説明

きのこ栽培用瓶口嵌着材の嵌着装置

【課題】きのこ栽培用の瓶口嵌着材をきのこ栽培用瓶の瓶口により確実に嵌着できるきのこ栽培用瓶口嵌着材の嵌着装置を提供すること。
【解決手段】コンベア装置30と、瓶口嵌着材供給装置40とを備えるきのこ栽培用の瓶口嵌着材嵌着装置において、瓶口嵌着材供給装置40によって瓶口11に仮に嵌まった状態の瓶口嵌着材20が、浮き上がることを防止するように、上からベルト面で押さえながらきのこ栽培瓶10と共に移動されるように、平ベルト51が循環走行するように設けられた瓶口嵌着材の浮き上がり防止用のベルト装置50と、瓶口11に仮に嵌まった状態に保持された瓶口嵌着材20を、上から殴打して嵌着させる殴打装置60とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、立てた状態のきのこ栽培瓶を水平方向へ送るコンベア装置と、きのこ栽培用の瓶口嵌着材を傾斜させてきのこ栽培瓶の瓶口の上へ供給する瓶口嵌着材供給装置とを備えるきのこ栽培用瓶口嵌着材の嵌着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のきのこ栽培用瓶口嵌着材の嵌着装置としては、きのこの栽培瓶による人工栽培の殺菌工程および菌糸育成工程で培養基を入れた培養瓶(きのこ栽培瓶)に、キャップを取り付けるためのキャップ冠着装置がある。
【0003】
このキャップ冠着装置としては、例えば、以下の構成を備えるものがある。
キャップを仕切りにより下方に向けて複数列に整列させる案内路を有するキャップ整列手段と、この整列手段の上方に連設され各仕切り間の案内路を臨みながらキャップを横移動させるキャップ移動手段と、最下位のキャップを下方に一部突出させた状態で停止させる停止手段と、培養瓶を整列手段の下方を通過させ瓶口に前記キャップを係合させるように培養瓶を送るコンベアと、キャップを一部係合する培養瓶を上から押圧する押圧ローラとからなる(特許文献1参照)。
【0004】
また、きのこ栽培用の瓶口嵌着材の一例として収穫用リングがあり、その収穫用リングをきのこ栽培瓶の瓶口に自動的に装着できる適切な装置の開発が必要になっている。なお、改良された収穫用リングを利用したキノコの収穫方法、キノコの収穫装置については、本願の出願人によって先に提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−191786号公報(第1頁、[0004])
【特許文献2】特開2010−35439号公報(第1頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
きのこ栽培用瓶口嵌着材の嵌着装置に関して解決しようとする問題点は、きのこ栽培用の瓶口嵌着材を、従来の装置のように押圧ローラによって押し込むことできのこ栽培瓶の瓶口に嵌着させる場合、その瓶口嵌着材が撥ね上がって脱落し易いことにある。なお、瓶口に対する嵌合部が深い通常のきのこ栽培用のキャップの場合は脱落することは少ないが、図4〜6に示すような瓶口に対する嵌合部が浅いきのこ栽培用の収穫用リングの場合はより外れ易い傾向にある。
そこで、本発明の目的は、きのこ栽培用の瓶口嵌着材を、きのこ栽培用瓶の瓶口により確実に嵌着できるきのこ栽培用瓶口嵌着材の嵌着装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために次の構成を備える。
本発明にかかるきのこ栽培用瓶口嵌着材の嵌着装置の一形態によれば、立てた状態のきのこ栽培瓶を水平方向へ送るコンベア装置と、該コンベア装置によって移動される前記きのこ栽培瓶の瓶口の縁がきのこ栽培用の瓶口嵌着材の嵌合部内周に当たって、該瓶口嵌着材が引き出されると共に前記瓶口に外嵌するように、前記瓶口嵌着材を傾斜させて前記瓶口の上へ供給する瓶口嵌着材供給装置とを備えるきのこ栽培用の瓶口嵌着材嵌着装置において、前記瓶口嵌着材供給装置によって前記瓶口に仮に嵌まった状態の前記瓶口嵌着材が、浮き上がることを防止するように、上からベルト面で押さえながら前記きのこ栽培瓶と共に移動されるように、平ベルトが循環走行するように設けられた瓶口嵌着材の浮き上がり防止用のベルト装置と、前記瓶口に仮に嵌まった状態に保持された前記瓶口嵌着材を、上からプレスして嵌着させるプレス装置とを具備する。
【0008】
また、本発明にかかるきのこ栽培用瓶口嵌着材の嵌着装置の一形態によれば、前記ベルト面が、前記コンベア装置による移動方向に向って徐々に前記瓶口嵌着材への接触力が弱まるように、上向きに傾斜していることを特徴とすることができる。
また、本発明にかかるきのこ栽培用瓶口嵌着材の嵌着装置の一形態によれば、前記プレス装置が、前記瓶口に仮に嵌まった状態に保持された前記瓶口嵌着材を、上から殴打して嵌着させる殴打装置であることを特徴とすることができる。
【0009】
また、本発明にかかるきのこ栽培用瓶口嵌着材の嵌着装置の一形態によれば、複数の前記きのこ栽培瓶が、コンテナに収納されて前記コンベア装置によって送られ、複数の瓶口嵌着材が同時に嵌着されるように設けられていることを特徴とすることができる。
また、本発明にかかるきのこ栽培用瓶口嵌着材の嵌着装置の一形態によれば、前記瓶口嵌着材が、きのこ栽培用の収穫用リングであることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るきのこ栽培用瓶口嵌着材の嵌着装置によれば、きのこ栽培用の瓶口嵌着材を、きのこ栽培用瓶の瓶口により確実に嵌着できるという特別有利な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るきのこ栽培用瓶口嵌着材の嵌着装置の形態例を示す平面図である。
【図2】図1の形態例の瓶口嵌着材供給装置及びベルト装置を示す側面図である。
【図3】図1の形態例の殴打装置を示す側面図である。
【図4】本発明に係る収穫用リングの形態例を示す断面図である。
【図5】図4の形態例の収穫用リングを示す側面図である。
【図6】図4の形態例の収穫用リングを示す平面図である。
【図7】収穫用リングが装着されたきのこ栽培瓶の形態例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、きのこ栽培用の瓶口嵌着材の一例である収穫用リングの嵌着装置に係る本発明の形態例を、添付図面(図1〜3)に基づいて詳細に説明する。
本発明に係るきのこ栽培用瓶口嵌着材の嵌着装置は、立てた状態のきのこ栽培瓶10を水平方向へ送るコンベア装置30と、そのコンベア装置30によって移動されるきのこ栽培瓶10の瓶口11の縁がきのこ栽培用の瓶口嵌着材(収穫用リング20)の嵌合部内周24に当たって、その収穫用リング20が引き出されると共に瓶口11に外嵌するように、収穫用リング20を傾斜させて瓶口11の上へ供給する瓶口嵌着材供給装置40とを備えることをベースの構成とする。
【0013】
30はベルト装置であり、瓶口嵌着材供給装置40によって瓶口11に仮に嵌まった状態の収穫用リング20が、浮き上がることを防止するように、上からベルト面で押さえながらきのこ栽培瓶10と共に移動されるように、平ベルト51が循環走行するように設けられた収穫用リング20の浮き上がり防止用に設けられている。
これによれば、収穫用リング20の平面全面についてベルト面で上から押さえることになり、収穫用リング20の浮き上がりを確実に防止し、撥ね上がって脱落することを適切に防止できる。特に、本形態例のような嵌合部の浅い収穫用リング20についても浮き上がりを確実に防止できる。
【0014】
本形態例のベルト装置では、平ベルト51が、一対のプーリー52、52の間に巻き掛けられて構成され、電動モータなどの駆動装置(図示せず)によってコンベア装置30の走行速度に対応して回転駆動するように設けられている。
また、本形態例のベルト装置50では、ベルト面が、コンベア装置30による移動方向に向って徐々に収穫用リング20への接触力が弱まるように、上向きに傾斜している。
さらに、この平ベルト51は、収穫用リング20を強く押圧することなく適切に接触できるように、柔軟性の高い材料、例えば平板状のゴム材で設けることができる。
【0015】
60はプレス装置であり、瓶口11に仮に嵌まった状態に保持された瓶口嵌着材(収穫用リング20)を、上からプレスして嵌着させるようにコンベア装置30の走行路上に配されている。
これによれば、仮に嵌められた収穫用リング20を、その収穫用リング20の平面全面へ力を平均的に作用させて撥ね上りを防止しつつ、確実に瓶口11へ装着した状態に嵌着できる。
【0016】
本形態例では、プレス装置60が、瓶口11に仮に嵌まった状態に保持された収穫用リング20を、上から殴打して嵌着させる殴打装置になっている。瓶口11に水平に置かれた収穫用リング20を上方から鉛直下方に殴打する(図3の矢印参照)構成になっている。
このような殴打によって収穫用リング20を嵌着させる方法によれば、嵌着を確実に行うことができると共に、工程の時間短縮を図ることができる利点がある。
【0017】
また、本形態例の殴打装置の殴打用駆動装置としては、エアシリンダ61が用いられている。エアシリンダ61は、支持材63に固定されてコンベア装置30の走行路上に配され、エアシリンダのロッド61aに固定された平板状の殴打板62によって収穫用リング20を殴打するように構成されている。
また、本形態例では、嵌着を確実にするため、収穫用リング20を殴打板62によって二回殴打するように設定されている。
なお、駆動装置としてはエアシリンダ61に限定されることはなく、電動アクチュエータなど他の駆動手段を用いてもよいのは勿論である。
【0018】
また、本形態例では、複数のきのこ栽培瓶10が、コンテナ70(図3参照)に収納されてコンベア装置30によって送られ、複数の収穫用リング20が同時に嵌着されるように設けられている。
また、コンベア装置は、コンテナ70を間欠に送り、プレス装置60(殴打装置)による押圧又は殴打のタイミングに合わせて停止するように設けられている。
【0019】
次に、図2に基づいて収穫用リング20などの瓶口嵌着材が、瓶口11に仮に嵌まる状態を説明する。
瓶口嵌着材(収穫用リング)供給装置40によって、収穫用リング20が、傾斜した状態で瓶口11上に供給されており、ヘラ状の弾性部材からなる停止手段41によって下部が突き出た状態に仮に停止されている。この状態において、コンベア装置30が矢印に示すような送り動作によってきのこ栽培瓶10を移動させ、きのこ栽培瓶の瓶口11の縁が収穫用リング20の嵌合部内周24に当たって、そのきのこ栽培瓶10の移動に伴って収穫用リング20が停止手段41による保持力に抗して引き出される。そして、収穫用リング20が瓶口11に乗った状態となり、ベルト装置50の平ベルト51が接触することで、収穫用リング20が水平に均されるように押されて瓶口11に外嵌される。
【0020】
次に、本発明に係るキノコの収穫用リング20の形態例について詳細に説明する。
図4〜6に示すように、本形態例のきのこの収穫用リング20は、表裏が同一形状に設けられており、対称性の高いリング状の形状になっている。
21は内周凸条部であり、きのこの収穫用リング20の内周面で上下の中間に設けられ、きのこ栽培瓶10の瓶口11の端部に当接するストッパ部になっている。なお、この内周凸条部21の形態は、図に示すように連続的なリング状であっても良いし、断続的に設けられてもよい。これによれば、きのこの収穫用リング20を、図7に示すように瓶口11に取り外すことが可能な嵌合状態に装着することができる。なお、15は培地である。
22は鍔状の張り出し部であり、外周に全周に亘って二重のリング状に設けられ、このきのこの収穫用リング20を取り外すために力を加えることができる部分になっている。すなわち、この部分が、きのこの収穫用リング20を利用してきのこを収穫する際の手掛かりになっている。
【0021】
なお、本形態例のきのこの収穫用リング20に係る鍔状の張り出し部22、22の外形は、培地に菌糸を蔓延させる培養工程の際にきのこ栽培瓶10の瓶口11に嵌める培養キャップの形状に近似させた寸法に形成されている。
従って、この収穫用リング20は、培養キャップを嵌める自動化装置を応用できるという利点もある。
そして、この収穫用リング20は、表裏が同一形状であるため、どちら側に倒れてもきのこ栽培瓶10の瓶口11への装着が同様にでき、作業の確実性を向上できる。
【0022】
また、25は密着防止用の突起であり、きのこの収穫用リング20の表裏それぞれの面の円周等分4箇所に設けられている(図4〜6参照)。この密着防止用の突起25によれば、コンベア装置等で自動的に移送する際に、その移送面に密着することを防止でき、収穫用リング20を好適に移送できるためきのこ栽培瓶10の瓶口11に好適に嵌めることができる。
なお、本形態例の密着防止用の突起25は小さな球凸面状に4個が形成されているが、その形態や数は特に限定されるものではなく、瓶口の大きさ等の条件によって、適宜選択的に設定すればよい。
【0023】
次に、この収穫用リング20を用いたきのこの収穫方法の工程について説明する。
先ず、収穫用リングの装着工程では、きのこの菌床から子実体が生長する前、きのこの栽培瓶の瓶口11に、リング状に設けられていると共に外周に取り外しのための力を加えることができる鍔状の張り出し部22が二重に設けられているきのこの収穫用リング20を嵌める。
【0024】
次の収穫箱のセット工程では、きのこの子実体を生長させた後、該きのこを収穫する際に、きのこ用のコンテナに入った複数本の栽培瓶において生長した複数株のきのこに対して、きのこの収穫箱を逆さまにして被せるようにセットする。
【0025】
次の子実体と培地の分断工程では、収穫用リング20の両側であって二重の前記張り出し部22によって形成される溝23に爪状部が入り込むように設けられたフォーク状の押し上げ部材で上側の張り出し部材22の下から当接して押し上げることで、きのこの子実体ときのこの培地とを分断させる。
【0026】
次の収穫箱の反転工程では、前記複数株のきのこが入った前記収穫箱を前記押し上げ部材の前記爪状部を備えるフォーク状の反転部と共に反転させて、前記複数株のきのこが前記収穫箱に逆さまに入った収穫形態を得る。
そして、収穫用リングの回収工程では、前記フォーク状の反転部を元の位置へ戻す途中で前記爪状部に案内させて収穫用リング20を落下させることで回収する。
【0027】
このきのこの収穫方法は、シメジのように多くのきのこの子実体が全方向について張り出すように均一性をもって伸びて全体形状として見た形態で玉状の塊りに生長する種類のきのこを、株取りする際に適している。これは、シメジのようなきのこは、その子実体がきのこ栽培瓶の瓶口11全周に亘って外側にはみ出し部をつくるため、そのはみ出し部をきのこの収穫用リング20を介して適切に利用し、機械による収穫が好適に可能になるためである。
【0028】
以上、本発明につき好適な形態例を挙げて種々説明してきたが、本発明はこの形態例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのは勿論のことである。
【符号の説明】
【0029】
10 きのこ栽培瓶
11 瓶口
20 収穫用リング
24 嵌合部内周
30 コンベア装置
40 瓶口嵌着材供給装置
41 停止手段
50 ベルト装置
51 平ベルト
52 プーリー
60 プレス装置
61 エアシリンダ
62 殴打板
63 支持材
70 コンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立てた状態のきのこ栽培瓶を水平方向へ送るコンベア装置と、該コンベア装置によって移動される前記きのこ栽培瓶の瓶口の縁がきのこ栽培用の瓶口嵌着材の嵌合部内周に当たって、該瓶口嵌着材が引き出されると共に前記瓶口に外嵌するように、前記瓶口嵌着材を傾斜させて前記瓶口の上へ供給する瓶口嵌着材供給装置とを備えるきのこ栽培用瓶口嵌着材の嵌着装置において、
前記瓶口嵌着材供給装置によって前記瓶口に仮に嵌まった状態の前記瓶口嵌着材が、浮き上がることを防止するように、上からベルト面で押さえながら前記きのこ栽培瓶と共に移動されるように、平ベルトが循環走行するように設けられた瓶口嵌着材の浮き上がり防止用のベルト装置と、
前記瓶口に仮に嵌まった状態に保持された前記瓶口嵌着材を、上からプレスして嵌着させるプレス装置とを具備することを特徴とするきのこ栽培用瓶口嵌着材の嵌着装置。
【請求項2】
前記ベルト面が、前記コンベア装置による移動方向に向って徐々に前記瓶口嵌着材への接触力が弱まるように、上向きに傾斜していることを特徴とする請求項1記載のきのこ栽培用瓶口嵌着材の嵌着装置。
【請求項3】
前記プレス装置が、前記瓶口に仮に嵌まった状態に保持された前記瓶口嵌着材を、上から殴打して嵌着させる殴打装置であること特徴とする請求項1又は2記載きのこ栽培用瓶口嵌着材の嵌着装置。
【請求項4】
複数の前記きのこ栽培瓶が、コンテナに収納されて前記コンベア装置によって送られ、複数の瓶口嵌着材が同時に嵌着されるように設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のきのこ栽培用瓶口嵌着材の嵌着装置。
【請求項5】
前記瓶口嵌着材が、きのこ栽培用の収穫用リングであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のきのこ栽培用瓶口嵌着材の嵌着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−34610(P2012−34610A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−176862(P2010−176862)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(510215433)株式会社プラーナ (1)
【Fターム(参考)】