説明

だしの製造方法

【課題】肉質感のする香りがよく、燻煙香の除かれた風味の良いだしの製造方法を開発することを課題とする。
【解決手段】一番だし及び/又は二番だし抽出時に、冷却凝縮温度が70℃以上で留出する香気成分を選択的に回収すればよいことを見出した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、かつお節などの節類から肉質感のする香りがよく、燻煙香の除かれた風味の良いだしの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、節類よりだしを製造する方法としては、節類を熱湯抽出後濃縮する方法、節類を
酵素分解する方法、節類を有機溶剤で芳香成分を抽出した後、残渣を熱湯で抽出する等の方法があった。
【0003】
しかしながら、いずれの方法も抽出中に蒸気とともに香り成分が大気中に飛散して得られた抽出だしは香りの弱いものとなっている。
【0004】
一方、だしそのもの、あるいはだしを使用したそばつゆ、そうめんつゆ、てんつゆ等のつゆやだしを使用したお吸い物、煮物、炊き込み御飯等の料理では、より香りの強いだし
が求められている。
【0005】
だしの香り成分が大気中に飛散させることなく回収する方法としては、だしを抽出すると同時に蒸発を行い、その蒸気を香気成分として回収する方法が知られている(特公昭62−36651号公報(特許文献1))。
【0006】
また、節類から呈味成分及び香気成分を抽出する際、水蒸気を蒸発させ蒸発残留物より節類残渣を除去して得られた液を回収する香気成分の回収方法が開示されている(特開昭58−155052号公報(特許文献2))。
【0007】
しかしこれらの方法ではだしとしては好ましくない不必要な香り成分まで回収してしまい、香り、風味の良好なだしを得ることができない。
【0008】
あるいは特公昭61−53022号公報(特許文献3)において、節類またはその抽出残渣に、その2〜100倍重量の水を加えて抽出しつつ加熱蒸発させた後、留出部を凝縮することにより、香気成分を分離採取する節類香気成分の分離採取法が開示されている。
【0009】
しかしながら、この方法を採用しても香り・こく・厚みにおいて不満が残るのが現状である。
【0010】
【特許文献1】特公昭62−36651号公報
【特許文献2】特開昭58−155052号公報
【特許文献3】特公昭61−53022号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
肉質感のする香りがよく、燻煙香の除かれた風味の良いだしの製造方法を開発することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意努力した結果、一番だし及び/又は二番だし抽出時に、冷却凝縮温度が70℃以上で留出する香気成分を選択的に回収すればよいことを見出した。
【0013】
すなわち、本発明は
(1) 節類の一番だし及び/又は二番だし抽出時に、冷却凝縮温度が70℃以上で留出する香気成分を選択的に回収することを特徴とする香気成分含有液の製造方法、
(2) (1)記載の香気成分含有液を、抽出した節類の一番だし及び/又は二番だしと混合しただし、
(3) (2)に記載のだしにおいて、節類の一番だし抽出後原料の6〜15倍量の水で二番だし抽出を行い、得られた二番だし抽出液を1〜10倍に濃縮した二番だし、
(4) i.(1)記載の香気成分含有液、ii.(3)記載の二番だし、iii.(3)記載の二番だし抽出時に、冷却凝縮温度が70℃以上で留出する香気成分を選択的に回収して得られた香気成分含有液及びiv.節類の一番だし抽出液、の4者を混合したことを特徴とするだし
に関する。
【0014】
本発明において、節類の抽出時の条件としては節原料は鰹節、鯖節のほか、宗田鰹節、あご節、まぐろ節、煮干等を任意に選択してもよい。また、節原料は裸節、荒節、(本)枯節等特に限定はない。節原料の形状、サイズは、薄削り、厚削り、粗砕品、粉砕品、粉状のもの等が使用でき、また複数の使用も可能で、特に限定はない。
【0015】
本発明の目的は、通常のだしの抽出中に蒸気とともに大気中に飛散してしまう香り成分の中から、良好な香り成分のみを選択的に回収してだしに戻すことで、通常のだしより香りが強く、こく、旨味等の味が強くて良好なだしを得ることにある。
【0016】
抽出タンクは、香り成分が大気中に飛散しないように密封でき、下部から蒸気を注入できるものであればよいが、特に多機能抽出機が好ましい。
【0017】
香り回収装置はコンデンサータイプの機器が好ましい。
【0018】
抽出タンクと香り回収装置との概念図を図1に示す。
【0019】
香り成分を回収するには、力価が強く、しかも官能的に良好な分画を選択的に回収する必要があるが、だし抽出タンクでだしを抽出し、抽出中に生成される香り成分を蒸気とともに香り回収装置に送り、70℃以上で凝縮する成分のみを選択的に回収することにより、本発明の目的が達成される。
【0020】
一方、近年流通時のコストアップ、保管時のスペースの問題、料理の簡便性等の問題からだしを濃縮した濃厚だしが求められてきていることから、本発明では上記の良好な香り成分のみを選択的に回収した液を濃縮だしに加えることで、良好な濃厚だしを得ることを
可能とした。
【0021】
濃縮方法は、逆浸透膜濃縮、凍結濃縮等適宜選択すればよく、特に限定しない。濃縮倍率は抽出だしの抽出倍率や使用用途により適宜選択すればよいが、製造時間、コスト等も考慮して、抽出だし重量の1〜10倍が好ましい。
【0022】
濃厚だしを製造する際、節に対して多量の水で抽出すると、抽出効率は上がるが、濃縮工程に多大な時間とコストを要し、また濃縮方法によっては長時間の濃縮工程による品質の劣化を招く為、濃縮に供する抽出だしの量は、できるだけ少なくすることが望ましい。
【0023】
そこで本発明では、二番だし抽出時に節重量に対して6〜15倍量の水で抽出を行うことで、少量の水で一番だし抽出実施後のだしがらに残存する呈味成分及び香り成分を回収することができることを見出した。
【0024】
なお、二番だしの濃縮は、呈味成分の濃度を一番だしと同程度にするために、一番だしのBrix値と概ね合致するように濃縮することが好ましいが、濃縮だしの用途により適宜濃縮倍率を設定すればよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明により、肉質感のする香りがよく、燻煙香の除かれた風味の良いだしを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明を具体的に説明する為に、実施例を示すが本発明はこれに限定されるものではないことは、言うまでもない。
【実施例1】
【0027】
抽出分画温度の決定
密閉式の多機能抽出機(株式会社イズミフードマシナリ製)の抽出タンクに、水道水100重量部と鰹節粗砕品10重量部を加え、95℃で30分間攪拌抽出を行った。同時に抽出タンク下部より蒸気を注入する。
【0028】
このとき抽出タンク下部より注入する蒸気量と、香り回収装置に送る蒸気量がほぼ同じ量になるように調節する。
【0029】
香り回収装置において95℃以上、95℃未満〜80℃以上、80℃未満〜70℃以上、70℃未満〜60℃以上、60℃未満の5分画で凝縮する成分を分画して香り成分を回収した。抽出時間30分経過後に、濾過後の抽出だしと香り回収液を得た。
【0030】
香り回収装置は、蒸気供給を伴う抽出タンクおよび抽出だし回収部に付属するコンデンサー部、凝縮液回収部、およびそれらを接続する配管の構成からなっている。そして分画の取り出しは、蒸気供給を伴う抽出タンクから排出されるベーパー(気液混合ガス)をコンデンサーに導いて70℃冷媒で凝縮させ、この凝縮液をコンデンサー下部に設置せれた凝縮液回収部に溜めて回収することで行われる。
【0031】
だし抽出と香り回収装置の概念図を図1に示す。図1において、70℃の冷媒で凝縮しなかったベーパー(気液混合ガス)は、(6)の蒸気排出口より排出される。排出は安全面、環境面を考慮し、(3)の香り回収装置の後工程にさらにコンデンサーを設置して、常温以下の冷媒で凝縮後に廃棄もしくは本発明以外の利用に供しても良い。
【0032】
上記だし100重量部に、各香り回収液と水を合わせたもの10重量部を加え官能評価のサンプルとした。
【0033】
コントロールは、開放系でタンクに水道水100重量部と鰹節粗砕品10重量部を加え、95℃で30分間攪拌抽出した。抽出時間30分経過後に濾過し、コントロール抽出だしを得た。
【0034】
上記のサンプルとコントロールを表1にまとめる。
【0035】
【表1】

【0036】
表1に基づいて得られた香り回収液及び抽出だしの官能評価(パネラー10名)の結果を表2に示す。
【0037】
【表2】

【0038】
表2において、◎=良いまたは強い、〇=やや良いまたはやや強い、●=同等、△=やや悪いまたはやや弱い、×=悪いまたは弱いを示す。
【0039】
香りの強さとは、嗜好に関係なくコントロールと比較したときに感じる香りの強さの程度を評価した。
【0040】
香りの好ましさとは、コントロールと比較したときの嗜好で評価した。
【0041】
こく、厚みの強さとは、味の評価で、コントロールと比較したときのこく、厚みの強弱を評価した。
【0042】
味全体の好ましさとは、コントロールと比較したときの嗜好で評価した。
【0043】
表2から分かるように、70℃以上の各分画が官能評価で良好な結果となった。70℃未満、特に60℃未満の分画は、極端な燻煙臭や汗のような香りが感じられ、だしとしては好ましくなく、ほとんどのパネラーに忌避された。
【0044】
また、全回収品も、同様に極端な燻煙臭や汗のような香りが強く、だしとしては好ましくなく、ほとんどのパネラーに忌避された。
【実施例2】
【0045】
一番だし抽出、香り回収工程
図1の抽出タンク(1)に水道水100重量部(50kg)と鰹節粗砕品10重量部(5kg)を加え、95℃で30分間攪拌抽出する(図1の(5))と同時に、70℃以上で凝縮する香り成分を回収(約4kg)した(図1の(4))。95℃で30分間攪拌抽出後に濾過したものを抽出だしとした(70℃以上)。
【0046】
一方、上記と同様に図1の抽出タンク(1)に水道水100重量部(50kg)と鰹節粗砕品10重量部(5kg)を加え、95℃で30分間攪拌抽出する(図1の(5))が、香り成分は70℃未満の分画を回収(約2kg)した。そして95℃で30分間攪拌抽出後に濾過したものを抽出だしとした(70℃未満)。
【0047】
更に、上記と同様に図1の抽出タンク(1)に水道水100重量部(50kg)と鰹節粗砕品10重量部(5kg)を加え、95℃で30分間攪拌抽出する(図1の(5))と同時に、70℃以上で凝縮する香り成分及び70℃未満で凝縮する香り成分とを合わせたものを香り回収液とする(全回収(約6kg))。
【0048】
なお、コントロールとして上記の抽出だしのみを使用した。
【0049】
上記4者についての配合を行った結果を表3に示す。
【0050】
【表3】

【0051】
本発明で用いた表中の(+)の意味は以下の通りである。
【0052】
本発明では、一定期間内に回収できた「香り回収液」を全てだしに戻すという条件を一定にして、作製しただしの品質評価(官能検査)を実施した。香り回収液は、抽出だし100kgで抽出時間30分間の場合、各冷却凝縮温度分画(香り回収液)がそれぞれ重量比で0.1〜20%回収できる。
【0053】
上表のだしの配合中の(+)の表記は、例えば抽出時間30分間で回収した「香り回収液」を、全てだしに戻すこととして、レシピを組んでいる。つまり、各画分の香り回収液に水を加えて合計重量の20%になるようにし、これに抽出だしを80%加えて合計で100%とし、サンプルを作製した。
【0054】
表3の配合についての官能評価の結果を表4に示す。
【0055】
【表4】

【0056】
官能評価は、コントロール品と比較して、好ましさまたは強弱で評価した(パネラー10名)。
【0057】
◎=良いまたは強い、〇=やや良いまたはやや強い、●=同等、△=やや悪いまたはやや弱い、×=悪いまたは弱いを示す。
【0058】
表4から分かるように、抽出だしのみのコントロールと比較すると、香りの強さでは70℃未満や全回収のものでも強いが、香りの好ましさ、こく・厚みの強さあるいは味全体の好ましさ等においては、70℃以上でなければ良い評価が得られない。
【実施例3】
【0059】
二番だし抽出、香り回収工程
一番だし抽出液排出後にだしがらが残った抽出タンクに、だしがらが吸水した水の量を含めて一番だし抽出時に使用した鰹節粗砕品10重量部(5kg)の10倍量となるように水道水を加え(合計100重量部(50kg))、95℃で30分間攪拌抽出後に濾過したものをコントロールの抽出だしとした。
【0060】
一方、上記コントロールの抽出だしの抽出時に同時に70℃以上で凝縮する香り成分を回収したものと、上記コントロールの抽出だしの抽出時に同時に70℃未満で凝縮する香り成分を回収したものとをそれぞれ70℃以上の抽出だし及び70℃未満の抽出だしとする。
【0061】
更に、上記コントロールの抽出だしの抽出時に同時に、70℃以上で凝縮する香り成分(約4kg)及び70℃未満で凝縮する香り成分(約2kg)とを合わせたものを香り回収液とする(全回収(約6kg))。
上記4者についての配合を表5に示す。
【0062】
【表5】

【0063】
表5の配合についての官能評価の結果を表6に示す。
【0064】
【表6】

【0065】
官能評価は、コントロール品と比較して、好ましさまたは強弱で評価した(パネラー10名)。
【0066】
◎=良いまたは強い、〇=やや良いまたはやや強い、●=同等、△=やや悪いまたはやや弱い、×=悪いまたは弱いを示す。
【0067】
表6から分かるように、表4と比較すると、コントロールの評価が●から△に変更された以外は全く同じである。すなわち、香りの強さについては、一番だしでは回収液が含まれないと評価はかなり落ちるが、二番だしでは回収液が含まれなくともそれほどには評価が落ちていない。しかし、香りの好ましさ、こく・厚みの強さ、味全体の好ましさについては、70℃以上のものと比較すると、大差があることが分かる。
【実施例4】
【0068】
一番だし+二番だし抽出、香り回収工程
(1)図1の抽出タンク(1)に水道水50重量部(25kg)と鰹節粗砕品10重量部(5kg)を加え、95℃で30分間攪拌抽出後、濾過しBrix 4.5の一番だしを得た。このとき、鰹節粗砕品10重量部(5kg)が、約2倍量の水を吸収しているため、抽出一番だしの収量は約40重量部(約20kg)となる。また同時に、70℃以上で凝縮する香り成分を回収した(約8重量部(約4kg、Brix 0))。
【0069】
(2)一番だし抽出液排出後にだしがらが残った抽出タンクに、だしがらが吸水した水の量を含めて150重量部(75kg)の熱水を加え、二番だし抽出を行い、得られた二番だし抽出液を逆浸透膜濃縮法(日東電工マテリアル製)により40重量部(20kg)まで濃縮した。この時の濃縮液はBrix 0.6であった。二番だし抽出時に同時に70℃以上で凝縮する香り成分を回収した(約8重量部(約4kg、Brix 0))。
【0070】
(1)の一番だし約40重量部(約20kg)とその香り成分約8重量部(約4kg)及び(2)の濃縮二番だし40重量部(20kg)とその香り成分約8重量部(約4kg)とを全て混合し、さらに水を加えて、最終的にBrix 2.2のだしを100重量部(50kg)を得る。
【0071】
[比較例1]
図1の抽出タンク(1)に水道水100重量部と鰹節粗砕品10重量部を加え、95℃で30分間攪拌抽出後、濾過し抽出だしを得た。
【0072】
[比較例2]
図1の抽出タンク(1)に水道水300重量部と鰹節粗砕品10重量部を加え、95℃で30分間攪拌抽出後、濾過し抽出だしを得た。この抽出だしを逆浸透膜濃縮法により100重量部まで濃縮した。
【0073】
[比較例3]
図1の抽出タンク(1)に水道水50重量部と鰹節粗砕品10重量部を加え、95℃で30分間攪拌抽出後、濾過し抽出だしを得た。また同時に、70℃未満で凝縮する香り成分を回収した。
【0074】
一番だし抽出液排出後にだしがらが残った抽出タンクに、だしがらが吸水した水の量を含めて150重量部の熱水を加え、二番だし抽出を行い、得られた二番だし抽出液を逆浸透膜濃縮法により40重量部まで濃縮した。二番だし抽出時に同時に70℃未満で凝縮する香り成分を回収した。
【0075】
上記の一番だしとその香り成分及び濃縮二番だしとその香り成分を全て混合した。
【0076】
前記実施例と比較例1、2、3についての配合を表7に、その官能評価の結果を表8に示す。
【0077】
【表7】

【0078】
【表8】

【0079】
官能評価は、コントロール品と比較して、好ましさまたは強弱で評価した(パネラー10名)。
【0080】
◎=良いまたは強い、〇=やや良いまたはやや強い、●=同等、△=やや悪いまたはやや弱い、×=悪いまたは弱いを示す。
【0081】
表7及び表8からみると、一番だしとその70℃以上で凝縮する香り成分及び濃縮二番だしとその70℃以上で凝縮する香り成分とを全て混合した実施例4が最も好ましいことがわかる。
【0082】
一方、香り回収液を加えない比較例1は官能評価の結果、良しとされた項目はなく、香り回収液を加えずに、濃縮だけ行った比較例2も香りの強さはやや良かったものの、他の項目では良しとされたものはない。また、一番だしとその70℃未満で凝縮する香り成分及び濃縮二番だしとその70℃未満で凝縮する香り成分とを全て混合した比較例3では、香りの強さは良かったものの、他の項目は悪いという結果となった。
【実施例5】
【0083】
だしの他、醤油、みりんを配合しただしブレンドについて官能評価を行った。配合割合を表9に、その官能評価結果を表10に示す。
【0084】
【表9】

【0085】
【表10】

【0086】
官能評価は、コントロール品と比較して、好ましさまたは強弱で評価した(パネラー10名)。
【0087】
◎=良いまたは強い、〇=やや良いまたはやや強い、●=同等、△=やや悪いまたはやや弱い、×=悪いまたは弱いを示す。
【0088】
表10から、70℃以上で凝縮する香り成分を回収し、それを抽出だしに加えたもの(実施例5)が、いずれの項目も良い結果となり、抽出だしのみのもの(比較例4)はいずれの項目もやや悪く、70℃未満で凝縮する香り成分を回収し、それを抽出だしに加えたもの(比較例5)は、香りの強さはやや良いものの、その他の項目はやや悪い。また、70℃以上で凝縮する香り成分と70℃未満で凝縮する香り成分とを回収し、全てを抽出だしに加えたもの(比較例6)は、香りの強さはよいが、他の項目は悪いという結果が得られた。
【0089】
すなわち、つゆブレンドにおいても、70℃以上で凝縮する香り成分のみを回収し、抽出だしに加えたものが最も好ましいだしを提供できるということが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】だし抽出と香り回収装置の概念図。
【符号の説明】
【0091】
(1)抽出タンク
(2)蒸気注入口
(3)香り回収装置
(4)凝縮液回収部(香り回収液)
(5)抽出だし回収部(抽出だし液)
(6)蒸気排出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
節類の一番だし及び/又は二番だし抽出時に、冷却凝縮温度が70℃以上で留出する香気成分を選択的に回収することを特徴とする香気成分含有液の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の香気成分含有液を、抽出した節類の一番だし及び/又は二番だしと混合しただし。
【請求項3】
請求項2に記載のだしにおいて、節類の一番だし抽出後原料の6〜15倍量の水で二番だし抽出を行い、得られた二番だし抽出液を1〜10倍に濃縮した二番だし。
【請求項4】
i.請求項1記載の香気成分含有液、ii.請求項3記載の二番だし、iii.請求項3記載の二番だし抽出時に、冷却凝縮温度が70℃以上で留出する香気成分を選択的に回収して得られた香気成分含有液及びiv.節類の一番だし抽出液、の4者を混合したことを特徴とするだし。

【図1】
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