説明

おから茶飲料

【課題】 便秘の改善に効果の高いおから茶飲料を提供することを課題とした。
【解決手段】 焙煎したおからの抽出液に、食物繊維を添加することにより、便秘の改善に効果の高いおから茶飲料を提供する。食物繊維がセルロース、キチン、グルコマンナン、アルギン酸、難消化性デキストリン又は難消化性オリゴ糖の少なくとも一種である。焙煎おから(g)対水又は熱湯(l)の比(g/l)が0.1〜500である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、味がまろやかにして、便秘の改善に効果の高いおから茶飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
おから茶は、豆腐や、豆乳の製造工程で出来るおから、或いは大豆を絞った残査等を焙煎して作られ、その飲料は、この焙煎物を熱水、又は冷水にて抽出処理することにより作られる。おから茶は、抽出液中に大豆イソフラボンが含まれる為、健康に良い効果が得られることが知られており、健康茶として、特公平4−12702号公報に記載されるものが製造、販売されている。
【0003】
【特許文献1】特公平4−12702号公報
【特許文献2】特開2000−262237号公報
【特許文献3】特開2000−60487号公報
【特許文献4】特開2000−191524号公報
【特許文献5】特開2003−81854号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、おからには、イソフラボンだけでなく、大豆たんぱく質、ビタミン、サポニン等の各種栄養成分と同時に、大豆の不快臭である脂肪族カルボニル化合物、脂肪酸、アミン等を、更に不快味であるサポニン、フェノール類、配糖体等を含むため、その飲料は、大豆独特の不快臭と、不快味(にがみ、渋み、えぐみ)がして美味しいとは言えない。
焙煎したおからの抽出液である、おから茶の場合も、おからの焙煎具合により、大豆独特の不快臭と、不快味や、焦げ臭、焦げ味がすることが多く、美味しい飲料を常に製造することが難しい。
【0005】
その為、おからをテンペ菌で発酵する(特開2000−262237号公報)、カラーチャートを用いて焙煎具合を管理するなど、大豆の不快臭、不快味を取り除く方法が考案されているが、製造工程や、製造管理工程が増えることにより、おから茶を安価に提供することができない。
【0006】
そこで、おから茶の味をまろやかに改善することを課題として、おから茶に食物繊維の添加を行ない、試飲を行なったところ、味がまろやかになった他、便秘の改善に効果があることが判明した。
それ故に、本発明は、まろやかな味を保持しかつ便秘の改善により効果の高いおから茶飲料を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、おから茶への食物繊維添加による便秘の改善について鋭意検討を重ねた結果、まろやかな味にして、便秘の改善に大変効果の高いおから茶飲料を見出すに至った。
【0008】
食物繊維には、不溶性食物繊維と、水溶性食物繊維があり、不溶性食物繊維には、野菜、豆類、穀類のふすま、米ぬか等に含まれるセルロース、豆類、キャベツ、穀類のふすま、米ぬか等に含まれるヘミセルロース、野菜、果物等に含まれるペクチン(不溶性)、ココア、豆類、人参、大根、穀類のふすま、米ぬか等に含まれるリグニン、海老やカニの殻に含まれるキチン等があり、水溶性食物繊維には、果物や野菜に含まれるペクチン(水溶性)、昆布、ひじき、ワカメ等の褐藻類のヌルヌル成分であるアルギン酸、のり、寒天等の紅藻類に含まれるカラギーナン、樹皮、果樹の分泌物、大麦、豆、オーツ麦等の植物細胞に含まれるグアガム、こんにゃくの成分であるグルコマンナン、オオバコの種皮から得られるサイリウム、ブドウ糖を原料として人工合成されたポリデキストロース、澱粉を加熱し、酵素処理を行なうことにより得られた難消化性デキストリン、澱粉由来のシクロデキストリンである難消化性オリゴ糖等がある。
【0009】
不溶性食物繊維は、消化管内で水分を吸って膨らみ、糞便の量を増やして便の排出を促進して便秘を予防、改善する効果があること、水溶性食物繊維は、血中コレステロールを低下させ、動脈効果の予防に効果があることや、糖質の吸収を抑え、血糖値の上昇を抑制する効果があること、また水溶性食物繊維である難消化性デキストリンや、難消化性オリゴ糖は、整腸作用や、便通を良くする効果があることが知られている。
しかし、食物繊維、特に水溶性食物繊維による便秘改善効果は必ずしも充分ではなく、大量に摂取しなければ充分な効果が得られなかった。このことから、充分な便秘改善効果を得るために、水溶性食物繊維及び糖アルコールを有効成分とする便秘改善剤(特開2000−60487号公報)、パントテン酸及び/又はそのアルカリ塩と、ビフィズス菌と、食物繊維とを有効成分として含有した便秘改善組成物(特開2000−191524号公報)等、他の素材との組み合わせが考案されている。
【0010】
焙煎したおからを抽出した飲料中の食物繊維は、0.1g/100g以下であるが、焙煎おから茶を飲むと便秘が改善するようだという報告がこれまでにもあり、おから茶に多少便通を良くする効果があるようである。大豆関連の便通改善用組成物として、大豆由来の水性抽出物を含有した便秘改善用組成物(特開2003−81854号公報)が開示されているが、本願で使用する焙煎したおからの抽出液での便秘改善効果は上記した程度であり、便秘改善効果があるといえる程ではない。
【0011】
本発明において、上記したような不溶性食物繊維、水溶性食物繊維の1種又は2種以上を組み合わせて用いることが可能である。食物繊維の配合量は、おから茶に対して便秘改善効果、及び口当たりの点から0.1重量%〜20量%が好ましく、0.5重量%〜10重量%が更に好ましい。
おから茶の濃度は、焙煎したおから0.1g〜10.0gに対して、水、又は熱湯1リットルで抽出したおから茶の濃度以上であれば良く、口当たりの点から焙煎おから400g〜600g程度を、水、又は熱湯1リットルで抽出したおから茶の濃度ぐらいまでが好適である。
以下に実施例及び比較例を挙げてこの発明を具体的に説明するが、この発明の範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、便秘の予防、改善に効果の高いおから茶飲料が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
焙煎おからを以下の方法で調整した。
豆腐、豆乳工程から通常入手できるおからを温風乾燥機で、水分が5重量%程度まで乾燥し、下記実施例に用いた。
【実施例】
【0014】
不溶性食物繊維としてセルロース、キチンを、水溶性食物繊維としてグルコマンナン、アルギン酸、難消化性デキストリンと、難消化性オリゴ糖を用い、各種濃度のおから茶に配合して、食物繊維配合おから茶を作成した。比較として、実施例1、2、10、12、13、14の食物繊維を含まないおから茶(比較例1〜6)、実施例1、2、10、12、13、14のおから茶を水に替えて、食物繊維だけを含んだ食物繊維飲料(比較例7〜12)を作成した。
【0015】
【表1】

【0016】
[便秘改善評価]
実施例1、2、10、12、13、14の食物繊維配合おから茶を、それぞれ各5名の便秘のパネラーに、1日あたり200mlを2週間飲用してもらい、便秘の改善を評価してもらった。また比較として比較例1〜6のおから茶、比較例7〜12の食物繊維飲料、及びイソフラボンと食物繊維を含む飲料として豆乳(比較例13)についても、実施例と同様に、各5名の便秘のパネラーに、1日あたり200mlを2週間飲用してもらい、便秘の改善について評価してもらった。評価は、改善した:2点、やや改善した:1点、変わらない:0点の3段階で評価してもらった。
【0017】
【表2】

【0018】
これらの結果より、比較として用いた食物繊維飲料、おから茶飲料、豆乳ではあまり便秘の改善効果が認められなかったが、食物繊維を配合したおから茶飲料では、便秘改善効果がはっきりと認められた。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
焙煎したおからの抽出液に、食物繊維を添加したことを特徴とするおから茶飲料。
【請求項2】
食物繊維が、水溶性食物繊維であることを特徴とする請求項1記載のおから茶飲料。
【請求項3】
水溶性食物繊維が、難消化性であることを特徴とする請求項2記載のおから茶飲料。
【請求項4】
焙煎したおからの抽出液に、食物繊維を0.1重量%〜20重量%配合したことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のおから茶飲料。
【請求項5】
おからの抽出液が、焙煎おから(g)対水又は熱湯(l)の比(g/l)が1〜500のものであり、食物繊維がセルロース、又はキチンの少なくとも一種である請求項1記載のおから茶飲料。
【請求項6】
おからの抽出液が、焙煎おから(g)対水又は熱湯(l)の比(g/l)が0.1〜100のものであり、食物繊維がグルコマンナン、アルギン酸、難消化性デキストリン又は難消化性オリゴ糖の少なくとも一種である請求項1記載のおから茶飲料。


【公開番号】特開2006−25660(P2006−25660A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−207210(P2004−207210)
【出願日】平成16年7月14日(2004.7.14)
【出願人】(000130776)株式会社サンギ (17)
【Fターム(参考)】