説明

しわ取り消臭剤組成物

【課題】アイロンがけやスチームプレス等の熱処理を行わなくても、風合いを損なうことなく繊維製品のしわを十分に除去することができ、且つ汗や皮脂臭などの臭いを除去することができる、しわ取り消臭剤組成物を提供する。
【解決手段】(a)炭素数10〜22の炭化水素基と、オキシエチレン及びオキシプロピレンがランダム又はブロック状に付加した平均付加モル数20〜200のポリオキシアルキレン基とを有する非イオン性化合物、並びに(b)消臭基剤を含有するしわ取り消臭剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、しわ取り消臭剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にスーツ等のドライクリーニング衣類は家庭での水洗いが困難であり、それらのしわ取り方法については、一般にアイロンがけやスチームプレス等の熱処理を行う方法がある。熱処理を行わずに衣類のしわを伸ばす手段として、特許文献1にヘキシレングリコールやイソプレングリコール等の特定の水溶性溶剤と水を組み合わせた組成物を衣類のしわ部にスプレーした後、放置するだけでしわ部を取り除く方法が開示されている。
【0003】
また、特許文献2〜5には、布帛のしわ取り剤組成物及び方法が開示されている。これらの方法は、組成物を布帛にスプレー噴霧した後で吊り下げて自然乾燥するか、アイロン掛けを行うことでしわを除去している。特許文献6には、低付加モル数のポリアルキレンオキシドを有する化合物を含有するしわ除去剤組成物が開示されており、しわ除去剤に植物抽出物などの消臭剤を併用できることが開示されている。また、特許文献7には、有効成分を乳化させる目的から非イオン界面活性剤を用いる技術が開示されている。有効成分である親油性物質を含むWO型エマルジョンを形成する目的から、しわ除去剤組成物に非イオン界面活性剤を用いることが開示されている。
【特許文献1】特開平10−25660号公報
【特許文献2】特表平10−508911号公報
【特許文献3】国際公開第99/55952号パンフレット
【特許文献4】国際公開第99/55953号パンフレット
【特許文献5】特開平1−6174号公報
【特許文献6】特開平10−046471号公報
【特許文献7】特開2005−232607号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、衣類についた軽いしわは取り除けるが、深いしわを完全に除去するのは困難である。また、特許文献2〜5は、自然乾燥だけでは十分にしわを除去することができず、またアイロン掛けはしわ取りには非常に効果的であるが、手間がかかる作業である上、風合い回復の上では不十分である。また、特許文献6、7についても、しわ除去効果と衣類の消臭効果の両方について同時に優れた効果を得るという点については、未だ十分ではない。
【0005】
本発明は、アイロンがけやスチームプレス等の熱処理を行わなくても、風合いを損なうことなく繊維製品のしわを十分に除去することができ、且つ汗や皮脂臭などの臭いを除去することができる、しわ取り消臭剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、(a)炭素数10〜22の炭化水素基と、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基の平均付加モル数が合計で20〜200であるポリオキシアルキレン基とを有する非イオン性化合物〔以下、(a)成分という〕、並びに(b)消臭基剤〔以下、(b)成分という〕を含有するしわ取り消臭剤組成物に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、アイロンがけやスチームプレス等の熱処理を行わなくても、風合いを損なうことなく、衣類等の繊維製品のしわを十分に除去することができ、且つ汗や皮脂臭などの臭いを除去することができる、しわ取り消臭剤組成物が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
<(a)成分>
(a)成分の炭素数10〜22の炭化水素基としては、炭素数12〜18のアルキル基又は炭素数12〜18のアルケニル基が好ましく、炭素数16〜18のアルキル基がさらに好ましい。
【0009】
(a)成分としては、下記一般式(1)の化合物が好ましい。
R−Y−[(PO)m/(EO)n]−H (1)
〔式中、Rは炭素数10〜22の炭化水素基であり、POはC36Oを示し、EOはC24Oを示し、m及びnはそれぞれ平均付加モル数を示し、mは3〜100、nは1〜10の数であり、m及びnの合計は20〜110である。(PO)と(EO)はランダム付加でもブロック付加でもいずれでもよく、(PO)と(EO)の付加順序は問わない。Yは、−O−、−COO−、−CONH−又は−NHCO−のいずれかである。〕
【0010】
(a)成分の一般式(1)において、Rは炭素数10〜22の炭化水素基であり、好ましくは炭素数12〜20、より好ましくは12〜18のアルキル基又はアルケニル基であり、更に好ましくは、炭素数16〜18のアルキル基である。また、オキシプロピレン基(C36O基、以下、POと表記する場合もある)の平均付加モル数であるmは3〜100、好ましくは3〜60、より好ましくは10〜60の数であり、オキシエチレン基(C24O基、以下、EOと表記する場合もある)の平均付加モル数であるnは1〜10、好ましくは1〜9、より好ましくは1〜8の数であり、m及びnの合計は20〜110、好ましくは20〜90、より好ましくは20〜70である。POとEOのモル比m/nは好ましくは3〜12、より好ましくは4〜10である。Yは、より好ましくは−O−又は−COO−であり、更に好ましくは−O−であり、(PO)と(EO)は、ランダム付加でもブロック付加でもよく、(PO)と(EO)の付加順序は問わないが、好ましくはブロック付加であり、中でも下記一般式(2)で表される化合物がより好ましい。なお、PO、EOの平均付加モル数はNMRにより求めることができる。
R−O−(PO)m−(EO)n−H (2)
【0011】
(a)成分の含有量は、本発明のしわ取り消臭剤組成物中、0.01〜10質量%、更に0.01〜5質量%、更に0.01〜3質量%、特に0.01〜2質量%が好ましい。
【0012】
<(b)成分>
(b)成分の消臭基剤としては、臭気源をマスキング又は相殺することにより消臭するマスキング性(ないし相殺性)消臭基剤、臭気化合物を包接することにより消臭する包接性消臭基剤、又は臭気化合物を吸着することにより消臭する吸着性消臭基剤等が挙げられる。一般に、マスキングは、中和や二重結合による反応等の化学反応による方法と臭覚に刺激を与える方法により行われる。合成香料、天然香料等の香料成分は、これらのいずれかもしくは両方の方法で消臭効果を発現する。また、フラボノイド、亜鉛化合物等は、臭気化合物と反応することにより消臭効果を発現する(以下、このような消臭基剤を反応性消臭基剤という)。本発明の消臭基剤は、これらの方法により消臭効果を発現するものに限定されず、また複数の機能を持つものでもよい。例えば、香料としての植物精油等の天然由来の混合物には、臭覚に刺激を与えることによる消臭と臭気化合物との反応による消臭との両方の機能を兼ね備えるものがある。
【0013】
香料成分は、メチルイオノン、サリチル酸ヘキシル、イオノン、ヘディオン、フェノキシエタノール、アンバーコア、セドリルメチルエーテル、シネオール、カンファー、ピネン、リモネン、リナロール、酢酸リナロール、ネロール、酢酸ネリル、カルバクロール、チモール、シトロネロール、シトラール、ゲラニオール、サンタロール、ボルネオール、カルボン、酢酸ベンジル、オイゲノール、セドレン、酢酸ボルニル、メントール、メントン、メチルチャビコール、サイメン、プレゴール、アネトール、ツヨン、ジヒドロジャスモン、シス−ジャスモン、ジャスモン酸メチル、ジヒドロジャスモン酸メチルから選ばれるジャスモン誘導体から選ばれる1種以上の香料成分を用いることが好ましい。これらの中でも特にジャスモン誘導体が消臭効果の点から好適である。香料成分を配合する場合は、本発明のしわ取り消臭剤組成物中に0.001〜1質量%、特に0.005〜0.5質量%配合するのが好ましい。
【0014】
また、消臭効果を有する植物抽出物を用いることも好ましく、ツバキ科植物、しそ科植物、及び生姜科植物から選ばれる植物の抽出物が好適である。ツバキ科植物としては、茶、山茶花、ツバキ、サカキ、ヒサカキ、モッコクなどを挙げることができ、これらの生葉、その乾燥物、その加熱処理物などを用いることができる。これらの中でも茶の生葉、その乾燥物、あるいは蒸気若しくは焙煎等により加熱処理物されたものが好ましく、特に茶の生葉若しくはその乾燥物が入手の容易性、安全性などの観点から好ましい。
【0015】
しそ科植物の抽出物としては、バジル全草の水蒸気蒸留物、ラバンジンの花の水蒸気蒸留物、ラベンダーの花の水蒸気蒸留物、マージョラムの乾燥葉の水蒸気蒸留物、ペパーミントの全草の水蒸気蒸留物、スペアミントの水蒸気蒸留物、ハッカの全草の水蒸気蒸留物、パチュリの葉の水蒸気蒸留物、ペニーロイヤルの全草の水蒸気蒸留物、ペリラの全草の水蒸気蒸留物、ローズマリーの花及び葉の水蒸気蒸留物、セージクラリーの全草、花穂の水蒸気蒸留物、セージの乾燥葉の水蒸気蒸留物、スパイクラベンダーの花の水蒸気蒸留物、タイムの全草の水蒸気蒸留物を挙げることができ、特にペパーミントの全草の水蒸気蒸留物、スペアミントの水蒸気蒸留物、ハッカの全草の水蒸気蒸留物から選ばれる1種以上が好適である。
【0016】
また、生姜科植物の抽出物としてはカルダモンの乾燥果実の水蒸気蒸留物、ジンジャーの乾燥根茎の水蒸気蒸留物が好適である。
【0017】
植物抽出物を使用する場合には、本発明のしわ取り消臭剤組成物中に0.001〜1質量%、特に0.005〜0.5質量%配合するのが好ましい。
【0018】
反応性消臭基剤としては、フラボノイド、亜鉛化合物が挙げられる。フラボノイドは、カルコン、フラバノン、フラバノール、フラボン、フラボノール、イソフラボンまたはカテキンが有用である。フラボノイドを消臭基剤として用いる場合は、本発明のしわ取り消臭剤組成物中に好ましくは0.001〜1質量%、特に好ましくは0.005〜0.5質量%配合するのが、消臭効果の点で望ましい。亜鉛化合物としては、塩化亜鉛、亜鉛石けん等が挙げられる。亜鉛化合物を消臭基剤として用いる場合は、本発明のしわ取り消臭剤組成物中に0.001〜2質量%、特に0.005〜1質量%配合するのが好ましい。
【0019】
本発明では、上記以外の反応性消臭基剤として、消臭基剤として炭素数8〜18のアルキル基を少なくとも1つ有する、カチオン基を有する化合物を使用することも可能である。これらの化合物の中でも特に下記一般式(II)、(III)又は(IV)の化合物が好ましく、一般式(IV)のアミンオキシドが消臭効果の点で最も優れている。
【0020】
【化1】

【0021】
〔式中、R11、R21、R31は、それぞれ炭素数8〜18のアルキル基又はアルケニル基であり、R12、R13、R14、R22、R23、R32、R33は、それぞれ炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基、R34は炭素数1〜5のアルキレン基である。Yは−CONR35−、−NR35CO−、−COO−、−OCO−から選ばれる連結基である。ここで、R35は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基である。X-はハロゲン、炭素数1〜14の脂肪酸、炭素数1〜3の低級アルコールの硫酸エステルに由来する陰イオン基を示す。〕
【0022】
上記一般式(II)、(III)又は(IV)の化合物を消臭基剤として使用する場合は、消臭効果、持続性及び衣料の風合いの点から、本発明のしわ取り消臭剤組成物に0.1〜2質量%、特に0.2〜1.5質量%配合することが好ましい。
【0023】
更に、反応性の消臭基剤の一つとして、臭気化合物であるアミンや硫化物を中和することにより揮発性を低減させ消臭するものが挙げられる。このような消臭基剤は、pHがアルカリ側(pH10以上)に変動するのを抑制する性能を有する成分であり、具体的には、乳酸、グルコン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クエン酸、フタル酸、酢酸、安息香酸、サリチル酸、ジエチルバルビツル酸等のカルボン酸、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、セリン、グルタミン酸、アスパラギン酸等のアミノ酸、リン酸、ホウ酸等の無機酸、あるいはこれら酸のアルカリ金属塩、アミン塩等が挙げられる。アルカリ金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等、アミン塩としては、トリエタノールアミン塩等が挙げられる。これらの中では、リン酸、クエン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸又はこれらのアルカリ金属塩が好ましく、リン酸2水素ナトリウム、リン酸2水素カリウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、クエン酸が更に好ましい。
【0024】
本発明のしわ取り消臭剤組成物に上記pH変動抑制能を与える化合物は、上記のpH変動抑制能を満たすよう、本発明のしわ取り消臭剤組成物に0.01〜3質量%、特に0.05〜2質量%配合するのが好ましい。
【0025】
また、本発明のしわ取り消臭剤組成物の25℃におけるpHは6〜9.5、更に6.5〜9.5、特に6.8〜9が好ましく、上記pH変動抑制能を与える化合物は、pHがこの範囲となるように種類、配合量等を調整することが望ましい。
【0026】
包接性の消臭基剤としては、シクロデキストリン又はその誘導体等の包接化合物が挙げられる。包接化合物を消臭基剤として用いる場合は、本発明のしわ取り消臭剤組成物中に好ましくは0.05〜5質量%、より好ましくは0.1〜3質量%含有される。また、吸着性の消臭基剤としては、タルク等が挙げられる。
【0027】
本発明では、好ましくはマスキング性(ないし相殺性)消臭基剤及び/又は反応性消臭基剤を使用することであり、より好ましくは消臭基剤として上記消炭素数8〜18のアルキル基を少なくとも1つ有する、カチオン基を有する化合物を使用するか、あるいは、本発明のしわ取り消臭剤組成物にpH変動抑制能を与える化合物を配合することであり、最も好ましくは両者を併用することが消臭効果及び効果の持続性の点で好ましい。
【0028】
<しわ取り消臭剤組成物>
(a)成分及び(b)成分の効果を更に高めるうえで(a)成分及び(b)成分の配合比率は、(a)/(b)の質量比で、好ましくは10/1〜1/10、より好ましくは8/1〜1/8、更に好ましくは6/1〜1/6、特に好ましくは5/1〜1/5である。
【0029】
本発明のしわ取り消臭剤組成物において、(a)成分、(b)成分以外の残部は水とすることができる。また必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、更に、界面活性剤、多価アルコール、及び一般に添加される各種の溶剤、ゲル化剤、硫酸ナトリウムやN,N,N−トリメチルグリシン等の塩、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤、殺菌・抗菌剤、香料、色素、紫外線吸収剤等の他の成分を添加することができる。
【0030】
界面活性剤としては、特に制限はなく、非イオン性界面活性剤、一般式(II)以外の陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、及び一般式(III)又は(IV)以外の両性界面活性剤の中から選ばれる1種以上が挙げられる。これらの中では、非イオン性界面活性剤が好ましく、下記一般式(3)で表される化合物が、消臭性能及びしわ除去性能の点から、特に好ましい。
1−Z−[(EO)s/(PO)t]−R2 (3)
〔式(3)中、R1は、炭素数10〜22のアルキル基又はアルケニル基であり、R2は、水素原子、又は炭素数1〜3のアルキル基であり、Zは−O−又は−COO−のいずれかであり、EOは、オキシエチレン基であり、POはオキシプロピレン基であり、(EO)と(PO)はランダム付加でもブロック付加でもいずれでもよく、(EO)と(PO)の付加順序は問わない。s及びtは平均付加モル数であり、s+tの合計は5〜15の数であり、tは2以下の数である。〕
【0031】
消臭性能向上の観点から、一般式(3)で表される化合物のR1は、好ましくは炭素数10〜18、より好ましくは炭素数10〜16、更に好ましくは炭素数10〜14のアルキル基又はアルケニル基であり、R2は、好ましくは水素原子、又は炭素数1〜2のアルキル基、より好ましくは水素原子又はメチル基、更に好ましくは水素原子である。
【0032】
また、一般式(3)のsは、好ましくは5〜14の数、より好ましくは5〜13、更に好ましくは5〜12であり、tは好ましくは0である。一般式(3)で表される化合物としては、ポリオキシエチレン(n=6〜12)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(n=5〜12)モノアルキル(炭素数12〜14の2級の炭化水素基)エーテル、ラウリン酸ポリオキシチレン(n=6〜13)メチルエーテルから選ばれる1種以上が特に好ましい。ここで、nはオキシエチレン基の平均付加モル数である。
【0033】
溶剤としては、水、エタノール、イソプロパノール等の低級(炭素数3〜4)アルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール等の多価アルコール類(炭素数2〜12)、エチレングリコールやプロピレングリコールのモノエチル又はモノブチルエーテル、ジエチレングリコールやジプロピレングリコールのモノエチル又はモノブチルエーテル、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール、フェノール性化合物のエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物等が挙げられる。
【0034】
本発明のしわ取り消臭剤組成物の使用形態は、液状、ゲル状、粉状、粒状等の固体状とすることができる。液状の場合には、特にスプレー、ローション等として繊維製品に用いることができる。本発明のしわ取り消臭剤組成物は、特に液状、更に水系組成物としてミストタイプのスプレー容器に充填し、一回の噴霧量を0.1〜1mlに調整したものが好ましい。使用するスプレー容器としては、トリガースプレー容器(直圧あるいは蓄圧型)やディスペンサータイプのポンプスプレー容器等の公知のスプレー容器を用いることができる。すなわち、本発明では、本発明のしわ取り消臭剤組成物、特に液状のしわ取り消臭剤組成物をスプレー容器に充填してなるスプレー式しわ取り消臭剤を得ることができる。本発明の組成物は、噴霧により繊維製品に付着させて、対象物の臭い及びしわを低減させることが好ましく、前記スプレー式しわ取り消臭剤はこの方法に好適に用いられる。繊維製品としては、スーツ、セーター等の衣類、カーテン、ソファー等が挙げられる。
【実施例】
【0035】
実施例1〜8及び比較例1〜2
<しわ取り消臭剤組成物の調製>
表1に示す配合処方のしわ取り消臭剤組成物を調製した。なお、非イオン性界面活性剤としてはポリオキシエチレン(平均付加モル数=8)ラウリルエーテルを使用し、抗菌剤としてはプロキセルBDN(アビシア株式会社製、10%水溶液)を使用し、得られた組成物は、1規定の塩酸又は1/10規定の水酸化ナトリウム水溶液でpH8(25℃)に調整した。表1中の記号の成分は下記のとおりである。
【0036】
(a)成分
・a−1:一般式(2)中のRが炭素数18の直鎖アルキル基、mが38、nが6の数である化合物
・a−2:一般式(2)中のRが炭素数16の直鎖アルキル基、mが15、nが3の数である化合物
・a−3:一般式(2)中のRが炭素数12の直鎖アルキル基、mが25、nが5の数である化合物
・a−4:一般式(1)中のRが炭素数18の直鎖アルキル基、Yが−O−、mが38、nが6の数であり、R−Y−に(EO)と(PO)がこの順でブロック付加した化合物〔R−Y−(EO)n−(PO)m−Hの化合物〕
・a−5:一般式(1)中のRが炭素数18の直鎖アルキル基、Yが−O−、mが30、nが5の数であり、(PO)と(EO)がランダム付加である化合物
【0037】
(b)成分
・b−1:アミドプロピルアミンオキシド(ラウリン酸とジメチルアミノプロピルアミンとのアミド化物を過酸化水素により反応させて得たもの)
・b−2:ジメチルラウリルアミンオキシド(アンヒトール20N、花王株式会社製)
・b−3:緑茶乾留エキス(白井松新薬(株)製、フレッシュシライマツFS−1000)
・b−4:メチルジヒドロジャスモン
・b−5:りん酸2水素ナトリウム
・b−6:β−シクロデキストリン
【0038】
<消臭効果の評価>
(1)消臭対象物の調製
木綿メリアス布(10cm×10cm)に、臭気成分として、カプロン酸の10ppmエタノール溶液をスプレーバイアル(株式会社マルエム、No.6)を用いて1回スプレーし、30分間乾燥させた後、試験片とした。
【0039】
(2)消臭方法
上記方法にて得た試験片に、表1に示す配合処方のしわ取り消臭剤組成物をスプレーバイアル(株式会社マルエム、No.6)を用いて6回スプレーし、1時間乾燥させた。
【0040】
(3)消臭性能評価
30歳代の男性5人及び女性5人の計10人のパネラーに、試験片の臭いを嗅いでもらい、下記の6段階の臭気強度表示法で評価し、その平均値を求めた。
0:無臭
1:何の臭いか分からないが、ややかすかに何かを感じる強さ(検知閾値のレベル)
2:何の臭いか分かる、容易に感じる弱い臭い(認知閾値のレベル)
3:明らかに感じる臭い
4:強い臭い
5:耐えられないほど強い臭い
平均値0以上1未満を◎、平均値1以上1.5未満を□、平均値1.5以上2未満を○、平均値2以上3未満を△、平均値3以上5以下を×として評価した。評価は◎、□又は○が好ましい。結果を表1に示す。
【0041】
<しわ取り効果の評価>
(1)しわつけ方法
ウール生地(ウールサージ、(株)谷頭商店)からなる試験布20cm×10cmにイオン交換水をスプレー噴霧して湿潤させた後、試験布を2つ折りにして、40℃に設定した恒温室内で折り目部分に2kgの重りをのせ、24時間放置することによって、これをしわ取り評価のモデルじわとした。
【0042】
(2)しわ取り方法
上記方法にて作成したモデルじわのついた試験布に対し、表1に示すしわ取り消臭剤組成物をスプレー容器(キャニオン製、T−7500)を用いて試験布乾燥時質量に対して50質量%噴霧した後、25℃/50%RHの恒温室に12時間放置し、自然乾燥させた。乾燥終了後、試験布のしわの取れ具合を判定した。
【0043】
(3)しわ取り性能評価
判定は、しわ取り消臭剤組成物をスプレー処理した布と、処理前の布(対照)とを、熟練した5人のパネラーに下記の基準で採点してもらい、平均点を求めた。平均点1以上1.5未満を◎、1.5以上2未満を□、2以上3未満を○、3以上4未満を△、4以上5以下を×とした。◎、□又は○が好ましい。
1:全くしわがない
2:ほとんどしわがない
3:僅かにしわが残っている
4:相当しわが残っている
5:著しくしわが残っている
【0044】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)炭素数10〜22の炭化水素基と、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基の平均付加モル数が合計で20〜200であるポリオキシアルキレン基とを有する非イオン性化合物、並びに(b)消臭基剤を含有するしわ取り消臭剤組成物。
【請求項2】
(a)成分のオキシエチレン基の平均付加モル数(n)とオキシプロピレン基の平均付加モル数(m)のモル比m/nが3〜12である請求項1記載のしわ取り消臭剤組成物。
【請求項3】
(a)成分が下記一般式(1)の化合物である請求項1又は2記載のしわ取り消臭剤組成物。
R−Y−[(PO)m/(EO)n]−H (1)
〔式中、Rは炭素数10〜22の炭化水素基であり、POはC36Oを示し、EOはC24Oを示し、m及びnはそれぞれ平均付加モル数を示し、mは3〜100、nは1〜10の数であり、m及びnの合計は20〜110である。(PO)と(EO)はランダム付加でもブロック付加でもいずれでもよく、(PO)と(EO)の付加順序は問わない。Yは、−O−、−COO−、−CONH−又は−NHCO−のいずれかである。〕
【請求項4】
液状である、請求項1〜3のいずれかに記載のしわ取り消臭剤組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のしわ取り消臭剤組成物を、噴霧により繊維製品に付着させ、対象物の臭い及びしわを低減させるしわ取り消臭方法。

【公開番号】特開2007−239122(P2007−239122A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−60711(P2006−60711)
【出願日】平成18年3月7日(2006.3.7)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】