説明

おむつ

【課題】 排泄物を拭き取る介護者の不快な作業、更にはこれに伴う労力や時間を不要又は軽減するとともに、この際に使用するペーパーや水等の無駄を排除又は低減する。
【解決手段】 使用者Hの少なくとも尻部Hhに着脱するおむつ本体部2及びこのおむつ本体部2の内面2iに重ねて使用するインナシート部3とを備えるおむつを構成するに際して、少なくとも一部に弾性素材を含ませることにより前後方向に伸縮可能にした左シート部3pと右シート部3qを有し、かつ左シート部3pと右シート部3q間に、前後方向のスリット部Sを設けるとともに、左シート部3pと右シート部3qにおける少なくとも前端辺部と後端辺部を、それぞれおむつ本体部2の内面2iに取付けたインナシート部3を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、おむつ本体の内側に重ねて使用する特に介護用の使い捨て紙おむつ等に用いて好適なおむつに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使用者(被介護者)の介護等に用いる使い捨ての紙おむつとしては、特許文献1に開示されるテープ式紙おむつ、及び特許文献2で開示されるテープ型おむつなどが知られている。
【0003】
同文献1に開示されるテープ式紙おむつは、少なくとも、表面側に配置されるトップシートと、裏面側に配置されるバックシートと、各シート間に介在された吸収体とによりおむつ本体が構成され、該おむつ本体の背部側の両サイドパネル部にファスニングテープを有してなる使い捨てのテープ式紙おむつであって、サイドパネル部の幅方向を伸縮部と非伸縮部とに区画された2区画以上の領域により構成したものであり、このテープ式紙おむつによれば、サイドパネル部を綺麗に折り畳めるようにして介護者等がおむつ交換等の作業を容易に行うことができる。また、同文献2に開示されるテープ型おむつは、吸収体と、吸収体の表面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシートとを備えるとともに、前身頃、股下部及び後身頃の各部から構成されており、後身頃の左右の各側縁から延出するように配置され、前身頃と後身頃とを固定するための止着テープを備え、さらに、吸収体の裏面側の最外シートであるバックシートと吸収体との間のおむつ幅方向中心領域に蒿高部材が配置されたものであり、このテープ型おむつによれば、介護者がおむつの中心線を認識して的確な位置に装着できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−287871号公報
【特許文献2】特開2008−086660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述したテープ式紙おむつ及びテープ型おむつをはじめ、従来におけるこの種のおむつは、次のような問題点があった。
【0006】
第一に、使用者の排泄物が使用者自身の身体にも大量に付着してしまうため、介護者はおむつを交換する際に、身体に付着した排泄物を拭き取る作業が必要となり、介護者にとってはできるだけ避けたい不快な作業を強いられ、この作業に伴う介護者の労力や時間の浪費を招くとともに、排泄物の付着に伴う使用者における肉体的及び精神的な不快感も無視できない。
【0007】
第二に、使用者の身体に付着した排泄物を拭き取る際にはペーパーやタオル等を必要とするため、この際に使用するペーパー或いはタオルを濯ぐ水等の無駄な消費を招く。特に、このような作業は毎日繰り返し行われることから、ペーパーや水等の頻繁な消費は資源の節減、更には経済性の面からも不利になる。
【0008】
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決したおむつの提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るおむつ1は、上述した課題を解決するため、使用者Hの少なくとも尻部Hhに着脱するおむつ本体部2及びこのおむつ本体部2の内面2iに重ねて使用するインナシート部とを備えるおむつを構成するに際して、少なくとも一部に弾性素材を含ませることにより前後方向に伸縮可能にした左シート部3pと右シート部3qを有し、かつ左シート部3pと右シート部3q間に、前後方向のスリット部Sを設けるとともに、左シート部3pと右シート部3qにおける少なくとも前端辺部と後端辺部を、それぞれおむつ本体部2の内面2iに取付けたインナシート部3を備えることを特徴とする。
【0010】
この場合、発明の好適な態様により、インナシート部3における左シート部3pと右シート部3qは、スリット部Sの両側に位置する各内端辺部3pi,3qiにゴム素材を含ませることによりそれぞれ弾性伸縮部11p,11qとして形成するとともに、この弾性伸縮部11p,11q以外の部位をそれぞれギャザー部12p,12qとして形成することができる。また、インナシート部3は、おむつ本体部2の内面2iに対して、後付け可能又は固着可能に構成することができる。他方、インナシート部3における左シート部3pと右シート部3qには、左右方向に引張ることによりスリット部Sの隙間Gsを広げることができる引張用バンド13p,13qの一端をそれぞれ固着してもよい。なお、インナシート部3は、全体を紙素材Pにより形成することが望ましい。
【発明の効果】
【0011】
このような構成を有する本発明に係るおむつ1によれば、次のような顕著な効果を奏する。
【0012】
(1) 少なくとも一部に弾性素材を含ませることにより前後方向に伸縮可能にした左シート部3pと右シート部3qを有し、かつ左シート部3pと右シート部3q間に、前後方向のスリット部Sを設けるとともに、左シート部3pと右シート部3qにおける少なくとも前端辺部と後端辺部を、それぞれおむつ本体部2の内面2iに取付けてなるインナシート部3を備えるため、排泄物Eが使用者H自身の身体に大量に付着してしまう不具合を解消又は大幅に低減できる。したがって、介護者にとってのできるだけ避けたい不快な作業、更にはこれに伴う介護者の労力や時間を不要又は大幅に軽減できるとともに、排泄物Eの付着に伴う使用者における肉体的及び精神的な不快感を排除できる。
【0013】
(2) インナシート部3により、使用者H自身の身体に付着した排泄物Eを排除又は大幅に低減できるため、排泄物Eを拭き取る際に使用するペーパーやタオル等を濯ぐ水等を不要又は大幅に低減できる。したがって、ペーパーや水等の資源節減を図れるとともに、経済性を高めることができる。
【0014】
(3) 好適な態様により、左シート部3pと右シート部3qを形成するに際し、スリット部Sの両側に位置する各内端辺部3pi,3qiにゴム素材を含ませることによりそれぞれ弾性伸縮部11p,11qとして形成するとともに、この弾性伸縮部11p,11q以外の部位をそれぞれギャザー部12p,12qとして形成すれば、目的とするインナシート部3を最適な形態により実施できるとともに、容易かつ低コストに実施できる。
【0015】
(4) 好適な態様により、インナシート部3を、おむつ本体部2の内面2iに対して後付け可能に構成すれば、既存のおむつ(おむつ本体部)をそのまま利用できるとともに、固着可能に構成すれば、インナシート部3とおむつ本体部2を一体化した商品として完成できるなど、様々な態様により実施できる。
【0016】
(5) 好適な態様により、インナシート部3における左シート部3pと右シート部3qに、左右方向に引張ることによりスリット部Sの隙間Gsを広げることができる引張用バンド13p,13qの一端をそれぞれ固着すれば、装着時には、スリット部Sの隙間Gsを任意の広さに設定できるため、使用者H又は使用状態に対応して最適な広さの隙間Gsを設けることができるとともに、予め、スリット部Sの隙間Gsをゼロ又はより狭くできるため、使用後などは、スリット部Sからの後戻りを防止することができる。
【0017】
(6) 好適な態様により、インナシート部3の全体を紙素材Pにより形成すれば、おむつ本体部2と一緒に、使い捨て処分、さらには焼却処分等することができるとともに、おむつ本体部2の素材と同一化できるため、使用時の違和感等を回避して快適な使用感を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の好適実施形態に係るおむつの使用前の平面図、
【図2】同おむつの中央位置における側面断面図、
【図3】同おむつの使用時における平面図、
【図4】同おむつのインナシート部における左シート部の平面図、
【図5】同おむつの使用説明図、
【図6】本発明の変更実施形態に係るおむつの使用前の平面図、
【図7】同おむつのインナシート部の作用説明図、
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0020】
まず、本実施形態に係るおむつ1の構成について、図1〜図3を参照して具体的に説明する。
【0021】
図1は、おむつ1を示し、大別しておむつ本体部2とインナシート部3により構成する。この場合、おむつ本体部2は、市販されている一般的な介護用(大人用)の使い捨て紙おむつと同形態により実施可能であり、基本的には、市販されている一般的な介護用(大人用)の使い捨て紙おむつをそのまま利用できる。
【0022】
おむつ本体部2は、図1に示すように、使用者(被介護者)の身体の前側(腹側)を覆う広幅となる前身頃部31と、身体の股下を覆う狭幅となる股下部32と、身体の後側(背中側)を覆う広幅となる後身頃部33を備え、主たる素材として紙製の不織布等を用いて全体が構成される。この場合、股下部32の左右両側には、ゴム等を含めて構成した漏れ防止用の弾性伸縮部を有するとともに、股下部32の内側には図に現れない吸収体を有する。また、後身頃部33の左右両端には、この後身頃部33の両端を前身頃部31の両端にそれぞれ固定するための計四個所に配した接着テープ等を用いた止着テープ34…を有し、この止着テープ34…は剥離紙により覆われている。
【0023】
一方、インナシート部3は、図1及び図2に示すように、おむつ本体部2の内面2iに固着して用いるものであり、柔軟な紙素材Pを用いて形成する。したがって、おむつ本体部2の主たる素材と同じ紙製の不織布を用いて全体を形成できる。このように、インナシート部3を柔軟な紙素材Pにより形成すれば、おむつ本体部2と一緒に、使い捨て処分、さらには焼却処分等することができるとともに、おむつ本体部2の素材と同一化できるため、使用時の違和感等を回避して快適な使用感を確保できる。
【0024】
インナシート部3は、少なくとも一部に弾性素材を含ませることにより前後方向に伸縮可能にした左シート部3pと右シート部3qを有し、かつ左シート部3pと右シート部3q間に、前後方向のスリット部Sを設けて構成する。この場合、一方の左シート部3pは、図3に示すように、全体を縦長の長方形状に形成し、一方の長辺である内端辺部3piは、ゴム素材を含ませることにより弾性伸縮部11pとして形成するとともに、この弾性伸縮部11p以外の部位はそれぞれギャザー部12pとして形成する。これにより、図3に仮想線で示す左シート部3pのように、矢印Fs方向に伸長(又は短縮)させることができる。このように、スリット部Sの両側に位置する各内端辺部3pi,3qiにゴム素材を含ませることによりそれぞれ弾性伸縮部11p,11qとして形成するとともに、この弾性伸縮部11p,11q以外の部位をそれぞれギャザー部12p,12qとして形成すれば、目的とするインナシート部3を最適な形態により実施できるとともに、容易かつ低コストに実施できる。
【0025】
また、左シート部3pの長手方向における両端辺、即ち、前端辺部には固着部21pfを一体に設けるとともに、後端辺部には固着部21prを一体に設ける。この固着部21pfと21prは、前述した止着テープ34と同一の接着テープ等により構成してもよいし、製造工程において、接着剤等により、おむつ本体部2の内面2iに固着するための接着剤塗布面等により構成してもよい。止着テープ34と同一の接着テープ等により構成すれば、インナシート部3を、おむつ本体部2の内面2iに対して後付け可能になり、既存のおむつ(おむつ本体部)をそのまま利用できるとともに、接着剤等により固着可能な接着剤塗布面等により構成すれば、インナシート部3とおむつ本体部2を一体化した商品として完成できるなど、様々な態様により実施できる。
【0026】
他方、右シート部3qも上述した左シート部3pと同様に製作できる。したがって、同一の左シート部3p…を二つ用意し、一方を左シート部3pとして使用し、他方を左右反転させて右シート部3qとして使用すればよい。なお、右シート部3qにおいて、3qiは内端辺部、11qは弾性伸縮部、12qはギャザー部、21qfは前端辺部に設けた固着部、21qrは後端辺部に設けた固着部をそれぞれ示す。
【0027】
そして、右シート部3qと左シート部3pは、図1に示すように、おむつ本体部2の内面2iであって、股下部32の部位に、左右に並べて取付ける。この場合、おむつ本体部2の内面2iに、固着部21pf,21qfと21pr,21qrを固着する。この際、左シート部3pと右シート部3q間に、前後方向のスリット部Sが形成され、かつこのスリット部Sにより数〔cm〕前後の隙間Gsが形成されるように固着位置を選定することが望ましい。このため、固着部21pf,21qf,21pr,21qrの形状や位置等は、当該隙間Gsが形成されるように予め選定し、固着部21pf,21qf,21pr,21qrを位置決めに用いることが望ましい。具体的には、インナシート部3を使用者Hの尻部Hhに装着した際に、使用者Hの肛門部がスリット部Sに位置し、排泄物Eが通過可能であって、かつ通過した排泄物Eが後戻りしにくい大きさを選定する。また、図2に示すように、固着部21pf…と21pr…間におけるおむつ本体部部2は、インナシート部3に対して、相対的に弛む(撓む)ように固着することが望ましい。
【0028】
なお、例示のインナシート部3は、別体に構成した左シート部3pと右シート部3qを組み合わせて用いる場合を示したが、左シート部3pと右シート部3qを一体形成したインナシート部3を用いてもよい。この場合、例えば、一方側の固着部21pfと21qfを連続した一体のシート状に形成するとともに、他方側の固着部21prと21qrを連続した一体のシート状に形成することができる。また、固着部21pf,21pr,21qf,21qrも、左シート部3pと右シート部3qに対して一体形成してもよい。
【0029】
次に、本実施形態に係るおむつ1の使用方法及び機能について、図4及び図5を参照して説明する。
【0030】
まず、おむつ1を用意し、図5(a)に示すように、通常の使用方法に従って使用者(被介護者)Hが横たわる布団やベッド等の上面所定位置に広げて敷く。そして、おむつ1の上に使用者Hを寝かせ、当該使用者Hに対しておむつ1を装着する。おむつ1の装着に際しては、最初に、前身頃部31を使用者Hの股下Hfd(図4)を通して腹部側に至らせる。この後、背中側に位置する後身頃部33の左右一方における止着テープ34,34から剥離紙を離脱し、図4に示すように、腹部に載せた前身頃部31の一側に貼付けるとともに、左右他方における止着テープ34,34から剥離紙を離脱し、同様に、腹部に載せた前身頃部31の他側に貼付ける。これにより、前身頃部31に後身頃部33を固定(結合)することができる。以上により、使用者Hに対するおむつ1の装着が終了する。このように、おむつ1の装着は、一般に市販されている介護用(大人用)の使い捨て紙おむつの装着と同様に行うことができる。おむつ1を使用者Hに装着した状態を、図4及び図5(b)に示す。
【0031】
おむつ1の装着により、おむつ1の股下部32は、使用者Hの股下Hfd(図4)に位置し、特に、おむつ1の内側に設けたインナシート部3は、使用者Hの尻部Hhに当接する。この際、インナシート部3の中央、即ち、左シート部3pと右シート部3q間にはスリット部Sを有するため、スリット部Sは、図5(b)に示すように、尻部Hhにおける肛門部の直下に位置するとともに、このスリット部Sの両側に位置する左シート部3pと右シート部3qの弾性伸縮部11p,11qは、その弾性により尻部Hhにおける肛門部の両側に当接する。なお、左シート部3pと右シート部3qのほとんどは、ギャザー部12p,12qにより形成されるため、尻部Hhに対する肌触りは良好となる。
【0032】
一方、使用者Hが排便を行った場合を想定する。図5(c)は、このときの状態を示している。この場合、使用者Hからの排泄物Eは、スリット部Sを通り、おむつ本体部2の股下部32上に至る。即ち、おむつ本体部2の股下部32は、インナシート部3に対して適度な弛みを持たせているとともに、インナシート部3の左シート部3pと右シート部3qは、使用者Hの尻部Hhに密着した状態にあるため、排泄物Eは、インナシート部3と股下部32間の空間に進入し、当該空間に蓄積されるとともに、当該空間内の排泄物Eは、インナシート部3により遮蔽されるため、使用者Hの尻部Hhに対する付着は効果的に防止される。
【0033】
このように、本実施形態に係るおむつ1によれば、少なくとも一部に弾性素材を含ませることにより前後方向に伸縮可能にした左シート部3pと右シート部3qを有し、かつ左シート部3pと右シート部3q間に、前後方向のスリット部Sを設けるとともに、左シート部3pと右シート部3qにおける少なくとも前端辺部と後端辺部を、それぞれおむつ本体部2の内面2iに取付けてなるインナシート部3を備えるため、排泄物Eが使用者H自身の身体に大量に付着してしまう不具合を解消又は大幅に低減できる。したがって、介護者にとってのできるだけ避けたい不快な作業、更にはこれに伴う介護者の労力や時間を不要又は大幅に軽減できるとともに、排泄物Eの付着に伴う使用者における肉体的及び精神的な不快感を排除できる。また、インナシート部3により、使用者H自身の身体に付着した排泄物Eを排除又は大幅に低減できるため、排泄物Eを拭き取る際に使用するペーパーやタオル等を濯ぐ水等を不要又は大幅に低減できる。したがって、ペーパーや水等の資源節減を図れるとともに、経済性を高めることができる。
【0034】
次に、本発明の変更実施形態に係るおむつ1について、図6(及び図7)を参照して説明する。
【0035】
変更実施形態に係るおむつ1は、図6に示すように、図1に示したおしめ1に対して、さらに、二本の引張用バンド13p,13qを追加したものである。即ち、図7に示すように、一方の引張用バンド13pの一端13psを、左シート部3pの裏側中間位置に固着するとともに、他方の引張用バンド13qの一端13qsを、右シート部3qの裏側中間位置に固着した。また、各引張用バンド13p,13qの他端(先端)側には、前述した接着テープ等を用いた止着テープ34…と同一の止着テープ41p,41qをそれぞれ設けた。
【0036】
これにより、おしめ1を使用者Hの尻部Hhに装着した後、各引張用バンド13p,13qを左右方向の両側(矢印Fp,Fq方向)に引張ることにより、スリット部Sの隙間Gsを広げることができるため、最適な広さの隙間Gsを設定したなら、各引張用バンド13p,13qの先端、即ち、止着テープ41p,41qをおしめ本体2の外面における任意の位置に固定すればよい。
【0037】
このように、変更実施形態に係るおむつ1を用いれば、使用者H又は使用状態に対応して最適な広さの隙間Gsを設けることができるとともに、予め、スリット部Sの隙間Gsをゼロ又はより狭くできるため、使用後などは、スリット部Sからの後戻りを防止することができる。図6(図7)は、スリット部Sの隙間Gsをゼロにした場合を示している。なお、図6及び図7において、図1と同一部分には同一符号を付してその構成を明確にするとともに、その詳細な説明は省略する。
【0038】
以上、好適実施形態(変更実施形態)について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。例えば、インナシート部3として、紙素材(不織布)Pを例示したが生分解性素材や合成樹脂素材等の他の素材を排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明に係るおむつ1は、介護用(大人用)の使い捨て紙おむつに利用して好適であるが、その他、健康な大人や幼児、更には各種動物等にも同様に利用することができる。
【符号の説明】
【0040】
1:おむつ,2:おむつ本体部,2i:おむつ本体部の内面,3:インナシート部,3p:左シート部,3q:右シート部,3pi:内端辺部,3qi:内端辺部,11p:弾性伸縮部,11q:弾性伸縮部,12p:ギャザー部,12q:ギャザー部,13p:引張用バンド,13q:引張用バンド,H:使用者,Hh:尻部,S:スリット部,Gs:隙間,P:紙素材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の少なくとも尻部に着脱するおむつ本体部及びこのおむつ本体部の内面に重ねて使用するインナシート部とを備えるおむつであって、少なくとも一部に弾性材を含ませることにより前後方向に伸縮可能にした左シート部と右シート部を有し、かつ前記左シート部と前記右シート部間に、前後方向のスリット部を設けるとともに、前記左シート部と前記右シート部における少なくとも前端辺部と後端辺部を、それぞれ前記おむつ本体部の内面に取付けたインナシート部を備えることを特徴とするおむつ。
【請求項2】
前記インナシート部における左シート部と右シート部は、前記スリット部の両側に位置する各内端辺部にゴム素材を含ませることによりそれぞれ弾性伸縮部として形成するとともに、この弾性伸縮部以外の部位をそれぞれギャザー部として形成することを特徴とする請求項1記載のおむつ。
【請求項3】
前記インナシート部は、前記おむつ本体部の内面に対して、後付け可能又は固着可能に構成することを特徴とする請求項1又は2記載のおむつ。
【請求項4】
前記インナシート部における左シート部と右シート部には、左右方向に引張ることにより前記スリット部の隙間を広げることができる引張用バンドの一端をそれぞれ固着してなることを特徴とする請求項1,2又は3記載のおむつ。
【請求項5】
前記インナシート部は、全体を紙素材により形成することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のおむつ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−34923(P2012−34923A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179173(P2010−179173)
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【出願人】(502136252)
【Fターム(参考)】