するように構成されている。オプションのPTFEコーティング805および806もまた示されている。接触表面807が、サブアセンブリ800のスライド体804上に存在し、ユーザと接触するように構成されており、例えば、ユーザの親指と接触するためのギザギザ特徴を有する表面等である。サブアセンブリの本体804は、例えば図6に図示されている近接センサ618等の近接センサと接触するように構成された拡張部808と関連して示されている。
【0047】
図9は、例示的な実施形態にしたがう、マイクロスイッチ近接センサとともにツメおよびアンビルを特徴としているコイル取り外しシステム900の一部分の斜視図を図示している。システム900は、端部キャップ902およびスライドサブアセンブリ904を含んでいる。端部キャップ902は、携帯式であるように適合されたハウジング(図示されていない)とフィットまたは嵌合し得る。端部キャップ902は、例えば動脈瘤の処置のために患者の脈管構造内に塞栓コイル構造を配置するために用いられるもののような細長い送達部材1および細長いコア部材2を受容するように構成されたフィードコーン905を含んでいる。ツメ907およびアンビル908は、スライドサブアセンブリ904内に構成されている。例えばリーフスプリングマイクロスイッチ912等の近接センサが、システム900内のコア部材の適切な着座を検出するために提供されている。スペーサ909が、アンビル908および/または近接センサ912の搭載を容易にし得る。
【0048】
システム900の記載を続けると、ツメは、ピン911によってスライドサブアセンブリ904に回転可能に搭載されている。ツメ907は、システム900の動作の間に、ツメ907の配置を容易にし得る拡張部907aおよび907bを含んでいる。示されている位置にツメ907をバイアスさせるために、バイアススプリング913が、位置904aにおいてスライドサブアセンブリに接続されており、位置907cにおいてツメに接続されている。端部キャップ902はまた、開口部(図示されていない)を有するショルダー906を含んでおり、ショルダーは、送達部材1の近位端を保持することが可能であり、内部コア部材2が、ストップ910まで延在している開口部を介して通過し、そして、ツメ907とアンビル908との間で、システム内に完全または適切に着座させられることを可能にする。
【0049】
図10は、本開示にしたがう、スライドサブアセンブリの形式のユーザ入力機構および解放マイクロスイッチを特徴とするコイル取り外しシステム1000の一部分の斜視図を図示している。示されているように、システム1000は、スライドサブアセンブリ本体1001と、ユーザによる接触のためのテクスチャード加工された表面1002とを含む。サブアセンブリ本体1001は、システム1000内での細長いコア部材(図示されていない)の適切な着座を検出するように機能する第1近接センサ1003を保持する。
【0050】
引き続き図10を参照すると、解放スペーサ1009が、サブアセンブリをハウジング1008内の初期の所望の位置に配置し得る。示されているように、バイアススプリング1004が、バイアス力をサブアセンブリ1001に提供し得る。第2近接センサ1005が、サブアセンブリ1001の拡張部1011が、近接センサ1005の近位になったとき(例えば、近接センサと接触したとき)を検出し得る。可撓性回路1006が、近接センサをバッテリーホルダ1007によって示されている電源ならびに1つ以上のインジケータ(図示されていない)に接続し得、インジケータは、細長いコア部材がシステム1000内に完全に着座されたときと、コア部材の近位端が、関連する送達部材の近位端に対して特定の距離に変位されたときとをユーザに警告するアクティブフィードバックを提供し、塞栓コイル構造の取り外しを示す。
【0051】
したがって、本開示の実施形態は、有利にも、ハウジング内でのコア部材の適切な着座を示し、コア部材からのコイルの取り外しを示すために、有色発光ダイオード等のフィードバックインジケータを有するハウジングを含む、細長いコア部材を有するプッシャカテーテルの使用により、患者の脈管構造内の所望の位置に塞栓コイル構造をプッシュするためのコイル取り外しシステムを提供し得る。
【0052】
議論された構成要素、ステップ、特徴、利益および利点は、例示的なものに過ぎない。これらのうちのいずれも、またはこれらに関連する議論は、いかようにも、保護範囲を限定することは意図されていない。無数のその他の実施形態も企図される。これらは、より少数の、付加的な、および/または異なる構成要素、ステップ、特徴、オブジェクト、利益、および利点を有する実施形態を含む。また、これらは、構成要素および/またはステップが異なるように配置される実施形態および/または異なる順序である実施形態を含む。
【0053】
本開示を読んだとき、当業者は、本開示の実施形態またはその一部分が、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの任意の組み合わせにおいて、あるいはハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの任意の組み合わせとともに、そして、1つ以上の通信ネットワークを用いることによって、実装され得ることを理解し得る。適切なソフトウェアは、データ獲得および/またはデータ操作の実装を設計および/または制御のための方法および技術(およびそれらの一部分)を実行するために、コンピュータ読み取り可能命令または機械読み取り可能命令を含み得る。任意の適切なソフトウェア言語(機械従属性または機械独立性)が利用され得る。さらに、本開示の実施形態は、様々な信号に含まれ得、あるいは様々な信号によって実行され得、そのような信号は、例えば、ワイヤレスRF通信リンクまたはIR通信リンクを介して伝送されるか、またはインターネットからダウンロードされる。
【0054】
特に断らない限り、全ての測定、値、レーティング、位置、大きさ、サイズ、および以下に続く特許請求の範囲を含む明細書中に記載されるその他の詳細は、おおよそのものであり、完全なものではない。これらは、これらが関連する機能およびこれらが関係している従来技術における通例と整合する合理的な範囲を有することが意図されている。
【0055】
本開示中に引用されている全ての文献、特許、特許出願、およびその他の刊行物は、参照により本明細書中に援用される。
【0056】
「〜ための手段」というフレーズは、請求項において用いられるとき、記載された対応する構造および材料ならびにそれらの均等物を包含することが意図されており、そして、そのように解釈されるべきである。同様に、「〜のためのステップ」というフレーズは、請求項において用いられるとき、記載された対応する動作およびそれらの均等物を包含する。これらのフレーズの非存在は、請求項が、対応する構造、材料、または動作のうちのいずれか、あるいはそれらの均等物に限定されることが意図されておらず、そして、そのように解釈されるべきではないということを意味している。
【0057】
記載または例証されたものは、それが特許請求の範囲に記載されちえるかどうかに関わらず、いずれの構成要素、ステップ、特徴、利益、利点、または均等物を公共に捧げることが意図されておらず、そして、そのように解釈されるべきではない。
【0058】
保護範囲は、以下の特許請求の範囲のみによって限定される。その範囲は、本明細書および後続の審査履歴に照らして解釈されたときに、特許請求の範囲において用いられている文言の通常の意味と整合する広さと同程度であり、そして、全ての構造的および機能的な均等物を含むことが意図されており、そして、そのように解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0059】
300 コイル取り外しシステム
302 ハウジング
303 ユーザ入力機構
304 細長い送達部材
305 細長いコア部材
308 塞栓コイル
310 端部キャップ
311 コア部材の遠位端
312 ボール端部
313 非伸縮性リンク
315 リンク
330 インジケータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の脈管構造内の医療インプラントの配置のための医療デバイス取り外しシステムであって、
該システムは、
細長い送達部材の近位端と、該送達部材内でスライド可能に配置された細長いコア部材の近位端とを受容するように構成されたハウジングと、
該ハウジング内に配置され、入力信号を受信したことに応答して、該コア部材の一部分を把持するように構成された把持機構と、
該入力信号を受信し、該コア部材の該近位端を把持するための該把持機構の移動を可能にするように構成されたユーザ入力機構と、
該ハウジング内の所定の位置における該コア部材の該近位端の配置を確認する出力信号を提供するように構成された第1センサと、
該送達部材に対する該把持機構の近接を示す出力信号を提供するように構成された第2センサと、
該第1センサおよび該第2センサに接続されたインジケータであって、該第1センサおよび該第2センサから1つ以上の出力信号を受信し、1つ以上の出力信号が該第1センサまたは該第2センサから受信されたときに、対応するインジケーションをユーザに提供するように構成されたインジケータと
を含む、システム。
【請求項2】
前記把持機構は、前記ハウジング内の第1位置から前記ハウジング内の第2位置まで移動可能であり、前記第2センサは、該把持機構が該第2位置にあるときを検出するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記把持機構は、ツメおよびアンビルを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記ユーザ入力機構は、スライドを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記インジケータは、スピーカ、振動生成器、前記ハウジングの表面上に配置されたボタン、または少なくとも1つの発光ダイオード(LED)を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記インジケータは、少なくとも1つのLEDおよび2つの光学的フィルタを含み、各光学的フィルタは、異なる波長帯域を通過させるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1センサまたは前記第2センサのうちの少なくとも1つは、マイクロスイッチを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1センサは、リーフスプリングマイクロスイッチを含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記第2センサは、ヒンジマイクロスイッチを含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1センサまたは前記第2センサのうちの少なくとも1つは、容量性センサを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1センサまたは前記第2センサのうちの少なくとも1つは、RFセンサを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1センサまたは前記第2センサのうちの少なくとも1つは、音響センサを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1センサまたは前記第2センサのうちの少なくとも1つは、光学的検出器を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
近位端および遠位端を有する送達部材と、該送達部材内に配置され、近位端および遠位端を有する細長いコア部材とをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記コア部材の前記遠位端に解放可能に取り付けられた塞栓コイル構造をさらに含む、請求項14に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−75167(P2013−75167A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−217156(P2012−217156)
【出願日】平成24年9月28日(2012.9.28)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】