プリント回路基板用ケーブル装置を備える研究試料器具
【課題】本発明の目的は、研究試料器具のためのプリント回路基板用ケーブル装置を提供することであって、該装置は、電気コンダクタを、該電気コンダクタから所定の距離だけ離隔して配置された電子装置に、利用可能なスペースが限られている状態で空間セグメントを越えて接続することを可能とするものである。
【解決手段】本発明に係る研究試料器具は、リント回路基板用ケーブル装置が配置されるケーブル保持スペースを備える。プリント回路基板用ケーブル装置は、基板の第1および第2の側部と、連続して配置された、第1のプリント回路基板領域、第2のプリント回路基板領域、および、第3のプリント回路基板領域とを有するプリント回路基板を備える。プリント回路基板は、複数のコンダクタトラックを有し、該コンダクタトラックは、基板の第1の側部上に配置され、且つ、基板の第2の側部上に配置される。
【解決手段】本発明に係る研究試料器具は、リント回路基板用ケーブル装置が配置されるケーブル保持スペースを備える。プリント回路基板用ケーブル装置は、基板の第1および第2の側部と、連続して配置された、第1のプリント回路基板領域、第2のプリント回路基板領域、および、第3のプリント回路基板領域とを有するプリント回路基板を備える。プリント回路基板は、複数のコンダクタトラックを有し、該コンダクタトラックは、基板の第1の側部上に配置され、且つ、基板の第2の側部上に配置される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント回路基板用ケーブル装置を備える、研究試料器具に関し、特に、このようなプリント回路基板用ケーブル装置を備える、例えばディスペンサまたはピペットといった計量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
可撓性のプリント回路基板用ケーブル装置は、例えばスペースの理由から、極小さい、または平坦なケーブル断面のみが可能であったとしても、ケーブルによる信号の連結、および他の技術的な電線を可能とするという利点を提供する。このような状況は、装置をベースとした処理、または研究試料の試験のための器具の場合に生じる。研究試料器具に必要となる空間的体積は、通常、研究試料自体と比べて非常に大きくなる。したがって、研究試料器具は、殆どの場合、研究試料の方向に向かって先細状となっている。一例として、手動の計量装置の場合であって、該計量装置においては、使用者が一方の手で保持することができ、可動の駆動メカニズムと、駆動メカニズムの可動性を制御する調整メカニズムが、ハンドルとしても機能する器具シャフト内に収容される。研究試料器具による汚染の危険性の結果として、研究試料が保持される手段は、好ましくは、例えば、樹脂からなる、交換可能な部材、通常は処分可能な部材である。この手段は、保持装置によって、研究試料器具に連結されるべきものである。保持装置は、研究試料器具の一方端に配置されており、該一方端にて、研究試料が保持され、放出される。研究試料が保持される手段は、好ましくは、ピペット先端部、または、注射器本体と注射器ピストンを含む注射器である。しかしながら、例えばカートリッジのような他の手段も、可能である。
【0003】
ピペット先端部は、通常、取り付け部に設置され、該取り付け部は、通常、少なくともやや円錐状である構成を有しているが、とりわけ、円筒状の構成を有し得る。ピペット先端部は、該先端部が取り付け部に対して圧接し、好ましくは取り付け部とピペット先端部との間を空気が通過できないように、取り付け部上に設置されている。取り付け部は、研究試料器具のハウジング部上の最外部であり、ここに、ピストン注射器ユニットが、変位装置として設けられている。ここで、注射器ユニットは、好ましくは、研究試料器具のハウジング部によって形成されている。注射器において、空気柱は、ピストンによって移動され、その結果、研究試料は、ピペット先端部内に取り込まれ、および/または、ピペット先端部から放出される。例えば、用いられているピペット先端部を識別するためのセンサ装置のような電子装置を、ピペット先端部を保持するための取り付け部に取り付ける必要がある場合、ハウジング部上に直接的に、センサ装置に繋がる電線を敷設するための極小さなスペースしかないこととなる。ここで、上記電線の敷設は、センサ装置が、研究試料器具のハウジング内に設けられた、閉ループ/オープンループの制御装置と通信することを可能とするために行われる。従来のフィード電線のために利用可能なスペース、もしくは、電子装置近傍の開放された断面領域は、それ故に非常に小さくなるか、または、配置形状は、その場所における小さな電線断面領域を許容するのみとなってしまう。
【0004】
独国特許出願DE 43 42 178 C2号は、このような研究試料器具(すなわち、リピータピペット)を記載している。この研究試料器具は、手動のディスペンサとしても言及されており、直接変位の原則に則って動作する。エアクッションの原則で動作するピペットとは異なって、手動ディスペンサにおける変位ピストンは、器具シャフトに配置されておらず、むしろ、内部に研究試料を保持する手段の一部となっている。ここで、この手段は、注射器の形態として構成されている。このようなディスペンサは、直接変位の原則に則って動作する。ここで、注射器の変位ピストンは、本質的に、試料液を計量するときに、エアクッションによって試料液から分離されておらず、むしろ、試料液に直接接触している。その結果、特に正確な計量が可能となる。上記手段に属する変位ピストンは、器具シャフトに配置されたアクチュエータに連結されている。特に、前述の文献による注射器の追加的な利点は、注射器を手動ディスペンサに取り付けるための、注射器の円筒状の注射器本体上の取り付け領域が、情報キャリヤとして追加的に実現されているという事実にある。手動ディスペンサのヘッド領域に配置されたセンサは、情報を読み出し、その情報を、器具シャフトに配置された制御装置に供給する。情報キャリヤとセンサは、使用者が手動ディスペンサに連結している注射器のタイプを自動的に捕捉するために用いられる。この情報は、制御装置によって、制御プログラムを選択するために用いられる。この制御プログラムは、ユーザによって予め定められた所望の試料体積を、対応するピストン移動へと変換する。
【0005】
センサは、スキャン装置を用いており、該スキャン装置は、注射器上の複数の読み出し領域を読み出す。この読み出し領域は、注射器の連結側上のピストン軸の周りに同心状に配置されており、手動ディスペンサのヘッド領域に面している。各読み出し領域は、突出部を有しており(または、有しておらず)、該突出部は、センサの機械接触スイッチを起動する(または、起動しない)。これにより、電気回路は、遮断される(または、遮断されない)。センサは、7つの接触ポイントを有しており、これらの接触ポイントは、それぞれ、1つの読み出し領域に対応している。これにより、所望の情報が、エンコードされる。これらの接触ポイントは、センサプリント回路基板上に同心状に配置されている。そして、このセンサプリント回路基板は、環状構成を含み、この環状構成の環状面に対して、ピストン軸が直交して動作する。コンダクタトラックフィルムは、その環状面に対して直交する角度で、センサプリント回路基板の端部に取り付けられており、接触ポイントから、器具シャフトの上方に配置された制御装置まで、電線を配線している。例えばハンダによって、センサプリント回路基板の電線を、コンダクタトラックフィルムの電線に接続する目的のために、センサプリント回路基板と、コンダクタトラックフィルムとの間の移行領域において、比較的に小さなスペースのみ、利用可能となる。この空間的な課題が、センサポイントの数と、要求される電線の数の増加とともに、より顕著となってきている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、研究試料器具のためのプリント回路基板用ケーブル装置を提供することであって、該装置は、電気コンダクタを、該電気コンダクタから所定の距離だけ離隔して配置された電子装置に、利用可能なスペースが限られている状態で空間セグメントを越えて接続することを可能とするものである。本発明のさらなる目的は、研究試料器具を提供することであって、該器具においては、プリント回路基板用ケーブル装置は、電気コンダクタを、該電気コンダクタから所定の距離だけ離隔して配置された電子装置に、利用可能なスペースが限られている状態で空間セグメントを越えて接続することを可能とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、この目的は、請求項1によるプリント回路基板用ケーブル装置と、請求項10による研究試料器具によって、達成される。好ましい実施形態は、従属請求項の主題である。
【0008】
研究試料器具、特に、ディスペンサまたはピペットのための、本発明に係るプリント回路基板用ケーブル装置は、基板の第1および第2の面と、連続して配置された、少なくとも1つの第1のプリント回路基板領域、少なくとも1つの第2のプリント回路基板領域、および、少なくとも1つの第3のプリント回路基板領域とを有する、(好ましくは可撓性の)少なくとも1つのプリント回路基板を備え、プリント回路基板は、複数のコンダクタトラックを有し、該コンダクタトラックは、少なくとも複数の領域において、プリント回路基板上にて互いに平行に配置され、第1のプリント回路基板領域に配置された第1のトラック部から、第2のプリント回路基板領域を経て、第2のトラック部が配置された第3のプリント回路基板領域まで延び、第2のプリント回路基板領域において、少なくとも1本のコンダクタトラックは、基板の第1の面上に配置され、且つ、少なくとも1本のコンダクタトラックは、基板の第2の面上に配置される。
【0009】
特に、本発明に係るプリント回路基板用ケーブル装置は、以下の点で有利である。すなわち、研究試料器具、特に手動の研究試料器具が、よりコンパクトな構成を有し得るような最適な方法で、第2のプリント回路基板領域上にて利用可能な面を用いることができる。好ましい実施形態において、本発明に係るプリント回路基板用ケーブル装置は、第2のプリント回路基板領域が、スペースの理由、またはその他の理由(例えば、他の構造要求の結果として)により、第2の幅寸法に規制される必要がある環境においても、用いることができる。ここで、上記第2の幅寸法は、第1のプリント回路基板領域の第1の幅寸法よりも小さい。
【0010】
コンダクタトラックの第1のトラック部は、コンダクタトラックの一方の端部であってもよく、例えば、ソケット装置に接続するために機能するプラグ装置に繋がり得る。例として、これらのソケット装置は、研究試料器具の制御装置に割り当てられてもよい。コンダクタトラックの第2のトラック部は、コンダクタトラックの他方の端部であってもよく、該他方の端部にて、例えば、電気接触装置、またはセンサ装置のセンサ要素が配置され得る。
【0011】
研究試料器具は、特に、ケーブルを保持するためのスペースを有しており、該スペースは、少なくとも第2の空間領域において、第1の空間領域よりも小さい。上記に説明したように、このような研究試料器具は、好ましくは、例えばピペットまたはディスペンサ、より具体的には、手動で操作可能なピペットまたはディスペンサのような計量装置である。このような手動で操作可能な器具は、手動研究試料器具として言及される。手動ディスペンサの例としては、電子ディスペンサである研究試料器具「Multipette(登録商標) stream」や、「Multipette(登録商標) Xstream」があり、Eppendorf AG(独国)によって2011年に商業的に提供されている。本発明は、上記に説明した、特許文献DE43 42 178 C2号に記載のタイプの研究試料器具にも適している。しかしながら、本発明は、液体、ゲル状、または粉状の研究試料が作用され、処理され、保持され、放出され、運搬され、および/または、(例えば、光学的、および/または、電気的もしくは電磁気的手段によって)試験のみされるような研究試料器具にも関連するものである。
【0012】
プリント回路基板は、好ましくは、変形可能であり、可撓性、特に弾性を有する。プリント回路基板は、好ましくは、プリント回路基板を、ある屈曲半径、および、好ましくはコンダクタトラックに直交して延びる該屈曲半径の径方向で、非破壊的方法により屈曲させるのに適した可撓性を有する。プリント回路基板のこの可撓性により、プリント回路基板用ケーブル装置を、屈曲の結果、クランプされた空間状態に、より容易に配置することができる。ここで、クランプされた空間状態は、典型的には、前述したタイプの研究試料器具内に存在するものである。例として、屈曲半径は、0.5mm〜100mmの範囲、好ましくは、1mm〜30mmの範囲である。
【0013】
可撓性のプリント回路基板は、可撓性の基板を有し、該基板は、好ましくは、例えばDuPon(登録商標)社のカプトン(登録商標)のような、ポリイミドから作製される。しかしながら、例えばポリエステル、PET、またはPENといった他の材料を提供することも可能である。プリント回路基板の厚み(高さ)は、好ましくは、20μm〜60μmの範囲、特に50μm(±5μm)である。可撓性プリント回路(Flexible Printed Circuits:FPCs)も、適用可能な可撓性プリント回路基板である。
【0014】
プリント回路基板領域は、連続して配置されている。すなわち、第1のプリント回路基板領域は、第2のプリント回路基板領域に接続され、第2のプリント回路基板領域は、第3のプリント回路基板領域に接続されている。全ての、または少なくとも2つのプリント回路基板領域は、好ましくは、一体的な構成を有し、または、少なくとも共通の可撓性基板を有する。
【0015】
プリント回路基板上のコンダクタトラックは、好ましくは、少なくとも複数の領域において、可撓性基板の表面上にて互いに平行に設置されている。この目的のために、コンダクタトラックの導電材料(例えば、銅もしくは金のような金属、または、金やニッケルからなる金属合金)が、例えば蒸着によって、基板の表面に連結される。プリント回路基板に対するコンダクタトラックの高さ(厚み)は、少なくとも複数の領域において、または、少なくとも第1の製造工程の間において、実質一定であり、好ましくは、20μm〜75μmの範囲、好ましくは25μm〜55μmの範囲、好ましくは30μm〜40μmの範囲である。コンダクタトラックの幅は、少なくとも複数の領域において、実質一定である。より具体的には、コンダクタトラックの幅は、50μm〜350μmの範囲、好ましくは100μm〜300μmの範囲、または、好ましくは150μm〜250μmの範囲である。プリント回路基板またはプリント回路基板領域は、好ましくは、少なくとも複数の領域、または全ての領域において、平面状の構成を有する。特に、プリント回路基板に好適に設けられた屈曲は、プリント回路基板用ケーブル装置の製造後においてのみ、形成される。プリント回路基板領域、特に第2のプリント回路基板領域は、少なくとも1つの屈曲部を有し、該屈曲部において、プリント回路基板領域は、所定の屈曲半径で屈曲される。屈曲されたプリント路回路基板領域におけるコンダクタトラックの幅は、好ましくは、より広くなる。より具体的には、該コンダクタトラックの幅は、(隣接するプリント回路基板領域(例えば、第1のプリント回路基板領域)におけるコンダクタトラックの幅に対して正確に)5〜100%、好ましくは10〜75%、または、好ましくは20〜50%だけ広い。ここで、対象器具においてプリント回路基板を組み込む場合に、プリント回路基板のプリント回路基板領域を屈曲させることが必要となる。このことは、プリント回路基板用ケーブル装置に亘る電気信号の発信を改善することができる。コンダクタトラック間の離隔距離は、少なくとも複数の領域において、実質一定であり、特に、50μm〜350μmの範囲、好ましくは100μm〜250μmの範囲、または、好ましくは150μm〜200μmの範囲である。
【0016】
被覆層は、好ましくは、その下方に設けられている構造を保護するために、プリント回路基板の一方側または両側上に設けられる。このような被覆層は、ポリマーフィルムを有し、またはポリマーフィルムからなる。被覆層は、例えば、ポリイミドもしくは可撓性のソルダレジストを有し、または、これら材料からなる。被覆層は、好ましくは、例えばラミネートまたは接着によって、分離不可能な方法で、基板に被覆される。すなわち、この被覆層は、非破壊的方法で分離することができなくなっている。
【0017】
プリント回路基板が、少なくとも複数の領域で、または、その全体幅(好ましくは、その全長)に亘って、1以上の層を有し、これにより、複数の基板が、スタックとして他の基板の上方に配置されることも可能であり、且つ好ましい。これにより、不変の幅寸法と、例えば増加した(好ましくは、僅かだけ増加した)高さ寸法を有する一方で、より高い線密度(第2のプリント回路基板領域の断面領域毎の電線数)を得る可能性がもたらされる。この結果、必要がある場合に、例えば第2のプリント回路基板領域用の第2の保持スペースのような、適当に規定された空間的状態の場合に、対象領域において、より多く(例えば2倍の数)のコンダクタトラックを配置することが可能となる。
【0018】
プリント回路基板には、数量Nの複数のコンダクタトラックが設けられており、該コンダクタトラックは、少なくとも第1のプリント回路基板領域において、好ましくは複数の領域にて互いに平行に延びており、且つ、プリント回路基板の第1の面上に配置されている。例として、上記数量Nは、プリント回路基板用ケーブル装置に連結されるべき電子装置の要求から決められる。例として、電子装置が数量Nのセンサを有する場合、少なくとも(または、正確に)NまたはN+1の数のコンダクタトラックが、第2の電子装置にセンサを接続するために設けられることが好ましい。なお、該第2の電子装置は、例えば、制御装置および/またはインジケータ装置(例えばディスプレイ)といった装置であり、上記センサから所定の距離だけ離隔して配置されている。数量Nは、好ましくは、3以上、5以上、特に好ましくは6以上であり、また、好ましくは6〜99の範囲、好ましくは6〜33の範囲、好ましくは6〜17の範囲である。好ましい例示的実施形態においては、N=7、およびN=15である。しかしながら、数量Nは、それ以外であってもよい。
【0019】
プリント回路基板は、好ましくは、個数mの貫通孔を有し、該貫通孔によって、プリント回路基板の第1の面上に設けられた該貫通孔まで延びる1以上の電気コンダクタトラックを、該貫通孔を介して、プリント回路基板の第2の面まで配線することが可能となる。そして、第2の面において、これら1以上のコンダクタトラックは、連続して延在する。この目的のために、電気的コンダクタは、好ましくは、この貫通孔に、スリーブ状の形態で配置される。この構成は、例えば、コンダクタトラックの敷設と同時に実現することができる。貫通孔は、穿孔、パンチング、または他の方法によって形成することができる。貫通孔の直径は、好ましくは、0.2mm〜1mmの範囲、特に0.4mm〜0.6mmの範囲である。しかしながら、貫通孔の直径は、それ以外であってもよい。
【0020】
貫通孔の個数mは、好ましくは、所望のコンダクタのいずれも、如何なる貫通孔を介しても、プリント回路基板の一方側から他方側へと配線されるように、選択される。1本のコンダクタトラックが、各貫通孔を介して配線される場合であって、且つ、数量Nの実質半数の、第1のプリント回路基板領域のコンダクタトラックが、プリント回路基板の一方側から他方側へと配線される必要がある場合、必要となる貫通孔の数は、m=N/2(すなわち、Nが奇数である場合、±1)となる。第1、第2、および/または第3のプリント回路基板領域における個数mは、好ましくは、1以上、2以上、3以上、4以上、または5以上、特に好ましくは6以上であり、また、好ましくは6〜99の範囲、好ましくは6〜33の範囲、好ましくは6〜17の範囲である。好ましい例示的実施形態においては、m=7、またはm=15である。しかしながら、個数mは、それ以外であってもよい。
【0021】
要求に依って、1以上または全てのコンダクタトラックが、第1のプリント回路基板領域の他方側、より具体的には、第1のプリント回路基板領域の第1の面から第2の面へ配線されていることが可能であり、且つ好ましい。しかしながら、このような配線を、第2のプリント回路基板領域においてのみ実施することも可能である。さらに、1以上または全てのコンダクタトラックが、それぞれ、プリント回路基板の一方側から他方側へと、複数回に亘って繰り返して配線されることが可能であり、且つ好ましい。プリント回路基板は、好ましくは(また)、第3のプリント回路基板領域において(特に、第1のプリント回路基板領域の場合と、好ましくは同様にして)、個数m=N/2(すなわち、Nが奇数である場合、±1)の貫通孔を有する。
【0022】
貫通孔に加えて、プリント回路基板は、他の目的のために機能する開口または切り欠きをさらに有してもよい。例えば、該開口または切り欠きは、プリント回路基板を研究試料器具に取り付けることを可能とする目的のために機能する。
【0023】
プリント回路基板は、好ましくは、細長い形状、すなわち、その平均長さが少なくともその幅の2倍となる形状を有する。しかしながら、プリント回路基板は、例えば、より離れて設置された電子装置を接続可能とするために、より長尺となってもよい。平面状に引き延ばされて、プリント回路基板は、特に、20mm〜500mmの範囲、好ましくは50mm〜400mmの範囲、特に好ましくは100mm〜300mmの範囲、さらに好ましくは150mm〜200mmの範囲の最大長さを有する。平面状に引き延ばされて、プリント回路基板は、好ましくは5mm〜100mmの範囲、好ましくは10mm〜80mmの範囲、より好ましくは20mm〜60mmの範囲、さらに好ましくは30mm〜40mmの範囲の最大幅を有する。
【0024】
プリント回路基板は、実質長方形の外形輪郭を有し、または、例えば、その延在方向に沿って、90°で屈曲する少なくとも1つの屈曲部もしくは角部を有してもよい。これにより、長方形の形状とは異なる外形を実現することができる。プリント回路基板の形状は、限定されないものであって、例えば、研究試料器具における利用可能なスペースといった要求に適合させることが可能である。
【0025】
少なくとも1つの第1のプリント回路基板領域は、好ましくは、第1の幅寸法を有し、少なくとも1つの第2のプリント回路基板領域は、好ましくは、第2の幅寸法を有する。ここで、第2の幅寸法は、第1の幅寸法よりも小さい。
【0026】
上記幅寸法は、プリント回路基板領域の幅を特徴付ける寸法である。プリント回路基板領域の幅寸法は、好ましくは、プリント回路基板領域の幅を示しており、特に、プリント回路基板領域の複数の分岐部がある場合においては、好ましくは、全ての分岐部の各々の合計としての正味幅、分岐部の各々の幅、または、複数の分岐部の正味幅を示す。しかしながら、本発明の定義については、プリント回路基板領域の幅寸法は、代替的または追加的に、プリント回路基板の基板端部からの、2つの外側コンダクタトラックの境界の間の距離によって形成される、2つの端部を考慮しないように、定義されてもよい。この場合、あるプリント回路基板領域における、コンダクタトラック束の2つの外側コンダクタトラック間の最大距離が、幅寸法として定義される。コンダクタトラック束は、同じ高さで互いに隣り合うように配置されたコンダクタトラックのみを含んでいてもよい。または、コンダクタトラック束は、例えば、プリント回路基板の異なる面に配線されているように、異なる高さに配置されたコンダクタトラックを含んでいてもよい。この場合、高さとは、プリント回路基板がx−y平面に配置されている場合、または、例えば細長いプリント回路基板の長手方向軸がx軸に実質平行に延びている場合、直角座標系のz軸方向の位置を示す。幅寸法は、好ましくは、プリント回路基板領域の全長に亘る、プリント回路基板領域(または、少なくとも1つの分岐部)の平均の幅(または、正味幅)を示す。しかしながら、幅寸法が、プリント回路基板領域の全長に対しての、プリント回路基板領域(または、少なくとも1つの分岐部)の最大幅または最小幅(または、正味幅)を示すことも可能であり、且つ好ましい。
【0027】
第2のプリント回路基板領域において、コンダクタトラックは、好ましくは、基板の第1および第2の面に亘って、実質同数(±1)ずつ分配される。この結果、第2のプリント回路基板領域の第2の幅寸法を、例えば、(全ての、または恐らくは)コンダクタトラックが、好ましくは互いに平行に延びている第1のプリント回路基板領域のような、プリント回路基板の他の領域と比べて、実質低減することが可能となる。これによってもたらされる利点は、第2のプリント回路基板領域を保持するために必要とされる空間的要求を、より小さくすることができる点にある。より具体的には、プリント回路基板用ケーブル装置を保持するために必要とされる、利用可能なスペースの幅、特に正味幅を、より小さくすることができる。この結果、プリント回路基板用ケーブル装置は、これら領域を研究試料器具において電気的に接続することもできる。ここで、研究試料器具において、僅かな空間的利用可能性しか持たないボトルネックが、従来の手段による連結を困難または不可能にしていたのである。
【0028】
例として、第2の幅寸法が、係数cにより、第1の幅寸法よりも小さくなることが可能であり、且つ好ましい。ここで、係数cは、好ましくは0.2〜0.9の範囲、好ましくは0.3〜0.8の範囲、好ましくは0.4〜0.77の範囲、好ましくは0.5〜0.7の範囲である。しかしながら、この係数cは、それ以外であってもよい。第2のプリント回路基板領域のコンダクタトラックは、好ましくは、第2のプリント回路基板領域の長さの大部分に亘って、またはその全長に沿って、基板の第1および第2の面(または、基板の第1もしくは第2の面)上にそれぞれ配置されている。第2のプリント回路基板領域における、基板の第1および第2の面上のコンダクタトラックは、好ましくは、第2のプリント回路基板領域の長さの少なくとも70%、好ましくは、第2のプリント回路基板領域の長さの少なくとも85%、さらに好ましくは、第2のプリント回路基板領域の長さの少なくとも95%に亘って、配置されている。しかしながら、第2のプリント回路基板領域の1以上または全てのコンダクタトラックが、自らが配線される基板の面を、複数回に亘って変更することも可能である。
【0029】
複数のプリント回路基板を他の基板に重ねて配置することによって、第2の幅寸法をさらに小さくすることが可能であり、且つ好ましい。このプロセスにおいては、2層以上の構造、すなわち、多層プリント回路基板構造が、第2のプリント回路基板領域において、または、複数のプリント回路基板領域もしくはプリント回路基板全体に亘って、生成される。ここで、プリント回路基板構造がプリント回路基板用ケーブル装置を形成する。
【0030】
異なる高さに配置された、第2のプリント回路基板領域のコンダクタトラックが、少なくとも複数の領域において、またはその全長に亘って、互いにオフセットされるように配置されるとともに、互いに交わらないようにすることが可能であり、且つ好ましい。このことは、基板の第1の面に直交し、コンダクタトラックを通過し、且つこのコンダクタトラックに平行な仮想平面が、上記コンダクタトラックに平行な如何なるコンダクタトラックとも、基板の第2の面上の他の高さで交わらないことを意味する。互いにオフセットされ、且つ異なる高さで互いに平行に延びるコンダクタトラックは、例えば複数のマイクロメータの空間を含むことが好ましい。これにより、この構造は、より確実な方法で製造され、且つ、より一定となる電気特性を有することができる。しかしながら、異なる高さにて互いに平行に延びるコンダクタトラックが、特に第2のプリント回路基板領域において、より小さな程度で、またはこれら幅の程度に関して完全に、部分的に交差することも可能である。
【0031】
第1のプリント回路基板領域において、大部分または全てのコンダクタトラックが、少なくとも複数の領域において、または第1のプリント回路基板領域の長さの大部分に亘って、または第1のプリント回路基板領域の実質全長に亘って、配置されることが好ましい。好ましくは、全てのコンダクタトラックは、基板の第1の面上に、第1のプリント回路基板領域の長さの70%、好ましくは長さの85%、さらに好ましくは長さの95%に亘って配置される。この結果、必要な場合に、コンダクタトラックを、同じ側上において、プリント回路基板用ケーブル装置の端部の方向に向けて(すなわち、同じ態様で)、これらの端部(好ましくは開放端)に接触させることが可能となる。且つ、例えばコンダクタトラックを、好ましくは設けられた、クランププラグのための強化連結部材に導くことが可能となる。
【0032】
1つのプリント回路基板領域、特に第2のプリント回路基板領域は、好ましくは、少なくとも2つ、さらに好ましくは正確に2つの、互いに隣り合うように配置された分岐部を有する。該分岐部内において、複数のコンダクタトラックが、それぞれ配置されており、分岐部の幅寸法の合計は、好ましくは、第2の幅寸法に相当する。第2のプリント回路基板領域において、プリント回路基板を複数の分岐部に分岐させることによってもたらされる利点は、その結果としてのプリント回路基板用ケーブル装置も、対称器具に配置され得ることにある。ここで、該対称器具においては、例えば、第2の保持スペースを2以上の領域に分割する対象器具の分割構造によって、第2のプリント回路基板領域を保持するための第2の保持スペースが、複数の領域に分割される。プリント回路基板用ケーブル装置を分岐させること、および、第2のプリント回路基板領域における、複数の分岐部は、例えば、以下のような場合における他の例において、有利となり得る。すなわち、例えば、センサ装置のような電子装置を、電気コンダクタを介して接続するために、プリント回路基板用ケーブル装置と、対象領域における電子装置との間の連結が、幾何学的・構造的構成の理由から、複数の分岐部においてのみ、実施される必要がある場合である。例示的実施形態は、このような場合を示している。
【0033】
第3のプリント回路基板領域は、好ましくは、実質環状もしくは環状セグメント状の構成、または、環状もしくは環状セグメント状のセグメントを有する。特に、プリント回路基板用ケーブル装置のコンダクタトラックの(例えば、接触ポイントとしての)対象領域が、環状面上に等間隔且つ同心状に配置されている場合(しかしながら、この場合に限らないが)、好ましくは、第2のプリント回路基板領域が、互いに隣り合うように配置された、少なくとも2つ、または正確に2つの分岐部を有するように構成される。そして、第3のプリント回路基板領域が、環状リングとして実質的に構成され、特に、第1および第2の分岐部は、それぞれ、環状リングの異なる半体に繋がっている。この構成によって、以下に示す利点がもたらされる。すなわち、コンダクタトラックの一方の部分は、リングの一方の半体に配線され、且つ、コンダクタトラックの他方の部分は、リングの他方の半体に配線されることになる。その結果、環状リング上にコンダクタトラックを分配する場合に生じる、構造上の空間的な課題が、低減または防止される。この利点は、第3のプリント回路基板領域が、環状形状を有しておらず、むしろ、それとは異なる構造(例えば、第2のプリント回路基板領域の分岐部の連続体)を有し、または、さらなる分岐点またはボトルネックを有する場合にも、もたらされる。
【0034】
第3のプリント回路基板領域の環状面または他の構造の上にコンダクタトラックを分配する場合における、構造上の空間的な課題は、以下の構成を設けることにより、さらに低減され得る。すなわち、その構成とは、第3のプリント回路基板領域において、コンダクタトラックの一方の部分が、少なくとも複数の領域において、基板の第1の面上を延在し、且つ、コンダクタトラックの他方の部分が、少なくとも複数の領域において、基板の第2の面上を延在する構成である。必要がある、または求められている場合は、第3のプリント回路基板領域の基板の第2の面上のコンダクタトラックは、貫通孔を介して基板の第1の面に配線されてもよい。好ましくは、数量n1の数のコンダクタトラックが、第3のプリント回路基板領域において基板の第1の面上にて延在し、数量n2の数のコンダクタトラックが、基板の第2の面上にて延在する。そして、好ましくは、n1+n2=N(上記の「N」の定義を参照のこと)であり、且つ、n1、n2の各々は、好ましくは、それぞれの場合において、2〜99の範囲、好ましくは5〜50の範囲、好ましくは8〜32の範囲、好ましくは7から10の範囲である。
【0035】
(第1のステージの)分岐部が、少なくとも2つの、さらなる第2のステージの分岐部に分岐することも可能であり、且つ好ましい。そして、第2のステージの分岐部が、該第2のステージの分岐部が分岐する第1のステージの分岐部よりも小さな幅寸法を有することが可能であり、且つ好ましい。より小さな幅寸法は、好ましくは、以下の構成によっても実現される。すなわち、コンダクタトラック用の、少なくとも1つのさらなる基板が設けられ、該基板は、双方の基板のコンダクタトラックが、異なる高さにおいて、他のコンダクタトラックの上方で、または、他のコンダクタトラックの上方で他のコンダクタトラックに対してオフセットされて延在することができるように、この第2のステージの分岐部において、スタックされた方法で第1の基板とともに配置されている。この結果、第1のプリント回路基板領域におけるコンダクタトラックを、例えば第2のプリント回路基板領域において、多層の分岐領域へとさらに分割することができる。ここで、この第2のプリント回路基板領域における多層の分岐領域は、第1のプリント回路基板領域よりも小さな幅寸法を有してもよい。しかしながら、分岐領域の幅寸法は、第1のプリント回路基板領域と実質同じである(または、それよりも大きい)ことも可能である。
【0036】
好ましくは、第3のプリント回路基板領域において、基板の第1の面上を延在するコンダクタトラックが、電気接触部(「接触部」)に繋がる構成が設けられる。また、好ましくは、第3のプリント回路基板領域において、選択的に基板の第2の面上を延在するコンダクタトラックを、プリント回路基板に設けられた貫通孔を介して基板の第1の面へと配線する。そこで、選択的に、基板の第1の面上のさらなるコンダクタトラック部を用いて、コンダクタトラックを、それぞれ接触部へと接続する。接触部は、基板の第1の面上において、互いに所定の距離だけ離隔して配置される。しかしながら、接触部の形態としての対象領域を、基板の両面上に設けることも可能であり、且つ好ましい。
【0037】
接触部は、好ましくは、第1の部分面と、第2の部分面とからなり、これら部分面は、互いに所定の距離で離隔して配置され、接触部に接触する導電性の接触要素によって、電気的に相互接続され得る。接触部は、好ましくは、プリント回路基板のコンダクタトラックと同じ材料からなる。しかしながら、接触部は、異なる導電材料を含んでもよい。正確に1つである、プリント回路基板のコンダクタトラックが、接触部の部分面の各々に連結されることが好ましい。また、好ましくは、接触部の部分面の少なくとも1つは、プリント回路基板のコンダクタトラック自体に連結される。このプロセスにおいて、複数または全ての接触部の第2の部分面を、1つの共通の基準コンダクタトラックに連結することが、特に可能である。これにより、接触部の第1の部分面は、それぞれの場合において、該基準コンダクタトラックに対して計量され得る。
【0038】
さらに、接触部は、好ましくは、電気的に相互接続された第1の接触コンダクタトラックと、電気的に相互接続された第2の接触コンダクタトラックとからなる。そして、第1の接触コンダクタトラックは、プリント回路基板上のコンダクタトラックに電気的に連結され、第2の接触コンダクタトラックは、プリント回路基板上の他のコンダクタトラックに電気的に連結され、且つ、第1および第2の接触コンダクタトラックは、電気的に連結されない。ここで、好ましくは、第1および第2の接触コンダクタトラックを、蛇行してインターカレートされた(インターロックする)態様で、接触させずに配置させ、接触部に接触する導電接触要素によって電気的に相互接続可能とする構成が設けられる。この蛇行構造によって、接触部は、接触部の材料における高さの相違、または、接触する接触要素の不均一性に起因する問題に対して、その影響を受け難くなる。
【0039】
接触要素による接触の結果、第1および第2の接触コンダクタトラック間、または、2本のコンダクタトラック間の電気回路が、閉じられることになる。これは、回路抵抗の低下によって検知され得る。これが、接触センサをどのように実施可能とするかを示しており、これにより、例えば、研究試料器具の対象領域における接触を検知し、関連する電気信号を、プリント回路基板用ケーブル装置を介して送ることができる。特に、研究試料器具の細い第2の保持スペースを通過して、対象領域からより大きな距離だけ離隔した電子装置(例えば、この信号を解析可能な制御装置)へと送ることができる。
【0040】
本発明に係る研究試料器具は、液体またはゲル状の研究試料が、作用され、処理され、保持され、放出され、移送され、または、(例えば、工学的および/または電気的もしくは電磁気的手段によって)試験のみされるような、器具であってもよい。研究試料器具は、好ましくは、液体の研究試料(計量装置)を保持、分配し、および/または、計量するための器具である。研究試料器具は、好ましくは、ピペット装置、正確にはピペットまたはリピータピペット(ディスペンサ)として、実現される。研究試料器具は、手動の研究試料器具(すなわち、手によって操作可能、且つ移動可能である)であってもよい。または、研究試料器具は、研究試料を取り上げて、放出するプロセスが、好ましくは自動で実行される、固設された、移動不可能な器具であってもよい。したがって、研究試料器具は、より包括的なロボットシステムの一部であってもよく、または、研究室管理システム(laboratory management system:LMS)の一部であってもよい。
【0041】
本発明に係る研究試料器具、特にディスペンサは、ケーブル保持スペースを備え、該ケーブル保持スペースにおいて、本発明に係るプリント回路基板用ケーブル装置が配置される。そして、該該ケーブル保持スペースは、少なくとも1つの第1、第2、および第3の保持スペースに分割される。ここで、第1のプリント回路基板領域は、第1の保持スペースに配置され、第2のプリント回路基板領域は、第2の保持スペースに配置され、且つ、第3のプリント回路基板領域は、第3の保持スペースに配置される。そして、第2の保持スペースは、プリント回路基板と直交している場合、第1の保持スペースよりも小さな断面領域を有する。本発明に係るプリント回路基板用ケーブル装置を用いることによって、本発明に係る研究試料器具をよりコンパクトにすることができる。このことは、第2および第3のプリント回路基板領域を伴う、第2の保持スペース、ならびに、選択的には第3の保持スペースにも、それぞれ関連する。研究試料器具のコンパクトな構成によって、まず第1に、器具の製造における費用効率がより向上することになる。そして、第2に、コンパクトな構成によりスペースが省略されることによって、外観を改善し、または他の目的のために利用することができるので、このような研究器具を、より順応性のある方法で使用することが可能となる。
【0042】
研究試料器具は、好ましくは、第1、第2、および第3の保持スペースがそれぞれ配置される、第1、第2、および第3の器具領域を備える。プリント回路基板用ケーブル装置は、第1の器具領域に配置された電子装置と、第3の器具領域に配置された第2の電子装置(特にセンサ装置)との間の電気接続を実現する。接触部は、好ましくは、第3のプリント回路基板領域におけるコンダクタトラックの端部に設けられる。そして、該接触部は、空間的に離隔した2つの接触領域を有し、接触部の2つの接触領域と同時に接触する導電接触要素によって検知可能な電気回路の閉鎖によって、センサ装置のセンサと、それぞれ関連付けられる。
【0043】
研究試料器具は、好ましくは、本体を備え、該本体は、好ましくは、細長い形状、すなわち、本体の長さが少なくともその幅および厚みの2倍となる形状を有する。この細長い本体は、好ましくは、研究試料器具の長さ方向の軸に沿って延在している。一方の端部において、本体は、端面を有してもよく、該端面は、本体が細長い形状を有している場合は、側面よりも小さい。該端面は、研究試料を取り上げる手段(例えば、光学的物体、電子プローブ、または、注射器もしくはピペット先端部等)を取り付けるために構成されてもよい。この端面は、長さ方向の軸に対して実質直交するように配置されてもよい。
【0044】
プリント回路基板用ケーブル装置は、好ましくは、本体内に配置され、第3のプリント回路基板領域が、上記端面に対して、第1のプリント回路基板領域よりも近接するように、配置される。なお、第1のプリント回路基板領域は、好ましくは、本体内部の方向に向かって延在する。第3のプリント回路基板領域は、好ましくは、上記端面、または本体の他の側面に対して平行に配置される。その結果、例えば、研究試料器具に接続され、その内部にて研究試料が保持される分離手段を識別するためのセンサ領域として、第3のプリント回路基板領域の表面を、本体の外側のさらなるコンポーネントとの相互作用のために、特に容易に用いることができる。プリント回路基板用ケーブル装置のコンパクトな構成により、本発明に係る研究試料器具は、特にこのような端面領域において、よりコンパクトな構成を有することが可能となる。
【0045】
好ましくは、研究試料器具は、特に、用いられているピペット先端部を識別するための、例えばセンサ装置のような電子装置を備える。電子装置は、好ましくは、研究試料器具内に配置され、好ましくは、第3の器具領域に配置される。好ましくは、電子装置の少なくとも一部は、プリント回路基板用ケーブル装置によって形成され、特に、第3のプリント回路基板領域、および/または第2のプリント回路基板領域の一部によって形成される。
【0046】
好ましくは、研究試料器具は、少なくとも1つの補助装置を備え、該補助装置は、第2の器具領域、および/または第3の器具領域に配置される。補助装置は、取り付け装置であってもよい。取り付け装置は、外部装置(特に、試料容器)を、研究試料器具(例えば、研究試料器具がディスペンサである場合は、好ましくはピペット先端部または注射器)に、着脱可能に取り付けるように構成され得る。取り付け装置は、特にスナップ式ジョイントのような、クランプ機構を有してもよい。好ましくは、スナップ式ジョイントは、少なくとも2つの保持部材を含み、これら保持部材は、特に、研究試料器具にバネ連結される。さらに具体的には、これら保持部材は、研究試料器具の底部またはハウジングにバネ連結される。好ましくは、取り付け装置は、外部装置を、手動で取り付けおよび/または取り外し、特に、手動でロックおよび/またはロック解除するように、構成される。好ましくは、クランプ機構は、少なくとも2つのクランプ部材を含み、これらクランプ部材は、互いに反対側に取り付けられ、研究試料器具の長さ方向の軸に対して対向する側に配置される。
【0047】
好ましくは、電子装置は、可動部、特に、可動の接触ソケットを備える。この可動部は、特に、該可動部の移動をガイドするガイド装置を用いて、研究試料器具の長さ方向の軸と平行な方向に移動可能となるように構成されてもよく、また、他の方向には移動不可能となるように構成されてもよい。接触ソケットは、外部装置が研究試料に取り付けられている場合、この外部装置によって接触されるように構成される。好ましくは、接触ソケットは、研究試料器具、特に、研究試料器具の底部またはハウジングに、バネ連結される。
【0048】
好ましくは、補助装置は、保持装置である。好ましくは、研究試料器具は、保持装置を備え、該保持装置は、研究試料器具と連結する可動部を保持し、好ましくは、取り付け装置とともに、第2の器具領域、および/または第3の器具領域に配置される。保持装置は、好ましくは、研究試料器具、より具体的には、研究試料器具の底部またはハウジングに、直接的または間接的に取り付けられる。保持装置は、可動部の移動をブロックするブロック装置を形成するように、構成されてもよい。好ましくは、保持装置は、2つの保持部材を含み、これら保持部材は、互いに反対側に取り付けられ、研究試料器具の長さ方向の軸に対して対向する側に配置される。
【0049】
補助装置、特に、保持装置および/または取り付け装置は、好ましくは、第2の器具領域、および/または第3の器具領域に配置される。したがって、利用可能なスペースは、第2および/または第3の器具領域において減少することになる。この状況下では、第2および第3の器具領域に配置されるケーブル保持スペースのためのスペースを減少させること、特に、第2および第3のケーブル保持スペースのためのスペースを減少させることが好ましい。このような限られたスペースの状況下においても、プリント回路基板用ケーブル装置、特に、第2および第3のプリント回路基板領域を、第2および第3の器具領域に配置することが可能である。何故ならば、第2のプリント回路基板領域においては、少なくとも1つのコンダクタトラックが、基板の第1の面上に配置され、且つ、少なくとも1つのコンダクタトラックが、基板の第2の面上に配置されているからである。このようにして、限られた空間に係る課題は、克服されることとなる。
【0050】
第2のプリント回路基板領域に、少なくとも2つの分岐部を設けることは、特に有利である。2つの分岐部の間に、補助装置の一部、特に、保持装置の一部を配置することが好ましい。このようにして、限られた空間に係る課題が、さらに減少する。この場合、補助装置の一部、または、保持装置の一部は、分岐部の間に配置され、上述したような、第2の保持スペースを2以上の領域に分割する、対称器具の分割構造を形成する。
【0051】
本発明は、さらに、本発明に係る研究試料器具を製造する方法に関し、この方法は、以下のステップを備える。すなわち、本発明に係る方法は、プリント回路基板用ケーブル装置を提供するステップと、研究試料器具のケーブル保持スペースに、プリント回路基板用ケーブル装置を配置する(特に、プリント回路基板用ケーブル装置の一部、特に、第3のプリント回路基板領域を屈曲させる)ステップとを備える。
【0052】
プリント回路基板用ケーブル装置を製造するための方法は、以下のステップを備える。すなわち、本発明に係る方法は、基板を提供するステップと、該基板上(特に、第1、第2、および第3のプリント回路基板領域に)にコンダクタトラックを設けるステップ(特に、少なくとも一部の、または全てのコンダクタトラックを一体的な態様で製造し、特に、少なくとも第2のプリント回路基板領域において、その両面にコンダクタトラックを設けるステップ)と、好ましくは、導電性のスリーブ要素を(特に、コンダクタトラックのコンポーネントとして)、好ましくは、該スリーブ要素が、基板の一方側から他方側へ向かうコンダクタトラックの移行部を形成するとともに、プリント回路基板の貫通孔(130,131)に配置されつつ、設けるステップとを備える。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】各場合において異なる、本発明に係るプリント回路基板用ケーブル装置の例示的実施形態の概略平面図を、(a)〜(c)にそれぞれ示す。
【図2】本発明に係るプリント回路基板用ケーブル装置のさらなる例示的実施形態の概略部分図を示す。
【図3】本発明に係るプリント回路基板用ケーブル装置の互いに異なる例示的実施形態の第1のプリント回路基板領域を通る断面図を、(a)〜(b)にそれぞれ示す。
【図4】本発明に係るプリント回路基板用ケーブル装置の互いに異なる例示的実施形態の第2のプリント回路基板領域を通る断面図を、(a)〜(b)にそれぞれ示す。
【図5】本発明に係るプリント回路基板用ケーブル装置の互いに異なる例示的実施形態の第2のプリント回路基板領域を通る断面図を、(a)〜(c)にそれぞれ示す。
【図6a】本発明に係るプリント回路基板用ケーブル装置の例示的実施形態の平面図を示す。
【図6b】図6aに示すプリント回路基板用ケーブル装置を下方から見た図を示す。
【図6c】図6aに示すプリント回路基板用ケーブル装置の基板の平面図であって、貫通孔を視認可能に示している。
【図7】(a)は従来技術に係る研究試料器具の概略前面図を示し、(b)は図7aに示す研究試料器具の概略側面図を示す。
【図8】本発明に係る研究試料器具の概略側面図を示す。
【図9a】本発明に係るプリント回路基板用ケーブル装置のさらなる例示的実施形態の概略平面図を示す。
【図9b】図9aに示すプリント回路基板用ケーブル装置の詳細を示す平面図である。
【図9c】図9aに示すプリント回路基板用ケーブル装置の詳細を下方から見た図である。
【図10】(a)は、本発明に係る研究試料器具の好ましい実施形態のディスペンサ注射器を取り付けるための取り付け装置の一部を示しており、ディスペンサ注射器が取り付けられていない状態を示す。(b)は、図10(a)の取り付け装置を示しており、ディスペンサ注射器が取り付けられた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本発明に係るプリント回路基板用ケーブル装置と、本発明に係る研究試料器具のさらに好ましい実施形態は、図面とともに、例示的実施形態の以下の説明から、明らかとなる。なお、同じ符号は、実質的に同等であるコンポーネントを示している。
【0055】
図1(a)は、第1の例示的実施形態による、本発明に係る研究試料器具の実施形態のプリント回路基板用ケーブル装置1の平面図を概略的に示す。プリント回路基板用ケーブル装置1は、細長い可撓性のプリント回路基板2を有する。このプリント回路基板の、電気的絶縁性および可撓性を有する基板のベース材料は、例えば、ポリイミドであってもよい。コンダクタトラック(3、4、5、6)は、図示されているプリント回路基板2の基板の第1の側の面(表側の面)上において、プリント回路基板2の実質全長に亘って設けられている。コンダクタトラックの束の輪郭線は、プリント回路基板のほぼ全ての領域において、互いに実質平行となるように延びており、図1(a)にて概略的に示されている。図1(a)、(b)、および(c)を横断する2本の水平な点線は、3つの領域A、B、Cを示している。第1のプリント回路基板領域は領域Aに、第2のプリント回路基板領域は領域Bに、第3のプリント回路基板領域は領域Cに、それぞれ配置されている。
【0056】
第1のプリント回路基板領域Aにおいては、プリント回路基板2は、貫通孔を含む領域8を有する。領域Aにおいて互いに平行に延びる、コンダクタトラックの束3は、領域8の近傍で分岐する。ここで、図示された2つの分岐部4、4’は、領域Aにおける第1の面上において連続して延びている。対照的に、コンダクタトラックの束3の中央部からのコンダクタトラックの半数は、領域8における導電性の貫通孔を通って、基板の第2の側の面(裏側の面)にそれぞれ配線される。そして、これらのコンダクタトラックは、分岐部4、4’の各々に対して、該分岐部4、4’の下方側において延在する、コンダクタトラックの相補的な部分束(図示せず)が存在するように、配線される。第2のプリント回路基領域Bへの移行部の前方において、全てのコンダクタトラックは、方向を変え、再度、第1のプリント回路基領域におけるコンダクタトラックの第1の束3に平行となるように延びる。
【0057】
第2のプリント回路基板領域Bにおいて、コンダクタトラックの部分束5は、基板の第1の面上で、互いに平行に延び、且つ、その相補的部分束(図示せず)は、部分束5の下方の、基板の第2の面上にて延在している。これは、各分岐部における場合である。それぞれの場合におけるコンダクタトラックの部分束5(および、その相補的部分束)は、第3のプリント回路基板領域C内に延びている。そこでは、各コンダクタトラックは、好ましくは、開放端として終端しており、該開放端は、例えばセンサ装置のような電子装置に接続するために利用可能である。
【0058】
第2のプリント回路基板領域Bは、第1のプリント回路基板領域Aよりも小さな幅寸法を有している。何故ならば、第2のプリント回路基板領域Bにおけるプリント回路基板の平均正味幅、すなわち、領域Bにおけるプリント回路基板の分岐部の平均幅が、第1のプリント回路基板領域Aの平均幅よりも小さいからである。これは、領域Bおよび領域Aにおけるケーブル束の幅または正味幅に関しても、同様に当てはまる事項である。第3のプリント回路基板領域Cの幅寸法は、この場合においては、領域Bと実質同じである。コンダクタトラック3の一部を基板の第2の面上に移転させた結果、領域Bにおけるプリント回路基板の幅寸法を小さくすることが可能となる。したがって、このプリント回路基板は、この領域Bにおいて必要となる保持用スペースを、より小さくすることができる。コンダクタトラックが、領域Bにおいて、他のトラックと実質重なって延びるように配置された結果、ケーブル束5(その下方側にて延在するケーブル束、すなわち、相補的として上記に言及されたものも考慮して)の幅(または正味幅)も、さらに小さくなる。その結果、コンダクタトラックを、ボトルネックを通して配線することがより容易となる。幅寸法について、さらに図2〜図3(b)を加えて、より詳細に説明する。
【0059】
図1(b)は、本発明に係る研究試料器具の他の例示的実施形態による、プリント回路基板用ケーブル装置10の概略平面図を示す。領域AおよびBにおいて、プリント回路基板用ケーブル装置10、またはプリント回路基板12は、図1(a)に示すプリント回路基板用ケーブル装置1と実質同じである、フォーク状構造を備える。しかしながら、この実施形態は、第3のプリント回路基板領域Cにおいて異なる形態を備えている。この実施形態は、図1(b)において環状の構成を備えている。この領域において、領域Bにおける一つの分岐部から開始して、コンダクタトラック(図示せず)は、基板の第1の面、および基板の第2の面の双方の上にて正確に、リングの半体においてそれぞれ延在している。領域Bから領域Cへの移行領域において、基板のそれぞれの面上における、コンダクタトラックの部分束の各々は、一方の部分束がプリント回路基板の対称軸の方向に延び、且つ、他方の部分束が対称軸から離れて延びていくように、再度分岐してもよい。各コンダクタトラックの開放端は、リング領域に配置され、例えば接触部として構成可能であり、また、例えばセンサ装置の一部となり得る。
【0060】
図1(c)は、本発明に係る研究試料器具の他の例示的実施形態による、プリント回路基板用ケーブル装置20の概略平面図を示す。この例の場合、プリント回路基板22は、第2のプリント回路基板領域Bにおいて、3つの分岐部に分岐している。それぞれの分岐部において、基板の第1の面および基板の第2の面の双方の上において、実質的に互いに重なって延びるコンダクタトラックが設けられている。第2のプリント回路基板領域Bにおける、分岐部の最小正味幅は、第1のプリント回路基板領域Aの最小幅よりも小さい。したがって、第2の幅寸法は、第1の幅寸法よりも小さくなる。
【0061】
図2は、本発明に係る研究試料器具の他の例示的実施形態による、プリント回路基板用ケーブル装置30の概略部分平面図を示す。コンダクタトラック(33、35、36)は、それぞれのプリント回路基板領域A、B、およびCにおいて延びている。ここでは、コンダクタトラックの束の輪郭線のみが図示されており、これら輪郭線は、少なくとも複数の領域において実質平行である。束33の領域において、これは、結果として、例えば破線E1に沿う断面(図の紙面に対して直交する)を有する構成となり、この断面は、図3(a)に示す断面に相当するものとなる。
【0062】
プリント回路基板用ケーブル装置30のプリント回路基板32は、分岐点を有していないが、代わりに、階段状または連続的形態のテーパを有している。このテーパは、第1のプリント回路基板領域Aから始まって、第2のプリント回路基板領域Bを越えて、第3のプリント回路基板領域Cまで延びている。一方では、この構成は、以下の理由により、可能となる。すなわち、第2のプリント回路基板領域Bにおけるコンダクタトラックが、基板の第1および第2の面の双方の上にて延在し、さらには、互いに重なって延在するように、特に配置されているからである。束35の領域において、この構成は、結果として、コンダクタトラックのスタック、または多層(この例においては2層)のプリント回路基板領域となる。この領域は、点線E2に沿って、例えば図4(a)に示す断面に相当する断面を有し得る。
【0063】
さらに、コンダクタトラックの束36は、さらなる基板がそこに配置されている事実により、第3のプリント回路基板領域Cにおいて、2層以上に配置されている。コンダクタトラックのスタック、または多層(この例においては3層)のプリント回路基板領域は、束36の領域に現れ、例えば、点線E3に沿って、図5(a)または(b)に示す断面に相当する断面を有する。
【0064】
第2のプリント回路基板領域Bの第2の幅寸法は、第1のプリント回路基板領域Aの第1の幅寸法よりも小さい。何故ならば、第2のプリント回路基板領域Bの最小幅B2は、第1のプリント回路基板領域Aの最小幅B1よりも小さいからである。さらに、第2のプリント回路基板領域Bのコンダクタトラックの束35の最小幅b2は、また、第1のプリント回路基板領域Aのコンダクタトラックの束33の最小幅b1よりも小さい。第3のプリント回路基板領域Cにおけるコンダクタトラック36の3層構造によって、第3の幅寸法は、この場合、第2の幅寸法よりも小さくなる。このようなプリント回路基板用ケーブル装置は、以下のような器具においても用いられ得る。すなわち、この器具においては、第2および第3のプリント回路基板領域を保持するための、対応するケーブル保持スペースが、より小さな幅のみを提供する。
【0065】
図3(a)は、本発明に係る研究試料器具のさらなる例示的実施形態による、プリント回路基板用ケーブル装置40の断面図を示しており、より正確には、その第1のプリント回路基板領域を通過する断面図を示す。プリント回路基板42は、ポリイミドからなる基板43を有し、該基板43上に、15本の金属製のコンダクタトラック46が、互いに平行に延びるように配置されている。互いに隣接するコンダクタトラックは、コンダクタトラックの幅よりも大きな一定の距離で、離隔している。上側に位置する、プリント回路基板42の基板の第1の面は、樹脂からなる被覆層45によって、保護されている。この被覆層45は、基板43の上側とコンダクタトラック46を覆う、連続的、且つ部分的に透明な保護フィルムを形成する。それに対応して、下側に位置する、基板の第2の面は、同様の被覆層44によって覆われる。この断面は、幅寸法B1と関連付けられ得るものであり、該幅寸法B1は、プリント回路基板42の断面の幅によって規定される。さらに、この断面は、同様の幅寸法b1と関連付けられ得るものであり、該幅寸法b1は、各コンダクタトラック46によって形成される、ケーブル束の断面の幅によって規定される。コンダクタトラックの正確な数とは無関係に、本発明に係るプリント回路基板用ケーブル装置が、第1のプリント回路基板領域において、このような断面を有し得ることが好ましい。
【0066】
図3(b)は、本発明に係る研究試料器具のさらなる実施形態による、プリント回路基板用ケーブル装置50の断面を示す。より正確には、図3(a)と同様に、第1のプリント回路基板領域を通る断面を示している。この場合、プリント回路基板用ケーブル装置50のプリント回路基板52における、第1のプリント回路基板領域は、分岐された構成を備えており、第1の分岐部52aおよび52bを有する。分岐部52aは、7本のコンダクタトラック56からなる第1のケーブル束を含み、分岐部52bは、8本のコンダクタトラック56からなる第2のケーブル束を含む。これを越えるように、分岐部は、同様の構成と、基板(53a、53b)と、上側被覆層(55a、55b)および下側被覆層(54a、54b)とを、実質的に有している。第1のプリント回路基板領域の幅寸法は、正味幅として特定されてもよい。正味幅は、2つの分岐部の幅寸法の和である。すなわち、正味幅は、2つの分岐部の断面の幅の和である、B1_1+B1_2、または、2つのケーブル束の断面の幅の和である、b1_1+b1_2となる。第1のプリント回路基板領域を、図3(a)による断面、および図3(b)による断面の双方を有するように構成することも、可能である。さらに、一般的には、プリント回路基板用ケーブル装置の場合においては、nxの数のコンダクタトラックを、第1のプリント回路基板領域において、基板の第2の面上に配線することも可能であって、ここではすなわち、好ましくは、それぞれの場合において、nx<7、特に好ましくはnx<4、さらに好ましくはnx<2という条件が規定される。
【0067】
図4(a)および図4(b)は、本発明に係る研究試料器具の一実施形態の、プリント回路基板用ケーブル装置(60、70)の異なる例示的実施形態の第2のプリント回路基板領域を通る断面をそれぞれ示す。図3(a)および図3(b)に示す第1のプリント回路基板領域の断面に関する例示的実施形態のように、第2のプリント回路基板領域も、図4(b)に示すように、分岐された構成を有し得る。または、第2のプリント回路基板領域は、図4(a)に示す断面に一致して、少なくとも複数の領域において、分岐された構成を有さなくてもよい。第2のプリント回路基板領域において、プリント回路基板用ケーブル装置60は、プリント回路基板62を備え、該プリント回路基板62は、分岐していない。そして、プリント回路基板62において、基板63の上側には、8本のコンダクタトラック66が、互いに平行且つ等間隔で離隔して、配置されている。また、基板63の下側には、7本のコンダクタトラック67が、互いに平行且つ等間隔で離隔して、配置されている。このように、全部で15本のコンダクタトラックが表されている。ここでは、基板の第1の面および第2の面上側コンダクタトラックおよび下側コンダクタトラックは、実質的に、基板63上において、互いにオフセットされるように配置されている。すなわち、表示されている直角座標系のx−z平面は、上側コンダクタトラックおよび下側コンダクタトラックの双方と(少なくとも、この断面領域において)交わることがない。基板のそれぞれの面は、被覆層(64、65)によって保護されている。この第2のプリント回路基板領域の幅寸法B2は、例えば、図3(a)に示す第1のプリント回路基板領域の幅寸法B1よりも小さい。
【0068】
図4(b)は、プリント回路基板72を示しており、該プリント回路基板72は、第1の分岐部72aおよび72bを有する。分岐部72aは、8本のコンダクタトラックを含む。すなわち、分岐部72aは、基板の上側の第1の面上に設けられた、4本のコンダクタトラック76aと、基板の下側の第2の面上に設けられた、4本のコンダクタトラック77aとを含む。対照的に、分岐部72bは、7本のコンダクタトラックを含む。すなわち、分岐部72bは、基板の第1の面上に設けられた、4本のコンダクタトラック76bと、基板の第2の面上に設けられた、3本のコンダクタトラック77bとを含む。それぞれに、1つの被服層(75a、75b、74a、74b)が、基板のそれぞれの側の面上に設けられている。一例として、図4(a)および(b)に示されている第2のプリント回路基板領域の幅寸法は、それぞれ、図3(a)および(b)に示されている第1のプリント回路基板領域の幅寸法B1よりも小さい。何故ならば、B2または正味幅b2_1+b2_2が、それぞれ、B1またはb1_1+b1_2よりも小さいからである。
【0069】
図5(a)、(b)、および(c)は、本発明に係る研究試料器具の一実施形態のプリント回路基板用ケーブル装置(80、80’、90)の異なる例示的実施形態の第2のプリント回路基板領域を通る断面図をそれぞれ示す。図5(a)および(b)は、それぞれ、第2のプリント回路基板領域における多層構造のプリント回路基板82を示す。該プリント回路基板82は、それぞれ、2つの基板(83a、83b)を有し、例えばポリイミドからなる中間層によって分離されている。その結果、図示されているように、上側基板83aの下面に設けられたコンダクタトラック86b(この例の場合、3本のコンダクタトラック)を提供することが可能となる。それとともに、下側基板83bの上面に設けられたコンダクタトラック87b(この例の場合、4本のコンダクタトラック)を提供することも可能となる。当然ながら、プリント回路基板の内部に配置されたコンダクタトラック(86b、87b)の2つの層の一方は、省略されてもよい。上側基板の83aの上面上には、4本のコンダクタトラック86が設けられており、同様に、下側基板の83bの下面上には、4本のコンダクタトラック87が設けられている。図5(a)において、コンダクタトラック86と86b、および、コンダクタトラック86bと87bは、互いにオフセットされるように、それぞれ配置されている。その一方で、コンダクタトラック86、87b、および87は、互いに重なって配置されるように延びている。しかしながら、以下のような構成により、他の態様で互いにオフセットされたコンダクタトラックの種々の層を構成することも可能である。すなわち、例えば、図5(b)に示すように、それぞれの場合において、基板の上側および下側上のコンダクタトラックが、好ましくは、互いにオフセットされてそれぞれ配置される。第2のプリント回路基板領域のこのような構造における第2の幅寸法は、例えば図4(a)または(b)に示されている2層のプリント回路基板の構造と比べて、さらに小さくされ得る。
【0070】
図5(c)は、第2のプリント回路基板領域の例を示しており、ここでは、プリント回路基板92は、3つの基板93a、93b、および93cを有している。そして、これら3つの基板は、中間層98、98’によってそれぞれ分離され、その外側を被覆層95、95’によって覆われている。第2のプリント回路基板領域のこのような6層構造における第2の幅寸法は、例えば図5(a)または(b)に示されている4層のプリント回路基板の構造と比べて、さらに小さくされ得る。
【0071】
図4(a)と(b)、および図3(a)と(b)、また、図5(a)、(b)、および(c)からの例示的実施形態は、当然ながら、所望の、本発明に係る研究試料器具の一実施形態のプリント回路基板用ケーブル装置を得るために、組み合わされてもよい。
【0072】
平面図において、図6aは、本発明に係る研究試料器具の好ましい実施形態による、実質平面状のプリント回路基板用ケーブル装置100を示す。x−y平面における好ましい比率は、可能な範囲で、選択的に図6a、図6b、および図6cから取得され得る。プリント回路基板用ケーブル装置100は、実質細長い形状を有し、その最大幅(それぞれ、y軸方向における最外端間の幅)は、約35mmであり、且つ、その最大長さ(それぞれ、x軸方向における最外端間の幅)は、約170mmである。また、最大高さ(それぞれ、z軸方向における最外端間の幅)は、約0.2mmである。プリント回路基板102は、第1のプリント回路基板領域A、第2のプリント回路基板領域B、および第3のプリント回路基板領域Cを有する。第1のプリント回路基板領域は、領域A1における実質U字状の第1のセグメント(104、106、107、108)と、上記第1のセグメント(104、106、107、108)と、第2のプリント回路基板領域(領域Bにおける)との間に位置する、領域A2における細長い長方形状の第2のセグメント103とから、実質的に構成されている。セグメント103は、研究試料器具の細長い本体の長手方向側に沿って、予め定められた距離(この例の場合、約60mm)を接続するのに適した構成となっている。領域A2におけるセグメント103は、貫通孔116を用いて、例えばネジ止めによって、研究試料器具に取り付けられてもよい。その結果、このセグメントは、特に曲げまたはズレに対して機械的に安定して固定される。これにより、導電スリーブに負荷される機械的負荷がより小さくなる。ここで、特に、この導電スリーブは、好ましくは、基板の一方側から他方側に至るコンダクタトラックの移行部を形成し、貫通孔(130、131)に配置される。実質的に長方形状の細長いセグメント104は、セグメントA2と接しており、セグメント103と実質直交しつつ、角連結部105から延在している。セグメント104は、屈曲した形態(例えば、10mmから30mmの範囲の半径)で配置されるのに適した構成となっており、これにより、曲率半径内に配置される、研究試料器具の本体におけるそれらコンポーネントの周囲を、部分的に把持することができる。セグメント106は、実質的にx軸に沿って延びているが、セグメント103に対してオフセットされた形態として構成されている。そして、セグメント106は、直角の屈曲領域109がセグメント107に達するまでのさらなる距離を接続する。該セグメント107は、セグメント104に対して平行であるが、セグメント104よりも短い。セグメント107は、より大きな厚みを有する強化領域109によって終端しており、該強化領域109において、コンダクタトラックは、電気接触ポイントの形態で、外部に露出している。セグメント108は、このように、例えば、研究器具の制御装置のような、いずれの電子装置の雌プラグに差し込むための、プラグ領域として用いられ得る。
【0073】
プリント回路基板用ケーブル装置100の、領域Bにおける第2のプリント回路基板領域は、第1の分岐部110と、第2の分岐部111とを有する。これらの分岐部の双方は、キャビティーによって分離されている。この構成によってもたらされる利点は、本発明に係るプリント回路基板用ケーブル装置100を、以下のような研究試料器具内に配置することができる点にある。すなわち、この研究試料器具においては、プリント回路基板用ケーブル装置100の第2のプリント回路基板領域を保持するための第2の保持スペースは、任意のコンポーネントによって占有され、プリント回路基板用ケーブル装置に利用することができない。次に、このようなプリント回路基板用ケーブル装置を備える研究試料器具は、よりコンパクトな構造、且つ、より柔軟性のある設計を有することができる。何故ならば、第2のプリント回路基板領域は、第1のプリント回路基板領域よりも小さな幅寸法を有しているからである。これらの利点は、全ての、本発明に係るプリント回路基板用ケーブル装置と、本発明に係る研究試料器具とに、本発明の記載の範囲において、実質的にもたらされる。
【0074】
第2のプリント回路基板領域の、第3のプリント回路基板領域への連結領域112において、プリント回路基板102は、屈曲するように構成されている。この特徴は、全ての、本発明に係るプリント回路基板用ケーブル装置と、本発明に係る研究試料器具とに、本発明の記載の範囲において、実質的に適用される。この屈曲形状によって、第3のプリント回路基板領域は、第2のプリント回路基板領域に対して、好ましくは、90°で屈曲して配置され得る。本発明に係る研究試料器具において、プリント回路基板用ケーブル装置は、好ましくは、第3のプリント回路基板領域が、第1および/または第2のプリント回路基板領域に対して、角度aで屈曲するように、配置される。ここで、好ましくは、角度a=90°(±5°を含む)、または、70°<a<120°が、適用されるか、または、aが異なる角度となる。屈曲形状を安定させるために、屈曲補助部113が設けられてもよく、該屈曲補助部113は、移行領域において、第2および第3プリント回路基板領域の間を、予め定められた屈曲領域で延在する。プリント回路基板用ケーブル装置100において、屈曲補助部113は、細長い金属要素によって構成され、好ましくは、プリント回路基板の屈曲領域において、全てのコンダクタトラックよりも大きな全体的断面を有する。屈曲部113は、好ましくは、カプトン(Kapton:登録商標)からなる部分的に弾性且つ可撓性のプリント回路基板102の弾性復元力が、プリント回路基板を屈曲させた後に、再度屈曲を解除してしまうことを防止するように形成される。これにより、屈曲領域において、コンダクタトラックに過度のストレスが加わることを防止することができる。
【0075】
領域Cにおける第3のプリント回路基板領域は、領域Bにおける第2のプリント回路基板領域と接している。第3のプリント回路基板領域は、環状部114が設けられていることから、実質環状の構成を有する。環状部114は、図6aにおいて点線E4の下側に位置する第1のリング半体114aと、点線E4の上側に位置する第2のリング半体114bとを有する。環状部114は、4つの角フランジ115をさらに有しており、該角フランジ115は、リングの平面に配置され、それぞれが孔116を含む。この孔116によって、第3のプリント回路基板領域を、例えば、研究試料器具の内部に組み込むことができる。
【0076】
プリント回路基板用ケーブル装置100は、第1および第2のプリント回路基板領域に、15本のコンダクタトラックを備えている。上記コンダクタトラックは、基本セグメントにおいて常に、少なくとも部分的に束状の形態で、平行に延びている。角屈曲部105の領域において、互いに実質等間隔に配置された、計15本のコンダクタトラックの主束120は、互いに等間隔に配置された8本のコンダクタトラックからなる第1の部分束121と、互いに等間隔に配置された7本のコンダクタトラックからなる第2の部分束122とに、分離される。領域A3が、第1のプリント回路基板領域のセグメントA2に、さらに形成されている。この領域A3において、第1および第2の部分束121、122のコンダクタトラックの実質半分が、それぞれ、基板の第1の面(図示されている側)から、基板の第2の面(図示されていない側)へと移行する。第1の部分束121の場合、4本のコンダクタトラック121bが、基板の第2の面へと移行しており、且つ、第2の部分束122の場合、3本のコンダクタトラック122bが、基板の第2の面へと移行している(図6bを参照のこと)。領域A3におけるプリント回路基板の計7つの貫通孔130は、図6aおよび図6bに図示されていない。なお、領域A3に沿って、コンダクタトラックは、それぞれ面を変更する。領域A3から前方へ向けて延びる、第1の部分束121の上側の4本のコンダクタトラック121aと、第2の部分束122の上側の4本のコンダクタトラック121aのみが、図6aに図示されている。
【0077】
第3のプリント回路基板領域の領域Cにおいて、コンダクタトラックの第1の部分束121の実質全ては、環状部114の第1のリング半体114aに繋がり、コンダクタトラックの第2の部分束122の実質全ては、環状部114の第2のリング半体114bに繋がっている。この構成によって、特に、2つのリング半体のアームを比較的に細くする可能性がもたらされ、その結果、研究試料器具において第3のプリント回路基板領域に要する保持スペースを、より小さくするというさらなる利点がもたらされることになる。その結果、本発明に係るプリント回路基板用ケーブル装置がこのように設けられている、本発明に係る研究試料器具は、より柔軟な構成を備えることができる。さらに、この実施形態は、特に、第2のプリント回路基板領域の比較的に小さな第2の幅寸法が問題となることなく、比較的に多くのコンダクタトラックを、第2のプリント回路基板領域から第3のプリント回路基板領域へ、配線することを可能とする。その結果、例えば、比較的に多くの数(NA=14)のスキャンポイントを有するスキャン装置のような、より複雑な電子装置を構成することができる。
【0078】
第2のプリント回路基板領域の領域Bにおいては、コンダクタトラックは、図4(b)の例示的実施形態に示されているように、実質的に延在している。第1のプリント回路基板領域の領域106においては、コンダクタトラックは、図3(a)の例示的実施形態に示されているように、実質的に延在している。第1のプリント回路基板領域の領域103においては、コンダクタトラックは、図3(b)の例示的実施形態に示されているように、実質的に延在している。
【0079】
図6bは、180°回転させた、プリント回路基板用ケーブル装置100の下側を示す。図6bに示されているように、下側のコンダクタトラックの第1および第2の部分束121b、122bも、環状部において、基板の第2の面(すなわち、プリント回路基板102の下側の面)上にて、実質延在している。図6cにおいては、プリント回路基板102は、敷設されたコンダクタトラックを省略して示されている。図6a、図6b、および図6cの比較によって、特に、環状部の貫通孔131の位置で、下側のコンダクタトラックの第1および第2の部分束121b、122bが、基板の第1の面上に再度配線されていることが示されている。そして、この位置において、これら部分束121b、122bは、接触部140の領域内に接続されているか、または、さらなるコンダクタトラック部によって、接触部140の領域まで配線されている(殆ど、図示されていない)。
【0080】
全体として、計14個(NA=14)の接触部140が、設けられており、該接触部140に、コンダクタトラックの束120の計15本のコンダクタトラックのうち、少なくとも1本が、接続している。1つの接触部は、タッチセンサの接触センサ領域として構成されており、該タッチセンサは、研究器具のスキャン装置の一部材として設けられている。なお、この研究器具としては、例えば、図8の例示的実施形態に記載されているような、本発明に係る研究器具が挙げられる。接触部140は、第1の接触領域と第2の接触領域を有し、これら接触領域の双方は、互いに離隔しており、それ故に、電気的に絶縁されている。2つの接触領域は、独立した接触要素によって、電気的に接続され得る。この接触要素は、グラファイトディスクであってもよく、この接続は、対応するコンダクタトラックにおける電気抵抗の低下として、検知することができる。このような接触要素は、本発明に係る研究器具のスキャン装置の一部材であってもよく、該研究器具のスキャン装置に、プリント回路基板用ケーブル装置が配置されている。各接触領域は、多層に巻かれた、または分岐した繊細な電線を有しており、該電線は、アナログ構造を有する相補的接触領域にインターカレートされる。その結果、接触の信頼性が向上することになる。
【0081】
図9aは、プリント回路基板用ケーブル装置300の平面図を示し、該プリント回路基板用ケーブル装置300は、上記に説明したプリント回路基板用ケーブル装置100と同様の機能を有するコンポーネントを、実質的に備えている。したがって、プリント回路基板用ケーブル装置100および300の実質同等のコンポーネントは、同じ参照符号によって示されている。プリント回路基板用ケーブル装置300においては、第1のプリント回路基板領域Aのセグメント103またはA2は、複数のサブ領域A3、A3’、およびA3”を有している。これらサブ領域A3、A3’、およびA3”は、2本のコンダクタトラック束121、122のコンダクタトラックの全てが、少なくとも一度は、基板の第1の面から基板の第2の面、または、基板の第2の面から基板の第1の面へと配線されることを保証する目的のために機能する。プリント回路基板102の、互いに分離された複数のサブ領域A3、A3’、およびA3”がこの目的のために用いられることによって、貫通孔130と、さらなる構造とを、セグメント103に配置するための十分なスペースを確保することができる。本実施例においては、このようなさらなる構造とは、導電材料からなる試験接触ポイント301であり、該試験接触ポイント301は、プリント回路基板用ケーブル装置の機能を試験するための外部試験装置によって接触されてもよい。高信頼性のプリント回路基板用ケーブル装置の製造は、これらの試験接触ポイントによって簡易化される。図9bは、図9aに示すプリント回路基板用ケーブル装置の詳細を示す平面図である。図9cは、図9aに示すプリント回路基板用ケーブル装置の詳細を下方から見た図である。
【0082】
図7(a)は、従来技術に係る研究試料器具の外形の概略前面図を示す。研究試料器具は、Eppendorf AG(独国)による、手動ディスペンサ「Multipette(登録商標) Xstream」であり、2011年に商業的に実用化されている。上端部から底部まで、手動ディスペンサ180は、研究試料容器182の方向に向かって細くなるような外形を有している。手動ディスペンサの外形は、一部は技術的な理由によるものであり、また一部はEppendorf AG(独国)の設計概念によって決定されたものである。試料は、廃棄可能物である注射器181によって、計量された方法で、取り上げられ、または放出され得る。一例として、注射器181は、10mlの試料体積を保持するものであって、Eppendorf AG(独国)によって、着脱可能なアクセサリーとして、同様に2011年に商業的に実用化されている。注射器181は、手動ディスペンサの本体180の内部に一部配置されるので、その全体を図7(a)に示すことができない。
【0083】
図7(b)は、図7(a)に示す研究試料器具の概略側面図を示す。この例の場合、注射器181は、領域Cにおいて、フランジ部181aと、エンコードプロファイルフランジ181bと、ピストン連結部181cとによって形成され、その全体が概略的に図示されている。エンコードプロファイルフランジ181bの端面上のエンコードプロファイルによって、手動ディスペンサ180が、スキャン装置とともに、器具に接続された注射器のタイプを、自動的に識別することが可能となる。
【0084】
手動ディスペンサの本体180は、ケーブル保持スペース185、186を有しており、該ケーブル保持スペース185、186は、領域Bにおいて特に、注射器およびスキャン装置を保持するための連結機構を収容することに対する設計要求の結果として、空間的に大きく規制される。スキャン装置は、エンコードプロファイルフランジ181bの端面をスキャンするためのタッチセンサを用いるので、ケーブル保持スペース186は、研究試料器具の長手方向の軸に対して直交するように配置される。したがって、第3のプリント回路基板領域は、領域10に配置されており、長手方向の軸に対して、約90°の角度、好ましくは、80°〜100°の範囲の角度、特に好ましくは、88°〜92°の範囲の角度で配置される必要がある。なお、長手方向の軸の方向に、第1および第2のプリント回路基板領域が設置される。
【0085】
図8は、一例示的実施形態による、本発明に係る研究試料器具200の概略側面図を示す。ここで、この器具は、図7(a)および(b)に示すものと同様の手動ディスペンサであってもよい。本体201は、ケーブル保持スペース185を有し、該ケーブル保持スペース185の体積は、図7(a)および(b)に示す手動ディスペンサと同じであってもよい。本発明に係るプリント回路基板用ケーブル装置210は、手動ディスペンサ200のケーブル保持スペース185に配置され、且つ、このケーブル保持スペース185は、3つのサブスペース186、187、および188からなる。一例として、このプリント回路基板用ケーブル装置210は、図6aに示すプリント回路基板用ケーブル装置100に相当するものであってもよい。この場合、第3のプリント回路基板領域213のプリント回路基板用ケーブル装置100の環状部114は、第3の保持スペース186に配置される。また、2つの分岐部110、111は、第2のプリント回路基板領域212として、第2の保持スペース187に配置される。そして、プリント回路基板用ケーブル装置100の領域103は、第1のプリント回路基板領域211として、第1の保持スペース188に配置される。
【0086】
プリント回路基板用ケーブル装置210は、第1のプリント回路基板領域211と、第2のプリント回路基板領域212と、第3のプリント回路基板領域213とを含む、プリント回路基板(211、212、213)を有する。第3のプリント回路基板領域213は、第1のプリント回路基板領域211に対して90°の角度で配置されている。第2のプリント回路基板領域212の領域Bにおける、プリント回路基板のコンダクタトラックの2層のスタック構造の結果として、また、この領域の実現可能性の低さにおいて、従来の器具の場合に可能であったものよりも非常に多数の接触領域を、本発明に係る研究試料器具200において確保することができる。この結果、研究試料器具において、試料を保持する注射器および他の手段181’、または、これらの手段に連結され得るアダプタを用いることが可能となる。ここで、エンコードプロファイルは、比較的に多数(例えば、NA=14)のプロファイル上昇ポイントを有し、これを用いて、14bitのエンコードワードが現れるように論理値0または1が示されてもよい。本発明に係る示唆により、手動ディスペンサ200の端面領域における空間的な問題を伴わない技術的手段によって、この数を増やし、且つこれを実施することが、容易に可能となる。
【0087】
図10(a)は、手持ちディスペンサとしての研究試料器具400の好ましい実施形態のディスペンサ注射器481を取り付けるための取り付け装置の一部を示している。取り付け装置は、第1の位置に配置されており、この位置では、ディスペンサ注射器は、可動の接触ソケット411に取り付けられていない。接触ソケット411と、該接触ソケット411に強固に連結されている第3のプリント回路基板領域(図示せず)とは、電子センサ装置の部材である。この電子センサ装置は、研究試料器具に接続された注射器のタイプを識別する。取り付け装置は、クランプ部材412a、412bを含むスナップ式機構であり、該クランプ部材412a、412bは、第2および第3の器具領域において、研究試料器具の長さ方向の軸zに対してぞれぞれ反対側に配置され、且つ、バネ413によってバネ連結されている。接触ソケット411は、ガイド機構によってガイドされ、z軸に沿ってのみ移動可能であり、さらに、ディスペンサ400に、本実施形態においては4つのバネ414によって、バネ連結されている。接触ソケット411の移動は、保持装置415によって規制される。この保持装置415は、接触ソケット411の移動をブロックするブロック装置として構成される。
【0088】
保持装置は、2つの保持部材415を有する。これら保持部材は、互いに反対側に配置され、研究試料器具の長さ方向の軸zに対して反対側にそれぞれ配置される。この図面においては、2つの保持部材415のうち一方のみが図示されている。2つの保持部材415のうち一方は、図示されており、プリント回路基板用ケーブル装置430における第2のプリント回路基板領域432aおよび432bの2つの分岐部の間に配置される。第2の器具領域においては、利用可能なスペースが限られているが、第2のプリント回路基板領域432aおよび432bを、第2の器具領域に配置することができる。これは、第2のプリント回路基板領域において、少なくとも1つのコンダクタトラックが、基板の第1の面上に配置され、且つ、少なくとも1つのコンダクタトラックが、基板の第2の面上に配置されるからである。このように、第2のプリント回路基板領域の幅寸法は、小さい寸法に維持され、スペースの限定に係る課題が、克服されることになる。
【0089】
図10(b)は、図10(a)の取り付け装置を示しており、ディスペンサ注射器が取り付けられた状態を示す。ここでは、接触ソケット411は、上方に移動されており、この移動は、図中において、線L1と線L2との間の矢印にて示されている。バネ414は、注射器481によって圧縮されており、該注射器481は、図10(b)において、取り付け位置に保持されている。分岐部432aと432bとの間の凹み部によって、第2および第3のプリント回路基板領域の、保持部材415に対する相対的な移動が可能となる。ここで、保持部材415は、ディスペンサ400に強固に取り付けられている。第1のプリント回路基板領域431が、取り付け孔433によって、ディスペンサに強固に取り付けられていることに留意すべきである。このことは、接触ソケット411が、図10(a)の位置から、図10(b)の第2の位置に向けて、上方に移動された場合に、第2のプリント回路基板領域(実質的に、線L1と線L2との間に示されている)は、変位によって僅かに屈曲することを意味している。
【0090】
図10(a)および(b)に示す、このような構成を用いることによって、ディスペンサ内に限られたスペースしかない状況においても、ディスペンサの端面(この端面は、接触ソケット411によって形成される)に配置されたセンサ装置を、ディスペンサの制御装置(図10において図示せず)に接続することが可能となる。換言すれば、ディスペンサを、同時に、コンパクト且つ機能的に構成することができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント回路基板用ケーブル装置を備える、研究試料器具に関し、特に、このようなプリント回路基板用ケーブル装置を備える、例えばディスペンサまたはピペットといった計量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
可撓性のプリント回路基板用ケーブル装置は、例えばスペースの理由から、極小さい、または平坦なケーブル断面のみが可能であったとしても、ケーブルによる信号の連結、および他の技術的な電線を可能とするという利点を提供する。このような状況は、装置をベースとした処理、または研究試料の試験のための器具の場合に生じる。研究試料器具に必要となる空間的体積は、通常、研究試料自体と比べて非常に大きくなる。したがって、研究試料器具は、殆どの場合、研究試料の方向に向かって先細状となっている。一例として、手動の計量装置の場合であって、該計量装置においては、使用者が一方の手で保持することができ、可動の駆動メカニズムと、駆動メカニズムの可動性を制御する調整メカニズムが、ハンドルとしても機能する器具シャフト内に収容される。研究試料器具による汚染の危険性の結果として、研究試料が保持される手段は、好ましくは、例えば、樹脂からなる、交換可能な部材、通常は処分可能な部材である。この手段は、保持装置によって、研究試料器具に連結されるべきものである。保持装置は、研究試料器具の一方端に配置されており、該一方端にて、研究試料が保持され、放出される。研究試料が保持される手段は、好ましくは、ピペット先端部、または、注射器本体と注射器ピストンを含む注射器である。しかしながら、例えばカートリッジのような他の手段も、可能である。
【0003】
ピペット先端部は、通常、取り付け部に設置され、該取り付け部は、通常、少なくともやや円錐状である構成を有しているが、とりわけ、円筒状の構成を有し得る。ピペット先端部は、該先端部が取り付け部に対して圧接し、好ましくは取り付け部とピペット先端部との間を空気が通過できないように、取り付け部上に設置されている。取り付け部は、研究試料器具のハウジング部上の最外部であり、ここに、ピストン注射器ユニットが、変位装置として設けられている。ここで、注射器ユニットは、好ましくは、研究試料器具のハウジング部によって形成されている。注射器において、空気柱は、ピストンによって移動され、その結果、研究試料は、ピペット先端部内に取り込まれ、および/または、ピペット先端部から放出される。例えば、用いられているピペット先端部を識別するためのセンサ装置のような電子装置を、ピペット先端部を保持するための取り付け部に取り付ける必要がある場合、ハウジング部上に直接的に、センサ装置に繋がる電線を敷設するための極小さなスペースしかないこととなる。ここで、上記電線の敷設は、センサ装置が、研究試料器具のハウジング内に設けられた、閉ループ/オープンループの制御装置と通信することを可能とするために行われる。従来のフィード電線のために利用可能なスペース、もしくは、電子装置近傍の開放された断面領域は、それ故に非常に小さくなるか、または、配置形状は、その場所における小さな電線断面領域を許容するのみとなってしまう。
【0004】
独国特許出願DE 43 42 178 C2号は、このような研究試料器具(すなわち、リピータピペット)を記載している。この研究試料器具は、手動のディスペンサとしても言及されており、直接変位の原則に則って動作する。エアクッションの原則で動作するピペットとは異なって、手動ディスペンサにおける変位ピストンは、器具シャフトに配置されておらず、むしろ、内部に研究試料を保持する手段の一部となっている。ここで、この手段は、注射器の形態として構成されている。このようなディスペンサは、直接変位の原則に則って動作する。ここで、注射器の変位ピストンは、本質的に、試料液を計量するときに、エアクッションによって試料液から分離されておらず、むしろ、試料液に直接接触している。その結果、特に正確な計量が可能となる。上記手段に属する変位ピストンは、器具シャフトに配置されたアクチュエータに連結されている。特に、前述の文献による注射器の追加的な利点は、注射器を手動ディスペンサに取り付けるための、注射器の円筒状の注射器本体上の取り付け領域が、情報キャリヤとして追加的に実現されているという事実にある。手動ディスペンサのヘッド領域に配置されたセンサは、情報を読み出し、その情報を、器具シャフトに配置された制御装置に供給する。情報キャリヤとセンサは、使用者が手動ディスペンサに連結している注射器のタイプを自動的に捕捉するために用いられる。この情報は、制御装置によって、制御プログラムを選択するために用いられる。この制御プログラムは、ユーザによって予め定められた所望の試料体積を、対応するピストン移動へと変換する。
【0005】
センサは、スキャン装置を用いており、該スキャン装置は、注射器上の複数の読み出し領域を読み出す。この読み出し領域は、注射器の連結側上のピストン軸の周りに同心状に配置されており、手動ディスペンサのヘッド領域に面している。各読み出し領域は、突出部を有しており(または、有しておらず)、該突出部は、センサの機械接触スイッチを起動する(または、起動しない)。これにより、電気回路は、遮断される(または、遮断されない)。センサは、7つの接触ポイントを有しており、これらの接触ポイントは、それぞれ、1つの読み出し領域に対応している。これにより、所望の情報が、エンコードされる。これらの接触ポイントは、センサプリント回路基板上に同心状に配置されている。そして、このセンサプリント回路基板は、環状構成を含み、この環状構成の環状面に対して、ピストン軸が直交して動作する。コンダクタトラックフィルムは、その環状面に対して直交する角度で、センサプリント回路基板の端部に取り付けられており、接触ポイントから、器具シャフトの上方に配置された制御装置まで、電線を配線している。例えばハンダによって、センサプリント回路基板の電線を、コンダクタトラックフィルムの電線に接続する目的のために、センサプリント回路基板と、コンダクタトラックフィルムとの間の移行領域において、比較的に小さなスペースのみ、利用可能となる。この空間的な課題が、センサポイントの数と、要求される電線の数の増加とともに、より顕著となってきている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、研究試料器具のためのプリント回路基板用ケーブル装置を提供することであって、該装置は、電気コンダクタを、該電気コンダクタから所定の距離だけ離隔して配置された電子装置に、利用可能なスペースが限られている状態で空間セグメントを越えて接続することを可能とするものである。本発明のさらなる目的は、研究試料器具を提供することであって、該器具においては、プリント回路基板用ケーブル装置は、電気コンダクタを、該電気コンダクタから所定の距離だけ離隔して配置された電子装置に、利用可能なスペースが限られている状態で空間セグメントを越えて接続することを可能とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、この目的は、請求項1によるプリント回路基板用ケーブル装置と、請求項10による研究試料器具によって、達成される。好ましい実施形態は、従属請求項の主題である。
【0008】
研究試料器具、特に、ディスペンサまたはピペットのための、本発明に係るプリント回路基板用ケーブル装置は、基板の第1および第2の面と、連続して配置された、少なくとも1つの第1のプリント回路基板領域、少なくとも1つの第2のプリント回路基板領域、および、少なくとも1つの第3のプリント回路基板領域とを有する、(好ましくは可撓性の)少なくとも1つのプリント回路基板を備え、プリント回路基板は、複数のコンダクタトラックを有し、該コンダクタトラックは、少なくとも複数の領域において、プリント回路基板上にて互いに平行に配置され、第1のプリント回路基板領域に配置された第1のトラック部から、第2のプリント回路基板領域を経て、第2のトラック部が配置された第3のプリント回路基板領域まで延び、第2のプリント回路基板領域において、少なくとも1本のコンダクタトラックは、基板の第1の面上に配置され、且つ、少なくとも1本のコンダクタトラックは、基板の第2の面上に配置される。
【0009】
特に、本発明に係るプリント回路基板用ケーブル装置は、以下の点で有利である。すなわち、研究試料器具、特に手動の研究試料器具が、よりコンパクトな構成を有し得るような最適な方法で、第2のプリント回路基板領域上にて利用可能な面を用いることができる。好ましい実施形態において、本発明に係るプリント回路基板用ケーブル装置は、第2のプリント回路基板領域が、スペースの理由、またはその他の理由(例えば、他の構造要求の結果として)により、第2の幅寸法に規制される必要がある環境においても、用いることができる。ここで、上記第2の幅寸法は、第1のプリント回路基板領域の第1の幅寸法よりも小さい。
【0010】
コンダクタトラックの第1のトラック部は、コンダクタトラックの一方の端部であってもよく、例えば、ソケット装置に接続するために機能するプラグ装置に繋がり得る。例として、これらのソケット装置は、研究試料器具の制御装置に割り当てられてもよい。コンダクタトラックの第2のトラック部は、コンダクタトラックの他方の端部であってもよく、該他方の端部にて、例えば、電気接触装置、またはセンサ装置のセンサ要素が配置され得る。
【0011】
研究試料器具は、特に、ケーブルを保持するためのスペースを有しており、該スペースは、少なくとも第2の空間領域において、第1の空間領域よりも小さい。上記に説明したように、このような研究試料器具は、好ましくは、例えばピペットまたはディスペンサ、より具体的には、手動で操作可能なピペットまたはディスペンサのような計量装置である。このような手動で操作可能な器具は、手動研究試料器具として言及される。手動ディスペンサの例としては、電子ディスペンサである研究試料器具「Multipette(登録商標) stream」や、「Multipette(登録商標) Xstream」があり、Eppendorf AG(独国)によって2011年に商業的に提供されている。本発明は、上記に説明した、特許文献DE43 42 178 C2号に記載のタイプの研究試料器具にも適している。しかしながら、本発明は、液体、ゲル状、または粉状の研究試料が作用され、処理され、保持され、放出され、運搬され、および/または、(例えば、光学的、および/または、電気的もしくは電磁気的手段によって)試験のみされるような研究試料器具にも関連するものである。
【0012】
プリント回路基板は、好ましくは、変形可能であり、可撓性、特に弾性を有する。プリント回路基板は、好ましくは、プリント回路基板を、ある屈曲半径、および、好ましくはコンダクタトラックに直交して延びる該屈曲半径の径方向で、非破壊的方法により屈曲させるのに適した可撓性を有する。プリント回路基板のこの可撓性により、プリント回路基板用ケーブル装置を、屈曲の結果、クランプされた空間状態に、より容易に配置することができる。ここで、クランプされた空間状態は、典型的には、前述したタイプの研究試料器具内に存在するものである。例として、屈曲半径は、0.5mm〜100mmの範囲、好ましくは、1mm〜30mmの範囲である。
【0013】
可撓性のプリント回路基板は、可撓性の基板を有し、該基板は、好ましくは、例えばDuPon(登録商標)社のカプトン(登録商標)のような、ポリイミドから作製される。しかしながら、例えばポリエステル、PET、またはPENといった他の材料を提供することも可能である。プリント回路基板の厚み(高さ)は、好ましくは、20μm〜60μmの範囲、特に50μm(±5μm)である。可撓性プリント回路(Flexible Printed Circuits:FPCs)も、適用可能な可撓性プリント回路基板である。
【0014】
プリント回路基板領域は、連続して配置されている。すなわち、第1のプリント回路基板領域は、第2のプリント回路基板領域に接続され、第2のプリント回路基板領域は、第3のプリント回路基板領域に接続されている。全ての、または少なくとも2つのプリント回路基板領域は、好ましくは、一体的な構成を有し、または、少なくとも共通の可撓性基板を有する。
【0015】
プリント回路基板上のコンダクタトラックは、好ましくは、少なくとも複数の領域において、可撓性基板の表面上にて互いに平行に設置されている。この目的のために、コンダクタトラックの導電材料(例えば、銅もしくは金のような金属、または、金やニッケルからなる金属合金)が、例えば蒸着によって、基板の表面に連結される。プリント回路基板に対するコンダクタトラックの高さ(厚み)は、少なくとも複数の領域において、または、少なくとも第1の製造工程の間において、実質一定であり、好ましくは、20μm〜75μmの範囲、好ましくは25μm〜55μmの範囲、好ましくは30μm〜40μmの範囲である。コンダクタトラックの幅は、少なくとも複数の領域において、実質一定である。より具体的には、コンダクタトラックの幅は、50μm〜350μmの範囲、好ましくは100μm〜300μmの範囲、または、好ましくは150μm〜250μmの範囲である。プリント回路基板またはプリント回路基板領域は、好ましくは、少なくとも複数の領域、または全ての領域において、平面状の構成を有する。特に、プリント回路基板に好適に設けられた屈曲は、プリント回路基板用ケーブル装置の製造後においてのみ、形成される。プリント回路基板領域、特に第2のプリント回路基板領域は、少なくとも1つの屈曲部を有し、該屈曲部において、プリント回路基板領域は、所定の屈曲半径で屈曲される。屈曲されたプリント路回路基板領域におけるコンダクタトラックの幅は、好ましくは、より広くなる。より具体的には、該コンダクタトラックの幅は、(隣接するプリント回路基板領域(例えば、第1のプリント回路基板領域)におけるコンダクタトラックの幅に対して正確に)5〜100%、好ましくは10〜75%、または、好ましくは20〜50%だけ広い。ここで、対象器具においてプリント回路基板を組み込む場合に、プリント回路基板のプリント回路基板領域を屈曲させることが必要となる。このことは、プリント回路基板用ケーブル装置に亘る電気信号の発信を改善することができる。コンダクタトラック間の離隔距離は、少なくとも複数の領域において、実質一定であり、特に、50μm〜350μmの範囲、好ましくは100μm〜250μmの範囲、または、好ましくは150μm〜200μmの範囲である。
【0016】
被覆層は、好ましくは、その下方に設けられている構造を保護するために、プリント回路基板の一方側または両側上に設けられる。このような被覆層は、ポリマーフィルムを有し、またはポリマーフィルムからなる。被覆層は、例えば、ポリイミドもしくは可撓性のソルダレジストを有し、または、これら材料からなる。被覆層は、好ましくは、例えばラミネートまたは接着によって、分離不可能な方法で、基板に被覆される。すなわち、この被覆層は、非破壊的方法で分離することができなくなっている。
【0017】
プリント回路基板が、少なくとも複数の領域で、または、その全体幅(好ましくは、その全長)に亘って、1以上の層を有し、これにより、複数の基板が、スタックとして他の基板の上方に配置されることも可能であり、且つ好ましい。これにより、不変の幅寸法と、例えば増加した(好ましくは、僅かだけ増加した)高さ寸法を有する一方で、より高い線密度(第2のプリント回路基板領域の断面領域毎の電線数)を得る可能性がもたらされる。この結果、必要がある場合に、例えば第2のプリント回路基板領域用の第2の保持スペースのような、適当に規定された空間的状態の場合に、対象領域において、より多く(例えば2倍の数)のコンダクタトラックを配置することが可能となる。
【0018】
プリント回路基板には、数量Nの複数のコンダクタトラックが設けられており、該コンダクタトラックは、少なくとも第1のプリント回路基板領域において、好ましくは複数の領域にて互いに平行に延びており、且つ、プリント回路基板の第1の面上に配置されている。例として、上記数量Nは、プリント回路基板用ケーブル装置に連結されるべき電子装置の要求から決められる。例として、電子装置が数量Nのセンサを有する場合、少なくとも(または、正確に)NまたはN+1の数のコンダクタトラックが、第2の電子装置にセンサを接続するために設けられることが好ましい。なお、該第2の電子装置は、例えば、制御装置および/またはインジケータ装置(例えばディスプレイ)といった装置であり、上記センサから所定の距離だけ離隔して配置されている。数量Nは、好ましくは、3以上、5以上、特に好ましくは6以上であり、また、好ましくは6〜99の範囲、好ましくは6〜33の範囲、好ましくは6〜17の範囲である。好ましい例示的実施形態においては、N=7、およびN=15である。しかしながら、数量Nは、それ以外であってもよい。
【0019】
プリント回路基板は、好ましくは、個数mの貫通孔を有し、該貫通孔によって、プリント回路基板の第1の面上に設けられた該貫通孔まで延びる1以上の電気コンダクタトラックを、該貫通孔を介して、プリント回路基板の第2の面まで配線することが可能となる。そして、第2の面において、これら1以上のコンダクタトラックは、連続して延在する。この目的のために、電気的コンダクタは、好ましくは、この貫通孔に、スリーブ状の形態で配置される。この構成は、例えば、コンダクタトラックの敷設と同時に実現することができる。貫通孔は、穿孔、パンチング、または他の方法によって形成することができる。貫通孔の直径は、好ましくは、0.2mm〜1mmの範囲、特に0.4mm〜0.6mmの範囲である。しかしながら、貫通孔の直径は、それ以外であってもよい。
【0020】
貫通孔の個数mは、好ましくは、所望のコンダクタのいずれも、如何なる貫通孔を介しても、プリント回路基板の一方側から他方側へと配線されるように、選択される。1本のコンダクタトラックが、各貫通孔を介して配線される場合であって、且つ、数量Nの実質半数の、第1のプリント回路基板領域のコンダクタトラックが、プリント回路基板の一方側から他方側へと配線される必要がある場合、必要となる貫通孔の数は、m=N/2(すなわち、Nが奇数である場合、±1)となる。第1、第2、および/または第3のプリント回路基板領域における個数mは、好ましくは、1以上、2以上、3以上、4以上、または5以上、特に好ましくは6以上であり、また、好ましくは6〜99の範囲、好ましくは6〜33の範囲、好ましくは6〜17の範囲である。好ましい例示的実施形態においては、m=7、またはm=15である。しかしながら、個数mは、それ以外であってもよい。
【0021】
要求に依って、1以上または全てのコンダクタトラックが、第1のプリント回路基板領域の他方側、より具体的には、第1のプリント回路基板領域の第1の面から第2の面へ配線されていることが可能であり、且つ好ましい。しかしながら、このような配線を、第2のプリント回路基板領域においてのみ実施することも可能である。さらに、1以上または全てのコンダクタトラックが、それぞれ、プリント回路基板の一方側から他方側へと、複数回に亘って繰り返して配線されることが可能であり、且つ好ましい。プリント回路基板は、好ましくは(また)、第3のプリント回路基板領域において(特に、第1のプリント回路基板領域の場合と、好ましくは同様にして)、個数m=N/2(すなわち、Nが奇数である場合、±1)の貫通孔を有する。
【0022】
貫通孔に加えて、プリント回路基板は、他の目的のために機能する開口または切り欠きをさらに有してもよい。例えば、該開口または切り欠きは、プリント回路基板を研究試料器具に取り付けることを可能とする目的のために機能する。
【0023】
プリント回路基板は、好ましくは、細長い形状、すなわち、その平均長さが少なくともその幅の2倍となる形状を有する。しかしながら、プリント回路基板は、例えば、より離れて設置された電子装置を接続可能とするために、より長尺となってもよい。平面状に引き延ばされて、プリント回路基板は、特に、20mm〜500mmの範囲、好ましくは50mm〜400mmの範囲、特に好ましくは100mm〜300mmの範囲、さらに好ましくは150mm〜200mmの範囲の最大長さを有する。平面状に引き延ばされて、プリント回路基板は、好ましくは5mm〜100mmの範囲、好ましくは10mm〜80mmの範囲、より好ましくは20mm〜60mmの範囲、さらに好ましくは30mm〜40mmの範囲の最大幅を有する。
【0024】
プリント回路基板は、実質長方形の外形輪郭を有し、または、例えば、その延在方向に沿って、90°で屈曲する少なくとも1つの屈曲部もしくは角部を有してもよい。これにより、長方形の形状とは異なる外形を実現することができる。プリント回路基板の形状は、限定されないものであって、例えば、研究試料器具における利用可能なスペースといった要求に適合させることが可能である。
【0025】
少なくとも1つの第1のプリント回路基板領域は、好ましくは、第1の幅寸法を有し、少なくとも1つの第2のプリント回路基板領域は、好ましくは、第2の幅寸法を有する。ここで、第2の幅寸法は、第1の幅寸法よりも小さい。
【0026】
上記幅寸法は、プリント回路基板領域の幅を特徴付ける寸法である。プリント回路基板領域の幅寸法は、好ましくは、プリント回路基板領域の幅を示しており、特に、プリント回路基板領域の複数の分岐部がある場合においては、好ましくは、全ての分岐部の各々の合計としての正味幅、分岐部の各々の幅、または、複数の分岐部の正味幅を示す。しかしながら、本発明の定義については、プリント回路基板領域の幅寸法は、代替的または追加的に、プリント回路基板の基板端部からの、2つの外側コンダクタトラックの境界の間の距離によって形成される、2つの端部を考慮しないように、定義されてもよい。この場合、あるプリント回路基板領域における、コンダクタトラック束の2つの外側コンダクタトラック間の最大距離が、幅寸法として定義される。コンダクタトラック束は、同じ高さで互いに隣り合うように配置されたコンダクタトラックのみを含んでいてもよい。または、コンダクタトラック束は、例えば、プリント回路基板の異なる面に配線されているように、異なる高さに配置されたコンダクタトラックを含んでいてもよい。この場合、高さとは、プリント回路基板がx−y平面に配置されている場合、または、例えば細長いプリント回路基板の長手方向軸がx軸に実質平行に延びている場合、直角座標系のz軸方向の位置を示す。幅寸法は、好ましくは、プリント回路基板領域の全長に亘る、プリント回路基板領域(または、少なくとも1つの分岐部)の平均の幅(または、正味幅)を示す。しかしながら、幅寸法が、プリント回路基板領域の全長に対しての、プリント回路基板領域(または、少なくとも1つの分岐部)の最大幅または最小幅(または、正味幅)を示すことも可能であり、且つ好ましい。
【0027】
第2のプリント回路基板領域において、コンダクタトラックは、好ましくは、基板の第1および第2の面に亘って、実質同数(±1)ずつ分配される。この結果、第2のプリント回路基板領域の第2の幅寸法を、例えば、(全ての、または恐らくは)コンダクタトラックが、好ましくは互いに平行に延びている第1のプリント回路基板領域のような、プリント回路基板の他の領域と比べて、実質低減することが可能となる。これによってもたらされる利点は、第2のプリント回路基板領域を保持するために必要とされる空間的要求を、より小さくすることができる点にある。より具体的には、プリント回路基板用ケーブル装置を保持するために必要とされる、利用可能なスペースの幅、特に正味幅を、より小さくすることができる。この結果、プリント回路基板用ケーブル装置は、これら領域を研究試料器具において電気的に接続することもできる。ここで、研究試料器具において、僅かな空間的利用可能性しか持たないボトルネックが、従来の手段による連結を困難または不可能にしていたのである。
【0028】
例として、第2の幅寸法が、係数cにより、第1の幅寸法よりも小さくなることが可能であり、且つ好ましい。ここで、係数cは、好ましくは0.2〜0.9の範囲、好ましくは0.3〜0.8の範囲、好ましくは0.4〜0.77の範囲、好ましくは0.5〜0.7の範囲である。しかしながら、この係数cは、それ以外であってもよい。第2のプリント回路基板領域のコンダクタトラックは、好ましくは、第2のプリント回路基板領域の長さの大部分に亘って、またはその全長に沿って、基板の第1および第2の面(または、基板の第1もしくは第2の面)上にそれぞれ配置されている。第2のプリント回路基板領域における、基板の第1および第2の面上のコンダクタトラックは、好ましくは、第2のプリント回路基板領域の長さの少なくとも70%、好ましくは、第2のプリント回路基板領域の長さの少なくとも85%、さらに好ましくは、第2のプリント回路基板領域の長さの少なくとも95%に亘って、配置されている。しかしながら、第2のプリント回路基板領域の1以上または全てのコンダクタトラックが、自らが配線される基板の面を、複数回に亘って変更することも可能である。
【0029】
複数のプリント回路基板を他の基板に重ねて配置することによって、第2の幅寸法をさらに小さくすることが可能であり、且つ好ましい。このプロセスにおいては、2層以上の構造、すなわち、多層プリント回路基板構造が、第2のプリント回路基板領域において、または、複数のプリント回路基板領域もしくはプリント回路基板全体に亘って、生成される。ここで、プリント回路基板構造がプリント回路基板用ケーブル装置を形成する。
【0030】
異なる高さに配置された、第2のプリント回路基板領域のコンダクタトラックが、少なくとも複数の領域において、またはその全長に亘って、互いにオフセットされるように配置されるとともに、互いに交わらないようにすることが可能であり、且つ好ましい。このことは、基板の第1の面に直交し、コンダクタトラックを通過し、且つこのコンダクタトラックに平行な仮想平面が、上記コンダクタトラックに平行な如何なるコンダクタトラックとも、基板の第2の面上の他の高さで交わらないことを意味する。互いにオフセットされ、且つ異なる高さで互いに平行に延びるコンダクタトラックは、例えば複数のマイクロメータの空間を含むことが好ましい。これにより、この構造は、より確実な方法で製造され、且つ、より一定となる電気特性を有することができる。しかしながら、異なる高さにて互いに平行に延びるコンダクタトラックが、特に第2のプリント回路基板領域において、より小さな程度で、またはこれら幅の程度に関して完全に、部分的に交差することも可能である。
【0031】
第1のプリント回路基板領域において、大部分または全てのコンダクタトラックが、少なくとも複数の領域において、または第1のプリント回路基板領域の長さの大部分に亘って、または第1のプリント回路基板領域の実質全長に亘って、配置されることが好ましい。好ましくは、全てのコンダクタトラックは、基板の第1の面上に、第1のプリント回路基板領域の長さの70%、好ましくは長さの85%、さらに好ましくは長さの95%に亘って配置される。この結果、必要な場合に、コンダクタトラックを、同じ側上において、プリント回路基板用ケーブル装置の端部の方向に向けて(すなわち、同じ態様で)、これらの端部(好ましくは開放端)に接触させることが可能となる。且つ、例えばコンダクタトラックを、好ましくは設けられた、クランププラグのための強化連結部材に導くことが可能となる。
【0032】
1つのプリント回路基板領域、特に第2のプリント回路基板領域は、好ましくは、少なくとも2つ、さらに好ましくは正確に2つの、互いに隣り合うように配置された分岐部を有する。該分岐部内において、複数のコンダクタトラックが、それぞれ配置されており、分岐部の幅寸法の合計は、好ましくは、第2の幅寸法に相当する。第2のプリント回路基板領域において、プリント回路基板を複数の分岐部に分岐させることによってもたらされる利点は、その結果としてのプリント回路基板用ケーブル装置も、対称器具に配置され得ることにある。ここで、該対称器具においては、例えば、第2の保持スペースを2以上の領域に分割する対象器具の分割構造によって、第2のプリント回路基板領域を保持するための第2の保持スペースが、複数の領域に分割される。プリント回路基板用ケーブル装置を分岐させること、および、第2のプリント回路基板領域における、複数の分岐部は、例えば、以下のような場合における他の例において、有利となり得る。すなわち、例えば、センサ装置のような電子装置を、電気コンダクタを介して接続するために、プリント回路基板用ケーブル装置と、対象領域における電子装置との間の連結が、幾何学的・構造的構成の理由から、複数の分岐部においてのみ、実施される必要がある場合である。例示的実施形態は、このような場合を示している。
【0033】
第3のプリント回路基板領域は、好ましくは、実質環状もしくは環状セグメント状の構成、または、環状もしくは環状セグメント状のセグメントを有する。特に、プリント回路基板用ケーブル装置のコンダクタトラックの(例えば、接触ポイントとしての)対象領域が、環状面上に等間隔且つ同心状に配置されている場合(しかしながら、この場合に限らないが)、好ましくは、第2のプリント回路基板領域が、互いに隣り合うように配置された、少なくとも2つ、または正確に2つの分岐部を有するように構成される。そして、第3のプリント回路基板領域が、環状リングとして実質的に構成され、特に、第1および第2の分岐部は、それぞれ、環状リングの異なる半体に繋がっている。この構成によって、以下に示す利点がもたらされる。すなわち、コンダクタトラックの一方の部分は、リングの一方の半体に配線され、且つ、コンダクタトラックの他方の部分は、リングの他方の半体に配線されることになる。その結果、環状リング上にコンダクタトラックを分配する場合に生じる、構造上の空間的な課題が、低減または防止される。この利点は、第3のプリント回路基板領域が、環状形状を有しておらず、むしろ、それとは異なる構造(例えば、第2のプリント回路基板領域の分岐部の連続体)を有し、または、さらなる分岐点またはボトルネックを有する場合にも、もたらされる。
【0034】
第3のプリント回路基板領域の環状面または他の構造の上にコンダクタトラックを分配する場合における、構造上の空間的な課題は、以下の構成を設けることにより、さらに低減され得る。すなわち、その構成とは、第3のプリント回路基板領域において、コンダクタトラックの一方の部分が、少なくとも複数の領域において、基板の第1の面上を延在し、且つ、コンダクタトラックの他方の部分が、少なくとも複数の領域において、基板の第2の面上を延在する構成である。必要がある、または求められている場合は、第3のプリント回路基板領域の基板の第2の面上のコンダクタトラックは、貫通孔を介して基板の第1の面に配線されてもよい。好ましくは、数量n1の数のコンダクタトラックが、第3のプリント回路基板領域において基板の第1の面上にて延在し、数量n2の数のコンダクタトラックが、基板の第2の面上にて延在する。そして、好ましくは、n1+n2=N(上記の「N」の定義を参照のこと)であり、且つ、n1、n2の各々は、好ましくは、それぞれの場合において、2〜99の範囲、好ましくは5〜50の範囲、好ましくは8〜32の範囲、好ましくは7から10の範囲である。
【0035】
(第1のステージの)分岐部が、少なくとも2つの、さらなる第2のステージの分岐部に分岐することも可能であり、且つ好ましい。そして、第2のステージの分岐部が、該第2のステージの分岐部が分岐する第1のステージの分岐部よりも小さな幅寸法を有することが可能であり、且つ好ましい。より小さな幅寸法は、好ましくは、以下の構成によっても実現される。すなわち、コンダクタトラック用の、少なくとも1つのさらなる基板が設けられ、該基板は、双方の基板のコンダクタトラックが、異なる高さにおいて、他のコンダクタトラックの上方で、または、他のコンダクタトラックの上方で他のコンダクタトラックに対してオフセットされて延在することができるように、この第2のステージの分岐部において、スタックされた方法で第1の基板とともに配置されている。この結果、第1のプリント回路基板領域におけるコンダクタトラックを、例えば第2のプリント回路基板領域において、多層の分岐領域へとさらに分割することができる。ここで、この第2のプリント回路基板領域における多層の分岐領域は、第1のプリント回路基板領域よりも小さな幅寸法を有してもよい。しかしながら、分岐領域の幅寸法は、第1のプリント回路基板領域と実質同じである(または、それよりも大きい)ことも可能である。
【0036】
好ましくは、第3のプリント回路基板領域において、基板の第1の面上を延在するコンダクタトラックが、電気接触部(「接触部」)に繋がる構成が設けられる。また、好ましくは、第3のプリント回路基板領域において、選択的に基板の第2の面上を延在するコンダクタトラックを、プリント回路基板に設けられた貫通孔を介して基板の第1の面へと配線する。そこで、選択的に、基板の第1の面上のさらなるコンダクタトラック部を用いて、コンダクタトラックを、それぞれ接触部へと接続する。接触部は、基板の第1の面上において、互いに所定の距離だけ離隔して配置される。しかしながら、接触部の形態としての対象領域を、基板の両面上に設けることも可能であり、且つ好ましい。
【0037】
接触部は、好ましくは、第1の部分面と、第2の部分面とからなり、これら部分面は、互いに所定の距離で離隔して配置され、接触部に接触する導電性の接触要素によって、電気的に相互接続され得る。接触部は、好ましくは、プリント回路基板のコンダクタトラックと同じ材料からなる。しかしながら、接触部は、異なる導電材料を含んでもよい。正確に1つである、プリント回路基板のコンダクタトラックが、接触部の部分面の各々に連結されることが好ましい。また、好ましくは、接触部の部分面の少なくとも1つは、プリント回路基板のコンダクタトラック自体に連結される。このプロセスにおいて、複数または全ての接触部の第2の部分面を、1つの共通の基準コンダクタトラックに連結することが、特に可能である。これにより、接触部の第1の部分面は、それぞれの場合において、該基準コンダクタトラックに対して計量され得る。
【0038】
さらに、接触部は、好ましくは、電気的に相互接続された第1の接触コンダクタトラックと、電気的に相互接続された第2の接触コンダクタトラックとからなる。そして、第1の接触コンダクタトラックは、プリント回路基板上のコンダクタトラックに電気的に連結され、第2の接触コンダクタトラックは、プリント回路基板上の他のコンダクタトラックに電気的に連結され、且つ、第1および第2の接触コンダクタトラックは、電気的に連結されない。ここで、好ましくは、第1および第2の接触コンダクタトラックを、蛇行してインターカレートされた(インターロックする)態様で、接触させずに配置させ、接触部に接触する導電接触要素によって電気的に相互接続可能とする構成が設けられる。この蛇行構造によって、接触部は、接触部の材料における高さの相違、または、接触する接触要素の不均一性に起因する問題に対して、その影響を受け難くなる。
【0039】
接触要素による接触の結果、第1および第2の接触コンダクタトラック間、または、2本のコンダクタトラック間の電気回路が、閉じられることになる。これは、回路抵抗の低下によって検知され得る。これが、接触センサをどのように実施可能とするかを示しており、これにより、例えば、研究試料器具の対象領域における接触を検知し、関連する電気信号を、プリント回路基板用ケーブル装置を介して送ることができる。特に、研究試料器具の細い第2の保持スペースを通過して、対象領域からより大きな距離だけ離隔した電子装置(例えば、この信号を解析可能な制御装置)へと送ることができる。
【0040】
本発明に係る研究試料器具は、液体またはゲル状の研究試料が、作用され、処理され、保持され、放出され、移送され、または、(例えば、工学的および/または電気的もしくは電磁気的手段によって)試験のみされるような、器具であってもよい。研究試料器具は、好ましくは、液体の研究試料(計量装置)を保持、分配し、および/または、計量するための器具である。研究試料器具は、好ましくは、ピペット装置、正確にはピペットまたはリピータピペット(ディスペンサ)として、実現される。研究試料器具は、手動の研究試料器具(すなわち、手によって操作可能、且つ移動可能である)であってもよい。または、研究試料器具は、研究試料を取り上げて、放出するプロセスが、好ましくは自動で実行される、固設された、移動不可能な器具であってもよい。したがって、研究試料器具は、より包括的なロボットシステムの一部であってもよく、または、研究室管理システム(laboratory management system:LMS)の一部であってもよい。
【0041】
本発明に係る研究試料器具、特にディスペンサは、ケーブル保持スペースを備え、該ケーブル保持スペースにおいて、本発明に係るプリント回路基板用ケーブル装置が配置される。そして、該該ケーブル保持スペースは、少なくとも1つの第1、第2、および第3の保持スペースに分割される。ここで、第1のプリント回路基板領域は、第1の保持スペースに配置され、第2のプリント回路基板領域は、第2の保持スペースに配置され、且つ、第3のプリント回路基板領域は、第3の保持スペースに配置される。そして、第2の保持スペースは、プリント回路基板と直交している場合、第1の保持スペースよりも小さな断面領域を有する。本発明に係るプリント回路基板用ケーブル装置を用いることによって、本発明に係る研究試料器具をよりコンパクトにすることができる。このことは、第2および第3のプリント回路基板領域を伴う、第2の保持スペース、ならびに、選択的には第3の保持スペースにも、それぞれ関連する。研究試料器具のコンパクトな構成によって、まず第1に、器具の製造における費用効率がより向上することになる。そして、第2に、コンパクトな構成によりスペースが省略されることによって、外観を改善し、または他の目的のために利用することができるので、このような研究器具を、より順応性のある方法で使用することが可能となる。
【0042】
研究試料器具は、好ましくは、第1、第2、および第3の保持スペースがそれぞれ配置される、第1、第2、および第3の器具領域を備える。プリント回路基板用ケーブル装置は、第1の器具領域に配置された電子装置と、第3の器具領域に配置された第2の電子装置(特にセンサ装置)との間の電気接続を実現する。接触部は、好ましくは、第3のプリント回路基板領域におけるコンダクタトラックの端部に設けられる。そして、該接触部は、空間的に離隔した2つの接触領域を有し、接触部の2つの接触領域と同時に接触する導電接触要素によって検知可能な電気回路の閉鎖によって、センサ装置のセンサと、それぞれ関連付けられる。
【0043】
研究試料器具は、好ましくは、本体を備え、該本体は、好ましくは、細長い形状、すなわち、本体の長さが少なくともその幅および厚みの2倍となる形状を有する。この細長い本体は、好ましくは、研究試料器具の長さ方向の軸に沿って延在している。一方の端部において、本体は、端面を有してもよく、該端面は、本体が細長い形状を有している場合は、側面よりも小さい。該端面は、研究試料を取り上げる手段(例えば、光学的物体、電子プローブ、または、注射器もしくはピペット先端部等)を取り付けるために構成されてもよい。この端面は、長さ方向の軸に対して実質直交するように配置されてもよい。
【0044】
プリント回路基板用ケーブル装置は、好ましくは、本体内に配置され、第3のプリント回路基板領域が、上記端面に対して、第1のプリント回路基板領域よりも近接するように、配置される。なお、第1のプリント回路基板領域は、好ましくは、本体内部の方向に向かって延在する。第3のプリント回路基板領域は、好ましくは、上記端面、または本体の他の側面に対して平行に配置される。その結果、例えば、研究試料器具に接続され、その内部にて研究試料が保持される分離手段を識別するためのセンサ領域として、第3のプリント回路基板領域の表面を、本体の外側のさらなるコンポーネントとの相互作用のために、特に容易に用いることができる。プリント回路基板用ケーブル装置のコンパクトな構成により、本発明に係る研究試料器具は、特にこのような端面領域において、よりコンパクトな構成を有することが可能となる。
【0045】
好ましくは、研究試料器具は、特に、用いられているピペット先端部を識別するための、例えばセンサ装置のような電子装置を備える。電子装置は、好ましくは、研究試料器具内に配置され、好ましくは、第3の器具領域に配置される。好ましくは、電子装置の少なくとも一部は、プリント回路基板用ケーブル装置によって形成され、特に、第3のプリント回路基板領域、および/または第2のプリント回路基板領域の一部によって形成される。
【0046】
好ましくは、研究試料器具は、少なくとも1つの補助装置を備え、該補助装置は、第2の器具領域、および/または第3の器具領域に配置される。補助装置は、取り付け装置であってもよい。取り付け装置は、外部装置(特に、試料容器)を、研究試料器具(例えば、研究試料器具がディスペンサである場合は、好ましくはピペット先端部または注射器)に、着脱可能に取り付けるように構成され得る。取り付け装置は、特にスナップ式ジョイントのような、クランプ機構を有してもよい。好ましくは、スナップ式ジョイントは、少なくとも2つの保持部材を含み、これら保持部材は、特に、研究試料器具にバネ連結される。さらに具体的には、これら保持部材は、研究試料器具の底部またはハウジングにバネ連結される。好ましくは、取り付け装置は、外部装置を、手動で取り付けおよび/または取り外し、特に、手動でロックおよび/またはロック解除するように、構成される。好ましくは、クランプ機構は、少なくとも2つのクランプ部材を含み、これらクランプ部材は、互いに反対側に取り付けられ、研究試料器具の長さ方向の軸に対して対向する側に配置される。
【0047】
好ましくは、電子装置は、可動部、特に、可動の接触ソケットを備える。この可動部は、特に、該可動部の移動をガイドするガイド装置を用いて、研究試料器具の長さ方向の軸と平行な方向に移動可能となるように構成されてもよく、また、他の方向には移動不可能となるように構成されてもよい。接触ソケットは、外部装置が研究試料に取り付けられている場合、この外部装置によって接触されるように構成される。好ましくは、接触ソケットは、研究試料器具、特に、研究試料器具の底部またはハウジングに、バネ連結される。
【0048】
好ましくは、補助装置は、保持装置である。好ましくは、研究試料器具は、保持装置を備え、該保持装置は、研究試料器具と連結する可動部を保持し、好ましくは、取り付け装置とともに、第2の器具領域、および/または第3の器具領域に配置される。保持装置は、好ましくは、研究試料器具、より具体的には、研究試料器具の底部またはハウジングに、直接的または間接的に取り付けられる。保持装置は、可動部の移動をブロックするブロック装置を形成するように、構成されてもよい。好ましくは、保持装置は、2つの保持部材を含み、これら保持部材は、互いに反対側に取り付けられ、研究試料器具の長さ方向の軸に対して対向する側に配置される。
【0049】
補助装置、特に、保持装置および/または取り付け装置は、好ましくは、第2の器具領域、および/または第3の器具領域に配置される。したがって、利用可能なスペースは、第2および/または第3の器具領域において減少することになる。この状況下では、第2および第3の器具領域に配置されるケーブル保持スペースのためのスペースを減少させること、特に、第2および第3のケーブル保持スペースのためのスペースを減少させることが好ましい。このような限られたスペースの状況下においても、プリント回路基板用ケーブル装置、特に、第2および第3のプリント回路基板領域を、第2および第3の器具領域に配置することが可能である。何故ならば、第2のプリント回路基板領域においては、少なくとも1つのコンダクタトラックが、基板の第1の面上に配置され、且つ、少なくとも1つのコンダクタトラックが、基板の第2の面上に配置されているからである。このようにして、限られた空間に係る課題は、克服されることとなる。
【0050】
第2のプリント回路基板領域に、少なくとも2つの分岐部を設けることは、特に有利である。2つの分岐部の間に、補助装置の一部、特に、保持装置の一部を配置することが好ましい。このようにして、限られた空間に係る課題が、さらに減少する。この場合、補助装置の一部、または、保持装置の一部は、分岐部の間に配置され、上述したような、第2の保持スペースを2以上の領域に分割する、対称器具の分割構造を形成する。
【0051】
本発明は、さらに、本発明に係る研究試料器具を製造する方法に関し、この方法は、以下のステップを備える。すなわち、本発明に係る方法は、プリント回路基板用ケーブル装置を提供するステップと、研究試料器具のケーブル保持スペースに、プリント回路基板用ケーブル装置を配置する(特に、プリント回路基板用ケーブル装置の一部、特に、第3のプリント回路基板領域を屈曲させる)ステップとを備える。
【0052】
プリント回路基板用ケーブル装置を製造するための方法は、以下のステップを備える。すなわち、本発明に係る方法は、基板を提供するステップと、該基板上(特に、第1、第2、および第3のプリント回路基板領域に)にコンダクタトラックを設けるステップ(特に、少なくとも一部の、または全てのコンダクタトラックを一体的な態様で製造し、特に、少なくとも第2のプリント回路基板領域において、その両面にコンダクタトラックを設けるステップ)と、好ましくは、導電性のスリーブ要素を(特に、コンダクタトラックのコンポーネントとして)、好ましくは、該スリーブ要素が、基板の一方側から他方側へ向かうコンダクタトラックの移行部を形成するとともに、プリント回路基板の貫通孔(130,131)に配置されつつ、設けるステップとを備える。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】各場合において異なる、本発明に係るプリント回路基板用ケーブル装置の例示的実施形態の概略平面図を、(a)〜(c)にそれぞれ示す。
【図2】本発明に係るプリント回路基板用ケーブル装置のさらなる例示的実施形態の概略部分図を示す。
【図3】本発明に係るプリント回路基板用ケーブル装置の互いに異なる例示的実施形態の第1のプリント回路基板領域を通る断面図を、(a)〜(b)にそれぞれ示す。
【図4】本発明に係るプリント回路基板用ケーブル装置の互いに異なる例示的実施形態の第2のプリント回路基板領域を通る断面図を、(a)〜(b)にそれぞれ示す。
【図5】本発明に係るプリント回路基板用ケーブル装置の互いに異なる例示的実施形態の第2のプリント回路基板領域を通る断面図を、(a)〜(c)にそれぞれ示す。
【図6a】本発明に係るプリント回路基板用ケーブル装置の例示的実施形態の平面図を示す。
【図6b】図6aに示すプリント回路基板用ケーブル装置を下方から見た図を示す。
【図6c】図6aに示すプリント回路基板用ケーブル装置の基板の平面図であって、貫通孔を視認可能に示している。
【図7】(a)は従来技術に係る研究試料器具の概略前面図を示し、(b)は図7aに示す研究試料器具の概略側面図を示す。
【図8】本発明に係る研究試料器具の概略側面図を示す。
【図9a】本発明に係るプリント回路基板用ケーブル装置のさらなる例示的実施形態の概略平面図を示す。
【図9b】図9aに示すプリント回路基板用ケーブル装置の詳細を示す平面図である。
【図9c】図9aに示すプリント回路基板用ケーブル装置の詳細を下方から見た図である。
【図10】(a)は、本発明に係る研究試料器具の好ましい実施形態のディスペンサ注射器を取り付けるための取り付け装置の一部を示しており、ディスペンサ注射器が取り付けられていない状態を示す。(b)は、図10(a)の取り付け装置を示しており、ディスペンサ注射器が取り付けられた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本発明に係るプリント回路基板用ケーブル装置と、本発明に係る研究試料器具のさらに好ましい実施形態は、図面とともに、例示的実施形態の以下の説明から、明らかとなる。なお、同じ符号は、実質的に同等であるコンポーネントを示している。
【0055】
図1(a)は、第1の例示的実施形態による、本発明に係る研究試料器具の実施形態のプリント回路基板用ケーブル装置1の平面図を概略的に示す。プリント回路基板用ケーブル装置1は、細長い可撓性のプリント回路基板2を有する。このプリント回路基板の、電気的絶縁性および可撓性を有する基板のベース材料は、例えば、ポリイミドであってもよい。コンダクタトラック(3、4、5、6)は、図示されているプリント回路基板2の基板の第1の側の面(表側の面)上において、プリント回路基板2の実質全長に亘って設けられている。コンダクタトラックの束の輪郭線は、プリント回路基板のほぼ全ての領域において、互いに実質平行となるように延びており、図1(a)にて概略的に示されている。図1(a)、(b)、および(c)を横断する2本の水平な点線は、3つの領域A、B、Cを示している。第1のプリント回路基板領域は領域Aに、第2のプリント回路基板領域は領域Bに、第3のプリント回路基板領域は領域Cに、それぞれ配置されている。
【0056】
第1のプリント回路基板領域Aにおいては、プリント回路基板2は、貫通孔を含む領域8を有する。領域Aにおいて互いに平行に延びる、コンダクタトラックの束3は、領域8の近傍で分岐する。ここで、図示された2つの分岐部4、4’は、領域Aにおける第1の面上において連続して延びている。対照的に、コンダクタトラックの束3の中央部からのコンダクタトラックの半数は、領域8における導電性の貫通孔を通って、基板の第2の側の面(裏側の面)にそれぞれ配線される。そして、これらのコンダクタトラックは、分岐部4、4’の各々に対して、該分岐部4、4’の下方側において延在する、コンダクタトラックの相補的な部分束(図示せず)が存在するように、配線される。第2のプリント回路基領域Bへの移行部の前方において、全てのコンダクタトラックは、方向を変え、再度、第1のプリント回路基領域におけるコンダクタトラックの第1の束3に平行となるように延びる。
【0057】
第2のプリント回路基板領域Bにおいて、コンダクタトラックの部分束5は、基板の第1の面上で、互いに平行に延び、且つ、その相補的部分束(図示せず)は、部分束5の下方の、基板の第2の面上にて延在している。これは、各分岐部における場合である。それぞれの場合におけるコンダクタトラックの部分束5(および、その相補的部分束)は、第3のプリント回路基板領域C内に延びている。そこでは、各コンダクタトラックは、好ましくは、開放端として終端しており、該開放端は、例えばセンサ装置のような電子装置に接続するために利用可能である。
【0058】
第2のプリント回路基板領域Bは、第1のプリント回路基板領域Aよりも小さな幅寸法を有している。何故ならば、第2のプリント回路基板領域Bにおけるプリント回路基板の平均正味幅、すなわち、領域Bにおけるプリント回路基板の分岐部の平均幅が、第1のプリント回路基板領域Aの平均幅よりも小さいからである。これは、領域Bおよび領域Aにおけるケーブル束の幅または正味幅に関しても、同様に当てはまる事項である。第3のプリント回路基板領域Cの幅寸法は、この場合においては、領域Bと実質同じである。コンダクタトラック3の一部を基板の第2の面上に移転させた結果、領域Bにおけるプリント回路基板の幅寸法を小さくすることが可能となる。したがって、このプリント回路基板は、この領域Bにおいて必要となる保持用スペースを、より小さくすることができる。コンダクタトラックが、領域Bにおいて、他のトラックと実質重なって延びるように配置された結果、ケーブル束5(その下方側にて延在するケーブル束、すなわち、相補的として上記に言及されたものも考慮して)の幅(または正味幅)も、さらに小さくなる。その結果、コンダクタトラックを、ボトルネックを通して配線することがより容易となる。幅寸法について、さらに図2〜図3(b)を加えて、より詳細に説明する。
【0059】
図1(b)は、本発明に係る研究試料器具の他の例示的実施形態による、プリント回路基板用ケーブル装置10の概略平面図を示す。領域AおよびBにおいて、プリント回路基板用ケーブル装置10、またはプリント回路基板12は、図1(a)に示すプリント回路基板用ケーブル装置1と実質同じである、フォーク状構造を備える。しかしながら、この実施形態は、第3のプリント回路基板領域Cにおいて異なる形態を備えている。この実施形態は、図1(b)において環状の構成を備えている。この領域において、領域Bにおける一つの分岐部から開始して、コンダクタトラック(図示せず)は、基板の第1の面、および基板の第2の面の双方の上にて正確に、リングの半体においてそれぞれ延在している。領域Bから領域Cへの移行領域において、基板のそれぞれの面上における、コンダクタトラックの部分束の各々は、一方の部分束がプリント回路基板の対称軸の方向に延び、且つ、他方の部分束が対称軸から離れて延びていくように、再度分岐してもよい。各コンダクタトラックの開放端は、リング領域に配置され、例えば接触部として構成可能であり、また、例えばセンサ装置の一部となり得る。
【0060】
図1(c)は、本発明に係る研究試料器具の他の例示的実施形態による、プリント回路基板用ケーブル装置20の概略平面図を示す。この例の場合、プリント回路基板22は、第2のプリント回路基板領域Bにおいて、3つの分岐部に分岐している。それぞれの分岐部において、基板の第1の面および基板の第2の面の双方の上において、実質的に互いに重なって延びるコンダクタトラックが設けられている。第2のプリント回路基板領域Bにおける、分岐部の最小正味幅は、第1のプリント回路基板領域Aの最小幅よりも小さい。したがって、第2の幅寸法は、第1の幅寸法よりも小さくなる。
【0061】
図2は、本発明に係る研究試料器具の他の例示的実施形態による、プリント回路基板用ケーブル装置30の概略部分平面図を示す。コンダクタトラック(33、35、36)は、それぞれのプリント回路基板領域A、B、およびCにおいて延びている。ここでは、コンダクタトラックの束の輪郭線のみが図示されており、これら輪郭線は、少なくとも複数の領域において実質平行である。束33の領域において、これは、結果として、例えば破線E1に沿う断面(図の紙面に対して直交する)を有する構成となり、この断面は、図3(a)に示す断面に相当するものとなる。
【0062】
プリント回路基板用ケーブル装置30のプリント回路基板32は、分岐点を有していないが、代わりに、階段状または連続的形態のテーパを有している。このテーパは、第1のプリント回路基板領域Aから始まって、第2のプリント回路基板領域Bを越えて、第3のプリント回路基板領域Cまで延びている。一方では、この構成は、以下の理由により、可能となる。すなわち、第2のプリント回路基板領域Bにおけるコンダクタトラックが、基板の第1および第2の面の双方の上にて延在し、さらには、互いに重なって延在するように、特に配置されているからである。束35の領域において、この構成は、結果として、コンダクタトラックのスタック、または多層(この例においては2層)のプリント回路基板領域となる。この領域は、点線E2に沿って、例えば図4(a)に示す断面に相当する断面を有し得る。
【0063】
さらに、コンダクタトラックの束36は、さらなる基板がそこに配置されている事実により、第3のプリント回路基板領域Cにおいて、2層以上に配置されている。コンダクタトラックのスタック、または多層(この例においては3層)のプリント回路基板領域は、束36の領域に現れ、例えば、点線E3に沿って、図5(a)または(b)に示す断面に相当する断面を有する。
【0064】
第2のプリント回路基板領域Bの第2の幅寸法は、第1のプリント回路基板領域Aの第1の幅寸法よりも小さい。何故ならば、第2のプリント回路基板領域Bの最小幅B2は、第1のプリント回路基板領域Aの最小幅B1よりも小さいからである。さらに、第2のプリント回路基板領域Bのコンダクタトラックの束35の最小幅b2は、また、第1のプリント回路基板領域Aのコンダクタトラックの束33の最小幅b1よりも小さい。第3のプリント回路基板領域Cにおけるコンダクタトラック36の3層構造によって、第3の幅寸法は、この場合、第2の幅寸法よりも小さくなる。このようなプリント回路基板用ケーブル装置は、以下のような器具においても用いられ得る。すなわち、この器具においては、第2および第3のプリント回路基板領域を保持するための、対応するケーブル保持スペースが、より小さな幅のみを提供する。
【0065】
図3(a)は、本発明に係る研究試料器具のさらなる例示的実施形態による、プリント回路基板用ケーブル装置40の断面図を示しており、より正確には、その第1のプリント回路基板領域を通過する断面図を示す。プリント回路基板42は、ポリイミドからなる基板43を有し、該基板43上に、15本の金属製のコンダクタトラック46が、互いに平行に延びるように配置されている。互いに隣接するコンダクタトラックは、コンダクタトラックの幅よりも大きな一定の距離で、離隔している。上側に位置する、プリント回路基板42の基板の第1の面は、樹脂からなる被覆層45によって、保護されている。この被覆層45は、基板43の上側とコンダクタトラック46を覆う、連続的、且つ部分的に透明な保護フィルムを形成する。それに対応して、下側に位置する、基板の第2の面は、同様の被覆層44によって覆われる。この断面は、幅寸法B1と関連付けられ得るものであり、該幅寸法B1は、プリント回路基板42の断面の幅によって規定される。さらに、この断面は、同様の幅寸法b1と関連付けられ得るものであり、該幅寸法b1は、各コンダクタトラック46によって形成される、ケーブル束の断面の幅によって規定される。コンダクタトラックの正確な数とは無関係に、本発明に係るプリント回路基板用ケーブル装置が、第1のプリント回路基板領域において、このような断面を有し得ることが好ましい。
【0066】
図3(b)は、本発明に係る研究試料器具のさらなる実施形態による、プリント回路基板用ケーブル装置50の断面を示す。より正確には、図3(a)と同様に、第1のプリント回路基板領域を通る断面を示している。この場合、プリント回路基板用ケーブル装置50のプリント回路基板52における、第1のプリント回路基板領域は、分岐された構成を備えており、第1の分岐部52aおよび52bを有する。分岐部52aは、7本のコンダクタトラック56からなる第1のケーブル束を含み、分岐部52bは、8本のコンダクタトラック56からなる第2のケーブル束を含む。これを越えるように、分岐部は、同様の構成と、基板(53a、53b)と、上側被覆層(55a、55b)および下側被覆層(54a、54b)とを、実質的に有している。第1のプリント回路基板領域の幅寸法は、正味幅として特定されてもよい。正味幅は、2つの分岐部の幅寸法の和である。すなわち、正味幅は、2つの分岐部の断面の幅の和である、B1_1+B1_2、または、2つのケーブル束の断面の幅の和である、b1_1+b1_2となる。第1のプリント回路基板領域を、図3(a)による断面、および図3(b)による断面の双方を有するように構成することも、可能である。さらに、一般的には、プリント回路基板用ケーブル装置の場合においては、nxの数のコンダクタトラックを、第1のプリント回路基板領域において、基板の第2の面上に配線することも可能であって、ここではすなわち、好ましくは、それぞれの場合において、nx<7、特に好ましくはnx<4、さらに好ましくはnx<2という条件が規定される。
【0067】
図4(a)および図4(b)は、本発明に係る研究試料器具の一実施形態の、プリント回路基板用ケーブル装置(60、70)の異なる例示的実施形態の第2のプリント回路基板領域を通る断面をそれぞれ示す。図3(a)および図3(b)に示す第1のプリント回路基板領域の断面に関する例示的実施形態のように、第2のプリント回路基板領域も、図4(b)に示すように、分岐された構成を有し得る。または、第2のプリント回路基板領域は、図4(a)に示す断面に一致して、少なくとも複数の領域において、分岐された構成を有さなくてもよい。第2のプリント回路基板領域において、プリント回路基板用ケーブル装置60は、プリント回路基板62を備え、該プリント回路基板62は、分岐していない。そして、プリント回路基板62において、基板63の上側には、8本のコンダクタトラック66が、互いに平行且つ等間隔で離隔して、配置されている。また、基板63の下側には、7本のコンダクタトラック67が、互いに平行且つ等間隔で離隔して、配置されている。このように、全部で15本のコンダクタトラックが表されている。ここでは、基板の第1の面および第2の面上側コンダクタトラックおよび下側コンダクタトラックは、実質的に、基板63上において、互いにオフセットされるように配置されている。すなわち、表示されている直角座標系のx−z平面は、上側コンダクタトラックおよび下側コンダクタトラックの双方と(少なくとも、この断面領域において)交わることがない。基板のそれぞれの面は、被覆層(64、65)によって保護されている。この第2のプリント回路基板領域の幅寸法B2は、例えば、図3(a)に示す第1のプリント回路基板領域の幅寸法B1よりも小さい。
【0068】
図4(b)は、プリント回路基板72を示しており、該プリント回路基板72は、第1の分岐部72aおよび72bを有する。分岐部72aは、8本のコンダクタトラックを含む。すなわち、分岐部72aは、基板の上側の第1の面上に設けられた、4本のコンダクタトラック76aと、基板の下側の第2の面上に設けられた、4本のコンダクタトラック77aとを含む。対照的に、分岐部72bは、7本のコンダクタトラックを含む。すなわち、分岐部72bは、基板の第1の面上に設けられた、4本のコンダクタトラック76bと、基板の第2の面上に設けられた、3本のコンダクタトラック77bとを含む。それぞれに、1つの被服層(75a、75b、74a、74b)が、基板のそれぞれの側の面上に設けられている。一例として、図4(a)および(b)に示されている第2のプリント回路基板領域の幅寸法は、それぞれ、図3(a)および(b)に示されている第1のプリント回路基板領域の幅寸法B1よりも小さい。何故ならば、B2または正味幅b2_1+b2_2が、それぞれ、B1またはb1_1+b1_2よりも小さいからである。
【0069】
図5(a)、(b)、および(c)は、本発明に係る研究試料器具の一実施形態のプリント回路基板用ケーブル装置(80、80’、90)の異なる例示的実施形態の第2のプリント回路基板領域を通る断面図をそれぞれ示す。図5(a)および(b)は、それぞれ、第2のプリント回路基板領域における多層構造のプリント回路基板82を示す。該プリント回路基板82は、それぞれ、2つの基板(83a、83b)を有し、例えばポリイミドからなる中間層によって分離されている。その結果、図示されているように、上側基板83aの下面に設けられたコンダクタトラック86b(この例の場合、3本のコンダクタトラック)を提供することが可能となる。それとともに、下側基板83bの上面に設けられたコンダクタトラック87b(この例の場合、4本のコンダクタトラック)を提供することも可能となる。当然ながら、プリント回路基板の内部に配置されたコンダクタトラック(86b、87b)の2つの層の一方は、省略されてもよい。上側基板の83aの上面上には、4本のコンダクタトラック86が設けられており、同様に、下側基板の83bの下面上には、4本のコンダクタトラック87が設けられている。図5(a)において、コンダクタトラック86と86b、および、コンダクタトラック86bと87bは、互いにオフセットされるように、それぞれ配置されている。その一方で、コンダクタトラック86、87b、および87は、互いに重なって配置されるように延びている。しかしながら、以下のような構成により、他の態様で互いにオフセットされたコンダクタトラックの種々の層を構成することも可能である。すなわち、例えば、図5(b)に示すように、それぞれの場合において、基板の上側および下側上のコンダクタトラックが、好ましくは、互いにオフセットされてそれぞれ配置される。第2のプリント回路基板領域のこのような構造における第2の幅寸法は、例えば図4(a)または(b)に示されている2層のプリント回路基板の構造と比べて、さらに小さくされ得る。
【0070】
図5(c)は、第2のプリント回路基板領域の例を示しており、ここでは、プリント回路基板92は、3つの基板93a、93b、および93cを有している。そして、これら3つの基板は、中間層98、98’によってそれぞれ分離され、その外側を被覆層95、95’によって覆われている。第2のプリント回路基板領域のこのような6層構造における第2の幅寸法は、例えば図5(a)または(b)に示されている4層のプリント回路基板の構造と比べて、さらに小さくされ得る。
【0071】
図4(a)と(b)、および図3(a)と(b)、また、図5(a)、(b)、および(c)からの例示的実施形態は、当然ながら、所望の、本発明に係る研究試料器具の一実施形態のプリント回路基板用ケーブル装置を得るために、組み合わされてもよい。
【0072】
平面図において、図6aは、本発明に係る研究試料器具の好ましい実施形態による、実質平面状のプリント回路基板用ケーブル装置100を示す。x−y平面における好ましい比率は、可能な範囲で、選択的に図6a、図6b、および図6cから取得され得る。プリント回路基板用ケーブル装置100は、実質細長い形状を有し、その最大幅(それぞれ、y軸方向における最外端間の幅)は、約35mmであり、且つ、その最大長さ(それぞれ、x軸方向における最外端間の幅)は、約170mmである。また、最大高さ(それぞれ、z軸方向における最外端間の幅)は、約0.2mmである。プリント回路基板102は、第1のプリント回路基板領域A、第2のプリント回路基板領域B、および第3のプリント回路基板領域Cを有する。第1のプリント回路基板領域は、領域A1における実質U字状の第1のセグメント(104、106、107、108)と、上記第1のセグメント(104、106、107、108)と、第2のプリント回路基板領域(領域Bにおける)との間に位置する、領域A2における細長い長方形状の第2のセグメント103とから、実質的に構成されている。セグメント103は、研究試料器具の細長い本体の長手方向側に沿って、予め定められた距離(この例の場合、約60mm)を接続するのに適した構成となっている。領域A2におけるセグメント103は、貫通孔116を用いて、例えばネジ止めによって、研究試料器具に取り付けられてもよい。その結果、このセグメントは、特に曲げまたはズレに対して機械的に安定して固定される。これにより、導電スリーブに負荷される機械的負荷がより小さくなる。ここで、特に、この導電スリーブは、好ましくは、基板の一方側から他方側に至るコンダクタトラックの移行部を形成し、貫通孔(130、131)に配置される。実質的に長方形状の細長いセグメント104は、セグメントA2と接しており、セグメント103と実質直交しつつ、角連結部105から延在している。セグメント104は、屈曲した形態(例えば、10mmから30mmの範囲の半径)で配置されるのに適した構成となっており、これにより、曲率半径内に配置される、研究試料器具の本体におけるそれらコンポーネントの周囲を、部分的に把持することができる。セグメント106は、実質的にx軸に沿って延びているが、セグメント103に対してオフセットされた形態として構成されている。そして、セグメント106は、直角の屈曲領域109がセグメント107に達するまでのさらなる距離を接続する。該セグメント107は、セグメント104に対して平行であるが、セグメント104よりも短い。セグメント107は、より大きな厚みを有する強化領域109によって終端しており、該強化領域109において、コンダクタトラックは、電気接触ポイントの形態で、外部に露出している。セグメント108は、このように、例えば、研究器具の制御装置のような、いずれの電子装置の雌プラグに差し込むための、プラグ領域として用いられ得る。
【0073】
プリント回路基板用ケーブル装置100の、領域Bにおける第2のプリント回路基板領域は、第1の分岐部110と、第2の分岐部111とを有する。これらの分岐部の双方は、キャビティーによって分離されている。この構成によってもたらされる利点は、本発明に係るプリント回路基板用ケーブル装置100を、以下のような研究試料器具内に配置することができる点にある。すなわち、この研究試料器具においては、プリント回路基板用ケーブル装置100の第2のプリント回路基板領域を保持するための第2の保持スペースは、任意のコンポーネントによって占有され、プリント回路基板用ケーブル装置に利用することができない。次に、このようなプリント回路基板用ケーブル装置を備える研究試料器具は、よりコンパクトな構造、且つ、より柔軟性のある設計を有することができる。何故ならば、第2のプリント回路基板領域は、第1のプリント回路基板領域よりも小さな幅寸法を有しているからである。これらの利点は、全ての、本発明に係るプリント回路基板用ケーブル装置と、本発明に係る研究試料器具とに、本発明の記載の範囲において、実質的にもたらされる。
【0074】
第2のプリント回路基板領域の、第3のプリント回路基板領域への連結領域112において、プリント回路基板102は、屈曲するように構成されている。この特徴は、全ての、本発明に係るプリント回路基板用ケーブル装置と、本発明に係る研究試料器具とに、本発明の記載の範囲において、実質的に適用される。この屈曲形状によって、第3のプリント回路基板領域は、第2のプリント回路基板領域に対して、好ましくは、90°で屈曲して配置され得る。本発明に係る研究試料器具において、プリント回路基板用ケーブル装置は、好ましくは、第3のプリント回路基板領域が、第1および/または第2のプリント回路基板領域に対して、角度aで屈曲するように、配置される。ここで、好ましくは、角度a=90°(±5°を含む)、または、70°<a<120°が、適用されるか、または、aが異なる角度となる。屈曲形状を安定させるために、屈曲補助部113が設けられてもよく、該屈曲補助部113は、移行領域において、第2および第3プリント回路基板領域の間を、予め定められた屈曲領域で延在する。プリント回路基板用ケーブル装置100において、屈曲補助部113は、細長い金属要素によって構成され、好ましくは、プリント回路基板の屈曲領域において、全てのコンダクタトラックよりも大きな全体的断面を有する。屈曲部113は、好ましくは、カプトン(Kapton:登録商標)からなる部分的に弾性且つ可撓性のプリント回路基板102の弾性復元力が、プリント回路基板を屈曲させた後に、再度屈曲を解除してしまうことを防止するように形成される。これにより、屈曲領域において、コンダクタトラックに過度のストレスが加わることを防止することができる。
【0075】
領域Cにおける第3のプリント回路基板領域は、領域Bにおける第2のプリント回路基板領域と接している。第3のプリント回路基板領域は、環状部114が設けられていることから、実質環状の構成を有する。環状部114は、図6aにおいて点線E4の下側に位置する第1のリング半体114aと、点線E4の上側に位置する第2のリング半体114bとを有する。環状部114は、4つの角フランジ115をさらに有しており、該角フランジ115は、リングの平面に配置され、それぞれが孔116を含む。この孔116によって、第3のプリント回路基板領域を、例えば、研究試料器具の内部に組み込むことができる。
【0076】
プリント回路基板用ケーブル装置100は、第1および第2のプリント回路基板領域に、15本のコンダクタトラックを備えている。上記コンダクタトラックは、基本セグメントにおいて常に、少なくとも部分的に束状の形態で、平行に延びている。角屈曲部105の領域において、互いに実質等間隔に配置された、計15本のコンダクタトラックの主束120は、互いに等間隔に配置された8本のコンダクタトラックからなる第1の部分束121と、互いに等間隔に配置された7本のコンダクタトラックからなる第2の部分束122とに、分離される。領域A3が、第1のプリント回路基板領域のセグメントA2に、さらに形成されている。この領域A3において、第1および第2の部分束121、122のコンダクタトラックの実質半分が、それぞれ、基板の第1の面(図示されている側)から、基板の第2の面(図示されていない側)へと移行する。第1の部分束121の場合、4本のコンダクタトラック121bが、基板の第2の面へと移行しており、且つ、第2の部分束122の場合、3本のコンダクタトラック122bが、基板の第2の面へと移行している(図6bを参照のこと)。領域A3におけるプリント回路基板の計7つの貫通孔130は、図6aおよび図6bに図示されていない。なお、領域A3に沿って、コンダクタトラックは、それぞれ面を変更する。領域A3から前方へ向けて延びる、第1の部分束121の上側の4本のコンダクタトラック121aと、第2の部分束122の上側の4本のコンダクタトラック121aのみが、図6aに図示されている。
【0077】
第3のプリント回路基板領域の領域Cにおいて、コンダクタトラックの第1の部分束121の実質全ては、環状部114の第1のリング半体114aに繋がり、コンダクタトラックの第2の部分束122の実質全ては、環状部114の第2のリング半体114bに繋がっている。この構成によって、特に、2つのリング半体のアームを比較的に細くする可能性がもたらされ、その結果、研究試料器具において第3のプリント回路基板領域に要する保持スペースを、より小さくするというさらなる利点がもたらされることになる。その結果、本発明に係るプリント回路基板用ケーブル装置がこのように設けられている、本発明に係る研究試料器具は、より柔軟な構成を備えることができる。さらに、この実施形態は、特に、第2のプリント回路基板領域の比較的に小さな第2の幅寸法が問題となることなく、比較的に多くのコンダクタトラックを、第2のプリント回路基板領域から第3のプリント回路基板領域へ、配線することを可能とする。その結果、例えば、比較的に多くの数(NA=14)のスキャンポイントを有するスキャン装置のような、より複雑な電子装置を構成することができる。
【0078】
第2のプリント回路基板領域の領域Bにおいては、コンダクタトラックは、図4(b)の例示的実施形態に示されているように、実質的に延在している。第1のプリント回路基板領域の領域106においては、コンダクタトラックは、図3(a)の例示的実施形態に示されているように、実質的に延在している。第1のプリント回路基板領域の領域103においては、コンダクタトラックは、図3(b)の例示的実施形態に示されているように、実質的に延在している。
【0079】
図6bは、180°回転させた、プリント回路基板用ケーブル装置100の下側を示す。図6bに示されているように、下側のコンダクタトラックの第1および第2の部分束121b、122bも、環状部において、基板の第2の面(すなわち、プリント回路基板102の下側の面)上にて、実質延在している。図6cにおいては、プリント回路基板102は、敷設されたコンダクタトラックを省略して示されている。図6a、図6b、および図6cの比較によって、特に、環状部の貫通孔131の位置で、下側のコンダクタトラックの第1および第2の部分束121b、122bが、基板の第1の面上に再度配線されていることが示されている。そして、この位置において、これら部分束121b、122bは、接触部140の領域内に接続されているか、または、さらなるコンダクタトラック部によって、接触部140の領域まで配線されている(殆ど、図示されていない)。
【0080】
全体として、計14個(NA=14)の接触部140が、設けられており、該接触部140に、コンダクタトラックの束120の計15本のコンダクタトラックのうち、少なくとも1本が、接続している。1つの接触部は、タッチセンサの接触センサ領域として構成されており、該タッチセンサは、研究器具のスキャン装置の一部材として設けられている。なお、この研究器具としては、例えば、図8の例示的実施形態に記載されているような、本発明に係る研究器具が挙げられる。接触部140は、第1の接触領域と第2の接触領域を有し、これら接触領域の双方は、互いに離隔しており、それ故に、電気的に絶縁されている。2つの接触領域は、独立した接触要素によって、電気的に接続され得る。この接触要素は、グラファイトディスクであってもよく、この接続は、対応するコンダクタトラックにおける電気抵抗の低下として、検知することができる。このような接触要素は、本発明に係る研究器具のスキャン装置の一部材であってもよく、該研究器具のスキャン装置に、プリント回路基板用ケーブル装置が配置されている。各接触領域は、多層に巻かれた、または分岐した繊細な電線を有しており、該電線は、アナログ構造を有する相補的接触領域にインターカレートされる。その結果、接触の信頼性が向上することになる。
【0081】
図9aは、プリント回路基板用ケーブル装置300の平面図を示し、該プリント回路基板用ケーブル装置300は、上記に説明したプリント回路基板用ケーブル装置100と同様の機能を有するコンポーネントを、実質的に備えている。したがって、プリント回路基板用ケーブル装置100および300の実質同等のコンポーネントは、同じ参照符号によって示されている。プリント回路基板用ケーブル装置300においては、第1のプリント回路基板領域Aのセグメント103またはA2は、複数のサブ領域A3、A3’、およびA3”を有している。これらサブ領域A3、A3’、およびA3”は、2本のコンダクタトラック束121、122のコンダクタトラックの全てが、少なくとも一度は、基板の第1の面から基板の第2の面、または、基板の第2の面から基板の第1の面へと配線されることを保証する目的のために機能する。プリント回路基板102の、互いに分離された複数のサブ領域A3、A3’、およびA3”がこの目的のために用いられることによって、貫通孔130と、さらなる構造とを、セグメント103に配置するための十分なスペースを確保することができる。本実施例においては、このようなさらなる構造とは、導電材料からなる試験接触ポイント301であり、該試験接触ポイント301は、プリント回路基板用ケーブル装置の機能を試験するための外部試験装置によって接触されてもよい。高信頼性のプリント回路基板用ケーブル装置の製造は、これらの試験接触ポイントによって簡易化される。図9bは、図9aに示すプリント回路基板用ケーブル装置の詳細を示す平面図である。図9cは、図9aに示すプリント回路基板用ケーブル装置の詳細を下方から見た図である。
【0082】
図7(a)は、従来技術に係る研究試料器具の外形の概略前面図を示す。研究試料器具は、Eppendorf AG(独国)による、手動ディスペンサ「Multipette(登録商標) Xstream」であり、2011年に商業的に実用化されている。上端部から底部まで、手動ディスペンサ180は、研究試料容器182の方向に向かって細くなるような外形を有している。手動ディスペンサの外形は、一部は技術的な理由によるものであり、また一部はEppendorf AG(独国)の設計概念によって決定されたものである。試料は、廃棄可能物である注射器181によって、計量された方法で、取り上げられ、または放出され得る。一例として、注射器181は、10mlの試料体積を保持するものであって、Eppendorf AG(独国)によって、着脱可能なアクセサリーとして、同様に2011年に商業的に実用化されている。注射器181は、手動ディスペンサの本体180の内部に一部配置されるので、その全体を図7(a)に示すことができない。
【0083】
図7(b)は、図7(a)に示す研究試料器具の概略側面図を示す。この例の場合、注射器181は、領域Cにおいて、フランジ部181aと、エンコードプロファイルフランジ181bと、ピストン連結部181cとによって形成され、その全体が概略的に図示されている。エンコードプロファイルフランジ181bの端面上のエンコードプロファイルによって、手動ディスペンサ180が、スキャン装置とともに、器具に接続された注射器のタイプを、自動的に識別することが可能となる。
【0084】
手動ディスペンサの本体180は、ケーブル保持スペース185、186を有しており、該ケーブル保持スペース185、186は、領域Bにおいて特に、注射器およびスキャン装置を保持するための連結機構を収容することに対する設計要求の結果として、空間的に大きく規制される。スキャン装置は、エンコードプロファイルフランジ181bの端面をスキャンするためのタッチセンサを用いるので、ケーブル保持スペース186は、研究試料器具の長手方向の軸に対して直交するように配置される。したがって、第3のプリント回路基板領域は、領域10に配置されており、長手方向の軸に対して、約90°の角度、好ましくは、80°〜100°の範囲の角度、特に好ましくは、88°〜92°の範囲の角度で配置される必要がある。なお、長手方向の軸の方向に、第1および第2のプリント回路基板領域が設置される。
【0085】
図8は、一例示的実施形態による、本発明に係る研究試料器具200の概略側面図を示す。ここで、この器具は、図7(a)および(b)に示すものと同様の手動ディスペンサであってもよい。本体201は、ケーブル保持スペース185を有し、該ケーブル保持スペース185の体積は、図7(a)および(b)に示す手動ディスペンサと同じであってもよい。本発明に係るプリント回路基板用ケーブル装置210は、手動ディスペンサ200のケーブル保持スペース185に配置され、且つ、このケーブル保持スペース185は、3つのサブスペース186、187、および188からなる。一例として、このプリント回路基板用ケーブル装置210は、図6aに示すプリント回路基板用ケーブル装置100に相当するものであってもよい。この場合、第3のプリント回路基板領域213のプリント回路基板用ケーブル装置100の環状部114は、第3の保持スペース186に配置される。また、2つの分岐部110、111は、第2のプリント回路基板領域212として、第2の保持スペース187に配置される。そして、プリント回路基板用ケーブル装置100の領域103は、第1のプリント回路基板領域211として、第1の保持スペース188に配置される。
【0086】
プリント回路基板用ケーブル装置210は、第1のプリント回路基板領域211と、第2のプリント回路基板領域212と、第3のプリント回路基板領域213とを含む、プリント回路基板(211、212、213)を有する。第3のプリント回路基板領域213は、第1のプリント回路基板領域211に対して90°の角度で配置されている。第2のプリント回路基板領域212の領域Bにおける、プリント回路基板のコンダクタトラックの2層のスタック構造の結果として、また、この領域の実現可能性の低さにおいて、従来の器具の場合に可能であったものよりも非常に多数の接触領域を、本発明に係る研究試料器具200において確保することができる。この結果、研究試料器具において、試料を保持する注射器および他の手段181’、または、これらの手段に連結され得るアダプタを用いることが可能となる。ここで、エンコードプロファイルは、比較的に多数(例えば、NA=14)のプロファイル上昇ポイントを有し、これを用いて、14bitのエンコードワードが現れるように論理値0または1が示されてもよい。本発明に係る示唆により、手動ディスペンサ200の端面領域における空間的な問題を伴わない技術的手段によって、この数を増やし、且つこれを実施することが、容易に可能となる。
【0087】
図10(a)は、手持ちディスペンサとしての研究試料器具400の好ましい実施形態のディスペンサ注射器481を取り付けるための取り付け装置の一部を示している。取り付け装置は、第1の位置に配置されており、この位置では、ディスペンサ注射器は、可動の接触ソケット411に取り付けられていない。接触ソケット411と、該接触ソケット411に強固に連結されている第3のプリント回路基板領域(図示せず)とは、電子センサ装置の部材である。この電子センサ装置は、研究試料器具に接続された注射器のタイプを識別する。取り付け装置は、クランプ部材412a、412bを含むスナップ式機構であり、該クランプ部材412a、412bは、第2および第3の器具領域において、研究試料器具の長さ方向の軸zに対してぞれぞれ反対側に配置され、且つ、バネ413によってバネ連結されている。接触ソケット411は、ガイド機構によってガイドされ、z軸に沿ってのみ移動可能であり、さらに、ディスペンサ400に、本実施形態においては4つのバネ414によって、バネ連結されている。接触ソケット411の移動は、保持装置415によって規制される。この保持装置415は、接触ソケット411の移動をブロックするブロック装置として構成される。
【0088】
保持装置は、2つの保持部材415を有する。これら保持部材は、互いに反対側に配置され、研究試料器具の長さ方向の軸zに対して反対側にそれぞれ配置される。この図面においては、2つの保持部材415のうち一方のみが図示されている。2つの保持部材415のうち一方は、図示されており、プリント回路基板用ケーブル装置430における第2のプリント回路基板領域432aおよび432bの2つの分岐部の間に配置される。第2の器具領域においては、利用可能なスペースが限られているが、第2のプリント回路基板領域432aおよび432bを、第2の器具領域に配置することができる。これは、第2のプリント回路基板領域において、少なくとも1つのコンダクタトラックが、基板の第1の面上に配置され、且つ、少なくとも1つのコンダクタトラックが、基板の第2の面上に配置されるからである。このように、第2のプリント回路基板領域の幅寸法は、小さい寸法に維持され、スペースの限定に係る課題が、克服されることになる。
【0089】
図10(b)は、図10(a)の取り付け装置を示しており、ディスペンサ注射器が取り付けられた状態を示す。ここでは、接触ソケット411は、上方に移動されており、この移動は、図中において、線L1と線L2との間の矢印にて示されている。バネ414は、注射器481によって圧縮されており、該注射器481は、図10(b)において、取り付け位置に保持されている。分岐部432aと432bとの間の凹み部によって、第2および第3のプリント回路基板領域の、保持部材415に対する相対的な移動が可能となる。ここで、保持部材415は、ディスペンサ400に強固に取り付けられている。第1のプリント回路基板領域431が、取り付け孔433によって、ディスペンサに強固に取り付けられていることに留意すべきである。このことは、接触ソケット411が、図10(a)の位置から、図10(b)の第2の位置に向けて、上方に移動された場合に、第2のプリント回路基板領域(実質的に、線L1と線L2との間に示されている)は、変位によって僅かに屈曲することを意味している。
【0090】
図10(a)および(b)に示す、このような構成を用いることによって、ディスペンサ内に限られたスペースしかない状況においても、ディスペンサの端面(この端面は、接触ソケット411によって形成される)に配置されたセンサ装置を、ディスペンサの制御装置(図10において図示せず)に接続することが可能となる。換言すれば、ディスペンサを、同時に、コンパクト且つ機能的に構成することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブル保持スペース(185)を備え、
前記ケーブル保持スペース(185)において、プリント回路基板用ケーブル装置(1、10、20、30、40、50、60、70、80、80’、90、100、210、300)が配置される、研究試料器具(200)、特に、ディスペンサまたはピペットであって、
前記プリント回路基板用ケーブル装置は、少なくとも1つのプリント回路基板(2、12、22、32、42、52、62、72、82、92、102、211、212、213)を備え、
前記プリント回路基板は、
基板の第1の面、および基板の第2の面と、
連続して配置された、少なくとも1つの第1のプリント回路基板領域(A、211)、少なくとも1つの第2のプリント回路基板領域(B、212)、および、少なくとも1つの第3のプリント回路基板領域(C、213)と、
複数のコンダクタトラック(3、4、5、6、33、35、36、46、56、66、67、76a、77a、76b、77b、86、86b、87、87b、87’、96、121、122、121a、122a、121b、122b)と、を有し、
前記コンダクタトラックは、少なくとも複数の領域において、前記プリント回路基板上にて互いに平行に配置され、前記第1のプリント回路基板領域に配置された第1のトラック部から、前記第2のプリント回路基板領域を経て、第2のトラック部が配置された前記第3のプリント回路基板領域まで延在し、
前記第2のプリント回路基板領域において、少なくとも1つのコンダクタトラック(66、76a、76b、86、87b、121a、122a)は、前記基板の第1の面上に配置され、且つ、少なくとも1つのコンダクタトラック(67、77a、77b、86b、87、121b、122b)は、前記基板の第2の面上に配置される、研究試料器具。
【請求項2】
前記ケーブル保持スペースは、少なくとも一つの第1の保持スペース(188)、少なくとも一つの第2の保持スペース(187)、および、少なくとも一つの第3の保持スペース(186)に分けられ、
前記第1のプリント回路基板領域(211)は、前記第1の保持スペース(188)に配置され、前記第2のプリント回路基板領域(212)は、前記第2の保持スペース(187)に配置され、且つ、前記第3のプリント回路基板領域(213)は、前記第3の保持スペース(186)に配置され、
前記第2の保持スペースは、前記プリント回路基板(211、212、213)と直交している場合、前記第1の保持スペースよりも小さな断面領域を有することを特徴とする、請求項1に記載の研究試料器具。
【請求項3】
前記第1の保持スペース、前記第2の保持スペース、および前記第3の保持スペースがそれぞれ配置される、第1の器具領域、第2の器具領域、および第3の器具領域を備え、
前記プリント回路基板用ケーブル装置は、前記第1の器具領域に配置された電子装置と、前記第3の器具領域に配置されたセンサ装置との間の電気接続を実現し、
接触部が、好ましくは、前記第3のプリント回路基板領域における前記コンダクタトラックの端部に設けられ、
前記接触部は、該接触部と接触する導電接触要素によって検知可能な電気回路の閉鎖によって、前記センサ装置と関連付けられることを特徴とする、請求項1または2に記載の研究試料器具。
【請求項4】
前記少なくとも1つの第1のプリント回路基板領域は、第1の幅寸法(B1、b1)を有し、前記少なくとも1つの第2のプリント回路基板領域は、第2の幅寸法(B2、b2)を有し、
前記第2の幅寸法は、前記第1の幅寸法よりも小さいことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の研究試料器具。
【請求項5】
前記第2のプリント回路基板領域において、前記コンダクタトラックは、前記基板の第1の面と、前記基板の第2の面とに、実質同数ずつ分配されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の研究試料器具。
【請求項6】
前記第1のプリント回路基板領域において、前記コンダクタトラックの大部分、またはその全ては、少なくとも複数の領域において、前記基板の第1の面上に配置されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の研究試料器具。
【請求項7】
前記第2のプリント回路基板領域は、互いに隣り合うように配置された少なくとも2つの分岐部を含み、
それぞれの前記分岐部において、複数のコンダクタトラックが配置され、
前記分岐部の幅寸法の合計は、前記第2の幅寸法に相当することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の研究試料器具。
【請求項8】
前記第3のプリント回路基板領域は、実質環状もしくは環状セグメント状の構成、または、環状もしくは環状セグメント状のセグメントを有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の研究試料器具。
【請求項9】
前記第2のプリント回路基板領域は、互いに隣り合うように配置された少なくとも2つの分岐部を含み、
前記第3のプリント回路基板領域は、環状リングとして実質的に構成され、
第1および第2の分岐部は、それぞれ、前記環状リングの異なる半体に繋がっていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の研究試料器具。
【請求項10】
前記第3のプリント回路基板領域において前記基板の第1の面上に延在する前記コンダクタトラックは、それぞれ接触部に繋がり、
前記第3のプリント回路基板領域において前記基板の第2の面上に延在する前記コンダクタトラックは、前記プリント回路基板に設けられた貫通孔(131)を介して、前記基板の第1の面に配線されて、それぞれ接触面に繋がり、
前記接触部は、前記基板の第1の面上において、互いに所定の距離だけ離隔して配置されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の研究試料器具。
【請求項11】
前記接触部は、電気的に相互に接続された第1の接触コンダクタトラックと、電気的に相互に接続された第2の接触コンダクタトラックとから構成され、
前記第1の接触コンダクタトラックは、前記プリント回路基板上のコンダクタトラックに電気的に接続され、
前記第2の接触コンダクタトラックは、前記プリント回路基板上の他のコンダクタトラックに電気的に接続され、
前記第1の接触コンダクタトラックと前記第2の接触コンダクタトラックとは、互いに電気的に絶縁されており、屈曲してインターカレートされた形態で配置されるとともに、前記接触部に接触する導電性の接触要素によって、互いに電気的に接続可能であることを特徴とする、請求項10に記載の研究試料器具。
【請求項1】
ケーブル保持スペース(185)を備え、
前記ケーブル保持スペース(185)において、プリント回路基板用ケーブル装置(1、10、20、30、40、50、60、70、80、80’、90、100、210、300)が配置される、研究試料器具(200)、特に、ディスペンサまたはピペットであって、
前記プリント回路基板用ケーブル装置は、少なくとも1つのプリント回路基板(2、12、22、32、42、52、62、72、82、92、102、211、212、213)を備え、
前記プリント回路基板は、
基板の第1の面、および基板の第2の面と、
連続して配置された、少なくとも1つの第1のプリント回路基板領域(A、211)、少なくとも1つの第2のプリント回路基板領域(B、212)、および、少なくとも1つの第3のプリント回路基板領域(C、213)と、
複数のコンダクタトラック(3、4、5、6、33、35、36、46、56、66、67、76a、77a、76b、77b、86、86b、87、87b、87’、96、121、122、121a、122a、121b、122b)と、を有し、
前記コンダクタトラックは、少なくとも複数の領域において、前記プリント回路基板上にて互いに平行に配置され、前記第1のプリント回路基板領域に配置された第1のトラック部から、前記第2のプリント回路基板領域を経て、第2のトラック部が配置された前記第3のプリント回路基板領域まで延在し、
前記第2のプリント回路基板領域において、少なくとも1つのコンダクタトラック(66、76a、76b、86、87b、121a、122a)は、前記基板の第1の面上に配置され、且つ、少なくとも1つのコンダクタトラック(67、77a、77b、86b、87、121b、122b)は、前記基板の第2の面上に配置される、研究試料器具。
【請求項2】
前記ケーブル保持スペースは、少なくとも一つの第1の保持スペース(188)、少なくとも一つの第2の保持スペース(187)、および、少なくとも一つの第3の保持スペース(186)に分けられ、
前記第1のプリント回路基板領域(211)は、前記第1の保持スペース(188)に配置され、前記第2のプリント回路基板領域(212)は、前記第2の保持スペース(187)に配置され、且つ、前記第3のプリント回路基板領域(213)は、前記第3の保持スペース(186)に配置され、
前記第2の保持スペースは、前記プリント回路基板(211、212、213)と直交している場合、前記第1の保持スペースよりも小さな断面領域を有することを特徴とする、請求項1に記載の研究試料器具。
【請求項3】
前記第1の保持スペース、前記第2の保持スペース、および前記第3の保持スペースがそれぞれ配置される、第1の器具領域、第2の器具領域、および第3の器具領域を備え、
前記プリント回路基板用ケーブル装置は、前記第1の器具領域に配置された電子装置と、前記第3の器具領域に配置されたセンサ装置との間の電気接続を実現し、
接触部が、好ましくは、前記第3のプリント回路基板領域における前記コンダクタトラックの端部に設けられ、
前記接触部は、該接触部と接触する導電接触要素によって検知可能な電気回路の閉鎖によって、前記センサ装置と関連付けられることを特徴とする、請求項1または2に記載の研究試料器具。
【請求項4】
前記少なくとも1つの第1のプリント回路基板領域は、第1の幅寸法(B1、b1)を有し、前記少なくとも1つの第2のプリント回路基板領域は、第2の幅寸法(B2、b2)を有し、
前記第2の幅寸法は、前記第1の幅寸法よりも小さいことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の研究試料器具。
【請求項5】
前記第2のプリント回路基板領域において、前記コンダクタトラックは、前記基板の第1の面と、前記基板の第2の面とに、実質同数ずつ分配されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の研究試料器具。
【請求項6】
前記第1のプリント回路基板領域において、前記コンダクタトラックの大部分、またはその全ては、少なくとも複数の領域において、前記基板の第1の面上に配置されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の研究試料器具。
【請求項7】
前記第2のプリント回路基板領域は、互いに隣り合うように配置された少なくとも2つの分岐部を含み、
それぞれの前記分岐部において、複数のコンダクタトラックが配置され、
前記分岐部の幅寸法の合計は、前記第2の幅寸法に相当することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の研究試料器具。
【請求項8】
前記第3のプリント回路基板領域は、実質環状もしくは環状セグメント状の構成、または、環状もしくは環状セグメント状のセグメントを有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の研究試料器具。
【請求項9】
前記第2のプリント回路基板領域は、互いに隣り合うように配置された少なくとも2つの分岐部を含み、
前記第3のプリント回路基板領域は、環状リングとして実質的に構成され、
第1および第2の分岐部は、それぞれ、前記環状リングの異なる半体に繋がっていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の研究試料器具。
【請求項10】
前記第3のプリント回路基板領域において前記基板の第1の面上に延在する前記コンダクタトラックは、それぞれ接触部に繋がり、
前記第3のプリント回路基板領域において前記基板の第2の面上に延在する前記コンダクタトラックは、前記プリント回路基板に設けられた貫通孔(131)を介して、前記基板の第1の面に配線されて、それぞれ接触面に繋がり、
前記接触部は、前記基板の第1の面上において、互いに所定の距離だけ離隔して配置されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の研究試料器具。
【請求項11】
前記接触部は、電気的に相互に接続された第1の接触コンダクタトラックと、電気的に相互に接続された第2の接触コンダクタトラックとから構成され、
前記第1の接触コンダクタトラックは、前記プリント回路基板上のコンダクタトラックに電気的に接続され、
前記第2の接触コンダクタトラックは、前記プリント回路基板上の他のコンダクタトラックに電気的に接続され、
前記第1の接触コンダクタトラックと前記第2の接触コンダクタトラックとは、互いに電気的に絶縁されており、屈曲してインターカレートされた形態で配置されるとともに、前記接触部に接触する導電性の接触要素によって、互いに電気的に接続可能であることを特徴とする、請求項10に記載の研究試料器具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図7】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図7】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図10】
【公開番号】特開2013−39559(P2013−39559A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−178537(P2012−178537)
【出願日】平成24年8月10日(2012.8.10)
【出願人】(501186645)エッペンドルフ アクチェンゲゼルシャフト (9)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−178537(P2012−178537)
【出願日】平成24年8月10日(2012.8.10)
【出願人】(501186645)エッペンドルフ アクチェンゲゼルシャフト (9)
【Fターム(参考)】
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