説明

すべての組織株についての幹細胞成熟

本発明は、始原性細胞または胚幹細胞に由来する核を有する除核された成体幹細胞を含む、ハイブリッド幹細胞を提供する。始原性細胞は、ドナー動物または哺乳類由来の精原細胞または卵原細胞であり得る。除核された成体幹細胞は、電気融合、ウイルスベースの融合方法論、化学融合または機械ベースの融合を含むがこれらに限定されない多くの方法によって始原性細胞または胚幹細胞に融合され得る。この除核された成体幹細胞と始原性細胞とは同じ動物または異なる動物に由来し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、細胞生物学の分野に関する。より詳しくは、本発明は、細胞療法(特に幹細胞療法)の分野に関する。本発明は、ハイブリッド幹細胞ならびにそれらの調製および使用のための関連した方法を提供する。本発明のハイブリッド幹細胞は、罹病したおよび損傷を受けた、組織および器官を処置する必要のある哺乳類において罹病したおよび損傷を受けた、組織および器官を処置することに有用である。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ヒト胚盤胞からの胚幹(ES)細胞の単離の最初の記載以来、胚幹細胞および成体幹細胞の単離および特徴付けに関して多くの報告が表面化した(非特許文献1)。
【0003】
幹細胞(胚性幹細胞および成体幹細胞)は、長期の自己再生が可能であり、特定の形態および機能を有する成熟した細胞型を生じ得る。同様に、胚幹(ES)細胞(胚盤胞の内側の塊から生じる)のように、成体幹細胞の起源は、共通の起源を共有すること。
【0004】
典型的に成体幹細胞は、少なくとも2つの特徴を共有する:i)これらは、長期間にわたってそれら自体の同一のコピーを作製し得る(長期自己再生);そしてこれらは、特有の形態および特化した機能を有する成熟した細胞型を生じ得る(非特許文献2;http://www.nih.gov/news/stemcell/scireport.htm)。成体幹細胞は、ES細胞に関連した多能性を欠如し得るが、少なくとも1tの報告は、成体幹細胞が以前に認識されていたよりも大きな柔軟性を示すことを示唆した(非特許文献3)。
【0005】
最終的に、柔軟性を示すためには、成体幹細胞は、成熟した表現型を有する完全に分化した細胞を生じるべきである。成体幹細胞はまた、新たな組織環境に完全に組み込まれるべきであり、その組織にとって適切な特化した組織機能を果たし得るべきである(非特許文献2)。
【0006】
成体幹細胞の柔軟性を研究することの困難は、成体幹細胞が、1種類の細胞または細胞集団から生じたことを確立することである。現在までに最もよく研究された成体幹細胞は、骨髄および脳細胞に基づく。しかし、骨髄由来の幹細胞(すなわち、造血幹細胞)、間質細胞および/または内皮細胞由来の幹細胞、ならびに脳由来の幹細胞(すなわち、神経芽細胞)を使用した研究は、それらの制限を有する。例えば、骨髄由来の造血幹細胞は、セルソータを使用して選別される。セルソータは、様々な細胞表面マーカに従って細胞を選別する。この方法論は、高度に精製された細胞型〜部分的に精製された細胞型を生じる。別の例では、ニューロン幹細胞は異なる組織(すなわち、マウスの嗅球、海馬および側脳室)に局在し、そして、1つの便利な場所または器官組織には局所しないので、ニューロン幹細胞の精製は困難である(非特許文献4および非特許文献5)。
【0007】
成体幹細胞の他の候補は、内皮の始原細胞、骨格筋幹細胞、皮膚および消化器系の上皮細胞前駆体、ならびに膵臓および肝臓の幹細胞である(非特許文献2)。
【0008】
別の種類の成体幹細胞は、精巣の精細管の管壁および卵巣の管壁に存在する生殖細胞、すなわち始原性細胞(primordial sex cell;PSC)(それぞれ、精原細胞および卵原細胞)から誘導される。精原細胞は、減数分裂に関係している前駆細胞を生じる。少なくとも2種類の精原細胞(A型およびB型)が存在し、これらは、独特の特徴に基づいて識別され得る。例えば、A型精原細胞は、より球形であり、顕著な核小体および一様に散在した真正染色質を伴う。他方、B型精原細胞は、形状がより不規則であり、より小さく、葉状の核を有する傾向がある(非特許文献6および非特許文献7)。従って、他の成体幹細胞とは異なり、成体生殖細胞は、位置を決めるのが容易であり、かつ他の間質細胞とは区別される。
【0009】
他の成体体細胞幹細胞と同様に、成体生殖細胞は二倍体(2n)である。他の成体体細胞幹細胞とは対照的に、生殖細胞(精原細胞および卵原細胞)は、損傷を受けておらずかつ損なわれていないゲノムを含む。他方、体細胞性の細胞DNAは、加齢により、そして補充速度が遅いために、より損傷を受けている(すなわち、フリーラジカル)。さらに、体細胞幹細胞は、最後に、身体組織をつくる分化の力に屈する。従って、損傷を受けていないDNAを含む幹細胞を含む方法が好ましい。
【0010】
インビボでの成体幹細胞移植に関する持続した問題は、免疫性拒否の問題である。従って、現在まで、レシピエントの幹細胞は、レシピエントの免疫系によって細胞が拒絶されないドナーに依存している。
【非特許文献1】Bongso,A.ら.,Isolation and culture of inner cell mass cells from human blastocyst,Hum.Reprod.U.S.A.9,(1996)2110−17
【非特許文献2】Stem Cells:Scientific Progress and Future Research Directions,Dept.of Health and Human Services,2001年1月
【非特許文献3】Lagasse,E.ら,Purified hematopoietic stem cells can differentiate into hepatocytes in vivo,Nat.Med.(2000)6,1229−34
【非特許文献4】Altman,J.およびDas,G.D.,Autoradiographic and histological evidence of postnatal hippocampal neurogenesis in rats,J.Compl Neurol.,(1965)124,319−335;
【非特許文献5】Altman,J.,Autoradiographic and histological studies of postnatal neurogenesis.IV.Cell proliferation and migration into the anterior forebrain,with special reference to persisting neurogenesis in the olfactory bulb,J.Compl Neurol.,(1969)137,433−457
【非特許文献6】Guillaume Eら,Proteome analysis of rat spermatogonia:reinvestigation of stathmin spatio−temporal expression within the testis,Mol.Reprod.Dev.,(2001)60(4):439−45.
【非特許文献7】Chiarini−Garcia,H.およびRussell,L.D.Characterization of mouse spermatogonia by transmission electron microscopy,Reproduction,(2002)123(4):567−77
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、単離および精製が容易でありながらも高い長期自己再生率を有しかつ同時にインビボまたはインビトロでトランスロケーションする場合に関連する免疫拒否を低減する、成体幹細胞を提供する改善された方法は、幹細胞生物学および治療剤としてのそれらの用途と関連した既存の課題を改善する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(発明の要旨)
本発明の1つの目的は、始原性細胞または胚幹細胞由来の核を有する除核された成体幹細胞を含む、ハイブリッド幹細胞(HSC)を提供することである。
【0013】
必要に応じて、HSCは、同じ動物に由来する、除核された成体幹細胞および始原性細胞を含み得る。さらに、成体幹細胞および始原性細胞が同じ動物に由来する場合、動物は必要に応じて哺乳類であり得る。本発明の別々の実施形態では、HSCは、出生後の動物において、生物学的に活性である。
【0014】
本発明の別の実施形態では、HSCは、始原性細胞由来の核を有する除核された成体幹細胞を含む。一実施形態では、始原性細胞は、精原細胞である。別の異なる実施形態では、始原性細胞は、未分化精原細胞である。さらに別の実施形態では、始原性細胞は、分化した精原細胞である。あるいは、さらに別々の実施形態では、始原性細胞は、卵原細胞であり得る。
【0015】
本発明の別の実施形態では、HSCは、電気融合を使用して始原性細胞と融合された、除核された成体幹細胞を含む。必要に応じて、異なる実施形態では、HSCは、ウイルスベースの融合方法論を使用して始原性細胞と融合された、除核された成体幹細胞を含む。あるいは、HSCは、化学融合を使用して始原性細胞と融合された、除核された成体幹細胞を含む。さらに、HSCは、機械ベースの融合を使用して始原性細胞と融合させた除核された成体幹細胞を必要に応じて含み得る。
【0016】
本発明の別の実施形態は、改変された生殖細胞を調製するための方法を提供し、この方法は、以下の工程を包含する:(a)第1のドナー動物から成体幹細胞を得る工程;(b)第1のドナー動物と同じ種の第2のドナー動物から始原性細胞(PSC)を得る工程;(c)成体幹細胞を除核する工程、および(d)除核された成体幹細胞をPSCと融合させる工程。
【0017】
本発明の異なる実施形態では、治療組成物は、始原性細胞または胚幹細胞由来の核を有する除核された成体幹細胞を含む。必要に応じて、別の実施形態では、治療組成物は、罹病したか損傷を受けた組織を再生させる必要のある動物の罹病したか損傷を受けた組織を再生させるために用いられる。異なる実施形態では、治療組成物によって再生される組織は、心臓組織である。代替実施形態では、治療組成物は、肺、肝臓、神経、腎臓または体細胞性筋組織を再生させる。
【0018】
さらに別の実施形態では、融合した細胞は、除核された成体幹細胞、および除核された成体幹細胞に融合した、始原性細胞または胚幹細胞のうちの1つを含む。異なる実施形態では、始原性細胞は、除核された成体幹細胞に融合される。必要に応じて、他の実施形態では、胚幹細胞は、除核された成体幹細胞に融合される。
【0019】
本発明のさらなる実施形態は、除核された成体幹細胞と始原性細胞とが同じ種内の異なる個体に由来するHSCを含む。
【0020】
あるいは、除核された成体幹細胞と始原性細胞とが同じ個体に由来するHSCを含む。
【0021】
さらに、本発明のHSCは、同じ個体に由来する、除核された成体幹細胞および胚幹細胞を含む細胞を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(特定の用語の定義)
本明細書で用いられる場合、用語「始原性」細胞は、二倍体生殖細胞および/または精原細胞および卵原細胞を意味する。
【0023】
本明細書で用いられる場合、用語「精原細胞」は、第一精母細胞の前駆体を生じる始原男性性細胞を意味する。
【0024】
本明細書で用いられる場合、用語「卵原細胞」は、卵子の供給源として作用する始原雌性性細胞を意味する。
【0025】
本明細書で用いられる場合、用語「卵子」は、精子によって受精した場合に発生して新しい動物となり得る、一倍体の未受精卵である雌性配偶子を意味する。
【0026】
本明細書で用いられる場合、用語「卵母細胞」は、卵子形成において発生中の卵細胞であって、減数分裂を受けて卵を形成する卵細胞を意味する。
【0027】
本明細書で用いられる場合、用語「幹細胞」は、最終的に、特定の系列に発生的に制限された細胞を生成する前駆細胞を再生し得、そしてまた前駆細胞を生じ得る細胞を記載する。
【0028】
本明細書で用いられる場合、用語「バイオリアクタ」は、インビトロで細胞を増殖させ、増幅させ、維持し、そして成熟させるための特別なチャンバを意味する。
【0029】
本明細書で用いられる場合、用語「ハイブリッド幹細胞」は、除核された成体幹細胞を使用して作製され、始原生殖細胞または胚幹細胞のいずれかから移植された核を有する、幹細胞をいう。読者は、造血幹細胞を意味するために略号「HSC」を使用するのが慣例であり得ると警告される。しかし、本明細書で用いられる場合、「HSC」は、ハイブリッド幹細胞の略号である。
【0030】
(発明の詳細な説明)
この説明は、限定した意味で解釈されるべきでなく、単に本発明の一般原則を例示することを目的としてなされる。本詳細な説明の節の標題および全体の組織は、便宜を図ることのみを目的としており、本発明を限定することを意図しない。
【0031】
本明細書において用いられる用語ハイブリッド幹細胞は、始原性細胞または胚幹細胞由来の核を有する除核された成体幹細胞から構成される細胞を記載する。
【0032】
本明細書において記載されている本発明は、ハイブリッド幹細胞(HSC)組成物の調製および使用に関する。HSC組成物は、一般に、除核された成体幹細胞にドナー生殖細胞または幹細胞の核を提供することにより調製される。HSCは、成体幹細胞由来の表面抗原およびレセプターを保有するが、発生的により若い細胞由来の核を有する。その結果、本発明のHSCは、サイトカイン、ケモカインおよび他の細胞シグナル伝達因子を受容するが、年齢に関連する損傷がない核を保有する。年齢に関連する損害としては、核酸フリーラジカル損傷およびテロメアの短縮が挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
本発明の教示に従って作製されるHSCは、広範囲にわたる治療適用に有用である。例えば、そして限定を意図しないが、本発明のHSCは、もともとの幹細胞が年齢または切除療法(例えば、癌放射線および化学療法)によって減少した動物の幹細胞を補充するために用いられ得る。別の非限定的な例において、本発明のHSCは、器官再生および組織修復に有用である。本発明の一実施形態では、HSCは、ジストロフィーの筋肉および虚血事象(例えば、心筋梗塞)によって損傷を受けた筋肉を含め、損傷を受けた筋組織を生き返らせるために用いることができる。本発明の別の実施形態では、本明細書において開示されるHSC組成物は、外傷または手術後の動物における瘢痕を改善するために用いられ得る。この実施形態では、本発明のHSCは、(好ましくは静脈内に)全身投与され、損傷を受けた細胞が分泌する循環サイトカインにより補充される最近外傷を受けた組織部位に移動する。
【0034】
一実施形態では、本発明のHSCは、除核される成体幹細胞を利用し、次いで胚幹細胞または始原性細胞のいずれかと融合される。一実施形態では、除核された成体幹細胞は、始原性細胞に融合される。除核された成体幹細胞および始原性細胞は、同じ動物に由来してもよく、または異なる動物に由来してもよい。得られるHSCは、任意の動物または動物の組合せから作製され得、そして任意の他の動物にトランスロケーションされ得、好ましくは、HSCは出生後の動物において、生物学的に活性である。
【0035】
本発明の一実施形態では、始原性細胞は、精原細胞である。始原性細胞は、未分化精原細胞であってもよく、または分化した精原細胞であってもよい。あるいは、本発明の異なる実施形態では、始原性細胞は、卵原細胞である。
【0036】
除核された成体幹細胞は、当業者に公知の様々な方法によって始原性細胞と融合され得る。例えば、この種の融解方法としては、電気融合、ウイルスベースの融合方法論、化学融合、そして、機械ベースの融合が挙げられるが、これらに限定されない。上述した方法の全ては、当業者によって周知である。従って、この公知の方法の説明を提供することは必要ではない。さらに、除核された成体幹細胞を始原性細胞に融合する方法は、上記の方法に限定されない。同じ結果を得るために他の融合方法論を使用することは、当業者にとって明らかである。
【0037】
あるいは、本発明の異なる実施形態では、HSCは、胚幹細胞に融合された、除核された成体幹細胞を含み得る。この特定の実施形態については、上記に列挙したのと同じ融合方法論を利用してHSCを獲得し得る。さらに、この融合技術は、上記に言及した方法に限定されない。
【0038】
除核および核形成の代替法は、顕微手術技術を使用した脱核および核形成の機械的方法を含め、本発明の範囲内であることが意図される。細胞融合技術が最も生物学的に活性な形態のHSCを提供し得ることが想像され、同時係属中の米国特許出願第10/346,816号(’816出願)において教示される技術および方法もまた、本発明に適用可能である。’816出願の内容全体は、本明細書中に参考として援用される。
【0039】
本発明の教示に従って作製されるHSCは、全能性であってもよく、多能性であってもよく、多分化性(multipotent)であってもよく、または両能性であってもよい。HSCは、少なくとも一種類の組織を形成し得、より詳しくは、HSCは少なくとも一種類より多くの組織を形成し得る。一旦HSCが確立されたら、これは、所望の特徴を生じるために本明細書において記載されている様々な方法により操作され得る。例えば、ハイブリッド幹細胞は、特定の培地中で増幅されて維持され得る。
【0040】
HSC調製物は同じ種に由来してもよく、または、異なる種に由来してもよい。HSCのトランスロケーションは、同じ種の宿主へであってもよく、または異なる種の宿主へであってもよい。
【0041】
あるいは、初回刺激されたHSCを用いて、異常な状態および組織修復を処置するための治療剤用の細胞を誘導し得る。
【0042】
本発明の別の実施形態では、治療組成物は、始原性細胞または胚幹細胞由来の核を有する除核された成体幹細胞を含む。この治療組成物を用いて、罹病したかまたは損傷を受けた組織を再生させる必要のある動物の罹病したかまたは損傷を受けた組織を再生させ得る。罹病したかまたは損傷を受けた組織としては、心臓組織、肺組織および他の身体組織のような組織が挙げられ得る。
【実施例】
【0043】
本明細書において記載されていないすべての細胞型および他の材料は、利用できる供給源および/または当該分野において使用される標準的な方法によって入手される。
【0044】
他に定義しない限り、本明細書において用いられるすべての技術用語および科学用語は共通に、本発明が属する分野の当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。
【0045】
本明細書において記載されるすべての刊行物は、本明細書中に参考として援用されて、参考文献が関連して引用された特定の情報を記載および開示しており、従来の発明によってこの種の開示に権利を与えないことを承認したと解釈されるべきではない。
【0046】
この記載の全体にわたって、示される好ましい実施形態および実施例は、本発明に対する制限としてよりはむしろ、典型とみなされるべきである。
【0047】
(実施例1:始原性細胞(PSC)の単離)
哺乳類または動物に麻酔し、そして性腺を取り出して、離断する。始原性細胞(PSC)を、顕微鏡を用いて分離する。あるいは、性腺の生検パンチを使用し得、そしてPSCを、顕微鏡を用いて分離し得る。顕微鏡下で、PSCは、幹細胞の形態(すなわち、大きく、丸く、かつ滑らか)を有し、性腺から機械的に回収される。特に、精原細胞および卵原細胞を、性腺から回収する。特に、A型精原細胞およびB型精原細胞を回収する。
【0048】
卵子を得るために、動物を過剰排卵させ、そして少なくとも一つの卵子を回収し、栄養培地中に入れ、それを生存可能に保つ。マイクロピペットを用いて卵子を適所に保持し、そして別のマイクロピペットを、その先端が卵子の核と隣接するまで、この卵子に入れる。わずかに真空を適用することにより、この卵子を除核し得る。卵子(1n)核を棄てる。今度は核を保持して細胞質ゾルを棄てること以外は、除核方法(上記)をPSC(すなわち、精原細胞および/または卵原細胞)について繰り返す。
【0049】
他の機械的方法ならびに電気刺激を利用する方法を含め、除核および核形成の他の方法は、本発明の範囲内であることが意図される。
【0050】
(実施例2:A型精原細胞の単離および精製)
以下は、A型精原細胞を単離し、精製するための例示的な実施例である。工程1において、6日齢のドナーマウス(n=8)から精巣を取り出し、そして、10%のペニシリン−ストレプトマイシンを含む無菌リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)を有するペトリ皿に配置する。
【0051】
次に、工程2において、精巣を解剖顕微鏡下で被膜剥離し、そして輸精索/精細管を集め、プールし、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM;Specialty Media)中の2mg/mlコラゲナーゼ(Sigma Chemicals,St.Louis,MO)および10μg/ml DNase I(Sigma Chemicals,St.Louis,MO)の溶液を含んでいる円錐型の遠心管に配置する。
【0052】
工程3において、遠心分離の後、時々穏やかにピペッティングして間質ライディヒ細胞を精細管から解離させながら、シェーカー上で37℃にて30分間インキュベートする。
【0053】
工程4において、インキュベーション後、精細管を管の底に沈澱させ、ライディヒ細胞を含む上清を除去する。
【0054】
工程5において、消化および沈澱の工程をもう一度繰り返す。
【0055】
工程6において、精細管をDMEMで二回洗浄し、そして、周細管性細胞が精細管から脱離するまで、2mg/mlコラゲナーゼ、10μg/ml Dnaseおよび1mg/mlのIII型ヒアルロニダーゼ(Sigma Chemicals,St.Louis,MO)により、37℃にて20〜30分間、振盪水浴中でさらに消化する。
【0056】
工程7において、精細管を沈澱させ、そして周細管性細胞を含む上清を棄てた。
【0057】
工程8において、ペレットに、単細胞懸濁液が得られるまで、2mg/mlのコラゲナーゼ、10μg/ml Dnase Iおよび1mg/mlのIII型ヒアルロニダーゼを含むDMEMを添加することにより、4回目の消化を行う。この消化により、セルトリ細胞およびA型精原細胞を含む細胞懸濁液が得られる。
【0058】
工程9において、細胞をDMEMで二回洗浄し、80μmナイロンメッシュ(Tetko)を通してろ過する。
【0059】
工程10において、A型精原細胞をセルトリ細胞から単離するために、細胞混合物を、c−kitレセプターの細胞外領域を認識するラット抗マウス抗体(クローン2B8;Pharmigen)の1:200希釈物とともに1時間インキュベートする。
。A型精原細胞を成体から単離するためには、血友病接着分子Ep−CAMを認識するラット抗マウス抗体(クローンG8.8、Develomental Studies Hybridoma Bank;University of Iowa,Iowa City,Ia;Andersonら,1999)の1:200希釈物を使用することが推奨される。
【0060】
工程11において、細胞を、旋回回転器(Boekel Scientific)上で30分間インキュベートする。次いで、細胞懸濁液を遠心分離し、そして上清を除去し、そしてペレットをDMEMで二回洗浄して、あらゆる過剰な抗体を除去する。
【0061】
工程12において、細胞を、4mlの培養培地中に再懸濁する。次いで、ヒツジ抗ラット免疫グロブリンGでコーティングしたM−450磁気ビーズ(Dynabeads;Dynal)をこの細胞懸濁液と、ビーズ4つ/標的細胞の比率で、シェーカー上で34℃にて1時間混合する。遠心管の壁に適用した磁石を用いて、懸濁液からc−kit陽性細胞を引き抜く。c−kit陽性細胞(A型精原細胞)は、壁に粘着する。A型精原細胞を収集し、そして5mlの培養培地に再懸濁する。
【0062】
(実施例3:成体幹細胞の単離および精製)
以下は、具体的には、成体動物幹細胞(特に、多分化能性成体前駆細胞(MAPC))を分離および精製する手順の例示的な実施例である。第一に、工程1において、大腿骨および脛骨を5〜8週齢のドナーから取り出し、そして骨を氷上のHBSS+(Gibco−BRL 14170161)/2% FBS(Hyclone)/10mM HEPES緩衝液(Gibco−BRL 15630080)中に配置する。骨は、筋肉および脂肪組織を含まないべきである。骨を洗い流しの直前に切断して、BMCの損失をなくす。さらに、骨を、加工するまで常に氷上で保持する。
【0063】
次に、工程2において、脛骨および大腿骨を、HBSS+(Gibco−BRL 14170161)/2% FBS(Hyclone)/10mM HEPES緩衝液(Gibco−BRL 15630080)を充填した3ccのシリンジを使用して22ゲージの針で洗い流す。(使用するドナーの数に応じて、骨を洗い流すときに、サンプルの全てが1つの15ml円錐管に適合するように、15mlより多くのHBSS+を使用しないことを試みることが最良である。)BMCは、18ゲージの針および3ccのシリンジを使用して、懸濁液を上下に洗い流すことによって再懸濁される。懸濁液は、凝集塊を分解するのに十分に強制的に、しかし、細胞が損傷を受けるほど強制的でなく、洗い流される。サンプルおよび培地を、可能な限りずっと氷上で保持する。
【0064】
工程3において、骨髄単核細胞(BMMNC)を、Ficoll−Hypaque分離によって集める。
【0065】
工程4において、v1×10/cm BMMNCを、フィブロネクチン(FN;Sigma Chemicals,St.Louis,MO)でコーティングした皿(10ng/mL)にプレーティングする。
【0066】
工程5において、以下からなるMAPC培地を作製する:60% DMEM−LG(Gibco BRL)、1×インスリン−トランスフェリン−セレン(ITS)を有する40% MCDB−201(Sigma Chemicals,St.Louis,MO)、1×リノール酸−ウシ血清アルブミン(LA−BSA)、10−9Mデキサメサゾン(Sigma Chemicals,St.Louis,MO)、10−4Mアスコルビン酸2−リン酸塩(Sigma Chemicals,St.Louis,MO)、100単位のペニシリン、2%ウシ胎仔血清(GibcoBRL)を有する1000単位のストレプトマイシン(FCS;Hyclon Laboratories)(10ng/mL hPDGF−BB(R&D Systems)、10ng/mL mEGF(Sigma Chemicals,St.Louis,MO)および1000単位/mL mLIF(Chemicon)を含む)。
【0067】
工程6において、BMMNC培養物を5×10/cmに維持し、3〜4週後、細胞を収集し、そしてマイクロ磁気ビーズ分離器(Miltenyi Biotec.)を使用してCD45/Terr119細胞を枯渇させる。
【0068】
工程7において、CD45/Terr(約20%)を、FN処理(10ng/ml)した96ウェル皿の1ウェルあたり10細胞でプレーティングし、そして0.5〜1.5×10/cmの密度で増幅する。ウェルの約1%は、連続して増殖するMAPC培養物を生じる。
【0069】
最後に、工程8において、MAPCは、CD3、Gr−1、Mac−1、CD19、CD34、CD44、CD45、cKitおよび主要組織適合(MHC)クラスIおよびクラスII陰性であることによって特徴付けられ得る。
【0070】
(実施例4:成体幹細胞の除核)
以下は、成体幹細胞の除核についての例示的な実施例である。第一に、工程1において、上記の実施例3にて記載したとおりに単離した成体幹細胞を、適切な増殖要求性および培地の下で約1×10のコンフルエンシーになるまで増殖させる。
【0071】
次に、工程2については、除核するために、細胞をトリプシン処理し、そして10μg/mlの濃度でサイトカラシンBを含む予め温めた培養培地(37℃)中に再懸濁する。
【0072】
工程3において、細胞懸濁液を、37℃にて8,500rpmで30分間遠心分離する。
【0073】
遠心分離後、工程4において、核質ペレットを除去し、そして細胞質を培養培地で一回洗浄する。
【0074】
最終工程5において、細胞質を蛍光DNA染料ヘキスト33528(Sigma Chemicals,St.Louis,MO B1155)で着色して、除核効率を試験する。
【0075】
(実施例5:除核した成体幹細胞のヘキスト33528染色)
以下は、除核された成体幹細胞の染色の例示的な実施例である。第一に、工程1において、成体幹細胞を、除核直後に、37℃に予め温めた培養培地中に配置する。
【0076】
このプロセスの工程2において、ヘキスト33528を、5μg/mlの最終濃度になるように培養培地に添加する。
【0077】
次に、工程3において、細胞をよく混合し、そして37℃の水浴中で正確に90分間インキュベートし、ここで、細胞を数分毎に混合する。
【0078】
工程4において、90分間のインキュベーション期間後、細胞を4℃にて3分間、300×gで遠心分離し、そしてペレットを、予め冷却した(4℃の)HBSS(Gibco−BRL 14170161)/2%のFBS(Hyclone)/10mMのHEPES緩衝液(Gibco−BRL 15630080)中に再懸濁する。
【0079】
工程5において、染色された細胞を4℃に保持して、FACS細胞からのヘキスト染料の漏出を最小化し、そしてサイトカラシンBによって処理しなかったコントロール細胞と比較した除核パーセントを決定する。ヘキスト染料を350nmでUVレーザーにより励起し、そして、その蛍光を450/20 BPフィルター(Hoechst Blue)および675のEFLP光学フィルター(Hoechst Red)により測定する。
【0080】
(実施例6:HSCの作製)
栄養培地を含む培養皿において、除核された卵子を、1つのマイクロピペットを用いて適所に保持し、そして、別のマイクロピペットを用いて、ドナー細胞(幹細胞の始原性細胞)由来の核を、除核された成体幹細胞に挿入して、本発明のHSCを形成する。
【0081】
除核されたかまたは核形成された幹細胞および/または核ドナー細胞およびHSCは、組織培養の分野の当業者に周知の技術を使用して低温保存され得る。このように貯蔵された細胞は、解凍され得、そして後で使用され得る。
【0082】
細胞を再度核形成する代替方法は細胞融合法を含んでおり、その全ては本発明の範囲内にある。
【0083】
(実施例6:HSC増幅:バイオリアクタチャンバ)
本発明の一実施形態では、HSC増幅は、従来のバイオリアクタを使用して行われる。例えば、少なくとも一つのチャンバ(好ましくは少なくとも2つのチャンバ)を有するバイオリアクタが提供される。チャンバは、本発明のHSCを増殖させ、増幅させ、維持し、保持し、そして分化させるために用いられる。チャンバは1つに制限され得るが、好ましくは、少なくとも2つのチャンバが存在する。チャンバは、酸化ケイ素またはガラスから構成される。しかし、類似の生物学的チャンバを構築するために用いられる他の材料を使用し得る。
【0084】
チャンバは、チュービングによって互いに接続しており、蠕動型ポンプ、マイクロ酸素供給器、COレザバおよびモレキュラーシーブフィルタを含めた様々な補助システムへとチュービングによってさらに接続している。チュービングは、生物系において使用するためには、ネオプレンまたは他の同様に作製された材料から構成される。チュービングは、1/8インチから1/3インチまでの様々な直径を有し得る。しかし、類似の用途のためのより小さいかまたはより大きな直径のチュービングが可能である。異なるサイズのチュービングは、チャンバの異なるサイズの取り付け具により収容される。チュービングはにより、チャンバ中の、栄養分を含みそして高分子および微小分子を含む流体培地がチャンバ間を流れるのが可能になる。栄養分の流れは、2つの蠕動型ポンプによって駆動される;あるいは、複数のヘッドを備える少なくとも1つのポンプによって駆動される。各蠕動型ポンプまたは多ヘッドの蠕動型ポンプの各ヘッドは、流体の流れを一方向に駆動する。しかし、少なくとも2つのポンプを使用することにより、チャンバへの、およびチャンバからの、双方向性の流体の流れが可能になる。
【0085】
また、pHセンサおよびpHメータは、酸/塩基バランスを制御するために用いる。phセンサは最初にpHメータに接続しており、pHメータには次に、チャンバ中の培地の表面下に浸漬されている。pHセンサは、チャンバ中の培地のpHの低下および上昇を検出して、pHメータに刺激を送信する。pHメータは次に、CO弁と接続している導線を含み、このCO弁は、チャンバの取り付け具にさらに接続している。例えば、チャンバ中の培地のpHが低い場合、刺激をpHメータに戻してCO弁を開き、それによって、COレザバからのCOをチャンバ内に流入させる。
【0086】
補助的システムは、CO弁を介してCOを供給するCOレザバを備える。また使用されるのは、マイクロ酸素供給器(Aqua Pro)およびポンプである。マイクロ酸素供給器は、弁およびチュービングを経てCOレザバに同様に接続される。チュービングからの流体は、マイクロ酸素供給器を通って流れ、空間に酸素を注入するサイドポートまたは入口によって酸素が付加され;それにより、細胞の改善された生存率のために流体に通気する。
【0087】
また、マイクロ酸素供給器および付属品と同様に分子透析フィルターについては、このフィルターを通って流れる流体および特定のサイズの分子が制限され、例えば、少なくとも約60kDaの分子は、流体から制限される。この透析フィルターは、向流系および一方向流系で作動する。
【0088】
さらに、高度に精製された水(すなわち、イオン化水、UV処理水およびマイクロ濾過水)を用いて、系の適切な水分含量を保持する。高度に精製された水は、利用可能な任意の無菌手段によって、チャンバ中の培地に添加され得る。
【0089】
チャンバ中で使用される培地は、初代細胞の増殖を支持するために適切な任意の標準的細胞培養培地であり得る。例えば、M15:高グルコースDMEM、約15〜20%のウシ胎仔血清(FBS)、1×1−グルタミン、1×ペニシリン/ストレプトマイシン、1×非必須アミノ酸、ならびに細胞生物学および細胞培養技術の当業者に公知の他の増殖因子を少なくとも含んでいる栄養培地。
【0090】
(実施例7:表面レセプター発現についてのHSCのスクリーニング)
本発明のHSCを、表面レセプターおよび抗原発現について以下の通りにスクリーニングする。適切な増幅期間が経過した後、細胞をバイオリアクタから取り出す。適切な増幅期間を、少なくとも一回の集団倍化と定義する。
【0091】
蛍光共鳴エネルギー輸送(FRET)および生物発光共鳴エネルギー輸送(BRET)は、共鳴エネルギー輸送(RET)に基づく技術である。エネルギー輸送効率はドナー部分とレセプター部分との間の距離および互いに関するそれらの相対配向に非常に依存すると報告された。大部分のRETベースのアッセイにおいて、ドナーとレセプターとの間の典型的実効距離は10〜100オングストロームであり、そしてこの範囲は大部分の生物学的相互作用と相関する。(BRET;Packard BioScience,BioSignal Packard Inc.,Meriden,CT)。BRET技術およびFRET技術の使用により、一定数のレセプターを有するHSCおよび細胞上のそれらの場所についてスクリーニングする。BRETおよびFRETを使用したレセプターの視覚的同定は、より大きなスクリーンまたはモニタにおいて見られ得る。これらの投影系は、当該分野において標準である。
【0092】
あるいは、レセプター部位についてスクリーニングする他の方法は、本明細書において記載されていないが、本発明内にあると意図される。
【0093】
最後に、HSCは、成熟した幹細胞において観察されるような、すべての、または、ほとんどすべての、または、大部分すべての発達したレセプター部位を有する。
【0094】
(実施例8:トランスロケーションを必要とするレシピエントへのトランスロケーション)
上記で考察したように、本発明のHSCが使用されるものは非常に多い。例えば、心筋梗塞のような虚血事象を罹患した患者は、もはや生存可能ではない心筋層の領域を有する。損傷を受けた心筋層は、最終的に、死んだ心筋細胞を、収縮機能を欠くだけでなく収縮に抵抗する線維性瘢痕組織に置き換える。その結果、患者の心臓は、ますます効率を低下させることになり、身体組織へと十分な量の血液を汲み出す能力を失う。結局、うっ血性心不全が生じて、この患者は死ぬ。近年では、細胞療法技術は、損傷を受けた心筋層に直接的にまたはその付近に、造血幹細胞、骨格筋芽細胞(例えば、その全体が本明細書中に参考として援用される、米国特許第6,579,523号および同第6,682,730号、特に両方の特許の第14欄第7行〜第18欄第45行を参照のこと)および間葉幹細胞(例えば、その全体が本明細書中に参考として援用される米国特許第6,387,639号、特に実施例1を参照のこと)を注入することによって、うっ血性心不全を処置するために適用された。HSCを提供する必要のある心臓へ本発明のHSCを提供するために適した他の方法としては、心腔を貫通するように特別に設計されているかまたはそれに適合した経腔カテーテル(例えば、米国特許第6,544,230号(その全体が本明細書中に参考として援用される)などにおいて開示されるもの)が挙げられる。
【0095】
一実施形態では、本発明のHSCは、心筋層の損傷を受けた領域に収縮機能を回復させるかまたは改善するために用いられる。本発明の教示に従って作製されるHSCは、注入カテーテルを使用した直接注入によって心筋層に投与されてよく、または一つ以上の冠状動脈に投与されて、損傷を受けた組織へと移動させてもよい。別の実施形態では、HSCは、冠状動脈の外膜組織に投与される。
【0096】
本発明の別の実施形態では、HSCは、インビボで宿主の循環系に全身注入される。この実施形態では、HSCは、損傷を受けた組織領域(例えば、肝臓、肺および脳)に移動する。さらに、本発明のHSCは、外傷または手術の後に全身投与され得る。本発明の再生させたHSCの存在は、迅速な治癒および最小の瘢痕をもたらす。
【0097】
また、本明細書は本発明の特定の実施形態を記載しているが、当業者は、本発明の着想から逸脱することなく、本発明のバリエーションを考案し得る。
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッド幹細胞(HSC)であって、始原性細胞または胚幹細胞由来の核を有する除核された成体幹細胞を含む、ハイブリッド幹細胞。
【請求項2】
前記除核された成体幹細胞と始原性細胞とが同じ動物に由来する、請求項1に記載のHSC。
【請求項3】
前記動物が哺乳類である、請求項2に記載のHSC。
【請求項4】
前記除核された成体幹細胞と胚幹細胞とが同じ動物に由来する、請求項1に記載のHSC。
【請求項5】
前記除核された成体幹細胞が、始原性細胞からの核を有する請求項1に記載のHSC。
【請求項6】
前記始原性細胞が精原細胞である、請求項5に記載のHSC。
【請求項7】
前記始原性細胞が未分化精原細胞である、請求項5に記載のHSC。
【請求項8】
前記始原性細胞が分化した精原細胞である、請求項5に記載のHSC。
【請求項9】
前記始原性細胞が卵原細胞である、請求項5に記載のHSC。
【請求項10】
前記除核された成体幹細胞が、電気融合を使用して始原性細胞と融合されている、請求項1に記載のHSC。
【請求項11】
前記除核された成体幹細胞が、ウイルスベースの融合方法論によって始原性細胞と融合されている、請求項1に記載のHSC。
【請求項12】
前記除核された成体幹細胞が、化学融合を使用して始原性細胞と融合されている、請求項1に記載のHSC。
【請求項13】
前記除核された成体幹細胞が、機械ベースの融合を使用して始原性細胞と融合されている、請求項1に記載のHSC。
【請求項14】
前記HSCが出生後の動物において生物学的に活性である、請求項1に記載のHSC。
【請求項15】
始原性細胞または胚幹細胞由来の核を有する除核された成体幹細胞を含む、治療組成物。
【請求項16】
前記治療組成物が、罹病したかまたは損傷を受けた組織を再生する必要のある動物の罹病したかまたは損傷を受けた組織を再生させるために使用される、請求項15に記載の治療組成物。
【請求項17】
罹病組織が心臓組織である、請求項15に記載の治療組成物。
【請求項18】
罹病組織が肺組織である、請求項15に記載の治療組成物。
【請求項19】
融合した幹細胞であって:
除核された成体幹細胞;および
該除核された成体幹細胞と融合した、始原性細胞または胚幹細胞のうちの1つ
を含む、融合した幹細胞。
【請求項20】
前記始原性細胞が、前記除核された成体幹細胞と融合している、請求項19に記載の融合した幹細胞。
【請求項21】
前記除核された成体幹細胞が、電気融合を使用して前記始原性細胞と融合されている、請求項20に記載の融合した幹細胞。
【請求項22】
前記除核された成体幹細胞が、ウイルスベースの融合方法論を使用して前記始原性細胞と融合されている、請求項20に記載の融合した幹細胞。
【請求項23】
前記除核された成体幹細胞が、化学融合を使用して前記始原性細胞と融合されている、請求項20に記載の融合した幹細胞。
【請求項24】
前記除核された成体幹細胞が、機械ベースの融合を使用して前記始原性細胞と融合されている、請求項20に記載の融合した幹細胞。
【請求項25】
前記胚幹細胞が、前記除核された成体幹細胞と融合されている、請求項29に記載の融合した幹細胞。
【請求項26】
ハイブリッド幹細胞(HSC)であって、始原性細胞由来の核を有する除核された成体幹細胞を含む、ハイブリッド幹細胞(HSC)。
【請求項27】
前記除核された成体幹細胞と始原性細胞とが同じ動物に由来する、請求項26に記載のHSC。
【請求項28】
前記動物が哺乳類である、請求項27に記載のHSC。
【請求項29】
前記始原性細胞が精原細胞である、請求項26に記載のHSC。
【請求項30】
前記始原性細胞が未分化精原細胞である、請求項26に記載のHSC。
【請求項31】
前記始原性細胞が分化した精原細胞である、請求項26に記載のHSC。
【請求項32】
前記除核された成体幹細胞と始原性細胞とが、同じ種内の異なる個体に由来する、請求項26に記載のHSC。
【請求項32】
前記除核された成体幹細胞と始原性細胞とが、同じ個体に由来する、請求項26に記載のHSC。
【請求項33】
前記始原性細胞が卵原細胞である、請求項26に記載のHSC。
【請求項34】
ハイブリッド幹細胞(HSC)であって、胚幹細胞由来の核を有する除核された成体幹細胞を含む、ハイブリッド幹細胞。
【請求項35】
前記除核された成体幹細胞と胚幹細胞とが同じ種由来である、請求項34に記載のHSC。
【請求項36】
前記動物が哺乳類である、請求項34に記載のHSC。
【請求項37】
前記除核された成体幹細胞と胚幹細胞とが、同じ個体に由来する、請求項34に記載のHSC。

【公表番号】特表2008−501362(P2008−501362A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527191(P2007−527191)
【出願日】平成17年1月24日(2005.1.24)
【国際出願番号】PCT/US2005/002487
【国際公開番号】WO2005/123901
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(506396261)プライムジェン バイオテック エルエルシー (5)
【Fターム(参考)】