説明

さいころ

【課題】さいころとしての使い易さや意匠性を損なうことなく、かつ、誤飲の際に気道を確保することができ、安全に使用することのできるさいころを提供する。
【解決手段】1から6のさいころ目がそれぞれ一つずつ形成された六つの面を有するさいころ100において、さいころ目となる孔部11が形成された中空の正六面体により構成されたさいころ基枠1と、さいころ基枠1の内部に収納され、外側から見たときに各一つの面の孔部11を通して他の面の孔部11が見通せないような目隠し機能を有する目隠し部材3と、を備え、さいころ基枠1の内面と目隠し部材3の外面との間には孔部11の全てを連通させる気路が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、さいころに関するものである。
【背景技術】
【0002】
さいころ等の玩具は、子どもが使用することが想定されるものであり、高度な安全性が求められる。
玩具の安全性については、幼児が飲み込まないように(すなわち、誤飲を防ぐため)、スモールパーツを規制する安全基準などがある。
特に、さいころは、子どもが手にとって遊ぶものであり、形状もキャラメル等の菓子に似ていることから、子どもが誤って口に入れる危険性が高い。このため、安全性の観点からは、さいころは、仮に子どもが誤ってさいころを飲み込んでも喉に詰まらせることがなく(すなわち、気道を塞ぐことがなく)、排出可能な大きさである12mm×12mm程度までの小サイズとするか、又は誤飲の危険のない(すなわち、飲み込むことのできない)40mm×40mm程度の大サイズとすることが好ましい。
【0003】
しかし、小サイズや大サイズのさいころでは子どもの手では扱い難いとの問題がある。そこで、さいころを広く楽しんでもらうためには、子どもが使用するのに適した中サイズとすることが望まれる。
ただ、このような中サイズのさいころについて、十分な安全性を確保するためには、仮に誤飲事故が起こった場合でも、確実に気道を確保することができ、喉を詰まらせて窒息することのないような構成とすることが必要である。
【0004】
この点、ホットメルトインクからなるインクペレットについて、対向する面を貫通する孔を設けたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。インクジェット記録装置に用いられるインクペレットは、一見するとキャラメル等の菓子にサイズ・形状が似ており、子どもが誤って飲み込むおそれがある。この点、インクペレットに貫通孔を設ければ仮にインクペレットを誤飲しても気道が塞がれることがなく、窒息の危険を回避することができる。
【0005】
また、立方体又は多面体の各面に凹部や溝部を設けた立体ブロックを複数個繋ぎ合わせるブロック玩具において、各ブロックを柔らかい材料で形成されたリング状等の接合材を介して接合させる構成が開示されている(例えば、特許文献2参照)。これによれば、子どもが誤って接合材を飲み込んだ場合でも、気管を損傷したり、喉に詰まらせて窒息したりすることを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−280462号公報
【特許文献2】特開2000−210478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、さいころの場合には、互いに対向する面のさいころ目を加算すると「7」となるようにさいころ目が配置されるようになっており、どの角度でさいころを飲み込んでも気道を確保できるような貫通孔をさいころに直接設けることは、さいころのデザイン上困難であるとの問題がある。
【0008】
また、さいころは転がして使用するものであり、ある程度の硬さが要求される。このため、さいころを、飲み込んでも喉を詰まらせるおそれのないような柔らかい材料で形成することも実現が困難である。
【0009】
そこで、本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、さいころとしての使い易さや意匠性を損なうことなく、かつ、誤飲の際に気道を確保することができ、安全に使用することのできるさいころを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の問題を解決するために、本発明のさいころは、
1から6のさいころ目がそれぞれ一つずつ形成された六つの面を有するさいころにおいて、
前記さいころ目となる孔部が形成された中空の正六面体により構成されたさいころ基枠と、
前記さいころ基枠の内部に収納され、外側から見たときに各一つの面の前記孔部を通して他の面の前記孔部が見通せないような目隠し機能を有する目隠し部材と、を備え、
前記さいころ基枠の内面と前記目隠し部材の外面との間には前記孔部の全てを連通させる気路が形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のさいころであって、
1、2及び3のさいころ目が形成された3つの前記面により形成される角部に少なくとも1つの前記孔部が位置するように、2、3のさいころ目の配列方向が定められていることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のさいころであって、
前記目隠し部材の外面には、前記さいころ基枠の内部に収納する際の方向を示す指標が付設されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のさいころであって、
前記目隠し部材は、さいころ基枠の各面と平行な面を有する六面体によって構成された目隠し部材本体を備え、前記目隠し部材本体の辺部には、部分的に、前記目隠し機能を有するリブが形成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のさいころであって、
前記目隠し部材は、2つの構成部材を接合することにより構成され、
前記2つの構成部材の接合部分は、前記さいころ基枠の外側から見たときに前記孔部を通して見通せないような位置に存在していることを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のさいころであって、
前記さいころ基枠の外面は白色、前記目隠し部材の外面は黒色又は赤色であることを特徴とする。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のさいころであって、
前記さいころ基枠の1辺の寸法は、12mm〜40mmであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、さいころを飲み込んだ際に、気道を確保することができるとの効果を奏する。
また、孔部を通して他の面の孔部が見えないようになっているので、意匠的にも好ましい。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、1、2及び3のさいころ目が形成された3つの面により形成される角部を下側にしてさいころを飲み込んだ際にも、気道を確保することができるとの効果を奏する。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、さいころ基枠への目隠し部材の収納が容易となるとの効果を奏する。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、孔部に少し目を近付けて斜め方向に内部を見た場合にも、他の面の孔部が視認できないように目隠しすることができるとの効果を奏する。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、2つの構成部材からなる目隠し部材を接合した際に形成される線が孔部から視認できないため、意匠性が高いとの効果を奏する。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、通常のさいころと同様の意匠的効果を得ることができるとの効果を奏する。
【0023】
請求項7に記載の発明によれば、子ども等が使うのに適したサイズであるが、誤飲の危険があり、誤飲した際には喉に詰まるおそれがあるサイズのさいころであっても、さいころを飲み込んだ際には、気道を確保することができるため、安全に使用することができるとの効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態に係るさいころを第1の面、第2の面、第3の面が見える方向から見た外観斜視図である。
【図2】本実施形態に係るさいころを第4の面、第5の面、第6の面が見える方向から見た外観斜視図である。
【図3】図1に示すさいころの第2の基枠部材を外した状態を示す斜視図である。
【図4】図1に示すさいころの第1の基枠部材を外した状態を示す斜視図である。
【図5】図2に示すさいころの第2の基枠部材を外した状態を示す斜視図である。
【図6】図6(a)は、さいころ基枠の第1の面を示す平面図であり、図6(b)は、図6(a)に示す面に対応する目隠し部材の面を示す平面図である。
【図7】図7(a)は、さいころ基枠の第4の面を示す平面図であり、図7(b)は、図7(a)に示す面に対応する目隠し部材の面を示す平面図である。
【図8】図8(a)は、さいころ基枠の第6の面を示す平面図であり、図8(b)は、図8(a)に示す面に対応する目隠し部材の面を示す平面図である。
【図9】図9(a)は、さいころ基枠の第3の面を示す平面図であり、図9(b)は、図9(a)に示す面に対応する目隠し部材の面を示す平面図である。
【図10】図10(a)は、さいころ基枠の第5の面を示す平面図であり、図10(b)は、図10(a)に示す面に対応する目隠し部材の面を示す平面図である。
【図11】図11(a)は、さいころ基枠の第2の面を示す平面図であり、図11(b)は、図11(a)に示す面に対応する目隠し部材の面を示す平面図である。
【図12】図12は、さいころの一変形例を示す断面図であり、図12(a)は、さいころの第1の面側を示す断面図であり、図12(b)は、さいころの第6の面側を示す断面図である。
【図13】図13(a)は、図12に示すさいころの第1の基枠部材の斜視図であり、図13(b)は、図12に示すさいころの第2の基枠部材の斜視図である。
【図14】図14(a)は、一つの面に位置決め突部を非対称位置に設けた変形例を示す平面図であり、図14(b)は、一つの面に位置決め突部を3つ設けた変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図1から図11を参照しつつ、本発明に係るさいころの一実施形態について詳細に説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0026】
図1及び図2は、本実施形態におけるさいころの外観をそれぞれ反対の角度から見た斜視図である。
本実施形態において、さいころ100は、1から6のさいころ目がそれぞれ一つずつ形成された六つの面を有する正六面体形状であり、互いに対向する面のさいころ目を加算すると「7」となるように各面にさいころ目が配置されている。なお、さいころ100(さいころ100を構成するさいころ基枠1)の1辺の寸法は、12mm〜40mm、より好ましくは12mm〜30mmであることが望ましいが、これに限定されない。
なお、さいころ100の角部C等が鋭利である場合には、さいころ100を使用する際や、誤って飲み込んだりした場合に怪我をする危険がある。このため、角部C及び辺部には、面取りを施して多少丸みをつけることが好ましい。
【0027】
さいころ100は、各面にさいころ目となる孔部11が形成された中空の正六面体により構成されているさいころ基枠1と、このさいころ基枠1の内部に収納される目隠し部材3とから構成されている。
【0028】
なお、図1から図4においては、本実施形態におけるさいころ100を、3のさいころ目となる孔部11が形成された面(これを以下「第3の面12c」という。)の側を下側とし、4のさいころ目となる孔部11が形成された面(これを以下「第4の面12d」という。)の側を上側とし、周面に1のさいころ目となる孔部11が形成された面(これを以下「第1の面12a」という。)、2のさいころ目となる孔部11が形成された面(これを以下「第2の面12b」という。)、5のさいころ目となる孔部11が形成された面(これを以下「第5の面12e」という。)、6のさいころ目となる孔部11が形成された面(これを以下「第6の面12f」という。)がそれぞれ配置されるようにして載置した状態を図示している。なお、さいころ目の配置、各面の配置等は図示例に限定されない。
【0029】
さいころ基枠1は、外面が白色であり、例えばプラスチックその他、各種樹脂等により形成されている。なお、さいころ基枠1を形成する材料は特に限定されない。
さいころ基枠1は、第3の面12cを底面としさいころ基枠1の下側ほぼ半分を構成する第1の基枠部材21と、第4の面12dを上面としさいころ基枠1の上側ほぼ半分を構成する第2の基枠部材22とからなり、この第1の基枠部材21と第2の基枠部材22とを接合することにより構成されている。
図3は、図1に示すさいころ100から第2の基枠部材22を外した状態を示す斜視図であり、図4は、第1の基枠部材21を外した状態を示す斜視図である。また、図5は、図2に示すさいころ100から第2の基枠部材22を外した状態を示す斜視図である。
【0030】
第1の基枠部材21は、一端側(図3に示す上側)が開口する箱型に形成されており、第1の面12a、第2の面12b、第5の面12e、第6の面12fのそれぞれ下側半分を構成する側壁を備えている。側壁の上端縁部には、さいころ基枠1の外周よりも径が小さく形成され、第2の基枠部材22と嵌め合わされる嵌合縁部21aが立設されている。
【0031】
第2の基枠部材22は、一端側(図4に示す下側)が開口する箱型に形成されており、第1の面12a、第2の面12b、第5の面12e、第6の面12fのそれぞれ上側半分を構成する側壁を備えている。側壁の下端部内側には、第1の基枠部材21の嵌合縁部21aと嵌め合わされる嵌合段差部22aが形成されている。
第1の基枠部材21と第2の基枠部材22とは、嵌合縁部21aと嵌合段差部22aとを嵌め合わせた後、溶着、接着等の手法により接合部分13が固定される。
接合部分13を固定する手法としては、例えば、第1の基枠部材21及び第2の基枠部材22が熱可塑性樹脂で形成されている場合には、その接合部分13に微細な超音波振動と加圧力とを同時にかけることにより、接合面に強力な摩擦熱を発生させて、樹脂を瞬時に溶融・接合させる超音波溶着等の手法を用いることができる。なお、第1の基枠部材21と第2の基枠部材22との接合部分13を固定する手法は、超音波溶着に限定されず、さいころ基枠1を形成する材料に応じた各種の手法によることが可能である。
【0032】
第3の面12cの内側面には、さいころ基枠1に収納される目隠し部材3の位置決め突部35b,35c(後述)に対応する位置に位置決めのための位置決めマーク(図示せず)が付されている。また、第4の面12dには、目隠し部材3の位置決め突部35a(後述)に対応する位置に位置決めのための位置決めマーク(図示せず)が付されている。
【0033】
また、図1に示すように、本実施形態において、第2の面12bに設けられている2つの孔部11(さいころ目)のうちの一方は、第1の面12a、第2の面12b及び第3の面12cの3つの面により形成される角部Cに位置するように、孔部11の配列方向が定められている。
なお、第2の面12bに設けられている孔部11又は第3の面12cに設けられている孔部11(さいころ目)のうちの少なくとも1つが第1の面12a、第2の面12b及び第3の面12cの3つの面により形成される角部Cに位置するようになっていればよく、孔部11(さいころ目)の配列方向は図示例に限定されない。
例えば、第2の面12bに設けられている2つの孔部11ではなく、第3の面12cに設けられている3つの孔部11のうちのいずれかが第1の面12a、第2の面12b及び第3の面12cの3つの面により形成される角部Cに位置するように配列されていてもよいし、第2の面12bに設けられている孔部11及び第3の面12cに設けられている孔部11がともに1つずつ第1の面12a、第2の面12b及び第3の面12cの3つの面により形成される角部Cに位置するように配列されていてもよい。
【0034】
目隠し部材3は、さいころ基枠1の内径よりもわずかに小さく形成されており、さいころ基枠1の内部に収納可能となっている。目隠し部材3は、中空、中実いずれであってもよく、例えばプラスチックその他、各種樹脂等により形成されている。なお、目隠し部材3を形成する材料は特に限定されない。
また、目隠し部材3は、少なくともさいころ基枠1の孔部11を通して視認できる表面の色が黒色であることが好ましいが、これに限定されない。例えば、さいころ基枠1の第1の面12aに対応する面のみを赤色とし、1のさいころ目となる孔部11から赤色が視認できるようにしてもよい。また、目隠し部材3の各面毎に異なる色としてもよい。
【0035】
目隠し部材3は、さいころ基枠1の各面と平行な面を有する六面体によって構成された目隠し部材本体31を備えている。
また、本実施形態において、この目隠し部材本体31の辺部には、部分的に、目隠し機能を有するリブ32が形成されており、目隠し部材3をさいころ基枠1内に収納した際には、このリブ32の端部がさいころ基枠1の内面に当接又はさいころ基枠1の内面との間に僅かな間隙を保って配置されるようになっている。
具体的には、目隠し部材3の各面の4つの角部Cには、それぞれ辺に沿ってリブ32が設けられており、同一の辺上に配置される各リブ32同士の間には間隙が設けられている。これにより、目隠し部材3をさいころ基枠1内に収納した際に、さいころ基枠1の内面と目隠し部材3の外面との間に孔部11の全てを連通させる気路が形成され、誤飲した際に空気の流通が可能な経路が確保でき、気道を閉塞しないようになっている。
【0036】
本実施形態において、目隠し部材3は、第1の面12a側のほぼ半分を構成する第1の構成部材41と、第6の面12f側のほぼ半分を構成する第2の構成部材42とからなり、この第1の構成部材41と第2の構成部材42とを接合することにより構成されている。すなわち、目隠し部材3が中空である場合には、第1の構成部材41及び第2の構成部材42の各開口側の端部同士を突き合わせて結合される。また、目隠し部材3が中実である場合には、第1の構成部材41及び第2の構成部材42の端面同士を突き合わせて結合される。
なお、第1の構成部材41と第2の構成部材42との接合部分33を固定する手法としては、第1の基枠部材21と第2の基枠部材22との接合部分13を固定する場合と同様、超音波溶着等を用いることができるが、その手法は特に限定されず、目隠し部材3を形成する材料に応じた各種の手法によることが可能である。
【0037】
図6(a)は、さいころ基枠1の第1の面12aの平面図であり、図6(b)は、さいころ基枠1の第1の面12aに対応する目隠し部材3の面の平面図である。同様に、図7(a)から図11(a)は、さいころ基枠1の第2の面12bから第6の面12fの平面図であり、図7(b)から図11(b)は、さいころ基枠1の第2の面12bから第6の面12fに対応する目隠し部材3の各面の平面図である。
なお、図6(b)から図11(b)においては、目隠し部材3の各面に対応するさいころ基枠1の孔部11の位置を二点鎖線で表している。
【0038】
図6(a)、図8(a)、図10(a)、図11(a)に示すように、さいころ基枠1の第1の面12a、第6の面12f、第5の面12e、第2の面12bには、ほぼ中央部に第1の基枠部材21と第2の基枠部材22との接合部分13が現れている。
【0039】
また、図7(b)、図9(b)、図10(b)、図11(b)に示すように、さいころ基枠1の第4の面12d、第3の面12c、第5の面12e、第2の面12bに対応する目隠し部材3の各面には、ほぼ中央部に第1の構成部材41と第2の構成部材41との接合部分33が現れている。
【0040】
なお、図9(a)及び図10(a)に示すように、さいころ基枠1における第3の面12c及び第5の面12eにおいては、面のほぼ中央部に孔部11が存在するため、これらの面に対向する目隠し部材3の面の中央部に第1の構成部材41と第2の構成部材42との接合部分33が存すると、孔部11を通して外部から接合部分33の線を視認でき、意匠性の観点から好ましくない。
そこで、本実施形態では、図9(b)及び図10(b)に示すように、目隠し部材3の、さいころ基枠1における第3の面12cに対向する面及び第5の面12eに対向する面については、孔部11に対応する位置を避けて面の中央部分をコ字状に回避するように接合部分33が設けられている。
なお、第1の構成部材41と第2の構成部材42との接合部分33が孔部11を通して視認されないような構成になっていればよく、孔部11に対応する箇所の回避の仕方、接合部分33の形状等は図示例に限定されない。
【0041】
また、図7(b)及び図9(b)に示すように、目隠し部材本体31の外面であって、さいころ基枠1における第4の面12d及び第3の面12cに対向する面には、目隠し部材3をさいころ基枠1の内部に収納する際の方向等を示す指標としての位置決め突部35a,35b,35cが付設されている。
すなわち、目隠し部材3の、さいころ基枠1における第4の面12dに対向する面には、ほぼ中央部にほぼ円筒状の位置決め突部35aが立設されている(図7(b)及び図3)。また、さいころ基枠1における第3の面12cに対向する面であって、第1の構成部材41の側面のほぼ中央部には、ほぼ円筒状の位置決め突部35bが立設されている(図9(b)及び図4)。そして、さいころ基枠1における第6の面12fに対向する面であって、第2の構成部材42の側面のほぼ中央部には、ほぼ四角柱状の位置決め突部35cが立設されている(図9(b)及び図4)。位置決め突部35a,35b,35cは、リブ32の高さと同じかそれ以下の高さに形成されており、目隠し部材3をさいころ基枠1の中に収納した際にさいころ基枠1の内面に突き当たって第1の基枠部材21と第2の基枠部材22との接合を阻害しないようになっている。なお、位置決め突部35a,35b,35cの形状、数、及びこれを設ける位置等は図示例に限定されない。
【0042】
次に、本実施形態に係るさいころ100の組立方法について説明する。
【0043】
まず、第1の構成部材41と第2の構成部材42とを接合部分33が噛み合うようにして接合し、超音波溶着等の手法を用いて接合部分33を固定して目隠し部材3を形成する。
次に、第1の基枠部材21の中に目隠し部材3を収納する。このとき、目隠し部材3に設けられた位置決め突部35b,35cの位置を第1の基枠部材21の第3の面12cに設けられた位置決めマークに合わせることにより目隠し部材3の位置決めを行い、目隠し部材3が適切な位置・向きで第1の基枠部材21の中に収納されるように調整する。
【0044】
さらに、第1の基枠部材21の上から第2の基枠部材22を嵌め合わせる。このとき、第1の基枠部材21の第4の面12dに設けられた位置決めマークを目隠し部材3に設けられた位置決め突部aの位置に合わせることにより位置決めを行う。
また、第1の基枠部材21に設けられた孔部11の位置と第2の基枠部材22に設けられた孔部11の位置とを合わせ、第1の基枠部材21と第2の基枠部材22とを嵌め合わせた際にさいころ基枠1の各周面のさいころ目が適切に配列されるようにする。
これにより、さいころ100は、第1の面12a、第2の面12b及び第3の面12cの3つの面により形成される角部Cを含めて、全ての角部Cに少なくとも一つの孔部11が配置される。また、第1の基枠部材21及び第2の基枠部材22の内側面と目隠し部材3との間には、リブ32によって間隙が確保されており、このリブ32によって形成される間隙と孔部11とにより、さいころ100を誤って飲み込んだ際等の空気の流通が可能な経路が確保される。また、孔部11を斜め方向から見た場合にも目隠し部材3によってさいころ基枠1の内部が遮蔽され、他の面の孔部11が外部から見通すことができないようになる。
そして、第1の基枠部材21と第2の基枠部材22とを適切な向きで嵌め合わせた後、その接合部分13を超音波溶着等の手法を用いて固定する。これにより、さいころ100が完成する。
【0045】
以上のように、本実施形態によれば、全ての角部Cに少なくとも一つの孔部11が配置されるようにさいころ目を配列し、この孔部11とリブとにより空気の流通経路を確保することができる。このため、子ども等が誤ってさいころを飲み込んだ際等にも、十分に空気の流通が可能な経路を確保することができ、気道を閉塞することがなく、安全に使用することができる。
【0046】
また、リブ32の設けられた目隠し部材3をさいころ基枠1の中に収納することにより、孔部11を斜め方向から見た場合にも他の面の孔部11が外部から視認できない。このため、意匠的にも優れている。
【0047】
また、目隠し部材3に位置決め突部35a,35b,35cを設け、目隠し部材3をさいころ基枠1内部に収納する際には、この位置決め突部35a,35b,35cとさいころ基枠1の内面に設けられた位置決めマークとを合わせることにより、目隠し部材3を適切な位置・方向でさいころ基枠1内に配置することができ、さいころ基枠1への目隠し部材3の収納が容易となる。
【0048】
また、目隠し部材3を構成する第1の構成部材41と第2の構成部材42とを接合する接合部分33が孔部11の位置を回避して設けられているため、接合部分33が孔部11から視認できない。このため、意匠性に優れている。
【0049】
また、さいころ基枠1の外面は白色であり、さいころ基枠1内に収納される目隠し部材3の表面は黒色となっているので、外部から黒色のさいころ目を視認することができ、通常のさいころと同様の視覚的・意匠的効果を得ることができる。
【0050】
また、本実施形態におけるさいころ100は、1辺の寸法が12mm〜40mmであり、子ども等が使うのに適したサイズであるが、誤飲の危険があり、誤飲した際には喉に詰まるおそれがある。しかし、このようなサイズのさいころ100であっても、誤って飲み込んだ際には前記のように十分に空気の流通が可能な経路を確保することができるので、安全に使用することができる。
【0051】
なお、本実施形態においては、目隠し部材3の全ての面にリブ32を設ける構成としたが、リブ32は全ての面に設けられていなくてもよい。
例えば、図12に示すように、さいころ基枠1の第1の面12aに対応する面(図12(a)参照)及びさいころ基枠1の第6の面12fに対応する面(図12(b)参照)にはリブ32を設けない構成としてもよい。ただ、この場合、目隠し部材3が、さいころ基枠1の第1の面12aと第6の面12fとの間でがたつくという問題がある。また、目隠し部材3が所定位置からずれると、リブ32の位置もずれるため、さいころ基枠1の孔部11から斜め方向に内部を見た場合に、他の面の孔部11が見えてしまうおそれがあるとの問題もある。
そこで、この場合には、例えば、図12(a)及び図12(b)に示すように、目隠し部材3に設ける位置決め突部37をリブ32よりも外側に突出するように形成する。そして、さいころ基枠1の内側面であって位置決め突部37に対応する位置に、位置決め突部37を受けて、これを係合させる凹部15を設ける。図13(a)は、このような構成の第1の基枠部材21の斜視図であり、図13(b)は、第1の基枠部材22の斜視図である。凹部15は、位置決め突部37を受けることができる大きさ及び形状であって、かつ、貫通しない深さに形成される。
このように、位置決め突部37をリブ32よりも外側に突出させて、これをさいころ基枠1側に形成された凹部15に係合させることにより、目隠し部材3の一部の面にリブ32を設けなくてもさいころ基枠1内で目隠し部材3ががたつくのを抑えることができる。また、目隠し部材3が所定位置からずれないので、さいころ基枠1の孔部11から斜め方向に内部を見た場合にも、他の面の孔部11がリブ32により目隠しされて外部から視認できないようにすることができる。
なお、リブ32を設けない面は、さいころ基枠1の第1の面12aに対応する面又は第6の面12fに対応する面のいずれか一方のみであってもよい。
【0052】
また、本実施形態では、位置決め突部35a,35b,35cのうちさいころ基枠1における第3の面12cに対応する面に設けられる位置決め突部35cの形状を他の位置決め突部と異なる形状とすることによって、正確に位置決めを行うことができるようにしたが、位置決め突部35a,35b,35cの形状等はこれに限定されない。
例えば、図14(a)に示すように、さいころ基枠1における第3の面12cに対応する面に同じ形状の2つの位置決め突部38a,38bを設け、その一方を図14(a)における左右方向の中心位置からずれた位置に配置することにより、位置の特定ができるように構成してもよい。
また、例えば、図14(b)に示すように、さいころ基枠1における第3の面12cに対応する面に同じ形状の位置決め突部39a,39b,39cを3つ設け、この位置決め突部39a,39b,39cのうち1つを第1の構成部材41側に、他の2つを第2の構成部材42側に配置することにより、位置の特定ができるように構成してもよい。
【0053】
また、本実施形態では、目隠し部材3に設けられたリブ32の端部がさいころ基枠1の内面に当接又はさいころ基枠1の内面との間に僅かな間隙を保って配置されるように構成したが、リブ32とさいころ基枠1の内面との間隔はこれに限定されない。例えば、目隠し部材3が多少の遊びをもってさいころ基枠1内に収納される構成としてもよい。なお、この場合、さいころ基枠1の孔部11から斜め方向に内部を見た場合にも、他の面の孔部11がリブ32により目隠しされて外部から視認できない程度の遊びであることが必要である。
【0054】
また、本実施形態では、第1の基枠部材21と第2の基枠部材22とを接合する手法として、まず嵌合縁部21aと嵌合段差部22aとを嵌め合わせた上で超音波溶着等による接合部分13の固定を行うように構成したが、例えば、嵌合縁部21a及び嵌合段差部22aを設けず、第1の基枠部材21と第2の基枠部材22との接合面を超音波溶着等による溶着、接着等の手法により固定するようにしてもよい。
【0055】
また、本実施形態では、さいころ基枠1を、ほぼ中央部で接合される2つの部材(すなわち、第1の基枠部材21及び第1の基枠部材22)で構成する例を示したが、第1の基枠部材21と第2の基枠部材22とを切り分ける位置は本実施形態で示したものに限定されない。例えば第1の基枠部材21及び第2の基枠部材22のうちのいずれかが大きくいずれかが小さいというように非対称であってもよい。また、例えばさいころ100を斜めに切り分けるようにさいころ基枠1の対角線において第1の基枠部材21と第2の基枠部材22とを切り分けるようにしてもよい。
【0056】
また同様に、本実施形態では、目隠し部材3を、ほぼ中央部で接合される2つの部材(すなわち、第1の構成部材41及び第2の構成部材42)で構成する例を示したが、第1の構成部材41と第2の構成部材42とを切り分ける位置は本実施形態で示したものに限定されない。例えば第1の構成部材41及び第2の構成部材42のうちのいずれかが大きくいずれかが小さいというように非対称であってもよい。また、例えばさいころ100を斜めに切り分けるように目隠し部材3の対角線において第1の構成部材41と第2の構成部材42とを切り分けるようにしてもよい。
【0057】
また、本実施形態では、目隠し部材3を第1の構成部材41及び第2の構成部材42の2つの部材で構成する例を示したが、目隠し部材3を一体的に成型してもよい。
【0058】
また、本実施形態では、さいころ基枠1を水平方向(図1から図5における水平方向)に切り分け、目隠し部材3を垂直方向(図1から図5における垂直方向)に切り分けて、さいころ基枠1の中に目隠し部材3を収納する例を示したが、さいころ基枠1及び目隠し部材3を切り分ける方向はこれに限定されない。例えば、さいころ基枠1及び目隠し部材3が同一方向に切り分けられていてもよい。
【0059】
また、本実施形態では、正六面体の形状のさいころ100を例として説明したが、さいころの形状は正六面体に限定されず、さらに正多面体のものであってもよい。
【0060】
また、本実施形態では、目隠し部材3として、立方体形状の部材にリブ32を設けることにより、目隠し機能と、気道確保とを実現する構成としたが、目隠し部材3の形状等はここに例示したものに限定されない。例えば、目隠し部材3を中空の網状に形成し、目隠し機能と、気道確保とを実現する構成としてもよい。
【0061】
また、その他、本発明が上記の実施形態に限定されず、適宜変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0062】
1 さいころ基枠
3 目隠し部材
11 孔部
15 凹部
21 第1の基枠部材
21a 嵌合縁部
22 第2の基枠部材
22a 嵌合段差部
31 目隠し部材本体
32 リブ
35a,35b,35c 位置決め突部
37 位置決め突部
38a,38b 位置決め突部
39a,39b,39c 位置決め突部
41 第1の構成部材
42 第2の構成部材
100 さいころ
C 角部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1から6のさいころ目がそれぞれ一つずつ形成された六つの面を有するさいころにおいて、
前記さいころ目となる孔部が形成された中空の正六面体により構成されたさいころ基枠と、
前記さいころ基枠の内部に収納され、外側から見たときに各一つの面の前記孔部を通して他の面の前記孔部が見通せないような目隠し機能を有する目隠し部材と、を備え、
前記さいころ基枠の内面と前記目隠し部材の外面との間には前記孔部の全てを連通させる気路が形成されていることを特徴とするさいころ。
【請求項2】
1、2及び3のさいころ目が形成された3つの前記面により形成される角部に少なくとも1つの前記孔部が位置するように、2、3のさいころ目の配列方向が定められていることを特徴とする請求項1に記載のさいころ。
【請求項3】
前記目隠し部材の外面には、前記さいころ基枠の内部に収納する際の方向を示す指標が付設されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のさいころ。
【請求項4】
前記目隠し部材は、さいころ基枠の各面と平行な面を有する六面体によって構成された目隠し部材本体を備え、前記目隠し部材本体の辺部には、部分的に、前記目隠し機能を有するリブが形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のさいころ。
【請求項5】
前記目隠し部材は、2つの構成部材を接合することにより構成され、
前記2つの構成部材の接合部分は、前記さいころ基枠の外側から見たときに前記孔部を通して見通せないような位置に存在していることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のさいころ。
【請求項6】
前記さいころ基枠の外面は白色、前記目隠し部材の外面は黒色又は赤色であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のさいころ。
【請求項7】
前記さいころ基枠の1辺の寸法は、12mm〜40mmであることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のさいころ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−240228(P2010−240228A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−93742(P2009−93742)
【出願日】平成21年4月8日(2009.4.8)
【出願人】(000003584)株式会社タカラトミー (248)