説明

がんの治療のための併用療法

本発明は、修飾eIF-4Eアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびシスプラチンを、併用して使用することにより、肺がん細胞をシスプラチンに感作させること、および肺がん腫瘍の成長を阻害することの方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、がん治療における治療効果の増強を達成するために、シスプラチンとの併用において、真核生物翻訳開始因子4E(eIF-4E)を治療上の標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)の使用に関連する。
【背景技術】
【0002】
eIF-4Eは、複数のヒトのがんにおいて上昇しており、そして疾患の進行と直接的に関連する。eIF-4E機能の上昇は、eIF-4Eを構成要素として含むeIF-4F翻訳開始複合体の集合の増強を誘発し、翻訳のためのeIF-4F活性の上昇に特別に依存するmRNAプールの発現を促進し、そしてそれは腫瘍細胞の成長、増殖、発生、生存、および血管新生を促進する。腫瘍の成長および発生におけるeIF-4Eの関与の観点において、このタンパク質は魅力的な治療標的である。
【0003】
PCT国際公開WO 2005/028628には、本明細書中で開示されるASOを含む、eIF-4Eを標的とするASOが開示され、およびin vitroおよびin vivoにおいてeIF-4Eの発現または過剰発現を調節するためのこれらのASOの使用方法が含まれる。
【0004】
Graffら(2007) J. Clin. Invest. 117:2638-48には、本明細書中で開示されるASOもまた含まれる、eIF-4Eを標的とする多数のASOに関する研究が開示される。
シスプラチン(シス-ジアミンジクロロ白金(II);シス-DDP;プラチノール-AQ)は、精巣、卵巣、膀胱、頭頸部、食道、肺、甲状腺、頸部、および子宮内膜(edometrium)のがん、並びに神経芽細胞腫および骨肉腫を治療するために使用される、白金配位錯体である(Chabnerら(2001) Goodman & Gilman 's The Pharmacological Basis of Therapeutics、Tenth Edition、Hardman、LimbirdおよびGilman編、McGraw-Hill、1385ページ、および1432-34ページ)。
【0005】
がんの治療のために、改良された治療が必要である。eIF-4Eの遺伝子およびタンパク質の発現を選択的に減少させることが示された、本明細書中で開示される化学的に修飾されたeIF-4E ASOの、シスプラチンとの併用使用は、2つの異なるヒト異種移植がんモデルにおいて、ASOまたはシスプラチン単独によって達成される腫瘍容積の減少と比較して、加算的な、または加算的より大きい腫瘍容積減少の効果を、様々にもたらす。ASOの化学修飾は、細胞内ヌクレアーゼによる分解に対する耐性を増加し、そしてeIF-4E mRNA標的との核酸二本鎖の安定性を上昇させる。ASOの高い標的選択性により、非標的が関与する、望ましくなくかつ有害な副作用は最小限になる。シスプラチンおよびASOの両方は、全身に投与され、そして体全体に分布することができる。ASOおよびシスプラチンの組み合わせは、そのため、がん細胞における高い選択性をもつ有効かつ効果的な治療的併用である。さらに、本明細書中で開示される薬物併用は、静脈内投与に付随する高いバイオアベイラビリティ、in vivoにおける良好な代謝安定性、および簡便な投薬を可能にする薬物動態学的/薬力学的特性などの、その他の非常にのぞましい薬理学的特性を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO 2005/028628
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Graffら(2007) J. Clin. Invest. 117:2638-48
【非特許文献2】Chabnerら(2001) Goodman & Gilman 's The Pharmacological Basis of Therapeutics、Tenth Edition、Hardman、LimbirdおよびGilman編、McGraw-Hill、1385ページ、および1432-34ページ
【発明の概要】
【0008】
つまり、その様々な観点の中で、本発明は以下を提供する:
シスプラチン、および薬学的に許容可能な塩の形態である修飾eIF-4Eアンチセンスオリゴヌクレオチドの、治療的に効果的な組み合わせを、その必要がある患者に投与することを含む、肺がんを治療する方法。薬学的に許容可能な塩は、ナトリウム塩であってもよい。本発明のこの観点における別の態様において、シスプラチンは、修飾eIF-4Eアンチセンスオリゴヌクレオチドの投与後に、治療に効果的である間隔内で投与される。さらなる態様において、治療的に効果的な間隔は、約4日〜約21日の範囲内である。
【0009】
薬学的に許容可能な塩の形態である修飾eIF-4Eアンチセンスオリゴヌクレオチド、および併用において肺がんの治療に効果的である量のシスプラチンを、肺がんを治療することが必要である患者に投与することを含む、肺がんを治療する方法。薬学的に許容可能な塩は、ナトリウム塩であってもよい。本発明のこの観点における別の態様において、シスプラチンは、修飾eIF-4Eアンチセンスオリゴヌクレオチドの投与後に、治療に効果的である間隔内で投与される。さらなる態様において、治療的に効果的な間隔は、約4日〜約21日の範囲内である。
【0010】
薬学的に許容可能な塩の形態である、ある量の修飾eIF-4Eアンチセンスオリゴヌクレオチド、続いてある量のシスプラチンを、肺がんを治療することが必要である患者に連続して投与することを含む、肺がんを治療する方法であって、
ここで、前記修飾eIF-4Eアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび併用される前記シスプラチンの前記量は、前記患者における前記肺がんを治療するために効果的であり、そして
ここで前記シスプラチンは、前記修飾eIF-4Eアンチセンスオリゴヌクレオチドの投与後、治療的に効果的な間隔内で投与される。薬学的に許容可能な塩は、ナトリウム塩であってもよい。本発明のこの観点における態様において、治療的に効果的な間隔は、約4日〜約21日の範囲内である。
【0011】
以下の工程:
薬学的に許容可能な塩の形態である、シスプラチン感作量の修飾eIF-4Eアンチセンスオリゴヌクレオチドを、非小細胞肺がんを治療することが必要である患者に投与する工程、次に
治療的に効果的な間隔内で効果的な量のシスプラチンを前記患者に投与する工程、
を含む、非小細胞肺がんを治療する方法であって、
ここで、前記量の合計は、前記修飾eIF-4Eアンチセンスオリゴヌクレオチド単独、および前記シスプラチン単独で投与することによって達成される、非小細胞肺がん腫瘍の容積の減少の合計と比較して、加算的な、または加算的より大きい、前記非小細胞肺がん腫瘍の容積の減少をもたらす。薬学的に許容可能な塩は、ナトリウム塩であってもよい。本発明のこの観点における態様において、治療的に効果的な間隔は、約4日〜約21日の範囲内である。
【0012】
以下の工程:
非小細胞肺がん細胞を、薬学的に許容可能な塩の形態である、修飾eIF-4Eアンチセンスオリゴヌクレオチドのシスプラチン感作量と接触させる工程、および
続いて、前記非小細胞肺がん細胞を、効果的な間隔内で、効果的な量のシスプラチンと接触させる工程、
を含む、非小細胞肺がん細胞をシスプラチンに感作させる方法。薬学的に許容可能な塩は、ナトリウム塩であってもよい。本発明のこの観点における態様において、効果的な間隔は、約4日〜約21日の範囲内である。
【0013】
非小細胞肺がん細胞を、以下:
薬学的に許容可能な塩の形態である、ある量の修飾eIF-4Eアンチセンスオリゴヌクレオチド、および
ある量のシスプラチン、
を接触させることを含む、前記非小細胞肺がん細胞の成長および増殖を阻害する方法であって、
ここで、前記修飾eIF-4Eアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび前記シスプラチンの前記量は、併用において、前記非小細胞肺がん細胞の成長または増殖を阻害するのに効果的である。薬学的に許容可能な塩は、ナトリウム塩であってもよい。本発明のこの観点における態様において、非小細胞肺がん細胞を、まず修飾eIF-4Eアンチセンスオリゴヌクレオチドと、そして続いてシスプラチンと、効果的な間隔内で接触させる。さらなる態様において、効果的な間隔は、約4日〜約21日の範囲内である。
【0014】
以下の工程:
非小細胞肺がん細胞を、薬学的に許容可能な塩の形態である修飾eIF-4Eアンチセンスオリゴヌクレオチドのシスプラチン感作量と接触させる工程、続いて
前記非小細胞肺がん細胞を、効果的な間隔内で、効果的な量のシスプラチンと接触させる工程、
を含む、非小細胞肺がん細胞の成長または増殖を阻害する方法であって、
ここで、前記量の合計は、前記修飾eIF-4Eアンチセンスオリゴヌクレオチド単独、および前記シスプラチン単独によって達成される、効果の合計と比較して、前記非小細胞肺がん細胞の成長または増殖を阻害する、加算的な、または加算的より大きい効果を生じる。薬学的に許容可能な塩は、ナトリウム塩であってもよい。本発明のこの観点における態様において、効果的な間隔は、約4日〜約21日の範囲内である。
【0015】
薬学的に許容可能な塩の形態である修飾eIF-4Eアンチセンスオリゴヌクレオチド、および併用において肺腫瘍の成長を阻害するために効果的な量のシスプラチンを、肺腫瘍成長を阻害することが必要である患者に投与する工程を含む、前記肺腫瘍の成長を阻害する方法。薬学的に許容可能な塩は、ナトリウム塩であってもよい。本発明のこの観点における態様において、シスプラチンは修飾eIF-4Eアンチセンスオリゴヌクレオチドの投与後、治療的に効果的な間隔内で投与される。さらなる態様において、治療的に効果的な間隔は、約4日〜約21日の範囲内である。
【0016】
以下の工程:
薬学的に許容可能な塩の形態である修飾eIF-4Eアンチセンスオリゴヌクレオチドのシスプラチン感作量を、非小細胞肺がん腫瘍の腫瘍容積の増加を阻害することが必要である患者に投与する工程、続いて
治療的に効果的な間隔内で、効果的な量のシスプラチンを投与する工程、
を含む、非小細胞肺がん腫瘍の腫瘍容積の増加を阻害する方法であって、
ここで、前記量の合計は、前記修飾eIF-4Eアンチセンスオリゴヌクレオチド単独、および前記シスプラチン単独で投与することによって達成される、腫瘍容積増加における減少の合計と比較して、前記非小細胞肺がん腫瘍の腫瘍容積増加を阻害する、加算的な、または加算的より大きい減少を生じる。薬学的に許容可能な塩は、ナトリウム塩であってもよい。本発明のこの観点における態様において、治療的に効果的な間隔は、約4日〜約21日の範囲内である。
【0017】
(1)薬学的に許容可能な塩の形態である修飾eIF-4Eアンチセンスオリゴヌクレオチド、および(2)シスプラチンの、治療的に効果的な組み合わせを、肺がんを治療することが必要である患者に投与することを含む、肺がんの治療において、シスプラチンの治療効果を増強する方法。薬学的に許容可能な塩は、ナトリウム塩であってもよい。本発明のこの観点における態様において、シスプラチンは修飾eIF-4Eアンチセンスオリゴヌクレオチドの投与後、治療的に効果的な間隔内で投与される。さらなる態様において、治療的に効果的な間隔は、約4日〜約21日の範囲内である。
【0018】
非小細胞肺がん患者の治療のための併用療法における使用のための、シスプラチンと組み合わせて投与される医薬の製造における、式I:
【0019】
【化1】

【0020】
の化合物、またはその他の薬学的に許容可能なその塩の使用。本発明のこの観点における態様において、式Iの化合物またはその他の薬学的に許容可能なその塩、およびシスプラチンは、治療的に効果的な間隔内で、別々に投与される。さらなる態様において、シスプラチンは、式Iの化合物またはその他の薬学的に許容可能なその塩の後に、治療的に効果的な間隔内で投与される。さらなる態様において、治療的に効果的な間隔は、約4日〜約21日の範囲内である。これらの使用のいずれかのさらなる態様において、併用療法は、非経口経路を介し、好ましくは静脈内投与を介し、より好ましくは速度の遅い注入を介する。これらの使用のいずれかのさらなる態様において、式Iの各化合物またはその他の薬学的に許容可能なその塩、およびシスプラチンは、滅菌注射用溶液の形態である。
【0021】
非小細胞肺がん治療における、同時使用または別々の使用のための、併用される製剤としての、式I:
【0022】
【化2】

【0023】
の化合物、またはその他の薬学的に許容可能なその塩、およびシスプラチンを含む製品。本発明のこの観点における態様において、式Iの化合物またはその他の薬学的に許容可能なその塩、およびシスプラチンのそれぞれは、滅菌注射用溶液の形態である。
【0024】
表1および表2は、マウスにおける、それぞれA549細胞およびH1975細胞のヒト非小細胞肺がん異種移植の平均腫瘍容積に対する、eIF-4E ASOおよびシスプラチンの併用投与の効果を示す。データは、併用治療が、どちらかの薬剤単独による治療を介して達せられる減少と比較して、腫瘍型に依存する平均腫瘍容積における、加算的な(A549異種移植)または加算的より大きい(H1975異種移植)減少をさまざまにもたらすことを示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
がんにおける併用療法
がんの化学療法における臨床プロトコールは、一般に、単一治療薬よりもむしろ複数の薬物を使用する。各薬物単独で阻害効果を示す場合、併用効果は、拮抗作用、加算性、または相乗効果であることができる。薬物の1つがそれ自身によっては効果をもたないが、その他の薬物の効果を上昇させる場合、その結果は増強作用と呼ばれる。相乗効果の予測は難しい。併用における各薬物は、それ自身の効果、すなわちそれ自身の効力、および特異的な形状の用量効果曲線を有する。これらの効果は、親和性および有効性にも関連する。フィードバック阻害、空間的、時間的、および微小環境的因子(pH、イオン強度、および温度など)などの因子は、薬物効果の生物学的複雑性(complexity and intricacy)を付加する。相乗効果の予測を複雑にするさらなる因子には、個々の薬物の吸収、透過性、輸送および代謝の、活性化および不活性化が含まれる。相乗効果が生じる可能性の仮説には、最終的には、実験的発見による確証が必要とされる(RideoutおよびChou (1991)、ChouおよびRideout編、Synergism and Antagonism in Chemotherapy、Academic Press, Inc.、New York、p6-21)。加算性の予測は同様に難しく、そして拮抗作用は、複数の薬剤を組み合わせて投与する場合は、常に可能性がある。
【0026】
Mizushimaら((1995) Anticancer Res. 15(l):37-43)は、細胞の化学感作のためにアンチセンスオリゴヌクレオチドを使用する場合、研究者は注意しなければならないことを開示する。アンチセンスオリゴヌクレオチドによる前治療は、薬物の細胞毒性を増強するよりもむしろ、時には減少させる傾向を有する可能性がある。これは、細胞毒性薬と直接的に相互作用するオリゴヌクレオチドの能力などの、多数の非特異的なオリゴヌクレオチドの効果によって引き起こされる可能性がある(Blagosklonnyら (1994) Anticancer Drugs 5(4):437-442)。
【0027】
本薬物併用の場合において、シスプラチン化合物はDNAの窒素原子、好ましくはデオキシグアニル酸のN-7原子と反応する。最も頻出する付加物はdGpdGおよびdApdGであり、シスプラチン錯体が、DNA鎖中の隣り合うデオキシグアニル酸、または隣り合うデオキシアデニル酸とデオキシグアニル酸と結合し、両方の状況において鎖内架橋を生成した結果である。白金原子は、DNAの1つの鎖内のデオキシグアニル酸のN-7、および相補鎖内のデオキシグアニル酸のN-7原子とも結合し、鎖間架橋を生成することもできる。シスプラチン以外の白金化合物によって形成されるDNA付加物は、シスプラチンによって形成されるものと類似しているようである(M. Colvin (2003) HollandFrei Cancer Medicine 6、D.W. Kufeら編、BC Decker, Inc.、Hamilton、第51章、768-9ページ)。本明細書中で開示されるeIF-4E ASOは、5’末端から読んで13〜15番目のヌクレオチドにggaヌクレオチドモチーフを含み、そしてそのため、シスプラチンおよびその他の白金含有抗腫瘍化合物とそのような付加物を形成しやすい可能性がある。
【0028】
上述のすべての因子の観点において、がん細胞におけるeIF-4E ASOのシスプラチン感作効果、およびeIF-4E ASOおよびシスプラチンの併用によって達成される、がん細胞増殖および腫瘍成長の、加算的または加算的よりも大きい阻害効果の、本発明者による証明は、新規であり、驚くほど予想外であり、そして治療に有用である。
【0029】
定義
本明細書中で使用される場合、“eIF-4Eアンチセンスオリゴヌクレオチド”または“eIF-4E ASO”という用語は、最初はWO 2005/028628に記述され、そして化学名:d(P-チオ)([2'-O-(2-メトキシエチル)]m5rU-([2'-O-(2-メトキシエチル)]rG-([2'-O-(2-メトキシエチル)]m5rU-([2'-O-(2-メトキシエチル)]m5rC-([2'-O-(2-メトキシエチル)]rA-T-A-T-T-m5C-m5C-T-G-G-A-([2'-O-(2-メトキシエチル)]m5rU-([2'-O-(2-メトキシエチル)]m5rC-([2'-O-(2-メトキシエチル)]m5rC-([2'-O-(2-メトキシエチル)]m5rU-([2'-O-(2-メトキシエチル)]m5rU)によって知られるeIF-4Eアンチセンスオリゴヌクレオチドを言い、これは薬学的に許容可能な塩、好ましくはアルカリ金属塩、より好ましくはリチウム、ナトリウム、またはカリウム塩、および最も好ましくはナトリウム塩の形態である。後者の化学構造は:
【0030】
【化3】

【0031】
である。
eIF-4E ASOは、PCT国際公開WO 2005/028628に記述される。
シスプラチン(シス-ジアミンジクロロ白金II)は、白金配位錯体のファミリーに属する抗腫瘍剤である。それは、二価無機水溶性の白金-配位錯体である。
【0032】
シスプラチンおよび関連する白金-含有抗腫瘍剤の構造は:
【0033】
【化4】

【0034】
である。
本明細書中で使用される場合、“患者”という用語は、eIF-4Eの発現または過剰発現に付随する、1つまたはそれ以上の疾患に罹患した哺乳動物を言う。最も好ましい患者はヒトである。
【0035】
“治療すること”(または“治療する”あるいは“治療”)という用語は、さまざまながんを含む、eIF-4E活性に付随する疾患の治療処置を言う。治療処置は、症候、障害、症状、または疾患の、進行または重症度を、遅らせること、妨げること、阻止すること、調節すること、停止すること、減少させること、または逆行させることに関与する過程を言うが、必ずしもすべての疾患関連症候、障害、または症状、または疾患そのものの完全な消失には関与しない。
【0036】
“阻害すること”とは、抑制すること、遅延させること、制限すること、減少させること、阻止すること、または防ぐことを意味する。
“シスプラチンに感作させる”という表現、およびeIF-4E ASOに関連する同様のものは、シスプラチンに応答するようにさせること、シスプラチンの作用に反応しやすくさせること、またはシスプラチンによって容易にまたは簡便に影響を受けるようにさせることを意味する。いくつかの場合において、これは、シスプラチンの用量または量に対して、ASOの非存在下に生じるであろうものよりも、大きい反応を引き起こすことを意味することもできる。
【0037】
“シスプラチン感作量”という用語は、がん細胞をシスプラチンに応答させるため、シスプラチンの作用に反応しやすくさせるため、または、シスプラチンによって容易にまたは簡便に影響を受けるようにさせるため、あるいは、シスプラチンの量または用量の作用に対して、eIF-4E ASOの非存在下に同量または同用量のシスプラチンに応答して生じるであろうものよりも大きい、がん細胞の応答を引き起こすために、効果的である、eIF-4E ASOの量または用量を言う。
【0038】
治療的文脈において、シスプラチン感作量を含む、治療的に効果的な量のeIF-4E ASOは、ヒトにおいて約100 mg〜約1,200 mgの範囲内である。有効性および忍容性の観点から好ましい用量は、単回用量または単回投与当たり、約1,000 mg〜約1,200 mgであり、非経口で、好ましくは静脈内に、より好ましくは1〜3時間かけて速度の遅い静脈内注入を介して、投与される。
【0039】
“有効量のシスプラチン”とは、eIF-4E ASOと組み合わせて使用される場合に、特定のがん細胞の成長阻害効果または増殖阻害効果、腫瘍成長阻害効果、腫瘍容積増加阻害効果、またはがん細胞または腫瘍におけるがん治療効果をもたらす、シスプラチンの量または用量を言う。
【0040】
シスプラチンおよびカルボプラチンは、両方ともアメリカ合衆国および国際的に承認されており、そして広く使用されている。カルボプラチンの主要な毒性は造血に関わるものであるため、その使用は、非造血毒性を避けるべきである患者において、好ましい。治療上、シスプラチン(プラチノール-AQ)は通常、20 mg/m2/日の用量で5日間、または100 mg/m2の用量で4週間ごとに1回、静脈内に投与される。40 mg/m2/日程度の高さの用量で連続5日間の投与は、単独で、または併用療法において、進行性卵巣がんの患者の治療のために使用されてきたが、より重い腎毒性、聴覚毒性、および神経毒性を結果としてもたらす。腎毒性は、シスプラチン治療の前に1〜2リットルの生理食塩水を注入することにより、患者に水分を補給することによって、防ぐことができる。次に適切な量のシスプラチンをブドウ糖および生理食塩水の溶液に希釈し、そして6〜8時間の期間をかけて静脈内に投与する(Chabnerら(2001) Goodman & Gilman 's The Pharmacological Basis of Therapeutics、Tenth Edition、Hardman、Limbird、およびGilman編、McGraw-Hill、N.Y、1433ページ)。シスプラチン(およびその他の白金抗腫瘍剤)は、単回投与としてまたは数日間毎日のどちらかで、3〜4週間で繰り返す治療単位において、静脈内投与することもできる。それは、注射としてよりむしろ、数時間をかけて点滴として投与し、そして非常に高い用量では、24時間またはそれより長い時間、点滴として投与することができる。さらなる投与計画および投与様式は、M. Colvin (2003) HollandFrei Cancer Medicine 6、D. W. Kufeら編、 BC Decker, Inc.、Hamilton、第51章、770-771ページに開示され、シスプラチンおよびカルボプラチンが、例えば、腹腔内、動脈内、肺胞内(intravesicularly)、および心膜内、など局部的にも投与されていることを開示する。シスプラチンは、その他の薬剤と組み合わせて、21日または28日の日程の1日目に75 mg/m2の用量で静脈内に投与することもできる。進行性がんの患者の治療のために、21日ごとに100 mg/m2程度の高さの用量が、単独または併用療法において、使用されている。
【0041】
一般に、本治療剤のそれぞれの最適用量は、個々の患者における活性成分の相対的効力に依存して変化することができる。開業医は、測定された体液中または組織中の活性成分の滞留時間および濃度、および/または特定のがんについての関連する疾患関連バイオマーカーのモニタリングに基づいて、用量および投与の繰り返し回数を決定することができる。
【0042】
eIF-4E ASOおよびシスプラチンの併用使用を介して達成される、本明細書中で開示される、加算的な、および加算的より大きい治療効果の観点において、シスプラチンが単独で使用された場合のものと比較して、潜在的に有効な量のシスプラチンは、本明細書中で開示される併用療法の方法において、治療に効果的であるだろうことが期待される。あらゆる個々の患者において、併用で使用される場合、eIF-4E ASOおよびシスプラチンの治療的に有効な量は、関連がんバイオマーカーに対する併用の効果をモニタリングすることにより、医療サービス提供者によって決定されることができる。肺がんの場合、関連バイオマーカーは、胸部X線、コンピュータ断層撮影(CT)、低線量らせんCT評価、核磁気共鳴画像法(MRI)、ガリウムスキャン(シンチグラフィー)、またはポジトロン断層撮影(PET)スキャンによって、評価することができる。これらの方法によって得られるデータの解析により、治療中の治療計画の修正が可能になり、その結果、併用療法においてeIF-4E ASOおよびシスプラチンの最適量が投与され、そして同様に治療の期間を決定することができる。このような方法で、投与/治療計画は、治療の経過に従って修正することができ、その結果、満足できる治療効果を示す併用で使用されるeIF-4E ASOおよびシスプラチンの最も低い量が投与され、そしてこれらの化合物の投与は、患者の治療を成功させるために必要な限られた期間のみ、継続される。
【0043】
“効果的な間隔”という用語は、がん細胞とeIF-4E ASOの接触で始まる期間であり、そして、細胞が、ASOおよびシスプラチンの併用による、細胞の成長阻害および増殖阻害効果に応答する期間である。この効果は、がん細胞または腫瘍において:(a)がん細胞のシスプラチンの効果への感作;(b)がん細胞の成長または増殖の阻害;(c)腫瘍成長の阻害;(d)腫瘍容積の増加の阻害;または(d)治療上、増強されるがん治療効果、によって明らかにすることができる。本明細書中で開示される、非小細胞肺がん腫瘍異種移植の場合、効果的な間隔は、初めは8日間である。
【0044】
本明細書中で開示される治療的に効果的なeIF-4E ASO/シスプラチン併用療法は、eIF-4E ASOおよびシスプラチンの別々の投与によって達成することができる。ASOを初めに投与し、続いて治療的に効果的な間隔内で、シスプラチンを投与することができる。別々に投与される場合、eIF-4E ASOおよびシスプラチンは、2つの投与間の時間が治療的に効果的な間隔内に入る範囲で、異なる日程で患者に導入することができる。“治療的に効果的な間隔”とは、患者へのeIF-4E ASOの投与後の期間であり、それは腫瘍が、ASOおよびシスプラチンの併用による、有益な抗腫瘍治療効果に応答する期間である。例えば、患者の治療の開始における治療的に効果的な最初の間隔は、eIF-4E ASOの3回の負荷用量の投与を含む、シスプラチン前治療期間を含むことができる、すなわち、第一週は1日当たり1回、1〜3時間、3日連続でeIF-4E ASOを注入し、次にさらなる2週間、少なくとも週1回、維持用量のASOを投与する。この様式でeIF-4E ASOの投与の21日後、次にシスプラチンを投与することができる。つまり、治療的に効果的な最初の間隔は、eIF-4E ASOの治療開始から21日であることがき、それは、第一週の間の3回の負荷用量、その後、2回の週1回の維持用量を含む。この投与計画は、腫瘍細胞を、シスプラチンによってもたらされる抗増殖作用(insult)に感作させる。21日目にeIF-4E ASOとともにシスプラチンを投与する場合、患者に、初めにeIF-4E ASOを1〜3時間かけて静脈内投与し、続いて、eIF-4E ASO注入の終了後、30〜60分以内にシスプラチンを投与する。シスプラチンは、従来から、1時間の静脈内注入を介して投与される。最初の21日の治療の後、この投与計画は、治療の経過にわたって21日毎に繰り返すことができ、さらなる維持用量を使用するが、さらなる負荷用量は使用しない。つまり、最初の21日の治療的に効果的な間隔の後、続く治療的に効果的な間隔は、同じ日のeIF-4E ASO/シスプラチン併用の投与後、21日であることができる。本明細書中で開示される、併用治療の方法において効果的なeIF-4E ASOおよびシスプラチンの量の場合のように、eIF-4E ASOおよびシスプラチンによる治療を受けているあらゆる個々の患者のための、治療的に効果的な間隔は、そのがんに適切であるバイオマーカーをモニタリングすることによって決定することができる。上述の通り、非小細胞肺がんのモニタリングに有用である、様々な異なるバイオマーカーが、この目的において使用可能である。治療的に効果的な最初の間隔、および治療的に効果的なそれに続く間隔の両方に関連して、上記で議論された21日の間隔は、典型的な開始工程を示し、それは柔軟性があり、そして修正の対象となることは、注意されるべきである。これらの間隔は、さらに最適化することができ、そしてより短く、またはより長くすることができ、その効果は、上述のように関連バイオマーカーの使用を介してモニタリングすることができる。
【0045】
別の態様において、eIF-4E ASOおよびシスプラチンを用いる治療は、eIF-4E ASOの3回の負荷用量の投与を含む、シスプラチン前治療期間を含むことができる、すなわち、第一週は1日当たり1回、1〜3時間、3日連続でeIF-4E ASOを注入し、次に、第二週は上述のようにeIF-4E ASOおよびシスプラチンの両方を投与する。つまり、この場合の治療的に効果的な間隔は、約4〜7日である。これに続いて、次の連続する2週間のそれぞれの間は、eIF-4E ASOのみを投与し、続いてその次の週に、ASOおよびシスプラチンを再び投与することができる。つまり、治療が続く限り、eIF-4E ASOおよびシスプラチンの両方を投与する第二週の治療の後、毎週のeIF-4E ASOの投与と組み合わせて、シスプラチンは約21日ごとに投与することができる。
【0046】
このように、シスプラチンをeIF-4E ASOの投与後に投与することができる、様々な間隔を含む上述の異なる投与計画の観点において、特定の態様において、治療的に効果的な間隔には、eIF-4E ASO単独投与後、約4日〜約21日、約4日〜約7日、約14日、および約21日が含まれる。in vivoにおける本方法において、eIF-4E ASOおよびシスプラチンが使用される場合、効果的な間隔は、eIF-4E ASO単独投与後、約4日〜約21日、約4日〜約7日、約14日、および約21日であってもよい。
【0047】
eIF-4E ASOは、薬学的に許容可能な塩、好ましくはアルカリ金属塩、より好ましくはリチウム、ナトリウム、またはカリウム塩、最も好ましくはナトリウム塩の形態において、使用される。このような塩、およびそれらを調製するための一般的な方法論は、当技術分野においてよく知られている。例えば、P. Stahlら、(2002) Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties, Selection and Use、VCHA/Wiley-VCH;Bergeら(1977) "Pharmaceutical Salts," Journal of Pharmaceutical Sciences 66 (1):1 - 19を参照のこと。シスプラチンは塩ではない三水和物である。
【0048】
本発明の化合物は、様々な経路によって投与される、ヒトまたは獣医学における薬剤として使用することができる。最も好ましくは、前記組成物は、非経口投与、特に速度の遅い注入による静脈内投与用である。速度の遅い静脈内注入による、これらの化合物の溶液、特に、滅菌注射用非発熱性溶液の投与が、最も好ましい。前記医薬組成物は、当技術分野においてよく知られる方法によって調製することができ(Remington:The Science and Practice of Pharmacy, 19th ed. (1995)、A. Gennaroら、Mack Publishing Co.参照)、そして、本発明の化合物、および薬学的に許容可能な担体、希釈剤、または賦形剤を含むことができる。
【実施例】
【0049】
以下の限定的ではない実施例は、本発明を説明する。
実施例1
eIF-4E ASOおよびシスプラチンの併用使用による肺腫瘍容積の減少
eIF-4E ASOがシスプラチンの活性を補足または増強するかを決定するため、ヒト異種移植がんモデルにおける腫瘍容積に対する、eIF-4E ASOおよびシスプラチンの併用使用の効果を以下のように研究する。
【0050】
異種移植研究は、Graffら、(2005) Cancer Res. 65:7462-7469に記述されるように、実行される。非小細胞肺がんを示す、500万個のヒトがん細胞(細胞株A549;ATCC、アクセッション番号CCL-185;細胞株NCI-H1975;ATCC、アクセッション番号CRL-5908)を、1:1の無血清成長培地およびマトリゲル(Becton Dickinson、Bedford、MA、カタログ# 354234)の混合液中、6〜8週齢の無胸腺ヌードマウス(Harlan、Indianapolis、IN)の側腹部に皮下注射する。触知可能な腫瘍について毎日マウスをモニタリングする。
【0051】
腫瘍容積が約50〜100 mm3に達する場合、マウスを治療群に無作為抽出する(Graffら(2007) J. Clin. Invest. 117:2638-48)。腫瘍を計測するたびに体重をモニタリングする。
【0052】
治療において、すべてのマウスに、生理食塩水中eIF-4E ASO、総容量200μlを静脈内注射する。ASOは核酸配列5'-TGTCATATTCCTGGATCCTT-3'(SEQ ID NO: 1)からなり、各ヌクレオシド間結合はホスホロチオエート結合であり、5’末端から3’末端に1〜5番目および16〜20番目のヌクレオチドのそれぞれは、2'-O-(2-メトキシエチル)糖を含み、6〜15番目のヌクレオチドは2’-デオキシヌヌクレオチドであり、各シトシン残基は5-メチルシトシンであり、そして、それはナトリウム塩の形態である。マウスに、まず初回負荷用量50 mg/kgのASOを3日間連続で、続いてその後50 mg/kgを週3回、注射する。
【0053】
シスプラチン投与は、eIF-4Eタンパク質発現が減少する時間を考慮に入れ、初めのASO投与の8日後に始める。マウスに、生理食塩水中に希釈された注入濃縮液由来のシスプラチン(Teva Parenteral Medicines, Inc.;0703-5748-11)を、2または5 mg/kg、200μlの容量で、週1回、65日間、腹腔内投与(IP)する。1 mLの注入濃縮液(1mg/mL)には、1mgのシスプラチン、9mgの塩化ナトリウム、pH3.2〜4.4にする塩酸および/または水酸化ナトリウム、および注射用水が含まれる。
【0054】
ビヒクルのみの群は、生理食塩水を投与する。
すべての動物作業は、Institutional Animal Care and Use Committeeの承認のもと、AALAC認定施設内で行われる。
【0055】
腫瘍容積は、キャリパーを用いて最大(L)および最小(W)直径を測定して計算する。式は:容積=L×W2×0.534である。腫瘍容積データを対数尺度に変換し、時間および治療群にわたる分散を均一にする。対数の容積データを、空間指数共分散構造(spatial power covariance structure)を使用するSAS PROC MIXEDソフトウェア(SAS Institute Inc、Cary、N.C.)を使用して、時間および治療による二元反復測定分散分析を用いて分析する。各時点および全体において、治療群を対照群と比較する。各治療群について時間に対する平均および標準誤差としてデータをプロットすることができる。加算性は2つの方法:(1)反復測定分析における、ASOおよびシスプラチンの間の全体の相互作用効果として、および(2)研究の最終日においてBliss Independence法を使用すること(C.I. Bliss (1939) Ann. Appl. Biol. 26:585-615)、において評価される。これらの2つの方法は、同じ結果を生じる。
【0056】
結果は以下の表1〜表4に示される。
【0057】
【表1】

【0058】
【表2】

【0059】
表1および表2は、以下:(1)ASOと5 mg/kgにおけるシスプラチンの併用は、43日目の後、ビヒクル対照と比較してA549異種移植における腫瘍成長を有意に阻害すること、および(2)この併用は、加算的よりも統計的に有意に大きくはない、加算的より大きい観測された効果を有すること、を示す。
【0060】
【表3】

【0061】
【表4】

【0062】
表3および表4は、以下:(1)ASOと5 mg/kgにおけるシスプラチンの併用は、19日目の後、ビヒクル対照と比較してH1975異種移植における腫瘍成長を有意に阻害すること、および(2)この併用は33日目の後、統計的に有意である、加算的より大きい効果を有すること、を示す。
【0063】
両方の場合において、eIF-4E ASOの治療は、腫瘍細胞を、シスプラチンの細胞成長および増殖阻害活性に対して感作させる。それぞれの場合において、併用療法群の腫瘍容積は、シスプラチン治療群のものより小さい。これらの結果は、ASOおよびシスプラチンをこれらの肺がん異種移植モデルにおいて併用使用する場合、それぞれの薬物単独と比較して、少なくとも加算的な効果を証明する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シスプラチン、および薬学的に許容可能な塩の形態である修飾eIF-4Eアンチセンスオリゴヌクレオチドの、治療的に効果的な組み合わせを、肺がんを治療することが必要である患者に投与することを含む、肺がんを治療する方法。
【請求項2】
前記シスプラチンが、前記修飾eIF-4Eアンチセンスオリゴヌクレオチドの投与後、治療的に効果的な間隔内で投与される、請求項1の方法。
【請求項3】
前記治療的に効果的な間隔が、約4日〜約21日の範囲内である、請求項2の方法。
【請求項4】
薬学的に許容可能な塩の形態である修飾eIF-4Eアンチセンスオリゴヌクレオチド、および肺がんの治療に併用において効果的である量のシスプラチンを、肺がんを治療することが必要である患者に投与することを含む、前記肺がんを治療する方法。
【請求項5】
前記シスプラチンが、前記修飾eIF-4Eアンチセンスオリゴヌクレオチドの投与後、治療的に効果的な間隔内で投与される、請求項4の方法。
【請求項6】
前記治療的に効果的な間隔が、約4日〜約21日の範囲内である、請求項5の方法。
【請求項7】
薬学的な塩の形態であるヌクレオチド配列からなるある量の修飾eIF-4Eアンチセンスオリゴヌクレオチド、続いてある量のシスプラチンを、肺がんを治療することが必要である患者に連続的に投与することを含む、肺がんを治療する方法であって、
ここで、前記修飾eIF-4Eアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび前記シスプラチンの併用における前記量は、前記患者の前記肺がんの治療において効果的であり、そして
ここで、前記シスプラチンは、前記修飾eIF-4Eアンチセンスオリゴヌクレオチドの投与後、治療的に効果的な間隔内で、投与される、
前記肺がんを治療する方法。
【請求項8】
前記治療的に効果的な間隔が、約4日〜約21日の範囲内である、請求項7の方法。
【請求項9】
医薬がシスプラチンと組み合わせて投与される、患者において非小細胞肺がんを治療するための併用療法における使用のための前記医薬の製造における、式I:
【化1】

の化合物、またはその他の薬学的に許容可能なその塩の使用。
【請求項10】
前記式Iの化合物、またはその他の薬学的に許容可能なその塩、および前記シスプラチンが、治療的に効果的な間隔内で別々に投与される、請求項9に従う使用。
【請求項11】
前記シスプラチンが、前記式Iの化合物、またはその他の薬学的に許容可能なその塩の後に、治療的に効果的な間隔内で投与される、請求項10に従う使用。
【請求項12】
前記治療的に効果的な間隔が、約4日〜約21日の範囲内である、請求項11に従う使用。
【請求項13】
前記併用療法が非経口経路を介する、請求項9〜請求項12のいずれか1つに従う使用。
【請求項14】
前記非経口経路が、静脈内投与を介する、請求項13に従う使用。
【請求項15】
前記静脈内投与が、速度の遅い注入を介する、請求項14に従う使用。
【請求項16】
前記式Iの化合物、またはその他の薬学的に許容可能なその塩のそれぞれ、および、前記シスプラチンが、滅菌注射用溶液の形態である、請求項9〜請求項15のいずれか1つに従う使用。
【請求項17】
非小細胞肺がん治療における、同時使用または別々の使用のための、併用される製剤としての、式I:
【化2】

の化合物、またはその他の薬学的に許容可能なその塩、および、シスプラチンを含む、産物。
【請求項18】
前記式Iの化合物またはその他の薬学的に許容可能なその塩、および前記シスプラチンが、滅菌注射用溶液の形態である、請求項17に従う産物。

【公表番号】特表2012−509331(P2012−509331A)
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−537540(P2011−537540)
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【国際出願番号】PCT/US2009/064666
【国際公開番号】WO2010/059575
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(595104323)アイシス ファーマシューティカルズ, インコーポレーテッド (53)
【Fターム(参考)】