説明

きのこ栽培方法

【課題】東北の大自然の生命力そのままの自然環境のもと安心安全なきのこ生産のための栽培法を提供する。
【解決手段】ハナビラ茸栽培用カラマツ原木を15〜20cm間隔に切断、通し穴3を加工した後煮沸し、ハナビラ茸種菌を原木上面1に散布する一方、カラマツ原木を煮沸後の残渣液的抽出液をカラマツ以外の原木の煮沸用に使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、きのこ原木栽培に関する
【背景技術】
【0002】
きのこ栽培は原木を用いる原木栽培と、オガ粉などに栄養源を添加してなる培地を用いる菌床栽培のいずれかによって行われている。
【0003】
従来のきのこ生産者は、カラマツ原木煮沸抽出液を阻害物質とか残渣液として廃棄していたのである。この発明はカラマツ原木煮沸抽出液を利用して各種きのこ栽培に応用したものである。有用抽出液として、きのこ栽培に活用するものとして特許文献1があるが、この特許文献1からマツ水抽出物は、カラマツ材の鋸屑を水で抽出し濾過した水抽出液を減圧濃縮し、更にこれを乾燥して粉末にしたものであるためカラマツ水抽出物の製造には多大な労力と経費がかかる。これに比べて本発明のカラマツ原木煮沸抽出液の生産コストは極めて低い。
【特許文献1】 特公平7−24503
【0004】
オガ培地栽培と一線を画したカラマツ原木栽培始め、各種原木栽培茸について述べる。
オガ培地による栽培のきのこは、オガクズに栄養体ミネラル他を添加して限界に挑戦するが如く、大自然そのままの成育に抗した狂信的な究極の増量化栽培期間短縮化めざしていて不自然極まりない栽培法で継続されているものが多い。
【0005】
前記に対して、オガ原木栽培のハナビラ茸の場合はカラマツ原木に含有されているアラビノガラクタンとその他の成分が作用して、成長力を発揮するが栄養休などの注入は一切ない。
大自然そのまま育んだ自然の中でのDNAを秘し分析上のデーターでは表示出来なくても茸の心は東北の大自然の厳しさとやさしさの生命力あふれる原木きのこである。
【0006】
次に原木培地オガ培地の比較は表1で述べる。すべての点で原木培地が優れていることがわかる。
【0007】
【表1】

【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
きのこ栽培者は、きのこ栽培用原木、オガクズの前処理という過程で、カラマツ原木抽出液を廃棄して、その見返り的に高価な栄養源を与え、その為に菌糸が資化するのに長期間必要なきのこ栽培を続けているのが現状である。本発明は過大な機械設備や高価な栄養源なしで又、煩雑な操作技術や高価な栽培技術はなくても栽培成功出来る。カラマツの大森林に育ったハナビラタケは大自然そのままの環境で厳しさ、やさしさの生命力あふれる神秘的で美しい、いわゆる自然栽培によって食の安全、安心、風味のすぐれたきのこを提供することが第一の課題である。
【0009】
最近、食の安全安心に対する行政指導強化により、きのこ業界もこの問題に取り組んでいるが、きのこには免疫を高める色々な要素を含んでいる。その中で、ハナビラ茸は健康食品としてずば抜けた優れた食材であるのみならず、抗腫瘍剤を製造する安全安心の貴重な原材料ある。大自然環境において如何に安全で風味のすぐれた品質のハナビラ茸を安価にて提供出来るかが、この発明の第二の課題である。
【0010】
本発明は、阻害物質といわれ廃棄にしていた、カラマツ原木煮沸抽出液を利用してハナビラタケ又は各種きのこ生産に画期的効果を実現し、高価な栄養源、機械設備に高額な投資を必要としない。北東北では標高700m〜1,000mの森林で古来よりの究極の風味を守り続ける丸っきり自然な生命力あふれる大自然環境下のきのこ栽培方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、カラマツ原木丸太を15〜20cm間隔に輪切状に切断して、輪切状の原木の上面1より、下面2に通ずる穴3(径2〜3cm)を設け、上面に散布した種菌が穴3より下面に落下して下面よりも導管伝いに菌糸が上昇伸長する為のものである。
【0012】
前記原木は、煮沸用釜内に並べ注水後煮沸し、沸騰後数時間後取上げ、フイルタ付ビニール袋に詰め、更に常圧釜か高圧釜で常圧は数時間、高圧釜2時間殺菌する。植菌室にて20℃になったら種菌接種する。
【0013】
請求項2の発明は、カラマツ原木を煮沸した残渣液で、カラマツ以外の原木を前記カラマツ原木と同様に上下面に通し穴を開け、カラマツ煮沸残渣液で煮沸する。残渣液の濃度は3〜15%であり、成育上の障害はない。沸騰後数時間で前記同様の操作をする。
【0014】
更に、植菌終了した袋入培地を20℃〜23℃の培養室で約50日位を暗黒培養しハナビラ茸の場合は、培地が完熟しなくても芽が多数発生しようとするので、黒袋で覆い上部を空気孔にして、下面に1ヶ所排水孔を開け林内に並べてそこで自然産のきのこが上面に1ヶづつ咲誇る訳である。1回の発生が少ない場合2回、3回と発生するが追加培養しないものは2〜3年にまたがる場合もある。冬期間でも栽培出来るが室温で20℃〜23℃、湿度85〜95%高温障害は28℃以上で発生する。
ハナビラ茸栽培収穫は、良い地形の自然林で6月〜11月前半頃まで成長するので、冬期間に栽培完熟したものは6月早々に収穫し培養未熟な遅れている原木は自然の豊富な環境下の気温で培養されるので9月10月に収穫される。培養が進み乍ら子実体が大きくなってゆく場合もある。高温障害は28℃以上で表れるので林内でも水まき遮光と送風などで工夫せねばならない。
【0015】
ハナビラ茸を始め各種原木は、完熟するのに長期間かかるので、きのこ発生が2年、3年で終了する場合もある。
【発明の効果】
【0016】
カラマツ煮沸抽出液の主要構成成分であるアラビノガラクタンは、食品添加物として認められており、安全性が高く市販の化学合成品に比べて薬害汚染のおそれが全くない。カラマツ原木を煮沸するたびに残渣的に容易に生産するので、コスト的にも極めて安価な成長促進剤として提供出来る。資源の高価な有効利用が図られ国民経済上の見地からも有用性高いものである。
【0017】
この発明のきのこ栽培は高価な栄養源を使用したり、過大な設備投資を必要としない単調な野性的、手作り的栽培法であり東北の大自然の大気、水、土が育んだ子実体は6月〜11月迄林内で収穫できる。自然産のすぐれた風味のハナヒラ茸等が咲き誇るのである。
【発明の実施するための最良の形態】
【0018】
カラマツ原木を煮沸することは、材組織内の守りを固めている組織が長時間の煮沸で膨張と収縮の温度差で軟化し樹脂分等が溶解し単独では発揮できないアラビノガラクタン、フェノール成分等が撹拌混合することにより、革命的に作用して母体である材組織内に再進入したり接着して、接種した菌糸の伸長促進と害菌防止と子実体の増量に画期的作用を示すのである。表2はハナビラ茸、その他穴あけ原木の培養日数とカラマツ原木煮沸液使用原木培地と普通栽培原木培地を比較したものである。
【実施例】
【0019】
ハナビラ原木(穴あけあり)をカラマツ煮沸済20℃〜25℃で50日で菌糸が全表面に伸長したのに対して比較例の煮沸なし穴なし原木は95日かかったことを示している。
実施例2は、コナラ原木に穴加工したものをカラマツ煮沸液で煮沸し菌糸全面伸長まで60日であるのに対し比較例2のコナラ原木穴なし煮沸なしの場合110日
実施例3は、ブナ原木に煮沸穴あけトビタケを植菌し55日で全面菌糸伸長したのに対して比較例は穴なし煮沸なしで90日
実施例4は、カラマツ原木に穴あけ煮沸しナメコ植菌し65日で全面伸長し比較例として穴なし煮沸なしで95日であった。
【0020】
【表2】

【0021】
原木切断面上面に散布した種菌は、上面穴より落下して下面に達して導管を伝って上下両面より菌糸伸長始めるので、栽培期間短縮化出来るし害菌が追い付けないことになる。通し穴は原木の太さに比例して1ヶ〜5ヶ位でよい。
【0022】
ハナビラ茸を始め各種原木は、完熟するのに長期間かかるので、きのこ発生が2年、3年で終了する場合もある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】 本発明の斜視図Aと横断面図Bである。
【符号の説明】
【0024】
1 原木上面
2 原木下面
3 通し穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラマツ原木丸太を15〜20cm間隔に切断して、穴加工後煮沸した原木をハナビラタケ、その他の茸の培地に利用することを特徴とする茸栽培方法。
【請求項2】
カラマツ原木を煮沸して取上げ後残渣となった抽出残渣液で、カラマツ以外の樹種(針・広葉樹)の原木を15〜20cm間隔に切断し、穴加工しその原木培地を煮沸しハナビラ茸以外のきのこを栽培することを特徴とする。きのこ栽培方法。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2007−202545(P2007−202545A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−55510(P2006−55510)
【出願日】平成18年2月1日(2006.2.1)
【出願人】(506072192)
【出願人】(506071276)
【Fターム(参考)】