説明

いびき録音用枕

【課題】この発明は利用者のいびきを録音することができるようにしたいびき録音用枕を提供することにある。
【解決手段】枕本体3と、枕本体に設けられ録音機8と接続されるマイクロフォン7とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は利用者の睡眠中のいびきを録音するためのいびき録音用枕に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、睡眠中に呼吸が止まる、睡眠時無呼吸症候群が注目されている。睡眠時無呼吸症候群には脳の機能障害が原因となる中枢性、睡眠時の気道の確保ができないことが原因となる閉塞性及び中枢性と閉塞性との両方が混合している場合などがあり、睡眠時無呼吸症候群は十分に寝ているつもりでも寝不足に陥り、昼間に強い眠気が催してたとえば交通事故を招くなどの虞がある。
【0003】
睡眠時無呼吸症候群は、いびきがひどくなり、鼻や喉の奥の空気の通り道である気道が閉塞されることで生じると考えられている。睡眠時無呼吸症候群の最大の原因は肥満であるとされていて、呼吸が止まっているときには一種の酸欠状態となるから、酸素が体に十分に供給されないことになる。したがって、上述したように睡眠不足となってストレスが増加し、高血圧、心筋梗塞、脳梗塞などを誘発する一因になると考えられている。
【0004】
睡眠時無呼吸症候群は睡眠中に10秒以上の呼吸停止が1時間に10回以上あるかどうかが診断の基準になっている。そのため、診断を受ける場合には、顔や手などにさまざまなセンサを取付け、腹筋の活動や脳波、眼球運動、血液中の酸素飽和度などを同時に調べるということが行われていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
睡眠時無呼吸症候群であるか否かを上述した方法によって診断を受けるには、それなりの設備を備えた病院に入院しなければならない。そのため、睡眠時無呼吸症候群の診断を受けるのが煩わしいということがあった。つまり、睡眠中におけるいびきの状態は健康状態に大きな係りをもつものであるが、睡眠中のいびきの状態を容易に知ることができないということがあった。
【0006】
この発明は、たとえば睡眠時無呼吸症候群などの場合に、利用者の睡眠中のいびきを簡単かつ確実に録音することで、睡眠中のいびきの状態を知ることができるようにしたいびき録音用枕を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、枕本体と、
この枕本体に設けられ録音機と接続されるマイクロフォンと
を具備したことを特徴とするいびき録音用枕にある。
【0008】
上記枕本体は弾性材料によって形成されていて、上記マイクロフォンはこの枕本体に埋め込まれていることが好ましい。
【0009】
上記枕本体の幅方向両端部には中央部に比べて盛り上がった土手部が形成されていて、一対の土手部に上記マイクロフォンがそれぞれ感音部を上記枕本体の幅方向内方に向けて設けられていることが好ましい。
【0010】
上記枕本体の高さを調整する高さ調整手段を有することが好ましい。
【0011】
上記高さ調整手段は上記枕本体の下面に設けられる所定の厚さの調整シートであり、
上記枕本体は開口部を有する袋状に縫製された外装カバーに収容され、この外装カバーは上記枕本体とともに上記調整シートを収容可能な大きさに形成されていて、
上記開口部には、上記外装カバーに上記枕本体とともに上記調整シートが収容されるか否かに応じて上記開口部の大きさを調整し上記外装カバーの弛みを取り除く弛み除去手段が設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、枕本体に録音機と接続されるマイクロフォンを設けたので、このマイクロフォンを通じて利用者の睡眠中のいびきを録音することができるから、そのいびきの音の状態で利用者の健康状態、たとえば睡眠時無呼吸症候群であるか否かなどを診断することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図3はこの発明の第1の実施の形態を示す。図1は利用者Uがマットレスなどの寝具1上に仰臥して就寝している状態を示す側面図で、この利用者Uはこの発明に係る枕2を用いている。図2と図3に示すように、上記枕2はたとえばウレタンフォームなどの弾性材によって形成された枕本体3を有する。この枕本体3は袋状に縫製された外装カバー4によって被覆されている。
【0014】
上記枕本体3は幅方向両端部が中央部に比べて高く盛り上がった土手部5に形成されていて、幅方向中央部が利用者Uの頭部Hを支持する載置部6となっている。一対の土手部5にはそれぞれマイクロフォン7が埋め込まれている。
【0015】
つまり、マイクロフォン7は先端の感音部7aを枕本体3の幅方向内方に向けて上記土手部5に埋設されている。各マイクロフォン7のコード7bは外装カバー4に設けられた図示しない孔から外部に導出され、ラジオカセットやICレコーダなどの録音機8(図2に示す)に電気的に接続されるようになっている。
【0016】
このように、枕2を形成する枕本体3にマイクロフォン7を設け、このマイクロフォン7を録音機8に電気的に接続したことで、利用者Uの就寝中のいびきを上記録音機8に録音することができる。
【0017】
そのため、利用者Uの就寝中のいびきを録音した録音機8或いは録音機8の記録媒体を医師に持ち込んだり、通信手段を用いるなどして聞いてもらうことで、利用者Uの睡眠時のいびきの状態から、たとえば無呼吸症候群であるか否かを診断してもらうことが可能となる。
【0018】
つまり、睡眠時無呼吸症候群の場合にはいびきの音がひどくなるから、専門の医師であれば、録音されたいびきから利用者Uが睡眠時無呼吸症候群であるか否かを診断することが可能となる。そのため、利用者Uがたとえば多忙な場合などであっても、病院に入院して検査を受けることなく、睡眠時無呼吸症候群の診断をしてもらうことが可能となる。
【0019】
また、異常な状態のいびきをかくのは睡眠時無呼吸症候群の場合だけでなく、他の病気が原因のこともある。したがって、睡眠中のいびきの状態を知ることで、他の病気を発見できるということもある。
【0020】
上記枕本体3は弾性材料によって形成され、この枕本体3にマイクロフォン7を埋め込むようにしている。そのため、枕本体3にマイクロフォン7を設けても、その硬さが利用者に伝わり難いから、枕2の性能を損なうことがほとんどない。
【0021】
上記マイクロフォン7は、枕本体3の利用者Uが頭部Hを載置する載置部6の両側の土手部5に設けている。そのため、そのことによっても枕本体3に設けられたマイクロフォン7に利用者Uの頭部Hが当たり難いため、利用者Uが不快感を覚えるということがほとんどない。
【0022】
しかも、マイクロフォン7は一対の土手部5にそれぞれ感音部7aを載置部6の方向に向けて設けるようにしたから、これらマイクロフォン7は利用者Uの載置部6に載置された頭部Hの両側に位置する。
【0023】
そのため、利用者Uのいびきを一対のマイクロフォン7によって確実に録音することができる。また、利用者Uが寝返りを打つなどして頭部Hの向きが変わっても、少なくとも一方のマイクロフォン7が利用者Uの顔面に対向するため、利用者Uのいびきを確実に録音することが可能となる。つまり、いびきの録音を確実に行えるから、いびきから睡眠時無呼吸症候群であるか否かを診断することも確実に行える。
【0024】
上記一実施の形態では枕本体の幅方向両端部に土手部を形成したが、枕本体には土手部がなくても差し支えなく、その場合、ほぼ平坦な枕本体の幅方向両端部にマイクロフォンを埋め込めばよい。
【0025】
また、マイクロフォンは枕本体に埋め込まず、たとえば枕本体を被覆した外装カバーに袋部を形成し、この袋部に収容して設けるようにしてもよい。その場合も、マイクロフォンは枕本体の幅方向両側に設けるようにすることが好ましい。
【0026】
また、枕本体を弾性材料であるウレタンフォームによって形成する場合について説明したが、枕本体はウレタンフォーム以外の材料、たとえば籾殻や樹脂などの粒状物を主体として形成するようにしてもよい。
【0027】
図4(a)、(b)はこの発明の第2の実施の形態を示す。この実施の形態の枕2Aは、図4(a)に示すように幅方向はほぼ平坦であるが、幅方向と交差する前後方向の一端部と他端部との厚さが異なる形状をしている。
【0028】
上記枕2Aは、高さ調整手段11によって利用者が使用する場合の高さを変えることができるようになっている。この高さ調整手段11は、たとえば厚さが1cm程度の複数の高さ調整シート12からなり、上記枕2Aの下面に必要に応じた枚数を積層することで、上記枕2の支持高さを調整することができる。
【0029】
なお、この実施の形態においても上記一実施の形態と同様、上記枕2Aの枕本体3は、たとえばウレタンフォームなどの弾性材料によって形成されており、そこには幅方向の両端部に先端の感音部7aを幅方向の内方に向けて一対のマイクロフォン7が設けられている。これらのマイクロフォン7が図2に示すように録音機8に接続される。
【0030】
このように、枕2の支持高さを調整することで、利用者Uの寝姿勢を変えることができる。たとえば、利用者Uが仰臥(仰向きの状態)して睡眠する場合には図4(a)に示すように調整シート12を用いずに枕2の高さを低くして就寝する。
【0031】
しかしながら、利用者Uが仰向きの状態で就寝し、いびきを録音機8で録音した場合にいびき音が大きいことがある。そのような場合、いびきの原因が睡眠時無呼吸症候群であったり、他の病気であったり、さらには仰向き状態であるために気道が十分に確保できないためであるなどの原因が考えられる。
【0032】
そこで、録音したいびき音が大きい場合、その原因の1つである寝姿勢を変えてみる必要がある。図4(b)は枕2の下面に複数、たとえば7枚の調整シート12を設け、その高さをたとえば図4(a)の状態よりも7cm高くしている。
【0033】
このようにして高くした枕2を利用すれば、利用者Uは楽に横向きの姿勢をとって就寝することができる。つまり、横向きの姿勢をとる場合、枕2の上面に側頭部を載せると、一方の肩幅が下方に向くが、枕2が高く支持されているため、肩が圧迫されることなく、横向きの姿勢を楽にとることが可能となる。
【0034】
横向きの状態で就寝した場合のいびきを録音する。そして、横向きで就寝したときと、仰向きで就寝したときとのいびきを比較しみる。それによって、仮に横向きの方がいびきの音が小さいような場合、いびきの原因が寝姿勢の違い、つまり横向きで気道が確保されたためであると判断することができる。また、枕2の支持高さを7cmから5cmに低くするなど、その支持高さを変えていびきを録音すれば、いびきをかきにくい枕2の高さを知ることもできる。
【0035】
この実施の形態において、枕を所定の高さで支持するための高さ調整手段は調整シートに限られず、エアーバックを用い、充填する空気圧を変えたり、リンク機構によって載置板の高さを変えることができるようにし、この載置板に枕を載置するようにしてもよく、要は枕の支持高さの調整ができるものであればよい。
【0036】
図5(a)、(b)と図6(a),(b)はこの発明の第3の実施の形態の枕2Bを示す。この実施の形態の枕2Bは枕本体3の高さを調整シート12を用いて調整する場合、この調整シート12を枕本体3とともに外装カバー14内に収容できるようにした。
【0037】
すなわち、外装カバー14はたとえば伸縮性を有する布地によって開口部15を有する袋状に形成されている。この外装カバー14の高さ寸法は、枕本体3の高さ寸法よりも大きく、しかも枕本体3の下面に図6(a)に示すように調整シート12を複数枚、たとえば7枚積層したときの高さ寸法よりも小さく設定されている。この実施の形態では調整シート12を3枚積層したときの高さ寸法とほぼ同じに設定されている。
【0038】
上記開口部15の内周縁には挿通部16が全長にわたって縫製されていて、その挿通部16には図5(b)に示すように弛み除去手段としてのゴム紐17が挿通されている。ゴム紐17は復元力によって開口部15の開口を小さくするよう収縮している。つまり、挿通部16に設けられたゴム紐17の長さは、この挿通部16の全長よりも短く設定されている。
【0039】
図5(a)、(b)は外装カバー14に枕本体3だけを収容した場合の上面側から見た斜視図と、下面側から見た斜視図であって、外装カバー14は開口部15を枕本体3の下面側に位置させている。この場合、外装カバー14は調整シート12を収容しないため、枕本体3よりも高さ寸法が大きい分だけ余ってだぶつくが、余った分はゴム紐17が開口部15を小さくする方向に収縮することで、枕本体3の下面側に寄せ集められる。
【0040】
したがって、外装カバー14に枕本体3だけを収納した状態であっても、この外装カバー14は大きなたるみが生じることのない状態で枕本体3を収容するから、外観的に良好であるばかりか、枕2として使用し難くなるということもない。しかも、外装カバー14が収縮性を有する布地によって形成されているため、そのことによっても外装カバー14が収縮してたるみが生じ難い。
【0041】
図6(a),(b)は外装カバー14に枕本体3と複数枚の調整シート12とを一緒に収容した場合の上面側から見た斜視図と、下面側から見た斜視図であって、上記外装カバー14には枕本体3とともにその下面に積層された7枚の調整シート12が収容されている。
【0042】
枕本体3と7枚の調整シート12がなす高さ寸法は外装カバー14の高さ寸法よりも大きくなる。そのため、枕本体3と7枚の調整シート12を収容した外装カバー14は、開口部15に設けられたゴム紐17が伸びて図6(b)に示すように開口部15が大きくなることで、全体の高さ寸法が高くなった分を吸収する。しかも、伸縮性を有する外装カバー14の布地が伸びることによっても高さ寸法が大きくなった分を吸収する。
【0043】
したがって、外装カバー14はほとんど弛みのない状態で枕本体3と調整シート12を収容するから、外観的に良好であるばかり、外装カバー14の弛みによって使用し難くなるということもない。
【0044】
図7はこの発明の第3の実施の形態の枕2Cを示し、この実施の形態の枕2Cは弛み除去手段の変形例を示す。この実施の形態の弛み除去手段は、外装カバー14に形成された挿通部16に第2の実施の形態に示されたゴム紐17に代わり、伸縮性のない繊維などの材料によって作られた紐状部材21が挿通されている。この紐状部材21の両端部は上記挿通部16に形成された図示しないスリットから導出されている。
【0045】
したがって、このような構成によれば、外装カバー14に枕本体3とともに調整シート12を収容するか否かによって全体の高さ寸法が変化したならば、その変化に応じて紐状部材21を締めたり緩めたりして結んで開口部15の大きさを変えれば、外装カバー14に弛みが生じないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】この発明の一実施の形態を示す就寝時に利用者が枕を利用している状態の側面図。
【図2】利用者が頭部を乗せた状態を示す枕の一部を断面した図。
【図3】枕の平面図。
【図4】(a)はこの発明の第2の実施の形態を示す枕の斜視図、(b)は枕の支持高さを高くした状態の斜視図。
【図5】この発明の第2の実施の形態を示し、(a)は外装カバーに枕本体だけを収容した枕を上面側から見た斜視図、(b)は同じく下面側から見た斜視図。
【図6】(a)上記外装カバーに枕本体とともに調整シートを収容した枕を上面側から見た斜視図、(b)は同じく下面側から見た斜視図。
【図7】この発明の第3の実施の形態を示す枕を下面側から見た斜視図。
【符号の説明】
【0047】
2…枕、3…枕本体、4,14…外装カバー、5…土手部、6…載置部、7…マイクロフォン、8…録音機、11…高さ調整手段、12…調整シート、17…ゴム紐(弛み除去手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枕本体と、
この枕本体に設けられ録音機と接続されるマイクロフォンと
を具備したことを特徴とするいびき録音用枕。
【請求項2】
上記枕本体は弾性材料によって形成されていて、上記マイクロフォンはこの枕本体に埋め込まれていることを特徴とする請求項1記載のいびき録音用枕。
【請求項3】
上記枕本体の幅方向両端部には中央部に比べて盛り上がった土手部が形成されていて、一対の土手部に上記マイクロフォンがそれぞれ感音部を上記枕本体の幅方向内方に向けて設けられていることを特徴とする請求項1記載のいびき録音用枕。
【請求項4】
上記枕本体の高さを調整する高さ調整手段を有することを特徴とする請求項1記載のいびき録音用枕。
【請求項5】
上記高さ調整手段は上記枕本体の下面に設けられる所定の厚さの調整シートであり、
上記枕本体は開口部を有する袋状に縫製された外装カバーに収容され、この外装カバーは上記枕本体とともに上記調整シートを収容可能な大きさに形成されていて、
上記開口部には、上記外装カバーに上記枕本体とともに上記調整シートが収容されるか否かに応じて上記開口部の大きさを調整し上記外装カバーの弛みを取り除く弛み除去手段が設けられていることを特徴とする請求項4記載のいびき録音用枕。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−262914(P2006−262914A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−73298(P2005−73298)
【出願日】平成17年3月15日(2005.3.15)
【出願人】(000010032)フランスベッド株式会社 (95)
【Fターム(参考)】