説明

たくし上げカーテンのヘッドレール

【課題】三種類のカーテン布の取付けを可能とすることで、カーテン布の組み合わせの種類の選択数を増やすことができ、カーテンの見た目の美観向上を図ることができるたくし上げカーテンのヘッドレールを提供する。
【解決手段】帯板状となる天板2の下部に、この天板2から下向きに突出する第1のカーテン布取付け板3と第2のカーテン布取付け板4及び第3のカーテン布取付け板5を、各取付け板3、4、5の対向面間に昇降装置11、11aが収まる間隔を形成した状態で天板2の幅方向に並べて設け、第1のカーテン布取付け板3の外面と、前記第2と第3のカーテン布取付け板4、5の対向面に、カーテン布を取付ける面ファスナー9の取付け溝10が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、たくし上げカーテンのカーテン布を吊り下げるために用いるヘッドレールに関する。
【背景技術】
【0002】
たくし上げカーテンは、建物側に固定するヘッドレールにカーテン布の上端部を固定し、このカーテン布の幅方向両側等の複数箇所の位置にテープを上下方向に沿って縫着し、各テープに上下一定の間隔で合成樹脂や金属製のリング環を取付け、各テープごとに、上下に並ぶ前記リング環にカーテン昇降用コードをそれぞれ通し、各コードは下端に接続したコードキャッチを介してカーテン布の下部に連結するようにしている。
【0003】
たくし上げカーテンのカーテン布を上下動させる手段としては、ヘッドレール内に収納した回転軸の各カーテン昇降用コードと対応する位置にドラムを設け、レールの端部に取付けた滑車とこれに巻架して任意の位置で係止できるチエンを用い、チエンの操作で回転軸を回動させてドラムによるカーテン昇降用コードの巻取り又は繰り出しにより、カーテン布を上下動させる方式と、カーテン昇降用コードの上端側をヘッドレール内の昇降機構で誘導し、このレールの端部下方に係止機構を介して引き出し、各コードの端部をイコライザーで束ね、このイコライザーに操作コードを吊下げ、操作コードを引き下げるとカーテン布は下部から上昇し、昇降用コードの係止を解くと、カーテン布は自重で下部から降りていく方式とがある。
【0004】
従来、上記たくし上げカーテンは、厚手のカーテン布とレース地等の薄手のカーテン布を使用するのが一般的であり、このため、たくし上げカーテンのヘッドレールは、帯板状となる天板の下部両側にカーテン取付け板を設けて略断面コ字形に形成され、両カーテン取付け板の対向面間に二つの昇降機構を並べて収納し、室内側に向くカーテン取付け板に厚手のカーテン布を取付け、また、室外側に向くカーテン取付け板に薄手のカーテン布を取付け、前記厚手のカーテン布の下部に一方昇降機構のカーテン昇降用コードを接続し、前記薄手のカーテン布の下部に他方昇降機構のカーテン昇降用コードを接続し、それぞれのカーテン布をカーテン昇降用コードに接続した操作コードで別個に昇降させることができるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−93221号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような従来のヘッドレールは、二種類のカーテン布しか取付けることができず、カーテン布の組み合わせの種類の選択数やカーテンの見た目の美観向上に制約がある。
【0006】
そこで、この発明の課題は、三種類のカーテン布の取付けが可能になり、カーテン布の組み合わせの種類の選択数を増やすことができ、カーテンの見た目の美観向上を図ることができるたくし上げカーテンのヘッドレールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記のような課題を解決するため、この発明のヘッドレールは、帯板状となる天板の下部に、この天板から下向きに突出する第1のカーテン布取付け板と第2のカーテン布取付け板及び第3のカーテン布取付け板を、各取付け板の対向面間に所定の間隔を形成した状態で天板の幅方向に並べて設けた構成を採用したものである。
【0008】
上記第1のカーテン布取付け板は、天板の一方側縁から下向きに突出し、その外面にカーテンを取付ける面ファスナーの取付け溝が設けられ、この第1のカーテン布取付け板と第2のカーテン布取付け板の対向面間に第1の昇降装置が収まる収納溝を形成し、前記第2と第3のカーテン布取付け板は、両者の対向面にカーテン布を取付ける面ファスナーの取付け溝がそれぞれ設けられ、前記天板の他方側縁に下向きの側板を設け、この側板と第3のカーテン布取付け板との対向面間に第2の昇降装置が収まる収納溝を形成した構造とすることができる。
【0009】
ここで、上記ヘッドレールは、アルミ等の押し出し成形によって形成され、天板と側板の外面に、建物構造物に固定するブラケットの係止フックが設けられている。
【0010】
上記各取付け板に対してカーテン布は、各取付け板に設けた取付け溝に面ファスナーの一方を嵌め合わせて取付け、カーテン布の上端部に面ファスナーの他方を縫着し、両面ファスナーの係合によりヘッドレールにカーテン布を吊り下げ状に取付けるようになっており、例えば、室内側に向くカーテン布取付け板に取付けるカーテン布としては、カーテンの上部を装飾的に覆う前飾りとすることができる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によると、ヘッドレールに三種類のカーテン布を取付けることができ、カーテン布の組み合わせの種類の選択数を増やすことができると共に、カーテンの上部を装飾的に覆う前飾りの取付けも可能になり、たくし上げカーテンの見た目の美観向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0013】
図1乃至図3のように、たくし上げカーテンに用いるヘッドレール(シェードレール)1は、帯板状となる天板2の下部で長さ方向の全長にわたって、この天板2の一方側縁から下向きに突出する第1のカーテン布取付け板3と、天板2の幅方向中央部の両側から下向きに突出する第2のカーテン布取付け板4及び第3のカーテン布取付け板5と、天板2の他方側縁から下向きに突出する側板6を一体に設け、前記天板2と側板6の外面に、建物構造物に固定するブラケットの係止フック7と8を設けた断面構造になっており、アルミ等を用いて押し出し成形によって形成されている。
【0014】
図4のように、上記各取付け板3、4、5と側板6は、対向面間に所定の間隔を形成した状態で天板2の幅方向に並べて設けられ、前記第1のカーテン布取付け板3は、その外面にカーテン布を取付ける面ファスナー9の取り付け溝10が設けられ、この第1のカーテン布取付け板3と第2のカーテン布取付け板4の対向面間に第1の昇降装置11が収まる収納溝12を形成している。
【0015】
また、上記第2と第3のカーテン布取付け板4と5は、両者の対向面にカーテン布を取付ける面ファスナー9の取付け溝10がそれぞれ設けられ、上記側板6と第3のカーテン布取付け板5との対向面間に第2の昇降装置11aが収まる収納溝13を形成している。
【0016】
ここで、上記各取付け板3、4、5に設けた面ファスナー9の取付け溝10は、図4(b)のように、先端が相手側に向けて屈曲し、対向面間が前面開放溝となる一対の鉤形突条14を複数組並べて設けることによって形成したが、この取付け溝10は、面ファスナー9を長さ方向に沿って抜き差しできる断面構造であればよい。
【0017】
上記各取付け板3、4、5に対してカーテン布Aは、背面側に取付け溝10へ適合する突条15を設けた帯板状の取付け板16に面ファスナー9の一方を貼り合わせ、この取付け板16を取付け溝10に一方の端部から嵌め合わせて取付け、カーテン布Aの上端部に面ファスナー9の他方を縫着し、両面ファスナー9の係合によりヘッドレール1にカーテン布Aを吊り下げ状に取付けるようになっている。
【0018】
また、カーテン布Aの幅方向両側等の複数箇所の位置にテープを上下方向に沿って縫着し、各テープに上下一定の間隔で合成樹脂や金属製のリング環17を取付け、各テープごとに、上下に並ぶ前記リング環17にカーテン昇降用コード18をそれぞれ通し、各コード18は下端に接続したコードキャッチ等を介してカーテン布Aの下部に連結すると共に、ヘッドレール1の両収納溝12、13に第1の昇降装置11と第2の昇降装置11aが収まり、ドラム方式又はコード方式によってカーテン布Aを昇降させる。
【0019】
前者のドラム方式における昇降装置は、図4(a)のように、ヘッドレール1内に収納した回転軸19の各カーテン昇降用コード18と対応する位置に設けたドラム20にカーテン昇降用コード18を巻取り、図示省略したが、ヘッドレール1の端部に取付けた滑車とこれに巻架して任意の位置で係止できるチエンを備えたストッパー機構21を用い、チエンの操作で回転軸19を回動させてドラム20によるカーテン昇降用コード18の巻取り又は繰り出しにより、カーテン布Aを上下動させるようになっている。
【0020】
また、後者のコード方式における昇降装置は、カーテン昇降用コード18の上端側をヘッドレール1内のガイドで誘導し、このレール1の端部下方にコードギア機構22を介して引き出し、各コード18の端部をイコライザーで束ね、このイコライザーに操作コードを吊下げ、操作コードを引き下げるとカーテン布Aは下部から上昇し、コードギア機構22で昇降用コードを係止させると共に、昇降用コードの係止を解くと、カーテン布Aは自重で下部から降りていくようになっている。
【0021】
上記したヘッドレール1は、たくし上げカーテンの異なる方式の採用とその組み合わせが自由に選択でき、図5(a)はヘッドレール1の両側収納溝12、13に片側操作のコード式のコードギア機構22を取り付け、他方端部に端部キャップ23を取付けた例を示し、図5(b)はヘッドレール1の両側収納溝12、13に片側操作のドラム式のストッパー機構21を取り付け、他方端部に端部キャップ23を取付けた例を示し、図5(c)はヘッドレール1の一方収納溝12に片側操作のドラム式のストッパー機構21と、他方収納溝13に片側操作のコードギア機構22を取り付け、他方端部に端部キャップを取付けた例を示し、図6(a)はヘッドレール1の両側収納溝12、13の両端に両側操作のコード式のコードギア機構22を取り付けた例を示し、図6(b)はヘッドレール1の両側収納溝12、13の両端に両側操作のドラム式のストッパー機構21を取り付けた例を示している。
【0022】
上記のように、両側操作のドラム式のストッパー機構21又はコードギア機構22を用いれば、各カーテン布取付け板3、4、5に取り付けるカーテン布は、幅方向に二分割したものを吊り下げることができ、両側のカーテン布を個々に昇降動させることができる。
【0023】
この発明のヘッドレールは、上記のような構成であり、係止フックに係合させたブラケットを建物構造物に固定することによって開口部の上部にヘッドレール1を固定配置し、例えば、室内側に向く第1のカーテン布取付け板3に、取付け溝10と一対の面ファスナー9を用いて前飾りA1を吊り下げ状に取付け、第2のカーテン布取付け板4に、取付け溝10と一対の面ファスナー9を用いて厚手のカーテン布A2をまた、第3のカーテン布取付け板5に、取付け溝10と一対の面ファスナー9を用いてレース地等の薄手のカーテン布A3を取付け、厚手のカーテン布A2に下端を結合したカーテン昇降用コード18は、第1の昇降装置11で巻取り、薄手のカーテン布A3に下端を結合したカーテン昇降用コード18は、第2の昇降装置11aで巻取るようにする。
【0024】
このように、厚手のカーテン布A2と薄手のカーテン布A3は単独でたくし上げが可能になると共に、第1のカーテン布取付け板3に取付けた前飾りA1によって、カーテンの上部を覆うことで、たくし上げカーテンの見た目を豪華にして装飾性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】(a)はヘッドレールの正面図、(b)は同右側の側面図、(c)は同左側の側面図
【図2】(a)はヘッドレールの平面図、(b)は同底面図
【図3】ヘッドレールの斜視図
【図4】(a)はヘッドレールの使用状態を示す拡大した縦断正面図、(b)はヘッドレールのカーテン布取付け溝の部分を更に拡大した縦断正面図
【図5】ヘッドレールとたくし上げカーテンの異なる方式の組み合わせ例を示し、(a)はヘッドレールの両側収納溝に片側操作のコード式のコードギア機構を取り付けた斜視図、(b)はヘッドレールの両側収納溝に片側操作のドラム式のストッパー機構を取り付けた斜視図、(c)ヘッドレールの一方収納溝に片側操作のコード式のコードギア機構と、他方収納溝に片側操作のドラム式のストッパー機構を取り付けた斜視図
【図6】ヘッドレールとたくし上げカーテンの異なる方式の組み合わせ例を示し、(a)はヘッドレールの両側収納溝の両端に両側操作のコード式のコードギア機構を取り付けた斜視図、(b)はヘッドレールの両側収納溝の両端に両側操作のドラム式のストッパー機構を取り付けた斜視図
【符号の説明】
【0026】
1 ヘッドレール
2 天板
3 第1のカーテン布取付け板
4 第2のカーテン布取付け板
5 第3のカーテン布取付け板
6 側板
7 係止フック
8 係止フック
9 面ファスナー
10 取り付け溝
11 昇降装置
12 収納溝
13 収納溝
14 鉤形突条
15 突条
16 取付け板
17 リング環
18 カーテン昇降用コード
19 回転軸
20 ドラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯板状となる天板の下部に、この天板から下向きに突出する第1のカーテン布取付け板と第2のカーテン布取付け板及び第3のカーテン布取付け板を、各取付け板の対向面間に所定の間隔を形成した状態で天板の幅方向に並べて設けたたくし上げカーテンのヘッドレール。
【請求項2】
上記第1のカーテン布取付け板は、天板の一方側縁から下向きに突出し、その外面にカーテン布を取付ける面ファスナーの取付け溝が設けられ、この第1のカーテン布取付け板と第2のカーテン布取付け板の対向面間に第1の昇降装置が収まる収納溝を形成し、前記第2と第3のカーテン布取付け板は、両者の対向面にカーテン布を取付ける面ファスナーの取付け溝がそれぞれ設けられ、前記天板の他方側縁に下向きの側板を設け、この側板と第3のカーテン布取付け板との対向面間に第2の昇降装置が収まる収納溝を形成した請求項1に記載のたくし上げカーテンのヘッドレール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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