説明

「旭東ウィスキー」という名の胡蝶蘭

【課題】 白い花と良好な植物構造を持つ新しい蘭の品種「旭東ウィスキー」の提供。
【解決手段】 「旭東ウィスキー」と名づけられた新しい独特の胡蝶蘭植物体の品種は、魅力的な楕円形の葉、褐色の茎、派手な真っ白の花、大きな深緑色の葉、自由開花する総状花序当たり11〜15輪の花と花芽、優れた花の寿命、経済的な組織培養による繁殖、という特徴を持つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新しい独特の胡蝶蘭の品種に関し、以下この品種を「旭東ウィスキー」という名で呼ぶ。ファレノプシス(胡蝶蘭)属は蘭科の仲間である。
【背景技術】
【0002】
「旭東ウィスキー」は、白い花と良好な植物構造を持つ新しい蘭の品種を作出することを目的とした計画交配プログラムの産物である。
【0003】
この新しい胡蝶蘭は、2000年2月に台湾省台中で発明者によりTaisuco Kochdian と呼ばれる登録された胡蝶蘭雑種選抜を母本、または種子親とし、P. Yukimaiという登録された胡蝶蘭雑種選抜を父本、または花粉親として交配し、作出されたものである。
【0004】
この新しい胡蝶蘭は、台湾省台中の制御環境で上述の交配の産物のうちで発明者により顕花植物として発見かつ選抜された。この植物体の選抜はそのコンパクトな草性と白い花に基づいて行われた。
【0005】
台湾省台中の制御環境での組織培養によるこの新しい胡蝶蘭の有性生殖は、この新しい胡蝶蘭の独特の特徴が安定しており、かつ代々忠実に再現されることが示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、白い花と良好な植物構造を持つ新しい蘭の品種「旭東ウィスキー」を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、母株であるYukimaiの大輪白花と父株であるTaisaco Kochidian切花品種の大輪白花の親同士交雑を利用して受粉し、交配約4〜5ヶ月後、その子房がふくらんだ時、子房を採取でき、子房を摘み取った後で種子の繁殖を行い、まず子房を無菌操作台に置いて消毒し、綿で少量の75%のアルコールに漬けて子房表面を拭き、次に子房の先端を切除して、子房を半分に割り、子房内の種子を取って0.6%の次亜塩素酸ナトリウム溶液のある消毒瓶内に入れ、約10分間消毒した後、更に滅菌済み無菌水(冷却して予備)で種子を3回洗浄した後、滅菌済みガラスピペットで種子の水溶液(1〜2ml)を吸い取って蘭の播種用培地内に入れ、しっかりゴム栓を施し、約1ヶ月播種した後、マザーフラスコ内の種子が発芽を始め、更に2〜3ヶ月経過した後で葉や根が伸びだし、次にマザーフラスコ内の培養苗を培養ビン内に移植し、2〜3ヶ月培養した後、幼苗が更に大きく育った時に小フラスコに移植し、順化培養で3ヶ月後、フラスコ苗をピンセットでフラスコから取り出すことができる。水苔を植え込み材料とする1.7インチ鉢に蘭苗を植え、約3〜4ヶ月植えた時、蘭苗が中苗の大きさに生長すると、2.5インチ鉢に植え替え、更に3〜4ヶ月の時間が過ぎたら3.5インチ鉢に植え替えることができ、鉢を替えて更に4〜5ヶ月育成し、この時の苗はすでに成熟状態に達し成株となると、苗を低温状態(開花温室)に置き、苗を抽台期に入るよう刺激させ、その期間が約3〜4ヶ月で、開花促進効果を達して開花株となることができる。
一般的な繁殖の多くはこの方法を利用し、大量の種子を発生させることで比較的多くの新苗を繁殖させることができるだけでなく、今日の全ての名高い種、名高い花でも、ほとんど有性繁殖の改良育種からなり、新個体の苗が増殖した後、交雑により結実した種子が繁殖した後代種子の変異が比較的大きく、生まれてくる子世代が親世代及び前回交配して出た子苗と異なることで、極めて多くの変化があるため、その中から最も優良な苗の個体を選抜して、無性繁殖を行い、花柄部位の高芽を取り大量に同じ個体の蘭苗を増殖させることで、生じた新個体が完全に親個体と同じになることができる。

次の特性が繰り返し観察されており、それらが「旭東ウィスキー」の基礎的な特性であると確定している。これら特性の組み合わせにより、この蘭は新しい栽培品種として区別される:
1. 花の色が真っ白である;
2. 他のほとんどの胡蝶蘭の栽培品種とは対照的に植物体が1つ以上の花序を作る;
3. 花序が長く、頑健である;
4. 比較的大きく、深い緑色の葉;
5. 自由開花、総状花序当たり約11〜15の花と花芽;
6. 優れた花の寿命、植物体上で約10週間持つ;
7. 良好な構造のため、取り扱いやすく、出荷用梱包がしやすい;
8. 組織培養を用いて経済的かつ一様に繁殖できる。
【0008】
「旭東ウィスキー」は、あらゆる可能な環境条件で観察されていない。表現型は温度、日の長さ、光の強度、施肥および水などが異なる環境に応じて遺伝子型中での相違なく多少変化する場合がある。以下の観察および測定値は、台湾省台中で商慣行において一般に用いられる条件に近づけた条件下で成長させた植物体を描写している。
【0009】
現在、「旭東ウィスキー」を有意義に比較することができる商用品種はない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
起源:選抜された、但し不特定の親の交配からの実生。
類別:胡蝶蘭雑種栽培品種「旭東ウィスキー」。
繁殖:組織培養による実生繁殖。
【0011】
植物体の詳細
形式:大きい茎
土面から葉面上面までの植物体の高さ:約70〜80cm。
土面から花序最上部までの植物体の高さ:約85〜100cm。
植物体直径:約30〜40cm。
茎当たりの花の数:およそ8〜20。
【0012】
葉の詳細
数量 1本当たり:約5〜6枚。
葉の長さ:約18〜25cm。
葉の幅:約9〜11cm。
形状:楕円状
頂部:尖形および円鋸歯状
基部:柱状
辺縁:裏側の縁が暗褐色
角度:楕円状かつ開花約45度
テクスチャ、上面および下面:垂直に立ち、しっかりしている
葉脈:表面上に深緑色の線状の脈
色- 上面-137A
下面- 146C
【0013】
花の詳細
花のタイプおよび習性-完全な楕円状、正面配列、約13〜15輪開花、開花期間が長い。
花茎、直立、自由分岐かつ頑健。植物体は自由に開花;植物体は通常1〜3本の枝分かれしたそれぞれ少なくとも11〜15の花を付ける茎を形成する。
花は香りなし。
自然開花期:台湾で1月〜5月。
生産後寿命:「旭東ウィスキー」の植物体は、室内環境条件下の植物体上で良好な葉と花の個体を約4〜5ヶ月間維持する。
花序長さ:約50〜60cm。
花序直径:約25〜30cm。
花直径:約13〜15cm。
【0014】
ペタル
数量:花一輪につき2枚。
長さ:約8.4cm。
直径:約7.6cm。
形状:楕円状
頂部:楕円状
基部:横方向V型
辺縁:楕円状
テクスチャ、上面および下面:側面楕円状、正確、裏側が薄い赤色。
色-ペタル 地色- N999D
ペタル模様色- N999D
【0015】
唇弁
長さ:約3.5cm。
直径:約3cm。
形状:逆三角形
色-中央裂片 基部 色- 4A
中央裂片先 色- N999D
【0016】
萼片
数量:花一輪につき3片。
長さ:約7.3cm。
直径:約5.1cm。
形状:楕円状
頂部:楕円状
基部:楕円状
辺縁:裏側ピンク
テクスチャ、上面および下面:長い楕円状、裏側辺縁部が薄いピンク
色-背萼片地色- N999D
背萼片柄色- N999D
側萼片地色- N999D
側萼片柄色- N999D
【0017】
花柄
長さ:約145〜155cm。
直径:約12mm。
角度:直立
強度:頑強
テクスチャ:非常に頑強
色- 137A
【0018】
小花柄
長さ:約6.5cm。
直径:約5mm。
角度:垂直から約45度。
強度:頑健
テクスチャ:頑健
色- 64D
基部にかけての色- 144A
【0019】
生殖器- 子房
ずい柱
長さ:約1.2cm。
直径:約8mm。
色- N999D
頂部にかけての色 - N999D
花粉塊
花粉塊の数量:2。
直径:約1mm。
色-24A
【0020】
子房
長さ:約65mm。
直径:約3mm。
色- 149A
【0021】

直径:約5mm。
色-202C
【0022】
植物体の病害抵抗性/感染性
頑健、病害に強く、元気よく成長
【0023】
温度許容度
28度〜32度
【0024】
母株:Yukimaiの大輪白花
父株:Taisaco Kochidian切花品種の大輪白花
親同士交雑受粉→子房→種子繁殖→消毒→洗浄→種子の水溶液の吸い取り→蘭の培地→ 播種→発芽→葉と根の伸び→培養苗(培養ビン)→幼苗(小フラスコ)→順化培養→フラスコ苗→苗→抽台→開花促進→開花株
【0025】
改良の説明:
母本:yukimaiは早期の日本で非常に名高い白胡蝶蘭であり、花径約12cm、ペタルのテクスチャはやや粗く花脈があり、植物体の葉は両側が下垂した形状を呈し、植物体は抗体が比較的劣る。
父本:Taisaco Kochidianは早期のオランダの一株切花品種の白胡蝶蘭を起源としており、Mount Kaala白胡蝶蘭との交配を経て、台湾糖業がTaisaco Kochidianで登録しており、この花はテクスチャがよく、花房が長く、花が長持ちするが、花がやや高いのが欠点である。植物体の病害抵抗性は優れている。
※ 改良を経たウィスキーは、花径が大きく、花の数が多く、花梗の高さが適当で、植物体が強化され、葉が立っており、栽培は商業量産に適している。
【図面の簡単な説明】
【0026】
写真の色はより正確に新しい品種について描写する詳細な植物学的記述に示される明度とは異なる場合がある。
【図1】18cmの鉢で開花した「旭東ウィスキー」植物体の側面図である。
【図2】花の特徴を示す拡大図である。
【図3】葉の特徴を示す拡大図である。
【図4】「旭東ウィスキー」胡蝶蘭の育成方法フローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
「旭東ウィスキー」という名の胡蝶蘭であって、母株であるYukimaiの大輪白花と父株であるTaisaco Kochidian切花品種の大輪白花の親同士交雑を利用して受粉し、子房形成された後、種子の繁殖を進め、まず子房を消毒し、並びに、子房内の種子を取り出し、0.6%の次亜塩素酸ナトリウム溶液瓶の中に入れて再度消毒し、更に無菌水で種子を洗浄してから種子の水溶液(1〜2ml)を吸い取って蘭の播種用培地内に入れて播種し、種子を発芽させ、マザーフラスコ内で葉と根を伸ばさせ、次に、マザーフラスコから培養ビン内に移植し培養苗として育成し、培養苗が更に大きく育った時小フラスコに移植して幼苗にまで生長させ、また、順化培養を経ることで、フラスコ苗となることができ、更にフラスコ苗を取り出し水苔という植え込み材料の鉢内に植え、何度も鉢替えを経た後で、蘭苗が成熟状態に達して、成株となると、蘭苗を低温状態(開花温室)に置いて、蘭苗を抽台期に入るよう刺激することで、開花促進効果を達成して開花株となり、前述の育成方法で多くの新個体の苗が生産繁殖し、その中から最も優良な苗の個体を選抜して、無性繁殖を行い、花柄部位の高芽を取り大量に同じ個体の蘭苗を増殖させることで、生じた新個体が完全に親個体と同じになることができることを特徴とする、 「旭東ウィスキー」という名の胡蝶蘭。

【図4】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−284812(P2009−284812A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−140337(P2008−140337)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(508160484)
【Fターム(参考)】