説明

およびその取付け方法

【課題】 扉の厚みに関係なく装着でき、扉への浸水を防止するライン把手およびその取付け方法を提供する。
【解決手段】 指をかける把手本体と、扉の背面に固定される後壁固定部と、取り付けられる扉の上端面よりも奥行きの短い上端取付け部と、を備え、水の流入を防止する防水手段を備えたことを特徴とするライン把手およびその取付け方法を提供する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はキャビネットなどの開口部に開閉、引き出しを行うために取り付けられる扉のライン把手およびその取付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、システムキッチンなどのキャビネットに設けられた扉において、その上端部にライン把手と呼ばれるライン状の把手を設けることが行われている。(例えば、特許文献1)
このライン把手において、従来、扉の上部を覆う形で装着されていたものを、扉の木口と当接する部分を短くすることで、様々な厚みの扉に取付けられるものが提案されている。
【0003】
【特許文献1】特許第3732483号(11頁、第4図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
システムキッチンなどではキャビネットの扉前面に水がかかり、付着することは日常的に起こりうる事態である。当然、キャビネットの扉前面は化粧板などで構成され、防水処理が施されているのが通常である。
しかしながら、上記のようなライン把手の取付構造では、ライン把手と扉上端部の間に毛細管現象により水が浸入し、キャビネット内部へ水分が浸入してしまうという問題があった。さらに、上記のようなライン把手は、使用者が濡れた手で操作することが容易に想像されるため、一般の扉と比較しても防水処理の必要性は高い。また、扉前面は防水処理を施されているものの、ライン把手によって被覆される上端部分から裏面は防水処理を施されていない場合も多く、吸水によって扉上部が膨らんでしまい、扉が正常に閉まらなくなるなどの問題も発生する。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するために考案されたものであり、様々な厚みの扉に取り付けることが可能でありながら、扉上部における水分の侵入を防ぐライン把手を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記のような課題を解決するための請求項1記載の発明によれば、指をかける把手本体と、扉の背面に固定される後壁固定部と、取り付けられる扉の上端面よりも奥行きの短い上端取付け部と、を備え、水の流入を防止する防水手段を備えたことを特徴とするライン把手が提供される。
これによれば、扉の厚みに関係なく装着できながら、ライン把手や扉の前面に飛散した水滴が浸水することを防止することができる。
【0007】
また、請求項2記載の発明によれば、前記上端取付部には凹部が形成され、前記凹部に防水手段が配置されていることを特徴とする請求項1に記載のライン把手が提供される。
これによれば、上端取付け部に凹部を設けることによって、効率的に防水手段を配置することが可能となる。
【0008】
また、請求項3記載の発明によれば、前記凹部と前記後壁固定部が段差なく形成されていることを特徴とする請求項2に記載のライン把手が提供される。
これによれば、前記奥部から前記後壁固定部が段差なく形成されていることによって、パッキンなどの防水手段が前方へはみ出ることを防止できる。
【0009】
また、請求項4記載の発明によれば、前記上端取付部が前記後壁固定部に対して、水平方向より下方に傾斜してなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のライン把手が提供される。
これによれば、ライン把手自身が扉に装着した状態で前方へ傾斜することとなり、より効率的に浸水を防止できる。
【0010】
また、請求項5記載の発明によれば、前記防水手段は弾性部材からなるパッキンであることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載のライン把手が提供される。
これによれば、特殊な材料や構造を用いることなく、浸水を防止することができる。
【0011】
また、請求項6記載の発明によれば、指をかける把手本体と、扉の背面に固定される後壁固定部と、取り付けられる扉の上端面よりも奥行きの短い上端取付け部と、を備え、前記上端部に凹部を備えたことを特徴とするライン把手が提供される。
これによれば、防水手段を設けやすいライン把手を提供することができる。
【0012】
また、請求項7記載の発明によれば、ライン把手を扉に取り付けるライン把手の取付け構造であって、前記ライン把手は、指をかける把手本体と、扉の背面に固定される後壁固定部と、扉の上端面に取り付けられる上端取付部と、を備え、前記上端取付け部は、前記扉の上端面の奥行きよりも短く、前記上端取付け部と前記扉の上端面との間に、水の流入を防止する防水手段とを備えたことを特徴とするライン把手の取付け構造が提供される。
これによれば、ライン把手と扉の間に防水手段を備えることにより、扉の厚みに関係なく装着できながら、ライン把手や扉の前面に飛散した水滴が浸水することを防止することができる。
【0013】
また、請求項8記載の発明によれば、前記防水手段は、前記上端取付け部と前記扉の上端面との間に介在することを特徴とする請求項7に記載のライン把手の取付け構造が提供される。
これにより、扉自身の重量を利用してより効率的に浸水を防止することが可能となる。
【0014】
また、請求項9記載の発明によれば、前記上端取付部には凹部が形成され、前記凹部と前記扉の上端面との間に防水手段が配置されていることを特徴とする請求項8に記載のライン把手の取付け構造が提供される。
これによれば、上端取付け部に凹部を設けることによって、効率的に防水手段を配置することが可能となる。
【0015】
また、請求項10記載の発明によれば、前記防水手段は弾性部材からなるパッキンであることを特徴とする請求項7乃至9の何れか一項に記載のライン把手の取付け構造が提供される。
これによれば、特殊な材料や構造を用いることなく、浸水を防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、様々な厚みの扉に取り付けることが可能でありながら、扉上部における水分の侵入を防ぐライン把手およびその取付け方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第一の実施例における扉2に取り付けられたライン把手1を示す斜視図
【図2】本発明の第一の実施例におけるライン把手1を示す側面図
【図3】本発明の第一の実施例における扉2に取り付けられたライン把手1を示す側面図
【図4】本発明の第一の実施例におけるライン把手1の上端取付部5付近の拡大図
【図5】本発明の第二の実施例における扉2に取り付けられたライン把手1を示す側面図
【図6】本発明の第三の実施例における扉2に取り付けられたライン把手1を示す側面図
【図7】本発明の第四の実施例における扉2に取り付けられたライン把手1を示す側面図
【図8】本発明の第五の実施例における扉2に取り付けられたライン把手1を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
図1は本発明の第一の実施例におけるライン把手1を扉2に取り付けた状態を示す斜視図である。
【0019】
ライン把手1は側面視F形状となっており、上部はその把手本体3となっている。この扉本体3は使用者が実際に手を触れて、力をかける場所である。手をかけやすいように、前方から前壁が垂下している。また、手を触れた際に手触りがよいように、内面は円弧状となっている。
【0020】
扉上端面4と接触する上端取付部5の幅は、扉上端面4の幅の半分程度となっている。これにより、扉上端面4の手前側角部はライン把手1により被覆されることがない。扉の厚みに関係なく取り付けることが可能なため、一種類のライン把手1で複数の扉に対応することが可能となる。
また、ライン把手1はアルミなどの金属材によって構成されており、従来は扉上端面4の手前側角部に手などをぶつけ、怪我をする問題があったが、このような構成にすることで、アルミなどの金属材に直接手をぶつける危険性を低下させることが出来る。
さらに、扉前面上部に、ライン把手1が露出することがないために、扉前面の意匠性を保つことが可能となる。
【0021】
上端取付部5の一部にはパッキン嵌合溝6が設けられている。このパッキン嵌合溝6は後壁固定部8と段差なく形成されており、扉上端面4の後方角部と当接しない形状となっている。
これにより、上端取付部5の前端が扉上端面4と確実に当接触することが可能となり、水分の侵入を防ぐことが可能となっている。
【0022】
このパッキン嵌合溝6にパッキン7を取付け、扉上端面4と接触させることで、ライン把手1と扉2の間が水密に接合され、キャビネット内部への水分の侵入をさらに確実に防ぐことが可能となる。なお、図3においてパッキン7は図示していないが、扉上端面4とパッキン嵌合溝6の間に存在する空間に変形して密着している状態となっている。
なお、パッキンは防水が可能な弾性をもつ材料であればなんでもよく、ゴム・エラストマーなどの柔軟な材質からなるものや、スポンジ状の形態を持つものなど、様々な材料を使用することが出来る。
【0023】
上端取付部5の奥からは後壁固定部8が垂下している。この後壁固定部8は扉後壁9にネジなどで固定される。このとき、下部に存在する後壁固定部8をネジ閉めすることで、図3において時計回りに回転モーメントが発生するため、ライン把手1、特に上端取付5は扉2、扉上端面4にしっかりと固定される。
【0024】
また、図4に示すように、上端取付部5は後壁固定部8に対して垂直ではなく、やや前方に傾斜する角度となっている。これにより、パッキン7が上端取付部5の前方にはみ出して、意匠性を損ねる可能性が低減できる。
【0025】
図5は本発明の第二の実施例における扉2に取り付けられたライン把手1を示す側面図である。なお、第一の実施例と同じ部材には同じ番号を付し、詳細な説明は省いた。
第二の実施例において、パッキン嵌合溝6は前端、後端ともに垂直に構成されている。そして、このパッキン嵌合溝6と扉上端面4との間で、図示していないパッキン7が圧縮変形された状態で密着している。これにより、ライン把手1前面からの水を侵入を防ぐ構造となっている。
【0026】
図6は本発明の第三の実施例における扉2に取り付けられたライン把手1を示す側面図である。
第三の実施例においては、扉上端面4の一部に、パッキン嵌合溝6が形成されている。このパッキン嵌合溝6とライン把手1の上端取付け部5との間に図示していないパッキン7が取り付けられ、圧縮変形された状態で密着し、ライン把手1の前方からの水の侵入を防いでいる。
【0027】
図7は本発明の第四の実施例における扉2に取り付けられたライン把手1を示す側面図である。
第四の実施例においては、ライン把手1の後壁固定部8の一部にパッキン嵌合溝6が形成されている。そして、このパッキン嵌合溝6と扉2の扉後壁9との間で図示していないパッキン7が圧縮変形され、密着した状態となっている。
扉2の扉上端面4が十分に防水性能を確保している場合には、第四の実施例のように、扉2の扉後壁9で水の侵入を防ぐ構造としてもよい。この場合、ライン把手2の前方にパッキン7がはみ出す恐れがなくなる。このようにパッキン7を装着する場所は扉上端面4に限らず、水の侵入を防げる場所であればどこでもよい。
【0028】
図8は本発明の第五の実施例における扉2に取り付けられたライン把手1を示す側面図である。
第五の実施例においては、扉上端面4に扉突起部10が、ライン把手1の上端取付け部5の一部にライン把手凹部11がそれぞれ形成されている。ライン把手1を扉2に取り付けた状態では、ライン凹部11の間に扉突起部10が挿入される形となり、上端取付け部5と扉突起部10の間には空隙12が形成される。この空隙12に図示していないパッキン7が配置されている。このとき、前述のようにライン把手1はその後壁固定部8が扉後壁9にネジ止め固定されるため、空隙12に配置されたパッキン7は扉突起部10とライン把手凹部11の前端によって前後方向から力が加わることとなり、圧縮変形した状態で密着されることとなる。
このように、パッキン7を圧縮する力は上下方向だけでなく、前後方向にかけてもよい。
【符号の説明】
【0029】
1……ライン把手
2……扉
3……把手本体
4……扉上端面
5……上端取付部
6……パッキン嵌合溝
7……パッキン
8……後壁固定部
9……扉後壁
10……扉突起部
11……ライン把手凹部
12……空隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指をかける把手本体と、
扉の背面に固定される後壁固定部と、
取り付けられる扉の上端面よりも奥行きの短い上端取付け部と、を備え、
水の流入を防止する防水手段を備えたことを特徴とするライン把手。
【請求項2】
前記上端取付部には凹部が形成され、
前記凹部に防水手段が配置されていることを特徴とする請求項1に記載のライン把手
【請求項3】
前記凹部と前記後壁固定部が段差なく形成されていることを特徴とする請求項2に記載のライン把手
【請求項4】
前記上端取付部が前記後壁固定部に対して、水平方向より下方に傾斜してなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のライン把手。
【請求項5】
前記防水手段は弾性部材からなるパッキンであることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載のライン把手
【請求項6】
指をかける把手本体と、
扉の背面に固定される後壁固定部と、
取り付けられる扉の上端面よりも奥行きの短い上端取付け部と、を備え、
前記上端部に凹部を備えたことを特徴とするライン把手。
【請求項7】
ライン把手を扉に取り付けるライン把手の取付け構造であって、
前記ライン把手は、指をかける把手本体と、
扉の背面に固定される後壁固定部と、
扉の上端面に取り付けられる上端取付部と、を備え、
前記上端取付け部は、前記扉の上端面の奥行きよりも短く、
前記上端取付け部と前記扉の上端面との間に、水の流入を防止する防水手段とを備えたことを特徴とするライン把手の取付け構造
【請求項8】
前記防水手段は、前記上端取付け部と前記扉の上端面との間に介在することを特徴とする請求項7に記載のライン把手の取付け構造
【請求項9】
前記上端取付部には凹部が形成され、
前記凹部と前記扉の上端面との間に防水手段が配置されていることを特徴とする請求項8に記載のライン把手の取付け構造
【請求項10】
前記防水手段は弾性部材からなるパッキンであることを特徴とする請求項7乃至9の何れか一項に記載のライン把手の取付け構造

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−167276(P2010−167276A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−295840(P2009−295840)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)