説明

取引処理システム、取引処理装置の制御装置及び取引処理方法

【課題】取引処理装置の貨幣量及び取引量に応じて稼働状態を制御する。
【解決手段】複数の取引処理装置接続された制御装置200は、前記複数の取引処理装置の取引情報を記憶する記憶部204と、複数の取引処理装置100の取引情報に基づいて、取引処理装置100の稼働状態を制御する制御部201と、を備え、制御部201は、取引処理装置100の取引情報に含まれる取引量が所定の基準値を超えた場合に、取引処理装置100の電源を切断するよう指示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取引処理システム、取引処理装置の制御装置及び取引処理方法に関し、複数の取引処理装置を制御する取引処理システム、制御装置及び取引処理方法に適用して好適なるものである。
【背景技術】
【0002】
銀行口座からの出金や、銀行口座への入金及び振込や、列車やバスなどの乗車券の購入などは、窓口における対面処理では煩わしく時間もかかることから、現在では、利用者が自ら操作する現金自動取引装置や券売機などの取引処理装置が多く設置され利用されている。これらの現金自動取引装置や券売機では、出金用の貨幣の量、入金用の貨幣の量、おつり用の貨幣の量、チケットの量などは有限であり、これらが不足したり装置内が満杯になったりすると装置を停止させて、係員による貨幣の補充等が行われていた。
【0003】
例えば、特許文献1では、複数の取引処理装置において、一つの取引処理装置の出金貨幣が枯渇したり、入金貨幣が満杯になったりした場合に、他の取引処理装置と貨幣残量が均等になるように、取引処理装置を入金専用装置にしたり出金専用装置にしたりする縮退運用を行うことが開示されている
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭61−138372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1では、貨幣の残量に応じて取引処理装置を縮退運用とするか否かを判断していたため、取引量の多い取引処理装置であっても縮退運用を行って入金専用装置や出金専用装置として稼働させることとなっていた。このように、一つの取引処理装置の取引量が多くなると、必然的に他の取引処理装置に比べて消耗部品の消耗度や故障頻度が高くなるという問題があった。
【0006】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、取引処理装置の貨幣量及び取引量に応じて稼働状態を制御することが可能な取引処理装置の制御装置及び取引処理方法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するために本発明においては、複数の取引処理装置に接続された制御装置であって、前記複数の取引処理装置の取引情報を記憶する記憶部と、前記複数の取引処理装置の取引情報に基づいて、前記取引処理装置の稼働状態を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記取引処理装置の前記取引情報に含まれる取引量が所定の基準値を超えた場合に、該取引処理装置の電源を切断するよう指示することを特徴とする、制御装置が提供される。
【0008】
かかる構成によれば、複数の取引処理装置の取引情報に応じて、各取引処理装置の稼働状態を制御し、必要であれば取引処理装置の電源を切断することにより、複数の取引処理装置の故障頻度や消耗品の交換頻度を均一化して、利便性を高めることが可能となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、取引処理装置の貨幣量及び取引量に応じて稼働状態を制御して、故障頻度や消耗品の交換頻度を均一化して利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る取引処理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】同実施形態にかかる券売機の構成を示すブロック図である。
【図3】同実施形態にかかる制御装置の構成を示すブロック図である。
【図4】同実施形態にかかる券売機状態管理テーブルの内容を示す図表である。
【図5】同実施形態にかかる制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図6A】本発明の第2の実施形態に係る制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図6B】同実施形態にかかる制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図6C】同実施形態にかかる制御装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0012】
(1)第1の実施の形態
(1−1)取引処理システムの構成
本実施の形態では、取引処理装置の一例として、利用者の操作に応じておつりを出金したり、チケットを排出したりする券売機を例示して説明する。図1に示すように、取引処理システム1は、複数の券売機100A、100B、100C、100D、100E及び100F(以降、単に券売機100と称して説明する場合もある。)と制御装置200とから構成されている。
【0013】
券売機100と制御装置200とは、ネットワークを介して接続されている。該ネットワークは、各装置を相互に通信可能に接続する通信回線網であり、例えば、インターネット、電話回線網、衛星通信網等の公衆回線網や、WAN(Wide Area Network)、LAN、IP−VPN等の専用回線網などで構成されており、有線、無線を問わない。また、複数の券売機100が相互に接続されるようにしてもよい。また、制御装置200と複数の券売機100とが相互に通信したり、複数の券売機が相互に通信したりする構成としてもよい。また、制御装置200と複数の券売機100のうちいずれか1つの券売機100とが相互に通信して、該券売機100とその他の券売機とが相互に通信する構成としてもよい。
【0014】
(1−2)券売機の構成
次に、券売機100の構成について説明する。図2に示すように、券売機100は、主に制御部101、表示部102、操作部103、記憶部104、紙幣部105、硬貨部106、カード部107、チケット部108、通信部109、電源部110及び取扱い品目表示部111から構成される。
【0015】
制御部101は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って券売機100内の表示部102、操作部103、記憶部104、紙幣部105、硬貨部106、カード部107、チケット部108、通信部109、電源部110及び取扱い品目表示部111の動作全般を制御する。
【0016】
表示部102は、液晶ディスプレイ装置やランプなどの表示装置であって、券売機100を利用する利用者に対して、各種情報を提供するための表示画面を表示させる機能を有する。また、係員等が券売機100のメンテナンスを行う場合に、券売機100の状態を表示画面に表示させる。
【0017】
操作部103は、キーボードやテンキー、タッチパネルなどの入力装置であって、券売機100を利用する利用者が操作したり、係員が券売機100のメンテナンスを行う際に操作したりする。
【0018】
記憶部104は、制御部が使用するプログラムや演算パラメータを記憶したり、プログラムを実行する際のパラメータ等を一時的に記憶したりする。また、記憶部104は、券売機100の動作履歴を記憶する。
【0019】
紙幣部105は、制御部101の指示のもと、紙幣に関する処理を実行する。例えば、利用者によりチケットが購入される際には、紙幣の入金処理や、計数処理、金庫への保管処理などを実施する。また、おつりの排出時には、紙幣の金庫からの排出処理や、計数処理、出金処理などを実施する。
【0020】
硬貨部106は、制御部101の指示のもと、硬貨に関する処理を実行する。例えば、利用者によりチケットが購入される際には、硬貨の入金処理や、計数処理、金庫への保管処理などを実施する。また、おつりの排出時には、硬貨の金庫からの排出処理や、計数処理、出金処理などを実施する。
【0021】
カード部107は、利用者によりチケットが購入される際に、クレジットカードを受入たり、クレジットカードから情報を読み出しや、クレジットカードの排出などを行う。また、利用者によりIC乗車券が購入される際には、IC乗車券をストックしているストック部から取り出し、使用可能な状態にして排出する。
【0022】
チケット部108は、利用者によりチケットが購入される際に、チケットへの印字を行ったり、排出を行ったりする。また、チケットの印字以外に、チケットと同じ用紙を使用して、クレジットカードの利用明細の印字を行う。
【0023】
通信部109は、ネットワークに接続するための通信デバイス等で構成された通信インタフェースである。また、通信部109は、無線LAN(Local Area Network)対応通信装置であっても、ワイヤレスUSB対応通信装置であっても、有線による通信を行うワイヤー通信装置であってもよい。この通信部109は、券売機100と制御装置200との間、または、券売機100同士でネットワークを介して、各種情報を送受信する。
【0024】
電源部110は、商用AC電源などから供給される電力を、券売機100に供給する装置である。
【0025】
取扱い品目表示部111は、表示装置であって、券売機100で取り扱う品目を利用者が認識可能なように、取扱い品目を表示する。
【0026】
(1−3)制御装置の構成
次に、制御装置200の構成について説明する。図3に示すように、制御装置200は、主に、制御部201、表示部202、操作部203、記憶部204、通信部205及び電源部206から構成される。
【0027】
制御部201は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って制御装置200内の表示部202、操作部203、記憶部204、通信部205及び電源部206の動作全般を制御する。
【0028】
表示部202は、液晶ディスプレイ装置やランプなどの表示装置であって、制御装置200を管理する係員等が券売機100の状態を確認するための情報を表示画面に表示させる。
【0029】
操作部203は、キーボードやテンキー、タッチパネルなどの入力装置であって、制御装置200を管理する係員等が券売機100のメンテナンスや情報管理を行う際に操作したりする。
【0030】
記憶部204は、制御部が使用するプログラムや演算パラメータを記憶したり、プログラムを実行する際のパラメータ等を一時的に記憶したりする。また、記憶部204は、券売機100の動作履歴や状態を示す情報を記憶する。
【0031】
通信部205は、ネットワークに接続するための通信デバイス等で構成された通信インタフェースである。また、通信部205は、無線LAN(Local Area Network)対応通信装置であっても、ワイヤレスUSB対応通信装置であっても、有線による通信を行うワイヤー通信装置であってもよい。この通信部205は、券売機100との間でネットワークを介して、各種情報を送受信する。
【0032】
電源部206は、商用AC電源などから供給される電力を、制御装置200に供給する装置である。
【0033】
(1−4)取引処理システムの動作
(1−4−1)券売機における縮退運用の詳細
まず、券売機100内のチケット等の残量が少なくなり、券売機100において扱う取扱い品目を減らす縮退運用について説明する。
【0034】
例えば、以下では、券売機100において取り扱うことができる取扱い品目は、現金でチケットを購入する(現金でチケット購入)、IC乗車券でチケットを購入する(IC乗車券でチケット購入)、現金でIC乗車券をチャージする(現金でIC乗車券チャージ)の4品目として説明する。また、縮退運用を実行する契機となる対象としては、おつり用の紙幣、おつり用の硬貨、チケット、IC乗車券の4項目の残量とする。
【0035】
券売機100の制御部101は、紙幣部105のおつり用紙幣の残量、硬貨部106のおつり用硬貨の残量、チケット部108のチケットの残量、カード部107の発行前のIC乗車券の残量の情報を随時取得する。そして、これらの残量が、予め設定された基準値以下となった場合に、取り扱う品目を減らす縮退運用を実行する。
【0036】
図4は、券売機状態管理テーブル210であって、券売機100において取得される残量と、残量に基づく縮退運用時の取扱い品目との関係を示している。例えば、図4の項番1の券売機100については、おつり(紙幣)の残量が基準値以下となり、おつり(紙幣)以外のおつり(硬貨)、チケット及びIC乗車券の残量は基準値以上となっている。現金でチケットを購入したり、IC乗車券を購入したり、IC乗車券をチャージしたりする際に、紙幣のおつりが必要となった場合、紙幣のおつりが足りなくなりおつりを支払うことができない。このため、券売機100の制御部101は、この券売機100の取扱い品目として「IC乗車券でチケット購入」だけを可とし、これ以外の「現金でチケット購入」、「IC乗車券購入」及び「IC乗車券チャージ」を不可とする縮退運用を実施する。また、図4の項番2の券売機100については、おつり(硬貨)の残量が基準値以下となり、おつり(硬貨)以外のおつり(紙幣)、チケット及びIC乗車券の残量は基準値以上となっている。この場合、券売機100の制御部101は、この券売機100の取扱い品目として「現金でチケット購入」を不可とし、これ以外の「IC乗車券でチケット購入」、「IC乗車券購入」及び「IC乗車券チャージ」を可とする縮退運用を実施する。
【0037】
上記では、券売機100の縮退運用を実行する契機となる対象を、おつり(紙幣)、おつり(硬貨)、チケット及びIC乗車券の残量としていたが、かかる例に限定されず、チケット購入時等に券売機100に入金される紙幣や硬貨の入金用金庫の格納量を対象としてもよい。この場合、入金処理により入金用の金庫が満杯になると、紙幣や硬貨を入金することができなくなるため、入金用の金庫が満杯になる前に現金が入金される取引を不可とする縮退運用を実施する。また、縮退運用時の取扱い品目として、上記した4項目だけでなく、クレジットカードでのチケット購入、IC乗車券の購入、IC乗車券へのチャージ等の項目を追加してもよい。また、券売機状態管理テーブル210には、券売機100の電源が投入されているか切断されているか(ON/OFF)の情報が設定されてもよい。
【0038】
(1−4−2)取引処理システムの動作の詳細
(1−4−2−1)制御装置の動作の詳細
次に、複数の券売機100の取引量を均一にする制御装置200の動作の概要について説明する。制御装置200は、複数の券売機100の取引量に一定以上の差ができた場合に、取引量の多い券売機100の電源を切断したり、電源を投入したりして、券売機100の取引量を均一にする。
【0039】
通常、券売機100が複数台設置されている場合に、繁忙時間帯に行列ができた際には、空いている券売機100から利用者が使用することにより、各券売機100の取引量は比較的均一化される。しかし、閑散時間帯においては、人間の心理から、端に設置されている券売機100の取引量が多いことが知られている。このため、両端付近に設置された券売機100が他の券売機100よりも取引量が多くなる可能性がある。本実施の形態にかかる制御装置200は、このように取引量に一定以上の差ができた場合に、複数の券売機100の取引量を均一化することを可能としている。
【0040】
図5に示すように、まず、制御装置200の制御部201は、各券売機100に記憶された取引情報を、通信部205を介して取得して、該取引情報を記憶部204に記憶する(S101)。
【0041】
そして、制御部201は、ステップS101において記憶した取引情報を分析して、各券売機100の取引量が200回以上かを判定する(S102)。
【0042】
次に、ステップS102において取引量が200回以上の券売機100があると判定された場合に、制御部201は、最も取引量の少ない券売機の取引量と、ステップS102において取引量が200回以上であると判定された券売機の取引量とを比較して、5倍以上の取引量かを判定する(S103)。一方、ステップS102において、取引量が200回以上の券売機100がないと判定された場合には、処理を終了する。
【0043】
次に、ステップS103の判定において、取引量が5倍以上であると判定された場合には、制御部201は、現在、取引量を均一にするために電源オフとなっている券売機100の台数が、全設置台数の3分の1以内かを判定する(S104)。一方、ステップS103の判定において、取引量が5倍より少ないと判定された場合には、処理を終了する。
【0044】
次に、ステップS104の判定において、電源オフとなっている券売機100の台数が、全設置台数の3分の1以内であると判定された場合には、制御部201は、ステップS102において取引量が200以上であると判定された券売機100に対して、通信部205を介して電源オフ指示を発行する(S105)。一方、ステップS104の判定において、電源オフとなっている券売機100の台数が、全設置台数の3分の1より多い場合には、処理を終了する。
【0045】
制御部201は、ステップS105において、電源オフ指示を発行した後、記憶部204に記憶されている券売機状態管理テーブル210に当該券売機100が電源OFF状態であることを示す情報をセットする(S106)。ステップS106で、制御装置200から電源オフ指示を受けた券売機100は、取扱い品目表示部111に取扱い中止の旨を表示して、券売機100自らシャットダウンを実施する。
【0046】
ステップS101からステップS106の処理は、随時、または定期的に実行されてもよい。例えば、取引量の比較的多い時間帯には、ステップS101からステップS106の処理を定期的に実行して、取引量の比較的少ない時間帯には、ステップS101からステップS106の処理を随時実行するようにしてもよい。
【0047】
次に、取引量を均一にするために取引を停止している券売機100について取引を停止させて他の券売機100との取引量が均一になった場合に、取引を停止させている券売機100を再起動させる処理について説明する。
【0048】
制御装置200の制御部201は、シャットダウンして取引を停止している券売機100以外の稼働中の券売機100からの取引情報を取得して分析する。制御装置200は、稼働中の券売機100からの取引情報を分析した結果、取引を停止している券売機100と稼働中の券売機100との取引量が均一化されてきたかを判定する。取引量が均一化されてきたと判定された場合には、制御装置200は、取引を停止している券売機100に対して電源オン指示を発行する。制御装置200から電源オン指示を受けた券売機100は、起動処理を実行して、動作可能な状態になった後に、取扱い品目表示部111に取扱い中の品目を表示して、取引処理を再開する。
【0049】
一旦取引を停止させている券売機100を再起動する契機として、上記した稼働中の券売機100と取引を停止している券売機100との取引量が均一化された以外に、以下の契機が考えられる。例えば、閑散時間帯から繁忙時間帯に変わった場合に、取引を停止している券売機を再起動させるようにしてもよい。この場合、制御装置200は、稼働中の各券売機100から通知される取引情報が、ある一定時間で基準値以上となった場合に繁忙時間帯であると判定するようにしてもよい。
【0050】
また、上記では、制御装置200は、複数台設置された券売機100の取引量の差によって券売機100の取引を停止するか否かを判定して、該当する券売機100に対して取引停止時指示を発行していたが、かかる例に限定されない。例えば、制御装置200を設けずに、券売機100同士が相互に取引情報を送受信してもよい。この場合、他の券売機100より自己の券売機100の取引量が多いと判定した場合に、券売機100自らシャットダウンをして取引を停止するようにしてもよい。
【0051】
また、上記では、券売機100の取引を停止させるために、券売機100の電源をオフするようにしたが、かかる例に限定されない。例えば、電源をオフせずに、券売機100の記憶部104に格納された券売機100を制御するプログラムによって、取引の取扱いを停止させるようにしてもよい。このように、券売機100のプログラムによって取引を停止させた券売機100については、電源をオフして再起動させる場合に比べて素早く取引を再開させることができる。
【0052】
(2−3)本実施の形態の効果
上記したように、本実施の形態では、券売機100は、おつり等の残量が少なくなった場合に、券売機100が取扱い品目を減らす縮退運用を実施する。さらに、複数の券売機100の取引量を鑑みて、取引量の多い券売機100の電源をオフすることで、複数の券売機100の取引量を均一化させる。これにより、券売機100単体ではおつり等の残量に応じて券売機100の動作を制御し、複数の券売機100では取引量に応じて券売機100の稼働状態を制御することが可能となる。
【0053】
(2)第2の実施の形態
(2−1)取引処理システムの構成
本実施の形態にかかる取引処理システム2の構成は、第1の実施の形態にかかる取引処理システム1の構成とほぼ同様のため詳細な説明は省略する。また、券売機100及び制御装置200の構成についても、第1の実施の形態とほぼ同様の構成のため詳細な説明は省略する。第1の実施の形態では、券売機100における縮退運用と、制御装置200による券売機100の取引量の均一化処理とを並列的に行っていたが、本実施の形態では、券売機100において縮退運用を実施しつつ、制御装置200によって複数台の券売機100の取引量の均一化処理を行っている。
【0054】
(2−2)取引処理システムの動作の詳細
以下、本実施の形態にかかる取引処理システムの動作の詳細について説明する。以下では、紙幣または貨幣については、種別(5千円、1千円、5百円、1百円、5十円、1十円など)ごとに記載せずに、紙幣と硬貨にわけて説明している。
【0055】
本実施の形態にかかる取引処理システム2においても、複数台の券売機100が設置され、制御装置200が複数の券売機100とネットワークを介して接続され、相互に通信可能な状態となっている。
【0056】
券売機100の制御部101は、取り引きが発生する毎に取引情報を記憶部104に記憶する。また、券売機100の制御部101は、紙幣部105のおつり用の紙幣の残量や、硬貨部106のおつり用の硬貨の残量や、チケット部108のチケットの残量や、カード部107の発行前のIC乗車券の残量についても、取引情報とともに記憶部104に記憶する。記憶部104に記憶された記憶情報や各種残量の情報は、通信部109を介して随時制御装置200に通知される。
【0057】
図6Aに示すように、まず、制御装置200の制御部201は、各券売機100に記憶された取引情報を、通信部205を介して取得して、該取引情報を記憶部204に記憶する(S201)。
【0058】
そして、制御部201は、ステップS201において記憶した取引情報を分析して(S202)、他の券売機100と比較して、おつりなどの各残量が設置されている券売機100の平均値以下である券売機100が存在するかを判定する(S203)。
【0059】
ステップS203において、おつりなどの各残量が平均値以下である券売機100が存在すると判定された場合、さらに、紙幣のおつりの残量が100枚以下であるかを判定する(S204)。ステップS204において、紙幣のおつりの残量が100枚以下であると判定された場合には、制御部201は、当該券売機100に縮退運用を指示して(S205)、処理を終了する。ステップS205において、制御装置200から縮退運用を指示された券売機100は、指示に基づいて、現金に関する取扱い品目を減らす縮退運用を実行する。
【0060】
また、ステップS204において、紙幣のおつりの残量が100枚以下ではないと判定された場合には、硬貨のおつりの残量が200枚以下であるかを判定する(S206)。ステップS206において、硬貨のおつりの残量が200枚以下であると判定された場合には、制御部201は、当該券売機100に縮退運用を指示して(S207)、処理を終了する。ステップS206において、制御装置200から縮退運用を指示された券売機100は、指示に基づいて、現金に関する取扱い品目を減らす縮退運用を実行する。
【0061】
また、ステップS206において、貨幣のおつりの残量が200枚以下ではないと判定された場合には、図6Bに示すように、制御部201は、チケットの残量が200枚以下であるかを判定する(S208)。ステップS208において、チケットの残量が200枚以下であると判定された場合には、制御部201は、当該券売機100に縮退運用を指示して(S209)、処理を終了する。ステップS209において、制御装置200から縮退運用を指示された券売機100は、指示に基づいて、チケット発行に関する取扱い品目を減らす縮退運用を実行する。
【0062】
また、ステップS208において、チケットの残量が200枚以下ではないと判定された場合には、制御部201は、IC乗車券の残量が50枚以下であるかを判定する(S210)。ステップS210において、IC乗車券の残量が50枚以下であると判定された場合には、制御部201は、当該券売機100に縮退運用を指示して(S211)、処理を終了する。ステップS211において、制御装置200から縮退運用を指示された券売機100は、指示に基づいて、IC乗車券発行に関する取扱い品目を減らす縮退運用を実行する。
【0063】
ステップS203において、他の券売機100と比較して、おつりなどの各残量が設置されている券売機100の平均値以下である券売機100が存在しないと判定された場合には、図6Cに示すように、制御部201は、各券売機100の取引量が200回以上かを判定する(S212)。ステップS212において、各券売機100の取引量が200回以上であると判定された場合に、制御部201は、最も取引量の少ない券売機100の取引量と、ステップS212において取引量が200回以上であると判定された券売機100の取引量とを比較して、5倍以上の取引量かを判定する(S213)。一方、ステップS212において、取引量が200回以上の券売機100がないと判定された場合には、処理を終了する。
【0064】
ステップS213の判定において、取引量が5倍以上であると判定された場合には、制御部201は、現在、取引量を均一にするために電源オフとなっている券売機100の台数が、全設置台数の3分の1以内かを判定する(S214)。一方、ステップS213の判定において、取引量が5倍より少ないと判定された場合には、処理を終了する。
【0065】
次に、ステップS214の判定において、電源オフとなっている券売機100の台数が、全設置台数の3分の1以内であると判定された場合には、制御部201は、ステップS102において取引量が200以上であると判定された券売機100に対して、通信部205を介して電源オフ指示を発行する(S215)。一方、ステップS214の判定において、電源オフとなっている券売機100の台数が、全設置台数の3分の1より多い場合には、処理を終了する。
【0066】
制御部201は、ステップS215において、電源オフ指示を発行した後、記憶部204に記憶されている券売機状態管理テーブル210に当該券売機100が電源OFF状態であることを示す情報をセットする(S216)。ステップS216において、制御装置200から電源オフ指示を受けた券売機100は、取扱い品目表示部111に取扱い中止の旨を表示して、券売機100自らシャットダウンを実施する。
【0067】
(2−3)本実施の形態の効果
上記したように、本実施の形態では、制御装置200は、ステップS203において、おつりやチケットなどの残量が平均値以下の場合に、各券売機100の残量の状態に応じて各券売機100に縮退運用を実行させ、おつりやチケットなどの残量が平均値以下ではない場合に、各券売機100の取引量に応じて券売機をシャットダウンさせている。これにより、券売機100のおつり等の残量の情報だけでなく、取引量の情報に応じて券売機100の稼働を制御し、故障頻度や消耗品の交換頻度を均一化して利便性を高めることができる。
【0068】
(3)他の実施の形態
また、上記第2の実施の形態では、おつりなどの各残量が平均値以下の券売機100に対して取引量が200回以上であるかを判定しているが、かかる例に限定されない。ステップS204、ステップS206、ステップS208、ステップS210における各おつりの基準値は、かかる例に限定されず、所定の基準値を予め設定してもよい。
【0069】
また、上記では、券売機100のおつり等の残量が平均値以下ではない場合に、券売機100の取引量を判定しているが、かかる例に限定されず、おつり等の残量を判定する前に券売機100の取引量を判定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0070】
100 券売機(取引処理装置)
101 制御部
102 表示部
103 操作部
104 記憶部
105 紙幣部
106 硬貨部
107 カード部
200 制御装置
201 制御部
202 表示部
203 操作部
204 記憶部
205 通信部
206 電源部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の取引処理装置に接続された制御装置であって、
前記複数の取引処理装置の取引情報を記憶する記憶部と、
前記複数の取引処理装置の取引情報に基づいて、前記取引処理装置の稼働状態を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記取引処理装置の前記取引情報に含まれる取引量が所定の基準値を超えた場合に、該取引処理装置の電源を切断するよう指示する
ことを特徴とする、制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記取引処理装置の前記取引情報に含まれる取引量が所定の基準値を超えており、一の前記取引処理装置の取引量が、前記複数の取引処理装置のうち取引量が最も少ない他の前記取引処理装置の取引量の所定の倍数以上である場合に、前記一の取引処理装置の電源を切断するよう指示する
ことを特徴とする、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記複数の取引処理装置のうち、電源が切断されている前記取引処理装置の台数が所定の基準値以下である場合に、前記取引量が所定の基準値を超えている前記取引処理装置の電源を切断するよう指示する
ことを特徴とする、請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記取引処理装置は、チケットを発行する券売機であって、
前記取引処理装置は、
おつりやチケットの残量を含む残量情報に基づいて、取扱い品目を減らして縮退運用を実行する
ことを特徴とする、請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記複数の取引処理装置の前記取引情報とともに、前記複数の取引処理装置のおつりやチケットの残量を含む前記残量情報を取得し、
前記複数の取引処理装置の前記残量情報が平均値以下である場合に、前記残量情報が平均値以下である前記取引処理装置の稼働状態を制御する
ことを特徴とする、請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
複数の取引処理装置に接続された制御装置を用いた取引処理方法であって、
前記制御装置は、前記複数の取引処理装置の取引情報を記憶する記憶部と、前記複数の取引処理装置の取引情報に基づいて、前記取引処理装置の稼働状態を制御する制御部とを備え、
前記制御部が、
前記取引処理装置の前記取引情報に含まれる取引量を取得する第1のステップと、
前記第1のステップにおいて取得された前記取引量が所定の基準値を超えた場合に、該取引処理装置の電源を切断するよう指示する第2のステップと、
を含むことを特徴とする、取引処理方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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