説明

あらかじめ濡らした親水性・断続使用カテーテル、及びその使用法

カテーテルアセンブリ(5)は第1末端(18)及び第2末端(20)を有する管状部材(16)を含む。カテーテル(10)は第1末端(12)及び第2末端(14)を有する。前記カテーテル(10)の少なくとも一部は前記管状部材(16)の内部に配されている。前記管状部材(16)の第1末端(18)は前記カテーテルの軸性移動によって開放が可能である。密封係合(34)が管状部材(16)とカテーテル(10)との間に設けられている。方法は、保護キャップ(30)を解除すること、前記カテーテル(10)を第1キャップ(24)を貫いて体内に前進させること、及び前記カテーテル(10)を用いて生体から液体を排出することを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対する相互参照)
本出願は、2009年7月22日出願の、米国特許仮出願第61/227,564号に基づく国際出願である。なお、上記文書の開示全体を参照により本出願に含めることをここに明言する。
(政府所有権に関する宣言)
【0002】
適用されない。
【背景技術】
【0003】
膀胱の排泄にとって好適なカテーテルは、断続使用カテーテル及び留置カテーテルの両方を含む。留置カテーテルはフォーリーカテーテルを含む。フォーリーカテーテル挿入は、典型的には、少なくとも一時的に支援的膀胱排泄を必要とする外科及び内科患者に適応される。患者にカテーテル挿入をするための一般的適応症としては、急性又は慢性の尿停滞(腎臓を損傷する可能性がある)、少なくとも一時的に患者の動きを制限する場合がある医学的処置(すなわち、手術)、インプット(摂取量)及びアウトプット(排出量)の正確な監視の必要性(例えば、ICUにおける)、前立腺の良性過形成、失禁、及び、膀胱及び前立腺に関わる種々の外科処置の作用が挙げられる。
【0004】
標準的フォーリーカテーテルのデザインは、カテーテルを膀胱内に留めておくために、カテーテルの遠位端に配置させたバルーンを含む。カテーテルは、膀胱から尿を排出するための少なくとも一つの腔、及び、バルーンを膨らませる(例えば、滅菌水によって)ための少なくとも一つの腔を含む。フォーリーカテーテルの近位端は、該二つの腔--排泄腔と接続され、排泄及びサンプリングのための接合部との界面を有する第1腔、及び、充満されたとき、腔及びバルーン中に膨張液が留まることを確保するためのバルブを備える膨張腔に接続される第2腔--と連通している少なくとも二つのポートを含む。標準的フォーリーカテーテルの先端は、バルーンの側部を超えて膀胱中に延び、膀胱から液体及び雑物を排出するための、一つ以上の開口部又は「眼点(アイレット)」を含む。この標準的デザインは、これまで各種付加物(例えば、機械的アンカーなど)及び改良点が提案され、研究されてきたけれども、ほぼ100年間変わっていない。
【0005】
典型的断続使用カテーテルは、留置カテーテルとは、主に、断続使用カテーテルが、停留バルーン又は関連膨張腔を持たない点で異なる。むしろ、断続使用カテーテルは、典型的には、近位端に複数の排泄アイレット及び遠位端に漏斗を有する、単一腔デバイスである。断続使用カテーテル挿入は、多くの場合、機能不全泌尿器系を抱える(例えば、狭窄及び外傷に悩む)個人、及び自発的に排尿することができない可能性のある身体障害者(対麻痺又は四肢麻痺者)において実行される。このような個人は、多くの場合、1日数回断続使用カテーテルを用いて自分でカテーテル挿入する。
【0006】
断続使用カテーテルは、一般に、患者の膀胱中に挿入される、面取り仕上げされた、非傷害性の遠位尖端を有するカテーテル又はチューブである。通常、成形漏斗が、患者又はユーザーの体外に留まる遠位端に接続される。遠位尖端は、該尖端が膀胱内に配置されると、それからの尿の排出を促進するために、軸上にスロット又は開口部を含んでもよい。
【0007】
あらかじめ濡らした(使用前湿潤)断続使用カテーテルは、その外面に高度の潤滑性コーティングを有する断続使用カテーテルであり、このカテーテルは、患者又はユーザーの体内への挿入を容易にするために、カテーテルに滑りやすい外面を付与するよう液体と共に包装されるか、又は、その他のやり方で液体と接触させられる。
【0008】
既存の、あらかじめ濡らした断続使用カテーテルは、大きく三つのカテゴリーに分類される。第1タイプでは、カテーテルは、乾燥環境において包装されるが、水和されるために湿潤液を必要とする潤滑性コーティングを含む。この湿潤液は、ユーザーによって外部供給源(例えば、シンク、瓶入りの水など)から得られ、カテーテルは、水和されるために、ある期間該湿潤液の中に置かれる。この第1型断続使用カテーテルの使用は、清潔な水又は湿潤液がすぐに入手できない場合、困難を感じさせる場合がある。さらに、湿潤液を適用するとき、ユーザーのカテーテルの操作方法によってはカテーテルの無菌性が損なわれることもある。
【0009】
第2タイプの、あらかじめ濡らした断続使用カテーテルもまた、乾燥環境において包装され、潤滑性コーティングを含む。しかしながら、湿潤液は、そのカテーテルパッケージそのものにおいてパウチ又は容器の中に納められる。カテーテルを水和するには、ユーザーの準備が整った時にパウチ又は容器が開放される。このようなカテーテルの適切な例は、米国特許第7,087,048号に開示される(この文書の開示の全体を参照により本明細書に含める)。第1型と同様、この第2型も不都合な場合がある。なぜなら、このカテーテルは、潤滑性コーティングの水和を確保するため、ある期間湿潤液に暴露されるからである。挿入の間、カテーテルの無菌性も損なわれることもある。
【0010】
第3タイプの、あらかじめ濡らした断続使用カテーテルは、湿潤環境において包装される。すなわち、カテーテルは、カテーテルパッケージ内において湿潤液に暴露され、そうすることによってコーティングを水和させる。しかしながら、ユーザーは、その表面が滑りやすいためにカテーテルの操作に困難を感ずる場合があるが、過度の操作又は不正確な操作は、ユーザーによるカテーテルの汚染を招く可能性がある。次に、これによって、ユーザーは、尿路感染に暴露されることも考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
現今の断続使用カテーテル製品は、自宅以外の環境(例えば、公衆便所)でカテーテル自己挿入する患者にとって不適切であることが多い。このような患者にとっては、プライバシー、複数の断続使用カテーテルを患者自ら搬送可能であること、及び使用済みカテーテルについて、別々の処分がやり易いことなどの点で、分離されたコンパクトな包装が重要である。本発明は、分離的搬送及び処分を実現し、且つ、従来デバイスの欠点のいくつかを除去又は緩和する、手軽な導尿カテーテルアセンブリをその主題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の非限定的例示実施態様では、本明細書において、第1末端及び第2末端を有する管状部材を含む導尿カテーテルアセンブリが提供される。導尿カテーテルは第1末端及び第2末端を有し、ここに、導尿カテーテルの少なくとも一部は、管状部材の内部に同軸的に配される。第1キャップは、管状部材の第1末端に配置され、ここに、第1キャップは、それを貫通する導尿カテーテルの第1末端の軸性移動によって開放が可能である。密封部材は、管状部材の第2末端の近位に配置され、ここに、該密封部材は、管状部材の内径と導尿カテーテルの外径の間に密封を供給する。
【0013】
本発明の、もう一つの非限定的例示実施態様によれば、本明細書において、膀胱から尿を排出する方法であって、第1末端及び第2末端を有する管状部材を含む導尿カテーテルアセンブリを設けることを含む方法が提供される。導尿カテーテルは第1末端及び第2末端を有し、ここに、該導尿カテーテルの少なくとも一部は、管状部材の内部に同軸的に配される。キャップは、管状部材の第1末端に配置され、ここに、キャップは、それを貫通する導尿カテーテルの第1末端の軸性移動によって開放が可能である。密封部材は、管状部材の第2末端の近位に配置され、ここに、該密封部材は、管状部材の内径と導尿カテーテルの外径の間に密封を供給する。クリップは、アセンブリが実質的にU字形を有するように管状部材を導尿カテーテルに対して固定する。本法はさらに、管状部材及び導尿カテーテルの中の一方からクリップを外すこと、キャップの少なくとも一部を尿道に挿入すること、導尿カテーテルをキャップを貫いて尿道内に進めること、及び、導尿カテーテルを通じて膀胱を排泄することを含む。
【0014】
本発明はさらにカテーテルアセンブリであって、第1末端及び第2末端を有する管状部材;第1末端及び第2末端を有するカテーテル、前記管状部材の内部に配されている前記カテーテルの少なくとも一部、前記管状部材の第1末端に配置され、前記カテーテルの第1末端の軸性移動によって開放可能である第1キャップ、及び、前記管状部材と前記カテーテルとの間に密封を形成している密封部材を含むカテーテルアセンブリを提供する。
【0015】
このカテーテルアセンブリは、導尿カテーテルアセンブリ、及び屈曲性で伸縮自在の、あらかじめ濡らした親水性断続使用カテーテルの中の少なくとも一方であってもよい。密封部材は、管状部材の内径とカテーテルの外径との間に密封を形成及び/又は設けてもよい。カテーテルの前記一部は、略同軸的に管状部材の中に配されていてもよい。密封部材は、管状部材の第2末端の区域中に配置されて、管状部材の内径とカテーテルの外径の間に密封を設けていてもよい。管状部材は、その内部に含ませた湿潤液を含んでいてもよい。管状部材は実質的に剛性であってもよい。管状部材は、実質的に円形の断面を有し、及び/又は、略円筒状であってもよい。カテーテルは、水和可能なコーティングを含んでいてもよい。カテーテルは、表面全体及び/又はその外表面に親水性の生体適合性コーティングを含んでいてもよい。第1キャップの少なくとも一部は、尿道口に挿入するために構成されていてもよい。第1キャップは、少なくとも一つの屈曲性及び/又は偏向性フラップ部材を含んでいてもよい。
【0016】
本カテーテルアセンブリはさらに、該カテーテルアセンブリを保存又は使用前形態に固定するように適合されている、カテーテルアセンブリを略U型形態に固定するように適合されている、及び、管状部材とカテーテルの少なくとも一方に付随している、の中の少なくとも一つであるクリップを含んでいてもよい。
【0017】
カテーテルアセンブリはさらに、該カテーテルアセンブリが実質的にU字型を形成するよう、管状部材をカテーテルに固定するように構成されているクリップを含んでいてもよい。
【0018】
カテーテルの第2末端は、その末端を密封するように構成されている第2キャップを含んでいてもよい。この第2キャップは、除去可能又は廃棄可能(ディスポーザブル)の少なくとも一方であってもよく、カテーテルの第2末端の内部に配される破損可能部材であってもよく、カテーテルの第2末端の外径周囲に配される一部を含んでいてもよい。カテーテルの第2末端は漏斗に結合されるように適合されていてもよい。カテーテルの第2末端は、廃棄可能な液体収集部材に結合されるように適合されていてもよい。カテーテルの第2末端は、廃棄可能な尿収集部材に結合されるように適合されていてもよい。
【0019】
また、本発明は、本明細書に記載のカテーテルアセンブリを用いて生体から液体を排出するための方法であって、保護キャップを解除すること、カテーテルを第1キャップを貫いて体内へ前進させること、及び、カテーテルを用いて生体から液体を排出することを含む方法を提供する。
【0020】
液体は、膀胱からの尿であってもよい。解除は、保護キャップを取り外して第1キャップを露出することを含んでもよく、方法はさらに、カテーテルアセンブリを、保存形態から使用可能形態へ設置することを含んでもよい。排出は、カテーテルを通じて膀胱を排水することを含んでもよく、方法はさらに、前進の前に、尿道口に第1キャップを挿入することを含んでもよい。方法はさらに、カテーテルが管状部材の中を前進するにつれて、管状部材の中に配されている湿潤液によってカテーテルの少なくとも一部を濡らすことを含んでもよい。方法はさらに、前進の間、カテーテルが管状部材の中を前進するにつれて、管状部材の中に配されている湿潤液によってカテーテルの少なくとも一部を濡らすことを含んでもよい。方法はさらにそれを介した排水を促進するよう、カテーテルの第2末端からキャップを取り外すことを含んでいてもよい。方法はさらに、カテーテルの挿入を促進するよう、管状部材の中に配されている湿潤液によってカテーテルの少なくとも一部のコーティングを濡らすことを含んでいてもよい。方法はさらに、カテーテルの第2末端に結合されている廃棄可能収集部材を用いて、カテーテルによって排出される液体を収集することを含んでいてもよい。
【0021】
本発明はさらに、本出願の図面に示され及び/又は明細書に説明される少なくとも一つの特色、本出願の図面に示され及び/又は明細書に説明される特色の大部分、本出願の図面に示され及び/又は明細書に説明される複数の特色同士の任意の組み合わせ、及び、本出願の図面に示され及び/又は明細書に説明される特色の実質的に全て、の中の少なくとも一つを含むカテーテルアセンブリを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】例示カテーテルアセンブリの斜視図を示す。
【図2】搬送されるカテーテルアセンブリの斜視図を示す。
【図3】延長形態における例示カテーテルアセンブリの斜視図を示す。
【図4】例示カテーテルアセンブリの、部分切欠き斜視図を示す。
【図5】例示カテーテルアセンブリの、部分斜視図を示す。
【図6】例示カテーテルアセンブリの、別の部分斜視図を示す。
【図7】例示カテーテルアセンブリ遠位端の、図5に示す直線5に沿う断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
下記の説明は、図面を参照しながら読むべきである。その際、異なる図面における同じ要素は同じ数字で表される。図面は、必ずしも実尺に合致するものではないが、選ばれた実施態様を描くもので、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。この詳細な説明は、本発明の原理を、例として挙げるものであって、限定のために描出するもののではない。本説明は、当業者が本発明の製作及び使用を可能とするものであり、本発明に関し、現在本発明を実行する最善の方式と考えられるものを含めた、いくつかの実施態様、適応、改変、別法、及び使用を記載する。
【0024】
本明細書において用いる参照用語「近位」及び「遠位」(近位は、遠位よりも近い)とは、患者にカテーテルを挿入する医療専門家に関しての近傍性を示す。例えば、カテーテル挿入時、医療専門家に対してもっとも近いカテーテル装置の領域又はセクションは、本明細書では「近位」と呼ばれ、一方、患者の膀胱にもっとも近い、カテーテル装置の領域又はセクションは、「遠位」と呼ばれる。カテーテル自己設置患者の場合、近位とは、患者の体外の点を指し、遠位は、患者の体(すなわち、膀胱)内の点を指す。
【0025】
本明細書に記載されるカテーテルアセンブリは、膀胱の中に、そこの尿の排出のために挿入される導尿カテーテルの前提条件で論じられる。しかしながら、本カテーテルアセンブリはまた、本明細書に具体的にこれと指定されない他の応用にも使用してもよい。したがって、本発明は、導尿カテーテル応用に限定されない。
【0026】
図1及び2は、本開示による、例示の導尿カテーテルアセンブリ5を示す。図1は、展開され、使用体制を整えた形態のカテーテルを示し、図2は、実質的にU字型の、搬送形態にまとめられたカテーテルを示す。導尿カテーテル10は、遠位端12、近位端14、及び、長軸方向にその内部を貫通する腔13(図7)を有する。遠位端12は、膀胱からの尿を受容するように構成されている、複数の開口アイレット36を含んでいる。開口アイレット36の数は、1から10の範囲、例えば、2から6の範囲にあってもよい。様々な非限定的実施態様によれば、開口アイレット36は、形が円形又は卵形であり、その辺縁は、挿入時組織外傷を最小とするために、研磨又は面取り仕上げされてもよい。
【0027】
腔13の近位端は、取り外し可能なキャップ32によって閉鎖されている。キャップ32は、該キャップ32がユーザーによって外されるまで、カテーテル10を貫通する液体(すなわち、湿潤液体又は尿)の流れを阻止するのに好適である限り、いかなる形態を取ることも可能である。非限定的例として挙げるのであるが、キャップ32は、腔13の内径内に配される脆弱材料であって、カテーテル10の使用体制が整った時点で、ユーザーによって破壊することが可能な材料で構築することが可能である。
【0028】
別の実施態様によれば、取り外し可能なキャップ32は、カテーテル10の、少なくとも内径と係合する、剛性で、比較的屈曲性の少ない材料から構築される。様々な実施態様によれば、カテーテル10の近位端14は、多くの断続使用カテーテルにおいて標準的な漏斗(図示せず)を含む。キャップ32は漏斗の中に配されてもよい。別の実施態様によれば、近位端14は、任意の尿収集チェンバー(図示せず)に係合する機構を含む。非限定的例として挙げると、近位端14はさらに、該チェンバーの遠位端を貫通し、固定するための、外方に延びるフック、若しくは、任意の尿収集チェンバーの、相補的、かつ対向的面に係合するように構成される、放射方向に延びるフランジを含むことが可能である。
【0029】
カテーテル10の遠位部分は、遠位端18及び近位端20を有する管状部材16の中に同軸的に配される。非限定的例として挙げると、管状部材16は、実質的に透明又は半透明であることが可能である。様々の実施態様によれば、カテーテル10及び管状部材16の間に配される容積又は液体空間17は、カテーテル10の少なくとも遠位部分の外面を濡らすのに十分な体積において湿潤液体を含む。
【0030】
図4−7を参照すると、管状部材16の遠位端18は、管状部材16の遠位端18の内径に密封的に係合する部分23を有するキャップ24を含む。その上さらに、キャップ24は尿道口に挿入されるように構成される部材25を含む。部材25の遠位面は、図1−7では、実質的に平坦なものとして描かれる。各種実施態様によれば、部材25はさらに、尿道口への挿入を促進するために、全体として面取り仕上げされた、非傷害性先端を有することが可能である。部材25の遠位表面は、図1−7では、複数の屈曲性バッフル又はフラップ26を有するものとして描かれる。このフラップは、カテーテル10の遠位端12が、キャップ24を貫いて遠位方向に押し進められる時(図5及び6を参照)、拡大可能な開口部28を形成するか又はその形状を取るよう、偏向及び開放することが可能である。
【0031】
図2に示すように、保護キャップ30は、管状部材16の遠位端18、及び部材25を開放可能に密封する。各種実施態様によれば、キャップ30は、患者による取り外しを容易にするために、把捉特性を有していてもよい。クリップ22は、カテーテル10の近位部位を管状部材16に対し、取り外し可能に固定するように機能する。クリップ22は、固定位置では、アセンブリ5が、図2に示す形態を取ることを可能とする。各種実施態様によれば、クリップ22は、カテーテル10又は管状部材16のいずれか一方に恒久的に取り付け、他方に対し取り外し可能的に付着させることが可能である。図1を参照すると、クリップ22は、カテーテルを自己設置する患者が把捉するためのハンドルとして機能することが可能であり、これによって、患者は、カテーテル10を、管状部材16の中を遠位方向に押し進めることが可能とされる。クリップ22は、管状部材16及び/又はカテーテル10に対し機械的又は化学的に付随させることが可能である。
【0032】
各種実施態様によれば、カテーテル10は、その表面の少なくとも一部において、生体適合性、親水コーティングを含む(適切な親水コーティングは当該技術分野で周知である)。湿潤液、例えば、水、生理的食塩水、又は、他の、適当ないずれかの湿潤液は、保存、運搬、及び使用直前において、コーティングを水和するために、カテーテル10と管状部材16との間の容積、すなわち液体空間17の中に含まれる。この湿潤液の一つの目的は、潤滑コーティングの水和を維持することであり、これによって、カテーテルのユーザー体内への挿入時、少なくともその外側部分は極端に滑り易くなり、挿入が促進される。別の実施態様によれば、カテーテル10を含むカテーテルアセンブリ5は、少なくともその外表面に生体適合性抗菌コーティングを含む。このような潤滑性、抗菌コーティングの適切な、非限定的例が、米国特許第4,585,666号;米国特許第5,558,900号;米国特許第5,077,352号;米国特許第5,179,174号;米国特許第6,329,488号(例えば、ポリシロキサン基質に対し好適なもの)、米国特許第6,716,895号;米国特許第6,949,598号;および米国特許出願第2004/0116551号に開示される。これら各文献の全体を引用により本明細書に含める。
【0033】
カテーテル10を使用体制とするには、アセンブリ5が図1に示す形態を取ることを可能とするよう、クリップ22をカテーテル10と管状部材16の少なくとも一方から外す。キャップ32は、カテーテルの遠位端から取り外され、任意の尿収集チェンバー(図示せず)は、カテーテル10の近位端14に対し液的連通状態に設置される。この時点で、少なくとも若干容量の湿潤液が、アイレット36を介して容積17から排出されてもよい。
【0034】
図3-6に示すように、キャップ30及び32が外されると、部材25が必要に応じて尿道口に挿入され、任意にクリップ22を把捉し、遠位方向に操作することによって、カテーテル10は、管状部材16の中を遠位方向に押し進められる。この移動の初期に、カテーテル10の遠位尖端38は、バッフル26を遠位方向に揺するか、又は偏向させることによってキャップ24を貫通する。生体中に挿入されるカテーテル10の残余部分は、カテーテルの遠位方向の移動時、容積17中の湿潤液によって潤滑性を与えられる。密封部材34(図1、2、及び4)は、カテーテル10の外径と管状部材16の内径の間に実質的に液密な密封を提供し、そのため、湿潤液は、カテーテル10の外面に沿って近位方向に、流出又は漏出しないか、又は少なくとも実質的に流出又は漏出しない。カテーテル10の遠位端12が、尿で充たされた膀胱中に挿入されると、尿はカテーテル10を通じて流れ、近位端14から排出される。
【0035】
本明細書に開示されるカテーテルアセンブリ5の構成要素は、様々な、周知の材料から製造することが可能である。例えば、アセンブリの、カテーテル10以外の部分は、ポリビニルプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、及びその他のタイプの適切なポリマー材料から製造することが可能である。構成要素は、周知の製造技術にしたがって、成形又は押出成形することが可能である。
【0036】
カテーテル10を製造するために一般に使用される材料としては、ただしこれらに限定されないが、天然ゴムラテックス(例えば、Guthrie, Inc., Tucson、アリゾナ州; Firestone, Inc., Akron、オハイオ州; 及び、Centrotrade USA, Virginia Beach, バージニア州から市販される)、シリコン(例えば、GE Silicones, Waterford、ニューヨーク州; Wacker Silicones, Adrian、ミシガン州; 及び、Dow Corning, Inc., Midland、ミシガン州から市販される)、ポリ塩化ビニル(例えば、Kaneka Corp., Inc., ニューヨーク、ニューヨーク州から市販される)、ポリウレタン(例えば、Bayer, Inc., Toronto、オンタリオ州、カナダ; Rohm & Haas Company, フィラデルフィア、ペンシルベニア州; 及び、Ortec, Inc., Greenville、サウスカロライナ州から市販される)、プラスチゾル(例えば、G S Industries, Bassett, バージニア州から市販される)、ポリ酢酸ビニル(例えば、Acetex Corp., バンクーバー、ブリティシュコロンビア州、カナダから市販される)、及びメタクリレートコポリマー(例えば、Heveatex, Inc., Fall River、マサチューセッツ州から市販される)が挙げられる。天然ゴムラテックス、ポリウレタン、及びシリコンが好ましい材料である。さらに、カテーテルの製造には、前述の材料のいずれの組み合わせも使用が可能である。一実施態様では、ラテックス及びメタクリレートを含むゴム引き層が、ラテックスを含むがメタクリレートを含まない上積み層と仕上げ層と共に使用される。別の実施態様では、ポリウレタンゴム引き層が、ラテックス上積み層と仕上げ層と共に使用される。別の実施態様では、ポリ酢酸ビニル及びラテックスゴム引き層が、ラテックス上積み層と仕上げ層と共に使用される。特定のヤング率値が指定される、前述の実施態様は、それぞれ、いずれの材料とも一緒に使用することが可能である。
【0037】
本発明の導尿カテーテル10は、種々の周知の方法によって製造することが可能である。例えば、様々の実施態様によれば、カテーテルは浸漬法によって製造される。長尺ロッド又は「型」が、該型の上に1層のコーティング材料を形成するよう、第1液体コーティング材料の中に浸される。この型は、カテーテルの腔13の形状及び大きさを有する。この第1コーティング層は、カテーテルの内部又はゴム引き層を形成する。第1層が乾燥したら、次に、型は、中間又は上積み層を上積みするよう、第2コーティング材料の中に浸される。適当な厚みの中間層を積み上げるために、第2コーティング材料の中に複数回浸すことが望ましい場合がある。次に、この上積み層は乾燥される。続く浸漬によって仕上げ層が重ねられ、乾燥される。カテーテルは、型から外されてもよく、次に、アイレット36がその上に形成されてもよい。それに続く製造工程は、米国特許出願第2004/0133156号に見出すことが可能である。なお、この文献の開示を引用により本明細書に含める。
【0038】
キャップ30、32、及び24は、カテーテル10及び管状部材16に対し、それぞれ、擦り合わせ、ネジ溝係合(すなわち、キャップ又は末端セクションのいずれかが、ねじ山、突起などを含み、他方が、該ねじ山、突起などを受容するために、溝、凹部、陥凹などを含む)、又は、当業者には公知の他の同様の固定法によって固定されていてもよい。
【0039】
カテーテル10については、ユーザーの解剖学的形状に応じて様々な長さ、サイズ(例えば、直径、幅など)、及び形態が可能である。女性ユーザーでは、挿入可能な長さは、40から100 mmの範囲、例えば、50から80 mm、特に55から75 mmの範囲であってもよい。男性ユーザーの場合、挿入可能な長さは、170から260 mmの範囲、例えば、190から240 mm、例えば、230 mmであってもよい。尖端のデザインは、ユーザーの要求にしたがって変動することが可能であり、例えば、本明細書に開示されるカテーテルには曲線形尖端(coude tip)を設けることが可能である。カテーテルは、円形又は実質的に円形断面形状、卵形断面形状、又は、ユーザー/患者の体の中、特に、尿道を通じてユーザー/患者の膀胱中への挿入を実行し易くするものである限り、他のいずれの断面形状を有していてもよい。各種実施態様によれば、カテーテルの形状は、その長さにそって変動することが可能である。管状部材16は、人目に立たない保存及び使用にとって好適である限りいずれの形状を取ることも可能である。各種実施態様によれば、形状は、円形又は実質的に三角形であり、及び/又は、ユーザーによる確実な把捉をやり易くするために刻み目を有する。
【0040】
これまで本発明は説明され、本発明の特異的例が概説された。本発明は、特定の変異例、及び具体的図面に基づいて説明されてきたが、当業者であれば、本発明は、記載される図面の変異例に限定されないことを認識されるであろう。さらに、上述の方法及び工程は、ある順序で起こるいくつかの事象を表示するが、当業者であれば、ある工程の順序は修飾が可能であること、且つ、そのような修飾は、本発明の変異例に合致するものであることを認識するであろう。さらに、工程の中のあるものは、上述の経時的実行の外に、可能であれば、平行プロセスにおいて同時に実行することも可能である。したがって、開示の精神の範囲に納まるか、又は、特許請求項に見られる本発明と等価である、本発明の変異例が存在する限り、本特許は、それらの変異例をもカバーするものであることが意図される。最後に、本明細書において引用された公刊物及び特許出願は全て、あたかも各個別の公刊物又は特許出願が本明細書において特異的、個別的に記載される場合と同様に、その全体を引用によって本明細書に含める。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1末端及び第2末端を有する略管状部材;
第1末端及び第2末端を有するカテーテル;
前記管状部材の内部に配されている前記カテーテルの少なくとも一部;
前記カテーテルの軸性移動によって開放が可能である前記管状部材の第1末端;および
前記管状部材の一部に密封係合している前記カテーテルの一部を含むカテーテルアセンブリ。
【請求項2】
前記管状部材の第1末端に配置され、前記カテーテルの第1末端の軸性移動によって開放が可能である第1キャップ;および
前記管状部材および前記カテーテルの前記一部の間に密封係合を形成している密封部材をさらに含む請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項3】
前記密封部材が前記管状部材の内径と前記カテーテルの外径との間に密封を形成している請求項2に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項4】
前記密封部材が、前記管状部材の第2末端の区域に配置されており、前記管状部材の内径と前記カテーテルの外径との間に密封を設けている請求項2に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項5】
第1キャップの少なくとも一部が尿道口に挿入するために構成されている請求項2に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項6】
第1キャップが、少なくとも一つの屈曲性及び/又は偏向性フラップ部材を含んでいる請求項2に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項7】
前記カテーテルアセンブリが、導尿カテーテルアセンブリ、及び屈曲性で伸縮自在の、あらかじめ濡らした親水性断続使用カテーテルの中の少なくとも一方である請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項8】
前記カテーテルの前記一部が同軸的に前記管状部材の中に配されている請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項9】
前記管状部材が、その内部に含ませた湿潤液を含んでいる請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項10】
前記管状部材が実質的に剛性である請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項11】
前記管状部材が、実質的に円形の断面を有し、及び/又は、略円筒状である請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項12】
前記カテーテルが、水和可能なコーティングを含んでいる請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項13】
前記カテーテルが、その外表面に親水性の生体適合性コーティングを含んでいる請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項14】
前記カテーテルアセンブリを保存又は使用前形態に固定するように適合されている;
前記カテーテルアセンブリを略U型形態に固定するように適合されている;及び、
前記管状部材と前記カテーテルの少なくとも一方に付随している、の中の少なくとも一つであるクリップをさらに含んでいる請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項15】
前記カテーテルアセンブリが実質的にU字型を形成するよう、前記管状部材を前記カテーテルに固定するように構成されているクリップをさらに含んでいる請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項16】
前記カテーテルの第2末端が、その末端を密封するように構成されている第2キャップを含んでいる請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項17】
第2キャップが、
除去可能;
廃棄可能;
前記カテーテルの第2末端の内部に配される破損可能部材を含む;及び、
前記カテーテルの第2末端の外径周囲に配される一部を含む
の中の少なくとも1つである請求項16に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項18】
前記カテーテルの第2末端が、漏斗に結合されるように適合されている請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項19】
前記カテーテルの第2末端が、廃棄可能な液体収集部材に結合されるように適合されている請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項20】
前記カテーテルの第2末端が、廃棄可能な尿収集部材に結合されるように適合されている請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項21】
請求項1〜20のいずれか一項以上に記載のカテーテルアセンブリを用いて生体から液体を排出するための方法であって:
保護キャップを解除すること;
前記カテーテルを第1キャップを貫いて体内に前進させること;及び、
前記カテーテルを用いて生体から液体を排出することを含む方法。
【請求項22】
前記液体が、膀胱からの尿である請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記解除が、前記保護キャップを取り外して第1キャップを露出することを含む請求項21に記載の方法であって、さらに、前記カテーテルアセンブリを、保存形態から使用可能形態へ設置することを含む方法。
【請求項24】
前記排出が、前記カテーテルを通じて膀胱を排水することを含む請求項21に記載の方法であって、さらに、前記前進の前に、尿道口に第1キャップを挿入することを含む方法。
【請求項25】
前記カテーテルが前記管状部材の中を前進するにつれて、前記管状部材の中に配されている湿潤液によって前記カテーテルの少なくとも一部を濡らすことを含む請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記前進の間、前記カテーテルが前記管状部材の中を前進するにつれて、前記管状部材の中に配されている湿潤液によって前記カテーテルの少なくとも一部を濡らすことを含む請求項21に記載の方法。
【請求項27】
それを介した排水を促進するよう、前記カテーテルの第2末端からキャップを取り外すことをさらに含む請求項21に記載の方法。
【請求項28】
前記カテーテルの挿入を促進するよう、前記管状部材の中に配されている湿潤液によって前記カテーテルの少なくとも一部のコーティングを濡らすことをさらに含む請求項21に記載の方法。
【請求項29】
前記カテーテルの第2末端に結合されている廃棄可能収集部材を用いて、前記カテーテルによって排出される液体を収集することをさらに含む請求項21に記載の方法。
【請求項30】
第1末端及び第2末端を有し、かつ液体を含むように適合されている内部空間を有する外側部材;
第1末端及び第2末端を有し、前記内部空間に少なくとも部分的に配されているカテーテル;
前記外側部材に対して動くように構成され配置されている前記カテーテル;及び
前記内部空間に配置され、前記カテーテルを水和する及び/または濡らすように適合されている液体
を含むカテーテルアセンブリ。
【請求項31】
前記管状部材の第1末端が前記カテーテルの軸性移動によって開放が可能である請求項30に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項32】
本出願の図面に示され及び/又は明細書に説明される少なくとも一つの特色、本出願の図面に示され及び/又は明細書に説明される特色の大部分、本出願の図面に示され及び/又は明細書に説明される複数の特色同士の任意の組み合わせ、及び、本出願の図面に示され及び/又は明細書に説明される特色の実質的に全て、
の中の一つを含むカテーテルアセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−533399(P2012−533399A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521607(P2012−521607)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/055354
【国際公開番号】WO2011/011023
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(591018693)シー・アール・バード・インコーポレーテッド (106)
【氏名又は名称原語表記】C R BARD INCORPORATED
【Fターム(参考)】