説明

おでん保温販売容器用開閉蓋

【課題】おでん保温販売容器の中のおでんの具を閉めた蓋を透視して外部から中のおでんが確実に見ることが可能となる開閉蓋を提供する。
【解決手段】おでん保温販売容器1に載置可能に四方を側枠で囲うとともに上部と下部を開放した載置枠体2と、該載置枠体2に着脱可能で該載置枠体2の上部を閉め切り可能な二枚折畳み式の開閉蓋3とから成り、前記載置枠体2は、側枠に通気口13を備え、且つ対向した側枠2a、2bの上部には内側に開放された水平なガイドレール7、8を該側枠の両端部まで形成し、前記開閉蓋3は、一対の透視枠体4、5にヒンジ6を介して開閉可能とし、該透視枠体4、5に曇り防止機能を備えた樹脂膜を被覆した透視板11、12をそれぞれ張設し、且つ該透視枠体4、5の開閉外側の各枠4b、5bの両端部に枢支軸9b、10bを突設して各枢支軸に載置枠体のガイドレール7、8に納まる径のガイドローラ9a、10aを枢支する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、おでん汁におでんの具を入れ、一定の温度に保持しつつおでんを店頭販売するためのおでん保温販売容器に使用する開閉蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に店頭販売に用いられているおでん販売用容器は、おでんの具を入れたままでおでん汁を一定の温度に保持し、おでんの具に汁の味を滲みこませつつ販売を行う加熱保温型の容器であり、その容器の開口部はおでん独特の臭いを放出させ食欲を刺激するために開放されたままで、客の選択したおでんを店員が椀形容器に時取り出して販売している。
その際に、熱の放出を防止し温度を一定に保持することと、不特定多数の客の近くで販売されるため食品衛生の観点から、おでん販売用容器に蓋をすることも行われている。
【0003】
通常、おでん販売用容器に蓋をする場合、木蓋を使用することが多いが、例えば、下記特許文献1には、二つ折り可能な開閉蓋の提案がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−49204
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
おでん保温販売容器に木蓋を用いた場合でも熱の放出を防止しておでんの保温が可能ではあるが、開け閉めをするときに蓋の置き場が汚れるため食品衛生の観点からは問題があり、また中にある具が見えなくなるために視覚的な食欲の刺激が起こらず、販売促進効果が損なわれてしまうという難点がある。
また上記特許文献1の如き開閉蓋の場合では、蓋の材質が透明であっても閉めたときに中の湯気で内側が曇ってしまい、中のおでんの具が見えなくなってしまう点で木蓋を用いたときと同様に視覚的な食欲の刺激を起こすことができず販売上の難点となっている。
さらに、上記特許文献1のおでん保温販売容器に載置する枠体に開閉蓋の一方側が連結さているため、洗浄するのが面倒で、洗い残し箇所が発生しやすく衛生面に難点がある。
また、おでんを容器内から取り出す際に、開閉蓋を繋ぐ連結部付近では、開閉蓋が障害となって取り出しにくいという難点がある。
【0006】
そこで、本発明は、おでん保温販売容器内のどの場所にあるおでんでも容易に取り出すことが可能で、しかも蓋が湯気で曇らずに容器内のおでんを閉めた蓋の外から透視して見ることが可能で、且つおでん保温販売容器に載置する枠体と開閉蓋とを取り外して洗える衛生的なおでん保温販売容器用の開閉蓋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明のおでん保温販売容器用開閉蓋は、おでん保温販売容器の開口部に載置可能に四方を側枠で囲うとともに上部と下部を開放した載置枠体と、該載置枠体に着脱可能で該載置枠体の上部を閉め切り可能な二枚折畳み式の開閉蓋とから成り、前記載置枠体は、前記おでん保温販売容器内に入れたおでんの串の突出可能な高さよりも高い枠高を有する側枠に通気口を備えるとともに該側枠の底部には前記おでん保温販売容器の開口部に安定載置可能な連結部を備え、且つ対向した側枠の上部には内側に開放された溝状の水平なガイドレールを該側枠の両端部まで形成し、前記開閉蓋は、水平に開いたときに前記載置枠体上部の開口部のサイズと略同サイズとなる一対の矩形な透視枠体にヒンジを介して開閉可能とし、該透視枠体に曇り防止機能を備えた透明又は半透明な透視板をそれぞれ張設し、且つ該透視枠体の開閉外側の各枠の両端部に該枠の長手方向に枢支軸を突設して各枢支軸に前記載置枠体のガイドレールに納まる径のガイドローラを枢支して成り、二枚山形に折重ねて直立させた前記開閉蓋を前記載置枠体内で水平方向に回転させることで前記載置枠体の両側のガイドレールに各ガイドローラを着脱可能とし、且つ前記開閉蓋の前記ヒンジ部分に枠の上げ下ろしで開閉蓋の開閉を可能としたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明にあっては、上記発明において、前記透視板が、曇り防止機能を有する樹脂膜を被覆したものであることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明にあっては、上記発明において、前記透視板が、曇り防止機能を有する塗布剤を塗布したものであることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明にあっては、上記各発明において、前記開閉蓋のヒンジが、摩擦抵抗を有して透視枠体を開閉可能とし、該開閉蓋の二枚の透視枠体を山形に折畳んだときヒンジの摩擦抵抗によって載置枠体上で該山形状態を維持可能としたことを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明にあっては、上記各発明において、前記載置枠体のガイドレールの両端部及び中間部にそれぞれガイドローラの凹又は凸状の係止段差を設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明にあっては、上記各発明において、前記開閉蓋の一対の透視枠体のヒンジによる折り畳み接続部に、ヒンジと同方向に回動可能に操作片を装着し、該操作片に対して一方側へ力を加えると前記載置枠体上の前記透視枠体を前記載置枠体の一方側に偏って移動し、該操作片に対して上方へ力を加えると前記透視枠体が閉じられるようにしたことを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明にあっては、上記各発明において、前記開閉蓋の透視枠体の開閉外側の各枠の上側に係止フックを設けるとともに、載置枠体の上部に前記係止フックと対応させてフック係止部を設け、開閉蓋を載置枠体の一方側へ寄せて二枚山形に折重ねたときに自動的にフック係止部へ係止フックが係止可能としたことを可能としたことを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明にあっては、上記各発明において、前記二枚の透視枠体の閉じ角を5度〜15度の範囲となるように枠にストッパを突設したことを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の発明にあっては、上記各発明において、前記載置枠体の通気口に内部が透視可能な通気網を張設したことを特徴とする。
【0016】
請求項10に記載の発明にあっては、上記各発明において、構成する全ての水平方向の面を全て斜め内向き下がりの傾斜に形成し、付着した水滴が全て落下可能とし、いずれの箇所においても水溜りの発生が防止されるようにしたことを特徴とする。
【0017】
請求項11に記載の発明にあっては、上記各発明において、前記二枚の透視枠体の枠に設けたボス孔とボスの嵌合で透視板を透視枠体へ着脱可能としたことを特徴とする。
【0018】
請求項11に記載の発明にあっては、上記各発明において、前記透視枠体と透視板とを透明又は半透明の樹脂で一体形成したことを特徴とする。
【0019】
請求項12に記載の発明にあっては、上記各発明において、前記載置枠体を樹脂製とし、該載置枠体を各コーナ部で分割可能とするとともに、各分割部に設けたボス孔とボスの嵌合及びボスへの固定金具の装着により各分割枠を一体的に固定可能としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明のおでん保温販売容器用開閉蓋は上記の如き構成であり、おでん保温販売容器に安定載置される前記載置枠体は、通気口を備えた側枠によって、おでん独特の臭いの湯気が盛んに放出されて、臭覚を刺激し、且つこの側枠部分を透視して容器中のおでんの具が見えるので視覚的にも食欲を刺激することが可能となる。
さらに、ヒンジを介して2枚が開閉可能な前記開閉蓋の透視枠体には、曇り防止機能を備えた透視板をそれぞれ張設されているので、湯気による結露水の曇り防止が可能となり、曇ることなく常に中のおでんの具が良く見えるので閉めた前記開閉蓋の透視枠体の外からも視覚的に食欲を刺激し、これらの食欲刺激によって購買意欲をかきたてて販売量の向上が実現可能となる。
また、前記載置枠体の対向した側枠の上部には内側に開放された溝状の水平なガイドレールを該側枠の両端部まで形成してあり、このガイドレールに前記開閉蓋が二枚山形に折重ねて直立させた前記透視枠体を前記載置枠体内で水平方向に回転させることで前記載置枠体の両側のガイドレールに各ガイドローラを着脱可能となるので、前記載置枠体から前記開閉蓋を取り外せば容易に洗い残しなく全体を洗浄できるので大変衛生的である。
また、前記開閉蓋の前記ヒンジ部分に枠の上げ下ろしの簡単な操作で開閉蓋の開閉が可能となりレジなどで忙しい店員にとっておでんの取り出し販売を容易とする利点がある。
【0021】
請求項2に記載の発明にあっては、前記透視板の内面に曇り防止機能を有する樹脂膜を被覆したことで曇りが防止されて中のおでんが良く見えるようになる。
【0022】
請求項3に記載の発明にあっては、前記透視板の内面に曇り防止機能を有する塗布剤を塗布したことで曇りが防止されて中のおでんが良く見えるようになる。たとえ汚れの拭き取りで曇り防止機能が低下したとしても、塗布剤を塗布するだけなので機能の再生作業が容易となる。
【0023】
請求項4に記載の発明にあっては、前記開閉蓋のヒンジが、摩擦抵抗を有して透視枠体を開閉可能としたので、該開閉蓋の二枚の透視枠体を山形に折畳んだときヒンジの摩擦抵抗によって載置枠体上で該山形状態を維持させることが可能となる。この結果、開けた蓋を手で押さえなくても閉まらずに開いた状態を維持でき、その状態で店員が自由に両手を使って中のおでんを取り出すことが可能となる。
【0024】
請求項5に記載の発明にあっては、前記載置枠体のガイドレールの両端部及び中間部にそれぞれガイドローラの凹又は凸状の係止段差を設けたので、途中まで開いた開閉蓋は前記ガイドローラがその段差で停止することで、重力で再度ヒンジ部が下がってしまうのを防止し、開き途中の開閉蓋をその途中又は端部に係止された状態で開閉が止め置かれ、手放しで半開のまま又は全開の状態のままに維持することが可能となる。
【0025】
請求項6に記載の発明にあっては、前記開閉蓋の一対の透視枠体のヒンジによる折り畳み接続部設けた操作片に対して一方側へ力を加えると前記載置枠体上の前記透視枠体を前記載置枠体の一方側に偏って移動でき、該操作片に対して上方へ力を加えると前記透視枠体を簡単に閉じることが可能となる。
【0026】
請求項7に記載の発明にあっては、前記開閉蓋の透視枠体の開閉外側の各枠の上側に係止フックを設けるとともに前記載置枠体の上部に前記係止フックと対応させてフック係止部を設けることで、前記開閉蓋の両透視枠体を載置枠体の一方側へ寄せて二枚山形に折重ねたときに、自動的に前記フック係止部へ前記開閉蓋の係止フックを係止することが可能となり、前記開閉蓋を立てた状態で前記載置枠体の一方側に寄せて固定することができるため、身体や衣類の一部が触れて不意に前記開閉蓋が移動したり閉じたりすることなく安心しておでんの取り出し販売ができるようになる。
【0027】
請求項8に記載の発明にあっては、前記二枚の透視枠体の閉じ角を5度〜15度の範囲となるように枠にストッパを突設し、二枚山形にヒンジで折重ねた透視枠体同士が密着しないようにしたことで、両透視枠体のガイドローラ間に常に少しの隙間が維持され、前記開閉蓋が常に一定の底辺を持つ2等辺三角形のように安定的に直立させておくこが可能となる。
また、折重ねて直立させた前記開閉蓋を閉じるときに、下に押された透視枠体の下部が両側へ離れ易くなり、直立させた開閉蓋が閉じ易くなる。
【0028】
請求項9に記載の発明にあっては、前記載置枠体の通気口に内部が透視可能な通気網を張設することで、内部のおでんが外から透視可能となり、視覚的に食欲を刺激し、購買意欲をかきたてて販売量の向上が実現可能となり、また、蝿などの虫の侵入を防止できるので衛生的となる。
【0029】
請求項10に記載の発明にあっては、構成する全ての水平方向の面を全て斜め内向き下がりの傾斜に形成することによって、付着した水滴が全ておでん保温販売容器内に落下して行き、いずれの箇所においても水溜りの発生が防止されるので汚れや細菌の繁殖の原因となる水溜りの発生が防止され衛生的となる。
【0030】
請求項11に記載の発明にあっては、前記二枚の透視枠体の枠に設けたボス孔とボスの嵌合で透視板を透視枠体へ着脱可能となり、曇り防止機能の寿命の短い透視板を枠体の交換が容易となる。即ち透視板を月に用意しておけば、その透視板のみの交換で長期間透視機能を維持させた開閉蓋の使用が可能となる。
【0031】
請求項12に記載の発明にあっては、透視枠体と透視板とを透明又は半透明の樹脂で一体形成することで、両者は左右対象な形のものでは一つの金型で両方同時に製造することができコストダウンが可能となる。
【0032】
請求項13に記載の発明にあっては、前記載置枠体を樹脂製とし、該載置枠体を各コーナ部で分割可能とするとともに、各分割部に設けたボス孔とボスの嵌合及びボスへの固定金具の装着により各分割枠を一体的に固定するこが可能となり、2つの少ない金型でも前記載置枠体の側枠全体を容易に製造するこが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】開閉蓋を一方寄り半開での使用状態を示す斜視図である。
【図2】開閉蓋を載置枠体から外した状態を示す斜視図である。
【図3】開閉蓋の一方寄りに全開状態を示す側面図である。
【図4】開閉蓋の他方寄りに全開状態を示す側面図である。
【図5】開閉蓋の一方寄りに半開状態を示す側面図である。
【図6】開閉蓋の全閉状態を示す側面図である。
【図7】載置枠体の中央部での開閉蓋の全開状態を示す側面図である。
【図8】(イ)が透視枠体の要部の断面斜視図、(ロ)が透視枠体の要部の縦断側面図である。
【図9】(イ)が載置枠体の側枠の固定部の底面図、(ロ)が載置枠体の側枠を分離したときの(イ)の側枠の固定部の底面図、(ハ)が載置枠体の側枠の固定部の底面側を上にした(イ)のA−A船縦断側面図、(二)が載置枠体の側枠を分離したときの(ハ)の側枠の固定部の底面側を上にした縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明はおでん保温販売容器の上に載せて使用する専用の開閉蓋であり、図1及び図2に示すように、箱型矩形の仕切り板28で各種の具を区分け可能にしたおでん保温販売容器1の上部の開口部1a、1b、1c、1dの上に上下連結可能な箱型の載置枠体2の部分と、該載置枠体2の上部に装着して二枚折畳み式に開閉する開閉蓋3の部分とで構成する。
【0035】
前記載置枠体2は、図2に示すように、左右前後の四方の側枠2a、2b、2c、2dで内部の空間を囲うように形成し、その上部と下部は開放する。
そして、前記各側枠2a、2b、2c、2dの内側下部には、前記おでん保温販売容器1の開口部1a、1b、1c、1d上に安定的に載置可能となるように台部25を形成し、該台部24の内側部分には嵌合可能に下方に突設した連結部23を形成する。
【0036】
また、前記載置枠体2の枠高は、串を刺したおでんの販売形態では、前記おでん保温販売容器1の開口部上に串が突出することがあるので、その串の突出可能な高さよりも高い枠高とすることが好ましい。また、おでんに串を刺さずに販売する形態では、串の突出がないので枠高を低くしても良いが、汁の液面に接するまで低い枠高とすると汁の飛沫が蓋に付着したすくなるので、おでん汁の上に空間があったほうが好ましく、また枠高が高く空間に余裕かあった方がおでんの出し入れた入れ替えなどの扱いが容易となるので好ましい。
【0037】
また前記載置枠体2の側枠2a、2b、2c、2dの枠面には汁の湯気を排出するための通気網14を張った通気口13を設ける。
通気網14は、湯気を排出するときに目詰まりを起こさない大きさのメッシュとし、且つ内部が透視できる細い線で編んだ網が好ましい。
通気口13の大きさは、側枠2a、2b、2c、2dの枠面の全面を長方形に開口した大きな通気口13を複数設け、さらにその側枠の中間部位に強度を高めるためにリブ24を設けた態様を示しているが、図示よりさらに細かく区切ったり、それぞれをさらに大きく形成しても良い。
【0038】
また前記載置枠体2の側枠の上部には、対向した側枠2a、2bに内側に開放された上部ガイドレール7a、8aと下部ガイドレール7b、8bとで溝状とした水平なガイドレール7、8を該側枠2a、2bの両端部まで平行に形成する。
そして、前記下部ガイドレール7b、8bの両端部には端部ローラ係止段差26を形成し、また前記下部ガイドレール7b、8bの中間部には中間部ローラ係止段差27を形成する。
前記係止段差26、27は、前記開閉蓋3のガイドローラ9a、10aがその段差で停止し、途中で開閉蓋の開閉を止めて置ける程度の深さ又は高さの凹又は凸状の段差とする。
【0039】
次に前記開閉蓋3については、各4本の外周枠4a、4b、4c、4d、5a、5b、5c、5dで形成された一対の矩形の透視枠体4、5をヒンジ6を介して開閉可能とし、該透視枠体4、5のサイズは水平に開いたときに前記載置枠体2の上部の開口部開口部1a、1b、1c、1dのサイズと略同サイズとし前記載置枠体2の側枠の上部の開口部が隙間なく閉鎖可能な大きさとする。
そして該各透視枠体4、5には、図8の(イ)、(ロ)に示すように、既知の曇り防止機能を備えた透明又は半透明な透視板11、12を張設する。
【0040】
本発明では、前記開閉蓋3を構成する透視枠体4、5及び透視板11、12については、それぞれ別部品で前記開閉蓋3を組み立てた態様と、各透視枠体4、5と各透視板11、12の二枚をそれぞれ透明又は半透明の樹脂材を用いて金型内で一体形成した態様とが可能である。その際、両者は左右対象な形のものが使用できるので、一つの金型で両方同時に製造することが可能となる。
【0041】
前記透視板の曇り防止機能は、曇り防止機能を有する樹脂膜11aを透視板の内面に被覆して得られる。この樹脂膜11aは使用期間が長いと曇り防止機能が低下する場合があるが、その際には剥がして張り直すこともできる。
【0042】
また、前記透視板の曇り防止機能は、曇り防止機能を有する塗布剤を透視板の内面に刷毛等で塗布(図省略)して得られる。この塗布剤は、表面の汚れの拭き取りなどで塗布部の塗布剤が減少すると、曇り防止機能が低下することがあるが、その場合、再度塗布剤を塗布するだけで機能の再生が容易に可能となる。
この塗布剤としては、例えば、粘性多糖類の粉末と、タンパクと有機酸と、多価金属イオンを含むミネラル塩との混合物を水で希釈した特許第4469819号の「曇り止め剤」を使用することが可能であり、これを透明又は半透明なガラスや樹脂製の前記透視板の表面に塗布すると湯気の水滴が付着して曇ったガラスの曇りが消えて、中のおでんが明瞭に見えるようになる。
【0043】
また、前記透視枠体4、5の開閉外側の外周枠4b、5bの両端部には該外周枠4b、5bの長手方向に突設した枢支軸9b、10bを設けて、該枢支軸9b、10bに前記前記載置枠体2の上部ガイドレール7a、8aと下部ガイドレール7b、8bとの間に納まる小さいガイドローラ9a、10aを装着する。
【0044】
そして、前記載置枠体2に前記開閉蓋3を取り付けるには、前記載置枠体2に対して閉じた前記開閉蓋3を、図7に示すように、直立させて上から斜めに差し込み、前記載置枠体2のガイドレール7、8に前記開閉蓋3のガイドローラ9a、10aを合わせ、前記開閉蓋3の外周枠4b、5bを指で押さえて閉じて水平方向に回転させ、前記ガイドレール7、8に対して前記開閉蓋3を直角にすれば、前記ガイドレール7、8に前記開閉蓋3のガイドローラ9a、10aが嵌って上下方向には外れないように取り付けられる。
また、逆に前記開閉蓋3を折り畳んで閉じて直立させ、外周枠4b、5bを指で押さえて閉じてそのまま水平方向に回転させれば、前記ガイドレール7、8からガイドローラ9a、10aを簡単に離脱させることができる。
【0045】
そして、前記載置枠体2に取り付けた前記開閉蓋3を開閉は、前記開閉蓋3を前記ヒンジ6部分の上げ下ろしをして行う。即ち、前記開閉蓋3は前記ヒンジ6部分を上げると開き、下げると閉じる。
【0046】
さらに、前記ヒンジ6にはこの開閉に対する若干の摩擦抵抗を備えることが好ましい。具体的には、前記ヒンジ6の枢支軸6aは締め付けた状態で差し込まれ、その摩擦抵抗に抗してヒンジ6の開閉が行えるようにする。
これにより、図5に示すように、前記ガイドレール7、8にガイドされたガイドローラ9a、10aが二枚の透視枠体4、5が畳まれたときに、ヒンジ6の摩擦抵抗でその角度が維持され、前記載置枠体2上にそのままの状態を維持させることが可能となる。
【0047】
また、前記開閉蓋3の開閉操作は、前記ヒンジ6で連結された部分の外周枠4a、5aの中央に、枢支部15aを介して直立させた傾倒可能な操作片15で行うことができる。その場合、該操作片15に一方側へ引っ張るように力を加えると前記二枚の透視枠体4、5を一方に移動し、その際に下に押すように押圧すると前記ヒンジ6が開いて広がり蓋が閉じ、上に引っ張るように押圧すると前記ヒンジ6が閉じて蓋が広がる。
この操作片15は、図6に示すように、前記開閉蓋3を閉じたとき透視枠体4、5の外周枠4a、5aに当たり前記ヒンジ6が全開できなくなるのを避けるため操作片15の肉厚よりも深い溝状の操作片受け溝16、17を設ける。
【0048】
また、前記透視枠体4、5の下側の前記外周枠4b、5bには係止フック18,19を前記ヒンジ6を開いたときに上向き(前記ヒンジ6を閉じたときには外向き)状態に設ける。
そして、前記透視枠体4、5と対応する載置枠体2の上部にフック係止部20、21を設ける。
前記係止フック18,19の位置は、図3及び図4に示すように、前記透視枠体4、5を折り畳んで直立させていずれか一方に寄せたとき、前記載置枠体2のフック係止部20、21に係止可能となる位置に設ける。
【0049】
また、図7に示すように、二枚の透視枠体4、5の折り畳み閉じ角を5度〜30度の範囲になるストッパ29を設けることが可能である。
このストッパ29は対向して間隔を変えるガイドローラ9a、10a間に常に少しの隙間を形成するものであり、この隙間により前記開閉蓋を閉じようとして、前記透視枠体4、5が折り畳んで直立された状態にあるとき、前記操作片15を下に押すように押圧したときに外側に力のベクトルを発生させて前記ヒンジ6が開き易くなり、開閉蓋3の閉作業を円滑に行うことが可能となる。
【0050】
また、前記台部25などの構成する全ての水平方向の上面は、全て斜め内向き下がりの傾斜に形成することが好ましい。
これは付着した水滴が全て重力で斜面を落下して一切の部分に水溜りが発生しないようにし、いずれの箇所においても汚れや細菌の繁殖の原因となる水溜りの発生を防止し衛生的に管理できるようにするものである。
【0051】
また、図8の(イ)、(ロ)に示すように、周囲に設けたボス孔31とボス30の嵌合して押え枠32で固定透視板11,12を透視枠体4、5へ抑え枠32の対向面に設けた嵌合固定部33を嵌めて着脱可能とすることができる。
曇り防止機能を備えた樹脂膜11aは既存のものは使用寿命が短く、透視板を別に用意しておけば、その透視板を枠体に交換することで長期間透視機能を維持させた開閉蓋の使用が可能となる。
【0052】
さらに、前記載置枠体2を樹脂製とした場合、図9の(イ)、(ロ)、(ハ)、(二)に示すように、側枠はコーナ部分で分割して分離された各端部に枠体一体固定部22を設ける。そしてその枠体一体固定部22にはボス孔22aとボス22bを設け、該ボス孔22aとボス22bを嵌合をした上ピン状固定金具22cを装着して各分割された側枠を一体的に固定することが可能となる。そして2つの少ない金型で前記載置枠体の側枠全体を製造可能となるので製造コストの削減に役立つ。
【産業上の利用可能性】
【0053】
おでん保温販売容用の開閉蓋とする以外にも各種の湿気のこもりやすい商品を扱う各種の陳列販売用容器においても、中の商品は常に鮮明に見ることが可能なので、そのような陳列販売用容器の蓋として使用することも可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 おでん保温販売容器
1a、1b、1c、1d 開口部
2 載置枠体
2a、2b、2c、2d 側枠
3 開閉蓋
4 透視枠体
4a、4b、4c、4d 外周枠
5 透視枠体
5a、5b、5c、5d 外周枠
6 ヒンジ
6a 枢支軸
7 ガイドレール
7a 上部ガイドレール
7b 下部ガイドレール
8 ガイドレール
8a 上部ガイドレール
8b 下部ガイドレール
9 ガイドローラ
10 ガイドローラ
11 透視板
11a 曇り防止膜
12 透視板
13 通気口
14 通気網
15 操作片
16 操作片受け溝
17 操作片受け溝
18 係止フック
19 係止フック
20 フック係止部
21 フック係止部
22 枠体一体固定部
22a ボス
22b ボス孔
22c ボス押さえ金具
23 連結部
24 リブ
25 台部
26 端部ローラ係止段差
27 中間部ローラ係止段差
28 仕切り板
29 閉ストッパ
30 ボス
31 ボス孔
32 押え枠
33 嵌合固定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
おでん保温販売容器の開口部に載置可能に四方を側枠で囲うとともに上部と下部を開放した載置枠体と、該載置枠体に着脱可能で該載置枠体の上部を閉め切り可能な二枚折畳み式の開閉蓋とから成り、
前記載置枠体は、前記おでん保温販売容器内に入れたおでんの串の突出可能な高さよりも高い枠高を有する側枠に通気口を備えるとともに該側枠の底部には前記おでん保温販売容器の開口部に安定載置可能な連結部を備え、且つ対向した側枠の上部には内側に開放された溝状の水平なガイドレールを該側枠の両端部まで形成し、
前記開閉蓋は、水平に開いたときに前記載置枠体上部の開口部のサイズと略同サイズとなる一対の透視枠体にヒンジを介して開閉可能とし、該透視枠体に曇り防止機能を備えた透明又は半透明な透視板をそれぞれ張設し、且つ該透視枠体の開閉外側の各枠の両端部に該枠の長手方向に枢支軸を突設して各枢支軸に前記載置枠体のガイドレールに納まる径のガイドローラを枢支して成り、
二枚山形に折重ねて直立させた前記開閉蓋を前記載置枠体内で水平方向に回転させることで前記載置枠体の両側のガイドレールに各ガイドローラを着脱可能とし、且つ前記開閉蓋の前記ヒンジ部分に枠の上げ下ろしで開閉蓋の開閉を可能としたことを特徴とするおでん保温販売容器用開閉蓋。
【請求項2】
透視板が、曇り防止機能を有する樹脂膜を被覆したものであることを特徴とする請求項1に記載のおでん保温販売容器用開閉蓋。
【請求項3】
透視板が、曇り防止機能を有する塗布剤を塗布したものであることを特徴とする請求項1に記載のおでん保温販売容器用開閉蓋。
【請求項4】
開閉蓋のヒンジが、摩擦抵抗を有して透視枠体を開閉可能とし、該開閉蓋の二枚の透視枠体を山形に折畳んだときヒンジの摩擦抵抗によって載置枠体上で該山形状態を維持可能としたことを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項に記載のおでん保温販売容器用開閉蓋。
【請求項5】
載置枠体のガイドレールの両端部及び中間部にそれぞれガイドローラの凹又は凸状の係止段差を設けたことを特徴とする請求項1から4のうちいずれか1項に記載のおでん保温販売容器用開閉蓋。
【請求項6】
開閉蓋の一対の透視枠体のヒンジによる折り畳み接続部に、ヒンジと同方向に回動可能に操作片を装着し、該操作片に対して一方側へ力を加えると前記載置枠体上の前記透視枠体を前記載置枠体の一方側に偏って移動し、該操作片に対して上方へ力を加えると前記透視枠体が閉じられるようにしたことを特徴とする請求項1から5のうちいずれか1項に記載のおでん保温販売容器用開閉蓋。
【請求項7】
開閉蓋の透視枠体の開閉外側の各枠の上側に係止フックを設けるとともに、載置枠体の上部に前記係止フックと対応させてフック係止部を設け、開閉蓋を載置枠体の一方側へ寄せて二枚山形に折重ねたときに自動的にフック係止部へ係止フックが係止可能としたことを可能としたことを特徴とする請求項1から6のうちいずれか1項に記載のおでん保温販売容器用開閉蓋。
【請求項8】
二枚の透視枠体の閉じ角を5度〜15度の範囲となるように枠にストッパを突設したことを特徴とする請求項1から7のうちいずれか1項に記載のおでん保温販売容器用開閉蓋。
【請求項9】
載置枠体の通気口に内部が透視可能な通気網を張設したことを特徴とする請求項1から8のうちいずれか1項に記載のおでん保温販売容器用開閉蓋。
【請求項10】
構成する全ての水平方向の面を全て斜め内向き下がりの傾斜に形成し、付着した水滴が全て落下可能とし、いずれの箇所においても水溜りの発生が防止されるようにしたことを特徴とする請求項1から9のうちいずれか1項に記載のおでん保温販売容器用開閉蓋。
【請求項11】
二枚の透視枠体の枠に設けたボス孔とボスの嵌合で透視板を透視枠体へ着脱可能としたことを特徴とする請求項1から10のうちいずれか1項に記載のおでん保温販売容器用開閉蓋。
【請求項12】
透視枠体と透視板とを透明又は半透明の樹脂で一体形成したことを特徴とする請求項1から10のうちいずれか1項に記載のおでん保温販売容器用開閉蓋。
【請求項13】
載置枠体を樹脂製とし、該載置枠体を各コーナ部で分割可能とするとともに、各分割部に設けたボス孔とボスの嵌合及びボスへの固定金具の装着により各分割枠を一体的に固定可能としたことを特徴とする請求項1から12のうちいずれか1項に記載のおでん保温販売容器用開閉蓋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−68410(P2011−68410A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−165479(P2010−165479)
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【出願人】(509242381)
【Fターム(参考)】